JP2009302275A - 極低温マイクロスラッシュ超高熱流速冷却システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】極低温マイクロスラッシュ二相流を機能性冷媒として用い、マイクロスラッシュ噴霧流の強制対流熱伝達による冷却法により、スラッシュ粒子の融解潜熱による相乗効果も付加され、水の強制対流沸騰熱伝達(105W/m2オーダ)による冷却法を用いる場合よりも数十倍(106オーダ)の熱伝達特性・冷却特性を得る超高熱流速混相冷却を行う。
【選択図】図13
Description
レベルで発生した熱を効果的に管理することが可能な冷却装置は現在のところ存在しない。今後は半導体の設計ルールが微細化するのでCPUが低消費電力化すると期待されてはい
るが、一方、発熱密度は従来より高くなるため、近い将来には核融合炉並みの発熱密度に至るとさえ予測されている。特に、次世代高性能CPUなどの次世代の半導体部品やコンピ
ューターチップは、従来のCPUなどの半導体部品やLSIなどの半導体素子に比べ消費電力が高く、熱流速が106W/m2のレベルの放熱性能を有しなければ所定の性能を発揮出来ず、現
在の液冷法ならびに強制対流沸騰熱伝達を用いてももはや追従できないレベルにまで達するものと予測される。こうした理由から、システムの高速化、高密度化及び高信頼性化を実現させるための最も重要となる新型プロセッサ冷却法の開発が望まれている。
に熱を吸収・発散する手法では大きな金属素材を必要とする上、効果的にホットスポットを冷却することができないという欠点を有している。
する技術「Micro-Fluidic Cooling」が挙げられる(非特許文献1)。この液冷システム
は冷却液を循環させる「Electrokinetic(電動力学的)ポンプ」を有する点に特徴がある。しかしながら、冷媒そのものに機能性を持たせるという発想には未だ至っておらず、PCレベルの冷却用であり高熱流速の冷却性能を有しているとは言えないと考えられる。
(特許文献2)などが挙げられる。
することが課題である。また、次世代のプロセッサは全体の発熱が大きいだけでなく、ナノオーダー配線も相俟って発熱密度が不均一となり複数のホットスポットがプロセッサ上に現れると予想され、こうしたホットスポットを効果的に冷却する技術の開発が求められている。
本発明者は、次世代高性能CPUなどの次世代の半導体部品やコンピューターチップに適
用される超高熱流速電子冷却システムの開発研究を鋭意進めた結果、極低温マイクロスラッシュ二相流を機能性冷媒として用い、マイクロスラッシュ噴霧流の強制対流熱伝達による冷却法により、スラッシュ粒子の融解潜熱による相乗効果も付加され、水の強制対流沸騰熱伝達(105 W/m2 オーダ)による冷却法を用いる場合よりも数十倍(106オーダ)の熱伝達特性・冷却特性を得る超高熱流速混相冷却の創成が可能となることを見出し、次世代極低温マイクロスラッシュ二相流冷媒型超高熱流速電子冷却システムを提供するに至った。
〔1〕極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として使用することを特徴とする電子機器の冷却法。
〔2〕極低温マイクロスラッシュ固液二相流体がマイクロスラッシュ窒素であることを特徴とする上記〔1〕に記載の電子機器の冷却法。
〔3〕電子機器発熱体より熱を吸収するように極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として該電子機器発熱体に供給せしめることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の電子機器の冷却法。
〔4〕電子機器が、半導体部品、IC、LSIなどの半導体素子、コンピューターチップ、CPU、GPUなどのマイクロプロセッサなどからなる群から選択されたものであることを特徴
とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
〔6〕極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を電子機器発熱体のマイクロチャンネルに流して熱伝達を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
〔7〕極低温マイクロスラッシュの噴霧流を、電子機器発熱体に高速衝突せしめて熱伝達を行うものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
〔8〕極低温マイクロスラッシュ粒子の融解潜熱を電子機器発熱体からの熱伝達に利用するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
〔10〕極低温マイクロスラッシュ微粒化ノズルが、スパイラルノズルを備えているものであることを特徴とする上記〔9〕に記載の電子機器冷却装置。
〔11〕極低温マイクロスラッシュ微粒化ノズルが、超音波振動子をノズル噴出口部に設置してあるものであることを特徴とする上記〔9〕又は〔10〕に記載の電子機器冷却装置。
〔12〕冷却モジュールが、電子機器発熱体のパッケージ接合部空隙を有するもの、又は、電子機器発熱体の発熱部に隣接するマイクロチャンネルを有するものであることを特徴とする上記〔9〕〜〔11〕のいずれか一に記載の電子機器冷却装置。
〔13〕電子機器発熱体のパッケージ接合部空隙又は電子機器発熱体の発熱部に隣接するマイクロチャンネルに、極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を流して熱伝達を行うものであることを特徴とする上記〔9〕〜〔12〕のいずれか一に記載の電子機器冷却装置。
〔14〕電子機器発熱体の冷却を液化ガスの極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として使用して行うものであることを特徴とする極低温マイクロスラッシュ超高熱流速電子冷却システム。
〔15〕液化ガスの極低温マイクロスラッシュ固液二相流体がマイクロスラッシュ窒素であることを特徴とする上記〔14〕に記載の極低温マイクロスラッシュ超高熱流速電子冷却システム。
機器の冷却法を提供しており、該冷却法では、スラッシュ融解潜熱による相乗効果も付加され、現在最高の冷却能を有する水の強制対流沸騰熱伝達による冷却法を用いる場合よりも数十倍の熱伝達特性・冷却特性を得ることのできるシステムを構築できる。本発明では、大型スーパコンピュータ用超小型噴霧クーリングユニットの構築も可能である。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明では、超高熱流速冷却を可能にする冷媒として新たに液化ガスから生成される微小固体粒子からなるマイクロ・ナノスラッシュの高速噴霧流と、高機能性を有する固液二相流体である液化ガスの極低温マイクロスラッシュ二相流を用いる。特に好適な具体例では、本発明で、超高熱流速冷却を可能にする冷媒として新たに微小固体窒素粒子からなるマイクロ・ナノスラッシュの高速噴霧流と、マイクロ・ナノスラッシュ−液体窒素固液二相流を用いる。本超高熱流速電子冷却システムは、スラッシュの有する高い寒冷保有量(エンタルピー)と、超高速噴霧流との活用をしているものを指していてよい。該超高熱流
速電子冷却システムは、現時点で最高性能を有する冷却法である水の強制対流沸騰熱伝達における限界熱流速の数十倍のオーダーまで熱伝達特性を向上させたものを包含していてよい。また、該超高熱流速電子冷却システムは、パッケージ接合部における接触熱抵抗の大幅な軽減化を図ったものを包含する。本発明の冷却法は、PC冷却用周辺機器のみの改良に主眼をおいたものでなく、冷媒そのものに高機能性を持たせる噴霧型と二相液冷却方式のActive coolingによる冷却法を用いるもので、超高熱流速冷却が可能で、スーパコンピュータ等の大規模計算システムにも適用可能な高機能次世代プロセッサ冷却システムを提供している。
などの半導体素子、コンピューターチップ、CPU、GPUなどのマイクロプロセッサなどの高い発熱密度及び/又はホットスポットの生成を示すようなものを、効率的に冷却することを実質的に実施できるものを指していてよく、その実質的に実施できるとは、長期にわたり使用できることを含んでいたり、あるいは当業者が実用上満足できると判断する程度を意味してよい。
結晶状窒素粒子の粒子径についてその平均粒子径が1.5 mm以下であるもの、あるいは1.3 mm以下、好ましくは、1.0 mm以下、より好ましくは、0.8 mm以下あるいは0.6 mm以下、さらには0.5 mm以下あるいは0.3 mm以下、典型的な場合では、0.2 mm以下、さらには0.1 mm以下やミクロンオーダーのサイズであるものが挙げられる。さらに好ましい態様では、固体窒素として存在しているものが少なくとも平均粒子径において1〜100μmサイズより小
さいものであってよく、例えば、固体窒素粒子あるいは結晶状窒素粒子の粒子径についてその平均粒子径が50μm以下であるもの、あるいは10μm以下、好ましくは、1.0μm以下、より好ましくは、800nm以下あるいは500nm以下、さらには100nm以下あるいは50nm以下、
さらには10nm以下やナノメーターオーダーのサイズであるものが挙げられる。
本発明の一つの態様では、該微粒子状固体窒素(あるいは結晶状窒素)を含有する液体混合物は、粒子体積分率が0.05〜0.3であるもので、ある場合には、粒子体積分率が0.08
〜0.28であるもので、好適な場合、粒子体積分率が0.1〜0.26であるもので、より好まし
くは、0.125〜0.25であるもので、特定の場合には、粒子体積分率が0.15〜0.25であるも
のである。
。当該マイクロスラッシュ流体の生成法は、液化ガスのスラッシュ固液二相流体(特には、マイクロスラッシュ固液二相流体)を生成することのできるものであって、極低温液体の流れの中心部あるいはその近傍に、当該極低温液体の流れと同方向あるいはほぼ同方向に、当該極低温液体の温度と同程度あるいはそれよりは低い温度の気体又は液体の流れを導入せしめ、気体と液体とを衝突せしめて微粒子を形成せしめること、あるいは性質の異なった液体同士を衝突せしめて微粒子を形成せしめることで行われる。当該導入せしめられる気体又は液体の流れは、高圧及び/又は高速で導入され、一般的には高圧且つ高速の条件下に導入される。当該導入せしめられる流れは、その出口部では、噴出流あるいはジェット流となっており、液体を微粒子化する作用を有するものである(微粒化噴出流あるいは微粒化ジェット流であってよい)。該高圧とは、所要の微粒化目的が達成できる限り、いかなる圧力も採用できる、また射出される出口(噴出口)の口径によっても適宜のものとされるが、例えば、5〜10,000気圧とされることができ、ある場合には、10〜1,000気圧、別の場合には、10〜100気圧としたり、10〜50気圧とすることができる。また、該高
圧とは、噴出口からの所要の噴出流速が達成できるものであってもよい。該高速とは、噴出口からの噴出流速を指していてよく、例えば、5〜850 m/s、ある場合には、8〜540 m/s、別の場合には、10〜250 m/sあるいは12〜100 m/sとしたり、13〜50 m/sあるいは14
〜25 m/sとすることができる。
ていてよく、例えば、液体窒素、液体酸素、液体水素、液体アルゴンなどが挙げられてよく、液体窒素が好ましいものとして挙げられる。該液化ガスが、窒素である場合について、以下説明する。例えば、当該マイクロスラッシュ窒素は、液体窒素の流れあるいは過冷却液体窒素流をノズル(nozzle)から射出するに際して、該過冷却液体窒素流のおおよそ中心部又はその近傍に、該過冷却液体窒素流と同方向あるいはほぼ同方向に当該過冷却液体窒素の温度と同程度あるいはそれより低い温度の気体又は液体の流れ(極低温導入流又は極低温射出補助流)を導入することにより実現可能である。本発明の一つの態様では、当該極低温導入流は、窒素の融点−209.86℃より低い融点や沸点を有するものを使用できるが、例えば、水素は融点−259.14℃、沸点−252.87℃であり、ヘリウム(He)は融点−272.2℃、沸点−268.9℃であり使用することが可能である。特に、ヘリウムは、極低温ヘリウムガスを流すことができ、不活性であり好ましい。
は、高速且つ高圧で噴出口から射出されるヘリウムガスの流れにより液体窒素はラインを通って壁に囲まれているエジェクター内に吸い込まれ、高速なヘリウムガス流と衝突し、微粒化せしめられ、エジェクターの噴出口からスラッシュ窒素粒子が形成されて、液体窒素中(あるいは液体窒素流中)に供給され混入せしめられることとなる。
に記載がある。当該スパイラル型ノズルにより、効率よく、均一粒径を有するマイクロスラッシュ窒素粒子の連続生成が可能となっている。当該二流体スパイラル型エジェクターノズルは、極低温ヘリウムガスの高速流を用いるもので、例えば、ヘリウム冷凍機により冷却された極低温ヘリウムガスをエジェクター内に高圧・高速で注入することにより撹拌容器内の過冷却液体窒素はエジェクター内に吸い込まれ、ヘリウムガスの高速流と衝突混合することによりマイクロスラッシュ窒素粒子を形成し、スパイラルノズル部を通過する際にマイクロオーダー粒子径までの微粒化が促進されノズル外部に噴出されるメカニズムを有している。こうしたメカニズムを利用するものは本発明に含まれるとしてよい。マイクロスラッシュの生成法としては、メカニカルな回転部を有しないスパイラル型ノズルを用いることにより、マイクロスラッシュの連続生成が可能であり、それは高性能微粒化ノズルとして機能しており優れている。
本発明では、さらに、当該スパイラル型ノズルを改良したもので、ノズルによる生成粒子をさらに均一で且つより微細な粒子とすることを可能とする超音波振動子装着型部スパイラル型ノズルを好適に利用できる。典型的な超音波振動子装着型部スパイラル型ノズルの一例を、図1に示す。当該超音波振動子装着型部スパイラル型ノズルでは、超音波振動子がエジェクターノズルの噴出口部に設置され、超音波微粒化促進作用と超音波キャビテーションの相乗効果により、均一で微細なスラッシュ窒素粒子を形成し、スパイラルノズル部を通過する際にマイクロオーダー粒子径までの微粒化が促進され、ノズル外部に噴出されるといったメカニズムで、優れた性状のマイクロスラッシュが得られる。
かくして、本発明では、超音波キャビテーション利用型マイクロスラッシュ生成ノズルを提供している。本ノズルは、メカニカルな回転部を極力排除してあり、極低温下の粒子連続生成が可能なものである。
超音波を液体や溶液に照射した場合、局所的な圧力変動により気泡が発生する。超音波により発生した気泡は,断熱圧縮過程で短時間にエネルギーが集中し、その崩壊時には、
局所場を形成すると考えられている。つまり、超音波を液体や溶液に照射するとキャビテーションが発生する。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象である。キャビテーションによる気泡の崩壊時には、短寿命の高温・高圧の局所場(ホットスポット)が形成されることが知られており、これを利用することで、生成粒子を超微粉末化することができるのである。
二色レーザーPIA光学計測システムを使用した二次元化可視化画像計測などにより解析で
きる。二色レーザーPIA光学計測システムでは、二色レーザー、例えば、デュアルパルスYAGレーザー、被写界深度チェック用色素レーザーなど、PIA用高解像度カラーカメラ、PIA画像解析ソフトウェアなどを使用できる。また、数値解析などの解析に、クラスタ型高速ワークステーションを使用した超並列計算による高負荷分散型コンピューティング(Grid Computing)手法を使用することが好ましく、ノズルの微粒化特性、例えば、粒径分布、数密度分布、流速・温度分布等を適切に定量的に評価することができる。LES-VOF法を用い
た微粒化二相熱伝達数値計算とPIA計測を融合して解析することもできる。
液体窒素(温度77K)より温度が低いスラッシュ窒素(温度63K)を冷媒とし、向上された冷却能を示すものである。さらに、固体質量分率50%のスラッシュ窒素においては密度が16%、寒冷保有量(エンタルピー)が22%上昇することから、スラッシュ窒素二相噴霧流及び/又はスラッシュ窒素固液二相流の強制対流熱伝達による冷却法で、スラッシュ融解潜熱による相乗作用の付加された技術である。
する場合より、高い効率の液冷却効果を達成する技術である。当該システムでは、マイクロスラッシュがホットスポットを能動的に検知して、不均一性の存在する発熱体(発熱源)に対しても全体にわたり比較的一様な冷却を果たすものである。本発明では、マイクロチャンネルを使用して、冷却部の接触熱抵抗を大幅に軽減させることができ、二相冷却とマイクロ冷却の相乗効果を利用する技術でもある。マイクロチャンネルについては、当該分野で知られたものを利用できるが、例えば、Singhal, V. and Garimella, S. V., "A Novel Valveless Micropump With Electrohydrodynamic Enhancement for High Heat Flux
Cooling", IEEE Trans. on Advanced Packaging, Vol.28, No.2 (2005), pp. 216-230(非特許文献1)などに開示の構造又はその改変構造物などが挙げられる。
ンウェファの基盤に一つ又は複数の(通常は複数の)マイクロチャンネル(微小通路)を設けてある構成などであるものも包含される。該冷却モジュールは、例えば、CPUなどの
プロセッサのパッケージ固体表面間に生じる接触熱抵抗ができるだけ軽減化されるように設計されたものが好適である。該設計は、当該分野で知られている解析手法を応用して行ったものが包含される。
であり、例えば、ポンプ、アクチュエーターなどが挙げられる。典型的な場合、ポンプは、脈動の極力ないものが好まれ、例えば、マイクロポンプとして知られたものを使用してよい。マイクロポンプとしては、例えば、Singhal, V. and Garimella, S. V., "A Novel
Valveless Micropump With Electrohydrodynamic Enhancement for High Heat Flux Cooling", IEEE Trans. on Advanced Packaging, Vol.28, No.2 (2005), pp. 216-230(非特許文献1)などに開示のもの又はその改変構造物などが挙げられる。該液冷媒駆動手段としては、マイクロスラッシュ生成システムは高速マイクロスラッシュ噴霧流を生み出せるので、当該マイクロスラッシュ生成システムを利用したものであってよい。
本発明では、マイクロスラッシュ窒素二相噴霧流の強制対流熱伝達による冷却法を採用することによりスラッシュ粒子の融解潜熱による相乗効果も付加され、現在最高の冷却能を有する水の強制対流沸騰熱伝達(105 W/m2オーダー)による冷却法を用いる場合より数十倍(106 W/m2オーダー)の熱伝達特性・冷却特性を得ることが可能であると考えられる。
また,マイクロスラッシュ直接噴霧冷却はマイクロスラッシュ粒子の高速衝突を使用し、スラッシュをミクロンオーダのパッケージ接合部空隙に侵入させ、強制対流と融解潜熱の相乗効果による熱伝達を実現させることにより、接合部における接触熱抵抗の大幅な軽減化が可能になるという点で、新規性・優位性を有する。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
図1にスパイラル型ノズルを示す。スパイラル型ノズルは、極低温ヘリウムガスの高速流を用いるもので、ヘリウム冷凍機により冷却された極低温ヘリウムガスをエジェクター内に高圧・高速で注入することにより、撹拌容器内の過冷却液体窒素はエジェクター内に吸い込まれ、ヘリウムガスの高速流と衝突混合することによりスラッシュ窒素粒子を形成し、スパイラルノズル部を通過する際にマイクロオーダー粒子径までの微粒化が促進されてノズル外部に噴出される。均一な粒子径のスラッシュ窒素粒子を生成することが可能となっている。実験に使用したマイクロスラッシュ噴霧流生成用断熱二流体スパイラル型ノズルの写真を図2に示す。
分布(統計量)の算出を行った。スラッシュ粒径分布は、絶対値ではなく統計量としてCFD(Computational Fluid Dynamics)計算条件にフィードバックされる。
図2のスパイラル型ノズルを使用し、次なる条件でマイクロスラッシュ窒素を形成させ
たところ、次のような粒子を得ることが確認された。該ノズルからのマイクロスラッシュ噴霧の様子が、図3に示されている。
〔ヘリウム〕 ゲージ圧(MPa)
液体ヘリウムタンクの加圧量:圧(GHe) 0.157
ノズル部圧力(GHe) 0.107
〔液体窒素〕 ゲージ圧(MPa)
過冷却液体窒素タンク加圧量:圧(N2) 0.18
〔スラッシュ粒子〕 m/s
噴霧平均流速 14
得られた結果の一例を示すと、生成マイクロスラッシュ窒素粒子の粒径分布(統計量)は、図4に示すようなものであった。生成スラッシュ窒素粒子は、ほとんどが0.2mm以下の
粒径であった。
マイクロスラッシュ超高熱流速噴霧冷却実験の模式図を図5に示す。マイクロスラッシュ超高熱流速実験装置を作成し、熱流速の計測を行った。本冷却実験でのマイクロスラッシュ超高熱流速実験装置の配管系を図6に示す。図6において、冷却された冷温の液体窒素は、液体窒素タンク(11)より液体窒素導管(13)を通ってマイクロスラッシュ窒素生成ノズル(1)に供給される。一方、過冷却された極低温ヘリウムガスは、液体ヘリウムタンク(12)より液体ヘリウム導管(14)を通ってマイクロスラッシュ窒素生成ノズル(1)に供給される。該ノズルへ注入されるヘリウムガスの量は、入り口のバルブ(15)により調節できる。
次世代プロセッサを模擬するホットスポットを生成可能な不均一過熱基盤を設計製作した。図6において、熱流速センサユニット(5)が、マイクロスラッシュ窒素生成ノズル(1)より出る高速噴霧流の当たる位置に配置されており、該熱流速センサユニット(5)はステ
ッピングモータ(10)により角ネジ(8)を介してノズル(1)の噴射口からの距離を変えることが可能にされている。該熱流速センサユニット(5)は、4面アクリル板(7)の取り付けられた縦型可視化容器(6)の内部に配置され、目視観察可能となっており、該容器(6)の底面の所には窒素ガス出口(9)が設けられ、該容器(6)全体はキャスタ付きの架台(16)に載荷せしめられて、自由に移動できるようになっている。図6のAには、熱流速センサユニット(5)をマイクロスラッシュ窒素生成ノズル(1)側から眺めた状態を示してあり、熱絶縁板(21)及びヒータ(2)を備えていることが示してある。図7は、図6における縦型可視化容器(6)とそれを載荷している架台(16)の部分を示すものである。図8は、本冷却実験における実験装置〔縦型可視化容器(6)とそれを載荷している架台(16)の部分〕の外観写真を示す。
図9は、熱流速センサユニット(5)部の側面図を示すもので、図10は、該熱流速センサ
ユニット(5)をマイクロスラッシュ窒素生成ノズル(1)側から眺めたものを示している。図9において、熱絶縁板(21)の上にはセラミックヒータ(2)が置かれており、該ヒータ(2)にはヒータリード線(4)が結線されており、通電によりセラミックヒータ(2)が発熱部となるようになっている。また、押さえ板(3)によりヒータ部(2)は、高速噴霧流に当たっても移動しないように固定されている。図11には、マイクロスラッシュ超高熱流速計測用熱流速センサとプロセッサ模擬基盤の実験装置装着部の外観写真、すなわち、熱流速センサユニット(5)部の外観写真が示してある。
スパイラル型超高熱流速ノズルにより生成されたマイクロスラッシュ固液二相流体の高速噴霧流を基盤に衝突させる実験を行い、マイクロスラッシュ噴霧流の超高熱流速熱伝達特性及び冷却特性を計測した。計測は液体窒素噴霧流とマイクロスラッシュ窒素(固液二相流体)噴霧流とで行った。パッケージ接合部におけるマイクロスラッシュ強制対流と融解潜熱による熱伝達特性に関し詳細に計測した。パッケージ接合部は微小空間であるため接合部と基盤内部には高精度マイクロ熱電対を内蔵せしめ、微小空間接合部熱流速に関する高精度計測を行った。温度場の計測に関しては、サーモグラフィーを併用して行った。
果である。マイクロスラッシュ噴霧を用いた場合、噴霧開始からわずか4秒程度の短い噴霧時間で105 W/m2レベルの超高熱流速を達成し、これは液体窒素噴霧の2倍以上の冷却熱
流速を有することから、非常に高い冷却性能を有していることが分かる。これに対し、液体窒素のみの噴霧流では104 W/m2レベルの熱流速が限界であり、液体窒素のみでは超高熱流速のブレークスルーは望めないことが分かる。
マイクロスラッシュ噴霧流に関し、直接接触による壁面熱伝達量、高速衝突による強制対流熱伝達、融解潜熱に基づく熱伝達量を検討したり、マイクロスラッシュの融解潜熱に基づく超高熱流速熱伝達特性に関する検討をしたり、マイクロスラッシュ噴霧冷却に及ぼす粒径・粒子相体積分率の影響に関する数値予測と、超高熱流速熱伝達を可能とする最適粒径分布制御法を確立するための解析を行うことが可能である。
器の冷却技術(極低温マイクロスラッシュ超高熱流速電子冷却システム及びマイクロスラッシュ二相流冷却式電子機器を包含する)では、次世代の超高熱流速冷却の求められる、半導体部品、IC、LSIなどの半導体素子、コンピューターチップ、CPU、GPUなどのマイク
ロプロセッサなどを有効に冷却することが可能であり、さらには、ホットスポットも効率的に冷却できる。よって、次世代コンピューターに必須の冷却機構開発問題を解決する。本冷却技術で、次世代コンピューターのシステムの高速化、高密度化及び高信頼性化を実現させることが可能となる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
2:セラミックヒータ
3:押さえ板
4:ヒータリード線
5:熱流速センサユニット
6:縦型可視化容器
7:4面アクリル板
8:角ネジ
9:窒素ガス出口
10:ステッピングモータ
11:液体窒素タンク
12:液体ヘリウムタンク
13:液体窒素導管
14:液体ヘリウム導管
15:ヘリウムガス入り口バルブ
16:キャスタ付き架台
21:熱絶縁板
Claims (15)
- 極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として使用することを特徴とする電子機器の冷却法。
- 極低温マイクロスラッシュ固液二相流体がマイクロスラッシュ窒素であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の冷却法。
- 電子機器発熱体より熱を吸収するように極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として該電子機器発熱体に供給せしめることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器の冷却法。
- 電子機器が、半導体部品、IC、LSIなどの半導体素子、コンピューターチップ、及び、CPU、GPUを含むマイクロプロセッサからなる群から選択されたものであることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。 - 極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を電子機器発熱体のパッケージ接合部空隙に供給して冷却を行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
- 極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を電子機器発熱体のマイクロチャンネルに流して熱伝達を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
- 極低温マイクロスラッシュの噴霧流を、電子機器発熱体に高速衝突せしめて熱伝達を行うものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
- 極低温マイクロスラッシュ粒子の融解潜熱を電子機器発熱体からの熱伝達に利用するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の電子機器の冷却法。
- 電子機器発熱体の冷却装置であって、個々の発熱体を冷却する液冷媒を当該発熱体と接触せしめて伝熱せしめる冷却モジュールと、液冷媒をこの発熱体に供給する液冷媒供給回路と、当該液冷媒供給回路を通して液冷媒を循環せしめるように働く液冷媒駆動手段とを備え、該液冷媒がマイクロスラッシュ固液二相流体であり、当該冷却装置に極低温マイクロスラッシュ微粒化ノズルを備えたマイクロスラッシュ生成システムが備えられていることを特徴とする電子機器冷却装置。
- 極低温マイクロスラッシュ微粒化ノズルが、スパイラルノズルを備えているものであることを特徴とする請求項9に記載の電子機器冷却装置。
- 極低温マイクロスラッシュ微粒化ノズルが、超音波振動子をノズル噴出口部に設置してあるものであることを特徴とする請求項9又は10に記載の電子機器冷却装置。
- 冷却モジュールが、電子機器発熱体のパッケージ接合部空隙を有するもの、又は、電子機器発熱体の発熱部に隣接するマイクロチャンネルを有するものであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一に記載の電子機器冷却装置。
- 電子機器発熱体のパッケージ接合部空隙又は電子機器発熱体の発熱部に隣接するマイクロチャンネルに、極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を流して熱伝達を行うものであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一に記載の電子機器冷却装置。
- 電子機器発熱体の冷却を液化ガスの極低温マイクロスラッシュ固液二相流体を冷媒として使用して行うものであることを特徴とする極低温マイクロスラッシュ超高熱流速電子冷却システム。
- 液化ガスの極低温マイクロスラッシュ固液二相流体がマイクロスラッシュ窒素であることを特徴とする請求項14に記載の極低温マイクロスラッシュ超高熱流速電子冷却システム。
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