JP2006051895A - 高速船における船尾構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】推進用プロペラ3より船尾側において、推進用プロペラ3より上方の船底2aに配設された船尾付加部材を備えており、船尾付加部材が、船底2aを下方から見て、推進用プロペラ軸を通る延長線CLを両側から挟むように設けられた一対のフィン10,10であり、一対のフィン10,10が、両者の間隔が船首側から船尾側に向けて狭くなるように配設されている。推進用プロペラ3によって形成された、推進用プロペラ3より後方の水流を、一対のフィン10,10によって集めることができる。すると、船尾端から排出される水流を加速することができ、船尾端において波が形成される領域を狭くすることができるから、船尾端に形成される波に起因する造波抵抗を軽減することができる。
【選択図】図1
Description
通常の船舶では、空気抵抗は他の抵抗に比べて小さく無視できるので、摩擦抵抗と剰余抵抗を低減させることが必要であるが、剰余抵抗に含まれる造波抵抗は速度の2乗に比例して増加するため、船の速度が増加すると、造波抵抗の影響が強くなる。とくに、フルード数が0.25以上の高速船では、その抵抗の大部分を剰余抵抗に含まれる造波抵抗が占めるため、造波抵抗を軽減させることが重要である。
従来例1〜3の技術は、いずれも船尾の底面に、トリムタブやウェッジを設けることによる造波抵抗を軽減する技術であるが、従来例1,2は、トリムタブ等が発生する揚力により船尾端を持ち上げ、船尾の水没する量を少なくすることによって造波抵抗を軽減させる技術であり、従来例3は、ウェッジ部において水流を加速し、加速された水流を水平または下方に流すことによって造波抵抗を軽減させる技術である。
また、従来例3の技術は、ウェッジ部における水流を加速することはできるが、船尾において波が形成される領域を少なくすることはできないので、造波抵抗をそれほど軽減できない。しかも、ウェッジ部より前方に通常の船尾形状を有する船に比べて非常に遅い流れを形成させることになるので、造波抵抗を軽減できても、船舶の推進力の低下を招き、大きなエネルギーロスを生じさせる可能性がある。そして、船尾を特殊な形状としなければならないので、製造に手間がかかるし、製造コストも高くなる。
第2発明の高速船における船尾構造は、第1発明において、前記一対のフィンの刃元から刃先までの距離が、船首側から船尾側に向けて長くなるように形成されていることを特徴とする。
第3発明の高速船における船尾構造は、第1発明において、前記一対のフィンの船首側の端部が、駆動用プロペラよりも後方に配置されていることを特徴とする。
第4発明の高速船における船尾構造は、第1発明において、船舶の航行時において、前記一対のフィンの刃先が、喫水線と交差するように形成されていることを特徴とする。
第2発明によれば、船首側部分による抵抗を軽減でき、船尾端における整流効果を強くすることができる。
第3発明によれば、一対のフィンによって、駆動用プロペラよりも前方の流れを乱すことを防ぐことができる。
第4発明によれば、一対のフィン全体が水没しないので、一対のフィンによる抵抗を軽減することができる。また、一対のフィンの対向する面により波の発生を抑えることができるので、造波抵抗を軽減することができる。
図1は本実施形態の船尾構造を備えた高速船の船尾拡大図であって、(A)は側面図であり、(B)は底面図である。図2(A)は本実施形態の船尾構造を備えた高速船を船尾端からみた図であり、(B)はフィン10の拡大図である。図1および図2において、符号2は高速船1の船尾カウンタを示している。この船尾カウンタ2の下方には、高速船の推進用プロペラ3が配設されている。この推進用プロペラ3は、そのボス3bがエンジンに連結されている推進用プロペラ軸3aの端部に固定されている。この推進用プロペラ3の後方には舵4が設けられている。
そして、一対のフィン10,10はその形状が小さく舵4と干渉することがないから、一対のフィン10,10を設けても、船舶の航行には悪影響が及ばない。
そして、通常の船尾形状を有する高速船1の船尾に、一対のフィン10,10を取りつけるだけであるから、製造が容易であり、製造コストも低減することができる。
このため、一対のフィン10,10における船首側の部分と水との接触面積を小さくすることができるから、一対のフィン10,10により生じる摩擦抵抗や渦抵抗を軽減でき、かつ、船尾端における整流効果を強くすることができる。そして、一対のフィン10,10における船首側の部分と水との接触面積を小さくすれば、一対のフィン10,10が駆動用プロペラ3よりも前方の水流に与える影響も少なくすることができ、駆動用プロペラ3よりも前方の水流を乱すことを防ぐことができる。
とくに、一対のフィン10,10の先端が推進用プロペラ3のボス3bの後端よりも後方(船尾側)に位置するように配設しておけば、駆動用プロペラ3よりも前方の水流に与える影響をより一層軽減することができる。
このため、一対のフィン10,10の間から後方に流れる水流のうち、フィン10近傍の水流をやや下向きに水流とすることができるから、船尾端において発生する波の波高を抑える効果を高めることができる。
さらになお、一対のフィン10,10は、推進用プロペラ3より後方かつ上方の水流を一対のフィン10,10によって船体の幅方向の中心に向けて集めるができるのであれば、フィン10の刃元から刃先までの距離Lは、船首側から船尾側に向かって長くなるように形成されていなくてもよい。
さらになお、一対のフィン10,10の先端は、推進用プロペラ3のボス3bの後端よりも前方(船首側)に位置するように配設してもよい。
とくに、フィン10の刃先10cが喫水線と交差する位置が、推進用プロペラ3のボス3bの後端よりも後方(船尾側)となるようにしておけば、駆動用プロペラ3よりも前方の水流に悪影響を与えることを防ぐことができる。
実験は、模型船を実験水槽に浮かべ、実験水槽内の水の流速を、フルード数が0.27〜0.34となる範囲で変化させ変化させて、ロードセルで計測した抵抗値から剰余抵抗を算出した。
したがって、本実施形態の船尾構造を採用すれば、剰余抵抗を小さくすることができ、とくに、フルード数が大きく剰余抵抗の影響が強くなる領域でその効果が大きくなることが確認できる。
2 船尾カウンタ
2a 船底
3 推進用プロペラ
10 フィン
10a 刃元
10c 刃先
Claims (4)
- 推進用プロペラより船尾側において、該推進用プロペラより上方の船底に配設された船尾付加部材を備えており、
該船尾付加部材が、船底を下方から見て、推進用プロペラ軸を通る延長線を両側から挟むように設けられた一対のフィンであり、
該一対のフィンが、両者の間隔が船首側から船尾側に向けて狭くなるように配設されている
ことを特徴とする高速船における船尾構造。 - 前記一対のフィンの刃元から刃先までの距離が、船首側から船尾側に向けて長くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の高速船における船尾構造。 - 前記一対のフィンの船首側の端部が、駆動用プロペラよりも後方に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の高速船における船尾構造。 - 船舶の航行時において、前記一対のフィンの刃先が、喫水線と交差するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の高速船における船尾構造。
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JP2010047248A (ja) * | 2008-07-22 | 2010-03-04 | Shin Kurushima Dockyard Co Ltd | 船尾波干渉フィン |
JP6014239B1 (ja) * | 2015-08-31 | 2016-10-25 | 一夫 有▲吉▼ | プロペラの推進力を高めて高速化した省エネ船 |
JP6025275B1 (ja) * | 2015-05-20 | 2016-11-16 | ジャパンマリンユナイテッド株式会社 | 船尾付加物及び船舶 |
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