JP2006060112A - プリント配線板及びそのインピーダンス整合方法 - Google Patents

プリント配線板及びそのインピーダンス整合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伝送線路における特性インピーダンス整合の精度を向上させるプリント配線板及びプリント配線板のインピーダンス整合方法を提供する。
【解決手段】信号線11と、グランドもしくは電源ライン12との間に、強誘電体を含んだ誘電体13を有する伝送線路14を備えたことを特徴とするプリント基板を用いて、信号線11と、グランドもしくは電源ライン12との間に強電界を印可し、伝送線路14のインピーダンス整合を行うことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、伝送線路構造を有するプリント配線板及びそのインピーダンス整合方法に係わるものである。
アナログ回路に対して、回路の配線をするのに、どのように配置配線するかということは考慮せず、単に結線するだけでよい、というのがデジタル回路の長所であった。しかしながら近年、信号周波数の高速化により基板サイズが相対的に大きくなったため、デジタル回路といえども信号をアナログ的に考慮しなければならなくなった。すなわち、反射・クロストーク・遅延・損失による信号劣化を最小に抑えるため、線路単体ではなく、グランドプレーンを近接させた線路構造を用いるようになった。
高周波設計における基本指針のひとつは、インピーダンス整合である。それぞれの線路構造における特性インピーダンスは近似式から求めることができ、一般的には例えば50Ωになるように線幅を決める。完全にインピーダンス整合された理想的な場合には信号の反射が起きないが、一般的には例えば±10%の精度が求められる。
近年、ロバストデザインが注目されているが、製造ばらつきを完全に無くすことは不可能であり、プリント基板のような少量多品種的性格の強い製品に対しては、終段において何らかの修正工程を加える方法が有効と考える。整合条件の厳しい無線タグにおいては、共振周波数のずれを補正するため、製造時に1個1個、無線ICとアンテナのインピーダンス整合をとっている。このような工程は、デジタル回路基板にも今後、必要とされる。
この場合、修正を入れる部分として誘電体層が挙げられる。しかし、伝送線路構造がとられるようになったにも関わらず、誘電体層を加工して最適化する方法は少ない。ひとつの方法として、誘電体層に穴を開ける方法(特許文献1参照)が考えられているが、積層化できないため基板は両面板に限られ、精度は穴の加工精度によって制限されるため滑らかな電気特性は得られず、現在における要求に対しても、誘電体層を最適化できているとは言い難い。
以下に公知文献を示す。
特開平07−221510号公報
本発明は、このような問題点を解決するもので、伝送線路における特性インピーダンス整合の精度を向上させるプリント配線板及びプリント配線板のインピーダンス整合方法を提供することを課題とする。
本発明は、係る課題に鑑みなされたもので、請求項1の発明は、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に、強誘電体を含んだ誘電体を有する伝送線路を備えたことを特徴とするプリント基板としたものである。
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載のプリント基板を用いて、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に強電界を印可し、伝送線路のインピーダンス整合を行うこ
とを特徴とするプリント配線板のインピーダンス整合方法としたものである。
本発明の請求項3の発明は、伝送線路が、信号線が2本に分離された差動伝送線路であることを特徴とする請求項1のプリント配線板としたものである。
本発明の請求項4の発明は、請求項3記載のプリント基板を用いて、信号線とグランドもしくは電源ラインとの間に、又は/および2本の信号線の間に強電界を印可し、伝送線路のインピーダンス整合を行うことを特徴とするプリント配線板のインピーダンス整合方法としたものである。
本発明の請求項5の発明は、請求項2または4に記載のインピーダンス整合方法でインピーダンス整合したことを特徴とするプリント基板としたものである。
なお本発明のプリント配線板は、インターポーザを含むものとする。
まず本発明ではプリント基板に用いられる誘電体として、通常の誘電体そのままではなく、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ビスマス(BIT)などの強誘電体を含む材料を用いる。通常の誘電体が電界を印加すると分極し、電界を0にすると元に戻るのに対して、強誘電体は電界を0にしても分極が残る。
この自発分極の原因は、構成イオンの相対位置に2つの安定状態があり、電界を印加すると原子が一方の位置により多く変位し、電界を0にしても原子位置の不均衡が完全には元に戻らないことに由来している。この自発分極の方向をバイナリ情報の0、1に対応させれば、電源を切っても記憶内容が消えないメモリをつくることができ、このような誘電体メモリに関して、半導体メーカを中心に活発な研究開発が行われている。
近年ますますの高速化により、半導体と基板とをトータルパッケージで考慮しなければならなくなったが、本発明はその流れをさらに進め、いわば基板にメモリ機能を持たせようというものである。もっとも極一部の物性の記憶させることにより、基板の製造精度の高めようとするものであり、一般的な強誘電体メモリに求められる性質、すなわち分極の反転速度や繰り返し耐久性は必要とされない。書き込みは基板の製造時のみであるからメモリと言ってもいわばROMである。
誘電体層に用いる材料は、本発明において特徴的である。パターン形成、積層、ビア形成といった工程は基本的に従来と同様であるが、その後、書き込み工程を追加することは、本発明において特徴的である。誘電率を調整したい部分、伝送線路構造にしたい部分に対して電界を印加し、分極を残す。工程フローとして、例えば、誘電体層とパターンとを別々に加工した後に積層する場合には、位置合わせの精度で最終的な精度が決まってしまう。それに対し、本発明の方法はセルフアライメントであり、位置合わせを行う必要がない。
本願発明のプリント基板は、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に、強誘電体を含んだ誘電体を有する伝送線路を備えているので、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に強電界を印可することにより、上記のように誘電率を変化させ、その値を電界除去後も保持できるので、伝送線路のインピーダンスを補正できるプリント基板である。
本発明は以上のような構成、作用をもつから、伝送線路における特性インピーダンス整合の精度を向上させるプリント配線板及びプリント配線板のインピーダンス整合方法とすることができる。
本発明では、プリント基板を、条件を変えて露光やエッチングをやり直すなどして製造し直すことなく、局所的な修正も可能である。
本願発明のプリント基板は、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に、強誘電体を含んだ誘電体を有する伝送線路を備えている。また、このプリント基板を用いて、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に、強電界を印可し、伝送線路のインピーダンス整合を行うことができる。差動伝送線路の場合、逆相又は同相で信号を伝送させる2本の信号線間に強電界を印加し、整合を行うことも出来る。
以下、図を用いて本発明を説明する。図1は、本願発明のプリント配線板の実施の形態例を断面で示した部分説明図である。伝送線路として、マイクロストリップライン構造14を例示した。信号線11、グランドプレーン12、及び強誘電体を含んだ誘導体よりなる誘電体層13を備えている。誘電体層13は強誘電体を含む材料から成り、インピーダンス整合工程を経て、誘電率分布が最適化される。なお、当然ながら、マイクロストリップラインに限定する趣旨ではなく、他の伝送線路構造でも構わない。また、グランドプレーンに換えて、電源プレーンを利用した構造でもよい。
本発明では、このようなマイクロストリップラインの特性インピーダンスを測定し、その値が整合する値、例えば50Ωとズレが生じた場合、この信号線11とグランドプレーン12間に強電界を印可し、特性インピーダンスを整合値にするものである。この場合、1回の電界印可で整合しなくても、再度印加値を変更して整合値に補正できる。また、実際に電界を印可する値は、次の様にして、概算値を求めておくことも出来る。
すなわち、予め図1で示すような伝送回路構成で、特性インピーダンスが異なる種々の回路を作成する。そして、その特性インピーダンスを測定し、電界を印可し、整合値に補正する。これから、特性インピーダンスの値と、整合値にするための電界の値との特性を求めておく。これを利用し、本願発明のプリント配線板のインピーダンス整合を、特性インピーダンス−電界特性から、容易に印加電界値を求められ、効率良く実施できる。図では、グランドプレーンを例示したが、電源にバイアスされたプレーンでも同様にしてインピーダンス整合できる。また、差動伝送線路構造の場合、上記の特性のほかに、逆相又は同相で信号を伝送させる2本の信号線間に強電界を印加し整合を取り、その強電界と特性インピーダンスとの特性を予め用意しておくことが好ましい。この場合、電界印加は、信号間、信号−グランドプレーン間、またそれらの組み合わせで実施し、整合を取ることが出来る。
なお、特性インピーダンスを整合値に補正する場合、必ずしもその値にする必要は無く、許容範囲内の値に整合を取れば良い。
本願に係る強誘電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ビスマス(BIT)などを利用できる。誘電体としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、セラミック等を使用することができ、特にセラミックスが適している。強誘電体を誘電体に混合する方法は、液状の強誘電体と液状の誘電体を混合、攪拌し、均一に混ざるようにするなどして、適宜選択する。
次に、マイクロストリップライン構造14を備えた本発明の実施の形態例の一般的な作製工程を説明する。工程は、パターン形成、積層、ビア形成、誘電体層の最適化に大きく分けられる。前者の3工程については、基本的に従来と同様である。工程をくり返して所望の導通をもつ基板を作製した後、誘電体層の最適化工程において電界を印加する。その
強度は、実際の使用時に分極が反転しないよう適度に大きくする。
図2に基づいて本発明のプリント配線板の製造方法の例を説明する。本製造方法は、強誘電体を含むフィルムを積層する製造例である。
両面に導体層として銅箔21(上層)、22(下層)を付したコア層23に対し(図2(a))、ドリルおよびめっきによりビアホール24を形成する。続いて、フォトエッチングにより銅箔21、22に配線パターン25(第2層)、26(第3層)を形成する(図2(b))。
次に、接着材27を介在させて、強誘電体を含む誘電体層28の片面に導体層として銅箔29が設けられたフィルム30(図2(c))を、コア層23に積層し、多層化基板31とする(図2(d))。反対面に対しても同様に行うが(図示せず)、誘電体層28の厚さは例えば13μm、導体層29の厚さは例えば12μmである。
次に、多層化基板31に対し、紫外線レーザーを照射して孔を形成する。ドロス除去、デスミア処理を行った後、電解銅めっきによりビアホール32を形成する。
次に、導体層29の表面にポジ型液状レジストを塗布後、ポストベーク処理し、レジスト層を形成する。レジスト層に対し、フォトマスクおよび水銀ランプを用いて密着露光処理を施す。次に、有機アルカリ系現像液にてレジスト層の露光部分を除去する。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチング処理を施すことで、誘電体層28上に配線パターン33(マイクロストリップライン構造中の信号線)を形成する。最後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてレジスト層を剥離除去することで、4層配線板34を得る(図2(e))。
配線パターン33には、通常の配線パターンに加え、誘電体層の最適化のため、リードや電極パッドも作製する。必要に応じて積層工程からくり返すことで、さらに多層化できる。
積層後、熱硬化処理を行うが、その際、同時に誘電体層の最適化を行う。その方法としては、特性インピーダンスを測定し、その結果、前述の様にして、既に形成されている伝送線路構造に対し、電界を印加し、整合を取り、その結合状態を記憶させる(図2(f))。使用時における信号の電圧振幅は例えば350mVであるが、誘電体層の最適化においては10V程度を印加する。これは厚さ13μmの誘電体層26に対し、配線面に垂直な部分において0.8×105V/mの電界強度であり、誘電体層中に含まれる強誘電体を分極、安定させるに十分大きく、誘電体層を導通破壊するには十分小さい。
図3に基づいて他の製造方法の例を説明する。本例は、差動伝送回路で、強誘電体を含む接着剤を用いる製造例である。
両面に導体層として銅箔21(上層)、22(下層)を付したコア層23に対し(図3(a))、ドリルおよびめっきによりビアホール24を形成する。続いて、フォトエッチングにより銅箔21、22に配線パターン25(第2層)、26(第3層)を形成する(図3(b))。
次に、接着材27を介在させて、強誘電体を含む誘電体層28の片面に導体層として銅箔29が設けられたフィルム30(図3(c))を、コア層23に積層し、多層化基板31とする(図3(d))。反対面に対しても同様に行うが(図示せず)、誘電体層28の厚さは例えば13μm、導体層29の厚さは例えば12μmである。
次に、多層化基板31に対し、紫外線レーザーを照射して孔を形成する。ドロス除去、デスミア処理を行った後、電解銅めっきによりビアホール32を形成する。
次に、導体層29の表面にポジ型液状レジストを塗布後、ポストベーク処理し、レジスト層を形成する。レジスト層に対し、フォトマスクおよび水銀ランプを用いて密着露光処理を施す。次に、有機アルカリ系現像液にてレジスト層の露光部分を除去する。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチング処理を施すことで、誘電体層28上に配線パターン35、36(差動マイクロストリップ構造中の信号線)を形成する。最後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてレジスト層を剥離除去することで、4層配線板34を得る(図3(e))。
配線パターン35、36には、通常の配線パターンに加え、誘電体層の最適化のため、リードや電極パッドも作製する。必要に応じて積層工程からくり返すことで、さらに多層化できる。
積層後、熱硬化処理を行うが、その際、同時に接着剤も含めた広義の誘電体層の最適化を行う。その方法としては、特性インピーダンスを測定し、その結果、前述の様にして、既に形成されている伝送線路構造に対し、電界を印加し、整合を取り、その結合状態を記憶させる(図3(f))。この場合は、差動信号間に電界を印可する。使用時における信号の差動振幅は例えば700mVであるが、誘電体層の最適化においては10V程度を印加する。これは差動信号線間スペース20μmに対し3×105V/m程度の電界強度であり、誘電体層中に含まれる強誘電体を分極、安定させるに十分大きい。
本発明の伝送線路構造の一例を断面で示す説明図である。 本発明の製造方法の一例を断面で示す説明図である。 本発明の製造方法の他の例を断面で示す説明図である。
符号の説明
11…信号線
12…グランドプレーン
13…誘電体層
14…マイクロストリップライン構造
21…上層の銅箔
22…下層の銅箔
23…コア層
24…ビアホール
25…第2層の配線パターン
26…第3層の配線パターン
27…接着材
28…誘電体層
29…銅箔
30…片面銅箔付き誘電体フィルム
31…多層化基板
32…ビアホール
33…配線パターン
34…4層配線板
35、36…配線パターン

Claims (5)

  1. 信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に、強誘電体を含んだ誘電体を有する伝送線路を備えたことを特徴とするプリント基板。
  2. 請求項1記載のプリント基板を用いて、信号線と、グランドもしくは電源ラインとの間に強電界を印可し、伝送線路のインピーダンス整合を行うことを特徴とするプリント配線板のインピーダンス整合方法。
  3. 伝送線路が、信号線が2本に分離された差動伝送線路であることを特徴とする請求項1のプリント配線板。
  4. 請求項3記載のプリント基板を用いて、信号線とグランドもしくは電源ラインとの間に、又は/および2本の信号線の間に強電界を印可し、伝送線路のインピーダンス整合を行うことを特徴とするプリント配線板のインピーダンス整合方法。
  5. 請求項2または4に記載のインピーダンス整合方法でインピーダンス整合したことを特徴とするプリント基板。
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