JP2006051732A - 成形品から熱可塑性樹脂を回収する方法及び成形品 - Google Patents

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信之 伊藤
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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂基材からなる成形品から、基材に付着する異物又は基材上に設けられた異質の層を短時間に除去して、樹脂を当初使用目的で再利用可能な高品質で安定して回収しうる方法を提供すること、及び、回収した熱可塑性樹脂を直接射出成形しても、均質な成形品を得ることができる回収方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂基材に異質の層を設けてなる成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、該破砕物中の熱可塑性樹脂基材から該異質の層を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂は、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする該成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材に異物が付着した又は異質の層を有する成形品から熱可塑性樹脂を回収する改善された回収方法に関する。本発明はまた回収された熱可塑性樹脂を成形した成形品に関する。
熱可塑性樹脂は、近年いろいろな成形品に使用されている。CD−ROM、DVD、DVD−R等の光学材料は、ポリカーボネート基材に色素記録層や反射層が設けられている。パソコンなど電気・電子製品の筐体には、ABS−ポリカーボネートからなる耐衝撃性のポリマーアロイが使用されている。また、自動車のバンパー、ダッシュボード、ヘッドランプ、リヤーランプにも熱可塑性樹脂を基材として塗膜や金属反射層を設けた成形品が広く使用されるようになっている。また、高速道路にも透明な防音壁としてポリカーボネート板に紫外線防止層及びハードコート層を設けた成形板を使用する傾向が増えている。
これらの成形品は、製造工程において発生する不良品、又は、使用済みの製品の該成形品の取り扱いが関心を集めている。従来のように、廃棄物として埋め立てたり、焼却するのではなく、資源として再活用することが重要である。近年、使用済みの製品を回収し、該当成形品を分別し、使用されている熱可塑性樹脂を回収し、リサイクルする努力がなされている。
成形品に使用された合成樹脂基材を回収するために、該基材上に設けられた異質の層を105℃以上のアルカリ水溶液中で除去する異質の層の除去方法が開示されている(特許文献1)。
熱可塑性樹脂基材上に異質の層を設けた成形品又は同基材上に異物が付着した成形品から、基材樹脂を回収する際には、成形品を予め破砕して破砕物にしたのち、この破砕物を洗浄タンク内に投入し、界面活性剤溶液、アルカリ水溶液、又は過酸化物水溶液等により処理することが多い。これら化学薬品を含む液による処理を広く「洗浄」ともいうことにする。
従来、同じ成形品であっても破砕条件が異なると異質の層の除去に長時間を要することがあり、同一の洗浄条件では、洗浄不良が発生することが散見された。
また、仮に長時間をかけて異質の層を熱可塑性樹脂基材から完全に除去しても、この回収した熱可塑性樹脂を直接射出成形すると、破砕条件によっては、透明で均質な成形物にならず、白っぽいすじが発生するいわゆるシルバー故障が発生することも認められた。また、上記の回収熱可塑性樹脂を押し出し成形をした場合には、押し出し量の脈動(サージング)が発生することもある。
特許第3270037号明細書
本発明が解決しようとする一つの課題は、熱可塑性樹脂基材からなる成形品から、基材に付着する異物又は基材上に設けられた異質の層を短時間に除去して、樹脂を当初使用目的で再利用可能な高品質で安定して回収しうる方法を提供することである。他の一つの課題は、異物や異質の層を除去して回収した熱可塑性樹脂を、ペレット化することなく直接射出成形しても、均質な成形品を得ることができる回収方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の手段(1)により達成された。
(1)熱可塑性樹脂基材に異質の層を設けてなる成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、該破砕物中の熱可塑性樹脂基材から該異質の層を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂は、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする該成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法、によって達成された。
なお、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子(以下、「大きさ0.71mm以下の微粒子」ともいう。)を、「実質的に含まない」とは、該微粒子が該破砕物全体の2.5重量%以下であること、好ましくは回収された熱可塑性樹脂全体の1.0重量%以下であること、より好ましくは回収された熱可塑性樹脂全体の0.5重量%以下であること、さらに好ましくは回収された熱可塑性樹脂全体の0.2重量%以下であることをいう。微粒子含有量は、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子の重量を測定して決定するものとする。
また、該微粒子除去工程は、該破砕工程後で該回収工程前に実施しても良く、該回収工程中に実施しても良く、該回収工程後に実施しても良く、これらの2つ以上を組み合わせて実施しても良い。
上記の本発明の好ましいいくつかの実施態様を以下に列挙する。
(2)該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂を洗浄タンク外で目開きが1〜2mmの篩を通す操作を微粒子除去工程に含む(1)に記載の回収方法、
(3)該洗浄タンクが、撹拌手段、洗浄液及び目開きが1〜2mmの多数の小穴を有する液切り板を備え、該洗浄タンクから液切り板を通して該洗浄液を除去する際に該微粒子を該洗浄タンク外に流出させる微粒子除去工程に含む(1)又は(2)に記載の回収方法、
(4)該回収工程は、(a)アルカリ水溶液中で熱可塑性樹脂基材から異質の層を除去する工程、(b)その後、過酸化物を含有する水溶液で処理する工程、及び(c)水で洗浄する工程、を含んでなる、(1)〜(3)いずれか1つに記載の回収方法、
(5)75℃以上のアルカリ水溶液中で工程(a)を実施する(4)記載の回収方法、
(6)105℃以上のアルカリ水溶液中で工程(a)を実施する(5)記載の回収方法、
(7)該破砕物の粒子サイズ分布中央値F50を4〜8mmとする、(1)〜(6)いずれか1つに記載の回収方法、
(8)該破砕物の目開き11.2mmのフルイを通過しない粗大粒子含有量を10重量%以下とする、(1)〜(7)いずれか1つに記載の回収方法、
(9)該熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルよりなる群から選ばれた(1)〜(8)いずれか1つに記載の熱可塑性樹脂の回収方法、
(10)該異質の層が、色素含有層、金属蒸着層、金属めっき層、塗料層、ハードコート層又は紫外線防止層である(1)〜(9)いずれか1つに記載の熱可塑性樹脂の回収方法、
(11)熱可塑性樹脂基材に異物の付着した成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、該破砕物中の該熱可塑性樹脂基材から該異物を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂は、大きさ0.71mm以下の微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法、
(12)該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂をサイクロン装置による円筒内回転空気流にかけて微粒子を分離除去する(1)又は(11)記載の回収方法、
(13)(1)〜(12)いずれか1つに記載の回収方法により回収した熱可塑性樹脂を成形する熱可塑性樹脂の成形方法。
(14)回収した熱可塑性樹脂をペレット化することなく成形する(13)に記載の成形方法。
(15)(1)〜(12)いずれか1つに記載の回収方法により回収した熱可塑性樹脂を成形してなる成形品。
上記(1)記載の発明によれば、異質の層を除去する回収工程に要する時間を短縮することができ効率よく熱可塑性樹脂を回収できる。更に、回収された熱可塑性樹脂をペレット化することなく直接射出成形しても均質な成形物を安定に成形することができる。
本発明は、熱可塑性樹脂基材に異質の層又は異物を有する成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、該破砕物中の熱可塑性樹脂基材から該異物又は該異質の層を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂には、大きさ0.71mm以下の微粒子が実質的には含まれないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする該成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法に係る。
本発明の樹脂回収方法においては、回収工程において熱可塑性樹脂に実質的に微粒子を含まないこと、及び回収された熱可塑性樹脂にも微粒子を実質的に含まないことが重要である。微粒子含有量は、篩を用いて定量するのが簡便であり、本発明においては便宜上目開きが0.71mmのJIS試験用フルイを使用して微粒子含有量を測定するので、微粒子の上限を0.71mmと規定した。微粒子含有量は、破砕物全体又は回収熱可塑性樹脂全体を乾式篩法により定量することができる。
本発明の回収方法は、回収工程において破砕物に実質的に微粒子を含まないように制御し、また回収熱可塑性樹脂にも実質的に微粒子を含まないように制御する工程を含むことを特徴とする。「回収工程において破砕物に実質的に微粒子を含まない」とは、微粒子が混入しても微粒子の全くない場合よりも異質の層を除去するアルカリ洗浄時間が10%以上長くならないことを意味する。「回収熱可塑性樹脂にも実質的に微粒子を含まない」とは、微粒子が混入しても、微粒子の全くない回収熱可塑性樹脂を成形する場合と同様に均質な成型物が得られる程度を意味する。
この微粒子含有量を制御する工程は、破砕工程において微粒子を含まないように制御しても良く、破砕後洗浄タンク外において種々の分級手段により微粒子を除去する工程であってもよく、又、洗浄タンク内において、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、過酸化物水溶液又は洗浄水等の排液操作に伴って微粒子を除去する工程であっても良い。回収した熱可塑性樹脂から微粒子を除去する操作を行っても良い。
破砕物又は回収熱可塑性樹脂の分級手段としては、フルイ(「篩」とも記す。)、空気流による分級を例示できる。フルイでは、一定の目開きを有する網を用いて目開き以下の大きさを有する破砕物を分離除去する。機械化された回転フルイ、振動フルイが使用でき、各種の目詰まり防止機構を選択できる。また、微粒子を除去すると同時に粗大粒子も除去する2段以上のフルイ分け選別機を使用することもできる。
大きさ0.71mm以下の微粒子を低減するために、目開きが1〜2mmの篩を通す操作により前記微粒子を所定量以下に低減することができる。篩操作は、乾式であっても、湿式の工程であっても良い。
サイクロン装置を用いた空気流による微粒子除去も有用である。
回収工程の前半に、積極的に微粒子除去工程を設けることができる。例えば、破砕物を撹拌手段、洗浄液及び多数の小穴を有する液切り板を有する洗浄タンクに投入し、界面活性剤水溶液と破砕物を撹拌混合して予備洗浄する工程を実施する場合、その界面活性剤水溶液を上記液切り板を通して排液することに伴い微粒子を流出させる微粒子除去工程とすることができる。又、アルカリ水溶液による異質の層の除去工程を少なくとも2段階の新鮮なアルカリ水溶液による洗浄とする場合、第1段階のアルカリ洗浄液を洗浄タンクから排液する際に、同様にして微粒子を除去することができるので好ましい。
一つの具体例としては、回収工程を、撹拌手段、洗浄液及び目開きが1〜3mmの多数の小穴を有する液切り板を備える洗浄タンク内にて実施する場合には、洗浄タンクから液切り板を通して該洗浄液を除去する操作により大きさ0.71mm以下の微粒子を除去して回収熱可塑性樹脂中の所期の微粒子含有量とすることができる。
別法としては、回収した樹脂に対して、1mm以上の目開きを有するメッシュ、スクリーンを使用した篩を使用して微粒子含有量を調節することができる。
回収工程前後の分級操作及びタンク内除去工程を組み合わせて実施することもできる。
以下に、本発明の熱可塑性樹脂の回収方法を詳細に説明する。
本発明を適用することができる熱可塑性樹脂について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂よりなる基材(以下、単に「樹脂基材」ともいう。)の回収方法は、各種の樹脂基材を対象とすることができる。樹脂基材は、汎用プラスチック及びエンジニアリングプラスチックに大別できる。エンジニアリングプラスチックは、「エンプラ」とも略称され、高強度であり、耐熱性に優れる。エンプラには、熱による軟化が起こりにくい性質(高い耐熱温度)、大きな引っ張り強度、を具備するものが多い。エンプラは、凝集力の大きい化学構造を有し、代表的には、フェニレン基、アミド結合、カーボネート結合、ポリエーテルスルホン構造等を有する。本発明の回収方法は汎用プラスチックにも適用できるが、エンプラに対して好ましく適用できる。
以下に本発明の回収方法を適用できる樹脂基材を列挙すると、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルが代表的である。以下にこれらの樹脂について、詳述する。
ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリヘキセン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体などが挙げられる。
ポリアミドは、分子構造中にアミド基を含む線状ポリマーの総称であり、合成樹脂の中でも最も古い歴史を持ち、豊富なバリエーションを有する、エンプラを代表する結晶性樹脂である。以下、ポリアミド樹脂を「ナイロン」ともいう。多くの国で、各種エンプラ中最大の市場規模を築き、わが国においても自動車・車両、電子・電気機械、押出分野に広く使用されている。
ポリアミドとしては、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キリシレンジアミンなどの脂肪族、脂環族または芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族などのジカルボン酸との重縮合物、ε−アミノカプロン酸、ナフタレンジカルボン酸、11−アミノウンデカン酸などのジカルボン酸との重縮合物、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムの開環重合物、およびこれらの成分からなる共重合ポリアミド、これらのポリアミドの混合物が挙げられる。このようなポリアミドとして具体的には、ナイロン6、ナイロン66,ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11などであり、とくにナイロン6、ナイロン66が好ましい。
ナイロンは、自動車・車両関係で最も多く使用され、従来からのインテイクマニホールド等のアンダーフード部品として使用される以外に、最近はフェンダ、ドアパネル等の外板としての用途が開発されている。ナイロン6およびナイロン66が自動車用途に好ましく又広く使用されている。
これらの外板として使用されたナイロン等は回収にあたり、その表面に設けられた塗料膜を除去することが必要である。
本発明は、ガラス繊維により強化したナイロン樹脂にも適用できるが、繊維強化されていないナイロン樹脂基材の回収に好ましく適用できる。
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などのジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール(プロパンジオール)、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等の脂肪族グリコール類;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール類;ビスフェノール類、ハイドロキノン等の芳香族ジオール類などのジオール化合物、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多官能ヒドロキシ化合物との重縮合物である。
ポリエステルの具体例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが含まれる。
ポリカーボネートとしては、ビスフェノールAなどの2価のフェノールと、炭酸ジエステルあるいはホスゲンとから得られる従来公知のポリカーボネートが使用される。
2価のフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)の他に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシアリールスルフィド類などが例示される。
これらの2価フェノールは、必要に応じて2種類以上を用いてもよく、通常は、ビスフェノールA、またはビスフェノールAを主成分とし、少量の他の2価フェノールを含んだものが使用される。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。このうち、ジフェニルカーボネートが好適に使用される。
また、ポリカーボネートは必要に応じて、アリロキシ化合物、モノカルボキシ化合物などの末端封止剤で処理されたものであってもよい。
スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体と必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上を重合して得られるスチレン系樹脂である。
前記スチレン系樹脂成分に用いられるスチレン単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体であり、特にスチレンが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
前記スチレン系単量体と共重合可能な他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、フェニルアクリレートベンジルアクリレート等のアクリル酸のアリールエステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸のアルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられる。
一方、前記スチレン系単量体と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体、ブタジエン・イソプレン共重合体、エチレンプロピレンランダム共重合体およびブロック重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪族ビニルとの共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体等のエチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴム(IPN型ゴム)等が挙げられる。
このようなスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS樹脂)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(水添SBS)、水添スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム、スチレン共重合体(AES樹脂)およびスチレン・IPN型ゴム共重合体等の樹脂、または、これらの混合物が挙げられる。また、さらにシンジオタクティックポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。これらの中でも、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)が好ましい。
本発明の樹脂基材の回収方法は、いわゆるエンプラに好適に使用できる。一部上記の樹脂群と重複するが、これらのエンプラとしては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、変成PPE、PBT、PET、強化PET、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリエステル、及びポリイミド系樹脂が好ましく、ポリプロピレン、PET、ポリアミド/ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリカーボネートとABS樹脂等のいわゆるポリマーアロイが特に好ましい。ポリカーボネートとABS樹脂とのアロイの他に、ポリカーボネートとPETとのアロイ、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのアロイ、ポリアミドとポリフェニレンオキサイドとのアロイ、ポリアミドとポリプロピレンとのアロイに対しても又、本発明の回収方法は好ましく適用できる。
回収の対象となる樹脂基材の上に設けられる「異質の層」とは、樹脂基材とはその化学組成が異なる層である。この層は必ずしも連続層を形成している必要はなく、例えば基材状に画像状に設けられた不連続の蒸着層なども含まれる。多くの場合、基材上に設ける「異質の層」は、特定の機能を有する機能層であることが多い。機能層の例を列挙すると、記録材料、特に光記録材料として有用なデジタル記録のための塗布層又は蒸着層があり、色素含有層、蒸着金属反射層、感光層、保護層及び下塗層等が例示できる。
色素含有層には、シアニン系色素等が広く用いられ、金属反射層には、反射特性に優れた金や銀また安価なアルミニウムの蒸着層等が多用される。また、感光層としては、ハロゲン化銀乳剤層、またはフォトポリマー層や感光性ジアゾ化合物層などの非銀塩感光層が用いられる。
保護層、下塗層などには、光学特性に優れた熱可塑性アクリル系エステル、アクリル酸エステルモノマーやメタクリル酸エステルモノマーなどの共重合体が用いられる。さらに、保護層には、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチル酸フェニルなどのサルチル酸系化合物が用いられ、また紫外線硬化剤も用いられる。下塗層としては、硬化ゼラチンや熱硬化製樹脂などを用いることもできる。
その他、機能層として、塗料層(塗膜層)、ハードコート層、反射防止層、防眩層、視野角拡大層、紫外線防止層、熱線吸収層なども例示できる。
異質の層は、その機能によりその厚さは多岐にわたるが、好ましくは150μm以下、より好ましくは0.5〜100μm以下の厚さを有することが好ましい。
(破砕工程)
本発明に係る回収方法の最初の必須工程は、熱可塑性樹脂に異質の層を設けてなる成形品を破砕して破砕物にする破砕工程である。
回収される熱可塑性樹脂は、種々の形状を有した成形品として、種々の用途に使用されており、自動車等の車両の成形部品、パソコン等の電気・電子部品の本体ケース(筐体)、CD−ROMやDVDなどの光記録材料等が代表例として挙げられる。パソコンの筐体として同じ用途に使用されていても、PCメーカーが異なると、成形品に使用されている樹脂組成が異なることは普通である。回収に先立って実質的に同一の樹脂組成を有する成形品を分別し、集積することが重要である。
この破砕工程により成形品を予め適当な大きさの粉砕物に破砕することにより洗浄効率を向上させることができる。又、適当な大きさの破砕物から樹脂を回収することにより、回収された熱可塑性樹脂断片を再利用しやすくすることができる。即ち回収樹脂の再ペレット化を容易にすることができ、又この再ペレット化工程を経ることなく成形することができる。
なお、粉砕物に大きさ0.71mm以下の微粒子が含まれていると、洗浄工程が非効率となり、また回収樹脂の成形に好ましくなく、この微粒子成分を実質的に含まないようにすることが重要である点は既に説明した通りである。
破砕物の粒子サイズ分布中央値F50は4〜8mmとすることが好ましい。ここで、粒子サイズ分布中央値F50は、JIS試験用フルイを用いて測定することができる。公称目開き4mm及び8mmを用いて粒子サイズ分布を測定することにより粒子サイズ分布中央値F50が4〜8mmであることを確認することができる。さらに中間の目開きを有するフルイを用いるとより正確な中央値を得ることができる。
成形品の厚さが約2mm以下の場合、好ましくは約1.0mm以下の場合には、破砕工程はカッターによる裁断とすることができる。成形品の厚さが5mm以上の場合、特に厚さが10mmを超える成形品の場合には、裁断に加えて粉砕を併用して、成形品の厚さも低減した破砕物とすることが好ましい。
破砕物は、目開き11.2mmを通過しない粗大粒子含有量を10重量%以下にすることが好ましく、5重量%とすることが特に好ましい。この大きさ11.2mm以上の粗大粒子の定量にもJIS試験用フルイを使用することができる。粗大粒子を除去すると同時に微粒子を除去するために、2段のフルイを備えた振動フルイを用いることも好ましい。
本発明の樹脂基材の回収に際しては、回収する樹脂基材をまず選別する。樹脂基材の種類や回収の適否により選別する。次いで、選別された樹脂基材は、塊状のものは予め適当な大きさに破砕する、又、シート状に近いものは適当な大きさのチップに裁断する。
例えば、ポリカーボネート基材(光学部品は0.6〜1.2mmの厚さが多い。)の回収処理においては、1mmないし10cmの大きさに破砕することが好ましく、1mmないし10mmの粒度に破砕することがさらに好ましい。また、比較的薄いポリエステル基材(厚さ0.05〜0.2mmが多い。)の回収においては、5mmないし3cmの大きさに破砕することが好ましい。
この破砕には、乾式破砕、湿式破砕のいずれも用いることができる。湿式粉砕には、公知の装置を用いることができ、ハンマークラッシャー、ジョークラッシャー、ハンマーミル、カッターミル、フェザーミル、ターボミル等が例示できる。粉砕温度は、室温〜40℃が好ましく、粉砕時間は1〜100秒の範囲で適宜選択できる。乾式粉砕の場合には、吸気しながら粉砕し、微粒子含有量を低減することができる。湿式破砕の場合には、破砕後に、破砕物は水と遠心濾過又は遠心分離により分離する。この分離の条件を調節することにより微粒子の破砕物含有量を低減することができる。
破砕物から微粒子を除去する分級操作にサイクロン集塵装置(cyclone dust collector)を使用することができる。サイクロン装置自体は周知であり、円筒内回転流によって微粒子を含む破砕物に遠心力を与えて、微粒子を分離捕集することができる。構造が簡単であり、取扱いが簡単であり、微粒子成分を効率よく分離除去することができる。サイクロン操作条件を選択して、本発明で規定する大きさが0.71mm以下の微粒子を破砕物から除去することができる。
本発明の回収方法においては、回収した樹脂基材のペレット中に、微粒子の含有量を低減すると共に、粗大粒子の含有量も低減することが好ましい。このためには、破砕工程後の破砕物の粒子サイズ分布中央値F50が4〜8mmになるように破砕することが好ましい。
(洗浄処理)
本発明に係る回収方法の第二の必須工程は、破砕した上記成形品を洗浄する工程である。
ここで、「洗浄」とは樹脂基材を洗い清めることであるが、樹脂基材の付着異物(汚染物質)を除去するに止まらず、樹脂基材上に設けられた異質の層を除去することをも含む意味である。
以下、熱可塑性樹脂基材上に異質の層を有する成形品から熱可塑性樹脂を回収する方法について説明する。
本発明の回収方法では、予め破砕された成形品の樹脂基材上に設けられた異質の層、通常は特定の機能を有する機能層を、好ましくは、アルカリ水溶液中で除去する洗浄工程を採用し、通常は、使用したアルカリ水溶液を樹脂基材等から除去するための工程(通常は水により洗い流すために「水洗工程」ともいう。)、及び、乾燥工程を含む。
基材上に設けられた異質の層を除去するためのアルカリ水溶液による洗浄に先立って、又は付着した異物を基材から除去するために、破砕物を界面活性剤溶液により洗浄することが有用である。界面活性剤としてノニオン系及びアニオン系を併用することが好ましい。例えば、界面活性剤として、ポリオキシエチレン誘導体及びアルキル・ベンゼンスルホン酸ナトリウムの各1重量%の混合水溶液を使用することができ、破砕物を固液比1:1の比で混合し、90℃で10〜60分間撹拌処理することができる。
洗浄工程に好ましく使用するアルカリ水溶液の調製には、苛性アルカリを使用することができる、ここで、「苛性アルカリ」とは、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩を意味し、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。苛性アルカリの他に、界面活性剤を必要に応じて併用しても良い。
本発明におけるアルカリ水溶液による洗浄工程は、好ましくは、pH10ないし14のアルカリ液を使用する。pHの調節には、pH計を使用するか、pH計の替りに、伝導度計を使用して調節することもできる。
水酸化ナトリウムの濃度は、一般に0.1重量%以上の濃度であれば良いが、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.4〜20重量%であることがより好ましい。
使用する水酸化ナトリウムの濃度は、回収する樹脂基材の種類と洗浄温度等に依存する。例えば、ポリカーボネート基材の洗浄処理においては、一般に、0.1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましく、0.1ないし10重量%の水酸化ナトリウムがより好ましい。また、ポリエステル基材の洗浄処理においては、0.1ないし4重量%が好ましく、0.1ないし3重量%がより好ましい。
ポリオレフィン基材の洗浄処理においては、1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましく使用できる。ポリアミド基材の洗浄処理においては、1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましい。スチレン系樹脂基材の洗浄処理においては、1ないし10重量%の水酸化ナトリウムが好ましい。
同じpH値に調節できるならばイオン強度が低い苛性アルカリの使用が好ましい。
アルカリ水溶液中で熱可塑性樹脂から異質の層を除去する工程は、75℃以上、通常は75℃〜180℃のアルカリ水溶液を使用することが好ましく、105℃以上、通常は105〜160℃のアルカリ水溶液を使用することが特に好ましい。加熱温度の上限は熱可塑性樹脂の種類や組成により異なる。
本発明においては、異質の層(被膜)除去の際に界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤にはノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤があるが、本発明において使用される界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールエーテル系、特に、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル、アルキルフェノールのポリエチレングリコールエーテルなどが好ましく用いられる。また、アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはノニオン性界面活性剤と併用される。界面活性剤の濃度は、好ましくは0.001ないし10重量%、さらに好ましくは0.001ないし5重量%、最も好ましくは0.01ないし1重量%である。
界面活性剤は、回収原料としての破砕物に付着した又は処理液中に除去され再付着した色素や微小異物を除去するのに有用である。
塗料や染料などを除去するために、有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、メチルソロソルブなど基材に対する貧溶剤を併用することができる。
また、樹脂基材上の被膜の除去方法は、縦型筒状胴部、該胴部内部下方に設けられ胴部中心軸に垂直な平面と10〜30度の狭角を有する液切り板、及び、該液切り板の上方に液切り板に近接して設けられた撹拌羽根を有する洗浄容器中に、表面に被膜を有する樹脂基材を入れ、洗浄容器内に堆積する樹脂基材の最上部よりも高い液面となる量のアルカリ性水溶液と該樹脂基材とを75〜180℃において撹拌羽根の先端の回転速度2〜100m/secで撹拌する被膜除去工程、及び、該樹脂基材からアルカリ水溶液を除去する工程、とすることが好ましい。
洗浄処理において、機能層を実質的に除去するとは、基材から機能層を50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上除去することをいう。
洗浄液を100℃以上、好ましくは105℃以上に加熱するためには、通常1気圧以上の水蒸気または熱水、バーナーや電熱により加熱する。この場合、加圧式洗浄装置を使用することが好ましく、耐高圧(0.2ないし0.5MPa=2ないし5kgf/cm2)の洗浄装置を用いることが好ましい。洗浄時間は5ないし150分(5分以上150分以下)であり、5ないし100分が好ましく、10ないし60分がさらに好ましい。
さらに、100℃未満の洗浄処理の場合も適用できるが、105℃以上のアルカリ水溶液による洗浄処理は、2段以上、好ましくは2段ないし3段に分割して実施することができる。105℃以上のアルカリ洗浄と100℃未満のアルカリ洗浄工程を組み合わせて使用しても良い。
最初のアルカリ洗浄工程に続いて、別のアルカリ洗浄工程により異質の層を除去する2段のアルカリ洗浄工程を採用することにより、比較的短時間の合計洗浄時間により、再利用可能な高品質の合成樹脂等を回収することができる。2段以上の苛性アルカリの処理においては、各段のアルカリ水溶液のアルカリ濃度、温度またはチップの密度を変えて洗浄することもできる。複数のアルカリ洗浄工程の間に、必要に応じて、液切りまたは水洗処理を入れることができる。
(過酸化物含有水溶液による処理工程)
本発明の回収方法において、アルカリ洗浄に引き続き、過酸化物を含有する水溶液により樹脂基材を洗浄することが好ましい。この場合において、洗浄に用いられる過酸化物には、−O−O−結合をもつ酸化物や多価原子価をもつ金属の酸化物が挙げられる。好ましくは、過酸化水素及びその塩、オゾン、過硫酸及びその塩などである。過酸化物の濃度は、0.1ないし10重量%であることが好ましい。また、過酸化物水溶液の温度は65ないし95℃であることが好ましく、80ないし90℃であることがさらに好ましい。過酸化物は残留金属や染料の完全除去に有用である。過酸化水素の0.1ないし10重量%の液は、そのpHが2ないし5(弱酸性)であり、痕跡のアルカリ洗浄液を除去する最終洗浄液として好ましく使用できる。
本発明では、熱アルカリ水溶液による洗浄処理及び過酸化物水溶液による処理に続いて、水洗処理をすることが好ましい。「水洗処理」とは、基材からアルカリ水溶液や過酸化物水溶液を除去する処理をいう。
詳しくは、苛性アルカリ処理及び過酸化物水溶液処理を施したチップから、処理液を排除するために、通常は水を用いて洗浄する処理をいう。好ましくは10ないし60℃、さらに好ましくは10ないし30℃の水を用いて処理する。水洗処理の後、有機溶剤、例えば、エタノール、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類や、トルエンや石油エーテルなど、またこれらを含有する水性溶液で、洗浄し、乾燥することもできる。
本発明の回収方法において、破砕物又は回収熱可塑性樹脂中に微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程には、以下に列挙する1つ以上の操作を適宜組み合わせて採用することができる。
(1)湿式破砕工程において水と破砕物を分離する工程で破砕物が微粒子成分を実質的に含まないよう調節する。
(2)破砕物が微粒子を実質的に含む場合には、破砕工程の後で、洗浄タンク外において、篩操作等の分級手段によって微粒子を破砕混合物から除去する。破砕工程とアルカリ洗浄工程の間にこの篩操作を施してもよく、洗浄工程後に回収した熱可塑性樹脂にこの篩操作を施しても良い。篩操作の他に、送風下に破砕物を落下させて微粒子のみを除去する等のサイクロン装置による分級方法も採りうる。破砕物を洗浄タンクに空気搬送する途中にサイクロン装置を設けて微粒子成分を除去することも好ましい。
(3)アルカリ洗浄液、過酸化物溶液、又は洗浄液を洗浄タンクから外部に排出する液切り工程において、これらの液が通過する液切り板に湿式篩の役割を兼用させることができる。すなわち、液切り板に適当な大きさの小孔(直径1〜3mm)を多数穿設することにより、この液切り板を通して各種の洗浄液を排出することにより回収しようとする樹脂基材の破砕混合物から微粒子成分を除去することができる。この操作は、洗浄タンク内で行う分級操作である点で上記の(2)の操作とは異なる。
本発明の回収方法に使用できる加圧式洗浄装置としては、米国出願公開2001/0020483A1及び特開2004−27072に記載の装置を例示できる。図1に、この加圧式の洗浄装置の概要を示す。
図1において、加圧式洗浄装置は、架台80に固定された圧力容器40及び撹拌羽根駆動機構70からなる。圧力容器40は、横断面が円形の縦型筒状容器であり、筒状胴部1の上部に鏡板3が設けられ、この鏡板3の中央部31にはチップ投入口等に使用できる蓋35が設けられ、蓋35はクラッチドアにより開閉できるようになっている。鏡板3には更に洗浄液供給口37が設けられている。圧力容器40の底部には上に凸の形状を有する逆鏡板5が接続されている。逆鏡板5の中央部近くには、撹拌羽根駆動機構70の撹拌軸が、好ましくは圧力容器40の中心軸Xに対して傾斜して、貫通して設けられている。
本発明の圧力容器40の筒状胴部1下方には、チップ取出口13が設けられ、又、筒状胴部1の内部下方には胴部を横断する液切り板12が設けられている。
液切り板12は、好ましくは、容器の中心軸に対する垂直面ではなく、この垂直面との狭角が10ないし30度となるように傾けて設ける。更に好ましくは、液切り板の最下部の位置とチップ取出口の最下端が一致させて、洗浄済みのチップの排出を容易にすることができる。
上面91は、撹拌軸スペース51の上面と共に洗浄空間の底面を構成し、この底面の上方には、間隙93をあけてほぼ平行に液切り板12が設けられていることになる。液切り板12には、前述のように、それを貫通するか、又は好ましくはそれを貫通し下面が上面よりも大きな直径を有する多数の小孔17が設けられている。小孔の上面直径を1〜3mmにすることが好ましく、又、1.5〜2.5mmにすることが更に好ましい。これらの小孔の下面直径は、液切り板の厚さにも依存するが、上面直径の1.5〜3.0倍であることが好ましい。
液切り板12の上方には、液切り板12に近接して撹拌羽根93が設けられ、撹拌羽根93は、撹拌羽根駆動機構4のモータ14により変速機15を経て駆動され、逆鏡板5及び液切り板12を貫通して設けられた撹拌軸16に固着され回転駆動される。液切り板12の最下部の位置に相当する圧力容器40の筒状胴部1には、チップ取出口13が設けられており、チップ取出口13の最下端が液切り板12の上面に一致するように設けられている。逆鏡板5には、洗浄液排出管52が設けられ、筒状胴部には水蒸気吹き込み管が設けられ、水蒸気を中子上面と液切り板との間に吹き込むことができる。
圧力容器40は、温度100℃超、好ましくは105℃以上150℃以下、更に好ましくは、120℃以上150℃以下の温度において、洗浄液を液状に維持するに必要な圧力(約0.2〜0.5MPa=約2〜5kgf/cm2)に耐え得るような容器である。チップ投入等に使用できる蓋35はクラッチドアとして密閉できることが好ましい。圧力容器40には、例えば加熱冷却のために加圧水蒸気、井水等を循環するためのジャケット15を設けることが好ましい。容器の形状は上記の条件を満足する限り特に限定されないが、その内径Dと内高さHとの比が、D:H=1:1〜2である形状を有するものが、内容物の撹拌効率、温度制御などの点で好ましい。蓋35又は筒状胴部1に、加圧容器40の内部用照明及び観察用の窓を設けてもよい。
液切り板12が中心軸Xに対して傾斜している程度は特に限定されないが圧力容器40内の液切り板12と圧力容器40の中心軸Xに垂直な平面Yとの狭角αが10〜30度であるように傾斜していることが好ましい。狭角αが、上記範囲よりも小さいと洗浄されたチップの取り出し速度が遅くなり、上記範囲よりも大きいと洗浄処理中のチップの撹拌効果が低下し洗浄時間が長くなる傾向にある。圧力容器40が円形の横断面を有しており、液切り板12が上記のように形成されているので、液切り板12の平面形状は円形乃至楕円形である。
乾燥工程とは、処理済チップを、50ないし200℃、好ましくは80ないし120℃の温度に加熱して、水分を好ましくは2重量%以下さらには1重量%以下になるまで乾燥する処理をいう。再熔融し、再生ペレットを作成するためには、真空乾燥し水分を0.2重量%以下にする方がよい。
本発明の回収方法は、熱可塑性樹脂基板上に異質の層が設けられていないが、熱可塑性樹脂基材に異物の付着した成形品に対しても適用できる。この場合には、本発明の回収方法は、熱可塑性樹脂基材に異物の付着した成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、該破砕物中の該熱可塑性樹脂基材から該異物を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂が、大きさ0.71mm以下の微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法、となる。
ここで、異物とは、熱可塑性樹脂基板とは異なる物質であり、油などの基板を汚染する物質を含む。また、異物を除去するために必ずしもアルカリ洗浄は必須ではなく、汚染物質を溶解ないし可溶化しうる界面活性剤水溶液等による処理で足りる場合も含まれる。
本発明の方法で回収した熱可塑性樹脂は、成形して成形品として使用することができる。回収した熱可塑性樹脂は、ペレットにすることなく成形することもできる。成形方法には射出成形や押し出し成形が例示でき、射出成形であることが好ましい。
回収した熱可塑性樹脂が、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子の量が1.0重量%以下であると、成形した際に気泡の混入やシルバー故障がない成形品が得られる。微粒子の量が、0.03重量%未満であることがより好ましい。回収樹脂のサイズ分布中央値が4〜8mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。又、ポリカーボネートの場合には、粘度平均分子量が12,000〜30,000であることが好ましく、14,000〜24,000であることがより好ましい。成形品の種類に応じて適切な分子量のポリカーボネートを使用することができる。
(実施例1)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリカーボネート「ユーピロンH4000」(粘度法による分子量16,000)を原料に用いて、住友重機株式会社製ディスク成形機(ディスク3)にてシリンダー温度380℃の条件下でDVD−R基板を成形した。得られたディスク基板上に染料記録膜を塗布した後、アルミニウム反射膜を蒸着し、もう1枚別のディスクと重ね合わせ接着した。こうして、肉厚0.6mmからなるポリカーボネートディスク2枚の中間に記録膜及び反射膜を有するDVD−R成形品を得た。
このDVD−Rをロータリー式の破砕機にてスクリーン16mmにセットして破砕した。破砕物のサイズ分布中央値F50は約5mmであり、目開き0.71mmの篩を通過する微粒子量は3.0重量%であった。
これを更にサイクロン装置により分級し、粒子サイズ約1mm以下の微粒子を低減した。分級後の破砕品は、大きさ0.71mm以下の微粒子を0.8重量%含み、粒子サイズ分布中央値は4.9mmであり、11.2mmを超える(16mm未満)粒子量は9重量%であった。
このようにして微粒子を実質的に取り除いた破砕物を、特開2004−27072号公報の図1に記載の洗浄タンクに投入した。洗浄タンクは加圧可能な密閉式の容器であり、容器内に撹拌羽根を有し、容器底部近傍には液切り板を有し、その液切り板に設けられた小穴の直径は1.5mmであった。最初に濃度5重量%水酸化ナトリウム水溶液を使用して温度120℃において2時間撹拌しながら破砕物を処理した後、このアルカリ水溶液を容器から液切り板を通して排出し、続いて水洗した。その後、過酸化水素0.58重量%水溶液により破砕物を90℃で30分間処理した。さらに水洗した後乾燥した。
洗浄タンク取り出し口から洗浄処理後の樹脂粒子の一部を取り出し、これを更に十分に乾燥した後、樹脂粒子の粒度分布を測定すると、サイズ分布中央値は4.8mmであり、大きさ0.71mm以下の微粒子量は0.1重量%以下であり、11.2mmを超える(16mm未満)の粒子は9重量%であった。
また、上記のように回収した樹脂粒子の一部を、メチレンクロライドに溶解して異質の層の除去の程度を観察した。メチレンクロライドは、ポリカーボネート基板を溶解することができるが、アルミニウム蒸着層等を溶解することができない。得られた溶液は、肉眼で濁りのない高透明な溶液であることを確認した。また、粘度法による分子量は15,900であり、成形中の変化を考慮しても初期の分子量と略同等であることが確認された。
回収した樹脂粒子を乾燥した後、上記住友重機株式会社ディスク成形機(ディスク3)にてシリンダー温度380℃の条件で射出成形したところ、外観にシルバー(銀状痕)のない均一で正常なディスク基板が得られた。
(実施例2)
実施例1で用いた成形品の破砕物のサイクロンによる分級条件を緩やかに変更して、大きさ0.71mm以下の微粒子含有量は2.5重量%になった。
得られた破砕物を実施例1と同じ洗浄タンクに投入した。アルカリ洗浄時間を2.5時間にした以外は、実施例1と同様にして、アルカリ水溶液、及び過酸化水素水で処理した後水洗乾燥した。回収された樹脂粒子の粒度分布を測定すると、サイズ分布中央値は4.8mmであり、大きさ0.71mm以下の微粒子量は0.5重量%であった。
また、回収された樹脂粒子の一部を、メチレンクロライドに溶解させて、濁りの有無を肉眼にて観察したところ、高透明な溶液であり、異質の層である記録層と反射層が完全に除去されていることを確認した。また、粘度法による分子量は15,900であり、初期の分子量と略同等であることが判った。
回収した樹脂粒子を上記住友重機株式会社ディスク成形機(ディスク3)にてシリンダー温度380℃と同条件で射出成形したところ、外観はシルバー(銀状痕)もなく正常なディスク基板が得られた。
(比較例1)
実施例1で使用したDVD−R成形品の破砕品を使用して比較した。大きさ0.71mm以下の微粒子含有量が3.0%であった。このサンプルを、サイクロン分級操作を行わずに、実施例2と同じく2.5時間アルカリ洗浄工程にかけた。過酸化水溶液、水洗浄及び乾燥を実施例1と同様に行い、得られたサンプルをメチレンクロライド溶液に溶解したところ白濁が認められ、異質の層の除去が不十分と判断された。
(比較例2)
サイクロン分級操作を行わずに、比較例1の破砕品をアルカリ洗浄時間を4.0時間に延長してアルカリ洗浄した。過酸化水溶液、水洗浄及び乾燥を実施例1と同様に行い、得られたサンプルをメチレンクロライド溶液に溶解したところ白濁が認められず、異質の層の除去が十分と判断された。回収された樹脂粒子の粒度分布を測定すると、大きさ0.71mm以下の微粒子含有量は1.1重量%であった。
この回収ポリカーボネート樹脂をディスク成形機にて成形したところ、微粒子由来のエアー巻き込みと思われるシルバー(銀状痕)が観測され、再使用に適さないことが判明した。
Figure 2006051732
以上の結果から、破砕品の微粒子含有量が多いと洗浄不良が発生し、完全に異質の層を除去するためには洗浄時間を長くする必要があることが解る。しかしながら、回収樹脂に微粒子含有量が多いと、仮に洗浄が完全にできても成形不良が発生することが明らかになった。
本発明に係る加圧式洗浄装置の一実施例の概略を示す斜視図である。 図1における洗浄装置の断面を拡大した概略図である。 圧力容器の下部に中子を設けた一実施態様である。
符号の説明
1 筒状胴部
3 鏡板
5 逆鏡板
9 中子
12 液切り板
13 チップ取出口
15 ジャケット
17 支持台
18 筒状胴部下部フランジ部
19 筒状胴部上部フランジ部
31 鏡板フランジ部
35 蓋
37,38 洗浄液供給口
40 圧力容器
51 撹拌軸スペース
52 液排出口
55 水蒸気吹き込み管
58 逆鏡板フランジ部
70 撹拌羽根駆動機構
71 撹拌羽根
73 撹拌軸
80 架台
91 上面
93 間隙
95 均圧管

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂基材に異質の層を設けてなる成形品を破砕して破砕物にする破砕工程、
    該破砕物中の該熱可塑性樹脂基材から該異質の層を洗浄タンク内で除去し該熱可塑性樹脂を回収する回収工程、及び、
    該破砕物又は該回収熱可塑性樹脂が目開き0.71mmの篩を通過する微粒子を実質的に含まないように制御する微粒子除去工程を含むことを特徴とする
    成形品から熱可塑性樹脂を回収する回収方法。
  2. 該洗浄タンクが、撹拌手段、洗浄液及び目開きが1〜3mmの多数の小穴を有する液切り板を備え、該洗浄タンクから液切り板を通して該洗浄液を除去する際に該微粒子を該洗浄タンク外に流出させる微粒子除去工程を含む請求項1に記載の回収方法。
  3. 該回収工程は、
    (a)アルカリ水溶液中で熱可塑性樹脂基材から異質の層を除去する工程、
    (b)その後、過酸化物を含有する水溶液で処理する工程、及び、
    (c)水で洗浄する工程、
    を含んでなる、請求項1又は2に記載の回収方法。
  4. 105℃以上のアルカリ水溶液中で工程(a)を実施する請求項3に記載の回収方法。
  5. 該破砕物の粒子サイズ分布中央値F50を4〜8mmとする請求項1〜4いずれか1つに記載の回収方法。
  6. 該熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルよりなる群から選ばれた請求項1〜5いずれか1つに記載の回収方法。
  7. 該異質の層が、色素含有層、金属蒸着層、金属めっき層、塗料層、ハードコート層又は紫外線防止層である請求項1〜6いずれか1つに記載の回収方法。
  8. 請求項1〜7いずれか一つの回収方法により回収した熱可塑性樹脂を成形してなる成形品。
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