JP2006048822A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 合波に回折素子を用いても、温度変動による受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれを抑制できる光ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】 第1、第2の波長の光束を出射する第1の光源1a、1bと、2つの波長の光束を光ディスク7、8に向けて導く往路光学系と、受光素子10a、10bと、光ディスク7、8からの戻り光を受光素子10a、10bに導く復路光学系とを備え、往路光学系および復路光学系は、それぞれ、少なくとも一方の波長の光束を回折させ、格子ピッチが等しい第1の回折素子2および第2の回折素子9を有し、各回折素子2、9は、各波長の光束毎に同一の次数で回折させる構成を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CD、DVD等のディスクの厚さや記録密度の異なる光記録媒体(以下、光ディスクという。)への情報の記録または光ディスクからの情報の再生を行う光ピックアップ装置に関する。
従来、CD、DVD等の異なる種類の光ディスクに対して、一台で情報の記録または情報の再生(以下、単に情報の記録再生という。)が可能な光ピックアップ装置が知られている。ここで、CDに対する情報の記録再生には780nm付近の波長を持つレーザ光源が必要であり、DVDに対する情報の記録再生には650nm付近の波長を持つレーザ光源が必要であることが知られている。
このように、情報の記録再生に用いる波長が異なる光ディスクに対して一台で記録再生を行うことができるようにするため、従来、発振波長の異なる2個のレーザを搭載した、所謂、2レーザ方式の光ピックアップ装置が実用化された。これは、個別に製作されたレーザを1つのピックアップ上に搭載するものである。また近年、光ピックアップ装置の小型化および低価格化を図るため、発振波長の異なる複数のレーザダイオードを単一基板上に一体集積した、所謂、ツインレーザが開発され、実用化されてきた。
上記の2レーザ方式の光ピックアップ装置、または、ツインレーザ搭載の光ピックアップ装置では、コリメータレンズ、対物レンズ等の光学系を異なる2つの波長で共通に使用するため、異なる位置に配置された光源から出射される2つの光束の光軸が、光ピックアップ装置の光学系の光軸に一致するように合波する必要がある。
2レーザ方式の光ピックアップ装置では、上記のように合波するために、光学プリズムを用い、光学プリズムの波長分散による屈折の角度の相違を利用して異なる位置に配置された光源から出射される2つの光束の光軸を一致させていた(例えば、特許文献1参照)。
また、ツインレーザ搭載の光ピックアップ装置では、上記のように合波するために、回折素子を用い、一方の波長の光束を透過させ(回折の次数が0次)、他方の波長の光束を1次の回折(以下、回折の次数が1次)をさせることによる回折角の相違を利用して異なる位置に配置された光源から出射される2つの光束の光軸を一致させていた(例えば、特許文献2参照)。以下、回折素子で0次の回折をして出射する光束を0次光といい、回折素子で1次の回折をして出射する光束を1次光という。
特開2001−118279号公報 特開2002−163837号公報
ここで、光ピックアップ装置を構成するレーザからの出射光の波長は、その環境温度に依存して変動することが知られている。そのため、特許文献2に開示されているように、合波に回折素子を用いる場合には、0次光は回折素子を透過することによって環境温度に依存した波長変動による影響を受けないが、1次回折光は、回折角が波長にほぼ比例して変化するため、回折角が環境温度に依存して変化する。その結果、0次光の光軸と1次回折光の光軸とが一致しなくなり、1次回折光は、受光素子の位置で温度変動に応じてスポットの位置がずれて集光することになる。
また、フォーカスサーボまたはトラッキングサーボは、通常、複数の領域に分割された受光素子の領域毎の光量に比例した信号の和信号または差信号に基づいて行うことが知られている。そのため、このような従来の光ピックアップ装置では、受光素子に到達する集光スポットの位置がフォーカスエラーまたはトラッキングエラー以外の要因でずれる場合、フォーカスサーボまたはトラッキングサーボを正確に行うことができなくなってしまう問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、回折素子を用いて合波を行う構成であっても、受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれに対する環境温度の変動の影響を抑制することが可能な光ピックアップ装置を提供するものである。
以上の点を考慮して、請求項1に係る発明は、第1の波長の光束を出射する第1の光源と、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光束を出射する第2の光源と、前記第1の波長の光束および前記第2の波長の光束を光記録媒体に向けて導く往路光学系と、前記光記録媒体からの前記第1の波長の戻り光を受光する第1の受光素子と、前記光記録媒体からの前記第2の波長の戻り光を受光する第2の受光素子と、前記光記録媒体からの前記第1の波長の戻り光を前記第1の受光素子に導くと共に、前記光記録媒体からの前記第2の波長の戻り光を前記第2の受光素子に導く復路光学系とを備えた光ピックアップ装置であって、前記往路光学系は、前記第1の波長の光束および前記第2の波長の光束の少なくとも一方の光束を回折させる第1の回折素子を有し、前記復路光学系は、前記第1の波長の戻りおよび前記第2の波長の戻り光の少なくとも一方の光束を回折させる第2の回折素子を有し、前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とは、相互に等しい格子ピッチの回折格子を有し、前記第1の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させる構成を有している。
この構成により、第1の回折素子と第2の回折素子とが、相互に等しい格子ピッチの回折格子を有し、第1の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させ、第2の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させるため、回折素子を用いて合波を行う構成であっても、受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれに対する環境温度の変動の影響を抑制することが可能な光ピックアップ装置を実現できる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1において、前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とが、前記第1の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させる構成をなしている。
この構成により、請求項1の効果に加え、各回折素子での各回折の次数が全て1次であるため、回折効率の高い回折を利用した光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、請求項3に係る発明は、請求項1において、前記第1の回折素子および前記第2の回折素子が、1次以上の回折の次数で回折させる光の波長を選択することができる波長選択性を有する構成をなしている。
この構成により、請求項1または2の効果に加え、各回折素子が、1次以上の回折の次数で回折させる光の波長を選択することができる波長選択性を有するため、光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、請求項4に係る発明は、請求項1または3において、前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とは、前記第1の波長の光束を共に0次の回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させる構成を有している。
この構成により、請求項1または3の効果に加え、各回折素子が、第1の波長の光束を共に0次の回折の次数で回折させ、第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させるため、さらに光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、請求項5に係る発明は、請求項1から4までのいずれか1項において、前記第1の回折素子および前記第2の回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する構成をなしている。
この構成により、請求項1から4までのいずれか1項の効果に加え、各回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を繰り返す周期構造の回折格子を有するため、回折素子を簡易に製作できる光ピックアップ装置を実現できる。
また、請求項6に係る発明は、請求項1から4までのいずれか1項において、前記第1の回折素子および前記第2の回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を階段状の形状で近似した形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する構成をなしている。
この構成により、請求項1から4までのいずれか1項の効果に加え、各回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を階段状の形状で近似した形状を繰り返す周期構造の回折格子を有するため、回折素子をさらに簡易に製作できる光ピックアップ装置を実現できる。
本発明は、第1の回折素子と第2の回折素子とが、相互に等しい格子ピッチの回折格子を有し、第1の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させ、第2の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させるため、回折素子を用いて合波を行う構成であっても、受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれに対する環境温度の変動の影響を抑制することが可能な光ピックアップ装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の概念的な構成を示す図である。図1において、光ピックアップ装置100は、波長λの光束を出射する第1の光源1aと、波長λの光束を出射する第2の光源1bと、各光源1a、1bが出射した光束を合波する第1の回折素子2と、合波した光束を透過させると共に、第1の光ディスク7の情報記録面7aおよび第2の光ディスク8の情報記録面8aからの戻り光を反射して後述の第2の回折素子9へ導く光学素子3と、入射する光束を略平行光に変換するコリメータレンズ4と、絞り5と、対物レンズ6と、各情報記録面7a、8aからの戻り光を分波する第2の回折素子9と、分波した後の波長λの光束を受光する第1の受光素子10aと、分波した後の波長λの光束を受光する第2の受光素子10bとを備える。
ここで、上記の「戻り光」とは、波長λの光束または波長λの光束であって、情報記録面7aまたは情報記録面8aで反射され光学素子3の方向に戻る光束をいう。また、以下では、波長λを第1の波長といい、波長λを第2の波長という。
第1の光源1aが出射した光束は、第1の回折素子2で回折し、光学素子3、コリメータレンズ4、絞り5、対物レンズ6の順に透過し、第1の光ディスク7の情報記録面7aに集光する。同様に、第2の光源1bが出射した光束は、第1の回折素子2で回折し、光学素子3、コリメータレンズ4、絞り5、対物レンズ6の順に透過し、第2の光ディスク8の情報記録面8aに集光する。以下、第1の光源1aまたは第2の光源1bからの光束を、それぞれ、第1の光ディスク7の情報記録面7aまたは第2の光ディスク8の情報記録面8aに向けて導く光学系を往路光学系という。
第1の光ディスク7の情報記録面7aまたは第2の光ディスク8の情報記録面8aに集光した光束は、それぞれ、各情報記録面7a、8aで反射され、対物レンズ6、絞り5、コリメータレンズ4を透過し、光学素子3で反射され、第2の回折素子9で分波され、第1の受光素子10aまたは第2の受光素子10bに入る。以下、第1の波長の戻り光を情報記録面7aから第1の受光素子10aに導くと共に、第2の波長の戻り光を情報記録面8aから第2の受光素子10bに導く光学系を復路光学系という。
ここで、第1の受光素子10aの出力信号は、第1の光ディスク7の光ディスク記録面7aに記録された情報の、読み取り信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の生成に用いられる。同様に、第2の受光素子10bの出力信号は、第2の光ディスク8の光ディスク記録面8aに記録された情報の、読み取り信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の生成に用いられる。
なお、光ピックアップ装置は、上記のフォーカスエラー信号に基づいてレンズを光軸方向に制御する機構(フォーカスサーボ)、および、上記のトラッキングエラー信号に基づいてレンズを光軸にほぼ垂直な方向に制御する機構(トラッキングサーボ)を備えるが、図1に示す構成では省略されている。
第1の光源1aは、例えば、半導体レーザで構成され、波長650nm近傍の波長かつ直線偏光の発散光束を出射するようになっている。同様に、第2の光源1bは、例えば、半導体レーザで構成され、780nm近傍の波長かつ直線偏光の発散光束を出射するようになっている。ここで、波長650nm近傍および780nm近傍の波長とは、それぞれ、630nm〜670nmおよび760nm〜800nmの範囲にある波長を意味する。
なお、上記の第1の光源1aと第2の光源1bとは、別個に配置されるのでも、同一パッケージ内の同一基板上に2個の半導体レーザチップがマウントされ、所謂、ハイブリッド型の2波長レーザ光源をなすように構成されるのでもよい。または、第1の光源1aと第2の光源1bとは、異なる波長を発光する2個の発光点を持ったモノリシック型の二波長レーザ光源(例えば、特開2004−39898号公報参照。)をなすように構成されるのでもよい。
第1の回折素子2は、例えば回折格子によって構成され、各光源1a、1bが出射する光束を回折させ、回折後の各光束の光軸が所定の温度でほぼ一致するように構成されている。すなわち、第1の回折素子2は、第1の光源1aおよび第2の光源1bが出射する各光束を合波するように構成されている。ここで、第1の光源1aおよび第2の光源1bが出射する各光束の合波には、同一次数の回折を利用することができる。また、一方の光束を0次で回折させ、他方の光束を0次以外の次数で回折させることによって、合波することもできる。以下、第1の回折素子2は回折格子によって構成され、第1の回折素子2を構成する回折格子を、単に「第1の回折素子2の回折格子」という。
光学素子3は、第1の回折素子2で回折されて合波された光束をコリメータレンズ4側に透過させると共に、第1の光ディスク7の情報記録面7a、または、第2の光ディスク8の情報記録面8aからの戻り光を反射させて、第2の回折素子9側に導くようになっている。
コリメータレンズ4は、第1の回折素子2で回折し、合波された光束をほぼ平行光に変換するようになっている。
絞り5は、第1の光源1aまたは第2の光源1bからの光束を選択的に開口制限することによって、開口数NAを設定するようになっている。これによって、光ディスクの記録再生の際、第1の光ディスク7用の開口数と第2の光ディスク8用の開口数が異なる場合、絞り5により開口数を調整できる。第1の波長λの光束に対しては開口数NAが0.65となるようにし、第2の波長λの光束に対しては開口数NAが0.50となるようにした。なお、絞り5には、機械的絞り、光学的絞り等があり、特に限定されないものとする。
対物レンズ6は、各波長λ、λで共に使用可能な程度に収差補正された単レンズであり、第1の波長λおよび第2の波長λのそれぞれの平行光を光ディスク7の情報記録面7a、および、光ディスク8の情報記録面8aに集光させるようになっている。係る対物レンズ6として、例えば、特開2001−344798号公報に開示された対物レンズ等を用いることができる。
なお、対物レンズ6は、上記のものに限定されず、例えば、2つの波長λ、λのうちのいずれか一方の波長で生ずる収差を収差補正するレンズと、他方の波長で生ずる収差を収差補正する機能を有する光学部材とを組み合わせた構成でもよい。
第1の光ディスク7は、第1の波長λの光束を用いて情報の書き込みまたは読み出しを行うための記録媒体であり、例えば、0.6mmの保護層厚を有する。同様に、第2の光ディスク8は、波長λの光束を用いて情報の書き込みまたは読み出しを行うための記録媒体であり、例えば、1.2mmの保護層厚を有する。
第2の回折素子9は、例えば回折格子によって構成され、各光ディスク7、8の情報記録面7a、8aからの戻り光を回折させ、回折後の各光束の光軸の方向が分離していくように構成されている。すなわち、第2の回折素子9は、戻り光を分波するように構成されている。戻り光の分波には、同一次数の回折を利用することができる。また、一方の光束を0次で回折させ、他方の光束を0次以外の次数で回折させることによって、分波することもできる。以下、第2の回折素子9は回折格子によって構成され、第2の回折素子9を構成する回折格子を、単に「第2の回折素子9の回折格子」という。
ここで、第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチと、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチとをほぼ等しくし、第2の回折素子9での各波長λ、λの戻り光の回折の次数と、第1の回折素子2での回折の次数とを等しくするのは、以下の点から好適である。すなわち、このようにすることにより、環境温度の変化によって光源の発振波長が変化し、第1の回折素子2および第2の回折素子9で回折して出射した光束の方向(以下、単に出射方向という。)が変化しても、出射方向の変化は、第1の回折素子2と第2の回折素子9とで、ほぼ同量かつ互いに相殺されるように生ずるため、第2の回折素子9を出射する各光束の光軸方向は環境温度の変動の影響を受けなくなる。以下、入射した光が出射する回折素子の面を「出射面」という。
第1の受光素子10aは、第1の光ディスク7の情報記録面7aからの戻り光を受光し、この情報記録面7aに記録された情報に応じた、読み取り信号、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号の各信号を生成し、外部に出力するようになっている。同様に、第2の受光素子10bは、第2の光ディスク8の情報記録面8aからの戻り光を受光し、この情報記録面8aに記録された情報に応じた、読み取り信号、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号の各信号を生成し、外部に出力するようになっている。
ここで、第1の受光素子10aと第2の回折素子9との間の距離を、第1の光源1aと第1の回折素子2との間の距離にほぼ等しくするのが好適である。また、第2の受光素子10bと第2の回折素子9との間の距離を、第2の光源1bと第1の回折素子2との間の距離にほぼ等しくするのが好適である。
なお、上記の第1の受光素子10aと第2の受光素子10bとは、別個に配置される構成でも、単一の受光素子として構成され、各光束の集光する位置に応じて異なる受光面が設けられる構成でもよい。
上記の本発明の実施の形態に基づく具体的な実施例を以下に説明する。本実施例に係る光ピックアップ装置は、上記の往路光学系と復路光学系とが、それぞれ同じ格子ピッチの回折素子を有し、各回折素子が、第1の波長の光束を同一次数で回折させると共に、第2の波長の光束を同一次数で回折させるように構成される。
以下、各回折素子が、第1の波長の光束を回折させる回折の次数が1次であり、第2の波長の光束を回折させる回折の次数が1次である構成についての実施例を[例1]とし、各回折素子が、第1の波長の光束を回折させる回折の次数が0次であり、第2の波長の光束を回折させる回折の次数が1次である構成についての実施例を[例2]として説明する。
[例1]
例1に係る光ピックアップ装置100は、図1に示すように、第1の波長650nmの光束を出射する第1の光源1aと、第2の波長780nmの光束を出射する第2の光源1bと、各光源1a、1bが出射した光束を合波する第1の回折素子2と、合波した光束を透過させると共に、第1の光ディスク7の情報記録面7aおよび第2の光ディスク8の情報記録面8aからの戻り光を反射して第2の回折素子9へ導くための光学素子3と、コリメータレンズ4と、絞り5と、対物レンズ6と、各情報記録面7a、8aからの戻り光を分波する第2の回折素子9と、分波した後の第1の波長650nmの光束を受光する第1の受光素子10aと、分波した後の第2の波長780nmの光束を受光する第2の受光素子10bとを備える。
例1に係る光ピックアップ装置100は、各回折素子2、9が、第1の波長650nmの光束を回折させる回折の次数が1次であり、第2の波長780nmの光束を回折させる回折の次数が1次であるように構成されている。また、各回折素子2、9は、同一の格子ピッチを有する回折格子からなるものとする。まず、合波について説明する。
図2は、例1に係る光ピックアップ装置100が行う合波についての説明図である。図2において、第1の光源1aおよび第2の光源1bが出射した光束は、それぞれ、符号21で示す線および符号22で示す線を光軸として第1の回折素子2に入射する。以下、光束が入射する回折素子の面のことを単に「入射面」という。
ここで、各光束は、第1の回折素子2の入射面に垂直な方向(符号23で示す線の方向)と角度θ、θをなす方向から第1の回折素子2に入射する。以下、第1の回折素子2の入射面に垂直な方向と光束とがなす角度を入射角という。第1の回折素子2に入射した各光束は、第1の回折素子2からほぼ垂直方向に出射する。また、第1の回折素子2から出射する光束の方向は、コリメータレンズ4、対物レンズ6等によって構成される光学系の光軸(以下、光ピックアップ装置100の光軸という。)に平行な方向となっている。
第1の光源1aが出射した光束の波長650nmをλとし、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチをpとすると、第1の光源1aは、第1の光源1aから出射された波長λの光束が第1の回折素子2に以下の式(1)で表される入射角θで入射する位置に配置される。
θ=λ/p (1)
同様に、第2の光源1bが出射した光束の波長780nmをλとし、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチをpとすると、第2の光源1bは、第2の光源1bから出射された波長λの光束が第1の回折素子2に以下の式(1)で表される入射角θで入射する位置に配置される。
θ=λ/p (2)
このように第1の光源1aと第2の光源1bとを配置することによって、各光源1a、1bから出射された光束が第1の回折素子2で回折して出射したときの出射方向が一致することになる。
次に、分波について説明する。図3は、例1に係る光ピックアップ装置が行う分波についての説明図である。以下、第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチをqとする。光ディスク7の情報記録面7aまたは光ディスク8の情報記録面8aからの戻り光は、図3において、符号31で示す線を光軸として第2の回折素子9の入射面にほぼ垂直に入射し、それぞれ、以下の回折角で回折する。
すなわち、第1の光源1aが出射した波長λの光束は、以下の式(3)で表される回折角で回折し、第2の光源1bが出射した波長λの光束は、以下の式(4)で表される回折角で回折し、それぞれ、符号32で示す線または符号33で示す線を光軸として第2の回折素子9から出射する。
λ/q (3)
λ/q (4)
第1の光源1aが出射した光束と第2の光源1bが出射した光束とは波長が異なるため、これらの光束は、上記で説明したように第2の回折素子9によって分波されることになる。ここで、第1の受光素子10aは、符号32で示す線上に受光面が位置するように配置される。同様に、第2の受光素子10bは、符号33で示す線上に受光面が位置するように配置される。
以下に、動作温度の変化に伴って光源の発振波長が変動する場合の、例1に係る光ピックアップ装置の挙動について説明する。図4は、各光源1a、1bの発振波長が変化した場合の、第1の回折素子2への入射光束の光軸方向と、回折後の光束の光軸方向とを示す図であり、図2に示すものと同様のものには、同一の符号を付している。
まず、第1の光源1aの発振波長λが、動作温度の変化によって発振波長λ+Δλに変化したとする。このとき、第1の光源1aから出射された光束が第1の回折素子2で回折するときの回折角は、以下の式(5)によって表される。
(λ+Δλ)/p (5)
第1の光源1aの発振波長λの変化によって、波長変化の無いときに比してΔλ/pだけ回折角が変化する。この量(Δλ/p)をΔθとすると、波長変化後の光束は、第1の回折素子2の出射面に垂直な方向(符号23で示す線の方向)と角度Δθなす方向(符号41で示す線の方向)に沿って進むことになる。
同様に、第2の光源1bの発振波長λが、動作温度の変化によって発振波長λ+Δλに変化したとする。このとき、第2の光源1bから出射された光束が第1の回折素子2で回折するときの回折角は、以下の式(6)によって表される。
(λ+Δλ)/p (6)
第2の光源1bの発振波長λの変化によって、波長変化の無いときに比してΔλ/pだけ回折角が変化する。この量(Δλ/p)をΔθとすると、波長変化後の光束は、第1の回折素子2の出射面と垂直な方向(符号23で示す線の方向)と角度Δθなす方向(符号42で示す線の方向)に沿って進むことになる。
このように、光源の波長変化によって第1の回折素子2からの出射方向がΔθまたはΔθずれた光束は、それぞれ、第1の光ディスク7の情報記録面7a、第2の光ディスク8の情報記録面8aで反射されると、第2の回折素子9に垂直な方向と角度Δθまたは角度Δθをなして第2の回折素子9に入射することになる。
以下、上記のように第2の回折素子9の入射面に垂直な方向と角度をなして第2の回折素子9に入射する場合の光ピックアップ装置100の作用について、図5を用いて説明する。図5は、各光源1a、1bの発振波長が変化したときの、第2の回折素子9に入射する光束の入射方向と、第2の回折素子9から出射する光束の出射方向とを示す図であり、図3に示すものと同様のものには、同一の符号を付している。
まず、波長(λ+Δλ)の光束が、第2の回折素子9の入射面に垂直な方向(符号31で示す線の方向)と角度Δθ(=Δλ/p)をなして第2の回折素子9に入射して第2の回折素子9で回折するときの回折角は、以下の式(7)によって表される。
(λ+Δλ)/q (7)
第2の回折素子9に入射した光束は、符号53で示す線を光軸とする方向に回折するが、このときの回折の方向は、第2の回折素子9に垂直な方向(符号31で示す線の方向)と、以下の式(8)によって表される角度をなす。
(λ+Δλ)/q−Δλ/p (8)
同様に、波長(λ+Δλ)の光束が、第2の回折素子9の入射面に垂直な方向(符号31で示す線の方向)と角度Δθ(=Δλ/p)をなして第2の回折素子9に入射して第2の回折素子9で回折するときの回折角は、以下の式(9)によって表される。
(λ+Δλ)/q (9)
第2の回折素子9に入射した光束は、符号54で示す線を光軸とする方向に回折するが、このときの回折の方向は、第2の回折素子9に垂直な方向(符号31で示す線の方向)と、以下の式(10)によって表される角度をなす。
(λ+Δλ)/q−Δλ/p (10)
ここで、第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチqを、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチpに等しくすると、上記の式(8)のΔλ/qとΔλ/pとは打ち消しあい、符号53で示す第2の回折素子9で回折後の光束の方向は図3における符号32で示す光束の方向と同一となる。同様に、符号54で示す回折後の光束の方向は図3における符号33で示す光束の方向と同一となる。
これは、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチと第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチとを等しくすることによって、波長変化の影響で合波したときに生ずる回折角の変化と、分波したときに生ずる回折角の変化とが相殺され、波長変化が生じても、第2の回折素子9で回折した後の出射方向は変化しないことを示している。したがって、温度変動が生じたとしても、光束の集光する受光素子上の位置が変動することがない。
以下に、第1の回折素子2および第2の回折素子9の具体的な構成を示す。図6は、本実施例に係る第1の回折素子2の断面の一部を概念的に示す断面図である。ここで、符号61で示す面は、各光源1a、1bから出射された光束が入射する入射面であり、符号62で示す面は、各光束が出射する出射面である。
第1の光源1aが出射する光束および第2の光源1bが出射する光束は、それぞれ、符号63で示す矢印の方向および符号64で示す矢印の方向から、第1の回折素子2に入射する。また、第1の回折素子2で回折された各光束は、共に符号65で示す矢印の方向に出射する。なお、波長変化が生じたときは、上記の説明のように、符号65で示す矢印の方向から逸れた方向に出射されることになる。
第1の回折素子2の材料は、石英ガラスであり、第1の回折素子2の回折格子はエッチング技術を用いて形成されている。第1の回折素子2は、図6に示すように、階段状の形状が周期的に繰り返す周期構造を有する断面形状の回折格子によって構成される。本実施例では、回折格子が6ステップからなる階段を1周期とする周期構造を有する構成とし、各ステップ(段)の段差dをそれぞれ0.254μmとした。
また、ピッチが10μmとなるよう、各階の出射面とほぼ平行な部分(以下、平坦部という。)の幅を1.67μmとした。なお、係る回折格子はバイナリブレーズド回折格子と称されるものである。上記のように、ステップ数(換言すれば、1周期中の平坦部の合計個数)を6とし、各段の段差dをそれぞれ0.254μmに設定することによって、第1の光源が出射した波長650nmの光束および第2の光源が出射した波長780nmの光束の1次回折の回折効率を、共に80%にすることができる。
図7は、本実施例に係る第2の回折素子9の断面の一部を概念的に示す断面図である。ここで、符号71で示す面は、各戻り光の入射面であり、符号72で示す面は、第2の回折素子9の出射面である。
第1の光源1aが出射する光束および第2の光源1bが出射する光束は、それぞれ、各光ディスク7、8の情報記録面7a、8aで反射され、第2の回折素子9に対してほぼ垂直な方向(符号73で示す線の方向)から入射する。なお、波長変化が生じたときは、上記の説明のように、この符号73で示す線から逸れた方向から入射することになる。
第2の回折素子9で回折した波長λの光束(第1の光源1aからの光束)は、符号74で示す矢印の方向に出射し、第2の回折素子9で回折した波長λの光束(第2の光源1bからの光束)は、符号75で示す矢印の方向に出射する。第2の回折素子9の材料、および、第2の回折素子9の回折格子の構造は、第1の回折素子2と同様である。
[例2]
例2に係る光ピックアップ装置800は、図8に示すように、例1に係る光ピックアップ装置100と同様の光学素子を有するが、例1に係る光ピックアップ装置100とは、一部の光学部材の相対的な配置が異なる。図8では、例1に係る光ピックアップ装置100と同様の光学部材には、同一の符号を付した。
例2に係る光ピックアップ装置800は、各回折素子2、9が、第1の波長650nmの光束を回折させず(回折の次数が0次)、第2の波長780nmの光束を回折させる(回折の次数は1次)ように構成されている。まず、合波について説明する。
図9は、例2に係る光ピックアップ装置800が行う合波についての説明図である。図9において、第1の光源1aが出射した光束は、第1の回折素子2の入射面に対してほぼ垂直(符号91で示す線の方向)に入射し、第1の回折素子2で回折することなく(回折の次数が0次)、第1の回折素子2の出射面に対してほぼ垂直の方向(符号91で示す線の方向)に出射される。
第2の光源1bが出射した光束の波長780nmをλとし、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチをpとすると、第2の光源1bは、第2の光源1bが出射した光束の光軸が符号91で示す線と以下の式(11)で表される角度θをなすように配置される。
θ=λ/p (11)
第2の光源1bが出射した光束の第1の回折素子2への入射方向を、符号92を付した線で示す。第1の回折素子2は、第2の光源1bが出射した光束をこの方向から入射させることによって、第1の回折素子2で1次の回折をし、第1の回折素子2に垂直な方向(符号91で示す線の方向)に沿って出射されるように構成されている。
このように、第1の光源1aから出射された光束を第1の回折素子2で0次の回折をさせ、第2の光源1bから出射された光束を第1の回折素子2で1次の回折をさせることによって、各光源1a、1bから出射された光束を合波することができる。
次に、分波について説明する。図10は、例2に係る光ピックアップ装置800が行う分波についての説明図である。ここで、第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチをqとする。
図10において、各光ディスク7、8の情報記録面7a、8aからの戻り光は、第2の回折素子9の入射面に対してほぼ垂直(符号101で示す線の方向)に入射する。ここで、第1の波長λの光束(第1の光源から出射された光束)は、第2の回折素子9で回折することなく(回折の次数が0次)、第2の回折素子9の出射面に対してほぼ垂直に出射する。
一方、第2の波長λの光束(第2の光源から出射された光束)は、第2の回折素子9の出射面に垂直な方向に対して、以下の式(12)で表される出射角をなす方向(符号102で示す線の方向)出射される。
λ/q (12)
ここで、第1の受光素子10aは、符号101で示す線上に配置され、また、第2の受光素子10bは、符号102で示す線上に配置される。
以下に、動作温度の変化に伴って光源の発振波長が変動する場合の、例2に係る光ピックアップ装置の挙動について説明する。例2に係る光ピックアップ装置では、第1の光源1aから出射された光束は、第1の回折素子2および第2の回折素子9で共に回折しない(回折の次数が共に0次)ため、発振波長が変動しても、第1の光源1aから出射された光束は、各回折素子2、9からの出射方向に影響を受けることなく、第1の受光素子10aに到達することになる。
次に、第2の光源1bから出射された光束については、上記の[例1]で説明したものと同様の作用を受けるものと考えればよい。すなわち、第1の回折素子2の回折格子の格子ピッチと第2の回折素子9の回折格子の格子ピッチとを等しくすることによって、波長変動による第1の回折素子2での回折角の変化と、第2の回折素子9での回折角の変化とを、ほぼ同量でかつ相殺させるようにすることができ、第2の回折素子9を出射する各光束の光軸方向は環境温度の変動の影響を受けなくなる。したがって、第2の回折素子9から出射した光束は、波長変動に拘わらず第2の受光素子10b上に達する。
本実施例に係る第1の回折素子2および第2の回折素子9の具体的な構成を以下に示す。図11は、本実施例に係る第1の回折素子2の断面を概念的に示す断面図である。第1の回折素子2は、第1の波長板111、偏光回折格子112および第2の波長板113を重ねて固定した構成を有する。ここで、各波長λ、λの光束は、直線偏光とする。第1の回折素子2は、波長に応じて0次の回折(回折しない)をさせるか、1次の回折させるかを選択する必要がある。
そのため、第1の回折素子2は、第1の波長板111で所定の波長の光束(以下、波長λの光束とする。)の偏光方向を特定の偏光方向にして他の波長(以下、波長λの光束とする。)の光束の偏光方向と直交させ、偏光回折格子112で特定の偏光方向の光束のみ回折させ、第2の波長板113で偏光方向を元に戻す構成となっている。
なお、第1の光源1aから出射された光束(波長λ)の偏光方向と、第2の光源1bから出射された光束(波長λ)の偏光方向とは、互いに同じ方向で第1の回折素子2に入射するように光源が配置されている。第1の波長板111は、一軸延伸を施したポリカーボネートをガラス基板に固定し、第1の光源1aから出射された波長λの光束に対して(5/2)波長板として機能し、第2の光源1bから出射された波長λの光束に対して2波長板として機能する位相差板となるようにしたものを作成した。
第1の波長板111が上記の位相差板の機能を有することにより、波長λの光束に対しては実質(1/2)波長板として作用するため、波長λの入射光の偏光方向は、90°回転させることになる。一方、波長λの入射光に対しては、波長板が存在しない場合と実質的に等価であり、偏光方向の回転は生じない。このように所定の波長(波長λ)かつ直線偏光の光束のみ偏光方向を回転させることによって、同一の方向に偏光していた直線偏光の第1の光源1aからの出射光(波長λ)と第2の光源1bからの出射光(波長λ)の偏光方向を直交させる。
図12は、第1の回折素子2を構成する偏光回折格子112の断面の一部を概念的に示す断面図である。偏光回折格子112は、複屈折性材料層121と等方性材料層122とが接合されてなり、複屈折性材料層121が、階段状の形状が周期的に繰り返す周期構造を有する断面形状の回折格子をなし、等方性材料層122が、この階段状の部分を充填する構成を有する。
ここで、複屈折性材料層121および等方性材料層122の材料として、以下に説明する2つの条件を満足する複屈折材料、等方性材料を用いた。まず、第1の条件は、第1の波長板111を透過した後の波長λの光束の偏光方向が回折格子縞の長手方向と直交するようにした光学系の構成で、波長板111を透過した後の波長λの光束に対する複屈折材料層121の屈折率をn11(λ)とし、等方性材料層122の屈折率をn)としたとき、以下の式(13)で表される関係がほぼ満たされていることである。
11(λ)=n) (13)
第2の条件は、波長板111を透過した後の波長λの光束の偏光方向が回折格子縞の長手方向に平行になる光学系の構成で、波長板111を透過した後の波長λの光束に対する複屈折材料層121の屈折率をn12(λ)とし、等方性材料層122の屈折率をn)としたとき、以下の式(14)で表される関係がほぼ満たされていることである。
12(λ)≠n) (14)
上記の条件を満足するように光学系および偏光回折格子112を構成することによって、波長λの光束を回折させず(回折の次数が0次)、波長λの光束とは偏光方向が直交する波長λの光束を回折させることができる、選択的な回折の機能を第1の回折素子2に持たせた。ここで、複屈折性材料としては高分子液晶を用い、等方性材料としてはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂を用いた。
偏光回折格子112に用いた複屈折性材料および等方性材料の屈折率を、表1に示す。
Figure 2006048822
偏光回折格子112は、等方性材料層122側に厚み0.5mmのカバーガラス(硝材BK7)123を被うように重ねて固定し、複屈折性材料層121側に厚み0.5mmのカバーガラス(硝材BK7)124を被うように重ねて固定される。本実施例では、1周期の格子が8ステップの階段によって構成され、各段の段差がそれぞれ0.449μmで、格子ピッチが10μmとなるように各段の平坦部の幅を1.25μmの、形状を有する回折格子を作製した。
第1の回折素子2を上記のように構成することによって、0次の回折をする波長650nmの光束の透過率を95%、波長780nmの光束の1次の回折の回折効率を83%にすることができる。ここで、第2の波長板113も、上記の第1の波長板111と同様に、一軸延伸を施したポリカーボネートをガラス基板に固定し、第1の光源1aから出射された波長λの光束に対して(5/2)波長板として機能し、第2の光源1bから出射された波長λの光束に対して2波長板として機能する位相差板となるようにしたものを作成した。
第2の波長板113が上記の位相差板の機能を有することにより、波長λの光束に対しては実質(1/2)波長板として作用するため、波長λの入射光の偏光方向は、90°回転させることになる。一方、波長λの入射光に対しては、波長板が存在しない場合と実質的に等価であり、偏光方向の回転は生じない。このように所定の波長(波長λ)かつ直線偏光の光束のみ偏光方向を回転させることによって、直交していた直線偏光の第1の光源1aからの出射光(波長λ)と第2の光源1bからの出射光(波長λ)の偏光方向を、第1の回折素子2に入射したときの偏光方向に戻すことができる。
図13は、本実施例に係る第2の回折素子9の断面を概念的に示す断面図である。第2の回折素子9は、第1の回折素子2と同様に、第1の波長板131、偏光回折格子132、および、第2の波長板133によって構成される。また、第2の回折素子9の作製に用いる材料、および、第2の回折素子9の回折格子の構造は、第1の回折素子2の作製に用いる材料、および、回折格子の構造と同様にした。
なお、上記の実施例では、CDとDVDとの互換を前提として説明したが、現在実用化されようとしているBLURAY(登録商標)ディスクまたはHD−DVD(High Definition DVD)と、従来のDVDとの組み合わせに対しても有効に適用できる。同様に、BLURAY(登録商標)ディスクまたはHD−DVDとCDとの組み合わせに対しても有効に適用できる。
また、本実施例では、光学系が、コリメータレンズを用いた、所謂、無限系の光学系として構成されているが、本発明が適用される範囲は無限系の光学系には限定されず、コリメータレンズを使用しない有限系の光学系であってもよい。
また、本実施例では、断面形状が鋸波状の形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する回折素子を取り上げて説明したが、本発明は、波長板と偏光回折格子とを組み合わせた回折素子を用いる構成に限定されるものではない。具体的には、断面形状が鋸波状の形状を階段状の形状で近似した形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する回折素子を用いるのでも、その他の断面形状の回折格子を有する回折素子を用いるのでもよい。
さらに、本実施例では、波長選択性を有する回折素子として波長板と偏光回折格子とを組み合わせた素子を取り上げて説明したが、本発明は、波長板と偏光回折格子とを組み合わせた回折素子を用いる構成に限定されるものではない。具体的には、格子深さが光路長に換算して一方の波長の整数倍となるような回折格子でも、一方の波長に対して屈折率が等しくなるような、有機物顔料と充填材を組み合わせてなる回折格子を用いる構成でも、その他の回折素子を用いる構成でもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置は、第1の回折素子と第2の回折素子とが、相互に等しい格子ピッチの回折格子を有し、第1の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させ、第2の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させるため、回折素子を用いて合波を行う構成であっても、受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれに対する環境温度の変動の影響を抑制できる。
また、各回折素子での各回折の次数が全て1次であるため、回折効率の高い回折を利用した光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、各回折素子が、1次以上の回折の次数で回折させる光の波長を選択することができる波長選択性を有するため、光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、各回折素子が、第1の波長の光束を共に0次の回折の次数で回折させ、第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させるため、さらに光の利用効率の高い光ピックアップ装置を実現できる。
また、各回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を繰り返す周期構造の回折格子を有するため、回折素子を簡易に製作できる。
また、各回折素子が、断面形状が鋸波状の形状を階段状の形状で近似した形状を繰り返す周期構造の回折格子を有するため、回折素子をさらに簡易に製作できる。
本発明に係る光ピックアップ装置は、回折素子を用いて合波を行う構成であっても、受光素子上に集光する光束のスポットの位置ずれに対する環境温度の変動の影響を抑制できるという効果が有用な、異なる光記録媒体の記録再生を行う光ピックアップ装置等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の一構成例を概念的に示した図。 本発明の実施例の例1に係る光ピックアップ装置100が行う合波についての説明図。 本発明の実施例の例1に係る光ピックアップ装置100が行う分波についての説明図。 各光源1a、1bの発振波長が変化した場合の、第1の回折素子2への入射光束の光軸方向と、回折後の光束の光軸方向とを示す説明図。 各光源1a、1bの発振波長が変化したときの、第2の回折素子9に入射する光束の入射方向と、第2の回折素子9から出射する光束の出射方向とを示す説明図。 本発明の実施例に係る第1の回折素子2の断面の一部を概念的に示す断面図。 本発明の実施例に係る第2の回折素子9の断面の一部を概念的に示す断面図。 本発明の実施例の例2に係る光ピックアップ装置の一構成例を概念的に示した図。 本発明の実施例の例2に係る光ピックアップ装置800が行う合波についての説明図。 本発明の実施例の例2に係る光ピックアップ装置800が行う分波についての説明図。 本発明の実施例に係る第1の回折素子2の断面を概念的に示す断面図。 第1の回折素子2を構成する偏光回折格子112の断面の一部を概念的に示す断面図。 本発明の実施例に係る第2の回折素子9の断面を概念的に示す断面図。
符号の説明
1a、1b 光源
2、9 回折素子
3 光学素子
4 コリメータレンズ
5 絞り
6 対物レンズ
7、8 光ディスク
7a、8a 情報記録面
10a、10b 受光素子
21、63、91 第1の光源1aが出射した光束の光軸
22、64、92 第2の光源1bが出射した光束の光軸
23、65 合波後の光束の光軸
31、73、101 第2の回折素子9に入射する光束の光軸
32、53、74、101 分波後の第1の波長の光束の光軸
33、54、75、102 分波後の第2の波長の光束の光軸
41 第1の光源1aが出射した光束が第1の回折素子2を出射する方向
42 第2の光源1bが出射した光束が第1の回折素子2を出射する方向
51 第1の光源1aが出射した光束の戻り光が第2の回折素子9に入射する光束の光軸
52 第2の光源1bが出射した光束の戻り光が第2の回折素子9に入射する光束の光軸
61 第1の回折素子2の入射面
62 第1の回折素子2の出射面
71 第2の回折素子9の入射面
72 第2の回折素子9の出射面
100 光ピックアップ装置
111 第1の波長板
112 偏光回折格子
113 第2の波長板
121 複屈折性材料層
122 等方性材料層
123、124 カバーガラス
131 第1の波長板
133 第2の波長板
132 偏光回折格子

Claims (6)

  1. 第1の波長の光束を出射する第1の光源と、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光束を出射する第2の光源と、前記第1の波長の光束および前記第2の波長の光束を光記録媒体に向けて導く往路光学系と、前記光記録媒体からの前記第1の波長の戻り光を受光する第1の受光素子と、前記光記録媒体からの前記第2の波長の戻り光を受光する第2の受光素子と、前記光記録媒体からの前記第1の波長の戻り光を前記第1の受光素子に導くと共に、前記光記録媒体からの前記第2の波長の戻り光を前記第2の受光素子に導く復路光学系とを備えた光ピックアップ装置であって、
    前記往路光学系は、前記第1の波長の光束および前記第2の波長の光束の少なくとも一方の光束を回折させる第1の回折素子を有し、
    前記復路光学系は、前記第1の波長の戻りおよび前記第2の波長の戻り光の少なくとも一方の光束を回折させる第2の回折素子を有し、
    前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とは、相互に等しい格子ピッチの回折格子を有し、前記第1の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を相互に等しい回折の次数で回折させることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とは、前記第1の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させる請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記第1の回折素子および前記第2の回折素子は、1次以上の回折の次数で回折させる光の波長を選択することができる波長選択性を有する請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記第1の回折素子と前記第2の回折素子とは、前記第1の波長の光束を共に0次の回折の次数で回折させ、前記第2の波長の光束を共に1次の回折の次数で回折させる請求項1または3に記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記第1の回折素子および前記第2の回折素子は、断面形状が鋸波状の形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する請求項1から4までのいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
  6. 前記第1の回折素子および前記第2の回折素子は、断面形状が鋸波状の形状を階段状の形状で近似した形状を繰り返す周期構造の回折格子を有する請求項1から4までのいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
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