JP2006052921A - スラッシュ冷媒を利用した冷却方法及び装置、並びに超電導限流器 - Google Patents

スラッシュ冷媒を利用した冷却方法及び装置、並びに超電導限流器 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温でかつ一定温度での被冷却体の冷却が可能であり、高効率冷却を達成できるスラッシュ冷媒を利用した冷却方法及び装置、並びに超電導限流器を提供する。
【解決手段】 断熱容器12内に貯留した冷媒中に高温超電導体17を配置し、該高温超電導体17を浸漬冷却する超電導限流器11において、前記断熱容器12内に液体分20と固体分21とが混在したスラッシュ冷媒を供給する冷媒供給手段14を設け、該冷媒供給手段14が、前記液体分の冷却及び前記固体分の生成を行なう冷凍手段と、該生成した固体を微粒化する撹拌手段と、生成したスラッシュ冷媒を前記断熱容器に送給する圧送手段と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微細な固体と液体が混じり合ったスラッシュ冷媒を用いた低温冷却技術に関し、例えば、被冷却体として超電導体、電子機器等を冷却対象とし、スラッシュ冷媒に被冷却体を浸漬してこれを冷却するスラッシュ冷媒を利用した冷却方法及び装置、並びに超電導限流器に関する。
従来より液冷媒を用いた浸漬冷却は、被冷却体の形状に関わらず、その全体を均一に冷却可能な方法として幅広い分野にて利用されている。被冷却体としては、超電導部材やその他の電子機器等が挙げられ、例えば図4に示すような液冷式の浸漬冷却システムがある。この浸漬冷却システムは、特許文献1(特開平5−29513号公報)等に開示されており、図において、51は冷媒52を貯留したバッファタンク、53はバッファタンク51内の冷媒52を被冷却体55に送る送出ポンプ、54は電子部品等の被冷却体55を冷却する冷却槽、58は冷却槽54内の冷媒を回収する回収ポンプ、59は被冷却体の冷却により温度上昇した冷媒を所定の温度に冷却し、再びバッファタンク51に戻す熱交換器である。このシステムでは、バッファタンク51に貯留した冷媒は、冷却槽54にて被冷却体55の冷却に使用された後に回収して熱交換器59により冷却されて冷却槽54に返送され、循環利用するようになっている。
このとき、冷媒52は被冷却体55からの熱により沸騰し、蒸発潜熱により被冷却体55を冷却するのが一般的である。これは、蒸発潜熱により大きな冷却効果が得られるためである。従って、冷媒52は大気圧の沸騰温度に維持されている。
図4のシステムでは冷却槽54内は大気圧に維持されるが、送出ポンプ53の戻り圧力や、気化した窒素ガスにより冷却槽内の圧力が上昇してしまい、沸点が上昇してしまう惧れがある。そこで、冷却槽54内の圧力を圧力センサ56により検出し、この検出信号に基づき回収ポンプ制御部57によりポンプの起動/停止を制御して冷却槽内の圧力を大気圧に保つ構成としている。
浸漬冷却に利用される冷媒は被冷却体の種類、性質等に基づき選択されるが、代表的な冷媒として、窒素、ネオン、アルゴン、水素、ヘリウム、二酸化炭素などが挙げられる。
近年、超電導技術を利用した各種機器が開発されており、超電導機器は低損失、小型軽量化等の従来機器では実現できない多くの特徴を有し、実用化が期待されている。超電導機器に用いられる超電導体には、液体ヘリウムを主体とした冷媒とする金属系の超電導体と、液体窒素を主体とした冷媒とする酸化物系の超電導体が存在する。これらの超電導体は、超電導変圧器、超電導マグネット、超電導限流器、超電導コイル、超電導ケーブル等に用いられ、これらの超電導機器の極低温冷却において浸漬冷却は有効な方法である。
例えば、特許文献2(特開平11−83218号公報)には、冷媒として液体窒素を用いて超電導コイルを浸漬冷却する装置が開示されている。これは、被冷却物を冷却する容器を外槽と内槽の2重構造とし、外槽と内槽の間を真空にするとともに、この容器に冷媒を供給する冷媒注入部と、冷媒注入の際に発生するガスを器外に排出させるガス排出部と、冷媒を極低温に維持する冷凍装置と、を備えた構成となっており、さらに冷媒を極低温に維持させる際に容器内圧力が所定圧力、例えば大気圧に維持できるように容器内の圧力制御手段を設けている。これにより、冷媒の圧力を減圧させないで冷媒の温度を極低温化することを可能としている。
特開平5−29513号公報 特開平11−83218号公報
このように、液体冷媒を用いた浸漬冷却においては、冷媒を沸点温度に維持した状態で利用するのが一般的であり、蒸発潜熱により大きな冷却効果が得られる。しかしこの場合、被冷却面に気泡が発生し、著しく放熱が妨げられたり耐放電電圧の低下を招くという問題がある。
これを防ぐために、冷媒温度を沸点以下に下げた過冷却域で冷媒を用いることも行なわれている。このときの冷却熱量は冷媒の凝固温度と蒸発温度となる。しかし、過冷却域でのみ冷媒を使用することは、液体の比熱が蒸発潜熱や凝固潜熱に比べて小さく、同一発熱量に対して多くの冷媒を必要とする。さらに、過冷却域の冷却では被冷却体の温度が発熱量に比例して変化するため、歪みを伴う繰り返し応力がかかる。
また、被冷却体が超電導体である場合、超電導体の能力はその温度により変化し、低温になる程能力が高くなることが判っている。しかし、過冷却域及び沸点での冷却では設計温度を最高温度である沸点付近に設定せざるを得ず、超電導体の能力を十分に発揮することができない。
一方、固体冷媒を利用する場合には、液体冷媒のように被冷却体の全面が均一に冷媒と接触できず、被冷却体との接触が不連続となることが多く、熱流束の抵抗となる。
従って、本発明は上記従来の技術の問題点に鑑み、低温でかつ一定温度での被冷却体の冷却が可能であり、高効率冷却を達成できるスラッシュ冷媒を利用した冷却方法及び装置、並びに超電導限流器を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
冷媒供給手段より断熱容器内に冷媒を供給し、該断熱容器内に貯留した冷媒中に被冷却体を浸漬してこれを冷却する方法において、
前記冷媒が液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒であり、主として前記固体分の融解潜熱を利用して前記被冷却体の冷却を行い、
前記冷却にて、前記被冷却体の発熱量に基づき、前記断熱容器内のスラッシュ冷媒中の固体分の融解潜熱のみを利用する第1のステップと、前記固体分の融解潜熱に加え、固体融解後の液体分の顕熱を利用する第2のステップと、前記固体分の融解潜熱と前記液体分の顕熱に加え、液体分の蒸発潜熱も利用する第3のステップと、の何れか一を選択して行なうことを特徴とする。
前記スラッシュ冷媒とは、微粒化された固体分と液体分の混合物スラリーである。
該スラッシュ冷媒は固体分を含有するため、前記断熱容器内は固体の融点付近の温度を呈して固体の融解潜熱を被冷却体の冷却に利用でき、かつ液体分も含有するため、物体表面上に濡れ、狭い隙間にも浸透するので、熱伝達性が良好となる。そのため、同物質で比較すると単位質量当りの液体冷媒に比べてスラッシュ冷媒の冷却効率は飛躍的に高くなる。
また、同じ冷却量であれば減量化可能で、さらに固体になると密度が大きくなるため装置の小型化が可能となる。さらにまた、固体が存在する限り気泡が発生しないという利点がある。これは三重点以外では固体、液体、気体が同時に存在しないことによる。
尚、前記第1のステップは、被冷却体の発熱量が比較的小さい場合で断熱容器内のスラッシュ冷媒の固体分が融解するのみの場合に選択すると良く、前記第2のステップは、前記第1のステップより発熱量が大きく、固体分が融解した後に液体分が昇温した場合に選択し、さらに前記第3のステップは、前記第2のステップより発熱量が大きく、液体分が気化して蒸発ガスが発生し、前記断熱容器内の液体量が減少した場合に選択すると良い。
これにより、被冷却体を常時安定して一定温度で低温冷却することが可能となる。
尚、前記発明において、前記被冷却体が超電導体であり、該超電導体の冷却に利用する冷媒としてスラッシュ窒素を用いることが好適である。このように、冷却対象を超電導体とした場合、超電導体は低温になる程能力が高くなるため、本発明を適用することにより超電導体の能力の向上が期待でき、また気泡の発生を最小限に抑えることができるため、耐放電電圧の上昇が期待できる。
また、冷媒が貯留されて被冷却体を該冷媒に浸漬して冷却する断熱容器と、該断熱容器に前記冷媒を供給する冷媒供給手段と、を備えた装置において、
前記冷媒が液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒であり、主として前記固体分の融解潜熱を利用して前記被冷却体の冷却を行う装置であって、
前記冷媒供給手段は、前記液体分の冷却及び前記固体分の生成を行なう冷凍手段と、該生成した固体を微粒化する撹拌手段と、生成したスラッシュ冷媒を前記断熱容器に送給する圧送手段と、を備えていることを特徴とする。
さらに、前記断熱容器は、前記被冷却体の発熱による前記スラッシュ窒素の昇温に伴い発生する蒸発ガスを検出して外部へ排出する安全弁を備えていることを特徴とする。これにより、断熱容器内圧力を常に一定圧力に維持することができ、安定した冷却を行なうことができる。
さらにまた、断熱容器内に貯留した冷媒中に高温超電導体を配置し、該高温超電導体を浸漬冷却する超電導限流器において、
前記断熱容器内に液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒を供給する冷媒供給手段を設け、該冷媒供給手段が、前記液体分の冷却及び前記固体分の生成を行なう冷凍手段と、該生成した固体を微粒化する撹拌手段と、生成したスラッシュ冷媒を前記断熱容器に送給する圧送手段と、を備えていることを特徴とする。
前記超電導体は、過電流通電時に常電流転移により発生する常電導抵抗により電流を減流する作用を有する。このように、スラッシュ窒素を超電導限流器の冷媒に利用することにより、超電導限流器を短時間で再稼働状態に復帰して使用することが可能となり実用化に適した構成とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、被冷却体の冷却にスラッシュ冷媒を用いることにより、過冷却域よりも低温でかつ一定温度での被冷却体の冷却が可能となる。
また、スラッシュ窒素では固体の融解潜熱が利用できるため液冷媒に比べて熱容量が大きい。従って、被冷却体の急激な発熱に対しても被冷却体の温度上昇が少なく抑えられる。また、同じ冷却量であれば減量化可能で、さらに固体になると密度が大きくなるため装置の小型化が可能となる。さらにまた、固体が存在する限り気泡が発生しないという利点がある。
また、スラッシュ窒素は微粒化された固体分と液体分のスラリー状混合物であり、液体分により被冷却体の周囲に均一に冷媒を接触させることができ、また固体分により被冷却体と冷媒固体分の間の温度勾配が大きく、熱流束が大きくなり冷却効果を向上できる。
さらに、冷却対象を超電導体とした場合、超電導体は低温になる程能力が高くなるため、本発明を適用することにより超電導体の能力の向上が期待でき、また気泡の発生を最小限に抑えることができるため、耐放電電圧の上昇が期待できる。
さらにまた、スラッシュ窒素を超電導限流器の冷媒に利用することにより、限流器を連続して使用することが可能となり実用化に適した構成とすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施例1に係る超電導体冷却装置を限流器に適用した場合の概略構成図、図2、図3は夫々本実施形態のスラッシュ窒素供給装置の一例を示す断面図である。
本実施例において、冷却対象としては例えば、超電導部材やその他の電子機器等が挙げられ、中でも特に超電導部材であって、超電導変圧器、超電導マグネット、超電導限流器、超電導コイル、超電導ケーブル等の冷却に適している。
本実施例で用いられる冷媒には、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水素、二酸化炭素等が挙げられ、冷却対象に応じて冷媒とその冷却温度域を選択する。本実施例では窒素を例に挙げて説明する。
図1に示す実施例1は本発明に係る冷却装置を超電導限流器に適用した例であり、冷媒には一例として窒素を用いている。同図に示すように冷却装置10は、スラッシュ窒素供給装置14を具備した超電導限流器11からなる。前記超電導限流器11は、超電導体17を収容する断熱容器12と、該断熱容器12内に充填された冷媒であり前記超電導体17を冷却するスラッシュ窒素と、前記断熱容器12の底部に設けられた撹拌翼13と、前記断熱容器12の上部に設けられ、該容器12内の蒸発ガスを大気放出するガス放出管15と、該ガス放出管15に具備された安全弁16と、を有している。
前記超電導限流器11はSN転移型、整流型、変圧器型の何れでも良いが、本実施例における超電導限流器11は特にSN転移型であることが好ましく、超電導体が臨界電流値以上になると相転移を起こし、電気抵抗が発生して常電導状態となる性質を有するものが適している。
前記超電導体17には、77.3K(−196℃)以下で超電導状態となる酸化物系超電導材料で形成された高温超電導体が好適であり、銅の酸化物であるイットリウム系又はビスマス系酸化物等を用いると良い。
前記撹拌翼13は、断熱容器12内のスラッシュ窒素を撹拌混合して、スラッシュ窒素から超電導体17への冷熱伝導を向上させる。これは、スラッシュ窒素循環手段等のようにスラッシュ窒素を撹拌混合する機能を有するものであれば何れを用いても良い。
前記スラッシュ窒素供給装置14では、例えば後述する図2或いは図3に示すような装置構成により、微粒化された固体窒素21と液体窒素20の混合物スラリーであるスラッシュ窒素を生成して前記断熱容器12に送給する。
ここで、本実施例1における作用を説明する。前記超電導体17の周囲はスラッシュ窒素で隙間無く満たされ、63Kに保たれる。固体濃度はスラッシュ窒素を搬送させる必要が無いことから40%以上の高濃度とすることが可能である。前記超電導体17の発熱は、固体窒素21の融解潜熱により吸収されるため、断熱容器12内の温度は一定のままである。超電導限流器11に規定以上の電流が流れたとき、超電導体17はクエンチして該限流器11が作動する。クエンチしたことで超電導状態が破れ、電気抵抗が生じることから急激な発熱が起きる。発熱した熱は固体窒素21の融解潜熱で吸収される。
この段階では温度上昇は起こらないため、ここで発熱が無くなれば超電導限流器11は次の作動に備えて待機状態に移行することが可能である。
さらに発熱が続く場合、初めて液体窒素20の温度が上昇していく。さらに発熱が続くと、液体窒素20が沸騰し、前記安全弁16が作動して前記ガス排出管15より、容器12内で発生した蒸発ガスが外部へ放出される。
前記限流器11では、超電導体17の発熱量が少なければ固体窒素20が融解するのみで、この場合、前記スラッシュ窒素供給装置14では融解した固体窒素20分を再生する。
超電導体17の発熱量が多く、固体窒素20が殆ど全て融解する場合には、液体窒素21の温度が上昇する。この場合、前記スラッシュ窒素供給装置14では液体窒素20の温度を下げ、その後固体窒素20を生成する。
これよりさらに超電導体17の発熱量が多い場合には、蒸発ガスが発生し、限流器11内の圧力が上昇して安全弁15が作動し、大気中に蒸発ガスを放出するようになっている。この場合、前記断熱容器12内へ液体窒素20の補給をした後に、前記スラッシュ窒素供給装置14で液体窒素20の温度を下げ、固体窒素21を生成する。
このように、スラッシュ冷媒を用いることにより、過冷却域よりも低温でかつ一定温度での被冷却体の冷却が可能となる。これにより、超電導体の能力の向上が期待できる。窒素を例にとると、高温超電導体の臨界電流は、凝固温度(63K)になると沸点(77K)での2倍程度に向上する。
また、スラッシュ窒素では固体の融解潜熱が利用できるため液冷媒に比べて熱容量が大きい。従って、クエンチ等の急激な発熱に対して被冷却体の温度上昇が少なく抑えられる。また、同じ冷却量であれば減量化可能で、さらに固体になると密度が大きくなるため小型化が可能となる。さらにまた、固体が存在する限り気泡が発生しないという利点がある。これは三重点以外では固体、液体、気体が同時に存在しないことによる。従って、耐放電電圧の上昇が期待できる。
また、スラッシュ窒素は微粒化された固体窒素と液体窒素のスラリー状混合物であり、液体分により被冷却体の周囲に均一に冷媒を接触させることができ、また固体分により被冷却体と冷媒固体分の間の温度勾配が大きく、熱流束が大きくなり冷却効果を向上できる。
従って、スラッシュ窒素を超電導限流器11の冷媒に利用することにより、従来の液体窒素使用時に比べ、限流器を短時間に超電導転位させ、次の作動に備えることが可能となり実用化に適した構成とすることができる。
次に、図2及び図3を参照して前記スラッシュ窒素供給装置14の一例につき説明する。
図2はオーガ(AUGER)方式を適用した装置であり、熱交換器表面に生成した固体窒素を回転する歯で掻き取る方式を採用している。
前記スラッシュ窒素供給装置14は、円筒形状の冷却筒30の液体窒素入口31から液体窒素が導入され、該冷却筒30の上部から該冷却筒30内で生成されたスラッシュ窒素(或いは粒状の固体窒素)が排出されるようになっている。
前記冷却筒30の内部には、中心部位を長手方向に貫通するオーガ33が設けられており、該オーガ33は駆動軸周囲に螺旋刃33aを具備した構成となっている。該螺旋刃33aは、前記冷却筒30の内壁に摺接するように配置され、前記オーガ33に連結された減速機36及びモータ37により所定回転数で回転する。
また、前記冷却筒30の外周にはジャケット35が設けられ、該ジャケット35の内周面と冷却筒30の外周面との間に冷媒通路が形成されている。冷媒通路には下部の冷媒入口から冷媒出口に向けて液体窒素と熱交換する冷媒が通流するようになっている。
このスラッシュ窒素供給装置14によれば、前記冷却筒30内において、冷媒と液体窒素との熱交換により析出され、筒内壁面に付着した固体結晶は、前記オーガ33の回転により掻き取られて液体窒素と混合され、液体20と微粒固体21のスラリー状のスラッシュ窒素が生成され、前記ポンプ38により冷却装置へ送給される。固体濃度はスラッシュ窒素供給装置より排出されたスラッシュ窒素を液体窒素入口31へ戻して循環することで調整可能である。
本実施例ではスラッシュ窒素の搬送して利用する必要がないため、固体窒素を貯留しておくだけでよく、粒径の大きさは特に限定されない。また、スラッシュ窒素中の固体濃度も40%以上とすることができ、より大きな融解潜熱を蓄えることができる。
尚、例えば超電導ケーブルの冷却等のように、スラッシュ冷媒を搬送して利用する場合には、粒径を微小化し、さらに固体濃度を20%以内としてケーブル内の圧力損失を最小限に抑えるようにすると良い。
図3は、図2の別の一例を示すスラッシュ窒素供給装置の断面図である。
該スラッシュ窒素供給装置14は、上記した図2と同様に、生成したスラッシュ窒素を圧送ポンプ47により冷却装置に供給するようになっている。
前記スラッシュ窒素供給装置14は、液体窒素を貯留した断熱容器40内の気相部を、真空ポンプ41にて減圧し、減圧が進行すると液体窒素が蒸発し、潜熱により液体窒素の温度が低下し、内容物が窒素の三重点に達すると固体窒素が生成し始める。三重点への到達は温度計42で温度が63.1K以下に下がらなくなった事で確認する。三重点到達時は真空ポンプ41を停止して液面計43でレベルを計測する。その後真空ポンプ41を運転し、両撹拌翼44、45も回転する。
減圧により固体窒素は液体窒素表面全体に薄く生成する。そのまま放置すると固体窒素は真空ポンプ41の吸引口のある上方に吸い上げられて液体から離れ、その空間に次の固体窒素が生成する。生成した固体窒素は撹拌翼44、45により微細化した固体窒素46となり、液体と混合されてスラッシュ窒素となる。生成したスラッシュ窒素は、圧送ポンプ47により冷却装置に導入される。
このように、本実施例のスラッシュ窒素供給装置14は、他の冷媒を用いずに固体窒素を生成することができるため、他の冷媒の再圧縮装置などの大型設備を必要とせずに、簡単な構造でかつ小型化された装置でスラッシュ窒素を生成できる。
本発明の実施例1に係る超電導体冷却装置を限流器に適用した場合の概略構成図である。 本実施形態のスラッシュ窒素供給装置の一例を示す断面図である。 図2の別の一例を示すスラッシュ窒素供給装置の断面図である。 従来の超電導体冷却装置を示す構成図である。
符号の説明
10 超電導体冷却装置
11 限流器
12 断熱容器
13 撹拌翼
14 スラッシュ窒素供給装置
15 ガス排出管
16 安全弁
17 超電導体
30 冷却筒
33 オーガ
34 螺旋刃
35 ジャケット
40 断熱容器
41 真空ポンプ
42 温度計
44 液面撹拌翼
45 底面撹拌翼

Claims (5)

  1. 冷媒供給手段より断熱容器内に冷媒を供給し、該断熱容器内に貯留した冷媒中に被冷却体を浸漬してこれを冷却する方法において、
    前記冷媒が液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒であり、主として前記固体分の融解潜熱を利用して前記被冷却体の冷却を行い、
    前記冷却にて、前記被冷却体の発熱量に基づき、前記断熱容器内のスラッシュ冷媒中の固体分の融解潜熱のみを利用する第1のステップと、前記固体分の融解潜熱に加え、固体融解後の液体分の顕熱を利用する第2のステップと、前記固体分の融解潜熱と前記液体分の顕熱に加え、液体分の蒸発潜熱も利用する第3のステップと、の何れか一を選択して行なうことを特徴とするスラッシュ冷媒を利用した冷却方法。
  2. 前記被冷却体が超電導体であり、該超電導体の冷却に利用する冷媒としてスラッシュ窒素を用いることを特徴とする請求項1記載のスラッシュ冷媒を利用した冷却方法。
  3. 冷媒が貯留されて被冷却体を該冷媒に浸漬して冷却する断熱容器と、該断熱容器に前記冷媒を供給する冷媒供給手段と、を備えた装置において、
    前記冷媒が液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒であり、主として前記固体分の融解潜熱を利用して前記被冷却体の冷却を行う装置であって、
    前記冷媒供給手段は、前記液体分の冷却及び前記固体分の生成を行なう冷凍手段と、該生成した固体を微粒化する撹拌手段と、生成したスラッシュ冷媒を前記断熱容器に送給する圧送手段と、を備えていることを特徴とするスラッシュ冷媒を利用した冷却装置。
  4. 前記断熱容器は、前記被冷却体の発熱による前記スラッシュ窒素の昇温に伴い発生する蒸発ガスを検出して外部へ排出する安全弁を備えていることを特徴とする請求項3記載のスラッシュ冷媒を利用した冷却装置。
  5. 断熱容器内に貯留した冷媒中に高温超電導体を配置し、該高温超電導体を浸漬冷却する超電導限流器において、
    液体分と固体分とが混在したスラッシュ冷媒を前記断熱容器内に供給する冷媒供給手段を設け、該冷媒供給手段が、前記液体分の冷却及び前記固体分の生成を行なう冷凍手段と、該生成した固体を微粒化する撹拌手段と、生成したスラッシュ冷媒を前記断熱容器に送給する圧送手段と、を備えていることを特徴とする超電導限流器。
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