JP2006057049A - 蛍光体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイパネル - Google Patents

蛍光体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】イオンスパッタによる劣化を防ぐスパッタ耐性に優れた蛍光体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る蛍光体は、酸処理後に大気焼成を行い、前記大気焼成後に還元焼成を行うことで、平均粒径が0.1μmから5μmであって、X線光電子分光法で求めたSiを1としたときのZnの表面組成比の維持率がスパッタ前後で60%以上にさせる。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイパネルに関し、特にSiとZnを含む蛍光体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、プラズマディスプレイパネルは、画面の大型化及び薄型化が可能なことから陰極線管(CRT)に代わり得るフラットパネルディスプレイとして注目されている。
プラズマディスプレイパネルは、電極を備えた2枚のガラス基板と、基板間に設けられた隔壁によって形成される多数の微小放電空間(以下、セルという。)とを有している。このセルの内壁には、蛍光体層が設けられ、Xe等を主成分とする放電ガスが封入されている。電極間に電圧を印加して基板上に規則正しく配置されたセルを選択的に放電させると、放電ガスに起因する紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて可視光を発光する仕組みとなっている。
このため、プラズマディスプレイパネルに使用される蛍光体は、真空紫外線励起蛍光体と呼ばれており、また、一般に固相法により製造され、その平均粒径は2〜10μmとなっている。なお、固相法とは、蛍光体母体を構成する元素を含む化合物とEu、Mn等の付活剤元素を含む化合物を所定量混合する前駆体形成工程を行った後、所定の温度で焼成する焼成工程(1次焼成工程)を行い、固相間反応を促すことにより蛍光体を得る方法である。
現在、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイパネルでは、輝度向上や滑らかな動画表示等の諸特性の向上が求められている。特許文献1及び2では、輝度向上に向けて蛍光体の発光量である発光強度を向上させるための蛍光体の製造方法が開示されている。特許文献1に記載の製造方法では、1次焼成工程後に粉砕工程を経ていわゆる熱処理を行うアニール工程を行っており、特許文献2に記載の製造方法では、1次焼成工程後に酸・アルカリ等の化学処理を行い、その後に大気焼成を行っている。
しかし、さらに輝度を向上させるためには、高い発光強度を有するだけでなく劣化しない蛍光体、すなわち、高い発光強度を維持する発光強度維持率に優れた蛍光体が必要である。一般に、蛍光体の粒径が小さくなるにつれ、発光強度維持率が、極端に低下してしまう事が知られており、このような経時的な蛍光体の劣化は、イオン衝突(以下、イオンスパッタという。)による劣化と、真空紫外光(以下、VUVという。)による劣化の2種類の要因が考えられている。
特に、緑色蛍光体として広く汎用されているZn2SiO4:Mn2+では、VUVによる劣化はほとんど観察されないが、イオンスパッタによる劣化幅が大きいことが報告されており(非特許文献1)、諸特性を向上させる上でイオンスパッタによる劣化はもはや無視できない問題となっている。
特開2003−34788号公報 特開2003−292950号公報 信学技法(Technical Report of IEICEEID 99−95,2000−01)
しかし、ここで、特許文献1に記載の製造方法のように、粉砕された蛍光体をアニールすると、蛍光体の凝集の程度を少なくさせて粉砕させる際の欠陥準位の発生を抑制し、蛍光体の量子効率を向上させて蛍光体の発光強度を向上させているが、イオンスパッタによる劣化を防ぐことができない。あるいは、特許文献2に記載の製造方法のように、1次焼成工程後に化学処理を行い、その後大気焼成すると、1次焼成工程で得た蛍光体の表面の不純物層あるいは未反応層が除去され、蛍光体の発光強度を向上させているが、イオンスパッタによる劣化を防ぐことができない。
このように、蛍光体の種々の特性をさらに向上させるためには、イオンスパッタによる劣化を防ぐ蛍光体を得ることが不可欠である。
本発明の課題は、イオンスパッタによる劣化を防ぐスパッタ耐性に優れた蛍光体及びその製造方法並びにプラズマディスプレイを提供することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
平均粒径が0.1μmから5μmの蛍光体であり、X線光電子分光法で求めたSiを1としたときのZnの表面組成比の維持率がスパッタ前後で60%以上であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、平均粒径が0.1μmから5μmの蛍光体であり、X線光電子分光法で求めたSiを1としたときのZnの表面組成比の維持率がスパッタ前後で60%以上であるので、平均粒径が0.1μmから5μmであるような粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で蛍光体表面においてSiに対するZnの組成をあまり変化させていない。
請求項2記載の発明は、
平均粒径が0.1μmから5μmの蛍光体であり、発光強度の維持率がスパッタ前後で75%以上であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、平均粒径が0.1μmから5μmの蛍光体であり、発光強度の維持率がスパッタ前後で75%以上であるので、平均粒径が0.1μmから5μmであるような粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で発光強度をあまり低減させていない。
請求項3記載の発明は、
請求項1又は2に記載の蛍光体は、Zn2Si04:Mn2+の結晶構造からなることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、蛍光体はZn2Si04:Mn2+の結晶構造からなるので、特に、Zn2Si04:Mn2+の構造をもつ蛍光体において、請求項1又は2と同一の作用を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3いずれか一項に記載の蛍光体は、反応晶析法により製造されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3いずれか一項に記載の蛍光体は反応晶析法により製造されるので、特に、固相法に比べ、発光強度が低減しやすい反応晶析法により製造させた場合であっても、スパッタ前後で蛍光体表面におけるZnの組成や発光強度をあまり低減させることがない。
請求項5記載の発明のプラズマディスプレイパネルは、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のZn2Si04:Mn2+を用いて製造されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、プラズマディスプレイパネルは請求項1〜3のいずれか一項に記載のZn2Si04:Mn2+を用いて製造されており、粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で蛍光体表面におけるZnの組成や発光強度をあまり低減させることがない。
請求項6に記載の発明は、
蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、前記前駆体形成工程で得られた前記前駆体を焼成して蛍光体を形成する1次焼成工程と、1次焼成工程で得られた前記蛍光体を酸洗浄する酸洗浄工程と、酸洗浄工程で得られた蛍光体に対し大気焼成する大気焼成工程と、大気焼成で得られた蛍光体に対し還元焼成する還元焼成工程とを含む蛍光体の製造方法であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で蛍光体表面におけるZnの組成や発光強度をあまり低減させることがないので、粒径の小さい蛍光体を用いて製造されたプラズマディスプレイパネルにおいてもイオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
請求項1に記載の発明によれば、粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で蛍光体表面においてSiに対するZnの組成をあまり変化させてない。
これは、蛍光体表面の構造がスパッタによる影響をあまり受けないことを意味しており、このような特徴をもつ蛍光体では、均一な構造を有しているため、イオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
請求項2に記載の発明によれば、粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で発光強度をあまり低減させていない。すなわち、発光強度を維持してイオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
請求項3記載の発明によれば、固相法に比べ、発光強度が低減しやすい反応晶析法により製造された蛍光体であっても、スパッタ前後で蛍光体表面におけるZnの組成や発光強度をあまり低減させることがなく、発光強度を維持してイオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
請求項4に記載の発明によれば、粒径の小さい蛍光体においてもスパッタ前後で蛍光体表面におけるZnの組成や発光強度をあまり低減させることがないので、粒径の小さい蛍光体を用いて製造されたプラズマディスプレイパネルにおいてもイオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
まず、本発明に係る蛍光体について説明する。
本発明の蛍光体は、ZnとSiの結晶構造からなる蛍光体であり、好ましくはZn2Si04:Mn2+の結晶構造からなるものである。
また、本発明の蛍光体は、平均粒径が0.1μmから5μmであり、X線光電子分光法で求めたSiを1としたときのZnの表面組成比の維持率がスパッタ前後で60%以上である。
これは、本発明者らが、イオンスパッタ前後の蛍光体をX線光電子分光法により表面組成分析を行うことにより、イオンスパッタ前後で蛍光体表面のZn量が減少すること、また、この間のZn量の変化幅が少ない蛍光体を用いてパネルにした際に発光強度維持率が高くなることを見出したことによるものである。なお、本発明における蛍光体の表面とは、蛍光体粒子最表面から2〜5nm程度の深さの領域である。
具体的には、VGScientific社製ESCALab200Rを使用し、X線光電子分光法により表面組成分析を行った。このとき、蛍光体表面のSi原子の割合を1としたときのZnの維持率を調べた。ここで、Znの維持率とは、次式(1)で表されるものである。
Znの維持率=[(イオンスパッタ後のZnの組成比)/(イオンスパッタ前のZnの組成比)]×100 ・・・(1)
その結果、イオンスパッタの前後でZnの維持率が60%以上である場合に蛍光体の発光強度維持率が著しく改善されることが明らかとなり、この蛍光体を用いてプラズマディスプレイパネルを作成すると、プラズマディスプレイパネルの発光強度維持率が著しく改善することが明らかとなった。
また、本発明の蛍光体は、平均粒径が0.1μmから5μmであり、発光強度の維持率がスパッタ前後で75%以上である。
これは、本発明者らが、イオンスパッタ前後の蛍光体の146nmの励起波長における発光強度を測定することにより、イオンスパッタ前後で発光強度の減少幅が小さい蛍光体を用いてプラズマディスプレイパネルを作成すると、プラズマディスプレイパネルの発光強度維持率が高くなることを見出したことによるものである。
具体的には、サンユー電子社製イオンスパッタ装置SC−701を使用し、Arガス雰囲気下、放電電圧1.0kV、放電電流5mA、放電気圧13Paの条件で5分間イオンスパッタを行った。その結果、イオンスパッタ前後で発光強度維持率が75%以上である蛍光体を用いてプラズマディスプレイパネルを作成すると、プラズマディスプレイパネルの発光強度維持率が著しく改善することが明らかとなった。ここで、発光強度維持率とは、次式(2)で表されるものである。
発光強度維持率=[(イオンスパッタ後の発光強度)/(イオンスパッタ前の発光強度)]×100 ・・・(2)
その結果、イオンスパッタ前後で発光強度維持率が75%以上である蛍光体を用いてプラズマディスプレイパネルを作成すると、プラズマディスプレイパネルの発光強度維持率が著しく改善することが明らかとなった。
このように、イオンスパッタ前後で蛍光体表面のZn維持率及び発光強度維持率が特定の値を超える蛍光体を用いて作製したプラズマディスプレイパネルでは、発行強度維持率が明らかに高くなることを見出し、本発明では、輝度劣化の少ないプラズマディスプレイパネルを作製することを可能にさせた。
また、プラズマディスプレイパネルでの発光強度維持率は、蛍光体のサイズが小さくなるにつれて極端に低下することが従来から知られている。特に5μm以下の蛍光体でその傾向が現れ、さらに2μm以下の蛍光体ではその傾向が顕著である。これは、体積に対する比表面積が増加することによると考えられる。
本発明者らは、さらに、反応晶析法で作製された蛍光体では、固相法で作製されたものより、プラズマディスプレイパネルでの発光強度維持率が低下することを見出した。これは、反応晶析法では、蛍光体の構造が焼成前の蛍光体前駆体の段階で原子レベルで均一になっているため、焼成後も最表面まで均一な構造が維持され、表面のZnの比率が高いことによると予想される。
しかしながら、本発明者らはこのような小粒径の蛍光体や、反応晶析法で作製された蛍光体であっても、イオンスパッタ前後でZnの組成比率(atm%)の維持率が60%以上である場合、また、発光強度維持率が75%以上である場合にはプラズマディスプレイパネルの発光強度維持率が十分高くなることを見出した。
また、本発明者らは、従来から知られているように、蛍光体を製造する過程において、蛍光体の前駆体を焼成後に分散し、酸洗浄を行うことで、発光強度が酸洗浄前の110%〜120%程度上昇することを確認した。さらに、本発明者らは、酸洗浄後に大気雰囲気下で焼成を行い、続けて還元雰囲気下で焼成を行うことで、スパッタ耐性が高く、発光強度も高い蛍光体を得ることを見出した。
これは、以下の理論を裏付ける結果であると想定される。
酸洗浄処理によって蛍光体の最表面が酸による溶解でアモルファス状態となる。このため、真空中でのスパッタによるエネルギーでZnの結合が切れ、表面から酸素が蒸発してしまい、酸洗浄処理を行った蛍光体ではスパッタ耐性が酸洗浄処理を行う前よりも劣化する。
しかしながら、酸洗浄後に、大気雰囲気下で焼成を行うことでアモルファス状態となっていた最表面を結晶化し、酸素の結合を増加させることでスパッタ耐性が著しく改善することが明らかとなった。
また、酸洗浄後に、大気焼成、続けて還元焼成を行うことによって、酸洗浄前の蛍光体よりもスパッタ耐性が改善した。また、酸洗浄を行わない蛍光体について、大気焼成を行った場合には、スパッタ耐性の改善は僅かであった。最表面の酸素結合を増加させるためには、酸洗浄により、一度表面がアモルファス状態になることが必要であるためと思われる。
また、酸洗浄後の蛍光体に、大気焼成のみを行った場合には、発光強度が低く、やはりスパッタ耐性の改善幅は小さい。これは、大気焼成により発光中心であるMn2+が酸化され、発光に寄与しなくなることに加え、Zn2+サイトに入っているMn2+がMn3+になることにより結晶構造が不安定になることが原因と考えられる。
しかしながら、還元焼成を行うことで、Mn3+がMn2+となり、スパッタ耐性と発光強度が同時に改善される。
以下に、このようなスパッタ耐性に優れる蛍光体の製造方法について説明する。本発明に係る蛍光体は、蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程により得られた前駆体を焼成して蛍光体を形成する1次焼成工程と、1次焼成工程により得られた蛍光体に酸洗浄を行う酸洗浄工程と、酸洗浄工程で得られた蛍光体を大気下で焼成する大気焼成工程と大気焼成工程に引き続き、還元雰囲気下で焼成する還元焼成工程とを含む製造方法により得られる。
まず、前駆体形成工程について説明する。
前駆体形成工程では、液相法(「液相合成法」ともいう。)により前駆体を形成することが好ましい。
液相法とは、液体の存在下又は液中で蛍光体前駆体を作製することにより蛍光体を得る方法である。液相法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、反応は蛍光体を構成する元素イオン間で行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。また、固相間反応と粉砕工程とを繰り返し行いながら蛍光体を製造する固相法と比して、粉砕工程を行わずとも微少な粒径の粒子を得ることができ、粉砕時にかかる応力による結晶中の格子欠陥を防ぎ、発光効率の低下を防止することができる。
本発明において、液相法として従来公知の冷却晶析をはじめとするあらゆる晶析法や共沈法を用いることが可能であるが、特に反応晶析法を用いることが好ましい。
反応晶析法とは、晶析現象を利用して、液相中又は気相中で蛍光体の原料となる元素を含む原料溶液又は原料ガスを混合することにより蛍光体前駆体を作製する方法である。晶析現象とは、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的または化学的な環境の変化、或は化学反応によって混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出する現象を指す。本発明における反応晶析法による蛍光体前駆体の製造方法は、上記の様な晶析現象発生の誘因となりえる物理的、化学的操作による製造方法を意味する。
反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異なっていてもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
反応晶析法を用いて前駆体を作製する際のいずれの工程においても、反応原料の添加速度、攪拌速度、反応中の温度、pH等の諸物性値を制御するのが好ましく、反応中に超音波を照射してもよい。また、粒径制御のために界面活性剤やポリマー等を添加してもよい。さらに、原料を添加し終えたら、必要に応じて溶液を濃縮又は熟成のうちのどちらか一方、あるいは両方行うことも好ましい態様の一つである。
このようにして得られた蛍光体前駆体は、本発明の蛍光体の中間生成物であり、この蛍光体前駆体を後述するような所定の温度に従って焼成することにより蛍光体を得ることが好ましい。
液相法で前駆体を合成した後、必要に応じてろ過、蒸発乾固、遠心分離等の方法で回収した後に好ましくは洗浄、脱塩処理工程を行う。
脱塩処理工程は蛍光体前駆体から副塩などの不純物を取り除くための工程であり、各種膜分離法、凝集沈降法、電気透析法、イオン交換樹脂を用いた方法、ヌーデル水洗法などを適用することができる。
本発明においては、蛍光体前駆体の生産性向上、且つ、副塩や不純物を十分に除去し、粒子の粗大化や粒子径分布の拡大を防止する観点から、前駆体脱塩後の電気伝導度が0.01mS/cm〜20mS/cmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10mS/cmであり、特に好ましくは0.01mS/cm〜5mS/cmである。
上述したような電気伝導度になるように調整することにより、最終的に得られる蛍光体の発光輝度の向上にも効果がある。なお、電気伝導度の測定方法はどのような方法を用いることも可能であるが、市販の電気伝導度測定器を使用すればよい。
脱塩処理工程終了後、さらに乾燥工程を行ってもよい。
次に、1次焼成工程について説明する。
1次焼成工程では、上記1次焼成工程により得た蛍光体前駆体を焼成処理することにより蛍光体を形成させる。
蛍光体前駆体を焼成する際には、いかなる方法を用いてもよく、焼成温度や時間は最も性能が高くなるように調整すればよい。例えば、大気中で600℃〜1800℃の間で適当な時間焼成することにより、目的の組成の蛍光体を得ることができる。また、800℃程度で焼成を行い有機物を酸化した後に、1100℃で90分大気中で焼成するという方法も有効である。
焼成装置(焼成容器)は現在知られているあらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。雰囲気も前駆体組成に合わせて酸化性、還元性、不活性ガス等を用いることができ、適宜選択することができる。さらに、必要に応じて焼成の後に還元処理または酸化処理等を施しても良い。
また、焼成時に必要に応じて焼結防止剤を添加してもよい。焼結防止剤を添加する場合は、蛍光体前駆体形成時にスラリーとして添加することができる。また、粉状のものを乾燥済前駆体と混合して焼成してもよい。
焼結防止剤は特に限定されるものではなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。例えば、蛍光体の焼成温度域によって800℃以下での焼成にはTiO2等の金属酸化物が、1000℃以下での焼成にはSiO2が、1700℃以下での焼成にはAl23が、それぞれ好ましく使用される。
なお、蛍光体の組成や反応条件等によっては、例えば乾燥工程等において結晶化が進み、焼成を行う必要が無い場合がある。その場合は焼成処理を省いても構わない。
焼成処理後、冷却処理、分散処理等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
冷却処理工程では、焼成処理で得られた焼成物を冷却する処理を行う。冷却処理は特に限定されないが、公知の冷却方法より適宜選択することができ、例えば、該焼成物を前記焼成装置に充填したまま冷却することができる。また、放置により温度低下させてもよいし、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させてもよい。
分散処理工程では、焼成処理工程で得られた焼成物を分散する処理を行う。分散処理方法としては、例えば、高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミル等の媒体メディアを装置内で運動させてその衝突及び剪断力の両方により微粒化するもの、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型の分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
次に、酸洗浄工程について説明する。
酸洗浄工程では、1次焼成工程を経て得られた蛍光体に対して、酸洗浄処理を行う。酸洗浄処理では、蛍光体表面の不純物や分散処理によるクラック等の欠陥が入った表面がエッチングされる。酸洗浄処理の詳しい条件を以下に述べる。
酸洗浄処理を行う際に、酸性の水溶液を用いる。pH値については特に規定されるものではないが、pH1以上3未満が特に好ましい。酸性の水溶液がpH1未満の場合には、蛍光体本体にダメージが生じてしまい、発光強度が減少してしまう。
また、酸性の水溶液種類は、酸性であるなら、特に限定されるものではないが、例えば塩酸、硝酸、クエン酸、酢酸等が好ましい。
なお、酸洗浄処理後には、水洗処理等を行い、酸性液を除去することが好ましい。
次に、大気焼成工程について説明する。
大気焼成工程では、酸洗浄工程で得られた蛍光体に対して大気下で焼成を行う。大気焼成の詳しい条件を以下に述べる。
大気焼成工程での焼成雰囲気は、大気を用いるが、N2−O2等の混合ガスを用いてもよい。N2-O2の混合ガスを用いた場合、O2を2%以上40%以下にするのが好ましく、5%以上20%以下をするのが特に好ましい。焼成温度は、500℃〜1200℃の中で適宜選択することができるが、500℃以上1000℃以下が好ましく、さらに好ましくは500℃以上800℃以下である。これは、1200℃を超えると、蛍光体粒子の融着が見られ、500℃を下回ると、還元焼成後にもスパッタ耐性の改善が見られないからである。
次に、還元焼成工程について説明する。
還元焼成工程は、大気焼成工程に続けて行われ、蛍光体を還元雰囲気下で焼成する。還元焼成の条件は、還元雰囲気と焼成時間、焼成温度をコントロールして、最も発光強度が高く、スパッタ耐性が高くなるような条件であり、このような条件は当業者が周知技術を試行錯誤することにより見出すことが可能である。例えば、焼成温度を500℃以上700℃以下、N2-H2混合ガスを用い、H2を0.3%〜2%、焼成時間を時間以上3時間以下とすると好ましい結果が得られる条件であるが、特にこの条件に限定されるものではない。
この他、さらにスパッタ耐性を高めるために好ましい方法を以下に述べる。
前駆体を焼成する際に、焼成温度を高くする、又は、焼成時間を長くすることは好ましい。
また、焼成の雰囲気中に酸素を導入することも好ましい。酸素導入は、酸素欠陥を防止することになり、スパッタによる劣化が改善される。
また、付活剤であるMn2+量を減少させることも有効であるが、付活剤量の減少により残光値が長くなるという影響が出てくるため、所望の性能に応じて検討することが必要である。
また、Ca,Mg,Ba等の2価の金属イオンを共付活剤として用いることも有効である。共付活剤を添加することによりスパッタによる劣化が改善するばかりでなく、残光値が短くなる効果が得られる。このように、残光値を短く保ったまま、Mn2+量を減少させるとスパッタによる劣化の改善にさらに効果的である。
次に、図1を参照して、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの実施形態について説明する。なお、プラズマディスプレイパネルには、電極の構造及び動作モードから大別すると、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型のものとがあるが、図1には、AC型プラズマディスプレイパネルの構成概略の一例を示した。
図1に示すプラズマディスプレイパネル1は、表示側に配置される基板である前面板10と前面板10に対向する背面板20とを備えている。
まず、前面板10について説明する。前面板10は、可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うもので、プラズマディスプレイパネル1の表示画面として機能するものであり、前面板10には、表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
前面板10として、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料を好ましく使用できる。前面板10の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mmである。
表示電極11は、前面板10の背面板20と対向する面に複数設けられ、規則正しく配置されている。表示電極11は、透明電極11aとバス電極11bとを備え、幅広の帯状に形成された透明電極11a上に、同じく帯状に形成されたバス電極11bが積層された構造となっている。なお、バス電極11bの幅は、透明電極11aよりも狭く形成されている。なお、表示電極11は所定の放電ギャップをあけて対向配置された2つの表示電極11で一組となっている。
透明電極11aとしては、ネサ膜等の透明電極を使用することができ、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。透明電極11aの幅としては、10〜200μmの範囲が好ましい。
バス電極11bは、抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成することができる。バス電極11bの幅としては、5〜50μmの範囲が好ましい。
誘電体層12は、前面板10の表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層12の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われる。保護層13は、MgO膜を使用することができる。保護層13の厚さとしては、0.5〜50μmの範囲が好ましい。
次に、背面板20について説明する。
背面板20には、アドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体層35R、35G、35B等が設けられている。
背面板20は、前面板10と同様に、ソーダライムガラス等が使用できる。背面板20の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mm程度である。
アドレス電極21は、背面板20の、前面板20と対向する面に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、平面視において、表示電極11と直交するように、所定間隔毎に複数設けられている。
アドレス電極21は、Ag厚膜電極等の金属電極を使用することができる。アドレス電極21の幅は、100〜200μmの範囲が好ましい。
誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。この誘電体層22は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層22の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層22上のアドレス電極21の両側方には、長尺に形成された隔壁30が背面板20側から前面板10側に立設されており、平面視において隔壁30は表示電極11と直交している。また、隔壁30は、背面板20と前面板10との間をストライプ状に区画した複数の微少放電空間(以下、放電セルという)31を形成しており、各放電セル31の内側には、希ガスを主体とする放電ガスが封入されている。
なお、隔壁30は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。隔壁30の幅は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)としては、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。
放電セル31には、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体層35R、35G、35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。一つの放電セル31内には、平面視において表示電極11とアドレス電極21が交差する点が多数存在するようになっており、これら一つ一つの交点を最小の発光単位として、左右方向に連続するR、G、Bの3つの発光単位により1画素を構成している。各蛍光体層35R、35G、35Bの厚さは特に限定されるものではないが、5〜50μmの範囲が好ましい。
なお、蛍光体層35Gの形成に当たっては、前述の方法により製造した本発明の蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填し、その後乾燥又は焼成することにより隔壁側面30a及び底面30aに本発明の蛍光体が付着した蛍光体層35Gを形成させるものとする。なお、蛍光体ペーストの調整は従来公知の方法により行うことができる。また、蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
蛍光体ペーストを放電セル31R、31G、31Bに塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法で行うことができる。
一方、蛍光体層35R及び35Bの形成に当たっては、従来公知の方法で製造された赤色及び青色の蛍光体及び蛍光体ペーストを作製し、蛍光体層35Gを形成する際と同様にして、隔壁側面30a及び底面30aに赤色及び青色の蛍光体が付着した蛍光体層35R及び35Bを形成させるものとする。
このようにプラズマディスプレイパネルを構成させることにより、表示の際には、アドレス電極21と一組の表示電極11、11のうちいずれか一方の表示電極との間で選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セルを選択させる。その後、選択された放電セル内において一組の表示電極11、11間でサステイン放電を行わせることにより放電ガスに起因する紫外線を生じさせ、蛍光体層35R、35G、35Bから可視光を生じさせることを可能にする。
以上のことから、本発明では、蛍光体を酸洗浄工程を行い、蛍光体表面の不純物や製造過程で生じた欠陥部分をエッチングして取り除く。その後、大気焼成を行い、酸洗浄工程で生じた蛍光体表面のアモルファス状態を再び結晶化させて、蛍光体表面に酸素結合を酸洗浄工程を行わない場合よりも増加させる。その後、還元焼成を行い、蛍光体表面の発光中心になるMnを発光に寄与する2価にさせることができ、従来の単なる熱処理工程で得られる蛍光体及び酸洗浄後に大気焼成のみを行う蛍光体に比べて、スパッタ前後で発光強度と発光強度維持率を一層高いものにさせ、イオンスパッタによる劣化を防ぐことができる。
また、本発明に係る蛍光体の製造方法により製造された蛍光体をプラズマディスプレイに用いることにより、蛍光体表面の酸素結合を増加させるとともに、蛍光体表面のMnを2価のすることができるので、前述したようなさらに種々の特性を向上させることができるプラズマディスプレイパネル1とすることができる。
以下、本発明に係る実施例1および実施例2を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例1では、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mn2+の結晶構造をもつ蛍光体1〜3を作製し、得られた蛍光体粒子にスパッタ処理を施し、スパッタ処理前後の相対発光強度を評価した。まず、蛍光体1〜3の合成について説明する。
1.蛍光体の作製
(1)蛍光体1の作製
酸化亜鉛7.32g、酸化マンガン0.7g、酸化ケイ素6gを乳鉢にて十分に混合した後、窒素100%の雰囲気中で1280℃で3時間焼成を行い、蛍光体1を得た。得られた蛍光体をボールミルを用いて分散を行った。分散後、蛍光体1の酸洗浄を行った。酸洗浄は、塩酸0.1N100ccあたりに蛍光体5gを加え、充分に攪拌したのちろ過、純水による洗浄を行った。
酸洗浄の後、蛍光体を2つに分け、一方を蛍光体1−1とした。もう一方を、大気雰囲気中500℃3hr焼成を行ったのち、N299%−H21%雰囲気中600℃で1hr焼成を行った。この蛍光体を蛍光体1−2とした。
なお、分散後、蛍光体1の粒度分布を粒度分布測定器(セイシン企業株式会社製 LMS−300)を用いて測定し、平均粒径を求めた。蛍光体1の平均粒径は2.5μmであった。
(2)蛍光体2の作製
純水1000ccをA液とする。関東化学社製 硝酸亜鉛6水和物36.26gと、硝酸マンガン6水和物0.90gを純水に溶解し、500ccとしこれをB液とする。関東化学社製 28%アンモニア水18.25gを純水、扶桑化学社製コロイダルシリカPL−3 35nm 20%水溶液18.78gと混合し500ccとし、これをC液とする。
室温において、A液を激しく攪拌した中に、B液とC液を30分間かけて等速で添加し、白色の沈殿を得た。その後、加圧ろ過法により固液分離を行った。
ついで、回収された沈殿物を100℃で24hr乾燥させた後、乾燥済み前駆体を得た。得られた前駆体を窒素100%の雰囲気中で1260℃、3時間焼成して蛍光体2を得た。
上記(1)蛍光体1の作製で得られた蛍光体1と同様に、蛍光体2の分散を行った。
分散後、蛍光体2の酸洗浄を行った。酸洗浄は、塩酸0.1N100ccあたりに蛍光体5gを加え、充分に攪拌したのちろ過、純水による洗浄を行った。
酸洗浄の後蛍光体を2つに分け、一方を蛍光体2−1とした。もう一方を、大気雰囲気中500℃3hr焼成を行ったのち、N299%−H21%雰囲気中600℃で1hr焼成を行った。この蛍光体を蛍光体2−2とした。
なお、分散後、蛍光体2の粒度分布を蛍光体1と同様に測定し、平均粒径を求めた。蛍光体2の平均粒径は4μmであった。
(3)蛍光体3の作製
焼成温度を1200℃にしたほかは、蛍光体2と同様にして蛍光体3を得た。
上記(1)蛍光体1の作製、及び、(2)蛍光体2の作製で得られた蛍光体1,2と同様に、蛍光体3の分散を行った。
分散後、蛍光体3を、5等分し、以下の処理を行い、蛍光体3−1から3−5を作製した。
蛍光体3−1:未処理の蛍光体3を蛍光体3−1とした。
蛍光体3−2:蛍光体3の酸洗浄を行った。洗浄は、塩酸0.1N100ccあたりに蛍 光体5gを加え、充分に攪拌したのちろ過、純水による洗浄を行った。
蛍光体3−3:蛍光体3−2と同様に酸洗浄を行った。その後、大気雰囲気中500℃3 hr焼成を行った。
蛍光体3−4:蛍光体3−3と同様に、酸洗浄、大気中での焼成を行った。その後、60 0℃ N299.5%−H20.5%雰囲気中で1hr焼成を行った。
蛍光体3−5:蛍光体3を大気雰囲気中500℃3hr焼成を行った。その後600℃N 299.5%−H20.5%雰囲気中で1hr焼成を行った。
なお、分散後、蛍光体3の粒度分布を蛍光体1,2と同様に測定し、平均粒径を求めた。蛍光体3の平均粒径は1.2μmであった。
2.発光強度の測定
上記で得られた蛍光体1〜3について発光強度の測定を行った。
発光強度の測定は、0.1〜1.5Paの真空槽内でエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製)を用いて紫外線を照射して、蛍光体から緑色光を発光させた。次に、得られた緑色光を検出器(MCPD−3000(大塚電子株式会社製))を用いてその強度を測定した。そして、発光のピーク強度を、蛍光体1−1、1−2は、蛍光体1−1を100とした相対値で求めた。同様に、蛍光体2−1、2−2では、蛍光体2−1を、蛍光体3−1〜3−5では、蛍光体3−2を100とした相対値で求めた。
また、サンユー電子社製イオンスパッタ装置SC−701を使用し、Arガス雰囲気中で放電電圧1.2kV 放電電流5mA 真空度13Paの条件下で、5minスパッタを行った。
スパッタ前の蛍光体とスパッタ後の蛍光体について、VGScientific社製ESCALab200Rを使用しX線光電子分光法で表面組成の分析を行った。なお、ESCALab200Rが測定する範囲は、蛍光体粒子最表面から2〜5nm程度の深さの領域である。測定した表面組成の元素比(atm%)から、Siの値を1としたときのZnの組成比を計算する。さらに前記の式(1)から、Znの維持率を求め、測定した結果を以下の表1に示した。
また、スパッタを行った後の蛍光体の発光強度測定を行い、前記の式(2)で発光強度維持率を求め、測定した結果を以下の表1に示した。
Figure 2006057049
以上のように、酸処理後の蛍光体に大気焼成を行った水準については、発光強度の維持率、Znの維持率ともに改善の傾向がみられるが、不十分である。さらに還元焼成を行った水準については発光強度は大気焼成前の水準まで回復しており、発光強度維持率、Znの維持率ともに改善していることがわかる。
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1において得られた蛍光体3−2、3−4を用いてプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの発光強度を評価した。まず、プラズマディスプレイパネルの製造に用いる蛍光体ペーストの調整について説明する。
1.蛍光体ペーストの調整
(1)蛍光体ペースト1の調整
本発明に係る蛍光体ペーストとして、上記実施例1において作製した蛍光体3−4を用い、下記の組成で混合し、蛍光体ペースト1の調整を行った。
蛍光体3−4 45重量%
ターピネオール,ペンタンジオールの1:1混合液 54.5重量%
エチルセルロース(エトキシ基の含有率50%) 0.3重量%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.2重量%
(2)比較例の蛍光体ペーストの調整
蛍光体ペースト1の蛍光体3−4を蛍光体3−2に変更する以外は同様にして、蛍光体ペースト2の調整し、比較例の蛍光体ペーストとした。
2.プラズマディスプレイパネルの製造
(1)プラズマディスプレイパネル1の製造
図1に示した、ストライプ型のセル構造を持つ、交流面放電型のプラズマディスプレイパネル1を以下のように製造した。
まず、前面板10となるガラス基板上の所定の位置に、透明電極11aとして透明電極を配置する。次に、Cr−Cu−Crをスパッタリングし、フォトエッチングを行うことによりバス電極11bを透明電極11a上に形成し、表示電極11とする。そして、前記表面ガラス基板10上に、表示電極11を覆うように低融点ガラスを印刷し、これを500〜600℃で焼成することにより誘電体層12を形成する。さらに誘電体層12の上に、MgOを電子ビーム蒸着して保護膜13を形成する。
一方、背面板20上には、Ag厚膜を印刷し、これを焼成することにより、アドレス電極21を形成する。そして、前記背面板20上で、且つ、アドレス電極21の両側方に隔壁30を形成する。隔壁30は、低融点ガラスをピッチ0.2mmで印刷し、焼成することにより形成できる。さらに、前記隔壁30により区画された放電セル31内に上記蛍光体ペースト1と、別に調整した赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストをスクリーン塗布法により塗布した。このとき、一つの放電セル31につき、一色の蛍光体ペーストを用いる。その後、蛍光体ペーストを乾燥又は焼成して、ペースト中の有機成分を除去し、放電セル31R、31G、31Bにそれぞれ発光色が異なる蛍光体層35R、35G、35Bを形成した。
そして、前記電極11、21等が配置された前記前面板10と背面板20とを、それぞれの電極配置面が向き合うように位置合わせし、約1mmのギャップを保った状態で、その周辺をシールガラス(図示略)により封止する。そして、前記基板10、20間に、放電により紫外線を発生するキセノン(Xe)と主放電ガスのネオン(Ne)とを混合したガスを封入して気密密閉した後、エージングを行う。以上によって、プラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネル1とした。
(2)比較例のプラズマディスプレイパネルの製造
比較例のプラズマディスプレイパネルとして、上記緑色蛍光体ペースト1を蛍光体ペースト2にすることで比較例のプラズマディスプレイパネル2を作製した。
3.プラズマディスプレイパネルのパネル発光強度
次に、プラズマディスプレイパネル1とプラズマディスプレイパネル2について、それぞれプラズマディスプレイパネルの点灯直後の発光強度を測定した。結果を表2に示す。なお、発光強度の測定は、電極に同等維持電圧(170Vの交流電圧)を印加したときの白色輝度を測定するものとし、プラズマディスプレイパネル2の発光強度を100とした場合のプラズマディスプレイパネル1の相対発光強度を求めた。
また、点灯後1000時間の発光強度を測定し、発光強度維持率を求めた。
Figure 2006057049
このように、スパッタ後の発光強度維持率、Znの維持率の高い蛍光体はパネルでの劣化幅が小さいことがわかる。
本発明に係るプラズマディスプレイパネル一例を示した斜視図である。
符号の説明
1 プラズマディスプレイパネル
10 基板
20 基板
30 隔壁
31R、31G、31B 放電セル
35R、35G、35B 蛍光体層

Claims (6)

  1. 平均粒径が0.1μmから5μmであり、X線光電子分光法で求めたSiを1としたときのZnの表面組成比の維持率がスパッタ前後で60%以上であることを特徴とする蛍光体。
  2. 平均粒径が0.1μmから5μmであり、発光強度の維持率がスパッタ前後で75%以上であることを特徴とする蛍光体。
  3. Zn2Si04:Mn2+での結晶構造からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 前記蛍光体は、反応晶析法により製造されることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の蛍光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の前記蛍光体を放電セルに備えたプラズマディスプレイパネル。
  6. 蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、前記前駆体形成工程で得られた前記前駆体を焼成して蛍光体を形成する1次焼成工程と、1次焼成工程で得られた前記蛍光体を酸洗浄する酸洗浄工程と、酸洗浄工程で得られた蛍光体に対し大気焼成する大気焼成工程と、大気焼成で得られた蛍光体に対し還元焼成する還元焼成工程とを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
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