JP2006051666A - 木材チップ混入異物の除去方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】破砕した廃木材を所要サイズのチップに篩い分けする装置であり、該装置から排出されるチップに混入した木材チップより比重の大きな金属や鉱物、コンクリート片等の異物を篩装置の製品誘導板62上に設けた堰70により装置内に滞留、あるいは、製品排出口66’とは別に設けた異物取出口71から取り出すことを可能にした木材チップ混入異物の除去方法およびその装置である。
【選択図】図2
Description
しかし、木材チップに混入する異物は、見かけ比重が1.5〜8程度と重く、チップとの比重差を利用すれば分離が可能であるという背景があることに加えて、実際の製造プロセスにおいて、唯一製品チップが装置内を薄層で通過し、しかも、比重差を利用して異物を選別するのに有利な回転・往復運動をさせる機能を有する篩装置が製造工程に組み込まれていることに着目して鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
通常、木材チップの製造プロセスにおいて、製造工程に組み込まれた篩装置は、前工程の破砕機によって所定サイズ以下に細かくなった木材チップを製品として取り出し、所定サイズを越える破砕が不十分な木材を再度前工程の破砕機に投入する目的で設けられており、所定サイズ以下のものは、木材チップも異物も製品側に取り出される仕組みになっている。
また、篩装置で前記サイズ分けを効率的に行うためには、同装置に供給された破砕材を篩網上で広範囲に広げる必要があり、篩網と該篩網面の全面にわたって篩網下に設けられた製品誘導板がそれぞれ排出口に向かって下り勾配に水平に対してある角度を持って配置されており、篩網目を通過してこの製品誘導板上に落下した木材チップ及び異物も薄い層となって製品誘導板上を滑り落ちることになる。
一般に篩装置には、篩効率を高めるために装置全体を振動あるいは回転・往復運動させる機構が設けられており、この作用で堰の高さまで層をなした木材チップと異物が自らの比重差によって、異物は層の下方に、また、製品チップは層の上方に移動し、上方に移動した木材チップが優先的に堰を越えて製品排出口まで移動し、製品として篩装置より排出されることになる。
図1に、本発明の実施の形態に係る木材チップの製造プロセスの流れを概略的に示す。併せて図2に、本発明の実施の形態に係る篩装置を概略的に示す。
廃木材1は、ハンマークラッシャーやハンマーシュレッダー等の破砕機4でチップ化される。木材チップの大きさは、特に限定されるものではなく、通常5〜100mm程度に加工されることが好ましいが、200mm程度のストランド状に加工されても良い。
排出口66、66’は、図2に示すように、篩上品及び篩通過品のスムーズな排出が可能となるよう下方部の側面全体が開放された形のものが好ましいが、これに限定されるものではなく、下方部の側板面に開口を設けてもよいし、あるいはまた、篩網61面と製品誘導板62面にそれぞれ開口を設けてもよい。なお、下方部の側面全体を開放して排出口66、66’とする場合は、篩網61の先端部から適宜の長さにて突き出るようにして篩上品の排出案内板を設けることにより、また下方部の側板面に開口を設けて排出口66、66’とする場合は、下方部の側板面であって篩網61が該側板と接する位置より上部に設けられた、篩上品を排出するための排出口66としての開口と、下方部の側板面であって篩網61が該側板と接する位置と製品誘導板62が該側板と接する位置との間に設けられた、篩通過品を排出するための排出口66’としての開口の左右方向における位置をずらすことにより、篩装置60から排出された篩上品と篩通過品が混じらないようにする必要がある。
また、篩網61面と製品誘導板62面にそれぞれ開口を設けて排出口66、66’とする場合は、篩網61面の開口部から下方部の側板であって篩網61が該側板と接する位置より下側部分もしくは製品誘導板62を貫通して、篩上品を系外へ排出するための導出管もしくは導出ダクトを設ける必要がある。もちろん、この場合、導出管もしくは導出ダクトと、該導出管もしくは導出ダクトが下方部の側板あるいは製品誘導板62を貫通する貫通部との間隙には適当なシールを施し、篩通過品が該間隙から漏出しないようにする必要があることはいうまでもない。
なお、本発明の好ましい実施態様として、排出口66、66’を下方部の側面全体が開放された形で設ける場合は、該排出口66、66’を除く側面において、上述のようにして側板63を設けることはいうまでもない。
振動機構を設けた場合、篩装置60は、例えば下方部方向に向かって楕円状に振動させればよい。その際の篩装置60の振動数は、特に限定されるものではないが、50〜1000rpmであることが好ましい。篩装置60の振動数が50rpm未満であると、材料投入口65より篩装置60に供給された破砕材を篩網上で広範囲に広げるのに時間がかかり、よって製品誘導板62上に落下した篩通過品(木材チップ及び混入異物)が薄い層となって該誘導板62上を滑落するのに長時間を要する。逆に、1000rpmを越えると、篩通過品の送り速度(製品誘導板62上を滑落する速度)はもはや向上しないにもかかわらず、篩装置60の耐久性が低下する。
なお、この場合、底板が製品誘導板62下に設けられ、そして側板63が、該底板の全周端面より該底板の上部に位置する製品誘導板62面、さらにはその上部に位置する篩網61面を越えて前記蓋板64の高さまで(ただし、前記排出口66、66’を下方部の側面全体が開放された形で設ける場合は、該排出口66、66’を設ける側面は製品誘導板62面まで)延設されることになる。
そこで、堰70の高さとしては、図3に示すように、製品となり得る最大サイズの木材チップを代表とし、これを内部に収めることができる最小サイズの直方体を想定したときの3辺w、d、hのうち、最小辺hを木材チップの基準高さとして、その2倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上6倍以下の高さが好適である。なお、堰70の高さを表す指標として木材チップの最大サイズを採用したのは、破砕機4の性能に加えて受け入れる廃木材1の性状や異物の混入率等諸々の要因によって決定される木材チップの生産能力に加えて、篩装置60の寸法や振動、回転・往復運動等の条件によって決定される製品誘導板62上の木材チップと異物が形成する層の厚さを総合的に表す代表数値と考えられるからである。ここで、堰70は、製品誘導板62の幅方向において前記範囲内でその高さを変化させること、さらには、その断面形状を篩装置60への振動や回転・往復運動の加え方により適宜変更することなど、受け入れた廃木材1に混入していた異物の性状や混入量によって適宜設置形態を変更することにより、異物の捕捉効率を高める効果を発揮させることも可能である。
また、篩装置60における篩網61と蓋板64の垂直距離に特に制限はなく、材料投入口65より篩網61上に供給された破砕材が該篩網61上で広範囲に広がり、上方から下方に向かって移動する篩上品が側板63を乗り越えて篩装置60からこぼれ落ちない程度の長さであればよく、篩装置60への破砕材の投入量、破砕材への異物の混入量、異物の種類や性状、異物の大きさ、篩装置60の寸法等を総合的に勘案して決めればよい。
もちろんこの場合、開閉機構付き開口71は、堰70と側板63とが篩通過品の進行方向に向かって鋭角をなして接するようになる側の側板63面であって堰70の端部が該側板63と接する位置の上方側に設けねばならないことはいうまでもない。
本発明の篩装置60は、木材チップの製造工程に組み込まれ、前工程の破砕機4によって破砕された、異物を混入している廃木材チップを、振動機構により振動あるいは回転・往復運動機構により回転・往復運動している篩網61により篩い分け、篩網目を通過して製品誘導板62上に落下し、該誘導板62上を滑落する所定サイズ以下の木材チップ及び異物を、該誘導板62途中に設けられた堰70の部分で堰70の高さまで層をなすようにして一時滞留せしめ、その間に自らの比重差によって層の下方に移動する異物と層の上方に移動する木材チップとを分離し、その結果、異物は堰70によって捕捉し、運転休止時に側板63面に設けられた開閉機構付き開口71より取り出すとともに、堰70を乗り越えて製品誘導板62上をさらに滑落する木材チップは製品排出口66’より排出し製品として回収する一方で、所定サイズを越える破砕が不十分な木材及び異物は、篩網61上を下方部へ移動せしめ排出口66より排出し、前工程の破砕機4に再度投入して破砕するためのものである。
さらに篩装置60には、装置全体を振動あるいは回転・往復運動させる機構が設けられており、この機構により振動あるいは回転・往復運動している篩網61上に、前工程の破砕機4によって破砕された破砕材が材料投入口65から投入され、木材チップと異物の篩効率が高められるのである。
木材チップ製造設備能力15t/hrの図1に示したプロセスフローの木材チップ製造プラントにおいて、水平に半径50mm、回転数150rpmで回転運動する篩装置60を使用した。この篩装置60は、図2に示すような構造のもので、幅2m、長さ3.6m(面積7.2m2)の製品誘導板62が本体底板と兼用となっており、水平に対する傾斜角度αが7.5°で持って製品排出口66’に向かって下り勾配となるように付けられている。なお、篩網61として60mφの多孔板が取り付けられており、最大サイズの木材チップの高さ(木材チップの基準高さ)は凡そ15mmであった。
そして、この篩装置60の製品誘導板62上で上方側から1.1mの位置に、製品の流れ方向(進行方向)に対してなす角度βが60°で持って製品誘導板62の幅一杯に高さ50mmの堰70を設けた。従って、堰70の高さは、木材チップの基準高さの約3.3倍となっている。
なお、表1には、ほぼ定格能力(15t/hr)で表1に示す運転時間に破砕された木材破砕量の合計を推定値として示す。
廃木材の受入ロット(発生形態)による混入異物の性状や量の調整は、実質困難であるため、降雨による水濡れの影響を比較することにした。
そこで、実施例1と同様の篩装置60がその製造工程に組み込まれた実施例1と同様の木材チップ製造プラントにおいて、降雨時に、建設業で発生した実物の廃木材をほぼ定格能力で表1に示す運転時間破砕して木材チップを製造したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。堰70で捕捉した物を回収し、分類、計量した結果を表1に示す。
堰70の高さ及び設置個数を変化させた場合の影響を比較することにした。
即ち、実施例1と同様の木材チップ製造プラントにおいて、製品誘導板62上で上方側から1.1mの位置及び上方側から2.7mの位置の2個所に、それぞれ製品の流れ方向(進行方向)に対してなす角度βが60°で持って製品誘導板62の幅一杯に高さ75mmの堰70を設けたこと以外は実施例1と同様の篩装置60を使用した。従って、この篩装置60における堰70の高さは、木材チップの基準高さの約5倍となっている。
また、実施例1と実施例3を比較すると、堰70の設置個数を増加し、堰70の高さを嵩上げすることにより、堰70に捕捉される金属や鉱物等の異物の量が増加することが確認できる。
なお、篩装置60に堰70が設けられていない場合には、前記実施例1〜3の堰により回収した異物が全て製品側に混入していくことが容易に推測できる。
2 重機
30 輸送機
31 輸送機
32 輸送機
34 輸送機
4 破砕機
50 磁力選別機
51 磁力選別機
60 篩装置
61 篩網
62 製品誘導板
63 側板
64 蓋板
65 材料投入口
66 篩上品排出口
66’ 製品排出口
70 堰
71 開閉機構付き開口(異物取出口)
8 製品(木材チップ)
90 磁性金属
91 磁性金属
92 磁性金属
Claims (11)
- 木材チップの製造工程に組み込まれ、篩網と、該篩網面の全面にわたって篩網下に篩通過品を排出するための製品誘導板とが設けられ、前記製品誘導板が水平に対して3°以上20°以下の角度を持って上方から下方に向かって下り勾配をなしている篩装置を用い、該篩装置の上方から異物を含む木材チップを投入し、下方から篩上品及び篩通過品をそれぞれ排出することからなる木材チップ混入異物の除去方法であって、前記製品誘導板上に木材チップの基準高さの2倍以上10倍以下の高さの堰を設け、木材チップ中に混入する異物を滞留させて捕捉することを特徴とする前記異物の除去方法。
- 篩装置が、上方部には篩網の上部において該篩網面の少なくとも一部を覆うようにして蓋板が設けられるとともに該蓋板面には篩網上に異物を含む木材チップを投入するための材料投入口が設けられる一方、下方部には篩網上を上方から下方に向かって移動してきた篩上品及び製品誘導板上を上方から下方に向かって移動してきた篩通過品をそれぞれ排出するための排出口が設けられ、該排出口を除く側面には製品誘導板端面より該誘導板の上部に位置する篩網面を越えてさらに前記蓋板の高さまで延設された側板が設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の異物の除去方法。
- 異物を捕捉するための堰が、篩通過品の進行方向に対して30°以上90°以下の角度を持って堰の左右両端部が篩装置の側板に接するようにして、製品誘導板の幅方向一杯に少なくとも1個所設けられたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の異物の除去方法。
- 異物を捕捉するための堰と製品誘導板との間に1mm以上5mm以下の隙間を設け、木材チップに混入する砂を該木材チップとともに製品として回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の異物の除去方法。
- 篩装置側板面であって、異物を除去するための堰の左右両端部が該側板と接する位置の上方側に異物を含む木材チップを系外に取り出すための開閉機構付き開口を少なくとも1個所設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の異物の除去方法。
- 篩装置側板に設けられた開閉機構付き開口から取り出した異物を含む木材チップから、他の選別手段を用いて異物を除去し、木材チップを製品として回収することを特徴とする請求項5に記載の異物の除去方法。
- 木材チップの製造工程に組み込まれ、篩網と、該篩網面の全面にわたって篩網下に篩通過品を排出するための製品誘導板とが設けられ、前記製品誘導板は水平に対して3°以上20°以下の角度を持って上方から下方に向かって下り勾配をなし、上方から前記篩網上に異物を含む木材チップを投入し、下方から篩上品及び篩通過品をそれぞれ排出するように構成された木材チップ混入異物の除去装置であって、前記製品誘導板上に木材チップの基準高さの2倍以上10倍以下の高さの堰を設けてなることを特徴とする木材チップ混入異物の除去装置。
- 上方部には篩網の上部において該篩網面の少なくとも一部を覆うようにして蓋板が設けられるとともに該蓋板面には篩網上に異物を含む木材チップを投入するための材料投入口が設けられる一方、下方部には篩網上を上方から下方に向かって移動してきた篩上品及び製品誘導板上を上方から下方に向かって移動してきた篩通過品をそれぞれ排出するための排出口が設けられ、該排出口を除く側面には製品誘導板端面より該誘導板の上部に位置する篩網面を越えてさらに蓋板の高さまで延設された側板が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の木材チップ混入異物の除去装置。
- 異物を捕捉するための堰が、篩通過品の進行方向に対して30°以上90°以下の角度を持って堰の左右両端部が側板に接するようにして、製品誘導板の幅方向一杯に少なくとも1個所設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の木材チップ混入異物の除去装置。
- 異物を捕捉するための堰と製品誘導板との間に1mm以上5mm以下の隙間を設けたことを特徴する請求7〜9のいずれかに記載の木材チップ混入異物の除去装置。
- 装置側板面であって、異物を除去するための堰の左右両端部が該側板と接する位置の上方側に異物を含む木材チップを系外に取り出すための開閉機構付き開口を少なくとも1個所設けたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の木材チップ混入異物の除去装置。
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