JP2006052368A - ペースト組成物、焼成体、ペースト用樹脂、ペースト用樹脂溶液組成物及びプラズマディスプレイパネル前面板製造方法 - Google Patents

ペースト組成物、焼成体、ペースト用樹脂、ペースト用樹脂溶液組成物及びプラズマディスプレイパネル前面板製造方法 Download PDF

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JP2006052368A JP2004244806A JP2004244806A JP2006052368A JP 2006052368 A JP2006052368 A JP 2006052368A JP 2004244806 A JP2004244806 A JP 2004244806A JP 2004244806 A JP2004244806 A JP 2004244806A JP 2006052368 A JP2006052368 A JP 2006052368A
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恒夫 真鍋
Atsushi Shibata
敦司 芝田
Junya Naito
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Abstract

【課題】ファインラインの印刷性に優れ、シート材料との密着性の良い塗布層を形成し得るペースト組成物、並びに該ペースト組成物に適したペースト用樹脂及びペースト用樹脂溶液組成物を提供すること。さらに、該ペースト組成物を用い、ブラックマトリックスを有するプラズマディスプレイ前面板の製造方法を提供すること。
【解決手段】水酸基を有する単量体を重合成分として0.5〜30質量%含有し、重量平均分子量が37万〜100万であるアクリル重合体をペースト用樹脂として用いる。ペースト組成物は、水酸基を有する単量体を重合成分として含有するアクリル重合体、無機粉末、非イオン性界面活性剤及び溶剤を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル前面板(以下、PDP前面板という。)のブラックマトリックス、透明誘電体などの無機焼結体の形成に用いることができるペースト組成物、並びに該ペースト組成物に好適なペースト用樹脂及びペースト用樹脂溶液組成物に関する。また、本発明はPDP前面板の製造方法及び焼成体に関する。
無機焼結体は前記ブラックマトリックスをはじめ種々の分野で広く使用されている。このような無機焼結体の形成は、有機バインダとしての樹脂、該樹脂を溶解する溶剤等からなるビヒクルと無機粉体を含有しているペーストを塗布後乾燥して焼成する方法、または、無機粉体と樹脂とを含有するシート材料を貼り付けた後乾燥して焼成する方法等により行われる。特に、典型的な線幅が500μm以下であるようなファインライン等のパターンを得るような場合は、スクリーン印刷等の直接印刷法によりペーストをパターン状に印刷する方法や、ペーストの全面塗布膜または全面に貼り付けたシートをパターン露光し現像する方法が取られている。
近年大型平面カラーディスプレイ装置として注目され、典型的には、表示面として使用される前面板、背面板及び隔壁によりセルが区画形成されており、該セル中でプラズマ放電を発生させることにより画像が形成されるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという。)においても、例えば、その前面板には、表示のコントラストを高めることを目的とし、前面板に形成された電極ライン間の非発光領域に、ファインライン状の黒色顔料を含むブラックマトリックスと呼ばれる無機焼結体が形成されている。また、後述する透明誘電体層も前面板に形成されている。
従来、ブラックマトリックスを有するPDP(以下、BM付きPDPという。)の前面板は、例えば次のようにして製造される。すなわち、ガラス基板の一方の面に、その面に沿った放電を生じさせるための平行した一対の直線状の表示電極(以下、表示電極対という。)を、マトリックス表示のライン毎に一対ずつ配置されるように形成する。表示電極対の各表示電極は、幅の広い直線状の透明電極(ITO膜)と、その透明電極表面の一部に形成される幅の狭い直線状のバス電極(金属(AgまたはCr−Cu−Cr)膜)とからなる。
バス電極がAg電極である場合は、Ag粉末を含む感光性ペーストを全面に塗布し乾燥後、所定のパターンを有したフォトマスクを用いて露光し、現像することにより、パターン状のAg膜(有機バインダを含む)を得る。その後、表示電極対間隙の非表示部分の遮光膜として、黒色顔料粉末とガラス粉末と感光性樹脂とを含むペーストを全面に印刷し乾燥した後、露光し、現像することにより、表示電極対間隙に帯状の黒色誘電体膜(有機バインダを含む)を得る。この時点で、焼成が行われ、Ag膜および黒色誘電体膜の各有機バインダを熱分解除去し、Ag電極とブラックマトリックスが得られる。
次に、表示電極対及びブラックマトリックスを空間放電から保護すべくその上に透明誘電体層を被覆する。すなわち、透明誘電体用ガラスペーストを、表示電極対を被覆するように全面に塗布して、再度焼成を行い透明誘電体層とする(例えば、特許文献1参照)。
その後、透明誘電体層の表面に透明な保護膜を蒸着する。
一方、バス電極がCr−Cu−Cr電極である場合は、それを被覆する誘電体膜が無い状態で焼成を行うと、Cr−Cu−Cr電極が酸化して劣化してしまうため、その上に透明誘電体層を被覆する。すなわち、透明誘電体用ガラスペーストを、表示電極対を被覆す
るように全面に塗布し、その上に、表示電極対間隙の非表示部分に重なるような位置に、黒色顔料粉末と感光性樹脂とを含むペーストを全面に印刷し乾燥した後、露光し、現像することにより、表示電極対間隙に帯状の黒色誘電体膜(有機バインダを含む)を得る。その後、焼成して透明誘電体層とブラックマトリックスとを形成する(例えば、特許文献2参照)。
上記従来技術においては、ブラックマトリックスの形成に用いられるペースト用樹脂としては感光性樹脂が用いられているが、この他にエチルセルロース又は熱硬化性樹脂が用いられていた(例えば、前者については特許文献3、後者については特許文献4参照)。
また、前記透明誘電体用ガラスペーストの樹脂としては一般にエチルセルロースが用いられている。
これら従来使用されていた樹脂は熱分解残渣が残りやすいため、熱分解残渣による気泡欠陥などが生じやすかった。
特開2003−151450号公報 特開平9−129142号公報 特開2000−351650号公報 特開2000−67750号公報
上述の通り、エチルセルロース、感光性樹脂又は熱硬化性樹脂は、熱分解残渣が残りやすいので、これらの樹脂と無機粉体とを含有したペーストを塗布乾燥して形成したペースト塗布層上に、さらに無機粉体を含有するペースト塗布層またはシート材料を積層して一括焼成した場合に、気泡欠陥などを生じやすいという欠点を有している。上記特許文献4では、ペースト塗布層の積層体を一括焼成する手法が提案されているが、ペースト塗布層上にシート材料を加熱ラミネートして積層させた場合にシート材料との密着性が充分でなくなるおそれがあった。
また、熱分解性に優れた熱可塑性アクリル樹脂は、従来、例えばPDP用蛍光体ペーストには使用されていたが、糸引き性が強いことなどから版離れ不良が発生しスクリーン印刷時のパターン精度に劣る、得られた焼成体の表面粗さが大きい等の品質上の問題点があり、また、スクリーン版の裏拭き工程が必要になるなど作業性に劣るという問題点があり、ファインライン、透明誘電体層等の形成への適用は困難であった。
本発明は、このような状況に鑑み、スクリーン印刷における印刷性たとえばファインラインや透明誘電体層の印刷性に優れ、ペースト塗布層の上にシート材料を積層した場合においても、積層体の密着性が良く、さらに積層体を一括焼成しても問題がない、または表面粗さが小さい透明誘電体層が得られるペースト組成物を提供することを目的とする。本発明は、また、該ペースト組成物に適したペースト用樹脂及びペースト用樹脂溶液組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、該ペースト組成物を用いるPDP前面板の製造方法及び焼成体を提供することを目的とする。
本発明によれば、下記構成のペースト組成物、ペースト用樹脂及びペースト用樹脂溶液組成物、さらにはブラックマトリックスを有するPDP前面板の製造方法が提供される。
1.無機粉末、有機バインダ、非イオン性界面活性剤及び溶剤を含むペースト組成物であって、水酸基を有する単量体を重合成分として含有するアクリル重合体(A)を有機バインダが含有することを特徴とするペースト組成物。
2.アクリル重合体(A)が、水酸基を有する単量体を重合成分として0.5〜30質量%含むことを特徴とする上記1に記載のペースト組成物。
3.アクリル重合体(A)の重量平均分子量が37万〜100万であることを特徴とする上記1または2に記載のペースト組成物。
4.非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルアミン、ヒドロキシエチルアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミドからなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のペースト組成物。
5.有機バインダが、2種類以上のアクリル重合体を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のペースト組成物。
6.ブラックマトリックスを有するPDP前面板の製造方法であって、該前面板のガラス基板上に平行に複数の表示電極対を形成した後、表示電極対間のブラックマトリックスが形成されるべき部分に、無機粉末として少なくとも耐熱性黒色顔料粉末とガラス粉末とを含む上記1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を塗布し、乾燥した後、焼成して、該ペースト組成物をブラックマトリックスとすることを特徴とするPDP前面板の製造方法。
7.ガラス基板上に平行に複数の表示電極対が形成され該表示電極対が透明誘電体層によって被覆されているPDP前面板の製造方法であって、該透明誘電体層が形成されるべき部分に、無機粉末として少なくともガラス粉末を含む上記1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を塗布し、乾燥した後、焼成して該ペースト組成物を透明誘電体層とすることを特徴とするPDP前面板の製造方法。
8.上記1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を基材に塗布し、乾燥した後、焼成して得られる焼成体
9.水酸基を有する単量体を重合成分として0.5〜30質量%含有し、重量平均分子量が37万〜100万であるアクリル重合体であることを特徴とするペースト用樹脂。
10.アクリル重合体が、メタクリル単量体を重合成分として60質量%以上含有することを特徴とする上記9に記載のペースト用樹脂。
11.スクリーン印刷用ペーストに用いる上記9または10に記載のペースト用樹脂。
12.樹脂を5〜50質量%、及び沸点が150〜300℃の溶剤を50〜95質量%含有するペースト用樹脂溶液組成物であって、該樹脂が上記9〜11のいずれかに記載のペースト用樹脂であることを特徴とするペースト用樹脂溶液組成物。
本発明によれば、ペーストのスクリーン印刷におけるファインライン、透明誘電体層等の印刷性に優れ、塗布乾燥して得られるペースト塗布層の平滑性が向上する。また、本発明のペーストを用いれば、ペースト塗布層の上に誘電体シート組成物を加熱ラミネートした場合においても、得られた積層体の密着性を向上できる。さらに、積層体の焼成時における欠陥発生が抑制されることから、絶縁性に優れた無機焼結体を作製できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のペースト組成物は、無機粉末、有機バインダ、非イオン性界面活性剤及び溶剤を含有し、有機バインダとして、水酸基を有する単量体を重合成分として含有するアクリル重合体(A)を含む。
ここで、本明細書におけるアクリル重合体とは、全単量体中にアクリル単量体及びメタクリル単量体の占める割合が60質量%以上の(共)重合体をいう。アクリル重合体としては、メタクリル単量体を60質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むこと
がより好ましい。メタクリル単量体が60質量%未満であるとアクリル重合体の熱分解性が低下するおそれがある。
本発明のペースト組成物はアクリル重合体(A)を含むので、無機粉体の均質な分散安定化に優れ、ペースト粘度の時間変化を小さくでき、また、ペーストの糸引き性を抑制できることから、塗布乾燥して得られるペースト塗布層表面の平滑性を向上させることができる。また、アクリル重合体(A)を含むペースト塗布層は熱可塑性に優れるため、無機粉体及びビヒクルを含有する別の無機粉体ペーストや、そのような無機粉体ペーストを例えばPETフィルム上に塗布後乾燥して得られる無機粉体シート(無機粉体形成用転写フィルムとも呼ばれる。)を該ペースト塗布層の上に積層してもその積層界面に空隙が生じることなく、密着した積層体を得ることができる。
さらに、アクリル重合体(A)は、優れたファインライン印刷性、透明誘電体層印刷性を得るために好適なペースト粘度特性をもたらす。すなわち、低ズリ速度では高粘度であり、高ズリ速度では低粘度となるチキソトロピック性を有するようなペーストの組成を設計することができる。
ここで、前記好適なペースト粘度特性(チキソトロピック性)とは、次のように表すことができる。すなわち、ペースト組成物の粘度を回転粘度計により測定し、スピンドル回転数を10rpm(ずり速度=4s-1に相当する。)として測定した粘度をη10とし、スピンドル回転数を50rpm(ずり速度=20s-1に相当する。)として測定した粘度をη50とした場合に、ペースト粘度比η10/η50は1.4以上3.0以下であることが好ましく、1.5以上3.0以下であることがより好ましく、1.5以上2.5以下であることが特に好ましい。
アクリル重合体(A)が重合成分として含む水酸基を有する単量体の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(
メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが、他のアクリル単量体、メタクリル単量体との共重合性に優れるので、特に好ましい。
アクリル重合体(A)が重合成分として含む水酸基を有する単量体の含有量は、アクリル重合体(A)の重合成分の合計100質量%に対して、0.5〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。該含有量が0.5質量%未満であると、ペースト組成物における無機粉末の分散性が低下するおそれがあり、30質量%を超えると、アクリル重合体と溶剤とからなる樹脂溶液の製造時、さらに無機粉体を分散させたビヒクルがゲル化し易くなるおそれがある。
水酸基を有する単量体以外に、アクリル重合体(A)が重合成分として含むことができるアクリル単量体またはメタクリル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アク
リレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げられる。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量は37万〜100万が好ましく、40万〜80万がより好ましい。重量平均分子量が37万未満であると、好適なペースト粘度特性であるチキソトロピック性が不十分であり所望のライン印刷精度等が得られないおそれがあり、100万を超えると、製造しにくく、ペーストの安定性が低下して粘度が変化する、さらにペーストの糸引き性が大きくなり過ぎるおそれがある。
アクリル重合体(A)の重合方法は、特に制限されるものではないが、通常は溶液重合を用いることが好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤を仕込み、窒素気流中、適当な重合温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合に有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
重合用有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等で例示される芳香族炭化水素、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油等で例示される脂肪族系または脂環族系炭化水素、例えば、酢酸アルキル(ここで、アルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミルなどが例示される。以下、同じ。)、安息香酸メチル等で例示されるエステル、例えば、エチレングリコールもしくはジエチレングリコールのモノアセテート、ジアセテート、アルキルエーテルアセテート(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、モノアルキルエーテル、ジアルキルエーテル等で例示されるエチレングリコールの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレンエチレングリコール、トリプロピレングリコールのいずれかのグリコールのモノアセテート、ジアセテート、アルキルエーテルアセテート、モノアルキルエーテル(例えば、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル)、ジアルキルエーテル等で例示されるプロピレングリコール誘導体、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等で例示されるケトン、テキサノール(2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート)などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、または、2種以上混合して用いることができる。重合用有機溶媒としては沸点が高い溶剤が好ましく、具体的には沸点が150〜300℃の溶剤が好ましい。特に、DEGBEA、テキサノールが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート等で例示される有機過酸化物、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等で例示されるアゾ化合物などをそれぞれ単独又は組み合わせて使用することができる。
重合開始剤の使用量は、単量体の合計100質量部当り、一般には、約0.01〜5質量部であり、約0.02〜2質量部の範囲内とすることが好ましい。
重合温度としては、40〜80℃が好ましい。40℃未満であると、十分な反応速度が
得られないおそれがある。また、重合温度が80℃を超えると、分子量が低下するおそれがある。
なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、単量体を除くために、メタノール等による再沈澱法で精製することも可能である。
本発明のペースト組成物では、有機バインダが、2種類以上のアクリル重合体を含有してもよく、その場合にアクリル重合体(A)を少なくとも1種類含有する。また、少なくとも1種類のアクリル重合体は、重合成分として水酸基を有する単量体を10〜20質量%含有することが、ペーストを塗布乾燥させ、さらに他の無機粉体ペーストや無機粉体シートを積層した場合にも、界面に空隙が生じることなく、密着した積層体を得る上で、好ましい。さらに焼成時の気泡欠陥等の発生を防ぐ上でも好ましい。
また、本発明のペースト組成物はアクリル重合体以外の樹脂を有機バインダとして含んでもよい。
本発明のペースト組成物における有機バインダの含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。該含有量が1質量%未満では、無機粉末の分散安定性が低下しペーストの粘度の時間変化が大きくなるおそれがあり、より好ましくは4質量%以上であり、20質量%を超えると、有機バインダが熱分解して発生する気体が多くなりすぎて焼成体から該気体が逸出しきれず、焼成体に膨れや気泡欠陥を生じさせる、またはペーストの糸引き性が強くなるおそれがあり、より好ましくは15質量%以下である。
本発明のペースト組成物において、上記のアクリル重合体(A)を溶解する溶剤としては、焼成時に残留物となることのない有機溶剤を用いることが望ましい。好ましい有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート(ここで、アルキルとしては、n−ブチル、プロピル、エチルなどが例示される。以下同じ。)、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートや、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレートまたは2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジイソブチレートなどが挙げられる。特に好ましい有機溶剤は上記のうちの2種類以上を組み合わせた混合有機溶剤である。本発明における有機溶剤は、前記エーテル化合物以外の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
また、溶剤の沸点は150〜300℃であることが好ましく、220〜280℃であることがより好ましい。該沸点が150℃未満であるとスクリーン印刷後のペーストの乾燥速度が速くなり、また300℃を超えると乾燥速度が遅くなり、いずれの場合も作業性が低下するおそれがある。
本発明のペースト組成物における非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(ここで、アルキルとしては、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、2−イソデシル、cis−9−オクタデシルなどが例示される。以下同じ。)、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルアミン、ヒドロキシエチルアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミドからなる群から選ばれる1種類以上であることが好ましい。
本発明のペースト組成物においては非イオン性界面活性剤を添加することにより、ペーストの粘着性を低減すると共に、印刷時に発生するハネやダレを抑制し、印刷パターン精
度等を向上することができる。
本発明のペースト組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、0.05質量%以
上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、非イオン性界面活性剤が8質量%超では、ペーストの粘度が低下し、その保存安定性が低下するおそれがあり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
本発明のペースト組成物における無機粉末は用途に応じて適切に選ばれるべきであるが、ガラス粉末、顔料粉末、蛍光体粉末等が例示される。
本発明のペースト組成物には、上述した無機粉末、有機バインダ、有機溶剤、非イオン性界面活性剤の他に、本発明の目的を損なわない範囲で従来知られている可塑剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤等を含有してもよい。
本発明のペースト組成物は、通常は、スクリーン印刷法、ダイコート法、ロールコート法等によりガラス基板等に塗布され、乾燥されてペースト塗布層とされる。このペースト塗布層は乾燥、焼成されて焼成体(無機焼結体)とされる。
本発明のペースト組成物は、例えば次のようにして製造される。すなわち、ガラス粉末等の無機粉末とビヒクルとを乳鉢、3本ロールミル等により混練して製造される。
本発明のペースト組成物を用いて、BM付きPDP前面板はたとえば次のようにして製造される。すなわち、ガラス基板の一方の面に、マトリックス表示のライン毎に一対ずつ配置されるように表示電極対を形成する。表示電極対の各表示電極は、幅の広い直線状の透明電極(ITO膜)と、その透明電極表面の一部に形成される幅の狭い直線状のバス電極(Cr−Cu−Cr膜)とからなる。
次に、ガラス粉末、耐熱性黒色顔料粉末、非イオン性界面活性剤、アクリル重合体(A)及び溶剤を乳鉢、3本ロールミル等により混練して作製されたブラックマトリックス用ペーストを、表示のライン毎に形成される表示電極対の間の非表示領域となるべき部分にスクリーン印刷法により印刷し、乾燥する。続いて、透明誘電体用シートを、表示電極対を被覆するように全面に貼り付け、乾燥後焼成して、ブラックマトリックスと透明誘電体層を同時に形成する。
その後、従来公知の方法と同様にして透明誘電体層の表面に透明な保護膜を形成する。
このようにしてBM付きPDP前面板を製造すると、ブラックマトリックスと透明誘電体層とを一括焼成して形成しても、焼成時に気泡欠陥などが生じない又は生じにくいので、焼成回数を減らすことができ、この点で優れている。
前記BM付きPDP前面板の製造方法でブラックマトリックス用ペーストに用いるガラス粉末は、下記酸化物基準の質量百分率表示で、PbO+Bi23:30〜70%、B2
3+ZnO:2〜45%、SiO2+Al23:1〜35%、から本質的になることが好ましい。この好ましい態様においては、その他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよいが、その合計は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
前記ブラックマトリックス用ペーストにおける無機粉末中のガラス粉末の含有割合は、50〜80質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
また、同ペーストにおける耐熱性黒色顔料粉末としては、例えばCr−Cu−Mn系等のCr系顔料やFe−Mn系等のFe系顔料、Co−Mn−Fe系、Co34等のCo系顔料が使用できる。また、同ペースト中の黒色顔料粉末の含有量は、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
(アクリル重合体の合成)
合成例1
攪拌機、還流冷却管、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に、初期添加用有機溶媒としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(DEGBEA)50質量部を入れ、別の容器で、単量体としてイソブチルメタクリレート(iBMA)87質量部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)13質量部とを混合した。単量体混合物の75質量%を反応装置に加えてから内容物を加熱し、温度80℃の条件下で、単量体混合物の残量25質量%とDEGBEA50質量部及び重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド(BPO)0.1質量部からなる重合開始剤溶液とを80℃で2.5時間にわたって均一に逐次滴下して反応させ、さらにDEGBEA50質量部及びBPO1質量部からなる重合開始剤溶液を80℃で3時間にわたって均一に逐次滴下して反応させた。 そのまま、温度80℃の条件下で3時間放置し、重合反応を継続させた。反応終了後、冷却し、DEGBEA83質量部を加えて希釈し、アクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は37万であった。
合成例2
攪拌機、還流冷却管、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に、初期添加用有機溶媒として2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート(TMPDMIB)50質量部を入れ、別の容器で、単量体としてiBMA88質量部と2−ヒドロキシブチルメタクリレート(2HBMA)12質量部とを混合した。単量体混合物の50質量%を反応装置に加えてから内容物を加熱し、温度90℃の条件下で、単量体混合物の残量50質量%とTMPDMIB50質量部及びBPO0.15質量部からなる重合開始剤溶液とを90℃で2時間にわたって均一に逐次滴下して反応させ、さらにTMPDMIB50質量部及びBPO1質量部からなる重合開始剤溶液を90℃で3時間にわたって均一に逐次滴下して反応させた。そのまま、温度90℃の条件下で3時間放置し、重合反応を継続させた。反応終了後、冷却し、TMPDMIB83質量部を加えて希釈し、アクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は25万であった。
合成例3
合成例1において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA76質量部、n−ブチルメタクリレート(nBMA)20質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)4質量部に変更した以外は、合成例1と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は40万であった。
合成例4
攪拌機、還流冷却管、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に、初期添加用有機溶媒としてTMPDMIB50質量部と、単量体としてiBMA69質量部、ブチルアクリレート(BA)15質量部及び2HEMA16質量部を混合した単量体混合物とを加えた後、加熱し、温度70℃の条件下で、TMPDMIB50質量部及びBPO0.1質量部からなる重合開始剤溶液とを70℃で3時間にわたって均一に逐次滴下して反応させ、さらにTMPDMIB50質量部及びBPO1質量部からなる重合開始剤溶液を70℃で3時間にわたって均一に逐次滴下して反応させた。そのまま、温度70℃の条件下で3時間放置し、重合反応を継続させた。反応終了後、冷却し、TMPDMIB83質量部を加えて希釈し、アクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は65万であった。
合成例5
合成例2において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA67質量部、nBMA30質量部及び2HEMA3質量部に変更した以外は、合成例2と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は20万であった。
合成例6
合成例1において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA94質量部及び2HEMA6質量部に変更し、溶剤をDEGBEAからTMPDMIBに変更した以外は、合成例1と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は45万であった。
合成例7
合成例2において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA100質量部に変更した以外は、合成例2と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は25万であった。
合成例8
合成例1において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA94質量部及び2HEMA6質量部に変更し、溶剤をDEGBEAからTMPDMIBに変更した以外は、合成例1と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は60万であった。
合成例9
合成例1において、単量体混合物の組成を、表1に示すように、iBMA100質量部に変更し、溶剤をDEGBEAからTMPDMIBに変更した以外は、合成例1と同様にしてアクリル重合体溶液を得た。この重合体の重量平均分子量は40万であった。
Figure 2006052368
質量百分率表示の組成が、PbO:65%、B23:10%、SiO2:15%、Zn
O:10%であり、軟化点が500℃であるガラス粉末と、Mn、Cr及びCuを含む耐熱性黒色顔料粉末を用意し、表2、3に示す質量百分率でガラス粉末、黒色顔料粉末、アクリルビヒクル、ビヒクル希釈溶剤及び添加剤を混練し、表2、3に示すペースト粘度比η10/η50となるように粘度調整し、ペースト組成物を作製した。表2の例1〜3は本発明、例4〜6は比較例で、表3の例7〜9は本発明、例10〜11は比較例である。
表2、3において、アクリルビヒクルとは、実施例1のアクリル重合体の各合成例に従って作製したアクリル重合体溶液である。添加剤POEAEは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(日本油脂社製、ノニオンTA412)であり、添加剤HELAは、ヒドロキシエチルラウリルアミン(日本油脂社製、ナイミーンL−201)であり、共に本発明の非イオン性界面活性剤である。
例1〜11のペースト組成物を、ガラス基板上の50mm×50mmの領域に、325メッシュのステンレス鋼製スクリーンを用いて、厚さ15μm、ライン幅200μm、ライン長45mmのラインをライン間隔300μmで20本印刷し、120℃で10分間乾燥し、ライン状のペースト塗布層を形成した。
形成したペースト塗布層の厚みを、触針式表面粗さ形状測定装置で測定し、最大膜厚から最小膜厚を引いた差分を膜厚ムラとして表2、3に表した。また、該塗布層の表面凹凸と、及びラインエッジのダレや糸引き痕によって生じるライン幅方向の凹凸とを目視観察で調べた。表2、3中、○は凹凸が認められなかったもの、○△は凹凸が小さく数も少なかったもの、△は凹凸は小さかったが数が多かったもの、×は凹凸が大きかったものをそれぞれ示す。
次に、質量百分率表示の組成が、PbO:64.5%、B23:21%、SiO2:2
.5%、Al23:3.0%、ZnO:7.0%、CuO:0.5%、In23:1.5%であり、軟化点が485℃であるガラス粉末Aと、セラミック焼成用アクリル樹脂とからなる透明誘電体シートを用意し、そのカバーフィルムを剥離し、支持フィルム上の透明誘電体シートを、上下から加熱されたシリコンラバーロールによって圧着するラミネータにより前記ペースト塗布層を被覆するように貼り付けた。この際のラミネートロールの温度は80℃、ラミネート圧力は0.5MPaであった。その後、透明誘電体シートの支持フィルムを剥離し、ペースト塗布層と透明誘電体シートとを600℃30分で一括焼成し、ブラックマトリックスと透明誘電体を形成した。
透明誘電体シートをペースト塗布層に貼り付けた際のラミネート性と、ペースト塗布層と透明誘電体シートとを一括焼成した際にペースト塗布層に発生する気泡欠陥の有無とを調べ、その結果を表2、3中に示した。
透明誘電体シートのラミネート性は、○は支持フィルム剥離後に基板およびペースト塗布層との界面にシートの浮きが見られなかったもの、△は支持フィルム剥離後にペースト塗布層との界面に一部シートの浮きが見られたものをそれぞれ示す。
Figure 2006052368
Figure 2006052368
前記ガラス粉末Aと、質量百分率表示の組成が、PbO:67%、B23:3%、SiO2:28%、MgO:2%であり、軟化点が570℃であるガラス粉末Bとを用意し、
表4に質量百分率表示で示す割合で、ガラス粉末、アクリルビヒクル、添加剤、可塑剤及び分散剤を混練し、ペースト粘度比η10/η50が同表に示す値となるように粘度調整し、ペースト組成物を作成した。例12〜15は本発明、例16は比較例である。
前記アクリルビヒクルとは、実施例1のアクリル重合体の各合成例に従って作成したアクリル重合体溶液である。添加剤POEAEは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(日本油脂社製、ノニオンTA405)であり、添加剤HELAは、ヒドロキシエチルラウリルアミン(日本油脂社製、ナイミーンL−201)であり、ともに非イオン性界面活性剤である。可塑剤DBPはジnブチルフタレートである。
例12〜16の各ペースト組成物について、ガラス基板上の50mm×50mmの領域に200メッシュのステンレス鋼製スクリーンを用いて厚さ15μm、45mm×45mmの正方形状ペースト塗布層を形成し、120℃で20分間乾燥して第1層のペースト塗布層を得た。例13、15についてはさらに第1層の塗布層に重ねるように、前記スクリーンを用いて45mm×45mmの正方形状の第2層ペースト塗布層を形成した。例12、14、16の塗布層の厚みは15μm、例13、15の塗布層の厚みは30μmであった。
このようにして得られた塗布層の表面粗さを触針式表面粗さ形状測定装置で測定した。
ISO4287:1997(国際標準)に基づく基準長毎平均表面粗さRa及び基準長毎の最大高さの平均値Rzを表4に示す。Ra、Rzはそれぞれ0.7μm以下、4.0μm以下であることが好ましい。
次に、前記塗布層を600℃30分で焼成し透明誘電体層を形成した。例12、13、14、15、16の透明誘電体層の厚みはそれぞれ10μm、18μm、7μm、12μm、8μmであった。
得られた透明誘電体層の表面粗さを塗布層の表面粗さ測定と同様にして測定した。透明誘電体層のRa及びRzを表4に示す。Ra、Rzはそれぞれ0.3μm以下、1.0μm以下であることが好ましい。
また、該透明誘電体層の波長550nmにおける可視光透過率を測定した。結果を表4に示す。同可視光透過率は78%以上であることが好ましい。
表4の例13、15の塗布膜表面粗さの値は第2層の測定値であるが、第1層のみのものも作製しこれらについても表面粗さを測定した。その結果、該表面粗さは表4の表面粗さの値と同じであった。すなわち、これらについては積層して印刷を行った場合においても表面平滑性に優れた透明誘電体層が得られることがわかる。
Figure 2006052368

Claims (12)

  1. 無機粉末、有機バインダ、非イオン性界面活性剤及び溶剤を含むペースト組成物であって、水酸基を有する単量体を重合成分として含有するアクリル重合体(A)を有機バインダが含有することを特徴とするペースト組成物。
  2. アクリル重合体(A)が、水酸基を有する単量体を重合成分として0.5〜30質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
  3. アクリル重合体(A)の重量平均分子量が37万〜100万であることを特徴とする請求項1または2に記載のペースト組成物。
  4. 非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルアミン、ヒドロキシエチルアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミドからなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペースト組成物。
  5. 有機バインダが、2種類以上のアクリル重合体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペースト組成物。
  6. ブラックマトリックスを有するプラズマディスプレイパネル前面板の製造方法であって、該前面板のガラス基板上に平行に複数の表示電極対を形成した後、表示電極対間のブラックマトリックスが形成されるべき部分に、無機粉末として少なくとも耐熱性黒色顔料粉末とガラス粉末とを含む請求項1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を塗布し、乾燥した後、焼成して、該ペースト組成物をブラックマトリックスとすることを特徴とするプラズマディスプレイパネル前面板の製造方法。
  7. ガラス基板上に平行に複数の表示電極対が形成され該表示電極対が透明誘電体層によって被覆されているプラズマディスプレイパネル前面板の製造方法であって、透明誘電体層が形成されるべき部分に、無機粉末として少なくともガラス粉末を含む請求項1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を塗布し、乾燥した後、焼成して、該ペースト組成物を透明誘電体層とすることを特徴とするプラズマディスプレイパネル前面板の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のペースト組成物を基材に塗布し、乾燥した後、焼成して得られる焼成体。
  9. 水酸基を有する単量体を重合成分として0.5〜30質量%含有し、重量平均分子量が37万〜100万であるアクリル重合体であることを特徴とするペースト用樹脂。
  10. アクリル重合体が、メタクリル単量体を重合成分として60質量%以上含有することを特徴とする請求項9に記載のペースト用樹脂。
  11. スクリーン印刷用ペーストに用いる請求項9または10に記載のペースト用樹脂。
  12. 樹脂を5〜50質量%、及び沸点が150〜300℃の溶剤を50〜95質量%含有するペースト用樹脂溶液組成物であって、該樹脂が請求項9〜11のいずれかに記載のペースト用樹脂であることを特徴とするペースト用樹脂溶液組成物。
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