JP2006045495A - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結合剤として水分散性樹脂(A)を固形分換算で3〜50重量%含む水性塗料において、前記水分散性樹脂(A)として、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー群を、重合性不飽和基を有するアニオン性界面活性剤(p)、及びHLB14以下のノニオン性界面活性剤(q)の存在下で乳化重合して得られ、前記アニオン性界面活性剤(p)及び前記ノニオン性界面活性剤(q)の合計量が前記モノマー群の総量100重量部に対し0.1〜20重量部であり、前記アニオン性界面活性剤(p)と前記ノニオン性界面活性剤(q)との重量比率が10:90〜90:10であるものを使用する。
【選択図】なし
Description
水性塗料における結合剤としては、水分散性樹脂(水性樹脂エマルション)が多く使用されている。特にアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキルエステル等を共重合して得られるアクリル樹脂エマルションは、耐候性、耐水性、耐薬品性等の塗膜物性において優れた性能を示すことから、汎用的に用いられている。
少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー群を、重合性不飽和基を有するアニオン性界面活性剤(p)、及びHLB14以下のノニオン性界面活性剤(q)の存在下で乳化重合して得られるものであり、
前記アニオン性界面活性剤(p)及び前記ノニオン性界面活性剤(q)の合計量が前記モノマー群の総量100重量部に対し0.1〜20重量部であり、前記アニオン性界面活性剤(p)と前記ノニオン性界面活性剤(q)との重量比率が10:90〜90:10であることを特徴とする水性塗料組成物。
水への溶解度が10g/100g以上の水易溶性溶剤(B)を0.01〜10重量%、
水への溶解度が10g/100g未満の水難溶性溶剤(C)を0.01〜10重量%含み、
前記水易溶性溶剤(B)と前記水難溶性溶剤(C)との重量比率が95:5〜5:95であることを特徴とする項1.または2.記載の水性塗料組成物。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの構成比率がかかる範囲内であれば、耐候性、耐水性、耐薬品性等において良好な物性を確保することができる。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。
モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの構成比率は、通常0.2重量%以上20重量%以下、好ましくは0.5重量%以上15重量%以下、より好ましくは1重量%以上10重量%以下である。
モノマー群におけるかかる重合性モノマーの構成比率は、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
また、アニオン性界面活性剤(p)とノニオン性界面活性剤(q)との重量比率は、アニオン性界面活性剤(p):ノニオン性界面活性剤(q)が10:90〜90:10(好ましくは20:80〜80:20)となる範囲内とする。このように界面活性剤を併用すれば、エマルションの安定性を高めることができるとともに、界面活性剤に起因する気泡発生を十分に抑制することができる。
塩基性化合物を混合するタイミングについては、特に限定されず、水分散性樹脂の重合前、重合時、重合後のいずれであってもよく、水性塗料製造時であってもよい。
なお、本発明における水への溶解度は、水100gに溶解し得る最大質量(g)のことである。測定温度は20℃である。
水易溶性溶剤(B)の水への溶解度は10g/100g以上であるが、好ましくは20g/100g以上、より好ましくは∞である。
水難溶性溶剤(C)の水への溶解度は10g/100g未満であるが、好ましくは5g/100g未満、より好ましくは4g/100g未満である。
(ア)予め水易溶性溶剤(B)と水難溶性溶剤(C)の混合溶液を用意しておき、水分散樹脂(A)と該混合溶液を混合する。
(イ)水分散樹脂(A)と水易溶性溶剤(B)を混合した後、水難溶性溶剤(C)を混合する。
このうち、上記(ア)の方法によれば、より優れた効果を得ることができる。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、珪藻土、樹脂ビーズ等が挙げられる。これら体質顔料の平均粒子径は、通常1μm以上100μm以下(好ましくは2μm以上80μm以下)である。
クリヤー塗料は、(A)成分(さらには(B)成分及び(C)成分)を必須成分として含み、その形成塗膜が透明性を有するものである。形成塗膜の透明性が確保できる範囲内であれば、着色顔料等により着色を施すこともできる。また、体質顔料等により、形成塗膜のつやを調整することもできる。クリヤー塗料における顔料容積濃度は、通常10%以下(好ましくは5%以下)である。
本発明をこのようなクリヤー塗料に適用した場合、鮮映性に優れた塗膜を形成することができ、さらに塗膜の耐汚染性や、リコート時の密着性等を改善することもできる。
つや有り塗料は、有色かつ有光沢の塗膜が形成可能な塗料であり、(A)成分及び着色顔料(さらには(B)成分及び(C)成分)を必須成分として含むものである。つや有り塗料は、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」に規定されており、その鏡面光沢度は70以上(好ましくは75以上、より好ましくは80以上)である。つや有り塗料では、着色顔料の種類や配合比率を適宜設定することにより、所望の色彩を表出することができる。このようなつや有り塗料では、光沢度が損われない範囲内であれば、体質顔料等を混合することにより、単層弾性塗材等の厚膜型の塗材を設計することもできる。つや有り塗料における顔料の混合比率は、通常、その顔料容積濃度が25%以下(好ましくは20重量%以下)となるように設定すればよい。
本発明をこのようなつや有り塗料に適用した場合には、光沢度の高い塗膜を得ることができる。さらに、塗膜の耐汚染性や、リコート時の密着性等を改善することもできる。
つや消し塗料は、光沢が低減された有色の塗膜が形成可能な塗料であり、(A)成分、着色顔料及び体質顔料(さらには(B)成分及び(C)成分)を必須成分として含むものである。つや消し塗料の形成塗膜における鏡面光沢度は、通常40以下(好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下)である。つや消し塗料の光沢度は、使用する体質顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。このような調整により、一般につや消しと呼ばれるものの他に、3分つや、5分つや等と呼ばれる塗料を設計することもできる。つや消し塗料では、その顔料容積濃度が25%を超える範囲内(好ましくは30重量%以上70重量%以下)で顔料量を調整すればよい。
本発明では、このようなつや消し塗料として、つや消しタイプの単層弾性塗材や複層仕上塗材主材等の厚膜型の塗材を設計することもできる。なお、複層仕上塗材主材においては、着色顔料を使用しなくてもよい。
このようなつや消し塗料では、多量の顔料を安定して分散させるために、通常分散剤が使用される。分散剤を塗料に配合した場合、気泡が発生しやすい状態となるが、本発明では上記アニオン性界面活性剤(p)・ノニオン性界面活性剤(q)の作用により効果的に気泡を低減することができる。分散剤の混合比率は、顔料の種類や量にもよるが、概ね水性塗料中に0.05〜1重量%程度である。
塗装時の塗付量は、塗料の形態や所望の仕上外観等に応じ適宜設定することができるが、通常は0.1〜3kg/m2程度である。塗装時には、水等で希釈することによって、塗料の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。
本発明塗料の塗装及び乾燥は通常、常温(5〜40℃程度)で行えばよいが、必要に応じ高温下で行うこともできる。
反応容器に、脱イオン水100重量部を仕込み、攪拌及び窒素置換を行いながら70℃まで昇温した。これに、別途用意した乳化モノマー(脱イオン水200重量部にアルキルアリルスルホコハク酸ソーダ4重量部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB12.0)3重量部、過硫酸アンモニウム0.3重量部を溶解させた水溶液に、スチレン62重量部、メチルメタクリレート55重量部、2−エチルヘキシルアクリレート170重量部、アクリル酸9重量部、アクリルアミド4重量部を乳化分散させたもの)を3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後3時間熟成し、30℃まで冷却した後、塩基性化合物として25重量%アンモニア水を添加してpHを8.0に調製することにより、合成樹脂エマルション1を得た。
ノニオン性乳化剤として、ポリオキシエチレンオレイルエーテルに替えてポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB12.5)を使用した以外は、合成例1と同様の方法で乳化重合を行い、合成樹脂エマルション2を得た。
ノニオン性乳化剤として、ポリオキシエチレンオレイルエーテルに替えてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB14.5)を使用した以外は、合成例1と同様の方法で乳化重合を行い、合成樹脂エマルション3を得た。
ノニオン性乳化剤として、ポリオキシエチレンオレイルエーテルに替えてポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB16.3)を使用した以外は、合成例1と同様の方法で乳化重合を行い、合成樹脂エマルション4を得た。
アニオン性乳化剤として、アルキルアリルスルホコハク酸ソーダに替えてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを使用した以外は、合成例1と同様の方法で乳化重合を行い、合成樹脂エマルション5を得た。
試験例1では、上記合成例1によって得られた合成樹脂エマルション1を用いて以下の試験を行った。
・抑泡性試験
合成樹脂エマルションを50重量部用意し、これに水を50重量部均一に混合した後、室温にて16時間放置したものを試験用塗料とした。この試験用塗料を試験管に入れ、50回振とう直後の気泡による体積増加率を測定した。評価は、◎:50%未満、○:50%以上100%未満、△:100%以上150%未満、×:150%以上とした。
・塗膜鮮映性試験
合成樹脂エマルションを50重量部用意し、これに水を50重量部均一に混合した後、室温にて16時間放置したものを試験用塗料とした。この試験用塗料を、フィルムアプリケータを用いてWET膜厚0.15mmでガラス板に塗付した。室温で48時間乾燥後、塗膜の鮮映性を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:曇り発生、とした。
試験例2では、合成樹脂エマルションとして合成樹脂エマルション2を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
試験例3では、試験用塗料として、合成樹脂エマルション2を50重量部、水を50重量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル(水への溶解度∞)とジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(水への溶解度1.7g/100g)の混合溶液(重量比率50:50)を2重量部均一に混合したものを使用して、試験例1と同様の試験を行った。
試験例4では、合成樹脂エマルション3を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
試験例5では、合成樹脂エマルション4を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
試験例6では、合成樹脂エマルション5を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
試験例7では、試験用塗料として、合成樹脂エマルション3を50重量部、水を50重量部、シリコーン系消泡剤を2重量部均一に混合したものを使用して、試験例1と同様の試験を行った。
容器内に上記合成樹脂エマルション2を30重量部用意し、これを攪拌羽根で攪拌しながらセルロース系増粘剤3重量部、ポリカルボン酸系分散剤0.2重量部を混合し、さらに重質炭酸カルシウム(平均粒子径4μm)60重量部を混合後約20分間攪拌することにより塗材1を製造した。この塗材1の顔料容積濃度は60%である。
予めプライマーが塗装されたスレート板に対し、この塗材1をマスチックローラーを用いて塗付量0.8kg/m2で塗装後、温度23℃・相対湿度50%下で24時間乾燥養生して試験板を得た。
容器内に上記合成樹脂エマルション2を30重量部用意し、これを攪拌羽根で攪拌しながらセルロース系増粘剤3重量部、ポリカルボン酸系分散剤0.2重量部を混合し、次いで溶剤としてジエチレングリコールジエチルエーテル(水への溶解度∞)とジエチレングリコールジブチルエーテル(水への溶解度0.3g/100g)の混合溶液(重量比率50:50)2重量部を混合し、さらに重質炭酸カルシウム(平均粒子径4μm)60重量部を混合後約20分間攪拌することにより塗材4を製造した。この塗材4の顔料容積濃度は60%である。
予めプライマーが塗装されたスレート板に対し、この塗材4をマスチックローラーを用いて塗付量0.8kg/m2で塗装後、温度23℃・相対湿度50%下で24時間乾燥養生して試験板を得た。
Claims (3)
- 結合剤として水分散性樹脂(A)を固形分換算で3〜50重量%含む水性塗料であって、前記水分散性樹脂(A)が、
少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー群を、重合性不飽和基を有するアニオン性界面活性剤(p)、及びHLB14以下のノニオン性界面活性剤(q)の存在下で乳化重合して得られるものであり、
前記アニオン性界面活性剤(p)及び前記ノニオン性界面活性剤(q)の合計量が前記モノマー群の総量100重量部に対し0.1〜20重量部であり、前記アニオン性界面活性剤(p)と前記ノニオン性界面活性剤(q)との重量比率が10:90〜90:10であることを特徴とする水性塗料組成物。 - 前記水分散性樹脂(A)が、少なくとも1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び少なくとも1種以上のカルボキシル基含有重合性モノマーを含むモノマー群を乳化重合して得られるものであることを特徴とする請求項1記載の水性塗料組成物。
- 前記水分散性樹脂(A)に加え、さらに、
水への溶解度が10g/100g以上の水易溶性溶剤(B)を0.01〜10重量%、
水への溶解度が10g/100g未満の水難溶性溶剤(C)を0.01〜10重量%含み、
前記水易溶性溶剤(B)と前記水難溶性溶剤(C)との重量比率が95:5〜5:95であることを特徴とする請求項1または2記載の水性塗料組成物。
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