JP2006055769A - 有機性汚濁物質の嫌気性処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多種類の嫌気性微生物の共生系における酸生成及びメタン生成反応を最適に制御することにより、有機性汚濁物質の嫌気性処理を安定的且つ効率的に行うことのできる嫌気性処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】 嫌気性処理工程を有する有機性汚濁物質の嫌気性処理方法において、嫌気性処理工程が硫酸還元菌の濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターし、その濃度値及び/又は活性値に応じて、硫酸還元菌濃度を所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することを特徴とする有機性汚濁物質の嫌気性処理方法、及び装置。前記嫌気性処理工程の前段として、硫酸還元菌の活性を利用した酸発酵を促進する前処理工程を含み、前処理工程における前処理槽内に硫酸塩溶液を添加することによって、前処理槽及び/又は嫌気性反応槽内の硫酸還元菌濃度が所定範囲内に保持されるように運転条件を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機性汚濁物質を高効率且つ安定的に浄化するとともに、バイオガスによるエネルギー回収効率を向上することのできる嫌気性処理方法(メタン発酵法)に関するものである。
近年、循環型社会への転換の気運が高まる中で、メタン発酵の固形性有機物処理への適用のニーズが高まっている。メタン発酵は、有機物分解の最終反応を担うメタン生成細菌群の至適温度に応じて中温メタン発酵(35℃)、高温メタン発酵(55〜65℃)に大別される。高温メタン発酵は、中温メタン発酵と比べると、短い滞留時間で、高効率的に固形性有機物の消化ができ、病原性細菌の低減ができ、消化汚泥の脱水性も向上できるなどの特徴が挙げられる。
しかし、高温メタン発酵では、VFA(Volatile Fatty Acid)、特に中間代謝脂肪酸としてのプロピオン酸の蓄積が生じやすく、酸発酵が進行することで反応系が不安定になり易い。その原因は、高温メタン発酵汚泥では、中温メタン発酵汚泥に対して微生物の多様性に乏しいことによって、中間代謝脂肪酸が蓄積しやすい(非特許文献1)。また、酸発酵が進行することによって、反応系内の水素分圧が比較的高くなる傾向があり、中間代謝脂肪酸の分解を妨げている可能性もあると報告されている(非特許文献2)。
有機物の酸発酵過程で生じる中間代謝脂肪酸(酪酸、プロピオン酸)は、水素生成酢酸生成細菌(Acetogenic bacteria)により、メタン生成細菌の基質となる酢酸と水素にまで分解されるが、一般的なメタン発酵汚泥のプロピオン酸分解活性は、酢酸からのメタン生成活性の数分の一から数十分の一程度であり(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)、このプロピオン酸の生産抑制あるいは高効率分解技術により、メタン発酵全体プロセスの高効率化、安定化を図ることが期待される。
また、硫酸塩が存在する条件下では、有機物の酸発酵や水素生成酢酸化反応に硫酸塩還元細菌が寄与することも知られており(非特許文献6)、これらの細菌を利用して、中間代謝脂肪酸の分解と水素分圧の低減を促進することによって、メタン発酵による有機性汚濁物質浄化の高効率化が可能になると考えられる。
Sekiguchiら、Microbiology,144,pp.2655−2665、1998 原田ら、環境工学研究論文集、第34巻、p327−336、1997 Syutsuboら、Wat.Sci.Tech.,36,391−398,1997 Uemura et al, Appl. Microbiol. Biotechnol., 39, 654−660, 1993 Wiegant et al, Biotech. Bioeng., 27, 1603−1607, 1985 嫌気性微生物学、第3章 硫酸還元細菌の種類と生態、上木勝司、長井史郎編、養賢堂、p.51−67、1993
本発明の目的は、多種類の嫌気性微生物の共生系における酸生成及びメタン生成反応を最適に制御することにより、有機性汚濁物質の嫌気性処理を安定的且つ効率的に行うことのできる浄化方法及び浄化プロセスを提供することにある。さらにかかる発明により、バイオガスとしてのエネルギー回収効率の向上及び安定化並びに処理水質の向上を目的としたものである。
上記の課題を検討した結果、本発明者らは、嫌気性処理工程において、硫酸還元菌の濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターし、その濃度及び/又は活性に応じて、フマル酸を添加することによって、硫酸還元菌濃度を所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することによって、プロピオン酸などの中間代謝脂肪酸の分解反応を促進できることを見出した。さらに、反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度をモニターし、その値に応じて、硫酸塩を所定濃度になるように添加して、硫酸還元菌の水素資化性反応を促進させることにより、反応槽内の水素分圧を低減させることができ、酸生成菌の活性の向上が図られ、その結果メタン生成菌の増殖及び/又はメタン生成活性を促進し、安定な嫌気性処理を維持することができることも見出した。なお、ここで硫酸還元菌とは、硫酸還元能を持ち、嫌気条件下で生育できる原核生物であって、後述の硫酸還元細菌を含む真正細菌、あるいは古細菌などいずれでもよい。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、前記の目的を達成するために、下記の構成からなるものである。
(1)嫌気性処理工程を有する有機性汚濁物質の嫌気性処理方法において、嫌気性処理工程が硫酸還元菌の濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターし、その濃度値及び/又は活性値に応じて、硫酸還元菌濃度を所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することを特徴とする有機性汚濁物質の嫌気性処理方法。
(2)前記嫌気性処理工程の前段として、硫酸還元菌の活性を利用した酸発酵を促進する前処理工程を含み、前処理工程における前処理槽内に硫酸塩溶液を添加することによって、前処理槽及び/又は嫌気性反応槽内の硫酸還元菌濃度が所定範囲内に保持され、且つ、前処理槽からの排出水の硫酸イオン濃度が所定濃度範囲に、すなわち50〜100mgSO 2−−S/リットル以下に維持されるように運転条件を制御することを特徴とする請求項1記載の嫌気性処理方法。
(3)前記嫌気性処理工程における嫌気性反応槽内にフマル酸を添加することによって、硫酸還元菌濃度が所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することを特徴とする前記(1)記載の嫌気性処理方法。
(4)嫌気性処理工程における嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度をモニターし、その値に応じて、硫酸塩を所定濃度に添加することによって、硫酸還元菌の水素資化性反応を向上させて、嫌気性反応槽内の水素分圧を低減させることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の嫌気性処理方法。
(5)有機性汚濁物質の嫌気性処理装置であって、有機性汚濁物質貯留槽と;貯留槽内の有機性汚濁物質を導入して、硫酸塩を添加することによって有機物の酸発酵を促進する前処理を行う前処理槽と;前処理槽で処理された有機性汚濁物質を導入して嫌気性処理をするための嫌気性反応槽と;硫酸塩溶液を貯留する薬液槽と;薬液槽内の硫酸塩溶液を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は前処理槽に供給するための配管と;を具備し、更に、前処理槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度値に応じて、薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽、前処理槽及び/又は嫌気性反応槽に供給する硫酸塩溶液の量を調整する手段と;嫌気性反応槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度の値と水素濃度及び酢酸濃度の値に応じて、硫酸塩の薬液槽から嫌気性反応槽に供給する硫酸塩の量を調整する手段と;を有することを特徴とする嫌気性処理装置。
(6)有機性汚濁物質の嫌気性処理装置であって、有機性汚濁物質貯留槽と;貯留槽内の有機性汚濁物質を導入して、これを嫌気性処理するための嫌気性反応槽と;フマル酸を貯留する薬液槽と;該薬液槽内のフマル酸を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するための配管と;を具備し、更に、嫌気性反応槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度の値に応じて、薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するフマル酸の量を調整する手段と;硫酸塩溶液を貯留するための薬液槽と;該薬液槽内の硫酸塩溶液を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するための配管と;を具備し、更に、嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度を測定する手段と;水素濃度及び酢酸濃度の値に応じて、硫酸塩の薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給する硫酸塩の量を調整する手段と;を有することを特徴とする嫌気性処理装置。
図7に有機物が嫌気性環境下で分解される経路を示す。嫌気性微生物としては、例えば、メタン生成細菌(例えば、Methanosarcina属、Methanothrix属、Methanobacterium属、Methanobrevibacter属)、硫酸還元細菌(例えば、Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Desulfobacterium属、Desulfobacter属、Desulfococcus属)、酸生成細菌(例えば、Clostridium属、Acetivibrio属、Bacteroides属、Ruminococcus属)、通性嫌気性細菌(例えばBacillus属、Lactobacillus属、Aeromonas属、Streptococcus属、Micrococcus属)等が挙げられる。
エネルギー回収の観点からは、メタン生成細菌を用いるのが好ましい。しかし、メタン生成細菌の利用可能な基質は非常に限られており、ほとんどの有機物は直接利用されることはない。炭水化物、蛋白質、油脂などは酸生成細菌(Fermentative bacteria)によって加水分解、酸発酵され、酢酸、水素、蟻酸などに分解されて初めてメタン生成細菌の基質となる。
しかしながら、酸生成細菌に比べてメタン生成細菌の増殖速度が極めて遅いため、酸生成細菌が酢酸や水素を生成する速度がメタン生成細菌による消費速度を上回り、酢酸や水素がメタン生成細菌に対する基質阻害を起こす濃度以上に蓄積すると、メタンガス発生が停止するに至る。また、蛋白質から酢酸への分解過程においては、中間代謝物である水素の濃度が増加すると、分解経路が切り替わり、酢酸ではなくプロピオン酸が生産されるようになる。プロピオン酸は有機物嫌気性処理プロセスにおいて、重要な分解対象物である。プロオピン酸の嫌気的分解は、従来から水素生成酢酸生成細菌(hydrogen-producing proton reducing acetogenic bacteria, PRB)とメタン生成細菌(methane-producing bacteria, MPB)の絶対共生系によって遂行されることが知られている(Thauerら、Bacteriological Reviews, 41,100−180,1977)。
一方、近年、硫酸還元細菌(sulfate-reducing bacteria, SRB)の生態学的役割の重要性を再認識する研究が行われている(Nakamoto et al, Journal of General and Applied Microbiology, 42,109−120;1996;山口ら、環境工学研究論文集、第35巻、447−455、1998)。プロピオン酸分解過程における硫酸還元細菌の寄与としては、プロピオン酸を直接分解すること(Kremer et al, FEMS Microbiology Letters, 49,273−277,1988;Bernardina et al, Antonie van Leeuwenhoek 68,293−296,1995)、あるいは水素、酢酸という中間生成物を分解することによって、プロピオン酸分解を間接的に促進すること(Schmidt et al, Applied and Environmental Microbiology, Vol.59,No.8,2546−2551,1993)が知られている。
また、幾つかの中温嫌気性菌が水素除去者と共生してプロピオン酸分解を遂行することが報告されているが、それらはほとんど硫酸還元菌か硫酸還元能を持つ共生型酸生成細菌である(Bernardina et al, Antonie van Leeuwenhoek 68,293−296,1995)。中温と比べると、高温メタン発酵系におけるプロピオン酸分解菌及び硫酸還元細菌に関する知見が非常に少なく、主に高温UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)のグラニュール汚泥を中心に研究されている( Imachi et al, Applied and Environmental Microbiology, Vol.66,No.8,3608−3615,2000;Plugge et al, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, Vol.52,391−399,2002; Schmidt et al, Applied and Environmental Microbiology, Vol.59,No.8,2546−2551,1993)。
これに対し、完全混合型高温メタン発酵汚泥における硫酸還元菌に関する知見はほとんどない。油脂含有食品加工廃棄物の完全混合型メタン発酵汚泥における菌相解析の研究により、中温メタン発酵汚泥に対して高温メタン発酵汚泥における硫酸還元菌群の割合が低いということが示唆された(ハオ リンユンら、水環境学会誌、第27巻、第5号、315−321、2004)。このように高温メタン発酵系においては、水素、酢酸除去者の種類が少なく、水素あるいは酢酸の除去に寄与する細菌は高温メタン生成細菌にほぼ単一化されているという特徴がある。このため、メタン生成細菌の能力以上に水素や酢酸が生成されると、中間代謝脂肪酸の蓄積や水素分圧の上昇を引き起こし、メタン発酵の安定性が失われ易いと考えられる。
そこで、本発明者らは、硫酸還元菌を利用して高温メタン発酵連続処理プロセスの安定性を高めることを目指し、比較的高濃度の硫酸塩を供給することにより硫酸還元菌の割合を増やすことができるかどうか、確認実験を行った。高濃度硫酸塩(100mg SO 2−−S/リットル、なお「リットル」は以下「L」と略記する)を添加した系と、通常濃度の硫酸塩を供給した対照系とで、汚泥のプロピオン酸分解特性および菌相(微生物群集構造)を調べた。集積培養215日目に硫酸塩添加系と対照系の嫌気性反応槽からそれぞれ採取した汚泥についてプロピオン酸分解能を回分実験で調べた結果を図8に示す。硫酸塩高濃度添加条件で培養した汚泥のプロピオン酸分解活性は、回分実験の際に添加する硫酸塩の濃度が増加するのにしたがって上昇した。これに対して、対照系の汚泥では、回分実験時に硫酸塩濃度を上げても、プロピオン酸分解活性は変化しなかった。この結果から、比較的高濃度の硫酸塩を常時供給することにより、汚泥中に硫酸塩の添加濃度に応じてプロピオン酸分解能が変化する菌相を形成できることがわかった。
プロピオン酸分解活性回分実験に用いた硫酸塩添加系から採取した高温メタン発酵汚泥のRNA抽出液に対してRT−PCR−DGGE法で菌相解析を行った結果、Thermodesulfotobacterium sp.SRI−93と94%、Thermodesulfovibrio islandicusとThermodesulfovibrio sp. TSL−Plと96%の相同性を持つ細菌の検出ができた(図9)。また、Anaerobaculum thermoterrnumと100%、Desulfotomaculum sp.、Desulfotomaculum thermobenzoicum と90%の相同性を持つ細菌も検出できた。Thermodesulfovibrio islandicus sp.は温泉水から単離できた硫酸還元細菌であり、硫酸イオンが存在した条件において、乳酸、ピルビン酸と水素を資化できる(Jacob Sonne-Hansen et al. System. Appl. Microbiol., 1999,22.pp 559-564)。Thermodesulfotobacterium sp.SRI−93およびThermodesulfovibrio sp. TSL−Plについては生育や代謝に関する情報が報告されていないが、UASB汚泥から単離されたDesulfotomaculum thermobenzoicumsubsp. thermosyntrophicum subsp. novは、水素資化性メタン生成細菌と共存培養条件下で硫酸塩を電子受容体として利用しながらプロピオン酸を分解すると報告されている(Plugge et al, Int.J. Syst.Evol. Microbiol., Vol.52,391−399,2002)。これらの菌相解析の結果は、比較的高濃度の硫酸塩を常時供給することにより、硫酸還元菌の菌数を増やすことができることを示している。
以上の結果から、本発明者らは、嫌気性反応槽内汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸還元活性を常にモニターして硫酸還元菌の濃度を一定範囲に保持することにより、プロピオン酸の蓄積を抑制し、メタン発酵反応を効率的に進めることができることを見出し、本発明に至った。
嫌気性処理槽内の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸還元活性を維持する手段として、反応槽に硫酸塩を添加して、プロピオン酸などの中間代謝脂肪酸の分解を促進し、メタン発酵処理の安定性を維持する方法が知られている(特開2003−260490号公報)。しかし、高温メタン発酵系では、硫酸還元反応の生産物である硫化水素によるメタン生成活性の阻害が起こり易く、水素資化性硫酸還元菌とメタン生成菌の基質競合もエネルギー回収の観点から望ましくない。
本発明者らは、硫酸イオンによるメタン生成反応に対する悪影響を最低限に抑えるため、嫌気性処理工程の前段として前処理槽を導入し、前処理槽の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度をモニターし、その測定値に応じて、硫酸塩溶液を添加することによって、硫酸還元菌濃度が所定範囲内に保持され、且つ、前処理槽からの排出水、すなわちメタン嫌気性反応槽の流入水中の硫酸イオン濃度が所定濃度範囲(硫黄基準値300mgSO 2−−S/L、好ましくは100mgSO 2−−S/L)以下に維持されるように運転条件を制御することを特徴とする嫌気性処理方法を見出した。
さらに、硫酸イオンがメタン発酵処理系に導入されるのを回避するため、硫酸イオン以外の栄養因子を利用した硫酸還元菌の生育促進方法も挙げられる。例えばDesulfotomaculum thermobenzoicumはメタン生成細菌と共生しない環境下でフマル酸を利用して増殖できる(Plugge et al, Int.J. Syst. Evol. Microbiol.,Vol.52,391−399,2002)。また、中温条件では、フマル酸又はマレイン酸を含む培地中にプロピオン酸分解細菌やDesulfovibrio属の硫酸還元菌が増殖できることが報告されている(Stams et al., Applied and Environmental Microbiology, 1993,Vol.59,No.4,pp.1114−1119)。また、フマル酸又はマレイン酸を添加することによりプロピオン酸の蓄積を防ぐ方法もある(特許出願番号2004−055996)。
そこで、本発明者らは、フマル酸を用いて嫌気性処理槽内に硫酸還元菌濃度を所定範囲に保持する高効率的且つ安定的なメタン発酵処理方法を見出した。
有機物の嫌気性処理系においては、酸生成反応の全ての最終産物は酢酸と水素である。従って、汚泥の酢酸と水素を除去する活性を高く維持することは、高効率なメタン発酵処理性能を得られる最も直接的な方法である。メタン生成反応の場合、ほとんどのメタン生成細菌は、水素と蟻酸を基質にできるが、酢酸を基質にできるメタン生成細菌は、Methanosarcina とMethanothrixとに限られている(食品産業における排水・汚泥低減化技術の未来を拓く、食品産業環境保全技術研究組合編、2002年11月版、第7頁)。
Methanothrix属メタン生成細菌の生育速度がメタン生成細菌の中で最も遅く、水滞留時間が短い(HRT20〜30日)嫌気性反応槽では優占化できないので、完全混合型の高温メタン発酵汚泥では酢酸資化性メタン生成反応は、主にMethanosarcina属メタン生成細菌で遂行されていると考えられる。Methanosarcina属メタン生成細菌は生育速度が速く、メタノールや水素なども資化できる。嫌気性反応槽内に複数の利用可能基質が存在する場合、酢酸代謝は抑制され、水素やメタノールのような利用し易い基質を優先的に資化することが知られている(嫌気性微生物学、第5章 メタン生成細菌の分類と生態、上木勝司、長井史郎編、養賢堂、p106−108、1993)。
酢酸資化性メタン生成活性を向上する方法は、Ni2+およびCo2+の添加や有機物の汚泥負荷を低く制御する方法が知られている(食品産業における排水・汚泥低減化技術の未来を拓く、食品産業環境保全技術研究組合編、2002年11月版,第8頁)。また、反応槽内のプロピオン酸と酢酸濃度をモニターし、その値に応じて嫌気性反応槽から排出される汚泥を嫌気性反応槽及び/又は前処理槽に返送することによってメタン発酵処理プロセスの安定性を維持する方法が挙げられる(非公開特許文献:特許出願番号2004−055996)。
本発明者らは、メタン発酵汚泥における酢酸と水素濃度をモニターし、その値に応じて、硫酸塩又はフマル酸を添加することにより一定範囲に維持される硫酸還元菌の水素除去反応を利用して、高効率的に且つ安定的なメタン発酵処理方法を見出した。
硫酸還元菌濃度のモニターには、硫酸塩を含む培地で反応槽から採集した汚泥を選択的に培養して、菌数を計数する方法や、硫酸還元菌の遺伝子に基づいた分子生物学的測定法を用いた定量PCR法、あるいはハイブリダイゼーション(FISH)法がある。硫酸還元活性をモニターするには、反応槽の汚泥を採集し、バイアル瓶に硫酸塩含有培地で培養し、硫酸塩の除去速度を測定する方法がある。また、反応槽中の硫酸イオン濃度をモニターし、一時的に硫酸塩溶液を添加したときの硫酸塩除去速度を測る方法も利用できる。
フマル酸の添加は、粉末状でも溶液状でも可能であるが、溶液状の方法が添加操作は簡便であり、また、装置費用も安価である。フマル酸を直接嫌気性反応槽に添加しても、原水貯留槽に添加してもよい。フマル酸溶液を原水に添加する場合、フマル酸濃度として0.5g〜2.5g/L、好ましくは1〜2g/Lの濃度で添加する。
水素と酢酸濃度を確認するためには、嫌気性反応槽内の汚泥及び気相のガスを逐次サンプリングし、これをモニターする。通常のモニター方法としてはガスクロマトグラフ、高速液体クロマトグラフなどの測定機器で自動分析する方法がよい。分析キットによる酢酸濃度のモニタリングは簡便であるが、手分析での操作が主体である。
硫酸塩溶液の添加は、嫌気性反応槽内の酢酸及び/又は水素濃度値に応じて添加し、酢酸濃度を400mg/L以下、好ましくは200mg/L以下、生成ガスの水素濃度0.1%以下、好ましくは0.02%以下になるように保持する。硫酸塩は通常硫酸ナトリウム塩を用いてもよいが、窒素源濃度は低い有機性汚濁物質原水を嫌気性処理する場合には、硫酸アンモニウム塩を用いたほうが好ましい。
本発明によれば、有機性汚濁物質を高効率で安定に浄化することが可能となった。さらに、嫌気性微生物により有機物を分解するので、バイオガスとして回収することができ、これによりエネルギー回収効率を著しく向上させることが可能となった。
次に、上記に説明した本発明にかかわる有機性汚濁物質の嫌気性処理方法を実施するための装置の概要について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明に係る有機性汚濁物質の嫌気性処理装置の2態様を示す概念図である。なお、図1及び図2並びに以下の説明においては、同一機能を有する構成要素については同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1に示す本発明の一態様にかかわる有機性汚濁物質の嫌気性処理装置は、主要構成要素として、有機性汚濁物質(原水)貯留槽1、前処理槽2、嫌気性反応槽3と硫酸塩溶液を貯留する薬液槽4とを具備する。原水貯留槽1に貯留された有機性汚濁物質は、配管19を通して前処理槽2に供給され、上記に説明した所定の条件下で酸発酵処理にかけられる;前処理槽2から排出された処理液が配管20を通して嫌気性反応槽3に供給され、上記に説明した所定の条件下で嫌気性処理にかけられて有機物が分解される。嫌気性反応槽3から排出される処理液(汚泥混合液)は、配管21を通して汚泥沈殿槽6に送られ、ここで重力沈降によって汚泥を分離することによって、分離液9が得られ、配管26を通して系外に排出される。沈殿した汚泥10は、配管25を通して排出され、再処理等の工程に送られる。
また、前処理槽2と嫌気性反応槽3で発生した消化ガスは、メタン、二酸化炭素及び硫化水素などを含んでいるので、例えば水酸化鉄(Fe(OH))などを充填した脱硫装置11で処理した後に、配管22を通して消化ガススタンク5に一旦貯留された後、配管24を通してガス利用設備8、例えばガスタービン、燃料電池、ガス燈、ガスボイラなどに送ることができる。また、余剰のガスについては、分岐管23を通して余剰ガス燃焼装置7に供給して燃焼処理することができる。また、このプロセスにおいては、嫌気性反応槽3内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターする装置12と13によって逐次モニターされる。硫酸還元菌濃度の測定装置は、例えば、反応槽内の汚泥をサンプリングし、これを硫酸還元菌に特異的なDNAプローブで標識してフローサイトメターで菌数を測定するように構成することができる。
また、硫酸還元活性の測定装置には、例えば反応槽内の汚泥をサンプリングし、汚泥中の硫酸イオン濃度をイオンクロマトグラフなどで測定するように構成できる。この測定装置で測定された値に応じて、例えば演算装置によって制御信号が発信されて、これが制御信号ライン30と31を通して送られて、薬液槽4から原水貯留槽1への配管27及び/又は薬液槽4から前処理槽2への配管28、薬液槽4から嫌気性反応槽3への配管29に設置されたバルブ(16、17、18)の制御が行われて、硫酸塩溶液の添加量が調整される。さらに、嫌気性反応槽3内の汚泥中の酢酸濃度を測定する手段14と気相の水素濃度を測定する手段15によってモニターされ、測定された酢酸濃度及び/又は水素濃度値に応じて、例えば演算装置によって制御信号が発信されて、これが信号ライン32、33を通して送られて、薬液槽4から嫌気性処理槽3への配管29に設置されたバルブ18の制御が行われて、硫酸塩溶液の添加量を調整される。これによって、好適な条件で嫌気性反応運転を継続させることが可能になる。
次に、図2に示す装置は、原水貯留槽1に貯留された原水は、前処理されることがなく、直接配管42を通して嫌気性反応槽3へ送られ、有機物分解処理を受ける。また、図2の装置においては、硫酸塩溶液を貯留する薬液槽4以外にフマル酸溶液を貯留するための薬液槽41を設けた。嫌気性反応槽3内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターする装置13によって逐次モニターされ、測定された値に応じて、例えば演算装置によって制御信号が発信されて、これが制御信号ライン43と44を通して送られて、薬液槽41から原水貯留槽1への配管47及び/又は薬液槽41から嫌気性反応槽3への配管48に設置されたバルブ(45、46)の制御が行われて、フマル酸溶液の添加量が調整される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
集積培養には、CSTR(液層部10リットル)を用い、炭水化物として溶性スターチ(和光純薬)を炭素源とし、HRT25日、55℃の条件で、2系列の運転を行った。第1表は、各系列の炭素源、回分初期CODcr濃度、回分初期硫酸塩濃度を示す。ここで培養基質は、上記炭素源と硫酸ナトリウムに、以下の微量元素(単位:mg/リットル)を添加して構成した;NHCl、500;MgCl・6HO、400;CaCl、113;FeCl・4HO、2.0;CoCl・6HO、0.17;ZnCl、0.07;HBO、0.06;MnCl・2HO、0.50;NiCl・6HO、0.04;CuCl・2HO、0.027;NaMoO・2HO、0.025;EDTA、5.0;NaHCO、1000;KHPO、8710;KHPO、6805。尚、本研究では、高温消化汚泥を植種汚泥として用いた。
活性試験には、培養汚泥を供試汚泥として、メタン生成活性(Methane-producing activity、MPA)を評価した。いずれもCODcr換算として、gCOD/gVSS/d単位で求めた。酢酸、H/CO(80%/20%、1.4atm)を電子供与体とし、パイアル内濃度は2000mgCODcr/リットルとした。嫌気条件下で、あらかじめバイアル瓶に分注しておいた2倍濃度の活性試験用培地(リン酸緩衝液、無機塩、酸化還元指示薬等を含む)に汚泥濃度が1/2となるように汚泥を分注し、硫化ナトリウムを添加後、持ち込みの有機物を分解させた上で基質投入を行い、H/CO基質では気相部をH/COに、それ以外では窒素ガスに完全に置換し、シェーカー(回転半径5cm、120rpm、55℃)に装着した。経時的にガス量、ガス組成を測定して活性を求めた。
図3は、メタン発酵汚泥における酢酸・プロピオン酸濃度の経日変化を示す。比較例1では運転60日目付近から徐々に有機酸が蓄積し、運転70日目以降では、メタン生成量が3〜4割低下した。この期間では、特に酢酸の蓄積が目立った。プロピオン酸も1000mg/リットル以上蓄積した。これに対して、実施例1では、全期間を通して、有機酸の蓄積が低いレベルに抑えられ、比較例1の、約1/10の蓄積量であった。よって、硫酸塩添加操作により、有機酸の蓄積を低く抑えることができることが分かった。
図4は、それぞれメタン発酵汚泥の酢酸資化性メタン生成活性(MPA−Ac.)及び水素資化性メタン生成活性(MPA−H)を示す。実施例1では硫酸塩の添加によって、酢酸資化性のメタン生成細菌の活性は、比較例1と比べて著しい減少が見られなかった。水素資化性のメタン生成細菌の活性については、実施例1のほうが比較例1より約7倍高い活性が見られた。この水素除去活性が高く維持できたことによって、3ヶ月の高温メタン発酵連続安定運転ができた。
実施例2、実施例3及び比較例2
有機物対象原水として、市販の豆乳を希釈(豆乳:水=1:3.8で希釈、CODcr=38.9g/リットル)したものを用いた。原水を有効容積2.0リットルの貯留槽に1〜4日貯留した後、有効容積30リットルのメタン嫌気性反応槽に2回/日の頻度で連続投入した。メタン発酵処理は、55℃、HRT=25日、COD容積負荷2.1g/リットル・日(汚泥負荷0.5g/gVSS・日)の条件下で約1年間行った。連続実験中における嫌気性反応槽中の酢酸とプロピオン酸濃度の変動を測定した結果を図5に示す。まず、比較例2として、制御操作なくメタン発酵を約5ヶ月行った。その結果、プロピオン酸と酢酸の蓄積が始まり、メタン生成速度は低下した。
そこで、実施例2として、157日目において、投入原水にフマル酸1g/リットルを添加して、連続運転を約5ヶ月継続した。その結果、汚泥中のプロピオン酸は300mg/リットル以下の低い濃度に維持することができたものの、酢酸の蓄積が解消できなかった。そこで、実施例3として、291日目において、硫酸塩を100mgSO 2−−S/Lの最終濃度でメタン嫌気性反応槽内に投入し、酢酸濃度減少運転を開始した。その結果、1ヶ月の運転中に、汚泥中の酢酸濃度は1000mg/リットル以下に低下した。汚泥中の酢酸蓄積が解消された後、338日目において、硫酸塩溶液の添加を停止した。その後、約3ヶ月間にわたりメタン発酵の安定運転ができた。
図6には、各運転期間中の反応槽汚泥のメタン生成活性を調べた結果を示す。実施例2では、フマル酸の添加により水素資化性メタン生成活性を4倍向上できたが、酢酸資化性メタン生成活性の改善はできなかった。これに対して、実施例3では、硫酸塩の添加により、水素資化性メタン生成活性がさらに10倍まで向上でき、酢酸資化性メタン生成活性も2倍ほど上がり、酢酸の蓄積を解消できた。
本発明の有機性汚濁物質の嫌気性処理技術は、曝気動力が不要なのでエネルギー消費量が節約でき、余剰汚泥の発生量が少ないので処理費用が廉価であり、かつエネルギーとして有用なメタンガスを回収できるので、高濃度の有機性汚濁物質を含有する廃水の処理に特に有用である。
本発明の一態様の有機性汚濁物質の嫌気性処理装置の構成を示す概念図である。 本発明の別の態様の有機性汚濁物質の嫌気性処理装置の構成を示す概念図である。 連続高温メタン発酵処理汚泥における中間代謝脂肪酸の経時変化を示すグラフである。 連続高温メタン発酵処理汚泥の酢酸と水素資化性メタン生成活性の比較を示すグラフである。 高温メタン発酵連続処理(HRT25日)汚泥における有機酸濃度の変動を示すグラフである。 高温メタン発酵連続処理汚泥のメタン生成活性の比較を示すグラフである。 メタン発酵における有機物の分解過程と研究開発ポイントを示すフロー図である。 硫酸塩添加系と非添加系の高温発酵汚泥のプロピオン酸分解活性の硫酸塩濃度依存性を示すグラフである。 硫酸塩添加汚泥のRNA抽出液のPCR−DGGE解析結果を示すチャートである。
符号の説明
1 原水貯留槽
2 前処理槽
3 嫌気性反応槽
4,41 薬液槽
5 消化ガスタンク
6 汚泥沈殿槽
7 余剰ガス燃焼装置
8 ガス利用設備
9 分離液
10 汚泥
11 脱硫装置
12,13,14,15 モニター装置
16,17,18,45,46 バルブ
19,20,21,22,24,25,26,27,28,29,47,48 配管
23 分岐管
30,31,32,33,43,44 制御信号ライン

Claims (6)

  1. 嫌気性処理工程を有する有機性汚濁物質の嫌気性処理方法において、嫌気性処理工程が硫酸還元菌の濃度及び/又は硫酸還元活性をモニターし、その濃度値及び/又は活性値に応じて、硫酸還元菌濃度を所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することを特徴とする有機性汚濁物質の嫌気性処理方法。
  2. 前記嫌気性処理工程の前段として、硫酸還元菌の活性を利用した酸発酵を促進する前処理工程を含み、前処理工程における前処理槽内に硫酸塩溶液を添加することによって、前処理槽及び/又は嫌気性反応槽内の硫酸還元菌濃度が所定範囲内に保持され、且つ、前処理槽からの排出水の硫酸イオン濃度が所定濃度範囲に、すなわち50〜100mgSO 2−−S/リットル以下に維持されるように運転条件を制御することを特徴とする請求項1記載の嫌気性処理方法。
  3. 前記嫌気性処理工程における嫌気性反応槽内にフマル酸を添加することによって、硫酸還元菌濃度が所定の範囲内に保持されるように運転条件を制御することを特徴とする請求項1記載の嫌気性処理方法。
  4. 嫌気性処理工程における嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度をモニターし、その値に応じて、硫酸塩を所定濃度に添加することによって、硫酸還元菌の水素資化性反応を向上させて、嫌気性反応槽内の水素分圧を低減させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の嫌気性処理方法。
  5. 有機性汚濁物質の嫌気性処理装置であって、有機性汚濁物質貯留槽と;貯留槽内の有機性汚濁物質を導入して、硫酸塩を添加することによって有機物の酸発酵を促進する前処理を行う前処理槽と;前処理槽で処理された有機性汚濁物質を導入して嫌気性処理をするための嫌気性反応槽と;硫酸塩溶液を貯留する薬液槽と;薬液槽内の硫酸塩溶液を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は前処理槽に供給するための配管と;を具備し、更に、前処理槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度値に応じて、薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽、前処理槽及び/又は嫌気性反応槽に供給する硫酸塩溶液の量を調整する手段と;嫌気性反応槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度の値と水素濃度及び酢酸濃度の値に応じて、硫酸塩の薬液槽から嫌気性反応槽に供給する硫酸塩の量を調整する手段と;を有することを特徴とする嫌気性処理装置。
  6. 有機性汚濁物質の嫌気性処理装置であって、有機性汚濁物質貯留槽と;貯留槽内の有機性汚濁物質を導入して、これを嫌気性処理するための嫌気性反応槽と;フマル酸を貯留する薬液槽と;該薬液槽内のフマル酸を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するための配管と;を具備し、更に、嫌気性反応槽内の汚泥中の硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度を測定する手段と;測定された硫酸還元菌濃度及び/又は硫酸イオン濃度の値に応じて、薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するフマル酸の量を調整する手段と;硫酸塩溶液を貯留するための薬液槽と;該薬液槽内の硫酸塩溶液を有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給するための配管と;を具備し、更に、嫌気性反応槽内気相の水素濃度及び/又は汚泥中の酢酸濃度を測定する手段と;水素濃度及び酢酸濃度の値に応じて、硫酸塩の薬液槽から有機性汚濁物質貯留槽及び/又は嫌気性反応槽に供給する硫酸塩の量を調整する手段と;を有することを特徴とする嫌気性処理装置。
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