JP2006046708A - 蒸気調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 予熱終了後の再スタート時に加熱室の扉が自然に開くことがない。
【解決手段】 予熱終了後の再スタート開始時に、送風ファンの回転数を加熱調理モード時の定常回転数よりも低い所定回転数に設定する。こうして、天井蒸気吹出口から吹き出された過熱蒸気が、低温領域上を水平方向に広がって、扉の上側を水平方向に押す力を弱くする。そうすることによって、上記扉が内側からの力によって自然に開くことを防止する。
【選択図】図5

Description

この発明は、蒸気調理器に関する。
従来、蒸気を用いて食品などの被加熱物の加熱調理を行う蒸気調理器として、オーブン庫内に過熱蒸気を送り込むものがある(特開平8‐49854号公報(特許文献1)参照)。この蒸気調理器は、ポット内に垂直平面に沿ってヒータを設けて蒸気を発生させる蒸気発生装置と、その蒸気発生装置により発生させた蒸気を加熱することにより過熱蒸気を生成する蒸気過熱器とを備え、蒸気過熱器で生成された過熱蒸気を循環風路によってオーブン庫内に送り込んで食品を調理する。
ここで、上記特許文献1では、上記蒸気過熱器をオーブン庫の横に、上記オーブン庫に隣接して設けているが、上記オーブン庫上に直接載置している場合がある。図6は、上記オーブン庫上に上記蒸気過熱器を直接搭載した蒸気調理器の概略を示す。図6(a)に示すように、蒸気過熱器201は、オーブン庫202の上に設けられており、オーブン庫202の天板202aにおける蒸気過熱器201の領域には、天井蒸気吹出口203が形成されている。また、蒸気過熱器201内には、ヒータ204が設けられている。そして、蒸気発生装置(図示せず)から蒸気過熱器201に供給された蒸気はヒータ204によって加熱されて過熱蒸気となり、天井蒸気吹出口203からオーブン庫202内に吹き出されるようになっている。その場合、上記蒸気発生装置と蒸気過熱器201とオーブン庫202とは送風ファン(図示せず)を含む外部循環路(図示せず)によって環状に連結されている。
また、オーブン庫202の前面には、扉205が取り付けられており、把手を引くと下端部を支点として開くようになっている。この場合、オーブン庫202内は蒸気によって圧力が掛かるので、扉205は引いた場合に開くようにしている。ところで、業務用の調理装置では扉にロック機構を設けて、単に引っ張っただけでは開かないようにしているものもある。ところが、その場合には、上記外部循環路が何かの原因で詰まった場合には、上記蒸気発生装置,蒸気過熱器201,オーブン庫202および上記外部循環路の蒸気圧が高まるため、蒸気圧が所定圧以上になった場合には蒸気を逃がす安全装置が無い場合には破損や爆発が起こる危険性がある。
ところが、家庭用の蒸気調理器の場合には、上述のような安全装置を設けるとコストが上がるために、扉205には上述のようなロック機構を設けず、上記外部循環路が詰まってオーブン庫202内の圧力が所定圧以上になると、扉205が自然に開くようにしている。その場合には、扉205が開いて蒸気圧が低下すると、自動的に調理動作が止まるようになっており、特に危険な状態にはならないのである。
しかしながら、上記従来の蒸気過熱器201をオーブン庫202の上に設けた蒸気調理器においては、以下のような問題がある。
すなわち、通常、上述のような蒸気調理器においては、過熱蒸気による食品の調理を実行する前に、蒸気を供給しないでオーブン庫202内の温度を予め200℃程度まで予熱を行う(予熱モード)ようにしている。この予熱モードの場合は、上記蒸気発生装置のヒータはオフされており、蒸気は発生しない。したがって、上記送風ファンを回転させることによって、図6(a)に示すように、蒸気過熱器201のヒータ204によって加熱された空気が、天井蒸気吹出口203からオーブン庫202内の下方に向かって吹き出される。こうして、オーブン庫202内において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する対流が生じる。そして、対流する空気は、順次吸込口(図示せず)に吸い込まれて、上記外部循環路に戻るという循環を繰り返すのである。
そして、オーブン庫202内の温度が予め設定された温度(例えば、200℃)に達すると予熱終了を使用者に告知し、使用者が扉205を開けて食品を入れて扉205を閉めると、再スタートして加熱調理モードに移行する。ところが、その場合、再スタートすると扉205が自然に開くと言う問題が発生する。
このような再スタート時に扉205が開くという現象の原因は、以下のように推測される。すなわち、上記予熱時は、オーブン庫202内の温度と吹き出す空気の温度とがあまり差が無く、図6(a)に示すように、天井蒸気吹出口203から吹き出した空気がオーブン庫202の底に当たると扉205に向かって前進し、扉205に当たると扉205に沿って上昇する。その場合、扉205を開けようとする力は矢印(A)のごとく扉205の支点近傍に作用する。したがって、その力は弱く、扉205は開かない。こうして、徐々にオーブン庫202内の空気温度が上がって行くが、その間上述のようにオーブン庫202内で空気が巡回していため、扉205を開けようとする力は扉205の支点近傍に作用するので弱い。
こうして、予熱が終了した場合には、図6(b)に示すように、オーブン庫202内の空気温度が均一に200℃程度になり、オーブン庫202内全体が高温領域となっている。ここで、使用者が、食品を入れるために扉205を開くと、図6(c)に示すように、オーブン庫202内に下の方から冷たい(室温)空気が入っていき、高温の空気が上方に押し上げられる。そして、この状態で扉205が閉められると、図6(d)に示すように、オーブン庫202内には、上側の高温領域と下側の低温領域とが形成されることになる。
この状態で再スタートすると、今度は、上記蒸気発生装置のヒータがオンされて、蒸気過熱器201に蒸気が供給される。したがって、上記送風ファンを回転させることによって、図6(e)に示すように、蒸気過熱器201のヒータ204によって加熱された蒸気が過熱蒸気となって、天井蒸気吹出口203からオーブン庫202内の下方に向かって吹き出されることなる。
ところが、オーブン庫202の下側の低温領域には冷たく重い空気があるため、吹き出した暖かく軽い過熱蒸気には浮力が作用して下側には行けず、低温領域上を水平方向に広がって扉205に当たる。その結果、再スタート時には、扉205を開けようとする力は矢印(B)のごとく扉205の上の方に作用する。したがって、仮に扉205を開けようとする力の絶対値が予熱の場合と同じであるとしても、回転トルクが大きくなる。さらに、吹き出した過熱蒸気は流速が早いうちに水平方向に広がるため、扉205を開けようとする力の絶対値は、予熱の場合よりも大きくなる。その結果、再スタート時には、扉205に内側から大きな力が作用して、扉205が開くと考えられる。
勿論、上述のように、使用者が食品を入れるために扉205を開いた際にオーブン庫202内に流入した冷たい(室温)空気が、再スタート時に吹き出した過熱蒸気によって加熱されて体積が膨張することも、重要な要因となっている。
特開平8‐49854号公報
そこで、この発明の課題は、予熱終了後の再スタート時に加熱室の扉が自然に開くことがない蒸気調理器を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の蒸気調理器は、
蒸気を発生する蒸気発生装置と、
上記蒸気発生装置で発生された蒸気あるいは空気を昇温する昇温装置と、
開口部を有すると共に、上記昇温装置から供給される蒸気によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
上記加熱室の開口部を塞ぐように配置されると共に、一端側の辺を中心に反加熱室側に向かって回動して上記加熱室の開口部を開く一方、上記辺を中心に加熱室側に向かって回動して上記加熱室の開口部を閉鎖する扉と、
上記蒸気発生装置と上記昇温装置と上記加熱室とを介して蒸気が循環する循環経路と、
上記循環経路に設けられた循環ファンと、
上記循環ファンの回転数を制御する制御装置と
を備えて、
上記制御装置は、
上記昇温装置によって昇温された空気を上記循環経路を介して上記加熱室に供給して、上記加熱室内を予熱する予熱時には、上記循環ファンの回転数を予熱時の定常回転数に制御し、
上記加熱室内の予熱が終了して上記扉が開閉された後、上記昇温装置によって昇温された蒸気を上記循環経路を介して上記加熱室に供給し始める再スタート時には、上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数よりも低い所定回転数に制御し、
上記再スタートから所定時間が経過した後は、上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数に制御する
ようになっていることを特徴としている。
上記構成によれば、上記加熱室内の予熱が終了し、上記扉が開閉されて被加熱物が上記加熱室内に入れられて、再スタートする際には、循環経路に設けられた循環ファンの回転数が、加熱調理時の定常回転数よりも低い所定回転数に制御される。こうして、上記循環ファンの回転によって上記昇温室から上記加熱室に吹き出された蒸気が、上記扉が開閉された際に外部から上記加熱室内に侵入した低温(室温)の重い空気による反発によって上記扉を内側から押す力が弱められる。したがって、上記再スタート時に上記扉が自然に開くことを防止できる。
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記昇温装置は、上記加熱室上に載置されて上記加熱室の天井パネルに設けられた蒸気吹出口を介して蒸気を供給するようになっており、
上記扉は、下端側の辺を中心に回動して上記加熱室の開口部を開閉するようになっている。
通常、上記加熱室内の予熱が終了し、上記扉が開閉されて被加熱物が上記加熱室内に入れられた場合には、上記加熱室内に下の方から低温の空気が進入するために上記加熱室内には上側の高温領域と下側の低温領域とが形成される。そして、この実施の形態においては、上記昇温装置からの蒸気は上記加熱室内に天井から下向きに供給される。そのため、吹き出した暖かく軽い蒸気には下側の低温領域の冷たく重い空気による浮力が作用して低温領域上を水平方向に広がって上記扉の上側(反回動中心側)に当たることになり、扉はより開き易い状態となる。
このような場合であっても、上記循環ファンの回転数が加熱調理時の定常回転数よりも低い所定回転数に制御されることによって、上記扉を内側から押す力が弱められて自然に開くことが防止される。
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記制御装置は、
上記再スタートから所定時間が経過して上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数に制御する場合には、上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで徐々に変化させるようになっている。
この実施の形態によれば、上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数に徐々に変化させることによって、低温の空気と高温の蒸気との撹拌が進むに連れて吹き出し速度が早くなるので好ましい。
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記循環ファンの回転数を上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで変化させる際の変化率は一定である。
この実施の形態によれば、上記循環ファンの回転数の変化率は一定であるため、上記回転数の制御が簡単である。
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記循環ファンの回転数を上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで変化させる際の変化率は徐々に大きくなる。
この実施の形態によれば、上記加熱室内における低温の空気と高温の蒸気との撹拌が十分でない再スタート直後における蒸気の吹き出し速度が低速であるため、更に好ましい。
以上より明らかなように、この発明の蒸気調理器は、予熱が終了し、扉が開閉されて、再スタートする際に、循環経路に設けられた循環ファンの回転数を、加熱調理時の定常回転数よりも低い所定回転数に制御するので、上記昇温室から上記加熱室に吹き出された蒸気が、上記加熱室内に侵入した低温(室温)の重い空気による反発によって上記扉を内側から押す力を、弱めることができる。したがって、上記再スタート時に上記扉が自然に開くことを防止でき、エネルギーのロスや、調理時間の延長や、調理動作の停止を防止することができる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本実施の形態の蒸気調理器における外観斜視図である。本蒸気調理器1は、直方体形状のキャビネット10の正面の上部に操作パネル11を設け、キャビネット10の正面における操作パネル11の下側には、下端側の辺を中心に回動する扉12を設けて概略構成されている。そして、扉12の上部にはハンドル13が設けられ、扉12には耐熱ガラス製の窓14が嵌め込まれている。
図2は、蒸気調理器1の扉12を開いた状態の外観斜視図である。キャビネット10内に、直方体形状の加熱室20が設けられている。加熱室20は、扉12に面する正面側に開口部20aを有し、加熱室20の側面,底面および天面がステンレス鋼板で形成されている。また、扉12は、加熱室20に面する側がステンレス鋼板で形成されている。加熱室20の周囲および扉12の内側に断熱材(図示せず)が載置されており、加熱室20内と外部とが断熱されている。
また、加熱室20の底面には、ステンレス製の受皿21が設置され、受皿21上には、被加熱物を載置するためのステンレス鋼線製のラック24(図3参照)が設置される。さらに、加熱室20の両側面下部には、略水平に延在する略長方形の側面蒸気吹出口22(図2では一方のみが見えている)が設けられている。
図3は、蒸気調理器1の基本構成を示す概略構成図である。図3に示すように、本蒸気調理器1は、加熱室20と、蒸気用の水を貯める水タンク30と、水タンク30から供給された水を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生装置40と、蒸気発生装置40からの蒸気を加熱する上記昇温装置としての蒸気昇温装置50と、蒸気発生装置40や蒸気昇温装置50等の動作を制御する制御装置80とを備えている。
加熱室20内に設置された受皿21上には格子状のラック24が載置され、そのラック24の略中央に被加熱物90が置かれる。
また、水タンク30の下側に設けられた接続部30aは、第1給水パイプ31の一端に設けられた漏斗形状の受入口31aに接続可能になっている。そして、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる第2給水パイプ32の端部にはポンプ35の吸込側が接続され、そのポンプ35の吐出側には第3給水パイプ33の一端が接続されている。さらに、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる水位センサ用パイプ38の上端には、水タンク用水位センサ36が配設されている。さらに、第1給水パイプ31から分岐して上方に延びる大気開放用パイプ37の上端には、後述する排気ダクト65に接続されている。
そして、第3給水パイプ33は、垂直に配置された部分から略水平に屈曲するL字形状をしており、第3給水パイプ33の他端には補助タンク39が接続されている。さらに、補助タンク39の下端には第4給水パイプ34の一端が接続され、その第4給水パイプ34の他端には蒸気発生装置40の下端が接続されている。また、上記蒸気発生装置40における第4給水パイプ34の接続点よりも下側には、排水バルブ70の一端が接続されている。そして、排水バルブ70の他端には排水パイプ71の一端が接続され、排水パイプ71の他端には排水タンク72が接続されている。尚、補助タンク39の上部は、大気開放用パイプ37と排気ダクト65を介して大気に連通されている。
水タンク30が第1給水パイプ31の受入口31aに接続されると、水タンク30内の水は、水タンク30と同水位になるまで大気開放用パイプ37内に上昇する。その際に、水タンク用水位センサ36につながる水位センサ用パイプ38は先端が密閉されているため水位は上がらないが、水タンク30の水位に応じて水位センサ用パイプ38の密閉された空間の圧力は大気圧から上昇する。この圧力変化を、水タンク用水位センサ36内の圧力検出素子(図示せず)で検出することによって、水タンク30内の水位が検出されるようになっている。ポンプ35が静止中である際の水位測定では、大気開放用パイプ37は不要であるが、ポンプ35の吸引圧力が直接上記圧力検出素子に働いて水タンク30の水位検出の精度が低下するのを防止するために、開放端を有する大気開放用パイプ37を設けている。
また、蒸気発生装置40は、下側に第4給水パイプ34の他端が接続されたポット41と、ポット41内の底面近傍に配置された蒸気発生ヒータ42と、ポット41内の蒸気発生ヒータ42の上側近傍に配置された水位センサ43と、ポット41の上側に取り付けられた蒸気吸引エジェクタ44とを有している。また、加熱室20の側面上部に設けられた吸込口25の外側には、ファンケーシング26を配置している。そして、ファンケーシング26に設置された上記循環ファンとしての送風ファン28によって、加熱室20内の蒸気は、吸込口25から吸い込まれて、第1パイプ61および第2パイプ62を介して蒸気発生装置40の蒸気吸引エジェクタ44の入口側に送り込まれる。第1パイプ61は、略水平に配置されており、一端がファンケーシング26に接続されている。また、第2パイプ62は、略垂直に配置されており、一端が第1パイプ61の他端に接続される一方、他端が蒸気吸引エジェクタ44のインナーノズル45の入口側に接続されている。
蒸気吸引エジェクタ44は、インナーノズル45の外側を包み込むアウターノズル46を備えており、インナーノズル45の吐出側がポット41の内部空間と連通するようになっている。そして、蒸気吸引エジェクタ44のアウターノズル46の吐出側には第3パイプ63の一端が接続され、その第3パイプ63の他端には蒸気昇温装置50が接続されている。
ファンケーシング26,第1パイプ61,第2パイプ62,蒸気吸引エジェクタ44,第3パイプ63および蒸気昇温装置50で外部循環路60を形成している。また、加熱室20の側面の下側に設けられた放出口27には放出通路64の一端が接続され、放出通路64の他端には排気ダクト65の一端が接続されている。さらに、排気ダクト65の他端には排気口66が設けられている。また、蒸気放出通路64の排気ダクト65側には、ラジエータ69が外嵌して取り付けられている。そして、外部循環路60を形成する第1パイプ61,第2パイプ62との接続部には、排気通路67を介して排気ダクト65が接続されている。さらに、排気通路67における第1,第2パイプ61,62の接続側には、排気通路67を開閉するダンパ68が配置されている。
また、蒸気昇温装置50は、加熱室20の天井側であって且つ略中央に、開口を下側にして配置された皿型ケース51と、この皿型ケース51内に配置された第1蒸気加熱ヒータ52と、皿型ケース51内に配置された第2蒸気加熱ヒータ53とを有している。皿型ケース51の底面は、加熱室20の天井面に設けられた金属製の天井パネル54で形成されている。天井パネル54には、複数の天井蒸気吹出口55が形成されている。ここで、天井パネル54は、上下両面が塗装等によって暗色に仕上げられている。尚、使用を重ねることにより暗色に変色する金属素材や暗色のセラミック成型品によって、天井パネル54を形成してもよい。
さらに、蒸気昇温装置50は、加熱室20の上部に、左右両側に向かって延在する上記過熱蒸気供給路としての蒸気供給通路23(図3においては一方のみが見えている)の一端が夫々接続されている。そして、蒸気供給通路23は加熱室20の両側面に沿って下方向かって延在しており、その他端には、加熱室20の両側面下側に設けられた側面蒸気吹出口22に接続されている。
次に、本蒸気調理器1の制御系について説明する。
制御装置80は、マイクロコンピュータおよび入出力回路等から構成され、図4に示すように、送風ファン28と、第1蒸気加熱ヒータ52と、第2蒸気加熱ヒータ53と、ダンパ68と、排水バルブ70と、蒸気発生ヒータ42と、操作パネル11と、水タンク用水位センサ36と、水位センサ43と、加熱室20(図3に示す)内の温度を検出する温度センサ81と、加熱室20内の湿度を検出する湿度センサ82と、ポンプ35とが、接続されている。そして、水タンク用水位センサ36,水位センサ43,温度センサ81および湿度センサ82からの検出信号に基づいて、送風ファン28, 第1蒸気加熱ヒータ52,第2蒸気加熱ヒータ53,ダンパ68,排水バルブ70,蒸気発生ヒータ42,操作パネル11およびポンプ35を所定のプログラムに従って制御する。
以下、上記構成を有する蒸気調理器1の動作について、図3および図4に従って説明する。操作パネル11の電源スイッチ(図示せず)が押圧されると電源がオンし、操作パネル11の操作によって加熱調理の運転が開始される。そうすると、先ず、制御装置80は、排水バルブ70を閉鎖し、ダンパ68によって排気通路67を閉じた状態でポンプ35の運転を開始する。そして、ポンプ35によって、水タンク30から蒸気発生装置40のポット41内に第1〜第4給水パイプ31〜34を介して給水される。その後、ポット41内の水位が所定水位に達したことを水位センサ43が検出すると、ポンプ35を停止して給水を止める。
次に、蒸気発生ヒータ42に通電し、ポット41内に溜まった所定量の水を蒸気発生ヒータ42によって加熱する。
そして、蒸気発生ヒータ42の通電と同時に、あるいは、ポット41内の水の温度が所定温度に達すると、送風ファン28をオンすると共に、蒸気昇温装置50の第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53に通電する。そうすると、送風ファン28は、加熱室20内の空気(蒸気を含む)を吸込口25から吸い込み、外部循環路60に空気(蒸気を含む)を送り出す。その際に、送風ファン28に遠心ファンを用いているので、プロペラファンを用いる場合に比べて高圧を発生させることができる。さらに、送風ファン28に用いる遠心ファンを直流モータで高速回転させることによって、循環気流の流速を極めて速くすることができる。
次に、蒸気発生装置40のポット41内の水が沸騰すると飽和蒸気が発生し、発生した飽和蒸気は蒸気吸引エジェクタ44の箇所で外部循環路60を通る循環気流に合流する。そして、蒸気吸引エジェクタ44から出た蒸気は、第3パイプ63を介して高速で蒸気昇温装置50に流入する。
そして、蒸気昇温装置50に流入した蒸気は、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53によって加熱されて、略300℃(調理内容により異なる)の過熱蒸気となる。この過熱蒸気の一部は、下側の天井パネル54に設けられた複数の天井蒸気吹出口55から加熱室20内の下方に向かって噴出される。また、過熱蒸気の他の一部は、蒸気昇温装置50の左右両側に設けられた蒸気供給通路23を介して、加熱室20の両側面の側面蒸気吹出口22から噴出される。
こうして、加熱室20の天井側から噴出した過熱蒸気が中央の被加熱物90側に向かって勢いよく供給されると共に、加熱室20の左右の側面側から噴出した過熱蒸気は、受皿21に衝突した後、被加熱物90の下方から被加熱物90を包むように上昇しながら供給される。その結果、加熱室20内において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇するという形の対流が生じる。そして、対流する蒸気は、順次吸込口25に吸い込まれて、外部循環路60を通って再び加熱室20内に戻るという循環を繰り返す。
このようにして、加熱室20内で過熱蒸気の対流を形成することにより、加熱室20内の温度・湿度分布を均一に維持しつつ、蒸気昇温装置50からの過熱蒸気を天井蒸気吹出口55と側面吹出口22とから噴出して、ラック24上に載置された被加熱物90に効率よく衝突させることが可能になる。こうして、過熱蒸気の衝突によって被加熱物90を加熱する。その場合、被加熱物90の表面に接触した過熱蒸気は、被加熱物90の表面で結露する際に潜熱を放出することによっても被加熱物90を加熱する。これにより、過熱蒸気の大量の熱を確実に且つ速やかに被加熱物90全面に均等に与えることができる。したがって、斑がなくて仕上がりのよい加熱調理を実現することができるのである。
また、上記加熱調理運転時において、時間が経過すると、加熱室20内の蒸気量が増加し、量的に余剰となった分の蒸気は、放出口27から放出通路64および排気ダクト65を介して排気口66から外部に放出される。その際に、放出通路64に設けたラジエータ69によって放出通路64を通過する蒸気を冷却して結露させることにより、外部に蒸気がそのまま放出されるのを防止している。尚、ラジエータ69によって放出通路64内で結露した水は、放出通路64内を流れ落ちて受皿21に導かれ、調理によって発生した水と共に調理終了後に処理される。
調理終了後、上記制御装置80によって操作パネル11に調理終了のメッセージが表示され、さらに操作パネル11に設けられたブザー(図示せず)によって合図の音を鳴らす。これらのメッセージやブザーによって調理終了を知った使用者が扉12を開けると、制御装置80は、センサ(図示せず)によって扉12が開いたことを検知して、排気通路67のダンパ68を瞬時に開く。そうすると、外部循環路60の第1パイプ61が排気通路67を介して排気ダクト65に連通し、加熱室20内の蒸気は、送風ファン28によって、吸込口25,第1パイプ61,排気通路67および排気ダクト65を介して排気口66から排出される。このダンパ動作は、調理中に使用者が扉12を開いても同様に機能する。したがって、使用者は、蒸気にさらされることなく、安全に被加熱物90を加熱室20内から取り出すことができるのである。
ところで、上述したように、上記制御装置80は、送風ファン28,蒸気発生ヒータ42および第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53を所定のプログラムに従って制御するのであるが、以下、その場合における蒸気発生ヒータ42および第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53のオン・オフ制御と送風ファン28の回転数制御とについて説明する。
図5は、蒸気調理器1による予熱モードの開始から加熱調理モード終了までの加熱時間と、加熱室20内温度,扉12の開閉状態,蒸気発生ヒータ42の電力,第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53の電力および送風ファン28の回転数との関係を示す。ここで、加熱室20内温度は、加熱室20の中心(上下左右の中心)における温度である。
図5において、操作パネル11の操作によって予熱モードが開始されると、時点aにおいて、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53に所定電力が供給されると共に、送風ファン28の回転数が予熱時の定常回転数に制御される。そうすると、蒸気発生ヒータ42には電力が供給されていないので蒸気発生装置40から蒸気昇温装置50に蒸気が供給されず、図6(a)に示すように、加熱室20内において、中央部では吹き下ろし、その外側では上昇する空気の対流が生じる。こうして、加熱室20内温度が、例えば20℃の室温から徐々に上昇する。そして、時点bにおいて設定予熱温度に到達すると、制御装置80の制御の下に、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53がオン・オフを繰り返して加熱室20内温度を設定予熱温度に維持する。こうして、例えば、上記設定予熱温度に到達してから所定時間が経過すると、制御装置80によって操作パネル11に予熱終了のメッセージが表示される。
そうすると、時点cにおいて、使用者によって扉12が開かれて、加熱室20内に被加熱物90が置かれる。その場合、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53および送風ファン28への通電がオフされる。そして、時点dにおいて扉12が閉められると、今度は、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53に上記所定電力が供給されると同時に、蒸気発生ヒータ42に第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53とは異なる所定電力が供給される。さらに、送風ファン28への通電がオンされる。こうして、再スタートが行われて加熱調理モードに移行する。
その場合、送風ファン28の回転数は次のように制御される。すなわち、再スタート開始には、加熱調理モードにおける定常回転数よりも低い所定回転数に設定する。そして、再スタート開始後所定時間が経過すると、加熱調理モードにおける定常回転数に上げるのである。ここで、加熱調理モードにおける定常回転数は、予熱モード時の定常回転数であっても上記定常回転数とは異なる回転数であっても構わない。被加熱物90の大きさや素材、調理方法等に応じて適宜設定すればよい。そして、送風ファン28の回転数が加熱調理モードにおける定常回転数になってから所定時間が経過した時点fにおいて、送風ファン28,蒸気発生ヒータ42および第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53への通電がオフされて、加熱調理が終了する。
上述したように、本実施の形態においては、再スタート開始には、送風ファン28の回転数を加熱調理モード時の定常回転数よりも低い所定回転数に設定するようにしている。このように、送風ファン28の回転数を下げることによって、図6(e)に示すように、天井蒸気吹出口55から吹き出された過熱蒸気が、低温領域上を水平方向に広がって扉12の上側を水平方向に押す力を弱くするのである。こうすることによって、扉12が内側からの力によって自然に開いてしまうことを防止し、エネルギーのロスや、調理時間の延長や、予め設定されて調理条件を逸脱して調理動作が停止してしまうことを防止できる。
上述のようにして再スタートが行われた後、加熱室20内の空気と過熱蒸気とが徐々に撹拌されて加熱室20内温度が略均一になる所定時間(約30秒)後に、送風ファン28の回転数を加熱調理モード時の定常回転数にする。そして、加熱室20内温度が設定加熱温度(本実施の形態では設定予熱温度と同じ温度)に到達すると、以後、制御装置80の制御の下に、第1,第2蒸気加熱ヒータ52,53がオン・オフを繰り返して加熱室20内温度を設定加熱温度に維持するのである。尚、その間、蒸気発生ヒータ42はオン状態を維持する。
ところで、上記実施の形態においては、再スタート後所定時間が経過すると、送風ファン28の回転数を加熱調理モード時の定常回転数に一気に上げるようにしているが、図5において破線で示すように、徐々に上げるようにすれば、空気と過熱蒸気との撹拌が進むに連れて吹き出し速度が早くなるので好ましい。尚、その場合における回転数の変化は、図5において破線で示すように直線的に変化させても良いし、下向きの放物線に従って変化させても良い。
また、上記実施の形態においては、扉12の回動中心が下側にあり、蒸気昇温装置50からの過熱蒸気が加熱室20の天井から下向きに吹き出される場合を例に上げて説明しているが、扉12の回動中心の位置と加熱室20への過熱蒸気の吹き出し位置との関係は、上述の関係に限定されるものではない。但し、扉12の回動中心が下側で、加熱室20への過熱蒸気の吹き出し位置が上側である場合が、再スタート時に扉が自然に開く現象が最も顕著に現れる。
この発明の蒸気調理器における外観斜視図である。 図1に示す蒸気調理器の扉を開いた状態の外観斜視図である。 図1に示す蒸気調理器の概略構成図である。 図1に示す蒸気調理器の制御ブロック図である。 加熱室内温度,扉の開閉状態,蒸気発生ヒータの電力,蒸気加熱ヒータの電力および送風ファンの回転数と加熱時間との関係を示す図である。 予熱終了後の再スタート時に扉が自然に開く現象の説明図である。
符号の説明
1…蒸気調理器、
11…操作パネル、
12…扉、
20…加熱室、
23…蒸気供給通路、
28…送風ファン、
30…水タンク、
35…ポンプ、
40…蒸気発生装置、
42…蒸気発生ヒータ、
44…蒸気吸引エジェクタ、
50…蒸気昇温装置、
52…第1蒸気加熱ヒータ、
53…第2蒸気加熱ヒータ、
54…天井パネル、
60…外部循環路
80…制御装置、
90…被加熱物。

Claims (5)

  1. 蒸気を発生する蒸気発生装置と、
    上記蒸気発生装置で発生された蒸気あるいは空気を昇温する昇温装置と、
    開口部を有すると共に、上記昇温装置から供給される蒸気によって被加熱物を加熱するための加熱室と、
    上記加熱室の開口部を塞ぐように配置されると共に、一端側の辺を中心に反加熱室側に向かって回動して上記加熱室の開口部を開く一方、上記辺を中心に加熱室側に向かって回動して上記加熱室の開口部を閉鎖する扉と、
    上記蒸気発生装置と上記昇温装置と上記加熱室とを介して蒸気が循環する循環経路と、
    上記循環経路に設けられた循環ファンと、
    上記循環ファンの回転数を制御する制御装置と
    を備えて、
    上記制御装置は、
    上記昇温装置によって昇温された空気を上記循環経路を介して上記加熱室に供給して、上記加熱室内を予熱する予熱時には、上記循環ファンの回転数を予熱時の定常回転数に制御し、
    上記加熱室内の予熱が終了して上記扉が開閉された後、上記昇温装置によって昇温された蒸気を上記循環経路を介して上記加熱室に供給し始める再スタート時には、上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数よりも低い所定回転数に制御し、
    上記再スタートから所定時間が経過した後は、上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数に制御する
    ようになっていることを特徴とする蒸気調理器。
  2. 請求項1に記載の蒸気調理器において、
    上記昇温装置は、上記加熱室上に載置されて上記加熱室の天井パネルに設けられた蒸気吹出口を介して蒸気を供給するようになっており、
    上記扉は、下端側の辺を中心に回動して上記加熱室の開口部を開閉するようになっている
    ことを特徴とする蒸気調理器。
  3. 請求項1に記載の蒸気調理器において、
    上記制御装置は、
    上記再スタートから所定時間が経過して上記循環ファンの回転数を加熱調理時の定常回転数に制御する場合には、上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで徐々に変化させるようになっていることを特徴とする蒸気調理器。
  4. 請求項3に記載の蒸気調理器において、
    上記循環ファンの回転数を上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで変化させる際の変化率は一定であることを特徴とする蒸気調理器。
  5. 請求項3に記載の蒸気調理器において、
    上記循環ファンの回転数を上記再スタート時の所定回転数から上記加熱調理時の定常回転数まで変化させる際の変化率は徐々に大きくなることを特徴とする蒸気調理器。
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