本発明の一実施の形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明に係る画像形成装置は、画像読取部が正しく調整されていなくても、シートに対する画像の位置または画像の倍率などの形成条件の調整を行うことができ、その調整を簡単に制御できる画像形成装置である。
本実施形態の複合機(画像形成装置)Aは、画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して、多色または単色の画像を形成するものである。図1は、複合機Aの概略構成を示す断面図である。
複合機Aは、図1に示すように、概略的に、画像形成ユニット(画像形成部)100、画像読取りユニット(画像読取部)200、自動原稿搬送装置900、およびシート供給ユニット850を備えている。
画像形成ユニット100は、露光部1a〜1d,現像器2a〜2d,感光体ドラム3a〜3d,クリーナ部4a〜4d、帯電器5a〜5d,転写搬送ベルトユニット(転写部)8,定着ユニット12に加え、搬送路S,給紙トレイ10,排紙トレイ15・33、画像処理基板300、制御回路基板400等を含んでいる。
なお、複合機Aにおいて扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。露光部1(1a,1b,1c,1d),現像器2(2a,2b,2c,2d),感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d),クリーナ部4(4a,4b,4c,4d),帯電器5(5a,5b,5c,5d)は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられている。それぞれ、aがブラック(K)に、bがシアン(C)に、cがマゼンタ(M)に、dがイエロー(Y)に対応した、4つの画像ステーションとなっている。
ここで、画像ステーションは、露光部1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナ部4、帯電器5を備えた構成である。画像ステーションは、画像形成ユニット100のほぼ中心部に配置されている。画像ステーションは、転写搬送ベルトユニット8に沿って、KCMYの順に4つ並んだ構成となっている。なお、このKCMYの順はこれに限るものではない。
本実施形態の露光部1は、レーザー照射部および反射ミラーを備えたレーザースキャニングユニット(LSU)である。露光部の構成はこれに限るものではなく、発光素子をアレイ状に並べた例えばEL(Electro Luminescence)書込みヘッドやLED(Light Emitting Diode)書込みヘッドであってもよい。この露光部1は、帯電された感光体ドラム3を入力される画像に応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じて静電潜像を形成する機能を有するものである。
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、(K、C、M、Y)のトナーにより顕像化するものである。感光体ドラム3は、露光部1からの露光に応じて形成される静電潜像を保持する。感光体ドラム3は、複写機Aのほぼ中心部に配置(装着)されている。感光体ドラム3の静電潜像は、現像器2によって現像材像とされ、シートに転写される。クリーナ部4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。図1に示すチャージャー型の帯電器の他に、接触型の帯電ローラ型やブラシ型の帯電器を用いてもよい。
転写搬送ベルトユニット8は、感光体ドラム3を有する画像ステーションの下方に配置されている。転写搬送ベルトユニット8は、転写ベルト(転写部)7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および転写ベルトクリーニング部9を含んでいる。
転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、および転写ローラ6は、転写ベルト7を張架するものである。転写ベルト駆動ローラ71は、転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させる。転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、および転写ローラ6は、回転駆動される転写ベルト7に従動回転する。
転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7側に吸着させることによって、搬送されるシートに転写するものである。転写ローラ6は、転写搬送ベルトユニット8の内側のフレーム(図示せず)の、転写ベルト7に対して感光体ドラム3とは反対側に、回転可能に支持されている。
転写ベルト7は、感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに接触するように設けられている。そして、転写ベルト7は、転写ベルト駆動ローラ71による回転駆動にしたがって移動し、シートを搬送する。これに伴い、転写ベルト7は、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシート(記録用紙など)に順次重ねて転写し、これによってカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。この転写ベルト7は、厚さ100μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
より詳細には、感光体ドラム3から転写ベルト7上のシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している上述の転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧(例えば、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。ここで、本実施形態の転写ローラ6は、直径8〜100mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタン等)により覆われている構成である。このように導電性の弾性材を用いているので、転写ローラ6が変形可能に設けられ、転写ローラ6と感光体ドラム3との密着性を高めて、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。なお、本実施形態では転写電極として転写ローラ6を使用しているが、これに限らず、例えばブラシ等を用いることもできる。
なお、感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニング部9によって除去・回収されるように設定されている。転写ベルトクリーニング部9には、転写ベルト7に接触する例えばクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する転写ベルト7は、裏面から転写ベルト支持ローラ74で支持されている。
画像形成ユニット100の転写搬送ベルトユニット8の下側には、画像形成に使用するシートを蓄積しておくための給紙トレイ10が設けられている。また、画像形成ユニット100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。また、画像形成ユニット100の側部に設けられている排紙トレイ33は、画像形成済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。また、画像形成ユニット100には、シートを給紙トレイ10から転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12等を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の搬送路Sが設けられている。
さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着ユニット12、搬送方向切り替えゲート34、シートを搬送する搬送ローラ25等が配されている。
ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚毎に搬送路Sに供給する呼び込みローラである。また、レジストローラ14は、搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。すなわち、レジストローラ14は、(図示しない)レジストセンサの出力した検知信号に基づいて、予め設定されたタイミングで図2に示すレジストクラッチ515を制御し、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
定着ユニット12は、シートに転写されたトナー像をシートに定着させるためのものである。定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。ヒートローラ31は、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて、後述する制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着する。これにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる。
なお、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ25…によって搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出される。
また、搬送方向切換えゲート34は、シートを排紙トレイ33に排出するか、または排紙トレイ15に排出するかを切換えるためのものである。搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられている。搬送方向切換えゲート34が、図1に実線で示す状態から破線で示す状態へと移動することにより、搬送路Sの途中からシートを分離し、排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35、搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S’(搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、搬送路Sに沿って複数設けられている。
また、画像処理基板300は、画像データに対して所定の処理を施す回路基板である。制御回路基板400は画像形成プロセスを制御する回路基板である。
画像形成ユニット100の上部には、画像読取りユニット200および自動原稿搬送装置900が配置されている。
画像読取りユニット200上面には、透明ガラスからなる原稿台209が設けられている。原稿台209の上には、自動原稿搬送装置900が備えられている。
自動原稿搬送装置900は、原稿セットトレイ210上にセットされた複数枚のシート(原稿)を1枚ずつ自動的に原稿台209上へ搬送する装置である。
本実施形態の画像読取りユニット200は、カラー読取手段である。この画像読取りユニット200は、原稿台209上に載置されたシートの画像を走査して読取るもので、第1の走査ユニット201・第2の走査ユニット202、光学レンズ203、および光電子変換素子であるCCDラインセンサ204を有している。
第1の走査ユニット201は、シート面(画像形成面)上を露光する露光ランプ205と、シートからの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー206等から構成されている。第2の走査ユニット202は、第1の走査ユニット201の第1ミラー206から反射されてくるシートからの反射光を光電子変換素子であるCCDラインセンサ204に導く第2ミラー207および第3ミラー208より構成されている。光学レンズ203は、原稿からの反射光をCCDラインセンサ204上に結像させる。CCDラインセンサ204は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3ラインのイメージセンサを用いており、3色に分解して画像を読み取れるようになっている。
複合機Aの画像読取りユニット200の位置には、図8に示すような操作パネル211が設けられている。図8は、操作パネル211を示す断面図である。操作パネル211の左部分には、タッチパネル液晶表示装置(LCDと称呼する)221が配置されていて、その右側にテンキー231、スタートキー241、クリアキー251、および全解除キー261が配置されている。
このLCD221の画面上には、種々の画面が切換えられて表示される。これらの画面中では、種々の条件を設定するタッチキーが配置されており、タッチキーを指で直接押圧操作して、各種の条件設定(例えば白黒/カラーのモード選択,原稿の種類選択,自動/手動の選択,その他の特別な機能選択など)が可能になっている。また、操作のガイダンスや警告等もこのLCD221に表示される。LCD221の画面上には、画像形成条件の調整を選択指示するためのタッチキーなども表示されるようになっている。これにより本機能を複合機Aに組込む場合に、ソフトウエアの追加のみで済み、複合機Aを共通に使用できる。
また、LCD221とテンキー231の間には、複合機Aの機能を切換えるキーとしてプリンタキー271,ファクシミリ/イメージ送信キー281,コピーキー291、およびそれぞれの機能ごとに登録されているジョブ状況を確認するためのジョブキー311等が配置されている。
LCD221の右側に配置されたキー群のうち、テンキー231はLCD221画面における数値(複写枚数等)を入力するのに使用するキーである。スタートキー241はそれぞれの処理モードでの画像形成動作や読取動作の開始を指示するためのキーである。クリアキー251はLCD221に表示される設定値をクリアしたり、画像形成動作など現在実行中の動作の中断を行ったりするキーである。全解除キー261は、読取の条件や画像の形成条件等の設定をデフォルト値に戻すためのキーである。
なお、LCD221に示されている割込キー321は、実行中の画像形成動作などを一時中断して他の画像形成を許容するためのキーである。
図8ではカラー画像形成モードが選択されている状態を表している。このときコピー濃度などの画像形成や読取時の濃度は自動的に原稿に応じて制御されるようになっている。
本実施形態の複合機Aにおいては、画像形成条件の調整を行うためには、テンキー231および他のキーによる装置ごとの特殊な組み合わせによって、補正値を求めるためのモードに移行するようになっている。
また、画像読取ユニット200は、自動原稿搬送装置900との関連した動作により、自動原稿搬送装置900にて自動搬送される原稿の画像を読取り、画像データとして、図2に示す画像データ入力部510へと出力する。
画像形成ユニット100が画像読取ユニット200によって読取られた原稿画像の印刷を行う際には、画像処理部511において画像データに対して所定の画像処理を施した後、メモリ512に一旦記憶し、出力指示に応じてメモリ512内の画像データを書込み部513に転送する。
また、複合機Aの画像形成ユニット100の下方には、給紙デスク装置850が備えられている。この給紙デスク装置850は、3段の給紙トレイを備えており、搬送路Sを経由して、シートを画像形成ユニット100に供給できるようになっている。なお、本実施形態の給紙デスク装置850の構成に限らず、1段の給紙トレイを備えたものや、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、あるいは単にデスクとして機能するもの等、ユーザの要望に応じて装着できるようになっている。
なお、本実施形態においては、複合機Aにおいて画像読取りユニット200に加えて自動原稿搬送装置900を備えた構成を示しているが、これに限るものではなく、自動原稿搬送装置900を含まない構成であってもよい。
また、本実施形態においては、カラー印刷を行う複合機Aについて説明しているが、これに限るものではなく、複合機Aがモノクロ印刷を行う構成であってもよい。この場合、一般的には、モノクロの画像読取装置(1ラインのイメージセンサを備えた画像読取装置)を備えた構成となる。このような、モノクロ(白黒)の画像形成を行う画像形成装置でも、本発明の一部を除く機能を実施可能であることは言うまでもない。
ここで、図2は、複合機Aにおける制御動作を説明するための、概略構成を示すブロック図である。以下では、図2を参照して、複合機Aの動作について説明する。
複合機Aは、図2に示すように、制御部(画像形成部、補正部)500を有している。この制御部500、パターン記憶部(画像形成部)506、データ記憶部(画像形成部)507、データ入出力部509、及び演算部(補正部)601は、図1に示す制御回路基板400に相当する。また、図2に示す画像処理部511およびメモリ512は、図1に示す画像処理基板300に相当する。なお、本実施形態においてはこのような構成になっているが、制御部500の構成はこれに限るものではない。
制御部500には、定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、搬送機構部(補正部)505、パターン記憶部506、データ記憶部507、操作部508、データ入出力部509、画像データ入力部510、画像処理部511、メモリ512、書込み部(画像形成部、補正部)513が接続されており、制御部500はこれらを制御するようになっている。
定着部501、転写部502、現像部503、帯電部504、書込み部513は、それぞれ、図1に示す定着ユニット12、転写ローラ6a〜6d、現像器2a〜2d、帯電器5a〜5d、露光部1a〜1dに対応する。また、搬送機構部505は、搬送モータ514およびレジストクラッチ515を含んでいる。また、操作部508は、図8に示す操作パネル211に対応する。
ここで、パターン記憶部506には、後述するように、複合機Aにおける画像の形成条件の調整の際にシートに形成するために用いる、シートサイズに応じた画像パターンが記憶されている。また、データ記憶部507には、後述する操作によって得られた補正値を記憶させる。また、データ記憶部507には、パターン記憶部506に記憶されている画像パターンに対応した、シートサイズの基準値を記憶させる。
制御部500は、接続されている各手段を、それぞれ以下のように制御する。
制御部500は、定着部501(定着ユニット12)のヒートローラ31を、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて、所定の定着温度となるように制御する。制御部500は、転写部502に対して、図示しない転写用の高圧電源からの転写ローラ6a〜6dへの印加電圧の制御を行う。制御部500は、現像部503に対して、現像器2a〜2dにおける現像ローラのバイアス電圧を制御して適正な現像が行われるよう制御する。制御部500は、帯電部504に対して、帯電器5a〜5dとしての帯電チャージャーのグリッドバイアス電圧を制御することで、感光体ドラム3a〜3dの表面電位を制御する。また、制御部500は、搬送機構部505に対して、搬送モータ514およびレジストクラッチ515の動作の制御を行う。
制御部500は、パターン記憶部506に対して、予め決められた画像データのパターンの入出力を行い、例えばパターンを記憶するよう制御する。制御部500は、データ記憶部507に対して、基準値の入出力を行い、例えば基準値を記憶するよう制御する。
また、複合機Aは、複合機Aに装着されていない読取手段等の外部の機器からの読み取り結果のデータ等を入力するため、または、装着されている画像読取ユニット200で読取った読み取り結果のデータ等を外部の機器へ出力するためのデータ入出力部509を備えている。
制御部500は、操作部508に対する、例えば画像形成動作や読取動作の開始についての入力指示等に基づいて、複合機Aの書込み部513や搬送機構部505が動作するよう制御する。制御部500は、画像データ入力部510に対して、画像読取りユニット200で読取られた画像データが、画像形成ユニット100に入力されるよう制御する。
制御部500は、画像処理部511に対して、画像データ入力部510に入力された画像データに対して所定の画像処理を行うよう制御する。制御部500は、メモリ512に、画像処理部511で処理された画像データを一旦記憶させる。制御部500は、書込み部513の光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。また、書込み部513(露光ユニット1a〜1d)がELやLED書きこみヘッドの場合には、その光ビームパワーや書込みタイミング等の書込み動作の制御を行う。
また、制御部500には、画像読取りユニット200も接続されている。画像読取りユニット200は、図1で示した自動原稿搬送装置900との関連した動作により、自動原稿搬送装置900にて自動搬送される原稿の画像を読取る。そして、読取った画像を画像データとして図2に示す画像データ入力部510へと転送する。画像データ入力部510に転送された画像データに対しては、画像処理部511にて所定の画像処理が施される。そして画像処理が施された画像データはメモリ512に一旦記憶される。制御部500が、操作部508に対してなされた出力指示に応じて、メモリ512内の画像データを読み出して書込み部513に転送する。
さらに、本実施の形態では、制御部500には演算部601が接続されている。演算部601は、画像読取ユニット200でシートに形成された画像を読み取ることで得られる読取データから、シート対する画像形成条件を補正する補正値を求めるものである。この演算手段の動作については後述する。
以下では、データ入出力部509および演算部601を用いた、補正値の導出(画像形成条件の調整(補正))について説明する。なお、以下では、簡単のために、補正値の導出を行うための画像ステーションを特定せずに説明を行う。また、通常、複合機Aに利用される場合が多い、A系列およびB系列のサイズ(定形サイズ)のシートの画像形成条件の調整について説明する。
ここでは、複合機Aで使用可能な最大シートサイズが、A3サイズ(297mm×420mm)とする。この場合、複合機Aにおいて補正値を導出する際には、例えば、A3サイズに限らず、A4サイズ(210mm×297mm)、B5サイズ(182mm×257mm)、B4サイズ(257mm×364mm)等のシートを用いることもできる。後述のように、本実施形態では、サイズの異なるシートに兼用可能な基準シートの調整画像を用いて、各シート(各給紙トレイ10)に対する補正値を求める。さらに、基準シートの補正値には、それ以外のシートにも利用できる共通の補正値が存在する。従って、特に、補正値を求める場合には、基準シートとして、複合機Aで使用可能な最大サイズのシートよりも小さいシートを用いることが好ましい。なぜなら、使用可能な最大サイズよりも大きなシートを用いると、シートのサイズが大きくなる分、大きな画像を形成しなければならないために現像材(トナー)の消費が増え、また複合機Aの調整にかかる時間が長くなってしまうからである。また、主走査方向の長さが長いプロセス手段(例えば露光ユニット,感光体ドラム,現像器…等)が必要となり、装置サイズが大きくなってしまうからである。
最大サイズのシート以外のシートのうち、サイズの大きいシートを使用する場合には、大きな画像を形成しなければならないので現像材(トナー)の消費が増大し、調整にかかる時間が長くなるが、安定した精度の高い調整が行える。一方、サイズの小さいシートを使用する場合は、小さな画像を形成すればよいので現像材(トナー)を節約でき調整時間を短くできる。
そこで、本実施形態の複合機Aでは、サイズの異なるシートのうち、小さいサイズのシートの画像形成条件の調整を行った後、その小さいサイズのシートの調整に使用した調整画像を用いて、大きなサイズのシート画像形成条件を調整する。言い換えれば、異なるサイズのシートの中から選択された小さいサイズのシートを基準シートとし、その基準シートに対応する基準調整画像によって、基準シートの画像形成条件を調整した後、基準シート以外のシートの画像形成条件を調整する。また、好ましくは基準シート以外のシートの調整には、基準調整画像を用いる。
具体的には、ユーザによる画像形成条件の調整指示を操作部508が検出すると、複合機Aは、例えば、給紙トレイ10に備えられたシートなどを用いて、調整のための画像形成を行う。
この際、制御部500は、パターン記憶部506に記憶されている予め定められた画像データを読み出して、メモリ512に書込みをする。そして書込み部513が、メモリ512のデータに基づいて、小さいサイズのシート少なくともシートの3つの角部を含む領域に、そのシートをはみ出す画像を形成する。なお、複合機Aでは、サイズのこ異なるシートに対して、調整画像を兼用可能であるため、パターン記憶部506は、サイズの異なるシートの各々に対応する画像データを格納する必要はない。つまり、パターン記憶部506は、兼用する調整画像データさえ格納していればよい。これにより、パターン記憶506の構成が簡素化できる。
ここで、本実施形態のパターン記憶部506には、図3の調整画像として示すような枠状のパターン(枠画像)が記憶されている。この調整画像は、シートのエッジを含み、シートからはみ出すような画像ともいえる。すなわち、図3に斜線領域によって調整画像(枠画像)として示すように、点線にて仮想的に示すA4サイズよりもはみ出す画像を形成する。これによって、シートの3つの角部を含む領域(図3では、A4サイズのシートのすべての角部を含む全周囲)に画像を形成する。また、この調整画像は、A4サイズのシートよりも大きく、はみ出した画像である。上記「角部」とは、シートの頂点、すなわちシートの辺と辺との交点を含む領域を意味しており、上記交点を含んでいればよく、上記領域の大きさおよび形状は図3に示す形状に特に限定されるものではない。例えば、調整画像は、少なくとも3つの角部を含む領域に形成されていればよく、全周が繋がっている必要はない。例えば、図9(a)のように、4つの角部(R1〜R4)に形成されても、図9(b)のように、3つの角部(R1〜R3)に形成されてもよい。このように、シートの全周に調整画像を形成しない場合には、調整に使用する現像材(トナー)を節約することができる。
本実施形態では、図3に示すA4サイズ(210mm×297mm)の調整画像は、以下のようなデータである。すなわち、この調整画像において、シートの搬送方向(転写ベルト7の移動方向)と垂直な主走査方向は、その外枠の幅(J2)を297mmを超え、画像形成領域以下の長さとなるように、例えば307mm〜317mmとした。また、主走査方向の内枠の幅(W3)を、297mmより充分小さな間隔とし、例えば267mm(−30mm)とした。一方、主走査方向に垂直(搬送方向に平行)な副走査方向は、その外枠の幅(J1)を210mmを超え、例えば220mm〜230mmとした。また、副走査方向の内枠の幅(L3)を、210mmより充分小さな幅とし、例えば180mmとした。このように、図3の調整画像の外枠は、A4サイズのシートをはみ出すように、A4サイズを越えるように設定し、内枠は、A4サイズの大きさに満たないように設定されている。
なお、この調整画像を、あまり大きなサイズの画像とすると、現像剤の使用量が多くなり、不経済である。このため、調整の対象となる装置に特有のずれを実験などにより予め定めておいて、考えられる搬送ずれを考慮し、充分余裕を待たせて形成できるように画像データを作成し、パターン記憶部506に記憶させておく。
本実施形態のパターン記憶部506は、複数のシートサイズに対応できるように、予め定めた1つの調整画像(1つの基準シート用の調整画像)データだけを記憶させてもよいし、A系列のシート用の調整画像と、B系列のシート用の調整画像との調整画像(複数の基準シート用の調整画像)データを記憶させてもよい。例えば、A4サイズに対応する調整画像の画像データだけをパターン記憶部506に記憶させてもよい。そして、このA4サイズに対応する調整画像の画像データを、A4サイズおよびA3サイズのシート、および、系列が異なるB5サイズおよびB4サイズのシートに兼用してもよい。これにより、記憶させる調整画像データを少なくできるため、制御系の構成を簡素化できる。
また、A4サイズに対応する調整画像に加えて、B5サイズに対応する調整画像のデータを、パターン記憶部506に記憶させる。そして、このA4サイズに対応する調整画像をA系列のシート(A4サイズのシートおよびA3サイズのシート)に用い、B5サイズに対応する調整画像のデータを、B系列のシート(B5サイズおよびB4サイズ)用いてもよい。言い換えれば、給紙トレイ10に設けられた同一系列のシートのうち、最大サイズのシートよりも、1回り小さいサイズのシートに対応する調整画像を、各系列毎に、用いてもよい。これにより、各シートに調整画像を形成する際に、シートをはみ出した無駄な現像剤(トナー)の量を削減できる。それゆえ、シートの系列に応じた最適な調整画像を形成できる。
このように、本実施形態のパターン記憶部506には、シートサイズの種類の数未満の調整画像が記憶されている。つまり、パターン記憶部506には、複数のシートサイズに対応できるような調整画像が記憶されている。これにより、異なるサイズのシートごとに、調整画像をパターン記憶部506に記憶させる必要がない。従って、複数のシートサイズの画像形成条件の調整を簡単に制御できる。すなわち、制御部500による制御を単純化できる。
さらに、本実施形態では、図3に示すような、調整画像の内側(内枠)に形成される、画像の方向を示す長方形の方向マークM1が記憶されている。この方向マークM1は、シートに形成された画像の方向(画像形成ユニット100でのシートの搬送方向)や、どの給紙トレイ10から搬送されたかを識別するためのマークである。これにより調整画像の形成されたシートを、画像読取ユニット200にセットする場合に、画像の方向を間違えることはない。なお、視覚性を重視して矢印型の方向マークとしてもよいが、これによればパターン記憶部506でのデータ容量を多くとり、また画像読取ユニット200でシートに形成された画像を読み取る際に、読取結果を判定するのが複雑になる。このため、本実施の形態のように、単純な長方形のマークにすることが好ましい。また、方向マークMを形成せずに、自動的に画像読取ユニット200にセットされたシートの向きを検出するような構成としてもよい。また、画像形成部100で出力されたシートが原稿台209で大きく傾いて載置される場合も考えられるので、これを防ぐために、傾きの許容範囲を定めておき、読み取り時に許容値を越えた場合にはエラーを発生させ、その旨を操作部508の操作パネル220に表示させ、再度読み取りを行うように制御してもよい。
このようにして、図3に示すように、転写ベルト7上のA4サイズのシートには、そのシートをはみ出すような画像(調整画像)が形成されることになる。このため、調整画像が転写され、定着ユニット12などを介して例えば排紙トレイ33に排出されたシートは、図4(a)に示す出力シートQ1のように、縁辺全てに画像が形成され、その画像の内側に方向マークM1が形成された状態となっている。一方、転写シート7には、シートからはみ出た画像が残る。ここで、図4(a)に示す出力シートQ1における長さL0およびW0は、それぞれ、A4サイズのシートの短手方向および長手方向の長さ(既製の長さ)に対応している。すなわち、A4サイズのシートでは、図4のW0は297mm,L0は210mmとなる。
一方、本実施形態では、図3に示すように、A3サイズのシートに対しても、前述のA4サイズと同じ調整画像を用いる。これにより、A3サイズのシートのうち、搬送方向の前方側のA4サイズ領域に、調整画像が形成される。図3では、この調整画像は、A3サイズのシートのうち、搬送方向前方側の3辺に、シートをはみ出す画像が形成される。より詳細には、搬送方向前方の短手方向の縁辺すべてと、搬送方向前方側から略半分の長手方向の辺とに、シートをはみ出す画像が形成される。このため、調整画像が転写され、定着ユニット12などを介して例えば排紙トレイ33に排出されたシートは、図4(b)に示す出力シートQ2のように、A3サイズのシートのうち、搬送方向前方側に、図4(a)の出力シートQ1よりも若干、搬送方向後方側にも画像が形成される。つまり、A3サイズの略半分の領域に、シートいっぱいに画像が形成された部分(外側)と、画像が形成されていない部分(内側)とからなる枠状の画像が形成される。また、その画像の内側には、方向マークM2が形成された状態となっている。なお、この方向マークM2の形状は、A4サイズの方向マークシートM1の形状とは異なるものである。これにより、シートのサイズを区別できる。一方、転写シート7には、シートからはみ出た画像が残る。ここで、図4(b)に示す出力シートQ2における長さ2L0およびW0は、それぞれ、A3サイズのシートの短手方向および長手方向の長さ(既製の長さ)に対応している。すなわち、A3サイズのシートでは、図4のW0は297mm,2L0は420mmとなる。
なお、図3では、転写ベルト7の副走査方向に、最大サイズのシートの長手方向側がくるように、シートが搬送される。これにより、主走査方向には、最大サイズのシートの短手側がくるため、その短手側を確実に画像形成領域内に収めることができる。これにより、確実にシートをはみ出す画像を形成できる。
しかし、シートの搬送方向は、特に限定されるものではなく、複合機Aに使用するシートのサイズに応じて設定してもよい。例えば、A4サイズのシートを用いた場合には、有効画像形成幅(図3の画像形成領域)をA3サイズのシートの長手方向と同じ幅とした場合に420mmとなるので、A4サイズのシートを縦向き横向きの何れの方向にシートを搬送しても、シートのサイズをはみ出す画像を形成できる。しかしながら、例えばA3サイズのシートを用いる場合には、縦送りした場合(長手方向を主走査方向に平行に搬送した場合)に有効画像形成幅(画像形成領域)がシートのサイズと同じとなるため、シートをはみ出す画像を形成することができない。このため、A3シートを用いる場合は、シートの長手方向を副走査方向に平行に配置する、横送りで行う。
次に、図7に基づいて、画像形成ユニット100の画像形成条件を調整するための複合機Aにおける具体的な処理の流れを説明する。
本実施形態の画像形成条件の特徴点は、まず、基準となるシート(基準シート)の画像形成条件を求めた後‘(S1〜S9)、その画像形成条件を用いて、基準シート以外のシートの画像形成条件を求める(S10〜S16)ことである。なお、以下では、図3に示すような、基準シートとしてA4サイズのシートを、それ以外のシートとしてA3サイズのシートを用いる場合を例に挙げて説明する。
まず、S1では、画像形成ユニット100の制御部500が、複合機Aに収容れたシートの中から、小さいサイズのシートであるA4サイズのシートを基準シートとして選択し、その基準シートを、画像形成ユニット100に給送する。
S2では、この給送された基準シートに調整画像(枠画像)および方向マークM1を印刷(出力)し、排紙トレイ15または33に排紙する。ここで、S1にて選択されたA4サイズのシート(基準シート)に印刷される調整画像は、図3に示すように、そのシートからはみ出した画像である。そして、この調整画像が転写され、排紙されたシートは、図4(a)に示す出力シートQ1のように、縁辺全てに画像が形成された状態となっている。
なお、後述のように、A3サイズのシートにも調整画像を形成するため、転写ベルト7では、A3サイズの長手方向が副走査方向(搬送方向に平行)となるように、A4サイズの短手方向を副走査方向にしている。
次に、S3では、この出力シートQ1(図4参照)を画像読取ユニット200にセットする。
S4では、S3でセットされた出力シートQ1が画像読取ユニット200にセットされたことを、例えばユーザの指示あるいは画像読取ユニット200の図示しない原稿検知手段により検出すると、画像読取ユニット200の読取動作が可能となる。この結果、ユーザがスタートキー241を押すことにより発生するスタート信号により、原稿セットトレイ210がセットされたシートを画像読取ユニット200の読取領域へと搬送し、画像読取ユニット200がシートに形成された画像(調整画像、方向マークM1)を読み取る。
ここで、図5に示すように、画像読取ユニット200の原稿台209に画像を読み取る出力シートQ1を載置する際、原稿載置ガイド810に、出力シートQ1が当接するようにすれば、出力シートQ1を正確に載置できる。また、原稿載置ガイド810に、シートの位置や大きさを示す目印(図示しない基準マーク)を設けてもよい。この基準マークを用いれば、シートの載置がさらに正確になると期待できる。このように、出力シートQ1を原稿台209に載置して読取を行う場合に、原稿載置ガイド810に出力シートQ1を突き当てて載置すれば、シートを原稿台209に載置しやすい。
ただし、例えば、原稿載置ガイド810の材質などによっては、原稿載置ガイド810と出力シートQ1との境界の区別が困難となる。その結果、出力シートQ1の角部に形成された画像の読み取りが困難となり、読取精度が低下してしまう場合がある。このような場合には、図6に示すように、原稿載置ガイド810と読み取る出力シートQ1の端部との間に、隙間を設けて出力シートQ1を載置する。このようにすれば、出力シートQ1の角部に形成された画像を、確実に、精度よく読み取ることができる。つまり、原稿載置ガイド810と出力シートQ1の先端部との切り分け(境界の認識)が困難となる場合には、原稿載置ガイド810からシート端部を離して載置すればシートの端部を確実に読み取ることができる。
このように、境界に隙間をあけて載置されると、出力シートQ1の載置状態が若干傾く場合もあるが、出力シートのW0のサイズを副走査方向に少なくとも2ヶ所以上読み取ることで載置されたシートの傾きを求めることができる。W1の幅が変わらなければシートが傾いて載置されていることとなり、この傾きを考慮し読み取りで得られたW1の幅を補正し、正しい主走査方向の書き出しタイミング調整用の補正値を求めればよい。副走査方向も同様である。また、シートに対する形成画像の傾きなどの測定もでき、画像形成ユニット200における画像傾き調整も行うことも可能となる。
ここで、上述のように、S4において画像読取ユニット200によってシートの図4(a)のような調整画像または方向マークM1を読取り、ここからまず基準シートのサイズを得る。なお、本実施形態では、方向マークが、給紙トレイ10ごとに異なるように設定されているため、方向マーク読み取ることにより、シートのサイズを得ることが可能となる。本実施形態では、シートのサイズとして、図4(a)に示す出力シートQ1の長さW0およびL0(すなわち、出力シートQ1の長手方向の長さ(W0)および短手方向の長さ(L0)を読取る。つまり、出力シートQ1に形成された画像の外枠の各辺の長さ(W0およびL0)を読み取る。また、図4(a)に示す出力シートQ1に形成された画像の内枠の各辺の長さ(W3およびL3)も読み取る。さらに、出力シートQ1の各辺の外枠と内枠との幅(L1,L2,W1、およびW2)を読み取る。これらの値は、図2に示す画像読取ユニット200から画像データ入力部510に入力された画像データを用いて、制御手段500によって画像データ入力部510から画像データを転送された演算部601が算出する。
また、図5および図6に示す出力シートQ1のように、原稿台209上にシートが載置されると、ユーザからの読取指示を複合機Aの操作部508が検出して、画像読取ユニット200がシートの画像を読取る。ここで、本実施形態のように、画像形成ユニット100の形成条件だけでなく、画像読取ユニット200の読取条件についても補正する場合には、画像読取ユニット200の読取領域を確定させるために、例えば主走査方向について読取領域のセンター位置を確定し、また副走査方向については正確な読取開始位置を確定する必要がある。
読取領域のセンター位置とは、例えば図5に示すように、原稿載置ガイド810の読取領域の主走査方向に設けられた基準マークのセンター位置に相当する。このセンター位置の調整を行うため、複合機Aの制御部500が、操作パネル220のLCD221に、以下のような内容のメッセージをユーザに対して表示してもよい。すなわち、「シートの中心を、原稿載置ガイドの基準マークの中心に合わせて下さい。」といった内容をLCD221に表示してもよい。
そして、図5に示すように基準マークおよびセンター位置に合わせて、搬送方向に応じて配置された出力シートQ1を、画像読取ユニット200によって読取り、演算部601にて補正値を導出する。読み取った枠の真中が中央であるので、調整画像が形成された出力シートQ1の主走査方向における外枠の両側のエッジの位置から中央の位置を求め、センター位置のための補正値を求めることができる。このように、画像読取ユニット200の補正値を求める際には、画像形成ユニット100での形成条件に応じた誤差を含まない、シート上の枠画像の外枠のデータを用いるようにする。この補正値を画像読取ユニット200に反映させれば、調整前の読取領域を調整後の読取領域として、主走査方向の読取位置の中心を基準マークの中心であるセンター位置と合わせることができる。
次に、S5では、画像読取ユニット200の読取倍率を求める。より詳細には、データ記憶部507に記憶されているデータと、画像読取ユニット200にて読み取って得た所定のサイズとを比較して、演算部601が画像読取ユニット200における倍率補正値を求める。
具体的には、データ記憶部507には、基準サイズA4サイズの基準データ(図4のL0=210mm,W0=297mm)が記憶されている。画像読取ユニット200で読み取った画像データ(S4)が、画像データ入力部510に入力されると、演算部601では、画像読取ユニット200で読み取ったW0と、データ記憶部507に記憶されたA4サイズのシートの長手方向の長さ297mmとを比較する。これにより、画像読取ユニット200で読み取ったW0が297mmではなく、画像読取ユニット200の倍率が調整されていないと判別でき、画像読取ユニット200における主走査方向の倍率を求めることができる。同様にして、演算部601では、画像読取ユニット200で読み取ったL0と、データ記憶部507に記憶されたA4サイズにおけるシートの短手方向の長さ210mmとを比較する。これにより、画像読取ユニット200の副走査方向の倍率を求めることができる。このようにして、画像読み取りユニット200の倍率を求めることができる。
なお、1台の複合機Aに対して、画像読取ユニット200は1つであるため、画像読取ユニット200の倍率補正値は、1回求めればよい。すなわち、この画像読取ユニット200の読取倍率の補正値は、一つのシートについて求めれば他のシートについても同じであるので、この処理を省略できる。
次に、S6では、画像形成ユニット100の倍率補正値を求める。より詳細には、S5で求めた画像読取ユニット200の倍率補正値を用いて、画像形成ユニット100がシートに印刷した画像の正確なサイズを求める。そして、このサイズと、パターン記憶部506に記憶されているパターンに応じたサイズとを、演算部601で比較する。これにより、画像形成ユニット100による画像形成の倍率を補正するための、倍率補正値を求められる。
具体的には、まず、図4に示すように、画像形成ユニット100で形成された出力シートQ1に形成された画像における主走査方向の内枠の長さW3と、S4で求めた画像読取ユニット200の主走査方向の倍率補正値とを用いて、画像形成ユニット100が出力シートQ1(基準シート)に印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されている基準シートの調整画像パターンに応じたサイズとを、演算部601が比較して、画像形成ユニット100における主走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。
また、主走査方向と同様にして、副走査方向の倍率補正値は、出力シートQ1の画像における副走査方向の内枠の長さL3と、S4で求めた画像読取ユニット200の副走査方向の倍率補正値とを用いて、画像形成ユニット100が出力シートQ1(基準シート)に印刷した画像の正確なサイズを求める。このサイズと、パターン記憶部506に記憶されている基準シートの調整画像パターンに応じたサイズとを、演算部601が比較して、画像形成ユニット100における副走査方向の倍率を補正する補正値(倍率補正値)を求める。この倍率補正値は、枠画像の形成を一つの画像形成ステーションを用いて行った場合には、一つのシートについてのみ求めればよい。すなわち、この場合、倍率補正値は、1回求めればよい。
次いで、S7およびS8では、基準シートの給紙トレイ10に対応した、画像形成ユニット100の書き出し位置の補正値を求める。すなわち、その給紙トレイに対応する主走査方向(S7)、および、副走査方向(S8)の書き出しタイミングを補正するための補正値を求める。より詳細には、演算部601が、書込み部513において静電潜像の書込みを行うタイミングを補正する補正値を求める。また、演算部601は、シートに対して形成された画像の傾きを求め、この傾きを補正する補正値を求める。
具体的には、S7では、S6で得た、画像形成ユニット100の主走査方向の倍率補正値に基づいて、出力シートQ1の主走査方向における外枠と内枠(図4に示すW1またはW2)を判定することにより、主走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えば、出力シートQ1のW2の値に対して、画像読取ユニット200の読取倍率補正をし、さらに画像形成ユニット100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値と、どの程度異なっているかを判別することによって、書込み部513における書込みタイミングの補正値を求めることができる。また、副走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示す出力シートQ1の主走査方向のW2を読み取れば、シートに対して形成された画像の傾きを求めることができる。演算部601は、この傾きを補正する補正値も求める。
S8では、S6において得た、画像形成ユニット100の副走査方向の倍率補正値に基づいて、出力シートQ1の副走査方向における外枠と内枠(図4に示すL1またはL2)を判定することにより、副走査方向の書込みタイミングの補正値を求める。すなわち、例えば出力シートQ1のL1の値に対して、画像読取ユニット200の読取倍率補正をし、さらに画像形成ユニット100の倍率補正をした後の値が、パターン記憶部506に記憶されているパターンの本来の値とどの程度異なっているか判別することによって、書込み部513における書込みタイミングの補正値を求めることができる。
また、主走査方向に異なる少なくとも2ヶ所の位置で、図4に示す副走査方向のL1を読み取れば、シートに対して形成された画像の傾きを求めることができる。演算部601は、この傾きを補正する補正値も求める。
なお、S7およびS8では、既知のシートサイズと読取ったL0との比較、または予め設定した本来のL3の長さと読取って得られたL3の長さとの比較によって、副走査方向の倍率を求めることができる。または、L3を読取るために要した時間によって、副走査方向の倍率を求めることもできる。また、L1を読取って得られた時間より、副走査方向の書込み手段の書き出し補正値(位置ずれ)を求めることができる。
言い換えれば、例えば、調整画像が形成されたA4サイズのシートのL3を、画像読取読み取りユニット200で読み取った結果より、搬送方向(副走査方向)長さを算出し、真の値210mmと比較すれば、読取に使用した画像読取ユニット200の副走査方向の倍率が求まる。また、同様に、画像読み取りユニット200でW3を読み取った結果より主走査方向長さを算出し、297mmと比較すれば同様に主走査方向の倍率が求まる。
そして、この主走査方向の倍率を考慮し、W1を読み取った値より画像データでの幅を求めれば、主走査方向の書き出しタイミングを求めることができ、予め設定されている主走査方向の書き出しタイミングに対する補正値が求まる。同様に、この副走査方向の倍率を考慮し、L1を読み取った値より画像データでの幅を求めれば、副走査方向の書き出しタイミングを求められ、予め設定されている副走査方向の書き出しタイミングに対する補正値を求めることができる。
また、これらの補正値を求める手順はS7、S8の順に限るものではなく、S8、S7の順におこなってもよい。
S9では、このようなS1〜S8の処理によって得た書き出しタイミング補正値を、制御部500が、画像形成ユニット100に反映させる。これにより、基準シートに対する画像形成条件が調整できる。
主走査方向の調整は以下のように行う。本実施形態の画像形成ユニット100は、LSUとしての露光部1を有しているので、主走査方向の調整を以下のように行う。すなわち、レーザビーム走査方式の場合には、ビームが、ビームディテクタを通過してからのタイミングを制御部500が調整することにより、主走査方向の書き出し位置を調整する。また、また、1画素当りの点灯タイミングを調整することで主走査方向の倍率を調整する。また、固体走査方式の場合には、主走査方向の何処から点灯させるか最初の発光素子を決定する(ずらす)ことで、主走査方向の書き出し調整を行う。なお、固体走査方式の場合には、主走査方向の倍率はほぼ決定しているので通常特に調整する必要はないが、ずれが目立つ場合には何れかの画像データを間引いたり、画像データを補完して増加させ、点灯させる発光素子の数を増減させたりして調整する。
次に、副走査方向のタイミングは以下のように調整する。ここでは、S8で求めた副走査方向の書込みタイミングの補正値を用いて、書込み部513における書込みタイミングを制御手段500が調整し、副走査方向の書き出し位置を補正する。なお、これに限るものではなく、例えば、露光部1から感光体ドラム3への画像形成書き出しタイミングおよび/または図2に示す搬送機構部505のレジストクラッチ515の接続タイミングを調整することによって、副走査方向の書き出し位置を補正することもできる。
また、副走査方向の倍率補正を、搬送部505の搬送モータ514の搬送速度を調整し、シートの搬送速度を調整することによって行う。また、転写部502の転写ローラ6を所定の速度で回転させることによって、シートの搬送速度を調整してもよい。また、これに限るものではなく、例えば感光体ドラム3の回転速度を調整して、副走査方向の倍率を補正することもできる。ただし、例えば搬送モータ514の搬送速度を調整する構成であれば、画像形成のプロセス条件を変化させずに済むので好ましい。
このように、S1〜S9の処理によって、まず、基準シートとなるA4サイズのシート(小さいサイズのシート)の調整画像を、画像読取ユニット200および画像形成ユニット100自身の補正値を求めるとともに、上述のように得たずれ(位置ずれ、倍率誤差)を用いて、基準サイズに対応するズレを補正する。
本実施形態では、このようにして求めた基準シートの補正値を用いて、それ以外のサイズのシートの補正値を求めることを特徴としている。すなわち、S9に続いて、S10以降の処理では、S1〜S9のシートとは別のサイズのシート(基準シート以外のシート;ここでは、A3サイズのシートとする)の補正値を求める。
具体的には、S10では、S1と同様に、画像形成ユニット100の制御部500が、複合機Aの給紙トレイ10のうち、S1で選択したものとは異なる、A3サイズのシートが収容された給紙トレイ10を選択し、選択した給紙トレイ10からA3サイズのシートを、画像形成ユニット100に給送する。
S11では、S2と同様に、S10で給送されたシートに調整画像(枠画像)および方向マークを印刷(出力)する。ここで、注目すべき点は、S11の調整画像として、S2で用いた調整画像を用いることである。すなわち、画像形成ユニット100の感光体ドラム3に形成され、A3サイズのシートおよび転写ベルト7に対して転写される調整画像は、例えば、図3に示す調整画像のように、S2にて形成されたものとなっている。図3は、基準シートとしてA4サイズのシートが選択され(S1)、それ以外のシートとしてA3サイズのシートが選択(S10)された場合を示している。図3のように、A3サイズのシートは、A4サイズのシートがの2倍の大きさである。S11では、A3サイズのシートに対して、基準シートと同じ調整画像を形成する。すなわち、この調整画像は、S10にて選択されたA3サイズのシートの全領域のうち、搬送方向前方の略半分の領域に、A4サイズのシートの場合と同じ枠状の調整画像が形成される。これにより、A3サイズのシートのうち、搬送方向前方側の3辺を逆コの字状にはみ出した画像と、シートの中央部を主走査方向に結ぶ画像が形成される。画像が転写された後のシート(出力されたシート)は、図4(b)に示す出力シートQ2のように、A3サイズのシートに、図4(a)の出力シートと略同様の画像が印刷されている。なお、図4(b)の出力シートQ2の長手方向(副走査方向)に形成された画像の幅は、図4(a)の出力シートQ1の副走査方向に形成された画像の幅(L1+L2+L3)よりも長くなっている。
このように、A3サイズのシートは、基準シートの調整画像に応じて、少なくとも搬送方向前方側の主走査方向の2つの角部と、その角部から副走査方向にのびる辺の少なくとも一部を含む領域に、シートをはみ出す調整画像が形成される。
なお、図4(a)の出力シートQ1の方向マークM1と図4(b)の出力シートQ2のの方向マークM2は、異なるものである。つまり、これらの方向マークは、シートサイズの種類によって異なるものである。これにより、どの給紙トレイ10から搬送されたシートであるか(どのサイズのシートであるか)が認識できるようになっている。
そして、S12では、この出力シートを画像読取ユニット200にセットする。
S13では、S4と同様に、S12でセットされた出力シート(出力シートQ2)に形成された画像(枠画像、方向マーク)の読取りを行う。
S14およびS15では、S7およびS8と同様にして、A3サイズのシートの給紙トレイ10に対応した、画像形成ユニット100の書き出し位置の補正値を求める。すなわち、その給紙トレイに対応する主走査方向(S14)、および、副走査方向(S15)の書き出しタイミングを補正するための補正値を求める。より詳細には、演算部601が、書込み部513において静電潜像の書込みを行うタイミングを補正する補正値を求める。また、演算部601は、シートに対して形成された画像の傾きを求め、この傾きを補正する補正値を求める。なお、この補正値を求める手順はS15、S14の順に限るものではなく、S15、S14の順におこなってもよい。なお、給紙トレイ10から画像形成ユニット100に搬送されたシートは、画像形成ステーションの手前に設けられたレジストローラ14で一旦保持された後、再び搬送される。このため、給紙トレイ10ごとに、副走査方向の大きなズレは発生しない。副走査方向の補正値は、S8で求めているため、S15で求めず、S15の処理を省略してもよい。
最後に、S16では、このようなS10〜S15の処理によって得た補正値を画像形成ユニット100に反映させ、処理を終了する。
以上の動作によって、画像形成条件の調整のための補正値を得ることができた。そして、その後の画像形成の際には、このデータ記憶部507に記憶されているデータを制御部500が読み出して、調整を行う。
このようにして得られた補正データ(調整データ)は、画像形成ユニット100と画像読取ユニット200とが直接あるいはコンピュータを介して接続されている場合には、制御部100が、直接補正データを画像形成ユニット100に入力し、複合機A(画像形成ユニット100)の調整を行うことができる。しかし、操作部508を用いて得られた補正値を、サービスマンや管理者が手入力できるようにしてもよい。なお、画像読取ユニット200が、直接あるいは間接的でも画像形成ユニット100に接続されていない場合には、自動的に補正値を入力できないので操作部等からの手動入力となる。
なお、上記の処理では、A系列のシートについて説明したが、B系列のシートについても、同様である。すなわち、上記の説明では、基準シートとしてA4サイズ(210mm×297mm)を用いて先に全ての補正値を求め、その後、基準シートよりも大サイズのシートであるA3サイズ(297mm×420mm)のシートの調整に、基準シートで用いた調整画像およびその補正値を利用している。これと同様に、B系列の場合も、基準サイズのシートとして、B5サイズ(182mm×257mm)を用いた先に全ての補正値を求め、それよりも大きいサイズのシートであるB4サイズ(257mm×364mm)のシートの調整に、B5サイズのシートで用いた調整画像およびその補正値を利用している。
なお、A系列,B系列両方のサイズのシートを備える給紙トレイ10を有している場合には、現像剤を節約するために、A系列あるいはB系列の内の何れかの系列のシートの中から、小さいサイズのシートを用いて全ての補正値を求める。ただし、このときに使用する調整用画像はA4用,B5用それぞれに別々のものを用いてもよいが、兼用できる画像パターンを用いればそれを用いてもよい。A4,A3,B5,およびB4のそれぞれに別々の調整画像を用いる必要はないので、パターン記憶部506にも全てのサイズ用に別々の調整画像を記憶させておかなくてもよい。
使用するシートは、A系列およびB系列に限らず、その他のサイズについても、このような関係に準じて調整画像を準備すればよい。例えば、インチサイズのシートでは、基準シートとなる小さいサイズのシートをレターサイズ(8.5インチ×11インチ)とし、基準シート以外のシートとして、それよりも大きいサイズのシート、例えば、リーガルサイズ(8.5インチ×14インチ)あるいはレジャーサイズ(11インチ×14インチ)とすればよいとしてもよい。
なお、前述の方向マークは、給紙トレイ10を識別するために給紙トレイごとに異なる大きさのマークが用意されており、給紙トレイ10に対応してシートに付加される。このマークを同じ大きさとし、個数や位置を異ならせて付加し、どの給紙トレイ10から搬送されたものかを認識できるようにしてもよい。カラー画像形成装置であれば、方向マークの色を異なる色にして、給紙トレイ10を識別するようにしてもよい。また、そのような識別を組合わせて複数の識別条件を認識させてもよい。サイズを検出できれば、異なるサイズのシートを、画像読取ユニット200の原稿セットトレイ210にシートを供給しまとめて読取り、各シートについて補正値を求める時にシートサイズを容易に読取って認識でき効率的な読取動作を行うこともできる。ただし、本実施形態のように、基準シートについての全ての補正値を求めれば、それ以外のシートにもその補正値を利用できる。このため、制御系を簡素化できる。
このように、本実施形態の複合機Aでは、調整画像が形成されたシートを出力して、画像の形成条件を調整している。それゆえ、調整のされていない画像読取ユニット200を用いる場合であっても、シートに対する画像の形成条件を補正するための補正値を正確に求めることができる。つまり、画像読取ユニット200が正しく調整されていなくても、画像形成ユニット100(あるいは複合機A)のシートに対する画像の位置や倍率など、画像の形成条件の調整を正しく行うことができる。
また、本実施形態では、大きいサイズのシートの調整画像に、それよりも小さいサイズのシートの調整画像を用いている。このため、シートのサイズ毎に、調整画像を形成する場合よりも、現像剤(トナー)の使用量を低減できる。また、調整画像を記憶する量も少なくなるため、制御系の構成を簡素化できる。
なお、図7の各処理は、1つの調整画像を用いて行ってもよい。すなわち、A4サイズ用の調整画像を用いて、A4サイズのシートに対してS1〜S9の処理をした後、その他のサイズ(A3、B4、およびB5など)のシートに対して、S10以降の処理を行うこともできる。この場合、用いる調整画像は、A4サイズ用のもののみであるため、制御系の構成が簡単となる。
一方、A系列のシートに用いる調整画像と、B系列のシートに用いる調整画像というように、シートの系列ごとの調整画像を用いて各処理を行ってもよい。すなわち、A4サイズ用の調整画像を用いて、A4サイズのシートに対してS1〜S9の処理をした後、A4サイズ用の調整画像を用いて、A3サイズのシートに対してS10以降の処理し、B5サイズのシートに対してS1〜S9の処理をした後、B5サイズ用の調整画像を用いて、B4サイズのシートに対してS10以降の処理を行うこともできる。この場合、系列ごとに適切な調整画像を適用できるため、現像剤(トナー)の使用量を低減できる。
また、S2で形成した調整画像は、図9(a)および図9(b)に示すように、少なくとも3つの角部(R1〜R3、または、R1〜R4)を含む領域に画像を形成すればよい。すなわち、この調整画像(枠画像)は、シートの全周が繋がっている必要はなく、少なくとも3つの角部を含む領域に形成されればよい。例えば、シート4隅または3隅だけでも良い。これにより、調整に使用する現像剤(トナー)の使用量をより節約できる。
また、画像読取ユニット200および/または画像形成ユニット100を調整するためのシート(印刷物)を画像形成装置からいつでも出力することができるので、各ユニットを調整するための特別なシート(調整用原稿)が不要となり、またその特別なシートを忘れることが無い。
また、基準シートの調整(補正)では、少なくとも3つの角部を含む領域に画像が形成された基準シートを読取るので、このシートの規定のサイズおよび画像形成ユニット100にて形成した画像のサイズを基準とし、読取データと比較することによって、画像形成ユニット100における形成条件(形成誤差)、画像読取ユニット200における読取条件(読取誤差)を求めることができる。
また、画像形成ユニット100から出力されたシートを少なくとも1度画像読取ユニット200にて読取ることによって補正値を取得するので、その後に、画像形成ユニット100と画像読取ユニット200との両者を調整できる。例えば、シートの読取を一度のみとすることもできるので、この場合には1プリント1スキャンで画像形成ユニット100と画像読取ユニット200との両方を調整できる。
このように、本実施形態によれば、画像形成条件および画像読取条件の調整のための手順を容易にできる。また、調整時間も短縮できる。また、シートを画像形成ユニット100にて読取って、自動的に調整するので、サービスマン等による調整のように、個人差によって調整結果に差を生ずることがない。
また、以上の処理においては、簡単のために画像形成ステーションごとの調整については触れなかったが、画像形成ステーションごとに調整をすることもできる。
以上のように、本実施形態に係る複合機Aは、給紙トレイごとにシートを順次給送し、そのシートに、給紙トレイに対応させて予め決められた方向マーク(識別マーク)を画像形成ユニット100にて付加して、各シートに画像を形成する。その後に、シートに形成された画像を画像読取ユニット200で読み取り、読み取って得た画像データから、シートに対する画像の形成条件を補正する補正値を給紙トレイに対応させて求め、その補正値を用いて複合機Aの画像形成ユニット100を調整する。
ここで、複数の給紙トレイを備えた画像形成装置においては、画像形成部におけるシートへの画像形成条件(印刷位置、印刷倍率)は、通常、給紙トレイに応じて異なったものとなる。
これは、例えば、給紙トレイにおいてシートをそれぞれ配置する位置が、実際にはトレイごとに微妙に異なったものとなるためである。すなわち、このように給紙トレイの位置において位置ずれがあれば、例えばレジスト手段を用いて斜め送り補正、タイミング補正を行ったとしても、主走査方向のずれを調整することができない。この主走査方向のずれは、上述のように、現在では、書込み位置をデータとしてずらすことによって調整できる。なお、以前のアナログの際には、レジストローラに用紙がちゃんとあたるように搬送されるように、各カセット中での用紙の位置をそれぞれ調整していた。今はデジタルなので、書込み位置を調整すればよい。
また、給紙トレイから画像形成部へとシートが搬送される経路において、誤差が生ずることも考えられる。このため、画像形成条件は、給紙トレイからから画像形成部へとシートが搬送される経路に応じて異なったものとなる、ということもできる。この場合の経路は、両面印刷用の反転経路も含む。
なお、複合機Aの給紙トレイに載置するシートを例えばA3サイズのシートからA4サイズのシートへと変更した場合には、厳密には、そこで調整のやり直しをする必要がある。また、複数の給紙トレイ10のうちの、第1トレイ、第2トレイに、同じA4サイズのシートを入れた場合でも、厳密には、それぞれ調整が必要となる。そこで、本実施形態の複合機Aのように、一連のボタン操作で各給紙トレイから枠画像を形成したシートをまとめて出力し、さらに各シートをまとめて一度で読取ることによって、各給紙トレイの調整を完了できれば、非常に便利である。
この場合、どの給紙トレイから搬送されたものか分かるように、給紙トレイを区別するためのマークをシートに形成する。これによって、給紙トレイに応じた誤差を読取り時に把握できる。そして、給紙トレイごとの誤差のデータを得て、画像形成ユニットに記憶させておく。
また、両面トレイユニットを介してシートを印刷する場合にも、厳密には、始めにシートを供給する給紙トレイごとに結果が異なる。例えば第1トレイから両面搬送経路を介した場合と、第2トレイから両面搬送経路とを介した場合には、誤差などの情報が異なる場合がある。すなわち、給紙トレイ、給紙トレイに載置された紙のサイズなどが異なれば、誤差などの状態が異なる可能性が高くなる。給紙トレイごとに誤差が異なることに応じて、給紙トレイから両面搬送経路を介したシートに対して、それぞれ両面に調整画像(枠画像)を形成して、調整してもよい。
また、それとは逆に、上述のように、両面トレイユニットの整合手段を用いることを前提として、いずれかの給紙トレイから一つのシートを供給して、両面トレイユニット26を介してシートを搬送して枠画像を形成し、調整してもよい。
また、上述の実施の形態においては、各サイズのシートについて1回調整画像(枠画像)を印刷する構成について説明したが、これに限るものではない。各トレイのシートについて複数枚のシートにそれぞれ調整画像を印刷し、それぞれ得たデータを平均化して、調整のためのデータとしてもよい。このようにすれば、調整の精度を向上できる。
また、上述の実施の形態においては、枠画像の印刷されたシートを、原稿セットトレイ210を用いて画像読取ユニット200にて読取る構成について説明しているが、これに限るものではない。但し、原稿セットトレイ210を用いれば、複数のシートを一度に読取りできる。
また、本実施形態においては、複数のトレイを有する構成の一例として図1に示す複合機Aを挙げたが、これに限るものではなく、例えば図1に示す画像形成ユニット100に手差しトレイを加えた構成であってもよい。
なお、複合機Aにおいて、給紙トレイ10は、シートを収容するためのシート収容手段である。シート収容手段は、通常、複数のトレイ(給紙トレイ)やカセットを備えている場合が多く、各シート収容手段毎にシートの搬送状態、特にシートの基準搬送ラインからの位置(主走査方向の位置)がそれぞれ異なる場合が多い。一方、シートの基準搬送ラインからの副走査方向の位置は、レジストローラ14があるので、シート収容手段毎にあまり大きなずれは発生しない。しかしながら、収容されるシートの種類(材質,腰の強さ,厚さ,表面状態)により若干のズレが発生する場合も考えられる。したがって、厳密な調整を行う場合には、シートに対する副走査方向の位置ずれに対する補正値を、シート収容手段毎に設定することが好ましい。
また、画像形成ユニット100は、図2の構成に限らず、例えば、図2に示す画像読取ユニット200および演算部601を画像形成ユニット100に外付けする構成としてもよい。そして、画像読取ユニット200として例えばスキャナを用い、また演算部601として例えばコンピュータ(パソコン)等の汎用のシステムを用いてもよい。この構成では、画像形成ユニット100でシートに画像を形成し、スキャナでシートに形成された画像を読み取る。そして、読み取った画像データを、演算部601としてのコンピュータに取り込む。さらに、画像形成条件を調整するための補正値を求めるプログラムを作成し、それをコンピュータ601aにインストールし、そのプログラムを用いて補正値を求めることもできる。この場合、補正値は、コンピュータに入力された画像データを解析演算して求めてコンピュータの図示しないディスプレイに表示される。そして、表示された補正値を画像形成装置100aの図示しない操作手段を介して画像形成ユニット100に入力すれば、シートに対する画像形成条件を調整することができる。
なお、この構成の場合には、スキャナより入力される読取データに基づいて、画像形成ユニット100の演算部601で演算して補正値を求め、その結果を書込み部に反映させる構成、あるいは、スキャナのCPUにて補正値を演算し、その結果(補正値データ)を画像形成ユニット100に情報として転送して調整する構成としてもよい。これらの構成は、使用するプログラムにより、いずれの構成でも採用できるようになっている。
以上のように、本実施の形態の複合機Aは、シートに対する画像形成の位置ずれ、倍率誤差などの画像形成条件を調整するために、サイズの異なる複数のシートに共通する調整画像を、シートに形成する構成である。また、各シートに形成された画像を読取って、得られた画像データに基づいて、位置ずれ、倍率誤差などを計算し、補正値を導く構成である。
このため、画像読取ユニットが正確に調整されていなくても、複合機Aの調整を行うことができる。
なお、本発明について実施例としてカラー画像の形成を行うことができるカラー画像形成装置、およびカラー画像の読取りが行えるカラー読取装置を用いて説明したが、単色(白黒)画像形成しかできない単色画像形成装置や単色の読取データしか得ることが単色画像読取装置を用いても同様な効果を得ることができることは言うまでもない。
ここで、従来の構成においては、調整を行うために、既に正しく調整の済んだ読取りずれのない読取装置が必要となっていた。また、これに加えて、ずれを検出して位置決めする際には、例えば所定のマークがシートのどの位置に形成されたかを求めるために、シートのエッジを検出する必要があった。しかしながら、通常白色であるシートを白の背景にて読取りを行うため、このような検出は困難であり、このためサービスマンによって目視でずれを検出していた。さらに、異なるサイズのシートのそれぞれのシートの調整を行うために、各シートに対応した調整画像を用いていた。このため、複数のシートに対応する調整画像を記憶し制御する必要があるため、制御系が複雑となっていた。
これに対し、本発明では、複数のシートに兼用可能な調整画像を用いている。各シートに形成された画像を読取って、得られた画像データに基づいて、位置ずれ、倍率誤差などを計算し、補正値を導いている。これによって、シートのサイズを検出することができるので、調整されていない読取り装置を用いることができる。また、シートのエッジからの位置を容易に求めることができる。
なお、本発明の課題は、シートのサイズが大きい場合には、同一系列の小さいサイズ用の調整パターンを用い、先に(最初に)小さいサイズのシートを収容しているカセットやトレイに対して調整を行い調整画像(基準画像)を形成し、その後、その調整画像を用いて、大きいサイズのシートを収容しているカセットやトレイに対する調整を行うことにより、調整に使用する現像剤の節約ができるとともに、制御系が複雑にならない画像形成装置およびその調整方法を提供すること、ともいえる。
また、本発明の画像形成装置・画像形成装置の調整方法を、下記の〔1〕〜〔9〕のように表現することもできる。
〔1〕シート収容手段(給紙トレイ,カセットなど)から供給されたシートに、予め用意された画像データに基づいた画像を形成し、出力されたシートの画像を読み取ることで、前記シート収容手段に対応するシートに対する画像の形成状態を調整する画像形成装置であって、シート収容手段から供給されるシートに対して、はみ出す画像を形成し、出力されたシートに形成された画像を、読取手段にて読み取ることで、シートが送り出された前記シート収容手段に対応する画像形成条件を補正する補正値を求め、該補正値により画像形成装置を調整する画像形成装置において、大きさの異なるシートを収容する複数のシート収容手段を有している場合に、小さなサイズのシートを収容したシート収容手段に対応する補正値を求める調整を、大きなサイズのシートを収容したシート収容手段に対応する補正値を求める調整を行う前に行うことを特徴とする画像形成装置。
ここで、画像形成装置で使用するシートは、一般的に既製のサイズのシートが使用され、予め縦横の寸法が決まっている。その既製のサイズのシートからはみ出す画像を形成することで、シートのエッジまで画像が形成され、画像が形成され出力したシートを画像読取手段で読取った時に、シートのエッジを容易に読取ることができる。そして、シートのサイズが予め分かっているため、そのサイズと読取結果とにより、読み取りに用いた読取手段が正確に調整されていなくとも画像の状態を判断することができる。従って、画像を形成した画像形成装置のシートに対する画像形成条件を補正する補正値を容易に、また正確に求めることができる。またこのとき、複数のサイズのシートのうち、シートサイズが小さいシートの補正値を、サイズが大きいシートの補正値よりも先に求めることで、小さなサイズの調整画像を用いて他のサイズのシート収容手段と共通する調整値を求めることができ、大きなサイズのシートを収容するシート収容手段に対応する他の補正値を求める調整を軽減できる。
〔2〕前記小さいサイズのシートに形成される画像は、シートのエッジいっぱいに形成された枠画像であることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成装置。
これによれば、シートに形成される画像をシートからはみ出すエッジいっぱいの部分と、シートの中に確実に形成される部分とを有する調整画像とすることで、シートのサイズを基準にして補正値を求めることができるため、補正値を求めるために特別なものを使用しないで済む。
〔3〕前記小さいサイズのシートを用いて求める補正値は、他のサイズのシートを収容するシート収容手段に共通する補正値を含んでいることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成装置。
これによれば、シートに形成される画像がシートからはみ出すエッジいっぱいの部分と、シートの中に確実に形成される部分とを有する調整画像とすることで、エッジと内部に形成される部分とで形成されている画像の倍率や左右,前後の位置関係を読み取り正確に補正値を求めることができる。中でも、形成される画像の倍率から、画像形成部の主走査方向および副走査方向の倍率等、他のシート収容手段に共通する補正値を求めることができる。
〔4〕前記画像形成装置において、大きなサイズのシートを収容するシート収容手段に対応する補正値を求める場合に形成する調整画像が、小さなサイズのシートを収容するシート収容手段に対応する補正値を求めた場合に使用した調整用画像と同一の調整画像であり、大きなサイズのシートに対してその先端(搬送方向側の先端)および両側面からはみ出すように形成させることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成装置。
これによれば、シートの先端側の3辺をはみ出す小さいサイズ用の調整画像を用いることで現像剤の使用量を削減できる。また同一の調整画像を使用するので調整用の画像データの記憶量を削減でき、制御系の単純化できる。
〔5〕大きなサイズのシートに用いる小さいサイズ用の調整画像は、その大きなサイズの同一系列のシート(用紙)のうち、一回り小さいサイズのシートを用いることを特徴とする〔4〕に記載の画像形成装置。
これによれば、シートサイズの種類は、A3,A4あるいはB4,B5などA系列のサイズとB系列のサイズとがあり、A3サイズの用紙を使用する場合にはA4サイズ用を、B4サイズの用紙を用いる場合はB5サイズの調整画像を用い、先端側の3辺をはみ出させることにより補正値を求めることができる。
〔6〕前記大きなサイズのシートを収容するシート収容手段に対応する補正値のうち、少なくとも基準搬送ラインからのずれ(主走査方向への画像位置ずれ)を補正する補正値のみ求めることを特徴とする〔1〕に記載の画像形成装置。
これによれば、シート収容手段に起因する画像ずれは、基準搬送ラインからのずれ(とりわけ、主走査方向の画像位置ずれ)がほとんどであり、何れかの小さいサイズのシートで画像の先端および画像の倍率の補正値を求められている。このため、大きなサイズのシートを用いて補正値を求める場合には、基準搬送ラインを求めることができる調整画像を用いて、それだけを求めればよく、残りの補正値は小さいサイズの用紙にて求めた補正値を代用できる。
〔7〕前記大きなサイズのシートを収容するシート収容手段に対応するシートの先端からの画像位置を補正する補正値を求める場合には、先に求めた補正値のうち画像形成倍率を考慮し求めることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の画像形成装置。
これによれば、少サイズシートを用いて先に求めた画像形成倍率を考慮することにより、大サイズのシートの後端をはみ出す調整画像を形成しなくとも先端部の画像より演算にてシートに対する画像の先端位置ズレの補正値を求めることができる。
〔8〕シート収容手段から供給されたシートに予め用意された画像データに基づいた画像を形成し、出力されたシートの画像を読み取ることで、前記シート収容手段に対応するシートに対する画像の形成状態を調整する画像形成装置の調整方法であって、シート収容手段から供給されるシートに対してはみ出す画像を形成して出力し、出力されたシートに形成された画像を、読取手段にて読み取ることで、シートが送り出された前記シート収容に対応する画像の形成条件を補正する補正値を求め、該補正値により画像形成装置を調整する画像形成装置の調整方法において、大きさの異なるシートを収容する複数のシート収容手段を有している場合には、小さなサイズのシートを収容したシート収容手段に対応する補正値を求める調整を、大きなサイズのシートを収容したシート収容手段に対応する補正値を求める調整を行う前に行うことを特徴とする画像形成装置の調整方法。
これによれば、上記画像形成装置による調整を実施し、上記の画像形成装置による効果と同様の効果が得られる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述の実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。