JP2006046497A - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 Download PDF

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和久 北村
Shigeo Kamamoto
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Abstract

【課題】チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、プーリ係合用の動力伝達面を一対の端部のそれぞれに有するピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、実用上十分な耐久性を確保すること。
【解決手段】第1のピン3は、素材(線材)を引き抜き加工することにより形成されており、その周面11には、全周に亘ってファイバーフロー15が形成されている。各ファイバーフロー15は、所定方向Fに沿って直線状に延びている。第1のピン3の長手方向Lに対して所定方向Fのなす角Dが、0°〜20°の範囲に設定されている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンは、通例、複数のリンクをチェーン進行方向に並べ、チェーン進行方向に隣接するリンク同士をピンで連結してなる。ピンの一対の端部のそれぞれには動力伝達面が設けられており、動力伝達面とプーリのシーブ面との摩擦接触により、動力伝達チェーンとプーリとの間で動力の伝達が行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−312725号公報
このような動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置において、実用上十分な耐久性を確保することが要請されている。本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
本願発明者は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、プーリ係合用の動力伝達面を一対の端部のそれぞれに有するピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、ピンの周面のファイバーフローの方向を最適化することが、実用上の耐久性の向上に資するとの着想を得て、本発明を想到するに至った。
すなわち、本発明は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、プーリ係合用の動力伝達面を一対の端部のそれぞれに有するピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、上記ピンの周面のファイバーフローが所定方向に直線状に延び、且つピンの長手方向に対して上記所定方向のなす角が0°〜20°の範囲に設定されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ピンの衝撃値(シャルピー衝撃値)や疲労強度を十分に高い値にすることができる。これにより、ピンに十分な強度を持たせることができ、リンクやプーリ等から受ける衝撃に対して強く、また疲労強度も高いため、ピンに損傷が生じることを長期間に亘って防止できる。したがって、ピンの強度を十分に確保して動力伝達チェーンの実用上十分な耐久性を確保することができ、且つ動力の許容伝達容量をより高くすることができる。しかも、ピンを、十分な強度を持たせつつより薄型に形成することができ、チェーンの小型化を達成することができる。
上記ピンは、素材を引き抜き加工または圧延加工して形成されていることが好ましい。これにより、上記のファイバーフローを容易に形成することができる。
上記ピンの周面にショットピーニング加工が施されていてもよい。これにより、ピンの形成時等に生じた引張残留応力を除去すると共に圧縮残留応力を発生させることができ、ピンの疲れ強さ(繰り返し荷重に対する強さ)をより向上することができる。
また、上記ピンを第1のピンとして、第1のピンに転がり摺動接触する第2のピンを備え、上記複数のリンクは第1および第2のリンクを含み、これら各リンクは、チェーン進行方向の前後に並ぶ前貫通孔および後貫通孔をそれぞれ有し、上記第1のピンは、第1のリンクの前貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ第2のリンクの後貫通孔に圧入固定され、第2のピンは、第1のリンクの前貫通孔に圧入固定され且つ第2のリンクの後貫通孔に移動可能に嵌め入れられていることが好ましい。
これにより、例えば、第1のピンの動力伝達面がプーリのシーブ面に接触して動力を伝達する際、第2のピンがこの第1のピンに対して転がり摺動接触することにより、リンク同士の屈曲が可能とされている。この際、第1および第2のピンに関して、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、第1のピンが上記シーブ面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、本発明において、相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する上記動力伝達チェーンとを備える場合がある。この場合、高トルクを伝達することができると共に耐久性に優れ、しかもコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の動力伝達チェーンの一実施の形態に係るチェーン式無段変速機用の動力伝達チェーン(以下では、単にチェーンという)の要部の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すチェーンの要部の断面平面図である。図3は、図2のII−II線に沿う断面図である。
図1および図2を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、第1の列51、第2の列52および第3の列53と、互いに転がり摺動接触する一対のピンとしての複数の第1および第2のピン3,4とを備えている。なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
図2および図3を参照して、各リンク2は板状に形成されており、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部7および後端部8を含んでいる。これら前端部7および後端部8には、前貫通孔9および後貫通孔10がそれぞれ形成されている。
第1の列51、第2の列52および第3の列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3の列51〜53のそれぞれにおいて、同一列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。第1〜第3の列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
各第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる棒状体である。各第1のピン3の一対の端部が、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンク2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。各第1のピン3の一対の端面には、プーリのシーブ面に接触(係合)するための動力伝達面5,6がそれぞれ設けられている。各第1のピン3は、その動力伝達面5,6によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度材料で形成されている。
各第2のピン4(ストリップ、またはインターピースともいう)は、第1のピン3と同様の材料により形成されてチェーン幅方向Wに延びる棒状体であり、上記シーブ面と接触しないように、第1のピン3よりも若干短くされている。チェーン進行方向X関して、各第2のピン4は、第1のピン3よりも薄肉に形成されている。
対応する第1〜第3の列51〜53の対応するリンク2は、対応する第1および第2のピン3,4を用いて、相互に屈曲可能に連結されている。
具体的には、第1のリンクとしての第1の列51の各リンク2の前貫通孔9と、第2のリンクとしての第2の列52の各リンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第1および第2の列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
同様に、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9と、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの各貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第2および第3の列52,53のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
図2において、第1〜第3の列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3の列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つの列のリンク2同士が対応する第1および第2のピン3,4によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
図2および図3を参照して、各第1のピン3は、対応するリンク2の前貫通孔9に遊嵌されてこのリンク2に対する相対移動(回転)が可能とされると共に、対応するリンク2の後貫通孔10に圧入固定(嵌合)されてこのリンク2に対する相対回転が規制されている。
具体的には、第1のピン3は、第1の列51の各リンク2の前貫通孔9に遊嵌されて、第1の列51の各リンク2に対する相対回転が可能とされると共に、第2の列52の各リンク2の後貫通孔10に圧入固定されて、第2の列52の各リンク2に対する相対回転が規制されている。同様に、第1のピン3は、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9に遊嵌されると共に、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10に圧入固定されている。
また、各第2のピン4は、対応するリンク2の前貫通孔9に圧入固定(嵌合)されてこのリンク2に対する相対回転が規制されると共に、対応するリンク2の後貫通孔10に遊嵌されてこのリンク2に対する相対移動(回転)が可能とされている。
具体的には、第2のピン4は、第1の列51の各リンク2の前貫通孔9に圧入固定されて、第1の列51の各リンク2に対する相対回転が規制されると共に、第2の列52の各リンク2の後貫通孔10に遊嵌されて、第2の列52の各リンク2に対する相対移動(回転)が可能とされている。同様に、第2のピン4は、第2の列52の各リンク2の前貫通孔9に圧入固定されると共に、第3の列53の各リンク2の後貫通孔10に遊嵌されている。
上記の構成により、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2が相互に屈曲する際(図4参照)、対応する第1のピン3は、隣り合う第2のピン4に対して転がり摺動接触する。
また、第1のピン3を基準とした第1のピン3と対応する第2のピン4との接触線T(図4において、紙面に垂直な方向に延びる直線)の軌跡が、概ねインボリュート曲線となるようにされている。
具体的には、各第1のピン3の周面11(外周面)のうち、対応する第2のピン4と接触し得る接触部12が、断面インボリュート形状に形成されている。また、各第2のピン4の周面13(外周面)のうち、対応する第1のピン3と接触し得る接触部14が、平坦面(断面直線形状)に形成されている。
図5(A)は、第1のピン3の一部拡大正面図である。図5(A)を参照して、各第1のピン3は、素材(線材)を引き抜き加工することにより形成されており、その周面11には、全周に亘ってファイバーフロー15が形成されている。各ファイバーフロー15は、所定方向Fに沿って直線状に延びている。
本実施の形態の特徴とするところは、第1のピン3の長手方向Lに対して上記所定方向Fのなす角が、0°〜20°(0°以上20°以下)の範囲に設定されている点にある。例えば、図5(A)に示すように、第1のピン3の長手方向L(以下では、単に長手方向Lともいう)に対して所定方向Fのなす角は、0°に設定されている。すなわち、この場合、各ファイバーフロー15は、長手方向Lに沿って延びている。
なお、図5(B)に示すように、長手方向Lに対して所定方向Fのなす角Dが0°より大きくても良い(但し、角Dは20°以下)。この場合、各ファイバーフロー15は、対応する第1のピン3の周面11上において、長手方向Lに対して傾斜するように延びている。
長手方向Lに対して所定方向Fのなす角Dを20°より大きくすると、第1のピン3の衝撃値(シャルピー衝撃値)と疲労強度の低下が著しくなり、第1のピン3の強度を十分に確保し難くなるため、角Dの範囲を上記の値に設定した。また、各第1のピン3の周面11には、全周に亘ってショットピーニング加工が施されている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各第1のピン3の衝撃値(シャルピー衝撃値)や疲労強度を十分に高い値にすることができる。これにより、各第1のピン3に十分な強度を持たせることができ、対応するリンク2やプーリ等から大きな衝撃を受けても長期間、各第1のピン3に損傷が生じることを防止できる。したがって、各第1のピン3の強度を十分に確保してチェーン1の実用上十分な耐久性を確保することができ、且つ動力の許容伝達容量をより高くすることができる。しかも、各第1のピン3を、十分な強度を持たせつつより薄型に形成することができ、チェーン1の小型化を達成することができる。
また、素材を引き抜き加工して各第1のピン3を形成することで、ファイバーフロー15を容易に形成することができる。さらに、各第1のピン3の周面11にショットピーニング加工が施されているので、第1のピン3の形成時等に生じた引張残留応力を除去すると共に圧縮残留応力を発生させることができ、第1のピン3の疲れ強さ(繰り返し荷重に対する強さ)をより向上することができる。特に、各第1のピン3と対応するリンク2とが圧入嵌合する部分における第1のピン3の疲れ強さを格段に向上することができる。
また、各第1のピン3を、対応するリンク2の前貫通孔9に遊嵌すると共に対応するリンク2の後貫通孔10に圧入固定し、さらに各第2のピン4を、対応するリンク2の前貫通孔9に圧入固定すると共に対応するリンク2の後貫通孔10に遊嵌している。これにより、例えば、各第1のピン3の動力伝達面5,6がプーリのシーブ面に接触して動力を伝達する際、対応する第2のピン4がこの第1のピン3に対して転がり摺動接触することにより、リンク2同士の屈曲が可能とされている。この際、互いに接触する第1および第2のピン3,4に関して、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、各第1のピン3が上記シーブ面に対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、対応する第1および第2のピン3,4の互いの接触線Tの軌跡が、概ねインボリュート形状を描くようにされていることで、各第1のピン3が上記シーブ面に順次噛み込まれた際に、チェーン1に弦振動的な運動が生じることを抑制できる。その結果、チェーン1の駆動時の騒音を十分に低減することができ、静粛性が強く求められる自動車用無段変速機のチェーンとして好適である。
なお、各第1のピン3は、引き抜き加工または圧延加工により形成されるのが好ましいが、その他の加工法により形成されていても良い。また、ショットピーニング加工を、各第1のピン3の周面11のうち、対応するリンク2に圧入嵌合する部分にのみ施していても良い。また、各第1のピン3にショットピーニング加工を施していなくても良い。さらに、各第1のピン3をその動力伝達面5側から見た場合において、ファイバーフロー15が長手方向Lに対して右ねじれとなるように傾いていても良いし、左ねじれとなるように傾いていても良い。
また、各第2のピン4について、第1のピン3と同様にしてファイバーフローを設けても良いし、周面にショットピーニング加工を施しても良いし、引き抜き加工または圧延加工により形成しても良い。
さらに、第1および第2のピン3,4は、それぞれ対応するリンク2の対応する貫通孔9,10に圧入されていなくても良い。また、第1および第2のピン3,4の互いの接触線Tの軌跡が、インボリュート形状を描くようにされていなくても良い。さらに、第1および第2のピン3,4の両方がプーリのシーブ面に係合できる構成でも良い。また、プーリのシーブ面に係合する動力伝達面をピンの両端部に設けた動力伝達ブロックとしてもよい(動力伝達ブロックは、例えば、動力伝達面が形成された部材とピンとが別体に形成されている)。
図6は、本発明の動力伝達装置の一実施の形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図6を参照して、本実施の形態に係る無段変速機は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状のチェーン1とを備えている。なお、図6中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図7は、図6に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図6および図7を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含む。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図7の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより溝幅を変化させ、それにより、入力軸61の径方向(図7の上下方向)にチェーン1を移動させて入力軸61に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を変化できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面72a,73aをそれぞれ有する固定シーブ72および可動シーブ73を備えている。ドリブンプーリ70の可動シーブ73には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ73を移動させることにより溝幅を変化させ、それによりチェーン1を移動させて出力軸71に対するチェーン1の巻き掛け半径(有効半径)を変化できるようにしてある。
上記のように構成された本実施の形態に係る無段変速機では、例えば、以下のようにして無段階の変速を行うことができる。すなわち、出力軸71の回転を減速する場合、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって拡大させ、チェーン1の第1のピン3の両端の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面62a,63aの内側方向(図7の下方向)に向けて境界潤滑(接触面内の一部が微小突起の直接接触で、残部が潤滑油膜を介して接触する潤滑状態)条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を小さくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を縮小させ、チェーン1の第1のピン3の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面72a,73aの外側方向(図7の上方向)に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を大きくする。
逆に、出力軸71の回転を増速する場合には、ドライブプーリ60の溝幅を可動シーブ63の移動によって縮小させ、チェーン1の第1のピン3の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面62a,63aの外側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触しながらチェーン1の入力軸61に対する巻き掛け半径を大きくする。一方、ドリブンプーリ70では、可動シーブ73の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1の第1のピン3の動力伝達面5,6を円錐面状のシーブ面72a,73aの内側方向に向けて境界潤滑条件下ですべり接触させながらチェーン1の出力軸71に対する巻き掛け半径を小さくする。
以上の次第で、本実施の形態によれば、高トルクを伝達することができると共に耐久性に優れ、しかもコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
なお、本発明の動力伝達装置は、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。また、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
上記の第1のピンに関する下記の試験例および比較例を作製した。
試験例は、SUJ2(軸受用鋼)製であり、引き抜き加工により形成されている。試験例の周面のファイバーフローは長手方向に沿って直線状に延びている。
比較例は、SKD11(合金工具鋼)製であり、放電加工により形成されている。比較例の周面のファイバーフローの状態は、特に方向性を持たないものとなっている。
なお、SUJ2とSKD11とは、線材、板材の入手性の点から選択した材料であるが、両者の熱処理後の硬度は共にHRC60とされている。したがって、両者は、概ね同等の強度であり、試験例と比較例との関係において、材料の違いが後述の試験結果に実質的な影響を与えるものではないと考えられる。
上記の試験例および比較例を用い、曲げ試験(3点曲げ試験)および疲労試験を実施した。
曲げ試験
図8に示すように、試験台の上に軸受用ころ(直径7mm、長さ7mm)を2個平行に並べて置き、その上に試験例を載せた。ここで、試験例と対応する軸受用ころとの接触点間の距離(支持スパン)は、17.5mmに設定されている。また、試験例は、その周面のうち第2のピンと接触するための接触部(インボリュート面)が、下を向いて上記各軸受用ころと接触している。
そして、試験例の長手方向に関する試験例と上記各軸受用ころとの接触点間において、試験例の上側を向いている面(接触部と反対側の面)には、両面テープが貼着されている。試験例の上方には、上記した軸受用ころと同様の軸受用ころが1個配置されており、この軸受用ころは、両面テープを介して試験例を下向きに押圧しており、試験例に曲げ荷重を付与している。なお、比較例についても同様にして試験を行った。
上記の曲げ試験において、破断荷重を求め、曲げ強度を比較した。結果を表1に示す。なお、試験例および比較例をそれぞれ2個用意して、曲げ試験を行った。
Figure 2006046497
表1に示すように、試験例の曲げ強度は、比較例に勝っている。このように、試験例の曲げ強度が比較例に対して十分に高いことが実証された。
疲労試験
試験例および比較例のそれぞれについて、疲労試験を行った。具体的には、下記の条件で試験例および比較例のそれぞれに繰り返し荷重を付与し、破断に至るまでの回数(繰り返し荷重の付与回数。以下、繰り返し数という。)を計測した。
荷重条件(1):750Nの荷重と2250Nの荷重とを10Hzのサイクルで繰り返し付与。
荷重条件(2):500Nの荷重と2000Nの荷重とを10Hzのサイクルで繰り返し付与。
荷重条件(3):500Nの荷重と1500Nの荷重とを10Hzのサイクルで繰り返し付与。
Figure 2006046497
結果を表2に示す。荷重条件(2)において、比較例は、繰り返し数が830回目で破断したのに対して、試験例は、繰り返し数が26126回に至るまで破断しなかった。すなわち、試験例は、比較例に対して、31.5倍の耐久性を有している。
荷重条件(3)において、比較例は、繰り返し数が11459回目で破断したのに対して、試験例は、繰り返し数が1000000回の時点でも破断(損傷)しなかった。すなわち、試験例は、比較例に対して、87.3倍以上の耐久性を有している。
なお、荷重条件(1)で比較例が非常に短時間で損傷することは、上記の試験結果から明白であり、試験例のみ評価を行った。荷重条件(1)において、試験例は、繰り返し数が7148回に至るまで破断しなかった。
図9は、第1のピンが破断するまでの繰り返し数と繰り返し荷重の最大値との関係を示すグラフ図である。図9に示すように、試験例は、比較例と比較して、より高い繰り返し荷重に耐えることができると共に、より多い繰り返し数に耐えることができる。
このように、試験例が疲れ強さ(繰り返し荷重に対する強さ)に関して極めて優れていることが実証された。
図1は、本発明の動力伝達チェーンの一実施の形態に係るチェーン式無段変速機用の動力伝達チェーンの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示すチェーンの要部の断面平面図である。 図2のII−II線に沿う断面図である。 チェーン進行方向に隣接するリンク同士が屈曲した状態を示すチェーンの一部断面側面図である。 第1のピンの一部拡大正面図であり、(A)は第1のピンの長手方向に対して所定方向のなす角が0°の場合を示しており、(B)は第1のピンの長手方向に対して所定方向のなす角が0°より大きい場合を示している。 本発明の動力伝達装置の一実施の形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図6に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ(ドリブンプーリ)およびチェーンの部分的な拡大断面図である。 3点曲げ試験について説明するための図である。 第1のピンが破断するまでの繰り返し数と繰り返し荷重の最大値との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 チェーン(動力伝達チェーン)
2 リンク(第1のリンク、第2のリンク)
3 第1のピン(ピン)
4 第2のピン
5 動力伝達面
6 動力伝達面
9 前貫通孔
10 後貫通孔
11 (第1のピンの)周面
15 ファイバーフロー
60 ドライブプーリ(第1のプーリ)
70 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
62a,63a,72a,73a シーブ面
F 所定方向
L (第1のピンの)長手方向
X チェーン進行方向

Claims (5)

  1. チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクを備え、プーリ係合用の動力伝達面を一対の端部のそれぞれに有するピンを用いて対応するリンクが相互に連結される動力伝達チェーンにおいて、
    上記ピンの周面のファイバーフローが所定方向に直線状に延び、且つピンの長手方向に対して上記所定方向のなす角が0°〜20°の範囲に設定されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 請求項1において、上記ピンは、素材を引き抜き加工または圧延加工して形成されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  3. 請求項1または2において、上記ピンの周面にショットピーニング加工が施されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  4. 請求項1,2または3において、上記ピンを第1のピンとして、第1のピンに転がり摺動接触する第2のピンを備え、
    上記複数のリンクは第1および第2のリンクを含み、これら各リンクは、チェーン進行方向の前後に並ぶ前貫通孔および後貫通孔をそれぞれ有し、
    上記第1のピンは、第1のリンクの前貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ第2のリンクの後貫通孔に圧入固定され、第2のピンは、第1のリンクの前貫通孔に圧入固定され且つ第2のリンクの後貫通孔に移動可能に嵌め入れられていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  5. 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する請求項1,2,3または4に記載の動力伝達チェーンとを備えることを特徴とする動力伝達装置。
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