以下、図面を参照して本発明による光ディスク装置、光ディスク記録方法及び光ディスクの実施の形態を説明する。
第1の実施の形態
現在、映像、音声、副映像等を符号化して高密度で記録した光学式ディスク(以下、単に光ディスクと略称する)及びその記録・再生装置である光ディスク装置が開発されている。この光ディスクに映画等の情報を記録する場合、同時進行する複数のストーリーを記録したり、同時進行する同一のイベントを複数のアングルから撮影したマルチアングルシーンを記録し、この中から視聴者が自由にシーンを選択可能にしたものが開発されている。
これらの機能を有し、現在実用化しているDVD規格の光ディスクとその記録装置の概要をまず説明する。
図1はDVD−ROMディスクの領域構造を示す。円盤状の情報記憶媒体の内周側から外周側へ向けて順にリードインエリア(Lead-in Area)800、データエリア(Data Area)801、リードアウトエリア(Lead-out Area)802が配列されている。DVD−ROMディスクには情報が2048バイト毎のまとまりとして記録されており、この記録最小単位をセクターと呼んでいる。各セクター毎に物理セクター番号が設定され、この物理セクター番号は後述するようにDVD−ROMディスクの記録面上に記録されている。物理セクター番号開始位置は情報記憶媒体最内周のリードインエリア800の開始セクターと一致し、外周に行くに従って昇順の連続した物理セクター番号が設定される。データエリア801の最初のセクターの物理セクター番号は030000h(hは16進数表示を意味している)に設定するようにあらかじめ決められている。
DVD−ROMディスクのリードインエリア800内のデータ構造を図2に示す。基準信号を表すリファレンスコード(Reference code)813、および制御データ(Control data)814が配置され、その間には全て00hが記録されたブランクデータ810、811、812が存在している。
リファレンスコード813には特定のランダムテストパターンが記録されており、その情報を用いて自動イコライザーのパラメーター調整など情報記録装置の調整が可能になっている。制御データ814には後述する情報記憶媒体特有のフォーマット情報である物理フォーマット情報、1枚1枚の情報記憶媒体個々の製造番号などの製造に関する情報が記録されているディスク製造情報と、データエリア801内に記録されている情報内容(コンテンツ)に関する情報を示すコンテンツプロバイダ情報が記録されている。
リファレンスコード813が記録されている先頭セクターの物理セクター番号は02F000h、制御データ814が記録されている先頭セクターの物理セクター番号は02F200hになっている。
図3に示すように、物理フォーマット情報には、適用されるDVD規格のタイプ(DVD−ROM・DVD−RAM・DVD−R等)およびパートバージョンを示すブックタイプ&パートバージョン(Book type and Part version)823と、ディスクサイズおよび最小読出レートを示すディスクサイズ&最小読出しレート(Disc size and nimimun read-out rate)824と、1層ROMディスク/1層RAMディスク/2層ROMディスク等のディスク構造を示すディスクストラクチャ(Disc structure)825と、記録密度を示すレコーディングデンシティ(Recording density)826と、データが記録されている位置を示すデータエリアアロケーション(Data Area allocation)827と、情報記憶媒体の内周側に情報記憶媒体個々の製造番号などが書き換え不可能な形で記録されたBCA(Burst Cutting Area)ディスクリプタ(descriptor)828と、将来の利用を予測した予約場所を指定したリザーブド(reserved)829、830が記録されている。
図4は1層構造または2層構造を持つDVD−ROMディスクにおける論理セクター番号設定方法を示す。物理セクター番号PSN(Physical Sector Number)は情報記憶媒体(DVD−ROMディスクやDVD−RAMディスク)の記録面1層毎に独自にセクター番号を設定し、記録面上にその物理セクター番号が記録されているセクター単位のアドレス設定方法である。それに対して論理セクター番号LSN(Logical Sector Number)は一層または複数層の記録面を持つ情報記憶媒体に対して全てを1個のボリュームスペースと見なして統合的なアドレスを設定(セクター単位のアドレス設定)する方法に対応している。論理セクター番号はあくまでもシステム的な番号設定方法であり、物理セクター番号と異なり情報記憶媒体の記録面上に直接記録されることはない。
図4の(a)は図1に示した領域構造を持つ記録面が1層だけ有するDVD−ROMディスクの論理セクタ設定方法を説明する図である。図4の(a)においてリードインエリア800からリードアウトエリア802までの間のボリュームスペースにおいて、物理セクタ番号PSNおよび論理セクタ番号LSNを1:1で対応させている。
図4の(b)と図4の(c)は図1に示した領域構造を持つ記録面が2層存在するDVD−ROMディスクの論理セクタ設定方法を説明する図である。
図4の(b)に示す2層を統合したボリュームスペースにおいては、物理セクタ番号PSNの小さな方(ボリュームスペースの前半)にレイヤ0のデータエリア843を配置し、物理セクタ番号PSNの大きな方(ボリュームスペースの後半)にレイヤ1のデータエリア844を配置する。論理セクター番号LSN設定位置としてはレイヤ0のデータエリア843内の最終物理セクター番号位置の次にレイヤ1の物理セクター番号030000hのセクターが連続的に続くように設定する。その結果、前半のレイヤ0の物理セクタ番号PSN、及び後半のレイヤ1の物理セクタ番号PSNを、単一のボリュームスペースの論理セクタ番号LSNに対応させることとなる。
図4の(c)は他の論理セクタ番号設定方法を説明する図である。ボリュームスペースの前半(=論理セクター番号の前半)にレイヤ0のデータエリア843を配置し、ボリュームスペースの後半(=論理セクター番号の後半)にレイヤ1のデータエリア844を配置する点は図4の(b)の設定方法と一致している。しかし、図4の(c)の設定方法では、レイヤ0とレイヤ1ともに領域構造が図1に示した配置とは異なる。すなわち、レイヤ0では図1のリードアウトエリア802位置がミドルエリア(Middle Area)848に変更される。レイヤ1では図1の内周側に配置されたリードインエリア800位置にリードアウトエリア802が配置され、図1の外周側に配置されたリードアウトエリア802位置にミドルエリア848が配置される。さらに、レイヤ1ではデータエリア801、リードアウトエリア802、ミドルエリア844のいかんに関わらず、全て外周側から内周側に向かって昇順の物理セクター番号が設定記録されている。レイヤ0とレイヤ1の論理セクター番号は両者のミドルエリア848の所で連続的に接続される。
図3に示した物理フォーマット情報内のデータエリアアロケーション827には、レイヤ0におけるデータエリアの最後の物理セクター番号が記録されている。レイヤ1のデータエリアの最外周にある最小の物理セクター番号は、レイヤ0のデータエリアの最外周にある最後の物理セクタ番号をビット反転させた値、つまり1の補数表現となっており、負の値となる。このようになっているので、論理セクター番号を物理セクター番号に変換できる。また、レイヤ0の物理セクタ番号と、レイヤ1の物理セクター番号の絶対値が等しければ、ディスクセンターからの距離がほぼ等しい位置となるという特徴もある。
図4の(c)の配置は、論理セクター番号での距離と、物理的なディスク上でのセクター間隔との比が、図4の(b)に比べて一定になるという特徴がある。例えば、図4の(b)の方式では、レイヤ0の最後のセクターの次のレイヤ1の最初のセクターに、つまり1セクター移動する時でも、ディスク最外周から最内周へ光学ヘッドが移動しなければならないのに対し、図4の(c)の方式では、半径位置の変化は製造誤差程度で済む。この特徴は、映画の再生のように映像が途切れないようにする必要がある情報を記録する場合に、必要な粗アクセス(詳細は後述)が長くなるのを防ぎ、後述するトラックバッファの容量増加などを抑制できる効果がある。
図5は、映画等のビデオデータの記録されたDVD−ROMディスクのボリューム空間を示している。ボリューム空間は、ボリューム及びファイル構成ゾーン、DVDビデオゾーン、他のゾーンからなる。ボリューム及びファイル構成ゾーンには、UDF(Universal Disk Format Specification Revision 1.02)ブリッジ構成が記述されており、所定規格のコンピュータでもそのデータを読み取れるようになっている。DVDビデオゾーンは、ビデオマネージャ(VMG)、n(1〜99)個のビデオタイトルセット(VTS)を有する。ビデオマネージャ(VMG)、ビデオタイトルセット(VTS)は、それぞれ複数のファイルで構成されている。ビデオマネージャ(VMG)は、ビデオタイトルセット(VTS)を制御するための情報である。
図6はビデオマネージャ(VMG)とビデオタイトルセット(VTS)の構造をさらに詳しく示している。
ビデオマネージャ(VMG)は、制御データとしてのビデオマネージャーインフォメーション(VMGI)と、メニュー表示のためのデータとしてのビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)を有する。また、ビデオマネージャーインフォメーション(VMGI)と同一内容であるバックアップ用のビデオマネージャーインフォメーション(VMGI)も有する。
ビデオタイトルセット(VTS)は、制御データとしてのビデオタイトルセットインフォメーション(VTSI)と、メニュー表示のためのデータとしてのビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)と、映像表示のためのビデオオブジェクトセットであるビデオタイトルセットのタイトルのためのビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)とが含まれる。また、ビデオタイトルセットインフォメーション(VTSI)と同一内容であるバックアップ用のビデオタイトルセットインフォメーション(VTSI)も有する。
さらに、映像表示のためのビデオオブジェクトセットであるタイトル用ビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)は、複数のセル(Cell)で構成されている。各セル(Cell)にはセルID番号が付されている。
図7には、上記のビデオオブジェクトセット(VOBS)とセル(Cell)の関係と、さらにセル(Cell)の中身を階層的に示している。DVDの再生処理が行われるときは、映像の区切り(シーンチェンジ、アングルチェンジ、ストーリーチェンジ等)や特殊再生に関しては、セル(Cell)単位またはこの下位の層であるビデオオブジェクトユニット(VOBU)単位、さらにはインターリーブドユニット(ILVU)単位で取り扱われるようになっている。
ビデオオブジェクトセット(VOBS)は、まず、複数のビデオオブジェクト(VOB_IDN1〜VOB_IDNi)で構成されている。1つのビデオオブジェクト(VOB)は、複数のセル(C_IDN1〜C_IDNj)により構成されている。1つのセル(Cell)は、複数のビデオオブジェクトユニット(VOBU)、または後述するインターリーブドユニット(ILVU)により構成されている。1つのビデオオブジェクトユニット(VOBU)は、1つのナビゲーションパック(NV_PCK)、複数のオーディオパック(A_PCK)、複数のビデオパック(V_PCK)、複数のサブピクチャパック(SP_PCK)で構成されている。
ナビゲーションパック(NV_PCK)は、主として所属するビデオオブジェクトユニット(VOBU)内のデータの再生表示制御を行うための制御データ及びビデオオブジェクトユニット(VOBU)のデータサーチを行うための制御データとして用いられる。ビデオパック(V_PCK)は、主映像情報であり、MPEG−4等の規格で圧縮されている。サブピクチャパック(SP_PCK)は、主映像に対して補助的な内容を持つ副映像情報である。オーディオパック(A_PCK)は、音声情報である。
図8は、プログラムチェーン(PGC)により、上記の複数のセル(Cell)がその再生順序を制御される例を示す。
プログラムチェーン(PGC)としては、データセルの再生順序として種々設定することができるように、種々のプログラムチェーン(PGC#1、PGC#2、PGC#3、…)が用意されている。したがって、プログラムチェーンを選択することによりセルの再生順序が設定されることになる。
プログラムチェーンインフォメーション(PGCI)により記述されいてるプログラム#1〜プログラム#nが実行される例を示している。図示のプログラムは、ビデオオブジェクトセット(VOBS)内の(VOB_IDN#s、C_IDN#1)で指定されるセル以降のセルを順番に指定する内容となっている。プログラムチェーンは、光ディスクの管理情報記録部に記録されており、光ディスクのビデオタイトルセットの読み取りに先行して読み取られ、システム制御部のメモリに格納される情報である。管理情報は、ビデオマネージャー及び各ビデオタイトルセットの先頭に配置されている。
図9はビデオオブジェクトユニット(VOBU)と、このユニット内のビデオパックの関係を示す。ビデオオブジェクトユニット(VOBU)内のビデオデータは、1つ以上のグループオブピクチャズ(GOP)により構成している。エンコードされたビデオデータは、例えばISO/IEC13818−2に準拠している。ビデオオブジェクトユニット(VOBU)のグループオブピクチャズ(GOP)は、Iピクチャ、Bピクチャで構成され、このデータの連続が分割されビデオパックとなっている。
次に、マルチアングル情報が記録再生される場合のデータユニットについて説明する。被写体に対する視点の違う複数シーンがディスクに記録される場合、シームレス再生を実現するためには、記録トラック上にインターリーブドブロック部が構築される。インターリーブドブロック部は、アングルの異なる複数のビデオオブジェクト(VOB)が、それぞれ複数のインターリーブドユニット(ILVU)に分割され、上述したように、シームレス再生が可能なように配列されて記録される。これ以後は、インターリーブされたブロックをインターリーブドユニットと称する。
インターリーブドブロック(ILVB)とはインターリーブされた複数のVOBを含む連続した論理ブロックのブロックである。各VOBは小片(インターリーブドユニット:ILVU)に分割され、ILVU単位でインターリーブされる。これは2経路以上のシームレス再生を実現するためのデータ配置である。コンテンツの一部をインターリーブドブロックに配置することにより、多重経路の再生を可能にする。多重経路再生の例にはマルチアングル、パレンタル・レベルの異なるバージョン、映画の異なるカットバージョンがある。インターリーブドユニット(ILVU)はインターリーブドブロックを形成する各再生経路のVOBを分割した一つのデータ領域である。ILVUは整数個のVOBUで構成される。
図10は、インターリーブドブロック(ILVU)の配列例を示す。この例は、1〜mのビデオオブジェクト(VOB)がそれぞれn個のインターリーブドユニット(ILVU)に分割されて、配列された例を示している。各ビデオオブジェクト(VOB)は、それぞれ同じ数のインターリーブドユニット(ILVU)に分割されている。
プレゼンテーションデータはMPEG−2に規定されたプログラムストリームに適合するビデオオブジェクト群(VOBs)で構成される。VOBはビデオデータ、オーディオデータ、サブピクチャデータ、PCIデータ及びDSIデータで構成される。VOBはMPEG−2に規定されるプログラムストリームまたはその部分である。VOBには次の制約がある。(1)各VOBの先頭パックのSCRの値は0に設定されなければならない。(2)プログラムストリームの一部分であるVOBはprogram_end_codeで終端されてはならない。(3)インターリーブドブロックに配置されたVOBはオーディオエレメンタリストリームに、ある限定された不連続を持つ。
プレゼンテーションデータの記憶領域はビデオオブジェクトセット(VOBS)と呼ばれる。ビデオマネージャメニュー、ビデオタイトルセットメニュー、及びビデオタイトルセットはそれぞれ単一の再生用VOBを持つ。
VOBSは以下に述べるビデオオブジェクトを複数収納した、一個以上のビデオオブジェクトブロックで構成される。VOBはプレゼンテーションデータそのものであり、VOBブロックはディスク上での一個以上のVOBの収納の方法である。
VOBブロックはブロック内でのビデオオブジェクトの配置の仕方によって二つのタイプに分類される。連続ブロックとインターリーブドブロックである。
連続ブロックは単一のビデオオブジェクト(VOB)が連続した論理セクタに配置されたブロックである。
インターリーブドブロックは二経路以上のシームレス再生を可能にするために二個以上のVOBをインターリーブする。インターリーブ配置は各VOBが同数のインターリーブドユニット(ILVUs)に分割される構造である。あるVOBのインターリーブドユニットの間に他のVOBのインターリーブドユニットが配置される。一つのインターリーブドブロック内の“m×VOBs”が“n×インターリーブドユニット”に分割された場合、各インターリーブドユニットは図10に示す順に配列される。ここで、(i,j)はi番目のVOBのj番目のインターリーブドユニットを示す。
インターリーブドブロック内の各VOBはインターリーブドユニットを読み込むことと同一VOB内の次のインターリーブドユニットの先頭へジャンプするプロセスを繰り返すことにより読まれる。インターリーブドユニットのサイズを適切に設定することにより、ジャンプに必要な時間は許容できる範囲に抑えることができる。 図11には、例えば2つのビデオオブジェクト(VOB)、つまりアングル1とアングル2のシーンのビデオオブジェクト(VOB)がそれぞれ3つのインターリーブドユニット(ILVU1−1〜ILVU3−1)、(ILVU1−2〜ILVU3−2)に分割され、1つのトラック上に配列された記録状態と、例えば、アングル1を再生した場合の再生出力例を示している。この場合はアングル2の情報は取り込まれない。
プレゼンテーションエンジン(図示しない)はナビゲーションマネージャから出される再生指示に従ってディスクからのプレゼンテーションデータを再生する。連続したプレゼンテーションデータは読出し順に連続した論理セクタに配置される。プレゼンテーションデータは複数のセルに分割される。ナビゲーションマネージャはセルを基本(単位)として再生指示を出す。従って、プレゼンテーションデータの再生経路はPGC内で定義されるセル群の順序で決定される。加えて、アングルブロックの再生時にはセル群から一つのセルが選択される。プレゼンテーションデータの異なる経路それぞれに沿ってデータは途切れなく再生される。このようなデータ再生をシームレスプレイと呼ぶ。
多重経路のシームレスプレイが行なわれる区間では、プレゼンテーションデータの配列は図11に示すようにインターリーブ構造を持つ。インターリーブドブロックではプレゼンテーションエンジンは指定された再生経路に従ってデータの連続読みと不要データの読み飛ばしを行ないながらプレゼンテーションデータを再生する。ジャンプ中、プレゼンテーションエンジンはデコーダへのデータ供給が途切れるのを防ぐために、トラックバッファを必要とする。
ジャンプ中のデコーダへのデータ連続供給は、Vr(ディスクからトラックバッファへのデータ転送レート)とVo(デコーダでの消費レート)との差を使ってトラックバッファ中のデータ量を制御することとディスク上のデータ配列とにより保証される。
図12はこの発明が適用されたDVD記録再生装置の全体的なブロック構成である。図12の各ブロックを大きく分けると、左側には記録部の主なブロックを示し、右側には再生部の主なブロックを示している。この図12の各部のブロックについては後で詳しく説明する。
情報記録再生装置は、ビデオファイルを有した情報記憶媒体である光ディスク1001を回転駆動し、光ディスク1001に対して情報の読み書きを実行する情報記録再生部32と、録画側を構成するエンコーダ部50と、再生側を構成するデコーダ部60と、装置本体の動作を制御するマイクロコンピュータブロック30とを、主たる構成要素としている。
エンコーダ部50は、ADC(アナログデジタルコンバータ)52と、V(ビデオ)エンコーダ53と、A(オーディオ)エンコーダ54と、SP(副映像)エンコーダ55と、フォーマッタ56と、バッファメモリ57とを備えている。
ADC52には、AV入力部42からの外部アナログビデオ信号+外部アナログオーディオ信号、あるいはTV(テレビジョン)チューナ44からのアナログTV信号+アナログ音声信号が入力される。アスペクト情報検出部43がAV入力部42に接続されており、検出されたアスペクト情報はフォーマッタ56に供給されている。
ADC52は、入力されたアナログビデオ信号を、例えばサンプリング周波数13.5MHz、量子化ビット数8ビットでデジタル化する。すなわち、輝度成分Y、色差成分Cr(またはY−R)及び色差成分Cb(またはY−B)が、それぞれ8ビットで量子化されることになる。
同様に、ADC52は、入力されたアナログオーディオ信号を、例えばサンプリング周波数48kHz、量子化ビット数16ビットでデジタル化する。
ADC52にアナログビデオ信号及びデジタルオーディオ信号が入力されるときは、ADC52は、デジタルオーディオ信号をスルーパスさせる。ただし、デジタルオーディオ信号の内容は改変せずに、そのデジタルオーディオ信号に付随するジッタだけを低減させる処理、あるいはサンプリングレートや量子化ビット数を変更する処理等は行なってもよい。
一方、ADC52にデジタルビデオ信号及びデジタルオーディオ信号が入力されるときは、ADC52は、デジタルビデオ信号及びデジタルオーディオ信号をスルーパスさせる。これらのデジタルビデオ信号及びデジタルオーディオ信号に対しても、内容は改変することなく、ジッタ低減処理やサンプリングレート変更処理等は行なってもよい。
ADC52から出力されたデジタルビデオ信号は、Vエンコーダ53を介してフォーマッタ56に送られる。ADC52から出力されたデジタルオーディオ信号は、Aエンコーダ54を介してフォーマッタ56に送られる。
Vエンコーダ53は、入力されたデジタルビデオ信号を、MPEG−2またはMPEG−1規格に基づいて、可変ビットレートで圧縮されたデジタル信号に変換する機能を持つ。Aエンコーダ54は、入力されたデジタルオーディオ信号を、MPEGまたはAC−3規格に基づいて、固定ビットレートで圧縮されたデジタル信号またはリニアPCMのデジタル信号に変換する機能を持つ。
副映像情報がAV入力部42から入力された場合(例えば副映像信号の独立出力端子付DVDビデオプレーヤからの信号)、あるいはこのようなデータ構成のDVDビデオ信号が放送され、それがTVチューナ44で受信された場合は、DVDビデオ信号中の副映像信号(副映像パック)が、SPエンコーダ55に入力される。SPエンコーダ55に入力された副映像信号は、所定の信号形態にアレンジされて、フォーマッタ56に送られる。
フォーマッタ56は、バッファメモリ57をワークエリアとして使用しながら、入力されたビデオ信号、オーディオ信号、副映像信号等に対して所定の信号処理を行なうことにより、所定のフォーマット(ファイル構造)に合致した記録データをデータプロセッサ36に出力する。
ここで、上記記録データを作成するための標準的なエンコード処理内容を簡単に説明しておく。すなわち、エンコーダ部50において、エンコード処理が開始されると、ビデオ(主映像)データ及びオーディオデータをエンコード処理するにあたって必要なパラメータが設定される。
次に、設定されたパラメータを利用して主映像データがプリエンコード処理されることにより、設定された平均転送レート(記録レート)に最適な符号量の分配が計算される。プリエンコード処理で得られた符号量分配に基づき、主映像データのエンコード処理が実行される。このとき、オーディオデータのエンコード処理も同時に実行される。
プリエンコード処理の結果、データ圧縮量が不十分な場合(録画しようとする情報記憶媒体に希望のビデオプログラムが収まり切らない場合)、再度プリエンコード処理する機会を持てるなら(例えば録画のソースがビデオテープあるいはビデオディスク等の反復再生可能なソースであれば)、主映像データの部分的な再エンコード処理が実行され、再エンコード処理した部分の主映像データが、それ以前にプリエンコード処理した主映像データ部分と置換される。このような一連の処理によって、主映像データ及びオーディオデータがエンコード処理され、記録に必要な平均ビットレートの値が大幅に低減される。
同様に、副映像データをエンコード処理するに必要なパラメータが設定され、エンコード処理された副映像データが作成される。
エンコード処理された主映像データ、オーディオデータ及び副映像データが組み合わされて、ビデオオブジェクトセットVOBSの構造に変換される。すなわち、主映像データ(ビデオデータ)の最小単位としてセルが設定され、セル情報が作成される。
次に、プログラムチェーンPGCを構成するセルの構成や、主映像、副映像及びオーディオの属性等が設定され(これらの属性情報の一部は、各データをエンコードするときに得られた情報が利用される)、ここに、種々の情報を含めたVMGファイルが作成される。
エンコード処理された主映像データ、オーディオデータ及び副映像データは、一定サイズ(2048バイト)のパックに細分化される。これらのパックには、ダミーパックが適宜挿入される。なお、ダミーパック以外のパック内には、適宜、再生時刻を示すPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)や、デコード時刻を示すDTS(デコーディングタイムスタンプ)等のタイムスタンプが記述される。副映像のPTSについては、同じ再生時間帯の主映像データあるいはオーディオデータのPTSより任意に遅延させた時間を記述することができる。
各データのタイムコード順に再生可能なように、ビデオオブジェクトユニットVOBU単位でその先頭にRDIパック(ナビゲーションパックに相当)を配置しながら各セルが配置される。これにより、複数のセルで構成されるビデオオブジェクトVOBが構成される。このビデオオブジェクトVOBを1つ以上集めてなるビデオオブジェクトセットVOBSが、ムビービデオファイルに記録される。
なお、DVDビデオプレーヤからDVD再生信号をデジタルコピーする場合には、上記セル、プログラムチェーン、管理テーブル、タイムスタンプ等の内容は始めから決まっているので、これらを改めて作成する必要はない。ただし、DVD再生信号をデジタルコピーできるようにDVDビデオレコーダを構成する場合には、電子透かしやその他の著作権保護手段が講じられる必要がある。
光ディスク1001に対して、情報の読み書き(録画及び/または再生)を実行する部分としては、光学系、駆動系を有するディスクドライブ35と、データプロセッサ36と、一時記憶部37(トラックバッファ)と、STC(システムタイムカウンターまたはシステムタイムクロック)38とを備えている。
一時記憶部37は、データプロセッサ36、ディスクドライブ35を介して光ディスク1001に書き込まれるデータ(エンコーダ部50から出力されるデータ)のうちの一定量分をバッファリングしたり、ディスクドライブ35、データプロセッサ36を介して光ディスク1001から再生されたデータ(デコーダ部60に入力されるデータ)のうちの一定量分をバッファリングするのに利用される。ディスクドライブ35は、光ディスクに対する回転制御系、レーザ駆動系、光学系などを有する。
例えば、一時記憶部37が4Mbyteの半導体メモリ(DRAM)で構成されるときは、平均4Mbps(ビット・パー・セカンド)の記録レートでおよそ8秒分の記録または再生データのバッファリングが可能である。また、一時記憶部37が16MbyteのEEP(エレクトリカリー・イレーザブル・アンド・プログラマブル)ROM(フラッシュメモリ)で構成されるときは、平均4Mbpsの記録レートでおよそ30秒の記録または再生データのバッファリングが可能である。さらに、一時記憶部37が100Mbyteの超小型HDD(ハード・ディスク・ドライブ)で構成されるときは、平均4Mbpsの記録レートで3分以上の記録または再生データのバッファリングが可能となる。
一時記憶部37は、録画途中で光ディスク1001を使い切ってしまった場合において、光ディスク1001が新しいディスクに交換されるまでの録画情報を一時記憶しておくことにも利用できる。一時記憶部37は、ディスクドライブ35として高速ドライブ(2倍速以上)を採用した場合において、一定時間内に通常ドライブより余分に読み出されたデータを一時記憶しておくことにも利用できる。再生時の読み取りデータを一時記憶部37にバッファリングしておけば、振動ショック等で図示しない光ヘッドが読み取りエラーを起こしたときでも、一時記憶部37にバッファリングされた再生データを切り替え使用することによって、再生映像が途切れないようにすることができる。
図1では示していないが、情報記録再生装置に外部カードスロットを設けておけば、上記EEPROMをオプションのICカードとして別売することができる。また、情報記録再生装置に外部ドライブスロットあるいはSCSI(スモール・コンピュータ・システムインターフェース)を設けておけば、上記HDDもオプションの拡張ドライブとして別売することができる。
データプロセッサ36は、マイクロコンピュータブロック30の制御にしたがって、エンコーダ部50から出力されたDVD記録データをディスクドライブ35に供給したり、光ディスク1001から再生したDVD再生信号をディスクドライブ35から取り込んだり、光ディスク1001に記録された管理情報を書き替えたり、光ディスク1001に記録されたデータ(ファイルあるいはビデオオブジェクト)の削除をしたりする。
マイクロコンピュータブロック30は、MPU(マイクロプロセシングユニット)、またはCPU(セントラルプロセシングユニット)と、制御プログラム等が書き込まれたROMと、プログラム実行に必要なワークエリアを提供するためのRAMとを含んでいる。
マイクロコンピュータブロック30のMPUは、そのROMに格納された制御プログラムに従い、RAMをワークエリアとして用いて、欠陥場所検出、未記録領域検出、録画情報記録位置設定、UDF記録、AVアドレス設定等を実行する。
MPUの実行結果のうち、ディスクドライブ35のユーザに通知すべき内容は、DVDビデオレコーダの表示部48に表示されるか、またはモニタディスプレイにOSD(オンスクリーンディスプレイ)表示される。
なお、マイクロコンピュータブロック30が、ディスクドライブ36、データプロセッサ36、エンコーダ部50及び/またはデコーダ部60等を制御するタイミングは、STC38からの時間データに基づいて、実行することができる。録画や再生の動作は、通常はSTC38からのタイムクロックに同期して実行されるが、それ以外の処理は、STC38とは独立したタイミングで実行されてもよい。
デコーダ部60は、所定のパック構造を持つ映像情報から各パックを分離して取り出すセパレータ62と、パック分離やその他の信号処理実行時に使用するメモリ63と、セパレータ62で分離された主映像データ(ビデオパックの内容)をデコードするVデコーダ64と、セパレータ62で分離された副映像データ(副映像パックの内容)をデコードするSPデコーダ65と、セパレータ62で分離されたオーディオデータ(オーディオパックの内容)をデコードするAデコーダ68と、Vデコーダ64から得られる主映像データにSPデコーダ65から得られる副映像データを適宜合成し、主映像にメニュー、ハイライトボタン、字幕やその他の副映像を重ねて出力するビデオプロセッサ66を備えている。
ビデオプロセッサ66の出力は、ビデオミクサー71に入力さえる。ビデオミクサー71では、テキストデータの合成が行われる。ビデオミクサー71には、TVチューナ44やA/V入力部42からの信号を直接取り込むラインも接続されている。ビデオミクサー71には、バッファとして用いるフレームメモリ72が接続されている。ビデオミクサー71の出力がデジタル出力の場合は、インターフェース(I/F)73を介して外部へ出力され、アナログ出力の場合は、DAC74を介して外部へ出力される。
Aデコーダ68の出力がデジタル出力の場合は、インターフェース(I/F)75を介して外部へ出力され、アナログ出力の場合は、セレクタ76を介してDAV77でアナログ変換され外部に出力される。セレクタ76は、マイクロコンピュータブロック30からのセレクト信号により、TVチューナ44やA/V入力部42からの信号を直接モニタするとき、ADC52からの出力を選択することも可能である。アナログオーディオ信号は、図示しない外部コンポーネント(2チャンネル〜6チャンネルのマルチチャンネルステレオ装置)に供給される。
上記装置において、ビデオ信号の流れを簡単に説明すると、以下のようになる。
入力されたAV信号はADC52でデジタル変換される。そのデジタル信号は、各エンコーダ53,54,55へ入力される。ビデオ信号はVエンコーダ53へ、オーディオ信号はAエンコーダ54へ、文字放送などの文字データはSPエンコーダ55へ入力される。ビデオ信号はMPEG圧縮され、オーディオ信号はAC3圧縮またはMPEGオーディオ圧縮がなされ、文字データはランレングス圧縮される。
各エンコーダからの圧縮データは、パック化された場合に2048バイトになるようにパケット化されて、フォーマッタ56へ入力される。フォーマッタ56では、各パケットがパック化され、さらに、多重化され、データプロセッサ36へ送られる。
フォーマッタ56は、アスペクト情報検出部43からの情報を元に、RDIパックを作成し、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)の先頭に配置する。
エンコーダ部50ではアスペクト情報検出部43からの情報を元に、MPEGビデオデータのシーケンスヘッダ内のアスペクト情報に検出した情報を書き込む。
データプロセッサ36は、16パック毎にECCブロッを形成し、エラー訂正データを付け、その出力をディスクドライブ35を介して光ディスク1001へ記録する。
ここで、ディスクドライブ35がシーク中やトラックジャンプなどの場合のため、ビジィー状態の場合には、一時記憶部37(例えばHDDバッファ部)へ入れられ、DVD−RAMドライブ部(ディスクドライブ35)の準備ができるまで待つこととなる。
さらに、フォーマッタ56では、録画中、各切り分け情報を作成し、定期的にマイクロコンピュータブロック30のMPUへ送る(GOP先頭割り込み時などの情報)。切り分け情報としては、VOBUのパック数、VOBU先頭からのIピクチャのエンドアドレス、VOBUの再生時間などがある。
同時に、アスペクト情報検出部43からの情報を録画開始時にMPUへ送り、MPUはVOBストリーム情報(STI)を作成する。STIは解像度データ、アスペクトデータなどを保存し、再生時、各デコーダ部はこの情報を元に初期設定を行う。
記録再生DVDでは、ビデオファイルは1ディスクに1ファイルとしている。ここで、DVDを利用したリアルタイム記録再生機において注意すべき点は、データをアクセスする場合において、そのアクセス(シーク)している間に、とぎれないで再生を続けるために、最低限連続するセクタが必要になってくる。この単位をCDA(コンティギュアス・データ・エリア)という。このCDAは、ECCブロック単位となっている方が有利である。そのため、CDAサイズは16の倍数にし、ファイルシステムでは、このCDA単位で記録を行っている。ただし、この場合、ディスク内にうまくCDAの大きさの空き領域がない場合などは、別のファイルが使用している短いセクタが、CDA内に入り込むことも許している。これにより、CDA単位で記録することができる。
図13は図12に示した記録再生装置の再生部分を簡素化して示す図である。上記したようなジャンプ再生が行われる場合には、デコーダ64、65、66に対してデータが途切れないように供給する必要がある。そのために、トラックバッファ(一時記憶部37)221が設けられている。Vrはエラー訂正(ECC)処理部209からトラックバッファ221に供給されるデータの転送レート(光ディスクからの読出しレート)であり、Voはトラックバッファ221からデコーダ64、65、66に供給される全データを合わせた転送レート(再生レート)である。読出しレートVrはディスクの線速度に依存し、再生レートVoは再生する絵(シーン)に応じて可変である。ディスクからのデータの読み取りはエラー訂正(ECC)ブロック単位で実行される。DVD−ROMの場合、1エラー訂正ブロックは図14に示すように16セクタ分に相当する。 図15は、ワーストケースのインターリーブドブロックが再生されるときのトラックバッファ221へのデータ入力の増加及び減少を示している。この時は、記録トラック上のインターリーブドユニットのジャンプと、ジャンプ先のインターリーブドユニットデータの読み取り及び再生処理が実行される。ワーストケースでは、トラックバッファが空の状態でインターリーブドユニットの読み込みを開始し、読み込み終了後、次のインターリーブドユニットにジャンプする。また、インターリーブドユニットの先頭セクタがECCブロックの最終セクタであり、インターリーブドユニットの最終セクタがECCブロックの先頭セクタである。すなわち、2ECCブロックの残りは有効データではない。1つのECCブロックの読込み時間Teはb/Vrである。ここで、Vrは基準速度での転送レート(例えば11Mbps)、bは1つのECCブロックのデータサイズ(例えば262,144ビット)である。 図15において、Vrはエラー訂正回路209からトラックバッファ221に供給されるデータの転送レート(エラー訂正はエラー訂正ブロック毎に実行されるため、実際には間欠動作となる場合があり、正確には間欠時間も含んだ平均転送レートである)、Voはトラックバッファ221からデコーダ64、65、66に供給される全データを合わせた転送レートである。 Tjはジャンプ時間であり、トラックをシークする時間とそのために付随している必要な回転待ち時間(レイテンシータイム:latency time)を含む。Tjはジャンプ距離に依存してテーブルにより与えられる。与えられたジャンプ距離に対し、最大待ち時間はジャンプが発生したディスク上の位置に依存する。テーブルはディスクの全ての位置を考慮して最悪のケースを示してある。Bxはジャンプが開始されたとき(時点t4)にトラックバッファ221に残っているデータ量である。
図15のデータ量を示す曲線は、時点t2から傾斜(Vr−Vo)の蓄積率でトラックバッファ221にデータが蓄積されていくことを示している。また、曲線は、時間t6でトラックバッファ221のデータ量が零になったことを示している。トラックバッファ221のデータは、時間t3から傾斜−Voの減少率で減少し、時間t6で零になっている。
この曲線から以下が導き出される。トラックバッファ221から連続してデータが出力される条件、つまりデータが途切れることなくデコーダ64、65、66へ供給されるための条件は以下の通りである。
Bx≧Vo(Tj+3Te) (1)
ここで、Bxはジャンプ開始時点のトラックバッファ221内のデータ量である。
また、インターリーブドユニットからのジャンプ距離と再生レートVoが与えられた時のシームレスジャンプを保証するインターリーブドユニットのサイズ(ILVU_SZ)(セクタ)は以下の通りである。
ILVU_SZ≧{(Tj×Vr×106+2b)/(2048×8)}×Vo/(Vr−Vo) (2)
(2)式は特許文献1(特許公報第2857119号公報)の段落0100に記載されている。 簡略化のため(2)式の右辺のうちジャンプ時間Tj、2b、Vrを定数とみなすと、サイズの下限値は定数×Vo/(Vr−Vo)となる。そのため、再生レートVoが小さくなると、インターリーブドユニットのサイズも小さくなり、再生時間も短くなる。この時、短い間隔で連続してジャンプ命令が発生すると、短間隔のジャンプにディスクの回転数変化が追従できず、ジャンプ終了時にディスクの線速度が所望の速度に達することができず、読出しレートVrが規定のレートに達せずに、トラックバッファ221のデータが不足し、再生が中断(例えば、映画のシーンであれば、映画が中断)することがある。 そこで、本実施形態では次のようにインターリーブドユニットのサイズを求めている。
ILVU_SZ≧Vo×106×Ti/c (2A)
ここで、c:1セクターのデータサイズ(例えば、16384ビット)、Tiはジャンプ後に所望の読取りレートVrminを確保するために最低限必要なジャンプ間隔(単位:秒)である。(2A)式を簡略化すると、サイズの下限値はジャンプ間隔Ti×再生レート(単位:Mbps)Voとなる。(2A)式によれば、インターリーブドユニットの実際の再生時間を所定時間以上とすることができ、トラックバッファからデコーダに転送されるデータが不足する事態を防ぐことが出来る。
なお、(2)式、(2A)式から分るように、再生レートVoが小さい場合は、(2A)式のサイズの方が(2)式のサイズよりも大きいが、再生レートVoが大きい場合は、(2)式のサイズの方が(2A)式のサイズよりも大きい。そのため、各Voについて(2)式、(2A)式で求めたILVU_SZのうち大きいものをインターリーブドユニットのサイズとする。
図16に本実施形態の動作の概要を示す。図16の(a)はインターリーブドユニットの配置例を示す。Nはあるシーンの再生時のインターリーブドユニットの再生順を示す。図16の(b)はインターリーブドユニットの再生例を示す。このように、物理アドレス上は離れているデータが連続に再生される。再生時間とは、読出し時間とジャンプ時間と読出し終了からジャンプ開始までの待ち時間の和である。
図16の(c)、(d)、(e)にCLV方式のディスクにおいて外周から内周にジャンプした場合のインターリーブドユニットの読出し例1〜3についての読出しレートの変化を示す。
(c)は再生に必要なデータレートVoが高い場合を示す。インターリーブドユニットNの読出し開始時には読出しレートの下限値Vrminで読出し、次のジャンプに備えて予めディスクモータの回転を上げ、読出しレートを上げている。モータの回転数の変化の目標値は、モータの回転数の変化が追従できなくてもジャンプ後に読出しレートの下限値Vrminで再び読出しを開始できるように、高めに設定されている(目標値の設定の仕方は後述する)。なお、実際には、インターリーブドユニットNの読出し時の読出しレートの平均値は読出しレートの下限値Vrminを上回るため、トラックバッファ221の容量が十分にあれば、ジャンプ開始前にインターリーブドユニットNの読出しは完了する。
(d)は再生に必要なデータレートVoが低い場合を示す。この場合は、十分な時間的余裕を持ってインターリーブドユニットNの読出しが完了する。次のインターリーブドユニットN+1の読出しは、インターリーブドユニットN+1の再生の直前に開始する。
(e)はトラックバッファ221に空き容量があり、データを先読みする場合を示す。インターリーブドユニットN+1の読出しレートは読出しレートの下限値Vrminを下回ってしまう。しかしながら、インターリーブドユニットN+1の読取りはインターリーブドユニットN+1の再生開始より前であるため、再生が途切れる等の問題は起きない。
なお、マルチアングル機能を用いる場合は、ジャンプ先のインターリーブドユニットを変更しなければならないため、(e)のように、次に再生するインターリーブドユニットN+1を予め読込んでしまうと、切替えのタイミングが遅くなるか、あるいは先読みしたインターリーブドユニットのデータを破棄して再度別のインターリーブドユニットを読出す必要がある。
上述したようにインターリーブドユニットのサイズの下限を設定することにより、インターリーブドユニットの再生時間の下限も設定でき、これにより、ジャンプ直後の転送レートが所定レート以下にならないようにディスクモータの回転数を設定している光ディスク装置において、短い間隔でのジャンプが発生することにより、デコーダに供給されるデータが不足する事態を防ぎ、安定した再生が可能となる。
光ディスク装置は、インターリーブドユニットのサイズがこのように制限されたディスクを再生することを前提として設計すればよく、最内周で必要な回転速度でディスク全面を再生するCAV方式のように外周で非常に高速(120mmのDVDディスクにおいて、内周に比べて約2.5倍の線速度)で再生することになる方式を前提として設計することを強いられず、騒音、消費電力等を抑制できる。また、光ヘッドのレンズアクチュエータのサーボ帯域、信号処理速度の動作速度も高くする必要がなくなり、装置の製造がより容易になるとともに、確実なディスクの再生が可能となる。
また、ディスクモータの回転数追従時間を組み込んだ複雑なプレーヤモデルを使ってインターリーブドユニットのサイズやトラックバッファのサイズ、最大ジャンプ距離等の制約を求める方法も考えられるが、本実施形態によれば、既存のディスクデータ制作装置の小改造で適用が可能である。つまり、低コストで採用が可能である。
次に、トラックバッファ221としてどの程度の容量が必要であるかを検討してみる。多くの場合、インターリーブドユニットのサイズILVU_SZはある条件下で許される最少値より大きくなる。Voはジャンプ距離に対して許容されるMAX_Voの上限値より小さな値を持つ。これらのファクターはトラックバッファ221が一杯になるので、読取りの中断をもたらす。読取り中断はキックバックと呼ばれ、プレーヤではVrはMAX_Voより常に大きいので、頻繁に発生する。このキックバックがジャンプ直前に起きた場合は、プレーヤは次のILVUにアクセスするために余分の時間を必要とする。この場合でも、トラックバッファ221は連続してデータを供給するために十分な容量を持たなければならない。トラックバッファ221の容量は、記録装置がキックバック動作して、続いてインターリーブドユニットのジャンプを行っても、トラックバッファ221の出力データが途切れないような容量であることが望ましい。キックバックは、ディスクが一回転する間、ピックアップが読取りを待っているような状態であり、ディスクが一回転した後に、隣のトラックヘ読取り位置をシークすることである。
図17は、記録装置においてキックバック動作が行われ、続いて最大級のジャンプ動作が行われた場合の時間と、トラックバッファ221におけるデータの低減状況を示す。トラックバッファ221のサイズをBm、キックバック時間(ディスクの1回転時間相当)をTk、1ECCブロックの読取り時間(24msec,つまり0.024sec)をTe、ジャンプ時間(トラックシークタイム(tj)+レイテンシータイム(Tk))をTj、インターリーブドブロックでのデコーダの最大読出しレートをVomaxとすると、記録装置においてキックバック動作の完了直後に最大距離のジャンプ動作が行われた場合に、トラックバッファからの連続データ転送を保証するトラックバッファ221の容量は以下の条件が必要である。
Bm≧{(2Tk+tj+4Te)×Vomax×106}/(2048×8)
(3)
上記のことから、必要とされるトラックバッファのサイズは、記録装置のTk、tj、Teに依存し、tjはシーク動作の性能に依存することが分かる。また、Tk、Teは、ディスクの回転速度に依存することが分かる。
従来技術の欄でも説明したように、近年、高精細(HD)画像対応の家庭用ディスプレイが普及を始めており、情報記録媒体も高精細(HD)画像対応の検討が進められている。従来のDVD−Video規格は、1層のDVD−ROMに標準的な長さの標準解像度(SD)の映画が記録できるが、近年の動画像圧縮技術の進歩によって、約4倍の画素を持つ高精細(HD)画像を、平均してほぼ2倍のデータ量に圧縮できるようになり、これによって2層のDVD−ROMに映画を収めることが可能になってきた。しかし、これは平均して2倍のデータ量になるということであって、部分的には3倍のデータ量となる。従って、トラックバッファからデコーダに供給するデータレートVoは従来の3倍となり、ディスクから読出し、トラックバッファに供給するデータレートVrも従来の3倍のレートが必要となる。また、従来のDVD−Video規格では、マルチシーン部分(インターリーブドブロック)の最大データレートVomaxを、マルチシーン部分以外より小さい値としていたが、画質の面からはマルチシーン部分のデータレートVomaxを大きくしてそれ以外の部分と揃えることが望まれている。この要望に応えマルチシーン部分の最大データレートVomaxを大きくすると、インターリーブドユニットのサイズが大きくなり、ジャンプする距離を長くする必要がある。
ところで、DVD−ROMをはじめとする多くの光ディスクは線記録密度が一定であるため、一定のデータレートVrで情報を読み出すには、半径によって回転速度を変える必要がある。これはスピンドルモータを制御することによって実現されるが、スピンドルモータのトルクを一定とすると、同一半径での回転速度の変化するのに必要な時間は、データレートVrとジャンプ距離にほぼ比例する。実際には、モータの一般的特性として、回転速度が上がるにつれ粘性抵抗、風損が増加するため、回転が速くなるにつれディスク回転速度の加減速に使えるトルクは減少する。
従来のDVD−Video規格においては、ジャンプ終了時までにディスク回転速度を追従できた(追従に必要な時間は数10msec)が、前述のようにディスク回転速度を3倍とし、ジャンプ距離も長くしたいという要求を受け入れると、スピンドルモータのトルクは増やすことが困難なため、ジャンプが終了しても、線速度、すなわち読出し速度を保つのが困難になってくる。とりわけ、携帯用機器においては、電池で動作するため使えるピーク電力に限りがある。ピーク電力を増やすには、電池サイズの増大、すなわち装置の大型化、重量増につながり商品性を損なう。従って、モータのトルクを増加させることは非現実である。
2層ディスクの再生時に、外周から内周にジャンプした場合、ディスク回転速度を上げなければならないが、トルク不足で追従できないと、データレートVrが想定した基準値より下がり、トラックバッファが空になり、画像が途切れる可能性が生じる。特に、高精細ビデオはデータ量が多いため、2層ディスクが多く使われるため、これは重大な問題である。
また、現在の高速再生の可能なDVD−ROMドライブでは、線速度一定で記録されたディスクを線速度一定(CLV方式)でなく、回転速度一定で回転させる方式(CAV方式)を用いている場合もある。この場合は、読出しデータレートVrを3倍以上確保するため、仮に内周が3倍になるようにすると、最外周の線速度は約7.3倍の速度となる。この方式が採用できれば前述の問題は無くなる。
しかし、例えば現在のDVD−ROMでも規格上保障されている読出し速度は1倍速であり、1倍速での再生を想定してディスクの反り、偏心などの機械特性を定めている。ディスクの反りや偏心があると、対物レンズアクチュエータは、追従するために力を発生する必要があるが、歪や偏心によって発生する加速度は、線速度の2乗に比例するため、例えば8倍速では、1倍速での64倍の力を発生する必要がでてくる。現実的には、このような大きな力を発生するのは困難である。したがって高速再生が可能なドライブでも、ディスクの反りなどの機械的特性によっては高速再生は困難なため、そのような場合には再生速度を下げている。つまり、ディスクの反りや偏心が規格に対して十分小さい場合には、高速再生ができても、大きい場合は追従するのが不可能になるため、再生速度を下げざるを得ないのである。
高精細(HD)ビデオを収録できるディスクでは、3倍速で再生ができるようにディスクの反りや偏心の最大値を決めなければならないが、現在のディスクの製造技術や経時変化、コスト等、および光ディスク装置の性能、コストを考慮すると、最内周が3倍速となるCAV方式での再生ができるように規格を定めるのは非現実的であり、CAV方式で再生することによって前述の問題を回避することはできない。
本実施形態は上記の問題を解決するためになされたものであり、データ読出しレートを一定以上に保つことのできる光ディスク装置を提供するものである。
本実施形態では高いデータ再生速度を必要とする高精細ビデオを再生するため、従来の3倍程度の線速度でディスクを回転させなければならない。このような高回転では、スピンドルモータとしては、従来広く用いられてきたブラシモータはブラシ寿命の点で問題があり、ブラシレスモータを使うことが好ましい。ブラシレスモータは、モータコイルに流す電流の方向を切り替えるタイミングを生成するため、一般にホール素子を持ち、これを用いてモータの回転速度に比例した周波数のパルスを出力することが可能であり、このパルス信号より回転速度を検出することが可能である。
ディスクには映画などの時系列データが、マルチシーンを実現するために、インターリーブされて、すなわちある特定のシーンにとってみれば間欠的に記録されている部分があるとする。ディスク上のデータの配置は、データの読出しレートがVr、最大ジャンプセクター距離Smax(すなわち最大間欠距離)ジャンプした時の最大ジャンプ時間がTjmaxである記録装置で再生されるものとして、インターリーブされた場所も途切れることなくシームレス再生できるように、データ配置が決定され記録されている。前述の式(2)の右辺の分母、分子をVrで割ると、分子からVrが無くなり、分母は(1−Vo/Vr)になる。したがって、Vrが大きくなると分母が大きくなり、最低必要なインターリーブドユニットのサイズは小さくなることがわかる。したがって、このディスクを再生する光ディスク装置では、上記のデータの読出しレートVrを下限読出しレートVrminとし、データ読出しレートをVrmin以上の値に保ちつづければ、データ読出しレートが変化してもシームレス再生が保証される。また前述の式(2)、(3)からわかるように、ジャンプ時間Tjが光ディスク装置側での再生時にディスク記録時に想定した値より小さくなっても構わない。なお、ディスクからの読出しレートと、デコーダの使用するデータレートの差で余ったデータをトラックバッファに貯め、ジャンプ時にディスクからデータを読めなくなった時に、トラックバッファに貯まったデータをデコードする方式を取っていれば、式(2)、(3)とは違う式の方式でも、同様のことが成立するはずである。
なお、ジャンプは任意の場所で発生し、本実施形態では論理セクター番号が増える方向のジャンプのみを許すとする。従って、2層ディスクの場合には、シームレス再生中にレイヤ0からレイヤ1への層間ジャンプが発生する場合もある。なお、2層ディスクの場合には、図4の(c)に示した方式で論理セクター番号が設定されているとし、(b)の方式で論理セクター番号が設定されている場合は除外する。つまり、レイヤ0では内周から外周に向かって読み、レイヤ1では外周から読み始める。従って、レイヤ0の最後からレイヤ1の最初に移動するときには、ディスクのトラックの半径誤差を除いて半径方向への光ヘッド202の移動は発生しない。
ところで、マルチアングル再生時には、あるアングルから別のアングルへのシームレスな切り替えが求められるため、図10において、例えば(1,1)のセルから発生する可能性のある最大ジャンプは、(1,2)のセルへのジャンプではなく、(m,2)へのジャンプである。
図18のフローチャートを参照してスピンドルモータの回転速度を制御するサブルーチンを説明する。
本サブルーチンは図12に示す光ディスク装置のマイクロコンピュータブロック30の動作に関するものであり、ディスクが挿入された場合、ホスト側から指示された場合、ディスク読出し中等に実施される。ステップS12で、映画などのシームレス再生が必要なディスクか否か判定する。シームレス再生が必要なディスクの場合は、ステップS14で、現在の読出し位置でシームレス再生を行うために必要なデータの下限読出しレートVrmin[Mbps](下限読出し線速度LinAminとなる)を得るのに必要なディスク回転速度rotAmin[rpm]と、最大ジャンプ距離Smaxのジャンプが発生した後でシームレス再生を行うために必要なデータの下限読出しレートVrmin[Mbps]を得るのに必要なディスク回転速度rotBmin[rpm]とを比較する。
回転速度rotBminの方が大きい場合、ステップS18で、ジャンプ時間Tjmax[s]間にディスク201のデータの読出しレートVrminが得られる下限ディスク回転速度rotBminまで加速度AccDisk[rpm/s2]で加速可能な下限回転速度と、回転速度rotAminのどちらか大きい回転速度を、現在の下限ディスク回転速度rotCmin[rpm]とする。逆に、回転速度rotBminの方が小さい場合は、ステップS16で、回転速度rotAminを下限ディスク回転速度rotCminとする。
ステップS20で、所定の上限読出し速度LinBmax[Mbps]となる現在の位置での回転速度rotAmaxと、最大ジャンプ距離Smaxのジャンプが発生した後の位置で上限読出し速度LinBmaxとなる回転速度rotBmaxとを比較する。回転速度rotAmaxの方が大きい場合、ステップS24で、ジャンプ時間Tjmax[s]間に上限ディスク回転速度RotBmaxまで加速度AccDisk[rpm/s2]で減速可能な上限回転速度と、回転速度rotAmaxのどちらか小さい回転速度を、現在の上限ディスク回転速度rotCmax[rpm]とする。逆に、回転速度rotBmaxの方が小さい場合は、ステップS22で、回転速度rotAmaxを、現在の上限ディスク回転速度rotCmax[rpm]とする。
そして、現在の位置でのスピンドルモータ204の回転速度(ディスク回転速度)が下限ディスク回転速度rotCmin以上で上限ディスク回転速度rotCmax以下となるように目標回転速度rotCを定め、スピンドルモータ204を制御する。
シームレス再生が不要なディスクの場合は、ステップS28で通常の回転速度制御処理が行われる。
なお、上記の説明は簡単のため、最大距離ジャンプ先をSmax離れた場所としたが、実際にはSmax離れた場所が無かったり、また現在再生しているレイヤと別のレイヤの場合もある。例えば、レイヤ1を再生中、外周から内周に向かってジャンプする場合、Smax離れた場所が存在しない場合には、Smaxの値をデータの存在する位置まで小さくすればよい。また、ジャンプによってレイヤが変わる場合は、現在の回転速度とSmax離れた場所の回転速度を比較するのに加え、最外周における回転速度に対しても比較し、その結果得られる個々のCminのうち最大のものを最終的なCminとし、個々のCmaxのうち最小のものを最終的なCmaxとすればよい。
一般に、回転速度[rpm]と半径Rでの読出し線速度との関係は、
回転速度=(線速度/2πR)×60
となる。ここで60は、1秒毎の回転速度を、1分毎の回転速度に変換する係数である。下限ディスク回転速度rotAmin、rotBmin[rpm]は、読み出すセクターの存在する半径をR[m]、下限読出し線速度をLinAmin、LinBmin[m/s]とすると、
rotAmin=(LinAmin/2πR)×60
rotBmin=(LinBmin/2πR)×60
として求められる。
一般に、線速度[m/s]とデータ読出しレート[Mbps]の関係は、
データ読出しレート=(線記録密度/106)×線速度となる。線記録密度は、ディスクによって定まる定数である。したがって、線速度と読出しレートは簡単に変換可能である。
物理セクター番号Nsecの存在する半径R[m]は、例えば
Rmin:データエリアの最内周の半径[m](DVD-ROMでは規格で固定値)
Smin:データエリアの物理セクター番号の最小値(DVD-ROMでは規格で固定値。また、ディスク上の図3のデータエリアアロケーション827に示す領域に記録されている)
Tp:ディスクのトラックピッチ[um](DVD-ROMでは規格で固定。また、ディスク上の図3のレコーディングデンシティ826に示す領域に記録されている)
Vref:ディスク規格で定められた規定線速度[m/s]
ユーザビットレート(User Bit Rate):規定線速度Vrefで回転させたときのディスク規格で定められたユーザーデータのビットレート[Mbps]とすると、
R=√({(Nsec-Smin)×2048×8×Vref/(User Bit Rate×106)}×Tp×10−6/π+Rmin2)
と算出できる。ここで、2048は1セクタあたりのバイト数であり、8は1バイトあたりのビット数である。なお、Nsecが負の値、すなわちレイヤ1にあるセクタの場合には、上記の式においてNsecは絶対値を与え、Sminはレイヤ0におけるSminを与える。
物理セクター番号と論理セクター番号はディスク構造の説明で述べたように1対1に対応するため、論理セクター番号でのジャンプ距離と物理セクター番号でのジャンプ距離は等しいので、最大ジャンプ先の物理セクター番号は現在の物理アドレスと最大ジャンプセクター距離から計算できる。
また、ディスクの再生動作後は、その時点の復調前のビットレートであるチャネルビットレートCCBRと、最短ピット長MPLと、スピンドルモータに設けられた図示しないホール素子から得られた回転速度CMrから、現在読出し中の物理セクター番号CNsecの半径位置CRを算出できる。すなわち
CR=CCBR×MPL/(2×π×CMr)
となる。これを基準とし、前述のRminをCRで、SminをCNsecで置き換えてもよい。これにより、ディスクの製造誤差(TpやRminの誤差による)による影響を低減できる。
上記の説明はディスクに与えられる発生角加速度を考慮していないが、これを考慮すると、回転速度rotCはつぎのようになる。
ディスクに与えられる発生角加速度の大きさをAccDisk[rpm/s2]とした場合、下限回転速度rotCminは
rotCmin
=rotAmin
(ステップS16のように、rotAmin>rotBminの場合)
=rotBmin−AccDisk×Tjmax
(ステップS18のように、rotBmin−AccDisk×Tjmax≧rotAminの場合)
=rotAmin
(ステップS18のように、rotBmin−AccDisk×Tjmax<rotAminの場合)
となる。
なお、ここで、AccDisk、Tjmaxとも負の値は取らないので、上記の条件式
rotBmin<rotAmin
が成立すれば、常に、
rotBmin−AccDisk×Tjmax<rotAmin
が成立する。したがって、下限回転速度rotCminは、
rotCmin
=rotBmin−AccDisk×Tjmax
(rotBmin−AccDisk×Tjmax≧rotAminの場合)
=rotAmin
(rotBmin−AccDisk×Tjmax<rotAminの場合)
とも表現できるので、この手順でおこなってもよい。
上限の回転速度rotCmaxは、逆に所定間隔以下のジャンプをした場合にも所定読出し速度LinBmaxを超えない限界の回転速度である。
なお、回転速度rotCminがどの半径でも常に回転速度rotAminとなる場合は、ジャンプ内にスピンドルモータの回転速度変化が完了することを示しており、従来のDVD-Videoのように線速度LinAmin一定で再生できる状態である。したがって、本発明の目標速度設定方法は、ジャンプ中にスピンドルモータの回転速度変化が完了しない場合が有る時に、従来例に比べて効果が増す。
一方、ディスクに与えられる発生角加速度をAccDisk[rpm/s2]とした場合、上限回転速度rotCmaxは、
rotCmax
=RotAmax
(ステップS22のように、rotAmax≦rotBmaxの場合)
=rotBmax+AccDisk×Tjmax
(ステップS24のように、rotBmax+AccDisk×Tjmax≦rotAmaxの場合)
=rotAmax
(ステップS24のように、rotBmax+AccDisk×Tjmax>rotAmaxの場合)
となる。これも
rotCmax
=rotBmax+AccDisk×Tjmax
(rotBmax+AccDisk×Tjmax≦rotAmaxの場合)
=rotAmax
(rotBmax+AccDisk×Tjmax>rotAmaxの場合)
とも表現できる。
上限読出し線速度LinBmaxは、できればディスク規格で定められている速度とするのが望ましいが、ディスク規格で想定しているドライブ仕様を上回る仕様の装置であり、ディスク規格を超える速度で再生可能な場合は、それを元に、上限読出し線速度LinBmaxを設定してもよい。場合によっては、上限回転速度を制限し、ある半径から内周側では回転速度一定、外周側では線速度一定といった半径によって異なる値とすることもできる。つまり、さまざまな条件を考慮し、確実に再生可能な上限速度とすればよい。
なお、上述の説明では、基本的な原理を示し、汎用的な説明とするため、RotAminとRotBminの比較、RotAmaxとRotBmaxの比較をおこなったが、別の等価の方法も存在し、それを用いても良い。例えばセクター番号が内周より外周が大きくなっている場合には、現在の位置のセクター番号をNsecA、ジャンプ後のセクター番号をNsecBとすれば、NescA<NsecBのとき、RotAmin>RotBmin、RotAmax>RotBmaxが成立するので、回転数の比較の代わりにセクター番号を比較すればよい。あるいは、ジャンプ前の半径をRA、ジャンプ後の半径をRBとすれば、RA<RBのとき、RotAmin>RotBmin、RotAmax>RotBmaxが成立するので、回転数の比較の代わりに半径を比較すればよい。なお、RotAmax、RotBmaxの比較について、これらの別方法が成立するのは、ジャンプ前後で上限読み出し速度LinBmaxが等しい場合である。
上述したように現在の目標回転速度を設定してからジャンプした場合、ジャンプ直後のディスク回転速度は、その半径での目標回転速度Cの値とは異なる。そして、次のジャンプがある場合、それまでにディスク回転速度がCに変化する必要がある。すなわちインターリーブドユニットを1つ読む時間内に回転速度Cに戻らなければならない。なお、このインターリーブユニットを1つ読む時間は、下限読出し速度LimAmin以上で読んでいる、実際にかかる時間ではなく、データ作成時に想定している下限読出し速度LimAminで読んだ場合の時間でよい。
ここで、仮に高精細(HD)映像でも、従来と同様にインターリーブドユニットのサイズの最小値ILVU_SZが求められるとする。すると、インターリーブドユニットを1つ読む時間の最小値は、前述の式(2)にて、インターリーブドユニットのサイズの最小値ILVU_SZを求め、読出しレートVrから算出すればよい。ここで、Vr、VoをDVD−Video規格の3倍の33.24Mbps、30.24Mbpsとすると、最小サイズのインターリーブドユニットを読む時間はTjが0.2秒のとき2.1秒、Tjが0.5秒のとき5.2秒となり、ジャンプ時間Tjの約10倍もの長時間内に回転速度が変化すればよいことになり、スピンドルモータにかかる負荷が大幅に低減される。
しかしながら、この計算でのジャンプ時間Tjは、現在のインターリーブドユニットの後に発生する可能性のある最大ジャンプ時間である。従って、ジャンプ時間の10倍程度、ディスクモータの回転速度変化に時間がかかるとすると、現在のインターリーブドユニットに到達する前のジャンプ時間をTj−1とすると、Tj<Tj−1の場合には目標回転速度Cに達する前に次のジャンプが発生してしまう。しかし、この場合には、ジャンプ距離も短くなっているため、回転速度変化も小さくなっているので、問題は生じない。つまり、インターリーブドユニットのサイズは、その後のジャンプのために発生するスピンドルモータ回転速度変化の変動を吸収するのに必要なサイズともなっているのである。従って、実際に発生するジャンプ距離が該当ジャンプ直前のインターリーブドユニットを読み出すときにわかっていれば、通常は、下限読出し速度LimAminを確保できる回転速度でディスクを回転させ、ジャンプ前に必要なスピンドルモータ回転速度に上昇させるといった方法ができる。しかし、この方法では、スピンドルモーター回転速度を変化させるのに必要な時間より前に次のジャンプ先が決定されなければならず、マルチシーン部分を再生中に別のシーンにシームレスで切り替える場合には、スピンドルモーター回転速度を変化させるのに必要な時間以上、本発明の方法に比べて、レスポンスが低下して好ましくない。
以上のようにスピンドルモータの加減速時間をジャンプ時間に比べ大幅に長くできることで、次のような効果が得られる。スピンドルモータの角加速度を一定とすると、回転速度の変化は加速時間に比例する。また、角加速度はモータのトルクに、モータのトルクはモータコイルに流れる電流に比例するため、モータに必要な所要電流を大幅に低減できるため、電源が小型化でき、装置が小型化できる。特に、重量、大きさが問題となる携帯用の再生装置にとっては極めてメリットが大きい。
図19は、本実施形態の光ディスクにおいて、再生中にジャンプを行った場合のディスク読出し速度(ディスクの線速度に比例)と、スピンドルモータ回転速度の変化例3種類を示す模式図である。図において線が水平になっている部分は、線速度や回転速度が制御の目標値に引き込まれていることを示す。ここでは、線速度LinCmin(即ち回転速度rotCmin、以下、線速度、回転速度を特に区別しないときには単にCmniと記す。Cmaxも同様に用いる。)で再生中に、内周方向に最大距離Smaxジャンプした場合を示している。まず第1の例は、ジャンプ中にスピンドルモータの回転速度が変化する場合であり、太線で示した線である。外周から内周に向かうときLinCminの値は線速度一定とはならず内周ほど増えるため、ジャンプ前よりジャンプ後のLinCminのほうが大きい。ジャンプ開始と同時にスピンドルモータの加速が開始され、ジャンプ終了時に下限読出し速度LinAmin(下限読出しレートVrminとなる)で再生が開始され、次のジャンプが発生する前に、速度は目標速度Cminに達している。
破線は、第2の例であり、ジャンプ中にスピンドルモーターを加速しない、すなわちAccDick=0とし、ジャンプ終了後にスピンドルモータの加速を開始した例である。この場合、太線の場合より、Cminの値が大きくなる。ジャンプ中はスピンドルモータ回転速度を保ち、ジャンプ終了時に下限読出し速度LinAminで再生が開始される。この後のスピンドルモータの回転速度の変化は、角加速度に応じて変化する。この例では前述の太線の例と同じ角加速度でスピンドルモーターを加速し、太線、点線と続く線の動作をし、次のジャンプが発生するかなり前に目標速度Cminに達する。
第3の例は、第2の例と同じくAccDisk=0とした例であり、最初は点線であるが、ジャンプ後の加速度が小さく、2重点線の線を動作し、この場合は次のジャンプが発生する直前に目標速度Cminに達している。
図20、図21は、本実施形態の光ディスク装置のスピンドルモータの回転速度の制御目標の上限と下限の計算例を示している。この例では、最内周を23.6mm、最外周を58mm、ディスクの標準読出し速度を3倍速、上限読出し速度を3.7倍速とし、前述のAccDiskの値を0、即ち下限の値、Smaxを200,000として計算したものである。横軸はどちらも半径位置であり、図20は2層DVD−ROMディスクの標準線速度に対する比で線速度を表し縦軸としたもので、図21は縦軸を回転速度で表したものである。内周から外周に読み進んでいるとき、つまりレイヤ0を再生中の場合と、外周から内周方向に読み進んでいるとき、つまりレイヤ1を再生中の場合を区別するため、矢印を線に付加している。また、図21の基準回転速度の線は3倍速のCLV方式での値を表す。
図21の条件では、AccDiskの値を0としたので、ジャンプ中にスピンドルモータの回転速度を変化させる必要がない。つまり図19の第2、第3の例のような動作が可能になる。一般に、ジャンプ中には送りモータ駆動回路、スピンドルモータ駆動回路の両方で大きな電力を必要とする。高速なジャンプを必要とする場合ほど電力は増加する。特に、携帯用機器においては十分な電力が供給できなく問題となるが、このようにすると、ジャンプ後にスピンドルモータの回転速度を変化させればよいため、ジャンプ時間を遅くすることなく消費電力のピークを抑えることが可能となる。なお、図19の第2、第3の例ではジャンプが完了してからスピンドルモータを加速しているが、ジャンプ中の消費電力に占める割合の大きい送りモータの動作、すなわち粗アクセス処理が終了した時点でスピンドルモータの加速を開始してもよい。また、外周に向かってジャンプする場合は減速をすることになり、加速時と同様の動作ができるが、減速の場合には、スピンドルモータの粘性抵抗を利用して、電力を消費せずに多少の減速はできるので、その程度の減速であれば消費電力を増やさずに粗アクセス時にもできる。
本実施形態では、上限読出し速度を3.7倍速としているが、下限回転速度で動作させた場合、図21からわかるように、外周から内周に向かう方向に読み出す時、つまりレイヤ1を読み出す時、最も回転速度の高い最内周付近においては、最内周における下限読出し速度LinCminとなる回転速度RotCminと等しい回転速度である。言い換えれば、本実施形態によれば最内周付近において光ディスクはCAV方式で使用していることになる。従って、下限速度Cminでスピンドルモーターを回転させれば、スピンドルモータそのものの最高回転速度を増やす必要はなく、スピンドルモータの性能を上げる必要はないという特徴がある。
本実施形態の光ディスク装置においては、図20、図21における上限と下限の間に、現在の半径位置でのスピンドルモータの目標速度Cを設定すればよい。諸誤差、余裕を考慮して、なるべく下限に近づけることによって、光ディスク装置の騒音が低減できる。レイヤ0では、回転速度の遅い外周に向かってジャンプするので、下限回転速度は下限読出し速度LimAminが得られる回転速度になる。外周に向かうほど一周の長さが長くなるため、同一セクター距離のジャンプでも、ジャンプ半径は短くなる。そのためジャンプ後の線速度の増加は抑えられるため、外周に向かうほど上限線速度は上昇していく。外周に近づくと、Smax(所定距離A)ジャンプするとレイヤ1になるため、下限速度カーブ、上限速度カーブとも傾きが大きく変化する。レイヤ1に移動すると、今度は線速度の低下する内周に向かってジャンプすることになるため、内周に向かうほど下限速度は増加し、上限速度は上限読出し速度LinBmaxとなる。最内周に近づくと、Smaxが残りセクターを上回るため、実際に可能な最大ジャンプ先は最内周となり、今後は下限速度は低下していく。図から明らかなように本実施形態においては、レイヤ0とレイヤ1の再生時では、共通の目標速度Cを設定できない半径が内周側に存在し、外周から内周に向かうレイヤ1の速度Cの方がレイヤ0の速度Cより速くなっている。
目標速度Cを下限速度Cmin,としたとき、特にレイヤ1において本実施形態は特徴的で優れた目標速度Cを与える。最外周から内周に向かうCminのカーブは、内周ほど回転速度が上がり、また線速度も上昇している。ディスク自体の一般的性質として外周ほどディスクの面外方向の変位が大きい。このため外周において線速度が低いということは、光ヘッドのフォーカス方向の追従能力を過大な値に設定しなくて済む効果がある。また、内周領域においてはレイヤ0の最内周の回転速度と等しい回転速度一定となっている。光ディスクの偏心加速度は一般に半径に依存せず回転速度に依存するので、回転速度を上げていないことは本実施形態の適用によってトラック方向の追従能力を上げずに済むことを示している。光ディスク装置の騒音はディスク回転速度によるところが大きいため、騒音も上昇せずに済む。
なお目標速度Cの設定方法として、図20の領域から図22に示すように簡略化したカーブも設定できる。これはレイヤ0の内周は3倍速の線速度一定カーブAとし、レイヤ1の内周側はCminの回転速度一定部分のカーブD、レイヤ1の外周側はレイヤ1でCminの線速度比が最大となる値での線速度一定カーブC、レイヤ0の外周はカーブCの最外周での回転速度となる回転速度一定カーブB、以上4つのカーブA、B、C、Dとなる線としたものである。このように、従来の線速度一定制御、回転速度一定制御を半径によって切り替える速度目標を設定でき、制御系を簡略化することもできる。このように目標速度は簡略化したカーブも設定できる。
このような光ディスク装置では操作部から与えられた情報に基づきジャンプする場合、少なくとも2種類のジャンプをする。これは、例えば映画を途中から再生したいとか、部分的に飛ばして見たい、戻して見たいといった場合に発生する非シームレスジャンプと、マルチシーンなど再生時に必要なシームレスジャンプである。
まず、最初は非シームレスジャンプで再生を開始する。この場合、ディスク速度、即ちスピンドルモータ回転速度(回転速度)、またはディスク線速度が目標速度Cになった時点で、トラックバッファメモリ221からのデータ取り出しが開始され、ディマルチプレクサを得て、デコーダ64,65,66でのデコード、出力端子からの出力が始まる。
その後、シームレスジャンプを行う場合は、ディスク速度にかかわらず、トラックバッファメモリ221からのデータ取り出しは継続される。なお、DVD−ROMドライブのようにデコードを光ディスク装置が接続されたホストコンピュータで行う装置の場合は、非シームレスジャンプの場合は、ディスク速度が目標速度Cになった時点で、データがドライブインターフェースを通じてホストコンピュータに送出される。非シームレスジャンプは、目標速度に上昇する前の速度が低い状態でデコードが開始され、デコーダーの要求するデータレートを維持できなくなったり、逆に目標速度に減速する前にデコードが開始され、直後にシームレスジャンプをし上限読取り速度LinBminを超えてしまい、読み取りエラーを起こし、やはりデータレートを維持できなくなってしまう、という現象を防ぐためにある。
前述の目標速度Cの下限Cmin、および上限Cmaxの算出方法の説明から分かるように、Smaxは重要な値である。消費電力、騒音の観点からも、スピンドルモータはできるだけ低速で回転させたい。Smaxの値は、規格で上限を決めることが必要であるが、実際のディスクでは、マルチシーン(多重化部分)がない、即ちSmaxが0だったり、規格上限より、最大のジャンプ距離(間欠間隔)が短い場合もありうる。その場合にもSmaxを規格上限値と仮定して目標速度Cを定め、スピンドルモータを回転させるのは無駄である。そこで、光ディスク内の例えば、図2の制御データ814内の物理フォーマット情報内に、そのディスクに含まれる情報のSmaxを記述した光ディスクを製造し、光ディスク装置では、その光ディスクからSmax情報を読み取り、目標速度Cを設定するとよい。あるいは、光ディスクに記録された時系列データの属性情報として、例えばビデオマネージャ(VMG)内に、個々のビデオタイトルセット(VTS)のSmax情報を記録してもよい。本実施形態の光ディスク再生装置では、光ディスクからこれらの値を読むことにより、同じ光ディスク内でも、属性情報に応じて最適な目標速度Cを設定でき、騒音、消費電力が低減できる。
また、デコーダを持たない光ディスクドライブ装置においては、接続先のホストコンピュータが時系列データの属性情報からSmaxの値を取り出し、インターフェースを通じて光ディスクドライブ装置に情報を与えることによって同様の動作が可能になる。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、インターリーブドユニットの大きさの条件として、そのインターリーブドユニットの実際の再生時間(ディスクからの読み取りに要する時間+ジャンプ時間)が、ある所定時間以上であるという条件を追加することにより、ジャンプ直後の読出しレートが所定レート以下にならないようディスクモータの回転数を設定している再生装置において、短い間隔でのジャンプが発生することによってデコーダに供給されるデータが不足する事態を防ぐことができ、安定した再生が可能となる。
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態ではシームレス再生中のジャンプ方向を正方向のみとしていたが、本実施形態では負の方向のジャンプも許すようにした。図23、図24は、本実施形態を適用した光ディスク装置の目標ディスク回転速度の範囲を示すものである。第1の実施形態では、レイヤ0では内周から外周のジャンプ、レイヤ1では外周から内周へのジャンプしか発生していなかったが、本実施形態ではどちらのレイヤでも双方向にジャンプしなければならない。図20では、レイヤ0の下限速度が、レイヤ1の上限速度を上回っている半径領域があったので、その領域では双方向にジャンプできる目標速度Cを設定できなかった。
そこで、本実施形態では、このような領域をなくすため、上限読出し速度LinBmaxを4.3倍速として計算した。図23、図24から分かるように重なった領域が無くなり、どの半径でも、内周方向と外周方向のジャンプにおける下限速度と上限速度の間の領域が存在し、目標速度Cが設定できることがわかる。3倍速での読み取りを保障するのに、約1.4倍の速度で読めるようにすればよいことになる。CAV方式のディスクとした場合は、最外周で最内周の約7.5倍もの線速度での読み取りをしなければならないのに対し、本実施形態では大幅に最高線速度を低下できるという利点がある。また、本実施形態においても、スピンドルモータの最高回転速度を3倍速のCLV方式に比較して上げる必要はない。
なお、上限線速度をさらに若干上げ約4.5倍とすると、全半径における上限線速度の最低値が、下限線速度を下まわらなくなり、ディスク全域を約3.65倍速の線速度一定で動作させることができるようになる。
下限読出し速度LinAmin以上でディスクを線速度一定で動作させることは、各種マージンを持たせるためと称し従来のDVDプレーヤでも行われていたが、その理由は明確にはされていない。また、保証はできないものの、読めるのなら回転速度一定で読み出すこともDVD−ROMでは行われている。
従来のDVD−Videoでは、シームレス再生中のジャンプ中にスピンドルモーターの回転速度変化が完了する装置を想定しているが、本発明では、その制限を外している。したがって、AccDiskやSmaxの値によっては、本発明によって定めたスピンドルモーターの回転速度は、従来と同じ結果、すなわち従来のCLV方式と変わらない場合もある。また、上限速度LinBmaxの値が十分に大きく設定できる場合には、従来DVD−Videoディスクを高速のDVD−ROMドライブで再生した場合と同様にCAV方式が可能になり、スピンドルモーターの回転速度をしなくて済むようになる。従来の制限を緩和した方式となっているので、このように得られる結果は、条件によっては従来と同じ動作になる。本発明では、単なるCLV方式、CAV方式とは違う結果が得られることに特徴がある。例えば、単なるCLV方式に見えても、Smaxの値によって線速度を変化させることができる。また、2層以上の光ディスクの場合に全層共通に線速度一定となるように設定できる場合であっても、線速度一定ではないよう速度Cを定められる。例えば、シームレス再生中に外周から内周に向かってジャンプする場合があるディスク(またはディスクの層)を再生するとき、最内周付近の領域ではほぼ角速度一定で動作し、それより外部では線速度が外周に向かうほど低下するように動作できる。
シームレス再生中のジャンプ中にスピンドルモータの回転速度変化が完了しない場合があるが、この場合、従来例に比べて本発明の効果が増す。加えて、本発明の方法で設定した目標速度Cの効果がより増大するのは、CAV動作が可能になる回転速度一定の目標速度が存在しないような上限速度B以下である。さらに、2層以上の光ディスクの場合に全層共通に線速度一定となるように設定できる場合であっても、線速度一定ではないよう目標速度Cを定めた場合に、より効果が増大する。例えば、シームレス再生中に外周から内周に向かってジャンプする場合があるディスク(またはディスクの層)を再生するとき、最内周付近の領域ではほぼ角速度一定で動作あるいは線速度一定で動作または両者の中間の速度で動作し、それより外部では線速度が外周に向かうほど低下する速度目標となる場合である。
また、各層共通の線速度一定の領域が存在しないような条件下では、本発明固有の目標速度Cが得られる。単層ディスクに適用する場合には、シームレス再生中に外周から内周へジャンプする場合があるときにより効果が得られる。内周から外周にジャンプするだけの場合には、Cminは単なる線速度一定となり、従来と大差はない。
上記した説明は、読み取り専用ディスクに対して説明していたが、本発明の利点は、記録可能な光ディスクに対して適用すると、さらに効果が大きい。一般に記録可能ディスクは、記録速度が変わると、記録のためのレーザパワーなどの条件を変化させていかなければならず、また記録膜の組成も記録速度の変動を考慮しなければならない。速度変動範囲が大きくなるにつれこれは難しくなる。そのため、CAV方式のように約2.5倍の線速度変動する方式はしばしば実現が困難である。本方式によれば、線速度の変動が小さいため、より実現しやすい。
図18に示した目標速度Cの設定処理のタイミングは様々なタイミングが考えられる。例えば、Smaxやデータの最外周位置が固定されている場合は、光ディスク設計時に目標速度Cを設定できる。また、光ディスク再生装置が光ディスクを再生し始めるときに、諸パラメーターを読出して設定してもよいし、再生時に随時前述の目標速度Cmax、Cminを計算して、その値を基に目標速度Cを定めても良い。随時目標速度Cを計算する方法以外の場合は、目標速度Cをなんらかの形でドライブ内に記憶する必要があるが、その方法もさまざまな方法が存在する。例えば、前述の回転速度一定カーブと線速度一定カーブの組み合わせで表現し、動作時にそのカーブを選択するプログラムとしてもよいし、半径と目標速度の関係を十分細かい半径間隔で表した表として保管してもよい。
さらに、目標は回転速度として設定したが、制御は回転速度ではなく、読出し線速度に換算して制御を行っても良い。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1001…光ディスク、30…マイクロコンピュータブロック、32…情報記録再生部、35…ディスクドライブ、36…データプロセッサ、37…一時記憶部、50…エンコーダ部、60…デコーダ部。