JP2006048865A - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents
光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 少なくとも2つ光学素子から構成された対物レンズ内に光軸に対し非回転対称な温度分布が発生した場合の非点収差の変化量が小さく、高密度光ディスクに対して安定した情報の記録/再生を高速に行うことが出来る光ピックアップ装置用の対物レンズ、この対物レンズを用いた光ピックアップ装置、及びこの光ピックアップ装置を用いた光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】 光源側に配置された第1光学素子と、光情報記録媒体側に配置された集光性能を持つ第2光学素子の少なくとも2つ以上の光学素子で構成される光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、前記第1光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成型して得られる。
【選択図】図1
【解決手段】 光源側に配置された第1光学素子と、光情報記録媒体側に配置された集光性能を持つ第2光学素子の少なくとも2つ以上の光学素子で構成される光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、前記第1光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成型して得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置に関する。
近年の光ディスク(光情報記録媒体)の高密度化に伴い、光ディスクへの記録/再生に使用される光ピックアップ装置の対物レンズは、集光スポットをより小さくするという要求からその開口数(NA)が高いものが用いられるようになっている。
例えば、波長λが405nmの青紫色半導体レーザー光源を使用する高密度光ディスク用の光ピックアップ装置では、高密度化を達成するために開口数NAが0.85の対物レンズを用いることが提案されている。
開口数が0.85の対物レンズとして、入射光束に対する屈折力を二つのレンズに分担させ、個々のレンズの製造公差を緩和することでNA0.85を達成し、アクチュエータからの放熱や、光ピックアップ装置の外部温度の変化により発生する球面収差の変化が小さく押さえられた2群プラスチックレンズが以下の特許文献1に記載されている。
特開2003−248956号公報
例えば、波長λが405nmの青紫色半導体レーザー光源を使用する高密度光ディスク用の光ピックアップ装置では、高密度化を達成するために開口数NAが0.85の対物レンズを用いることが提案されている。
開口数が0.85の対物レンズとして、入射光束に対する屈折力を二つのレンズに分担させ、個々のレンズの製造公差を緩和することでNA0.85を達成し、アクチュエータからの放熱や、光ピックアップ装置の外部温度の変化により発生する球面収差の変化が小さく押さえられた2群プラスチックレンズが以下の特許文献1に記載されている。
光ピックアップ装置では、一般に、アクチュエータにより対物レンズを光軸方向、ディスクの径方向に移動させることでフォーカシングやトラッキングを行う。この際アクチュエータを構成するフォーカシングコイルやトラッキングコイルに通電することでコイルに生じる磁場とマグネットとの間に生じる磁力を利用し、対物レンズを駆動させるようになっている。
ところが、高NAレンズに樹脂を使用し、上記のように駆動させる場合、以前までの構成にはない問題が生じる。フォーカシングコイルやトラッキングコイルを対物レンズの光軸に関して、回転対称と成る様に設計・配置することはアクチュエータの設計上困難であるので、アクチュエータの作動中には、対物レンズ内に光軸に対して非回転対称な温度分布が生じ、その結果、対物レンズの非点収差が変化する。特に、対物レンズを複数群構成とする場合には、NA0.85の光線に対する屈折面が増える為、各々のレンズ内での光線通過高さの変化が小さく、温度分布に伴う屈折率変化の影響を受けやすい。更に、情報の記録/再生を行う速度を速くすると、フォーカシングコイルやトラッキングコイルにより大きな電流を流す必要が在り、コイルの発熱量が大きくなる。そのため、上述した非点収差変化が大きくなり、光ディスクに対する記録/再生特性に悪影響を及ぼす。
しかし、特許文献1に開示された技術は、対物レンズに生じる温度変化が均一に分布している場合に変化する球面収差を補正する技術であり、上述した様に、フォーカシングコイルやトラッキングコイルに通電した際に生じる熱による、対物レンズ内の不均一な温度分布に起因した非点収差劣化の問題についての記載は無く、勿論何ら対策も講じられていない。
本発明の課題は、上述の問題を解決したものであり、少なくとも2つ光学素子から構成された対物レンズ内に光軸に対し非回転対称な温度分布が発生した場合の非点収差の変化量が小さく、高密度光ディスクに対して安定した情報の記録/再生を高速に行うことが出来る光ピックアップ装置用の対物レンズ、この対物レンズを用いた光ピックアップ装置、及びこの光ピックアップ装置を用いた光情報記録再生装置を提供することである。
本明細書においては、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザや青紫色SHGレーザを使用する光ディスクを総称して「高密度光ディスク」といい、NA0.85の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.1mm程度である規格の光ディスク(例えば、ブルーレイディスク)の他に、NA0.65乃至0.67の対物光学系により情報の記録/再生を行い、保護層の厚さが0.6mm程度である規格の光ディスク(例えば、HD DVD)も含むものとする。また、このような保護層をその情報記録面上に有する光ディスクの他に、情報記録面上に数〜数十nm程度の厚さの保護膜を有する光ディスクや、保護層或いは保護膜の厚さが0の光ディスクも含むものとする。また、本明細書においては、高密度光ディスクには、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザや青紫色SHGレーザを使用する光磁気ディスクも含まれるものとする。
また、本明細書においては、DVDとは、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等のDVD系列の光ディスクの総称であり、CDとは、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等のCD系列の光ディスクの総称である。
また、本明細書においては、DVDとは、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等のDVD系列の光ディスクの総称であり、CDとは、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等のCD系列の光ディスクの総称である。
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、光源側に配置された第1光学素子と、光情報記録媒体側に配置された集光性能を持つ第2光学素子の少なくとも2つ以上の光学素子で構成される光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、前記第1光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成型して得られることを特徴とする。
先ず、ここで本明細書における対物レンズの温度分布について定義する(第5図参照)。アクチュエータ(図示せず)の駆動時(コイルへの通電時)、第1面(第1光学素子L1の光源側の光学面)の面頂点P1の温度をT1(℃)、第4面(第2光学素子L2の光記録媒体側光学面)の面頂点P2の温度をT2(℃)、第1光学素子L1のレンズ厚さ(光軸上の光学面の間隔)の中点を通り光軸に垂直な任意の線CLと、光線を中心として線CLを90度回転させた線CL'とが、接合部材SEの外周と交わる点P3、P4、P5、P6の温度をそれぞれT3(℃)、T4(℃)、T5(℃)、T6(℃)とし、T3〜T6の内もっとも高い温度をTH、最も低い温度をTLとし、T1とT2の平均温度をTCとしたとき、周方向の温度分布TPと径方向の温度分布TRとが、以下の2条件式(6)及び(7)を満たしている場合に「対物レンズ内に不均一な温度分布が生じている」と定義する。
TP=|TH−TL|>0.5 (6)
TR=|TH−TC|>0.5 (7)
また「対物レンズ内の温度分布が均一である」とは、式(6)、(7)を同時に満たさない場合を指す。
TP=|TH−TL|>0.5 (6)
TR=|TH−TC|>0.5 (7)
また「対物レンズ内の温度分布が均一である」とは、式(6)、(7)を同時に満たさない場合を指す。
また、これら全ての温度は対物レンズ内の温度分布変化が定常状態となった後に測定した値とする。本明細書において「対物レンズ内の温度分布変化が定常状態になる」とは、温度変化率の絶対値が、P1〜P6(図5参照)の全ての測定点で0.1℃/分 以下である状態を指す。
また、本明細書において、「対物レンズ」とは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された波長が互いに異なる光束を、記録密度が互いに異なる光ディスクのそれぞれの情報記録面上に集光する機能を有する集光素子と、該集光素子と一体となってアクチュエータによりトラッキング及びフォーカシング駆動される光学素子とから構成されるレンズ群を指すものとする。
また、本明細書において開口数NAとは、光ディスクの規格で規定されている開口数、或いは、光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うために必要なスポット径を得ることができる、回折限界性能を有する対物光学系の像側開口数を指すものとする。
また、本明細書において開口数NAとは、光ディスクの規格で規定されている開口数、或いは、光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うために必要なスポット径を得ることができる、回折限界性能を有する対物光学系の像側開口数を指すものとする。
複数群構成の高NAレンズであって、光源側に配置される光学素子(第1光学素子)も集光性能を持つ場合には、光情報記録媒体側に配置される光学素子(第2光学素子)に比べ、第1光学素子におけるマージナル光線の通過高さが高い。そのため、NA0.85の光線は温度分布に伴う対物レンズの屈折率分布の影響を第1光学素子において受けやすい。
請求項1に記載の発明によれば、光源側に配置された第1光学素子を上記樹脂材料で成形するので、受ける温度分布に伴う屈折率変化の影響を低減する事が出来、少なくとも2群以上の構成から成る対物レンズをフォーカシングやトラッキングする際、フォーカシングコイルやトラッキングコイルに通電されたことに起因して発生する非点収差を小さく抑える事が可能である。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子が集光性能を持つことを特徴とする。
前記第1光学素子が集光性能を持つことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、光源側に配置される第1光学素子が集光性能を持つので、温度分布に伴う対物レンズの屈折率分布の影響を第1光学素子において抑えることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子の光学面が、通過光束に対して屈折力を持たない平面であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、NA0.85の光線は第1光学素子において屈折される事がなく、第2光学素子で屈折されるために、第2光学素子の情報記録面側の光学面と情報記録面の保護層の間隔(作動距離)を大きくする事が出来るので、対物レンズと情報記録面の保護層との干渉を防ぐ事が可能である。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第2光学素子がガラス製であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、第2光学素子をガラス製とすることで、第2光学素子で受ける温度分布に伴う屈折率変化の影響も低減する事が出来るので、少なくとも2群以上の構成から成る対物レンズをフォーカシングやトラッキングする際、フォーカシングコイルやトラッキングコイルに通電されたことに起因して発生する非点収差を小さく抑える事が可能である。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第2光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成形して得られることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、第2光学素子を上記樹脂材料で成形することで、第2光学素子で受ける温度分布に伴う屈折率変化の影響も低減する事が出来るので、少なくとも2群以上の構成から成る対物レンズをフォーカシングやトラッキングする際、フォーカシングコイルやトラッキングコイルに通電されたことに起因して発生する非点収差を小さく抑える事が可能である。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子の前記光源側の光学面と前記光情報記録媒体側の光学面との光軸上の間隔をτ、温度1°上昇時における前記樹脂材料の屈折率変化量をAとしたとき、次式(1)を満たすことを特徴とする。
通常、温度1°上昇時における前記樹脂材料の屈折率変化量Aは可能な限り小さい値と成る事が望ましい。又、上記τが大きいと、不均一な温度分布が生じている光路が長くなる。つまり、τとAとの間には反比例の関係が成立しており、実験結果により、τ、|A|の関係を(1)式の上限以下にすることで、対物レンズ内に不均一な温度分布が生じた場合でも、対物レンズの温度分布の不均一性に起因して発生する非点収差を小さく抑えることが出来ることが分かった。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記光ピックアップ装置が前記光情報記録媒体に対する情報の記録及び再生のうち少なくとも一方をx倍速で行うものであり、前記第1光学素子の前記光源側の光学面と前記光情報記録媒体側の光学面との光軸上の間隔をτ、温度1°上昇時における前記樹脂材料の屈折率変化量をAとしたとき、次式(3)を満たすことを特徴とする。
通常の光ピックアップ装置では、高倍速で情報の記録/再生を行う為には、フォーカシングコイルや、トラッキングコイルに低倍速時よりも大きい電流を流す必要が在り、コイルからの発熱量が大きくなる。ここで、1倍速とは、光源から射出された光束が対物レンズにより集光されたスポットが、情報記録面を走査する速度(Reference scanning velocity)が約4.5m/s〜約6.6m/sであることを言う。又、x倍速とはスポットが、情報記録面を走査する速度(Reference scanning velocity)が上記1倍速のx倍であることをいう。
請求項7に記載の発明によれば、x、τ、A、の関係を(3)式の上限以下にすることで、x倍速で情報の記録/再生を行った場合でも、対物レンズ内に不均一な温度分布が生じた場合に、かかる対物レンズの温度分布の不均一性に起因して発生する非点収差を小さく抑えることができ、高密度光ディスクに対して高速で安定した情報の記録/再生を行うことが出来る。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子の光源側の光学面の有効径をE1、前記第1光学素子の光軸からもっとも離れた位置までの距離をD1としたときに次式(4)を満たすことを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、E1,D1(図2を参照)を(4)式の上限未満にすることはレンズの外径に対する有効径の割合を小さくすることであり、熱源であるフォーカシングコイルやトラッキングコイルからの距離が大きくなることに対応しており、光学機能部内における温度分布の不均一性が低減される。又、E1,D1を(4)式の下限以上にすることで、対物レンズの外径が大きくなりすぎることを防ぐ。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子の少なくとも1つの光学面に位相構造を持つことを特徴とする。
請求項9のように、成形性の観点から、プラスチック製の光学素子に位相構造を設けることが好ましい。
位相構造は、光ピックアップ装置が複数の光ディスク間で互換性を有する場合には、複数の光ディスク間における保護層厚の差に起因する球面収差を補正するために用いることができるが、更に、使用波長の波長差に起因する色収差も補正するものとしてもよい。なお、ここでいう色収差とは、波長差に起因する近軸像点位置の差(軸上色収差)、及び/又は、波長差に起因する球面収差を指す。
位相構造は、光ピックアップ装置が複数の光ディスク間で互換性を有する場合には、複数の光ディスク間における保護層厚の差に起因する球面収差を補正するために用いることができるが、更に、使用波長の波長差に起因する色収差も補正するものとしてもよい。なお、ここでいう色収差とは、波長差に起因する近軸像点位置の差(軸上色収差)、及び/又は、波長差に起因する球面収差を指す。
上述の位相構造は、回折構造、光路差付与構造の何れであっても良い。回折構造としては、図6に模式的に示すように、複数の輪帯100から構成され、光軸を含む断面形状が鋸歯形状であるもの(回折構造DOE)や、図7に模式的に示すように、段差101の方向が有効径内で同一である複数の輪帯102から構成され、光軸を含む断面形状が階段形状であるもの(回折構造DOE)や、図8に模式的に示すように、段差104の方向が有効径途中で入れ替わる複数の輪帯105から構成され、光軸を含む断面形状が階段形状であるもの(回折構造DOE)や、図9に模式的に示すように、内部に階段構造が形成された複数の輪帯103から構成されるもの(回折構造HOE)がある。また、光路差付与構造としては、図8に模式的に示すように、段差104の方向が有効径途中で入れ替わる複数の輪帯105から構成され、光軸を含む断面形状が階段形状であるもの(NPS)がある。尚、図7乃至図9は、各位相構造を平面上に形成した場合を模式的に示したものであるが、各位相構造を球面或いは非球面上に形成しても良い。また、回折構造或いは光路差付与構造の何れであっても、図8に模式的に示したような構造となる場合がある。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記プラスチック樹脂の温度変化に伴う屈折率変化をdn1/dt1とし、前記無機粒子の温度変化に伴う屈折率変化をdn2/dt2と表すとき、dn1/dt1とdn2/dt2の符号が互いに異なることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、環境の温度変化が変化したとき、dn1/dt1とdn2/dt2が相殺し、第1光学素子全体の屈折率の変化はプラスチック樹脂のみで構成した場合より小さくなるので、不均一な温度分布による非点収差変化を低減する事が可能である。
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子が、以下の(5)式を満たすことを特徴とする。
|A| < 8 × 10-5 (5)
|A| < 8 × 10-5 (5)
屈折率の温度変化Aは、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて、屈折率nを温度tで微分することにより、上記(2)式で表される。
プラスチック素材の場合は、一般に式(2)中の第1項に比べ第2項の寄与が小さくほぼ無視できる。例えば、PMMA樹脂の場合、線膨張係数αは7×10−5であり、(2)式に代入すると、A=−1.2×10−4となり、実測値とおおむね一致する。
プラスチック素材の場合は、一般に式(2)中の第1項に比べ第2項の寄与が小さくほぼ無視できる。例えば、PMMA樹脂の場合、線膨張係数αは7×10−5であり、(2)式に代入すると、A=−1.2×10−4となり、実測値とおおむね一致する。
ここで、本発明では、微粒子、好ましくは無機微粒子をプラスチック材料中に分散させることにより、実質的に式中の第2項の寄与を大きくし、第1項の線膨張による変化と打ち消しあうようにさせている。
具体的には、従来は−1.2×10−4程度であった屈折率変化Aを、絶対値で8×10−5未満に抑えることが好ましく、より好ましくは絶対値で6×10−5未満にすることがよい。そして、さらに好ましくは絶対値で4×10−5未満にするのがよい。
具体的には、従来は−1.2×10−4程度であった屈折率変化Aを、絶対値で8×10−5未満に抑えることが好ましく、より好ましくは絶対値で6×10−5未満にすることがよい。そして、さらに好ましくは絶対値で4×10−5未満にするのがよい。
また、第2項の寄与をさらに大きくして、母材のプラスチック材料とは逆の温度特性を持たせることも可能である。つまり、温度が上昇することによって屈折率が低下するのではなく、逆に屈折率が上昇するような素材を得ることもできる。
なお、この体積比率は、屈折率の温度に対する変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズ無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
なお、この体積比率は、屈折率の温度に対する変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズ無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
一般的なプラスチック材料の屈折率の温度変化(=dn1/dt1)を表1に示す。
また、本発明で適用可能な無機材料の屈折率の温度変化(=dn2/dt2)は、プラスチック材料と符号の向きが変わる。その一例を表2に示す。
また、本発明で適用可能な無機材料の屈折率の温度変化(=dn2/dt2)は、プラスチック材料と符号の向きが変わる。その一例を表2に示す。
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記無機粒子が、無機酸化物であることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記無機酸化物が飽和酸化状態であることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記樹脂材料が酸化防止剤を含有することを特徴とする。
本発明の微粒子は無機物であることが好ましく、さらに酸化物であることが好ましい。そして、酸化状態が飽和していて、それ以上酸化しない酸化物であることが好ましい。無機物であることは、高分子有機化合物であるプラスチック材料との反応を低く抑えられるために好ましく、また酸化物であることによって、使用に伴う劣化を防ぐことができる。また、酸化防止剤を添加することでプラスチック材料の酸化を防ぐことも、もちろん可能である。
請求項15記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記プラスチック樹脂と前記無機粒子との体積比が9:1〜3:2の範囲であることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記第1光学素子に対して前記無機粒子を5〜80重量%有することを特徴とする。
本発明におけるプラスチック材料への無機粒子の添加量は必要とする性能を鑑みて適宜調整することができ、特に限定はないが、無機粒子の添加量が全重量に対し5重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、ナノレベルの無機粒子をプラスチック樹脂に添加した後、射出成形することで光学素子を得ることができるが、無機粒子の添加量が上述の範囲を下回ると、性能の改善(アサーマル性の向上)が充分に得られない場合がある。
本発明においては、ナノレベルの無機粒子をプラスチック樹脂に添加した後、射出成形することで光学素子を得ることができるが、無機粒子の添加量が上述の範囲を下回ると、性能の改善(アサーマル性の向上)が充分に得られない場合がある。
また、逆に添加量が上述の範囲を超える場合、成形性が悪化したり、光学素子としての重量が増加したりして、樹脂材料(成形材料)としての性能が低下する場合がある。更に、成形にあたり粒子の周りに焼けなどの問題が生じる場合がある。
本発明者らは、さまざまな樹脂の屈折率・屈折率の温度変化率、更に無機粒子の性質、及び混合した樹脂の成形性等を鑑みて、上述の好ましい範囲を特定することができた。
本発明者らは、さまざまな樹脂の屈折率・屈折率の温度変化率、更に無機粒子の性質、及び混合した樹脂の成形性等を鑑みて、上述の好ましい範囲を特定することができた。
無機粒子が有するdn2/dt2の値によってアサーマル性の効果は異なるが、無機粒子を5重量%以上添加することでアサーマル性の改善効果が得られる。PLZTやLiNbO3等の無機粒子を用いる場合は、5重量%以上添加することで、樹脂のdn/dtを約10%以上軽減させることができる為、これにより温度変化による収差変化を補正する必要性が低下する。このため、光学設計の自由度を増加させることができる。
一方、無機粒子の添加量を80重量%以下とすることにより、比重の増加を抑えることができる。特に光学素子が、光ピックアップ装置内で駆動させる光学素子である場合、重量の増加による駆動部材(アクチュエータ)の消費電力増大を抑えることができ、消費電力増大による高温の発生を抑えることができる。
一方、無機粒子の添加量を80重量%以下とすることにより、比重の増加を抑えることができる。特に光学素子が、光ピックアップ装置内で駆動させる光学素子である場合、重量の増加による駆動部材(アクチュエータ)の消費電力増大を抑えることができ、消費電力増大による高温の発生を抑えることができる。
本発明の光学素子においては、無機粒子の添加量を調整することにより、樹脂のdn/dtを逆転させることも可能である。つまり、光学素子の温度が上昇するに従って、屈折率が増加するようにせしめることも可能である。例えばLiNbO3からなる無機粒子をアクリル樹脂中に分散させる場合、無機粒子の添加量を40重量%以上とすることによりアクリル樹脂のdn/dtの符号を逆転させることができる。このような構成を有する光学素子は温度変化に対して過剰補正となる為、通常の樹脂からなる光学素子と組み合わせることにより、お互いの温度変化による屈折率変化を相殺することも可能である。このように、一部の光学素子を過剰補正とすることにより、光学系において、全ての光学素子をアサーマル化しなくても、全系において温度変化による屈折率変化を相殺することができる。
本発明の光学素子の母材となる樹脂材料は、たとえば、アクリル樹脂に、酸化ニオブ(Nb2O5)の微粒子を分散させることで得られる。
前記の母材となるプラスチック樹脂は体積比で80、酸化ニオブは20程度の割合であり、これらを均一に混合する。微粒子は凝集しやすいという問題があるが、粒子表面に電荷を与えて分散させる等の技術により、必要な分散状態を生じさせることが出来る。
なお、この体積比率は、屈折率の温度に対する変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズ無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
前記の母材となるプラスチック樹脂は体積比で80、酸化ニオブは20程度の割合であり、これらを均一に混合する。微粒子は凝集しやすいという問題があるが、粒子表面に電荷を与えて分散させる等の技術により、必要な分散状態を生じさせることが出来る。
なお、この体積比率は、屈折率の温度に対する変化の割合をコントロールするために、適宜増減できるし、複数種類のナノサイズ無機粒子をブレンドして分散させることも可能である。
体積比率は、上記の例では80:20、すなわち4:1であるが、90:10(9:1)から60:40(3:2)までの間で適宜調整可能である。9:1よりも少ないと温度変化抑制の効果が小さくなり、逆に3:2を越えると樹脂の成形性に問題が生じるために好ましくない。
請求項17記載の発明は、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズを備えたことを特徴とする。
請求項18記載の発明は、請求項17に記載の光ピックアップ装置を搭載して光情報記録媒体に対する情報の記録及び再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも2つ光学素子から構成された対物レンズ内に光軸に対し非回転対称な温度分布が発生した場合の非点収差の変化量が小さく、高密度光ディスクに対して安定した情報の記録/再生を高速に行うことが出来る光ピックアップ装置用の対物レンズ、この対物レンズを用いた光ピックアップ装置、及びこの光ピックアップ装置を用いた光情報記録再生装置を提供することが出来る。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本実施の形態の光ピックアップ装置の概略図であり、光ピックアップ装置PUは、光源としての青紫色半導体レーザーLD、偏光ビームスプリッターBS、1/4波長板WP、コリメーターCL、絞りST、対物レンズOBJ、フォーカシング/トラッキング用の2軸アクチュエータAC、シリンドリカルレンズCY、凹レンズNL、及び光検出器PDとから成る。尚、以下の説明において、便宜上、光軸方向に沿って光源に向かう方向を「前方」と表記し、光情報記録媒体に向かう方向を「後方」と表記する。
青紫色半導体レーザーLDから射出された発散光束は、偏光ビームスプリッターBSを通過し、コリメートレンズCL及び1/4波長板を経て円偏向の平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによって高密度光ディスクODの保護層PLを介して情報記録面RL上に形成されるスポットとなる。
青紫色半導体レーザーLDから射出された発散光束は、偏光ビームスプリッターBSを通過し、コリメートレンズCL及び1/4波長板を経て円偏向の平行光束となった後、絞りSTにより光束径が規制され、対物レンズOBJによって高密度光ディスクODの保護層PLを介して情報記録面RL上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RLで情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOBJ,絞りST,及び1/4波長板WPを透過することにより直線偏光となり、コリメートレンズCLを経て収束光になった後、偏光ビームスプリッターBSによって反射され、シリンドリカルレンズCY、凹レンズNLを経ることにより非点収差が与えられ、光検出器PDに収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いて高密度光ディスクPLに記録された情報を読み取ることが出来る。
尚、波長400nm程度のレーザー光を射出する光源として、青紫色半導体レーザーの代わりに、第二高調波発生法を利用したSHG青紫色レーザーを使用しても良い。
尚、波長400nm程度のレーザー光を射出する光源として、青紫色半導体レーザーの代わりに、第二高調波発生法を利用したSHG青紫色レーザーを使用しても良い。
図2に示すように、対物レンズOBJは青紫色半導体レーザーLDからのレーザー光束を高密度光ディスクODの保護層PLを介して情報記録面RL上に集光させる機能を有する。
対物レンズOBJは、青紫色半導体レーザーLD側に配置されたプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂製の光学素子L1と、高密度光ディスクOD側に配置された正のパワーを有する第2光学素子L2とから構成される2群構成であり、これら2つの光学素子を組み合わせて得られる像側開口数NAは0.85である。
尚、本発明で用いられる対物レンズOBJとしては、少なくとも2群以上の構成であれば良く、図2に示すような2群のみの構成には限定されない。
対物レンズOBJは、青紫色半導体レーザーLD側に配置されたプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂製の光学素子L1と、高密度光ディスクOD側に配置された正のパワーを有する第2光学素子L2とから構成される2群構成であり、これら2つの光学素子を組み合わせて得られる像側開口数NAは0.85である。
尚、本発明で用いられる対物レンズOBJとしては、少なくとも2群以上の構成であれば良く、図2に示すような2群のみの構成には限定されない。
更に、第1光学素子L1、第2光学素子L2、接合部材SEを用い接合されていることで、第1光学素子L1と、第2光学素子L2は一体となってフォーカシングやトラッキングを行う。
図3(a),(b)は、対物レンズOBJ付近の詳細図である。接合部材SEの当接により、2軸アクチュエータACで駆動されるボビンBに保持されている。尚、2軸アクチュエータACの動作は周知であるため説明を省略する。又、符号MGはマグネットを示す。
通常、対物レンズOBJの作動距離(ワーキングディスタンス)を確保する観点から、フォーカシングコイルFC及びトラキングコイルTCは、対物レンズOBJの後端(本実施の形態においては第2光学素子L2の出射面)よりも前方に配置されることが多く、また、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCの重心GC及びGC'は、各コイルの前後方向の長さの中心近傍に位置することになる。
通常、対物レンズOBJの作動距離(ワーキングディスタンス)を確保する観点から、フォーカシングコイルFC及びトラキングコイルTCは、対物レンズOBJの後端(本実施の形態においては第2光学素子L2の出射面)よりも前方に配置されることが多く、また、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCの重心GC及びGC'は、各コイルの前後方向の長さの中心近傍に位置することになる。
従って、フォーカシングコイルFCとトラッキングコイルTCは、その重心位置GCとGC'が第2光学素子L2の重心位置GL2よりも青紫色半導体レーザーLD側に位置することになる。即ち、第1光学素子L1は、第2光学素子L2よりもフォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCに近い位置に配置することになる。
従って、光ピックアップ装置PUの動作中には、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCから生じる熱の影響を受けて対物レンズOBJの温度が上昇するが、図3に示すように、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCは、第2光学素子L2よりも第1光学素子L1に近い位置に配置され、且つ、対物レンズOBJの光軸に関して非回転対称に取り付けられているため、対物レンズOBJ内(特に、第1光学素子内)には光軸に対して非回転対称な温度分布が生じる。
従って、光ピックアップ装置PUの動作中には、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCから生じる熱の影響を受けて対物レンズOBJの温度が上昇するが、図3に示すように、フォーカシングコイルFC及びトラッキングコイルTCは、第2光学素子L2よりも第1光学素子L1に近い位置に配置され、且つ、対物レンズOBJの光軸に関して非回転対称に取り付けられているため、対物レンズOBJ内(特に、第1光学素子内)には光軸に対して非回転対称な温度分布が生じる。
しかし、本発明に係る光ピックアップ装置用対物レンズOBJでは上記式(1)を満たすように設計されているので、対物レンズOBJ内に不均一な温度分布が生じた場合でも、非点収差変化を小さく抑えることが出来、高密度光ディスクODに対して高速で安定した情報の記録/再生を行うことが可能となっている。
なお、第1光学素子L1の光源側光学面の有効径をE1、外径をD1とした時に、式(4)を満たすように第1光学素子L1及び第2光学素子L2を設計することが好ましい。
なお、第1光学素子L1の光源側光学面の有効径をE1、外径をD1とした時に、式(4)を満たすように第1光学素子L1及び第2光学素子L2を設計することが好ましい。
また、図示は省略するが、上述した光ピックアップ装置PU、光情報記録媒体ODを回転自在に保持する回転駆動装置、これら各種装置の駆動を制御する制御装置を搭載し、光情報記録媒体ODに対する光情報の記録及び光情報記録媒体ODに記録された情報の再生のうち少なくとも一方の実行が可能な光情報記録再生装置を得ることが出来る。
次に、上述した対物レンズとして好適な対物レンズについて説明する。先ず、式(1)を満たさないように設計された対物レンズを表3に示し、式(1)を満たすように設計されたレンズを表4,5に示す。何れの対物レンズも、第1光学素子の光源側の光学面に第1図3に示したような位相構造(回折構造)が形成されており、BDの波長に対しては0次回折光強度が最大になり、DVDの波長に対しては+1次光回折強度が最大になることで、BDとDVDの記録面保護層の厚さが異なることにより発生する球面収差変化を小さくし、BD,DVDの異なる規格に対し、設計状態においては良好に情報の記録/再生が出来る様設計されている。
[比較例]
BD:NA1=0.85、λ1=407.7nm、 f1=1.765、m1=0、
DVD:NA2=0.65、λ2=660.0nm、 f2= 1.825、m2=0
BD:NA1=0.85、λ1=407.7nm、 f1=1.765、m1=0、
DVD:NA2=0.65、λ2=660.0nm、 f2= 1.825、m2=0
[実施例1]
BD:NA1=0.85、λ1=407.7nm、 f1=1.765、m1=0、
DVD:NA2=0.65、λ2=660.0nm、 f2= 1.825、m2=0
BD:NA1=0.85、λ1=407.7nm、 f1=1.765、m1=0、
DVD:NA2=0.65、λ2=660.0nm、 f2= 1.825、m2=0
表3〜表5においてNAは開口数、λ(nm)は設計波長、f(mm)は焦点距離、mは光学系倍率、r(mm)は曲率半径、nλは波長λ、25℃における屈折率、A[1/℃]はレンズの屈折率の温度依存性を表し、非球面はその面の頂点に接する平面からの変形量をX(mm)、光軸に垂直な方向の高さをh(mm)、曲率半径をr(mm)とするとき、次式(数4)で表される。但し、κを円錐係数、A2iを非球面係数とする
次に、温度分布について説明する。対物レンズの温度変化は対物レンズの屈折率変化として考えることができる。本実施は対物レンズ内に発生する温度分布を屈折率分布として扱った。分布の仕方は、光軸を含む基準の平面を考える。その平面に平行で、更にその平面との間隔がhの平面を2面考える。2つの平面は基準の平面が光軸を含むために必ず光軸に平行になる。この二枚の平面が第1光学素子及び第2光学素子と交わる各位置での温度(屈折率)が等しいとし、更にこの温度がhの2乗でhが大きくなるほど温度が高くなるとしてシミュレーションを行った。また、光軸方向の温度分布は光軸が回転対称のため、非点収差の発生に寄与しないので、本シミュレーションでは光軸方向の温度分布は考慮していない。図4は第1光学素子の外径が4.0mmで、中心温度の平均値TC(=T1=T2)と、THの差TRとTHとTLの温度差TPが等しい場合についてTR(=TP)が0℃〜2℃まで変化した場合の3次非点収差の変化量を求めた結果である。又、温度測定の結果から、TCとTRの温度差が1.18℃生じたときのトラッキングコイル、又はフォーカシングコイルに通電した電流量は2.5倍速に対応しているので、表6の式(3)の値のxは2.5として計算した。尚、この計算には対物レンズの温度分布変化に伴う屈折率変化のみを考慮した。
即ち、本シミュレーションにおいて、第1光学素子内、第2光学素子内に与えた屈折率分布NL1(h)及びNL2(h)は、光軸からの高さhの関数として、
NL1(h)=N0L1+Nh2L1・h2
NL2(h)=N0L2+Nh2L2・h2
で表される。
ここで、N0L1及びN0L2は、上記光軸を含む基準の平面(h=0)内での第1光学素子及び第2光学素子内におけるhに対する屈折率変化率である。上記式に関して、実施例1についての具体的な数値は以下のようになる。
NL1(h)=N0L1+Nh2L1・h2
NL2(h)=N0L2+Nh2L2・h2
で表される。
ここで、N0L1及びN0L2は、上記光軸を含む基準の平面(h=0)内での第1光学素子及び第2光学素子内におけるhに対する屈折率変化率である。上記式に関して、実施例1についての具体的な数値は以下のようになる。
図4の温度分布で、実施例1においてレンズの中心(h=0)と外周(h=2.0)の最高値の温度差が1.18℃の場合、第1光学素子の屈折率の温度依存性Δn/ΔTは−9.3E−5であるので、外周(h=2.0)における屈折率NL1(h=2.0)は、1.621214−9.3E−5×1.18=1.62110426と成る。
したがって、hに対する屈折率変化率Nh2L1は1.62110426=1.621214+ Nh2L1・22より、Nh2L1=‐2.75E1‐5と成る。同様に第2光学素子についても計算すると、Nh2L2=7.69E‐7と成る。
したがって、hに対する屈折率変化率Nh2L1は1.62110426=1.621214+ Nh2L1・22より、Nh2L1=‐2.75E1‐5と成る。同様に第2光学素子についても計算すると、Nh2L2=7.69E‐7と成る。
式(1)を満たさない比較例は、上記温度分布の過程において対物レンズの中心と、最外周辺で最も温度の高い部分との温度差が2℃、即ち2.5倍速で情報の記録/再生を行うことに対応する状態で3次非点収差変化量が0.046[λrms]であるのに対し、式(1)を満たす実施例1及び2は3次非点収差の発生量が抑えられていることが分る。
このことから、実施例1及び2の対物レンズは、式(1)を満たすことにより、アクチュエータの発熱に起因して対物レンズ内に不均一な温度分布が生じた場合にも非点収差変化量が小さく抑えられており、高密度光ディスク用の光ピックアップ装置用の対物レンズとして十分な性能を有していることが言える。
このことから、実施例1及び2の対物レンズは、式(1)を満たすことにより、アクチュエータの発熱に起因して対物レンズ内に不均一な温度分布が生じた場合にも非点収差変化量が小さく抑えられており、高密度光ディスク用の光ピックアップ装置用の対物レンズとして十分な性能を有していることが言える。
PU 光ピックアップ装置
OBJ 対物レンズ
PD 光検出器
LD 青紫色半導体レーザー
L1 第1光学素子
L2 第2光学素子
SE 接合部材
OBJ 対物レンズ
PD 光検出器
LD 青紫色半導体レーザー
L1 第1光学素子
L2 第2光学素子
SE 接合部材
Claims (18)
- 光源側に配置された第1光学素子と、光情報記録媒体側に配置された集光性能を持つ第2光学素子の少なくとも2つ以上の光学素子で構成される光ピックアップ装置用の対物レンズにおいて、
前記第1光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成型して得られることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子が集光性能を持つことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子の光学面が、通過光束に対して屈折力を持たない平面であることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第2光学素子がガラス製であることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第2光学素子がプラスチック樹脂に、直径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂材料を成形して得られることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子の少なくとも1つの光学面に位相構造を持つことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記プラスチック樹脂の温度変化に伴う屈折率変化をdn1/dt1とし、前記無機粒子の温度変化に伴う屈折率変化をdn2/dt2と表すとき、dn1/dt1とdn2/dt2の符号が互いに異なることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子が、以下の(5)式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
|A| < 8 × 10-5 (5) - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記無機粒子が、無機酸化物であることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項12に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記無機酸化物が飽和酸化状態であることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記樹脂材料が酸化防止剤を含有することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記プラスチック樹脂と前記無機粒子との体積比が9:1〜3:2の範囲であることを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記第1光学素子に対して前記無機粒子を5〜80重量%有することを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。 - 請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズを備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項17に記載の光ピックアップ装置を搭載して光情報記録媒体に対する情報の記録及び再生のうち、少なくとも一方を実行可能であることを特徴とする光情報記録再生装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004230953A JP2006048865A (ja) | 2004-08-06 | 2004-08-06 | 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 |
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2004
- 2004-08-06 JP JP2004230953A patent/JP2006048865A/ja active Pending
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