JP2006052343A - 乳酸系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生分解性を有し、かつ耐熱性、特に高温環境下における弾性特性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 乳酸系樹脂100質量部にロジン誘導体が10〜100質量部を配合している樹脂組成物を提供する。前記ロジン誘導体の軟化温度が100℃〜170℃で、
重合ロジンエステル、ロジン変性フェノール樹脂が用いられ、上記樹脂組成物からなる樹脂成形体は80℃における貯蔵弾性率を10MPa以上としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、特に高温環境下における弾性特性に優れた、乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物に関するものである。
樹脂成形品あるいは樹脂成形材からなる樹脂成形物はあらゆる産業分野および日常生活分野で利用されており、全世界の年間生産量は約1億トンにも達している。その大半は使用後に廃棄されており、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されてきている。このような認識のもとで、廃棄後に地球環境を乱さないよう生分解性を有し出発原料が植物に由来する植物原料プラスチックが注目されている。植物原料プラスチックは非枯渇資源を利用しプラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができるだけでなく、優れたリサイクル性を備えている。
植物原料プラスチックの中でも、特に乳酸系樹脂は澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工業的に量産可能でコストパフォーマンスが高いこと等により、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートの代替材料としてフィルム包装材や射出成形分野において注目されている。
しかし、乳酸系樹脂は比較的耐熱性に低いため耐熱性を必要とする用途に用いることは改良の余地がある。
耐熱性を改良する手段として、従来、乳酸系樹脂からなる成形品を結晶化することで耐熱性を向上させる手法が知られている。しかしながら、乳酸系樹脂は結晶化速度が非常に遅いため、実際の生産工程において結晶化処理を行うことが難しい。
従来、この種の乳酸系樹脂の結晶化速度を向上させることで耐熱性を付与する手法として下記に列挙する方法が開示されている。
(1)特開平9−278991号公報(特許文献1)
乳酸系樹脂に脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸エステルからなる40〜300℃の融点を有する化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を配合する。
(2)特開平11−5849号公報(特許文献2)
80〜300℃の融点または軟化点を有し、且つ10〜100cal/K/molの融解エントロピーを有する有機化合物を配合する。
(3)特開平11−116783号公報(特許文献3)
特定の化学構造を有する透明化剤を配合する。
(4)特開平11−116784号公報(特許文献4)
特定の化学構造を有する耐衝撃性改良剤を配合する。
(5)特開平8−3432号公報(特許文献5)
タルクおよび/または窒化ホウ素を配合する。
しかし、前記したいずれの方法も結晶化の工程が必要となるうえに、乳酸系樹脂は結晶化速度が非常に遅いため、結晶化工程に時間がかかり、ひいては成形サイクルが非常に長くなることから実用的な技術とは言い難い。
また、特開2000−7903号公報(特許文献6)には乳酸系樹脂にテルペンフェノール共重合体を配合することによりポリ乳酸のガラス転移温度を向上させ耐熱性を付与する方法が開示されている。
しかし、特許文献6に記載の方法では、ガラス転移温度の向上は微々たるものであり、後述の実施例に示したように乳酸系樹脂にテルペンフェノール共重合体を配合した樹脂組成物を用いた場合は、80℃における貯蔵弾性率が10MPa以下と耐熱性に乏しい。
特開平9−278991号公報 特開平11−5849号公報 特開平11−116783号公報 特開平11−116784号公報 特開平8−3432号公報 特開2000−7903号公報
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたもので、成形工程において時間のかかる結晶化工程を行うことなく乳酸系樹脂からなる成形体の耐熱性、特に、高温環境下における弾性特性を高めることを課題としている。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねると共に乳酸系樹脂に各種の配合材を配合して実験を重ねた結果、乳酸系樹脂にロジン誘導体を配合することにより、成形工程において結晶化処理を行わなくても、得られる成形体の耐熱性を向上させることができることを知見した。
前記知見に基づき、本発明は、乳酸系樹脂100質量部にロジン誘導体が10質量部以上100質量部以下で含まれていることを特徴とする樹脂組成物を提供している。
前記ロジン誘導体の軟化温度は乳酸系樹脂の軟化温度よりも高いため、乳酸系樹脂がガラス転移温度以上に加熱されても変形しにくくできる。よって、前記した従来の乳酸系樹脂の結晶化処理を行うことなく、耐熱性を高めることができる。さらに、ロジン誘導体は乳酸系樹脂と部分的に相溶するため、乳酸系樹脂の高温(Tg以上)での弾性率が向上し、耐熱性を付与することができる。
前記ロジン誘導体の配合量を、乳酸系樹脂100質量部に対して10質量部以上100質量部以下としているのは、10質量部以下であると耐熱性の向上という効果が得られにくい一方、ロジン誘導体の配合量が100質量部以上であると成形時および使用時にロジン誘導体が成形体表面へブリードアウトする可能性がある。
前記ロジン誘導体の配合量は、より好ましくは20質量部以上80質量部以下、特に50質量部以上80質量部以下が好ましく、70〜80質量部とすると耐衝撃性も高めることができる。
本発明で用いるロジン誘導体としては、軟化温度が100℃〜170℃のものを用いることが好ましい。
ロジン誘導体の軟化温度は、乳酸系樹脂の軟化温度よりも高ければ耐熱性を高めることはできるが、ロジン誘導体の軟化温度が100℃以上であれば、より少ない添加量で効率的に乳酸系樹脂の耐熱性を向上させることができる。また、軟化温度が170℃以下であるロジン誘導体を使用することにより製造時におけるハンドリングが容易となる。より好ましくは、ロジン誘導体の軟化温度は、より好ましくは130〜140℃である。
使用する乳酸系樹脂のガラス転移温度に対して、配合するロジン誘導体は、その軟化温度が40℃〜100℃の範囲で高いものが好適に用いられる。
本発明で用いるロジン誘導体としては、重合ロジンエステルまたはロジン変性フェノール樹脂が好ましい。ロジン誘導体の中でも重合ロジンエステルまたはロジン変性フェノール樹脂は軟化温度が高く、より効果的に乳酸系樹脂の耐熱性を向上することができるからである。
また、本発明は、前記樹脂組成物を射出成形した射出成形体を提供している。前記樹脂組成物は耐熱性を有するため、射出成形を所要形状とした射出成形体を製造することができる。かつ、優れた耐熱性を有するため家電製品、自動車内装部品または建材等のあらゆる分野で耐熱性が必要とされる用途に用いることができる。
本発明の樹脂組成物を前記射出成形に限らず、押出成形等によっても成形しているフィルム、シートまたはプレートを提供している。平均厚さを50〜1000μm程度としたフィルム、シートまたはプレートも優れた耐熱性を有するため、OA機器の絶縁部材等の耐熱性が必要とされる用途に使用することができる。
なお、フィルムはJIS K 6900における定義では「長さおよび幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるもの」とされている。また、シートは「薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう」とされている。このようにフィルムとシートの区別は明確でないため、本発明ではフィルムとは厚さ200μm未満、シートとは厚さ200μm以上500μm未満のものとして区別し、厚さ500mμm以上1000μm以下の二次元状あるいは三次元状のものはプレートと称する。
なお、前記フィルム、シートは延伸の有無は問わず、延伸時に乳酸系樹脂の結晶化が進行して耐熱性が高まるが、延伸処理していないフィルム、シートの場合においてもロジン誘導体を配合していることにより耐熱性を高めている。
前記した射出成形体、フィルム、シートまたはプレートは、80℃における貯蔵弾性率を10MPa以上としていることが好ましい。
即ち、80℃における高温雰囲気下において、衝撃に対する動的弾性エネルギーを測定し、弾性エネルギーが大きい場合に高温時において変形が生じにくい強度を備え、耐熱性を有するものと見なし、貯蔵弾性率は耐熱性を有することの指標としている。
80℃における貯蔵弾性率が10MPa以上の樹脂成形体は耐熱性が必要とされる用途に好適に使用することができる。なお、貯蔵弾性率は大きい程、耐熱性が大で、耐熱性を高めるため上限はないが、現在市販されているロジン誘導体を配合した場合における上限は300Mpa程度である。
80℃における貯蔵弾性率は、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所(株)製「VES−F3」)を用い、振動周波数10Hz、温度80℃の条件で測定する。
本発明の樹脂組成物においては、乳酸系樹脂をベース樹脂として用いることからリサイクル性にも優れ、廃棄後の環境負荷も低減できる。さらに、乳酸系樹脂にロジン誘導体を配合することにより乳酸系樹脂のガラス転移温度(60℃)以上の温度においても高い弾性率を保持することができる。ゆえに、本発明の樹脂組成物を用いれば、80℃程度の高温環境下においても変形しにくく耐熱性に優れた樹脂成形体、フィルム、シートまたはプレート等を提供できる。
さらに、従来から提案されている前述の手法とは異なり、本発明では結晶化処理を行う必要がないことから成形サイクルが短くてすみ、実用化の観点からも優れている。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本発明の樹脂組成物は、乳酸系樹脂100質量部にロジン誘導体が10〜100質量部含むものである。
前記乳酸系樹脂およびロジン誘導体等の各成分について下記に詳述する。
(乳酸系樹脂)
本発明で用いる乳酸系樹脂とは、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸およびD−乳酸の両方であるポリ(DL−乳酸)や、これらの混合体を含む。さらには、乳酸とα−ヒドロキシカルボン酸やジオールまたは/およびジカルボン酸との共重合体であってもよい。
前記乳酸系樹脂におけるL−乳酸とD−乳酸との割合は100:0〜0:100の任意の割合であってよいが、なかでもL−乳酸:D−乳酸=100:0〜90:10またはL−乳酸:D−乳酸=0:100〜10:90であることが好ましい。より好ましくは、L−乳酸:D−乳酸=99.5:0.5〜94:6またはL−乳酸:D−乳酸=0.5:99.5〜6:94である。なお、異なったL−乳酸とD−乳酸の共重合比を有する複数の乳酸系樹脂を混合した場合には、複数の乳酸系樹脂のL−乳酸とD−乳酸の共重合比の平均値が前記範囲に入るように設定することが好ましい。L−乳酸またはD−乳酸のホモポリマーとL−乳酸およびD−乳酸の共重合体とを混合すると、ブリードが発生しにくく耐熱性のバランスをとることができる。
本発明で好適に用いられる乳酸系樹脂の代表的なものとしては、三井化学(株)製「レイシア」シリーズ、カーギル・ダウ社製「Nature Works」シリーズ等が挙げられる。
また、本発明で用いられる乳酸系樹脂は重量平均分子量が5万〜40万であることが好ましい。これは5万未満であると実用物性がほとんど発現されず、40万を超えると溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣ることに因る。より好ましくは10万〜25万の範囲である。
乳酸系樹脂の重合方法としては縮重合法または開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば縮重合法ではL−乳酸もしくはD−乳酸またはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら選ばれた触媒を使用して重合することにより乳酸系樹脂を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつ乳酸系樹脂を得ることができる。
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、乳酸系樹脂の本質的な性質を損なわない範囲、すなわち乳酸系樹脂成分を90質量%以上含有する範囲で、少量の共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸および/またはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いてもよい。
さらに、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エポキシ化合物または酸無水物などを配合してもよい。
さらに、本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、乳酸および/または乳酸以外のα−ヒドロキシルカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位の共重合体であってもよい。但し、ポリ乳酸成分は50質量%以上含むことが好ましい。
前記他のヒドロキシルカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸もしくは2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトンもしくはバレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、乳酸系樹脂と脂肪族ジオールおよび/または脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
本発明の樹脂組成物においては、加工後の射出成形体の耐衝撃性を向上させるために乳酸系樹脂とジオールおよび/またはジカルボン酸の共重合体を配合することが好ましい。前記共重合体中に占める乳酸系樹脂の割合としては、耐熱性の点から下限は10質量%であることが好ましく、さらには20質量%であることがより好ましく、耐衝撃性付与効果の点から上限が80質量%であることが好ましく、さらには70質量%であることがより好ましい。
乳酸系樹脂とジオールおよび/またはジカルボン酸の共重合体の構造としてはランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体が挙げられ、何れの構造をとっていてもよいが、特に耐衝撃性改良効果、透明性の点からブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の具体例としては三菱化学(株)製「GS−Pla」シリーズが挙げられ、ブロック共重合体またはグラフト共重合体の具体例としては大日本インキ化学工業(株)製「プラメート」シリーズが挙げられる。
乳酸系樹脂とジオールおよび/またはジカルボン酸の共重合体の製造方法に関しては特に限定されないが、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールをラクチドと開環重合あるいはエステル交換反応させて得る方法や、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合やエステル交換反応することによって得る方法が挙げられる。
乳酸系樹脂に共重合される上記脂肪族ジオールとしては特に限定されないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオールもしくは1,12−ドデカンジオール等の直鎖状ジオール;プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオールもしくは1,5−ヘキサンジオール等の分岐鎖状ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコール等のポリオールが挙げられる。
乳酸系樹脂に共重合される上記ジカルボン酸成分としては特に限定されないが、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ドデカンジカルボン酸もしくはシクロヘキサンジカルボン酸等の直鎖状ジカルボン酸;メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、エチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、2−エチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−エチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、2−エチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−エチルアジピン酸もしくはメチルグルタル酸等の分岐状ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、ビスフェノールAもしくはビフェノール等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、上記乳酸系樹脂とジオールおよび/またはジカルボン酸の共重合体はイソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用いて所定の分子量に調整することが可能である。ただし、加工性、耐久性の面から乳酸系樹脂とジオールおよび/またはジカルボン酸の共重合体の重量平均分子量は5万〜30万の範囲が好ましく、10万〜25万の範囲がより好ましい。
(ロジン誘導体)
本発明に用いられるロジン誘導体としては、ロジンエステル、重合ロジンエステル、水素化ロジンエステル、酸変性ロジン、ロジンの金属塩またはロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。この中でも特に軟化温度の点から重合ロジンエステルまたはロジン変性フェノール樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いられる重合ロジンエステルの製造方法としては以下の方法が用いられる。
第一に、精製ガムロジン、精製ウッドロジンまたは精製トール油ロジン等の精製ロジンを出発原料として精製ロジンを重合して、精製重合ロジンを得る。かかる重合反応の条件は特に限定されず、既知の条件から適宜に選択される。例えば、精製ロジンを硫酸、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体スルホン化物等の触媒を含むトルエン、キシレン、ハロゲン化炭化水素等の溶媒中、温度40〜160℃程度で、1〜10時間程度反応させる方法等が挙げられる。
次に、得られた精製重合ロジンをアルコールでエステル化することにより重合ロジンエステルが得られる。当該エステル化反応においては、通常の条件をそのまま採用でき、例えば不活性ガス気流下に精製重合ロジンと以下のようなアルコールとを通常150〜300℃の加熱下で反応させ、生成水を系外に除去することにより行なえばよい。
エステル化に使用されるアルコール成分としては特に限定はされないが、例えばn−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコールもしくはラウリルアルコールのような1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールもしくはシクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタンもしくはトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトールもしくはジグリセリン等の4価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用できる。また、必要に応じてエステル化触媒または酸化防止剤を用いることもできる。エステル化触媒としては、例えば酢酸もしくはパラトルエンスルホン酸等の酸触媒、水酸化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウムもしくは酸化マグネシウム等の金属酸化物等が挙げられる。
さらに、上記精製重合ロジンエステルを水素化することにより、耐光性、色調を改良することができる。水素化反応としては既知の条件を適宜選択できる。
具体的には、例えば水素化触媒の存在下に通常1〜25MPa、好ましくは5〜20MPaの水素加圧下で精製重合ロジンエステルを加熱することにより行う。水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、ルテニウムカーボンもしくは白金カーボンなどの担持触媒、ニッケルもしくは白金等の金属粉末、ヨウ素もしくはヨウ化鉄等のヨウ化物等が挙げられる。特に好ましくはパラジウム、ロジウム、ルテニウムまたは白金系触媒である。該触媒の使用量は、精製重合ロジンエステルに対して通常0.01〜5質量%、好ましくは0.01〜2.0質量%であり、反応温度は100〜300℃、好ましくは150〜290℃である。
重合ロジンエステルの代表的なものとしては、荒川化学工業(株)製「ペンセル」シリーズ等があげられる。
本発明に用いられるロジン変性フェノール樹脂の製造方法としては特に限定されないが、例えばロジン類とフェノール類およびポリオール類を反応させる方法を用いることができる。ロジン類として、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、不均化ロジン、水素添加ロジンまたは重合ロジンなどが挙げられる。フェノール類としてはビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノールまたはp−ドデシルフェノールなどが挙げられる。また、ポリオール類としてはペンタエリスリトールまたはグリセリンなどが挙げられる。
より具体的には、ロジン変性フェノール樹脂は例えば次の方法で製造される。フェノール類とホルムアルデヒドを酸性触媒またはアルカリ性触媒の存在下、まず180℃以下の温度でノーボラック反応またはレゾール反応を行った後、冷却して水を除去し、脱水縮合反応をして低分子量フェノール樹脂とする。この低分子量フェノール樹脂と生ロジンとを200℃以上の温度で環化付加反応とエステル化反応を行い、更に250℃以上の温度でグリセリン、エチレングリコールまたはペンタエリスルトール等のポリオールとエステル化反応を行ってロジン変性フェノール樹脂とする。
ロジン変性フェノール樹脂の代表的なものとしては荒川化学工業(株)製「タマノル」シリーズ等があげられる。
本発明の樹脂組成物では、軟化温度が100〜170℃(好ましくは120〜150℃)のロジン誘導体を乳酸系樹脂100質量部に対して10〜100質量部(好ましく20〜80質量部)の割合で配合している。
(その他の成分)
また、耐熱性および成形品毎に要求される特性を損なわない範囲で、下記に示す樹脂成分あるいは添加剤を配合することができる。
樹脂成分の代表的なものとしては、耐衝撃性および成形性の改良効果を付与するものとして、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオール・ジカルボン酸と乳酸系樹脂の共重合体等が挙げられる。
添加剤の代表的なものとしては、耐久性を付与するものとしてカルボジイミド化合物が挙げられる。また、それ以外の添加剤としては、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、可塑剤、核剤、光安定剤、顔料または染料、可塑剤等が挙げられる。これらの添加剤は単独であるいは複数種類を組み合わせて使用することができる。
本発明で用い得る「乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル」としては、例えば、乳酸系樹脂を除くポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。
上記「ポリヒドロキシカルボン酸」としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸または2−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体を挙げることができる。
上記「脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル」としては、後述する脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類あるいは2種類以上選んで縮合するか、または必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップして所望のポリマー(高分子)として得ることができる重合体を挙げることができる。この際の「脂肪族ジオール」としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノール等を代表的に挙げることができ、上記の「脂肪族ジカルボン酸」としてはコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸またはドデカン二酸等を代表的に挙げることができる。
上記「環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステル」としては、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンおよびβ−メチル−δ−バレロラクトン等の環状モノマーの中から1種類以上を選んで重合して得られる重合体を代表的に挙げることができる。
上記「合成系脂肪族ポリエステル」としては、環状酸無水物とオキシラン類、例えば無水コハク酸とエチレンオキサイドまたは/およびプロピオンオキサイド等との共重合体等を挙げることができる。
上記「菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル」としては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用特性向上のために吉草酸ユニット(HV)を共重合しポリ(3HB−CO−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。前記共重合体において、HV共重合比は一般的には0〜40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合してもよい。
上記乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸を重合して得られる昭和高分子(株)製の「ビオノーレ」シリーズを商業的に入手することができ、また、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるダイセル化学工業(株)製「セルグリーン」シリーズを商業的に入手することができる。
以上述べてきた乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステルを配合する場合は、本発明の樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して10質量部以上配合することが好ましい。10質量部以上含まれていれば、金型からの離形性に優れるという利点がある。
また、乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが好ましく、また耐衝撃性を向上させるためにガラス転移温度(Tg)が0℃以上であることも好ましい。
本発明で用い得る「芳香族脂肪族ポリエステル」としては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。例えば芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分および脂肪族ジオール成分を縮合して得られる。
芳香族ジカルボン酸成分としては例えばイソフタル酸、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸成分としては例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸またはドデカン二酸等が挙げられる。また、脂肪族ジオールとしては例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分または脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上を用いてもよい。
本発明において、最も好適に用いられる芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールである。
上記芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体等が挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Eastman Chemicals社製の「Eastar Bio」を商業的に入手することができ、また、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、BASF社製の「Ecoflex」を商業的に入手することができる。
以上述べた芳香族脂肪族ポリエステルを配合する場合は、本発明の樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して10質量部以上配合することが好ましい。芳香族脂肪族ポリエステルが10質量部以上含まれていれば耐衝撃性、特にアイゾット衝撃強度が向上するという利点がある。
また、本発明で用いる芳香族脂肪族ポリエステルは耐衝撃性を向上させるためにガラス転移温度(Tg)が0℃以上であることが好ましい。
さらに、本発明で用いる芳香族脂肪族ポリエステルは生分解性を有することが好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分および脂肪族ジオール成分は生分解性を有することが知られているから、芳香族脂肪族ポリエステルにおいて生分解性を発現させるためには脂肪族鎖の間に芳香環を導入することが必要であり、そのため芳香族ジカルボン酸成分の含有量は50モル%以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、加工後の成形体に耐加水分解性を付与し、耐久性を向上させるためにカルボジイミド化合物を配合することが好ましい。
前記カルボジイミド化合物としては、下記一般式の基本構造を有するものが挙げられる。
−(N=C=N−R−)n−
前記式において、nは1以上の整数を示す。Rはその他の有機系結合単位を示す。Rの部分は脂肪族、脂環族または芳香族のいずれでもよい。通常、nは1〜50の間で適宜決められる。nが2以上の場合、2以上のRは同一であっても異なっていても良い。
前記カルボジイミド化合物として、具体的には例えばビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等およびこれらの単量体があげられる。該カルボジイミド化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。本発明で好適に用いられるカルボジイミド化合物は芳香族カルボジイミド化合物である。脂肪族カルボジイミド化合物でも耐加水分解性付与効果は十分であるが、芳香族カルボジイミドの方がより効果的に耐加水分解性を付与することができる。
前記カルボジイミド化合物は、本発明の樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部の割合で配合する。0.1質量部以上配合することにより、例えば温度60℃以上、相対湿度60%以上のような高温多湿の雰囲気下であっても空気中の水分により容易に加水分解されず、機械物性の低下を招くことが少なくなる。一方、10質量部を超えるとカルボジイミド化合物のブリードアウトが生じやすくなり、そのため成形体の外観不良や成形体の軟質化による耐熱性の低下が起こりやすくなる。
前記した乳酸系樹脂にロジン誘導体を配合した樹脂組成物は押出成形、射出成形等の成形方法により、平均厚さ200μm未満のフィルム、平均厚さ200μm以上500μm未満のシート、平均厚さ500mμm以上1000μm以下の二次元状あるいは三次元状のものはプレートを成形している。
以下に、成形方法について説明する。
まず、乳酸系樹脂、ロジン誘導体、さらに必要に応じて配合する他の成分などの各原料を押出成形機や射出成形機等の成形機に付設された原料投入口に投入し、混練しながら、あるいは押出口の直前で直接混合した後、射出成形金型あるいは押出成形金型等の成形機の金型内に直接押し出し、金型で所要形状に成形する。
あるいは、予めドライブレンドした原料を二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作成し、該ペレットを押出成形金型あるいは射出成形金型に押し出して、前記射出成形体、フィルム、シートまたはプレートを成形する。
いずれの方法においても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためには後者を選択することが好ましい。
具体的には、乳酸系樹脂、ロジン誘導体、さらに必要に応じて配合する他の成分を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成する。その際、乳酸系樹脂はL−乳酸とD−乳酸の組成比によって融点が変化すること、乳酸系樹脂とその他添加剤との混合割合によって混合樹脂の粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には100〜250℃、好ましくは160〜230℃の温度範囲が通常選択される。
前記方法にて作成したペレットを十分に乾燥して水分を除去する。具体的には、ペレットを真空条件下加熱して乾燥させる。このときの加熱温度は本発明の樹脂組成物のガラス転位温度を超えないことが好ましい。その後、以下の方法で射出成形体、フィルム、シートまたはプレートを成形する。
本発明において射出成形体の製造方法としては特に限定されないが、代表的には熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法および射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。
本発明で用いられる射出成形装置は一般射出成形機、ガスアシスト成形機および射出圧縮成形機等と、これらに用いられる成形用金型および付帯機器、金型温度制御装置および原料乾燥装置等を備えている。
成形条件は射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度が170℃〜210℃の範囲で成形することが好ましい。
射出成形体を非晶状態で得る場合は、成形サイクル(型閉〜射出〜保圧〜冷却〜型開〜取出)の冷却時間を短くするために金型温度はできるだけ低温とすることが好ましい。一般的に金型温度は15℃〜55℃であることが好ましく、チラーを用いることも望ましい。ただし、後結晶化時の成形体の収縮、反りおよび変形を抑えるためには、金型温度を15℃〜55℃の範囲内でも高温側に設定することが好ましく、例えば30〜50℃であることがより好ましい。
本発明においてフィルム、シートまたはプレートの製造方法としては特に限定されない。
例えば、射出成形あるいは押出成形で所要形状のシートまたはプレートを成形することができる。
立体形状のプレートは上述した射出成形あるいは所要厚さで押出成形されたシートをプレス法やTダイキャスト法で所要の立体形状に成形することにより得られる。
フィルムは押出成形で得られたシートをフィルム延伸法により少なくとも一方向に延伸させて形成される。フィルム延伸法としては任意の方法が採用され、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー法またはインフレーション法が挙げられる。
以下に、実施例1〜6および比較例1〜4を示す。これら実施例および比較例の成分の配合および80℃における貯蔵弾性率を下記の表1に示す。
Figure 2006052343
(貯蔵弾性率の測定)
粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所(株)製「VES−F3」)を用い、振動周波数10Hz、温度80℃で測定を行った。80℃における貯蔵弾性率は10MPa以上を実用基準とした。
(実施例1)
乳酸系樹脂としてカーギル・ダウ社製「Nature Works 4060D」(L−乳酸/D−乳酸=88.0/12.0、重量平均分子量:20万)、ロジン誘導体として荒川化学工業(株)製「ペンセルD−135」(重合ロジンエステル、軟化温度130〜140℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「ペンセルD−135」を質量比100:20の割合で混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工(株)製)を用いて200℃でコンパウンドし、ペレットを得た。得られたペレットを110mmφ単軸押出機(三菱重工(株)製)でTダイよりバレル温度200℃で押出し、キャスティングロールで55℃に急冷し200μm厚のシートを得た。
(実施例2)
「Nature Works 4060D」および「ペンセルD−135」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(実施例3)
「Nature Works 4060D」および「ペンセルD−135」の配合割合を質量比で100:80にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(実施例4)
ロジン誘導体として荒川化学工業(株)製「ペンセルD−125」(重合ロジンエステル、軟化温度120〜130℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「ペンセルD−125」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(実施例5)
ロジン誘導体として荒川化学工業(株)製「タマノル352」(ロジン変性フェノール樹脂、軟化温度160〜175℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「タマノル352」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(実施例6)
ロジン誘導体として荒川化学工業(株)製「タマノル135」(ロジン変性フェノール樹脂、軟化温度130〜140℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「タマノル135」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(比較例1)
ロジン誘導体を配合せず、「Nature Works 4060D」のみを110mmφ単軸押出機(三菱重工(株)製)でTダイよりバレル温度200℃で押出し、キャスティングロールで55℃に急冷し200μm厚のシートを得た。
(比較例2)
ロジン誘導体のかわりに、荒川化学工業(株)製「タマノル803L」(テルペンフェノール樹脂、軟化温度145〜160℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「タマノル803L」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(比較例3)
ロジン誘導体のかわりに、荒川化学工業(株)製「タマノル901」(テルペンフェノール樹脂、軟化温度120〜135℃)を用い、「Nature Works 4060D」および「タマノル901」の配合割合を質量比で100:50にした以外は実施例1と同様の方法で200μm厚のシートを得た。
(比較例4)
「Nature Works 4060D」および「ペンセルD−135」を質量比100:120の割合で混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工(株)製)を用いて200℃でコンパウンドし、ペレットを得た。得られたペレットを110mmφ単軸押出機(三菱重工(株)製)でTダイよりバレル温度200℃で押出し、キャスティングロールで55℃に急冷したが、ペンセルD−135のシート表面へのブリードが著しく、シートを作製することができなかった。
実施例1〜6および比較例1〜3で得られたシートの長手方向に関して80℃における貯蔵弾性率の評価を行った。結果を前記表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜6で作製されたシートは80℃における貯蔵弾性率が10MPa以上であり耐熱性に優れていることが確認できた。かつ、ロジン誘導体を乳酸系樹脂100質量部に対して80質量部配合した実施例3は80℃における貯蔵弾性率が253Mpaと非常に高く、衝撃に対する変形量がすくなく耐熱強度が優れたいた。また、ロジン誘導体を50質量部とした実施例2、4、5、6も80℃における貯蔵弾性率が31〜42Mpaと比較的高く、20質量部とした実施例1も14Mpaで必要とされる10Mpaを超えていた。
一方、ロジン誘導体を配合しなかった比較例1は80℃における貯蔵弾性率が6MPaしかなく、軟化温度120〜135℃であるが、ロジン誘導体ではないテルペンフェノール樹脂を乳酸系樹脂に配合した比較例2、3は、乳酸系樹脂と非相溶であるため、比較例1と同様の6MPaしかなく、耐熱性の向上に寄与しないことが確認できた。
図1に前記実施例2で作製されたシートと比較例1で作製されたシートにおける貯蔵弾性率と温度の関係を示した。実施例2で作製されたシートの方が比較例1で作製されたシートに比して特に60℃〜110℃の高温域で貯蔵弾性率が向上していることが確認できた。
本発明の樹脂組成物を用いて製造される射出成形体、フィルム、シートまたはプレートは優れた耐熱性を有するため、家電製品、自動車内装部品、建材、OA機器の絶縁部材等の耐熱性が必要とされる用途に使用することができる。
実施例2で作製されたシートと比較例1で作製されたシートにおける貯蔵弾性率と温度の関係を示す。

Claims (7)

  1. 乳酸系樹脂100質量部にロジン誘導体が10〜100質量部含まれていることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ロジン誘導体の軟化温度が100℃〜170℃である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ロジン誘導体が重合ロジンエステルである請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ロジン誘導体がロジン変性フェノール樹脂である請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形体。
  6. 80℃における貯蔵弾性率が10MPa以上である請求項5に記載の樹脂成形体。
  7. 押出成形あるいは射出成形され、平均厚さ200μm未満のフィルム、平均厚さ200μm以上500μm以下のシート、平均厚さが500μm以上の平板状プレートあるいは立体的プレートからなる請求項5または請求項6に記載の樹脂成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008221551A (ja) * 2007-03-12 2008-09-25 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 包装用フィルム
CN110919180A (zh) * 2018-09-20 2020-03-27 株式会社田村制作所 激光焊接用焊料组合物、电子基板、以及电子基板的制造方法

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