JP2006056951A - 反応型導電性樹脂組成物及びそれを用いた導電性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属塩化合物(A)、潜在性還元触媒(B)、バインダー(C)、及び潜在性硬化触媒(D)を含有する反応型導電性樹脂組成物であって、潜在性還元触媒(B)は、熱・光又は紫外線によってバインダー(C)が硬化反応する際に金属塩化合物(A)を還元して導電性金属粒子を生成する機能を有することを特徴とする反応型導電性樹脂組成物などにより提供する。
【選択図】なし
Description
本発明の反応型導電性樹脂組成物は、金属塩化合物(A)、潜在性還元触媒(B)、バインダー(C)、および潜在性硬化触媒(D)で構成され、必要により、溶剤やその他の添加剤、充填材を配合し、潜在性還元触媒(B)として、原則としてバインダーの硬化に伴って金属塩化合物が還元され導電性金属粒子を生成する機能を有するものを用いている。原則として、としたのはバインダー硬化のための、熱、光又は紫外線が照射された際に、バインダーの硬化に先行して導電性粒子が析出し始め、以後、硬化の進行に伴い析出反応が進行しても良く、逆に、バインダーの硬化が先行して始まり、引き続き硬化の進行と共に導電性粒子の析出反応が進行しても良いからである。
金属塩化合物は、本発明の反応型導電性樹脂組成物において、バインダーの硬化時に生成される導電性金属粒子の原料であり、例えば、硝酸銀、酢酸銀、硝酸銅、硫酸銅、酢酸銅、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸錫、酢酸錫などの無機酸塩または有機酸塩が使用できる。ただし、無機酸塩はイオン性不純物の残留が懸念されることから、特にこの反応型導電性樹脂組成物を電子・電気部品に使用する場合は、有機酸塩のほうが好ましい。
また、金属塩化合物は、予めバインダーを構成する樹脂中に分散・溶解させておくことにより、常温で還元触媒と反応することを防ぎ、保存安定性を長くすることができる。
本発明において、潜在性還元触媒は、バインダーと潜在性硬化触媒とを速やかに硬化反応をせしめる熱・光等により活性化されるものであり、特に熱により活性化されるものが望ましい。光およびUV反応によるものでは、生成した金属粒子が外部からの光・UVの遮蔽物となり、低濃度で含まれる薄膜での金属生成の目的を除き、安定・均一の硬化や金属粒子の生成を促すことが困難な場合がありうるからである。また、潜在性還元触媒が潜在性硬化触媒として機能するものであれば、より好ましい。
加えて、保存安定性・ポットライフ(可使時間)・分散性等を考慮すると常温で固体かつ微細粉末であることが更に望ましい。
これらの化合物は、単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
なお、潜在性還元触媒は、硬化触媒常温で固体であっても加熱時に速やかに溶解するものであれば良い。
本発明において、バインダー(C)は、熱・光・UVなどのいずれかを作用させることで硬化し、かつ還元性の触媒あるいは還元反応による硬化物形成が可能な樹脂が主成分である。
本発明において、潜在性硬化触媒は、熱・光等により活性化され、バインダーと速やかに硬化反応をせしめるものであることが望ましい。
本発明において、上記の各成分に対しバインダーの主成分となる樹脂の外にビニル樹脂又はビニルエステルから選ばれる一種以上の樹脂を配合できる。
ビニル樹脂又はビニルエステル樹脂は、金属塩化合物(A)が潜在性還元触媒(B)によって還元されて生成する過程で金属粒子の粒子成長を制御し粒子の大きさ・形を均一にする効果が期待できるとともに生成した粒子の金属表面を被覆する金属表面の保護安定剤としても機能する成分である。
本発明の反応型導電性樹脂組成物は、金属塩化合物(A)に、所望によりビニル樹脂又はビニルエステルなどの樹脂成分(E)を加え、これを多価アルコールなどの溶剤と混合し、所定の温度に加熱し、この混合物にバインダー(C)を混合したのち室温まで冷却する。次に室温においてこの混合物に潜在性硬化触媒(D)と潜在性還元触媒(B)とを加え、混合することで製造される。
本発明の反応型導電性樹脂組成物は、電子・電気製品やその部品に対して幅広い用途があり、中でも導電性接着剤として好ましい特性を発揮する。
判定基準で示す記号「◎」は使用に優れたもの、「○」は汎用の使用に供することができるもの、「△」は限定使用が可能なもの、「×」は使用に好ましくないものを表している。
銀を含んだ硬化物を砕き、硫酸と硝酸の混酸で分解後、チオシアン酸カリウムで滴定を行った(ボルハード法)。
(2)接着強度:
1インチ角のアルミナ基板(京セラ(株)、98%アルミナ)上に所定のペーストを10〜20μm厚で塗布し、1.5mm角ICチップを荷重10gでマウントした。所定条件で硬化後、プッシュプルゲージ(イマダ製作所(株))を用いてチップの水平方向剥離強度を測定した。
判定基準:◎ 50N以上、○ 30N〜50N未満、△ 10N〜30N未満、× 10N未満
(3)熱時強度:
上記のサンプルを260℃、20秒の熱板上でダイヤルゲージ(イマダ製作所(株))を用いチップの水平方向剥離強度を測定した。
判定基準:◎ 30N以上、○ 10N〜30N未満、△ 5N〜10N未満、、× 5N未満
(4)電気伝導率:
前記アルミナ基板上にAg/Pd焼成体(住友金属鉱山(株))で所定距離離れた対電極を形成し、この電極間を跨ぐ状態で導電性樹脂組成物を硬化させた。硬化後、室温にてデジタルマルチメーター(アドバンテック(株))を用い、体積抵抗値を測定した。体積抵抗値と硬化物断面積・長さ(トキメック(株)、深さ厚み測定器)より、比抵抗値を算出した。
判定基準:◎ 3×10−3Ω・cm未満、○ 3×10−3Ω・cm〜9×10−3Ω・cm未満、△ 9×10−3Ω・cm〜5×10−2Ω・cm未満、× 5×10−2Ω・cm以上
(5)塗布性:
5ccの注射器に導電性樹脂組成物(未硬化ペースト)を10g充填し、0.25mmφのニードルをセットし、室温でディスペンサー(武蔵エンジニアリング(株) ML−500)を使用し、空気圧力0.8〜1.2Kg/cm2、0.25秒/打の条件でガラスエポキシ基板上に連続吐出させた。前記組成物の分離やニードル詰まりにより塗布が不可能になるまでの時間を測定した。
判定基準:◎ 24時間以上、○ 12時間〜24時間未満、△ 6時間〜12時間未満、× 6時間未満
(6)耐ヒートサイクル性:
上記(2)で作成した硬化物サンプルを−55℃←→+125℃各30分/サイクルで熱衝撃試験機((株)タバイエスペック)に投入し、100サイクル後取り出し、室温でチップ接合強度を測定した。
判定基準:◎ 40N以上、○ 20N〜40N未満、△ 10N〜20N未満、× 10N未満
硝酸銀(関東化学(株)1級)0.25Mと、ポリビニルピロリジノン(関東化学(株)1級)0.38Mを加圧密閉容器に入れ、エチレングリコール(関東化学(株)1級)を15ml加え、加圧密封し、150℃で30分加熱攪拌した。
この初期混合物に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Mw=380、(株)JER)にフェノールノボラック硬化触媒(Mw1500、群栄化学(株))を20重量部添加して作成したバインダーを20重量%添加し、さらに、65℃で120分加熱攪拌した。加熱後、室温放冷し、遠心分離機により上澄みを除去した。
次に、この中間混合物に、ジエチレントリアミン(富士化成(株)製)をエポキシ樹脂に対し、5重量部、粘度調整用にBCA(ブチルカルビトールアセテート)を若干加え、自公転ミキサーにより2分間混合した。
この最終混合物をアルミナ基板上にスクリーン印刷により、20〜30μm厚で塗布した後、熱風循環型オーブン(タバイエスペック(株))を使用し大気雰囲気中で室温より毎分5℃で昇温させ60℃×30分、100℃×30分、150℃×30分の各ステップの保持を行い硬化させ、反応型導電性樹脂組成物の硬化サンプルとした。硬化物中の銀の体積分率は19%であった。
実施例1と同様に行い、金属塩化合物を含有する初期混合物のエポキシ樹脂バインダーへの添加量を変え、銀の体積分率0.5%の硬化物を得た。
実施例1と同様に行い、金属塩化合物を含有する初期混合物のエポキシ樹脂バインダーへの添加量を変え、銀の体積分率73%の硬化物を得た。
潜在性硬化触媒をフェノールノボラック(Mw:1500)のみに変更した以外は、実施例1に記載された方法で、最終混合物を調製した。この最終混合物を反応型導電性樹脂組成物として、実施例1と同様にして硬化した。硬化物中の銀の体積分率は35%であった。
低温焼結型(約220℃で銀焼結)の銀ナノ粉末を含むブチルカルビトール混合物(ナノ銀ペースト、日本ペイント(株)製)に10重量%レゾールフェノール樹脂(分解温度180℃、群栄化学(株))と、表面保護剤としてアミン化合物とを混合分散させ、最終混合物として、実施例1と同様にアルミナ基板に塗布し、80℃→150℃→220℃と、窒素中で各30分加熱し、オーブン硬化しサンプルとした。硬化物中の銀の体積分率は76%であった。
鱗片状銀粉末(平均粒径5μm、(株)徳力化学研究所製)を実施例1のエポキシ樹脂と潜在性硬化触媒(ジシアンジアミド/関東化学(株)、ジウロン(DCMU)/保土ヶ谷化学(株):エポキシ樹脂に対し潜在性硬化触媒20重量部、ジシアンアンジアミドとDCMUは1:3)と、表面保護剤としてオレイン酸、ステアリン酸とを混合したバインダー中に投入し3本ロールを使用して強制分散させバインダー得た。
得られた最終混合物を実施例1と同様にアルミナ基板に塗布し、150℃→200℃と各30分、大気中で加熱し、オーブン硬化しサンプルとした。硬化物中の銀の体積分率は36%であった。
In/Ag/Snの混合はんだ粉末(平均粒径20μm、千住金属(株)製)を85重量%、実施例1のエポキシ樹脂とベンゾグアナミン(関東化学(株))を混合したバインダー中に自公転ミキサーを利用して分散させ、さらに2%のトリエタノールアミンをフラックスとして加え最終混合物とした。これを実施例1と同様にアルミナ基板に塗布し、100℃→200℃→250℃と各30分、窒素中で加熱し、オーブン硬化しサンプルとした。硬化物中の体積分率は67%であった。
潜在性硬化触媒の使用量を減らし、ジエチレントリアミン(富士化成(株)製)をエポキシ樹脂に対し、8PHRとした以外は実施例1に記載された方法で、最終混合物を調製した。
この最終混合物をアルミナ基板(98%アルミナ、京セラ(株)製)上にスクリーン印刷により、20〜30μm厚で塗布した後、オーブン(大気中)で60℃×30分、100℃×30分、150℃×30分の各ステップ加熱で硬化させ、反応型導電性樹脂組成物の硬化サンプルとした。硬化物中の銀の体積分率は0.01%であった。
上記の実施例1〜4により、金属塩化合物とバインダーによるペースト硬化過程で導電性金属粒子を生成する還元触媒とを含有する本発明の反応型導電性樹脂組成物は、基板への塗布性が良好で、導電性金属粒子がペースト硬化物中に均一分散しているので、接着強度、熱時強度が大きく、電気伝導率、耐ヒートサイクル性にも優れることが分かる。
これに対して、従来技術である比較例1〜3は、銀ナノパウダー、鱗片状銀粉末、あるいは混合はんだ粉末を用いているので、基板への塗布性が悪いか、接着強度、あるいは電気伝導率のいずれかが不十分である。また、比較例4は、還元触媒の配合量が少ないので、金属粒子の生成量が減少してしまい電気伝導率が悪化した。
Claims (9)
- 金属塩化合物(A)、潜在性還元触媒(B)、バインダー(C)、及び潜在性硬化触媒(D)を含有する反応型導電性樹脂組成物であって、潜在性還元触媒(B)は熱、光又は紫外線を受けることにより、該熱、光または紫外線により発生する潜在性硬化剤(D)とバインダー(C)との硬化反応に先行しつつ、あるいは該硬化反応と同時並行的に該反応型導電性樹脂組成物中に溶解している金属塩化合物(A)を還元して導電性金属粒子を生成する機能を有することを特徴とする反応型導電性樹脂組成物。
- 金属塩化合物(A)が、銀、銅、ニッケル、または錫から選ばれる一種以上の金属を含有する金属有機酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- 潜在性還元触媒(B)と潜在性硬化触媒(D)とが同一物であることを特徴とする請求項1に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- 潜在性硬化触媒(D)が、フェノール又はフェノール誘導体、アミン又はアミン誘導体から選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- バインダー(C)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂等の樹脂の何れか1つ又は複数であることを特徴とする請求項1に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- バインダー(C)が、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- さらに、ビニル樹脂又はビニルエステルから選ばれる一種以上の樹脂成分(E)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の反応型導電性樹脂組成物。
- 金属塩化合物(A)の含有量は、硬化反応終了後の組成物全量に対して、生成する金属粒子量基準で、0.1〜70容積%であることを特徴とする、請求項1に記載のいずれかの反応型導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の反応型導電性樹脂組成物を用いてなる電子・電気部品用の導電性接着剤。
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