JP2006053210A - 屈折率分布型プラスチックロッドレンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 未硬化の3種以上の硬化性物質を、硬化後の屈折率が内側から外側に向かって順次低くなるように同心円状に配置し、3層以上の硬化性ストランドファイバを形成する第1工程と、前記硬化性ストランドファイバの隣接した2層の境界で、該2層を構成する前記硬化性物質を互いに拡散させることにより、前記2層を連続した屈折率分布とする第2工程と、前記硬化性ストランドファイバに2段以上で紫外線を照射して、該硬化性ストランドファイバを硬化する第3工程とを有し、前記第3工程で1段目に照射する紫外線の強度を、設定値から所定の範囲内に制御する。
【選択図】 なし
Description
このようなロッドレンズのうち、軸線に垂直な方向(径方向)に連続的な屈折率分布を有するプラスチックロッドレンズが、特許文献1〜3などで提案されている。
すなわち、光源31からの光を、光学フィルタ32、拡散板33、格子34を順次通過させる。そして格子像を、評価対象である多数のプラスチックロッドレンズ35aからなるレンズアレイ35を通してCCDラインセンサ36上に結像させる。そして、その際測定された測定光量の最大値imaxと最小値iminとから、下記数式(1)を用いてMTFを算出する。
MTF=(imax−imin)×100/(imax+imin)・・・(1)
図1は、本発明の屈折率分布型プラスチックロッドレンズ(以下、ロッドレンズという。)の製造に好適に使用される成形装置10の一例であって、未硬化での粘度が102〜107Pa・sである5種の硬化性物質を、硬化後の屈折率が内側から外側に向かって順次低くなるように、同心円状の5層に配置した状態で吐出する同心円状複合ノズル(以下、ノズルという。)11と、このノズル11から吐出された硬化性ストランドファイバ12が通過する筒部13とを備えて概略形成されている。
各硬化処理部15a,15bでは、筒部13の外側にさらに外筒部16a,16bが形成され、筒部13と外筒部16a,16bとの間の空間は紫外線ランプ収納部17a,17bになっている。紫外線ランプ収納部17a,17bには、それぞれ複数本の紫外線ランプが設けられ、この紫外線ランプからの紫外線照射によって、硬化性ストランドファイバ12を硬化するようになっている。
なお、ここで硬化性ストランドファイバ12は、隣接した2層の境界で硬化性物質が相互拡散しているうちに第1の硬化処理部15aへと送られて行く。すなわち、筒部13における相互拡散部14と第1の硬化処理部15aとは、一部重複した状態となっている。
また、各紫外線ランプ収納部17a,17bにおける外筒部16a,16bの内周面には、ケミカルランプ18や高圧水銀灯19からの紫外線を反射させるための反射板20a,20bが設置されている。このような反射板20a,20bの設置により、少ない出力で十分な紫外線を硬化性ストランドファイバ12に照射できるので、ランプ寿命が延び、その結果、ケミカルランプ18や高圧水銀灯19の交換頻度が少なくなりロッドレンズの生産性が向上する。
また、第1の硬化処理部15aにおける紫外線ランプ収納部17aには、ここに所定温度の空気を送風する図示略の送風手段が設けられていて、その内部を所定の一定温度に維持できるようになっている。
まず、粘度が102〜107Pa・sの範囲である5種の硬化性物質を調製し、これら硬化性物質を、それぞれ70℃程度の温度で予備攪拌した後、図示略の連続混練ユニットに供給する。ついで、これらの硬化性物質を、図示略のポンプでそれぞれ所定量計量した後、ノズル11へと供給し、5種の硬化性物質を、硬化後の屈折率が内側から外側に向かって順次低くなるように同心円状に配置、複合化して押出し、5層からなる未硬化の硬化性ストランドファイバ12を形成する(第1工程)。また、この際、不活性ガス導入口22から窒素ガスなどの不活性ガスを導入して、筒部13内に流通させておく。
ラジカル重合性ビニル単量体の具体例としては、メチルメタクリレート(n=1.49)、スチレン(n=1.59)、クロルスチレン(n=1.61)、酢酸ビニル(n=1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,9,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロプチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレートなどのフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(n=1.37〜1.44)、屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類、例えばエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、その他にもジエチレングリコールビスアリルカーボネイト、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここでnは屈折率である。
可溶性ポリマーとしては、ラジカル重合性ビニル単量体から生成するポリマーと相溶性が良いものを使用することが好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート(n=1.49)、ポリメチルメタクリレート系共重合体(n=1.47〜1.50)、ポリ4−メチルペンテン−1(n=1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(n=1.46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、フッ化ンビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(n=1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(n=1.40〜1.46)、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系重合体が挙げられる。
光硬化触媒としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
光吸収剤としては、ロッドレンズが用いられる光学系で使用される光を吸収し得る種々の染料や顔料、色素が使用できる。これらの光吸収剤は、特定波長域のみを吸収する光吸収剤であって、吸収する波長がそれぞれ異なる光吸収剤を2種以上組合せて用いてもよい。例えば、レンズアレイをカラースキャナに用いる場合には、RGB各波長の光を吸収する染料を組み合わせて用いることができる。
このような光吸収剤は、光吸収層中においてできるだけ均一に存在していることが好ましく、具体的には、光吸収層を構成している高分子中に均一に分散しているか、または、光吸収層を構成している高分子に結合されていることが好ましい。光吸収層を形成する組成物中、光吸収剤は0.001〜10質量%の範囲で含まれることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。
第1の硬化処理部15aで照射される紫外線の強度は、シリコンフォトダイオード21と制御手段により、常に特定の設定値から所定範囲内となるように制御されている。この例では、あらかじめ求められた実験値より、設定値が7.5mw/cm2とされ、この設定値から±0.4mw/cm2の範囲内、好ましくは±0.2mw/cm2の範囲内となるように制御されている。また、ここで紫外線ランプ収納部17aには、20℃に保持された空気が送風手段から送風されていて、その内部が一定温度に維持されている。
このように硬化処理部15を経て硬化したストランドファイバ12’は、引き取りローラ24で引き取られた後、最終的に巻取部25に巻き取られる。
延伸処理および緩和処理は、適切に制御された温度条件および引き取り速度比のもとで行われる限り、例えば、引き取りローラ24の後段に延伸処理部、緩和処理部を設けて、インラインで行っても良いし、一旦巻取部25にストランドファイバ12’を巻き取った後、別途行ってもよく、具体的方法には制限はない。
ついで、得られたストランドファイバ12’を、所定の長さに切断後、両端面を鏡面に研磨することによりロッドレンズが得られる。
こうして得られたロッドレンズは、単体の形態では微小レンズとして使用され、多数のロッドレンズを密接に配列して接着し、一体化したレンズアレイの形態では、複写機やファクシミリ、スキャナなどのラインセンサ部品、LEDプリンタの書き込みデバイスなどに使用される。
また、2段目以降の紫外線の照射に、高圧水銀灯を使用することにより、硬化処理時間を短縮でき生産性を向上することができる。
また、紫外線ランプ収納部17a,17bに反射板20a,20bを設けることにより、紫外線の反射光も利用でき、少ない出力で十分な紫外線を照射できるので、ランプ寿命が延び、その結果、紫外線ランプの交換頻度が少なくなり、ロッドレンズの生産性が向上する。
また、硬化性ストランドファイバ12の層数は、3層以上であれば5層に限定されないし、硬化性ストランドファイバ12への紫外線の照射は、2段以上であれば2段に限定されない。
さらに、硬化処理部15で使用する紫外線ランプの種類、本数などにも特に制限はない。
[実施例]
制御手段として、フィードバック回路が組み込まれておらず、手動操作する型の高周波蛍光灯点灯装置LSC−L40×18S(京都電気製)を具備している以外は、図1と同じ成形装置を使用して、5層からなるストランドファイバ12’を得た。
なお、各層の材料である硬化性物質として、以下の組成物を使用した。
(1)第1層(中心の層)の組成物
ポリメチルメタクリレート
(粘性率η=0.40、メチルエチルケトン中25℃にて測定) 47質量部
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート 30質量部
メチルメタクリレート 23質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.25質量部
ハイドロキノン 0.1質量部
(2)第2層の組成物
ポリメチルメタクリレート
(粘性率η=0.40、メチルエチルケトン中25℃にて測定) 50質量部
メチルメタクリレート 40質量部
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート 10質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.25質量部
ハイドロキノン 0.1質量部
ポリメチルメタクリレート
(粘性率η=0.40、メチルエチルケトン中25℃にて測定) 50質量部
メチルメタクリレート 40質量部
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート
10質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.25質量部
ハイドロキノン 0.1質量部
(4)第4層の組成物
ポリメチルメタクリレート
(粘性率η=0.40、メチルエチルケトン中25℃にて測定) 50質量部
メチルメタクリレート 40質量部
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート
10質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.25質量部
ハイドロキノン 0.1質量部
ポリメチルメタクリレート
(粘性率η=0.40、メチルエチルケトン中25℃にて測定) 42質量部
メチルメタクリレート 18質量部
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート
40質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.25質量部
ハイドロキノン 0.1質量部
これらの組成物をそれぞれ70℃の温度で予備攪拌した後、連続混練ユニットに供給して混練し、その後、ポンプにて所定量を計量した各組成物を、50℃に制御されたノズル11から同心円状に押出した。この際、筒部13には、不活性ガスとして窒素ガスを流した。
なお、ここで各層の半径比を、ロッドレンズの各層の厚さ(1層目は半径)の比に換算して、1層目/2層目/3層目/4層目/5層目=18/50/29/2/1となるようにポンプ回転数を設定した。
次いで、ノズル11から押出されたストランドファイバ12における相互拡散処理を、理想的な屈折率分布を成すポイントで終了させるように、1段目(第1の硬化処理部15a)のケミカルランプ18から出力される紫外線を、その強度が、設定値である7.5mw/cm2から±0.2mw/cm2の範囲内となるように、シリコンフォトダイオード(S1336−8BQ:浜松フォトニクス製)21にて監視しつつ、制御手段を用いて手動にてコントロールしながら、硬化性ストランドファイバ12に照射した。
ついで、2段目(第2の硬化処理部15b)においても、紫外線を照射した。ここでの強度は、75mw/cm2とした。
このようにして得られた硬化したストランドファイバ12’、すなわちレンズ原糸の半径は0.24mmであった。
こうして得られたストランド(ロッドレンズ)の半径は0.17mm、中心屈折率は1.497、外周の屈折率は1.486であった。
このストランドを切断したもの複数本を、2枚のフェノール樹脂製基板(厚さ1mm)の間に1列に配列、挟持し、隙間に接着剤(カーボンブラックを0.5質量%添加したエピフォーム(商品名、ソマール社製))を充填し、接着剤を硬化した。その後、両端面を研磨することにより、レンズ長4.4mmのロッドレンズが一列に配列したレンズアレイを作成した。
図3から明らかなように、30日間連続生産した際にも、得られたロッドレンズのMTF(ave:平均値)の低下はほとんどなく、安定した性能を備えたロッドレンズを得ることができた。また、30日間にわたって第1の硬化処理部15aから制御されつつ照射された、図4に示す紫外線の強度の細かい変動は、図3に示すロッドレンズの性能と連動していることが示唆された。
第1の硬化処理部に制御手段および反射板を備えていない以外は実施例1で使用したものと同じ成形装置を使用して、同様の手法でロッドレンズを作製した。
また、このような製造方法を7日間連続して行った際の最終日に得られたロッドレンズのMTF(ave:平均値)は50.2%であった。
また、7日間のMTF(ave:平均値)の結果を図5に示すとともに、この際、第1の硬化処理部で使用したケミカルランプの出力の減衰特性を図6に示す。
図5から明らかなように、比較例で得られたものは、初期にはMTF(ave:平均値)が73.5%を示し高いものの、製造開始から時間の経過とともに大きく低下した。
12 硬化性ストランドファイバ
12’ ストランドファイバ
14 相互拡散部
15 硬化処理部
15a 第1の硬化処理部
15b 第2の硬化処理部
17a,17b 紫外線ランプ収納部
18 ケミカルランプ(紫外線ランプ)
19 高圧水銀灯(紫外線ランプ)
20a,20b 反射板
21 シリコンフォトダイオード
31 光源
32 光学フィルタ
33 拡散板
34 格子
35 レンズアレイ
36 CCDラインセンサ
Claims (1)
- 未硬化での粘度が102〜107Pa・sである3種以上の硬化性物質を、硬化後の屈折率が内側から外側に向かって順次低くなるように同心円状に配置し、3層以上の硬化性ストランドファイバを形成する第1工程と、
前記硬化性ストランドファイバの隣接した2層の境界で、該2層を構成する前記硬化性物質を互いに拡散させることにより、前記2層を連続した屈折率分布とする第2工程と、
前記硬化性ストランドファイバに2段以上で紫外線を照射して、該硬化性ストランドファイバを硬化する第3工程とを有し、
前記第3工程で1段目に照射する紫外線の強度を、設定値から所定の範囲内に制御することを特徴とする屈折率分布型プラスチックロッドレンズの製造方法。
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JP2004233117A JP2006053210A (ja) | 2004-08-10 | 2004-08-10 | 屈折率分布型プラスチックロッドレンズの製造方法 |
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Citations (5)
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JPH0216505A (ja) * | 1988-07-05 | 1990-01-19 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | プラスチック光伝送体及びその製造法 |
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2004
- 2004-08-10 JP JP2004233117A patent/JP2006053210A/ja active Pending
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