本発明は、被加工物を研削ないし研磨するための固定砥粒研削研磨用工具、特にメカノケミカルな性質を付与した固定砥粒研削研磨用工具とその製造方法、および該工具を用いた研削研磨方法に関する。
シリコンウエハーや水晶ウエハーの薄片化のニーズは強く、各種の方法によりこれらの薄片化が行われている。このような薄片化作業において、ダイヤモンド砥粒を用いた砥石は研削効率が高いため汎用されているが、研削効率が高い反面、研削痕が残り、この研削痕を除去するためにスラリー砥粒のような異なる方法により最終仕上げを行わなければいけないのが現状である。すなわち、全く異なる方式により研削を行う必要があり、研削工程が複雑になり、結果的に研削効率が低下し、研削コストが高くなる問題がある。
一方、シリコンウエハーや水晶ウエハーの研削には、砥粒として酸化セリウム粒子を使用し、この酸化セリウム粒子のメカノケミカル作用を利用した酸化セリウムスラリー研削が汎用されている。この場合、通常1μm程度の大きさの酸化セリウム粒子を分散させたスラリーが使用されており、比較的高い研削効率と表面平滑性のバランスの良い研削方式として多用されているが、研削時の酸化セリウム粒子と被研磨体との接触機会が少なく、本質的に研削効率向上に限界があるのが現状である。また、このスラリー研削方式では、大量に発生する廃スラリーの処理が、環境上大きな問題になりつつある。
このように研削効率の一層の向上が求められているのもかかわらず、研削効率を高めると研削後の表面平滑性が低下するという相反する本質的な課題のため、未だに市場ニーズを満たす研削研磨用工具は開発されていないのが現状である。
ところで、特許文献1には、メカノケミカル作用により被研磨体を研削できる活性砥粒およびこれを用いた砥石等が開示されている。これは、本願の発明者のうちの一人が開発したもので、ガラスビーズとアルギン酸ナトリウムなどの水溶性の高分子結合剤とを混合した液体を使用し、これを電気泳動を利用して所定の状態に加工することによって砥石としたものである。そこには、砥石を構成する活性砥粒がメカノケミカル作用によって優れた研削性を示すことや、この砥石を用いた研削方式は乾式研削であるにもかかわらず優れた鏡面創成が実現できることが記載されている。
さらに、特許文献2や特許文献3には、粒子の形状が板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10〜200nmの範囲にある酸化セリウム粒子が記載されている。このような酸化セリウム粒子は、前記文献2・3に記載された方法によって合成することができる。なお、前記酸化セリウム粒子の開発者の一人は、本願の発明者のうちの一人である。
特開2003−73656号公報
特開2003−49158号公報
特開2003−206475号公報
上述したように、従来の固定砥粒研削研磨用工具は、一般的に研削効率が高い反面、被研削体表面に傷が入りやすく、研削面の平滑性が劣る問題があった。一方、湿式方式のスラリー砥粒は、平滑な研削面が得られやすい反面、研削効率が低く、研削効率に劣る欠点があった。現状では優れた研削性を有しながら研削後の被加工物において優れた表面平滑性が得られる固定砥粒研削研磨用工具はいまだ提供されていない。
そこで、本発明は、研削砥石がもつ優れた研削性と、従来の研削砥石では得られなかった研削後の優れた表面平滑性とを同時に実現できる固定砥粒研削研磨用工具を提供し、併せてその製造方法と、該工具を用いた効率の良い研削研磨方法を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、酸化物粒子からなる砥粒と、水溶性高分子からなる結合剤とで構成されており、 かつ該工具の厚さが1〜20mmの範囲に、研磨面の面積が1〜3000cm2 の範囲に、さらに厚さに対する研磨面方向における最大長さの比が2〜300の範囲にある扁平形状を有する構成としたものである。
固定砥粒研削研磨用工具の研磨面上には、線状、溝状あるいは穴状の加工を施しておくのが好ましい。このような加工を施しておくと、研削粉などが捕捉されやすくなり、より研削性能の優れた工具となるからである。
砥粒を構成する酸化物粒子としては、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄の中から選ばれる少なくとも一種からなる粒子を使用する。中でも特に酸化セリウム粒子を用いたものは、機械的研削作用のみならず、化学的な研削作用も同時に発現できるメカノケミカル作用を有しており、従来のこの種の工具では得られない優れた研削性能を発現できるため、特に好ましい。
また、本発明者の一人が開発した、粒子の形状が板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10〜200nmの範囲にある酸化物粒子(特許文献2および特許文献3を参照)を砥粒として使用すると、固定砥粒研削研磨用工具としての特性がより向上するため、好ましい。通常は砥粒の粒子径が小さくなると、研削面の表面平滑性は良好になるものの、研削効率が低下する。これに対して、本発明者の一人が開発した上記の粒子は、平均粒子径が10〜200nmと微粒子であるにもかかわらず、粒子形状が板状であるため、この板状粒子のエッジの発刃性により、優れた研削性を発揮する。したがって、上記の板状粒子を砥粒として用いることによって、高い研削効率と研削後の優れた表面平滑性という2つの特性を併せ持った固定砥粒研削研磨用工具砥石として、研削特性のより優れたものが得られる。
さらに、板状の酸化物粒子の中でも特に板状の酸化セリウム粒子を用いると、そのエッジの部分を利用した優れた機械的研削作用のみならず化学的研削作用が大きいメカノケミカル作用を利用できる。すなわち、板状の粒子形状を利用した優れた機械的研削性と酸化セリウムの有する優れたメカノケミカル作用とを同時に活用できることとなる。
上記のような酸化物粒子からなる砥粒を、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子(結合剤)の溶液中に分散させ、砥粒に水溶性高分子を結合させて、水を除去して特定の扁平形状に成形することにより、固定砥粒がもつ優れた研削性を維持しながら、従来の固定研粒では得られなかった研削後の優れた表面平滑性を同時に実現できる固定砥粒研削研磨用工具が得られる。このようにして得られる本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、先に述べたように、その厚さが1〜20mmの範囲にあり、研磨面の面積が1〜3000cm2 の範囲にあり、さらに厚さに対する平面方向における最大長さの比が2〜300の範囲にある扁平な形状を有し、このような扁平形状により、被研磨体との接触面積が増加し、優れた研磨効率を実現できる。この場合の扁平形状としては、後述する電気泳動を利用した製造方法により平板状や曲面状など任意の形状のものを作ることができるが、中でも平板形状は汎用性が高い。また、電気泳動を利用した製造方法により、砥粒がより強固に水溶性高分子と結合した固定砥粒研削研磨用工具となる。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具中の酸化物粒子および水溶性高分子の含有量としては、それぞれ50〜99.5重量%および0.5〜50重量%とすることが好ましく、この範囲のときに研削研磨性と砥粒の工具への固着性のバランスが最も良くなる。
本発明の扁平状固定砥粒研削研磨用工具は、乾式研削用の固定砥粒として使用することにより、優れた研削効率と表面平滑性を同時に実現できるが、酸化セリウム粒子を使用する場合には、従来のスラリー砥粒のように水の存在下で使用することにより、より研削性能が向上する。すなわち、本発明の工具で被研磨体を研削研磨時に、適度の湿度あるいは水を付加すると、酸化セリウムのメカノケミカル作用が現われて、より研削性が向上する利点がある。この湿度あるいは水の使用において、使用量は、用途、目的に応じて任意に調整することができて、直接水を添加することも可能であり、また高湿度下で使用することによってもメカノケミカル作用を発現させることができる。直接水を添加する場合でも、連続添加や間欠的な滴下、さらに噴霧など用途、目的に応じて任意に選択できる。このように本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、目的に応じて乾式研削用の固定砥粒としても、また水の存在化でメカノケミカル作用を利用した固定砥粒としても使用できる、広い範囲で使用可能な固定砥粒研削研磨用工具である。
このように本発明は、酸化物粒子(好ましくは平均粒径が10nmから200nmの範囲にある、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄の中から選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子)からなる砥粒と、水溶性高分子からなる結合剤とで構成された固定砥粒研削研磨用工具であり、この工具の厚さを1〜20mmの範囲に、かつ平面の面積を1〜3000cm2 の範囲に、さらに厚さに対する平面方向における最大長さの比を2〜300の範囲とした扁平形状にしたものである。このような構成と形状にすることにより、固定砥粒研削研磨用工具でありながら優れた研削性と研削後の表面平滑性を両立させることができる。特に砥粒として使用する酸化物粒子の板状比(板面方向の最大長さ/厚さ)が2〜20の板状粒子とすることにより、その効果がより顕著に現われる。さらに酸化物粒子として酸化セリウム粒子を使用し、かつ研削研磨時に水を添加すると、メカノケミカル作用により、研削効率が飛躍的に向上する。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具では、砥粒として、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄などの酸化物粒子の内の少なくとも一種の粒子を使用する。この場合の粒子形状としては板状で、粒子の板面方向の平均粒子径が10〜200nmの範囲にあり、板状比(板面方向の最大長さ/厚さ)が2〜20の範囲にあるものが、微粒子であるにもかかわらず、板状粒子のエッジの発刃作用を利用した機械的研削作用を利用できるため、特に好ましい。平均粒子径が10nmより小さい場合は、十分高い研削効率を得にくく、また200nmより大きい場合は、研削後の表面平滑性の優れたものが得にくくなる。
このような板状の酸化物粒子は、アルカリ水溶液に各種の金属塩の水溶液を添加し、得られた金属塩の水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理し、ろ過、乾燥後、さらに空気中200〜1500℃の温度範囲で加熱処理することにより製造することができる。
すなわち、まず第一工程として、アルカリ水溶液に上述した金属塩の水溶液を添加し、得られた水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理する水熱反応処理により、目的とする形状、粒子径に整える。この際、 金属の種類により水酸化物あるいは水和物として析出するpHが金属の種類により異なるため、pHの制御は重要である。また水熱反応により目的の形状、粒子径を有する水酸化物あるいは水和物にするため、水熱反応時のpH制御も重要な因子である。
次に第二工程として、この水酸化物あるいは水和物を空気中加熱処理する。これにより、粒子径分布が均一で、焼結、凝集が極めて少なく、結晶性の良好な板状の酸化物粒子を得る。
このように基本的に二段階の製造工程を経ることにより、粒子の形状が板状で、平均粒子径が、10nmから200nmの範囲にあり、かつ板状比(板面方向の最大長さ/厚さ)が2〜20の酸化物粒子を製造することができる。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、このようにして得られた板状の酸化物粒子からなる砥粒と、これらを結合する水溶性高分子からなる結合剤とで構成される。水溶性高分子としては特に限定されるものではないが、アルギン酸ナトリウムやポリビニールアルコールなどが好ましい高分子として使用される。中でもアルギン酸ナトリウムは、海草に含まれる物質であり、無害な高分子結合剤として特に好ましい。本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、結合剤として水溶性高分子を使用するため、製造工程において環境に与える負荷が小さい利点を有する。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、以下の工程で作製される。まず所定量の水溶性高分子を溶解した溶液を作製し、この溶液中に上述した板状の酸化物粒子を所定量分散させる。分散方法としては特に限定されるものではないが、ボールミルやペイントコンデイショナー等を用いて、均一な分散体を作製する。
この水溶性高分子の含有量としては、最終目的物である工具の状態で、0.5〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜25重量%であり、さらに好ましくは1〜20重量%である。この含有量が少ないと酸化物粒子の結合能力が低くなり、研削時に粒子が脱落しやすくなる。逆に多すぎると分散液の粘度が高くなり、粒子の均一分散が困難になる。
一方、酸化物粒子の含有量としては、50〜99.5重量%の範囲が好ましく、より好ましくは60〜97重量%であり、さらに好ましくは70〜95重量%である。含有量がこの範囲より少ないと研削効率が低くなり、多すぎると高分子との結合性が低下して、研削時に砥粒が脱落しやすくなる。
次に、この分散体を用いて、扁平状の工具の元となる成形体を作製するために、電気泳動現象を利用することが有効である。この電気泳動現象を用いた方法は特に限定されるものではないが、基本的にはこの分散液中に正極と負極を対向するように配置し、この両極間に電圧を印加することにより、正極上に水溶性高分子と結合した酸化物粒子を堆積させることができる。
本発明の厚さが1〜20mmの範囲に、研磨面の面積が1〜3000cm2 の範囲に、さらに厚さに対する平面方向における最大長さの比が2〜300の範囲にある扁平形状を有する固定砥粒研削研磨用工具を作製するためには、分散液中にこの形状に対応する平板状や曲面状の電極と、らせん状や格子状に加工した電極とを対向して配置し、平板状や曲面状の電極を正極にして下方あるいは側面に配置し、らせん状あるいは格子状に加工した電極を負極にして上方あるいは側面に対向するように配置することが有効である。このような配置にすることにより、正極上に砥粒としての酸化物粒子と結合剤としての水溶性高分子とが堆積する際に生じる気泡が堆積物内に取り込まれにくくすることができる。さらに負極をらせん状あるいは格子状にすることにより、発生した気泡を分散液中に存在させることなく、液外に排出することができる。また正極を回転させるか、分散液を循環させながら砥粒および水溶性高分子を正極板上に堆積させることにより、砥粒と水溶性高分子がより均一に分布した固定砥粒研削研磨工具となる。
上の例では、平板状や曲面状の正極と、らせん状や格子状の負極とを対抗して配置する場合について記載したが、目的とする固定砥粒研削研磨用工具の形状に応じて電極は任意の形状にすることができる。たとえば、本発明の固定砥粒研削研磨用工具は扁平状で、この扁平状平面上に、線状、溝状あるいは穴状の加工が施すことが好ましいが、これらの加工は、砥粒と水溶性高分子とを堆積させた後や水分を除去した後の工具において加工することもできるし、正極板にあらかじめこれらの形状を加工しておくことにより、正極板上への砥粒および水溶性高分子の堆積時に形成することもできる。このように正極の形状を工夫することで、各種の被研磨体に対応できるようになる。例えば、曲面状にした工具を作製すれば、レンズなど曲面をもった被研磨体を研磨できる。本発明の扁平状固定砥粒研削研磨用工具の研磨面上に、前記線状、溝状あるいは穴状の加工を施しておくことで、研削粉などがトラップされやすくなり、より研削性能の優れた固定砥粒研削研磨用工具となる。
さらに本発明の扁平形状の固定砥粒研削研磨用工具は、砥粒として酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄などの酸化物粒子を用いるが、これらの砥粒の形状として板状のものを使用すると、エッジを利用した発刃特性の他にも、水溶性高分子で覆われた板状酸化物粒子を特定方向に配向するように堆積させることができるメリットがある。すなわち、電極の形状や電圧の印加方法を工夫することにより、板状粒子の板面を扁平状工具の平面に垂直になるように配向することができるため、さらに発刃特性が強調され、固定砥粒研削研磨工具として使用した際に、研削効率はより向上する。
次に、前記分散液から正極板を引き上げ、酸化物粒子(砥粒)と水溶性高分子(結合剤)とからなる成形体から正極板を取り除くことにより、扁平状の成形体が得られる。この扁平状の成形体は、空気中で乾燥することにより、目的とする形状の固定砥粒研削研磨用工具とすることができる。
酸化物粒子が高充填された固定砥粒研削研磨工具を作製する上で、電気泳動現象の使用は有効な方法の一つであるが、電気泳動現象を利用することなく、例えばプレス成形のみで作製することも可能である。このプレス成形のみで作製する方法は、製造工程が簡易になる利点があるが、電気泳動現象を利用する方法は、プレス加工のみの方法に比べて、砥粒と水溶性高分子とがより緻密に結合し、砥粒が高充填された固定砥粒研削研磨工具とすることができる。
本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、乾式研削用の固定砥粒として使用しても、優れた研削効率と表面平滑性とを同時に実現できるが、砥粒に酸化セリウム粒子を用いた場合、水の存在下で使用するとメカノケミカル作用が発現して、その研削性はさらに向上する。このように本発明の固定砥粒研削研磨工具は、用途、目的に応じて乾式研削砥石としても、また水の存在下でメカノケミカル作用を利用できる固定砥粒としても使用可能である。こうして、本願発明によれば、広範囲で使用可能な固定砥粒研削研磨用を実現できる。
以下、砥粒として板状の酸化セリウム粒子を、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウムを使用する場合を例にあげて、本発明の主要な製造方法について詳細に説明する。
(沈殿物の作製)
塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウムなどのセリウム塩を水に溶解させ、セリウムイオンを含有する水溶解液を作製する。これらのセリウム塩のうち、粒径分布のシャープな酸化セリウム粒子を得る上で、塩化セリウムが最も好ましい。また、これとは別にアルカリ水溶液を作製する。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水溶液などが好ましく使用できる。
次に、このアルカリ水溶液中に前記セリウム塩水溶液を滴下して、セリウムの水酸化物あるいは水和物の沈殿物を生成する。この沈殿物を含む懸濁液のpHは、8〜11の範囲に調整し、またこの懸濁液を室温において1日程度熟成することが好ましい。このpH調整および熟成は、この後の工程の加熱処理において、比較的低い温度で、より結晶性の高い酸化セリウム粒子を得る上で効果的である。
(水熱処理)
セリウムの水酸化物あるいは水和物の上記沈殿物を含む懸濁液に対し、オートクレーブ等を用いて水熱処理を行う。この水熱処理において、上記の沈殿物を含む懸濁液をそのまま水熱処理しても構わないが、水洗により、上記沈殿物以外の生成物や残存物を除去し、その後NaOHなどにより再度pH調整することが好ましい。この時のpHの値は、7〜11とすることが好ましく、これより低いと水熱処理時に結晶成長が不十分になり、高すぎると粒子径分布が広くなる傾向を示す。
水熱処理温度は、110℃から300℃の範囲とすることが好ましい。この温度より低いと、板状の形状を有するセリウムの水酸化物あるいは水和物が得られにくく、またこの温度より高いと発生圧力が高くなるため、装置が高価なものとなり、メリットはない。板状酸化セリウム粒子の粒子径は、水熱処理時のpHと温度とに密接に関係し、一般的にはpHと処理温度が高くなるほど粒子径は大きくなる。
水熱処理時間は、1時間から4時間の範囲が好ましい。水熱処理時間が短すぎると、特定の形状への成長が不十分になり、水熱時間が長すぎても特に問題となることはないが、製造コストが高くなるだけで、意味がない。
(加熱処理)
水熱処理後のセリウムの水酸化物あるいは水和物粒子は、ろ過、乾燥した後、加熱処理を行うが、ろ過する前に、水洗によりpHを6〜9の付近の中性領域に調整しておくことが好ましい。このpHまで水洗することにより、加熱処理工程において、焼結などの悪影響をおよぼすナトリウムや塩素などの不純物が除去されるためである。
セリウムの水酸化物あるいは水和物粒子に、さらに珪酸ナトリウムなどの珪素化合物を添加して、シリカ処理を施こしても良い。このシリカ処理は、最終目的物である酸化セリウム粒子を特定の形状に保持する効果がある。
ろ過、乾燥したセリウムの水酸化物あるいは水和物は、加熱処理により酸化セリウム粒子とすることができる。雰囲気は特に限定されないが、空気中加熱が、最も製造コストがかからないため、好ましい。この加熱処理温度としては、300℃から1200℃の範囲が好ましい。この温度より低いと、結晶性の酸化セリウム微粒子が得られにくく、高すぎると、焼結により粒子サイズが大きくなったり粒子径分布が広くなったりする。この加熱処理により、酸化セリウム粒子が得られるが、さらに水洗などにより、未反応物を除去すると、より高純度の酸化セリウム粒子が得られるため、砥粒として使用するためには、最終工程で水洗することが好ましい。
このようにして得られた酸化セリウム粒子は、粒子径が10nmから200nmの範囲に、かつ板状比(板面方向の最大長さ/厚さ)が2〜20の範囲にある板状の形状を有する粒子であり、固定砥粒研削研磨用工具に用いる砥粒として最適のものとなる。
得られた粒子の形状は、高分解能の透過電子顕微鏡を用いて観察することができる。粒子径は、例えば20万倍の倍率で撮影し、100個の粒子の平均値として求めることができる。粒子の厚さは、例えば粒子をバインダ中に分散してシート上塗布し、このシートの断面を500万倍の倍率で観察することにより求めることができる。
この酸化セリウム粒子は、X線回折スペクトルを測定すると、CaF2 構造をもつCeO2 の結晶構造に対応するピークが明瞭に観察され、また電子顕微鏡観察においても晶壁が明瞭に観察され、これまでの製造法では得られなかった極めて良好な結晶性を有する板状の粒子であることが確認できた。
なお、板状酸化セリウム粒子の作製方法を例に上げて説明したが、板状酸化アルミニウムや板状酸化ジルコニウム、板状酸化鉄も本発明の発明者の一人が開発した方法(上述した特許文献2および特許文献3参照)により、同様の手法で作製できる。
(固定砥粒研削研磨工具用分散液の調整)
次に、上述したような方法で作製した酸化セリウム粒子を使用して、固定砥粒研削研磨用工具を作製するための分散液調整方法の一例を以下に示す。
所定量の水にアルギン酸ナトリウムを溶解した。アルギン酸ナトリウムの添加量は、最終目的物である工具の状態で、0.5〜50重量%が最適であるが、分散液作製時には、アルギン酸ナトリウムの添加量は、水に対して0.1〜5重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと、酸化セリウム粒子を均一に分散させることが困難になり、酸化セリウム粒子が沈降しやすくなる。一方、添加量がこの範囲より多いと分散液の粘度が高くなり過ぎて、酸化セリウム粒子を分散させるときの分散性が悪くなる。
次いで、このアルギン酸ナトリウム水溶液に、先の酸化セリウム粒子を添加し分散させる。酸化セリウム粒子の添加量は、最終目的物である工具の状態で、50〜99.5重量%が最適であるが、分散液作製時には、酸化セリウム粒子の添加量は1〜20重量%が適当である。添加量がこの範囲より少ないと固定砥粒研削研磨用工具としたときの高い研削効率を得にくくなり、添加量がこの範囲より多いと酸化セリウム粒子の固定砥粒研削研磨用工具中での保持性が低下しやすくなる。
分散方法は特に限定されるものではなく、ボールミル、ペイントコンデイショナー、デイスパーなど各種の分散機が使用可能である。中でもペイントコンデイショナーが好適な分散機として使用できる。分散時間は、使用する分散装置により異なるが、例えばペイントコンデイショナーを使用する場合には、1〜10時間が適当である。
次に、この分散液をホットプレート上に乗せて、分散液を攪拌しながら加熱して、水を蒸発させて分散液を濃縮した。蒸発濃縮後の重量としては、蒸発前の重量に対して1/2〜1/10になるようにすることが好ましい。濃縮の程度がこの範囲より少ないと、後述する電気泳動現象を利用した成形体作製時に、酸化セリウム粒子の充填性が低くなったり、分散液中の酸化セリウム粒子が沈降しやすくなったりする。また、この範囲より多いと、電気泳動現象による酸化セリウム粒子の移動が困難になり、成形体作製効率が低下する。
蒸発濃縮後の分散液中のアルギン酸ナトリウムおよび酸化セリウム粒子の含有量は、それぞれ0.2〜10重量%および2〜60重量%になるようにするのが好ましい。このようにすると、電気泳動現象を利用した成形体作製時の効率が最も良く、かつこの成形体を用いて作製した固定砥粒研削研磨用工具としての研削性、酸化セリウム粒子の保持性などが最もバランスの取れたものとなる。
(電気泳動を利用した酸化セリウム/水溶性高分子混合物の成形体の作製)
上述した蒸発濃縮した分散液を樹脂製の容器に入れ、円形の金属製正極板を下方に配置した。この正極板と対向するように、らせん状に成形した負極を、正極板の上方に配置し、正極板を回転させながら、正負両極に直流電圧を印加した。印加電圧は、正負両極の大きさ、形状、間隔により異なるが、1〜100Vが好ましい。このときの電流は、0.1〜10A程度である。このような正負両極への電圧印加により、水溶性高分子で覆われて電荷を帯びた酸化セリウム粒子が正極板に電気的に引き寄せられて正極板上に堆積し、時間と共に堆積厚みが増加する。
(固定砥粒研削研磨用工具の作製)
上述した方法により正極板上に水溶性高分子で覆われた酸化セリウム粒子を適当な厚さになるまで堆積させた後、正極板を分散液から引き上げ、この堆積物を真空乾燥した。この乾燥時に、反りなどによる乾燥物の変形やひび割れを防止するために、堆積物を金属板で挟んだ状態で真空乾燥した。なお、堆積物を金属板で挟むと、水分は2枚の金属板の隙間部分からしか除去できないため、乾燥に長時間要する。そこで多孔質の板で挟むか、金属板と堆積物との間に多孔質あるいはメッシュ状のシートを挿入するとより効率良く水分を除去できる。
真空乾燥により水分をある程度除去した後、正極板から堆積物を分離し、扁平形状の堆積物の外周部分が滑らかな円形になるように外周部分を成形したり、中心部分を除去してドーナツ状にするなど成形することができる。この成形は、乾燥後に行うこともできるが、乾燥物に局所的に力が加わると、乾燥物が割れ易くなるため、ある程度水分を含有した状態で行うことが好ましい。
このようにして得られる扁平状の成形体には、最終的に得られる固定砥粒研削研磨用工具において研磨面となる平面上に、線状、溝状あるいは穴状の加工を施すことが好ましい。このような加工を施すことにより、研削粉などが捕捉されやすくなり、さらに研削性能を高めることができる。なお、このような加工は、成形体が、ある程度水分を含んだ状態で施す方が割れにくくて好ましいが、正極板にあらかじめこのような加工を施しておくこともできるし、また上述した水溶性高分子と酸化セリウム粒子を堆積させた状態で施すこともでき、さらに完全に乾燥させた後に施すこともできる。要するに成形体のサイズ、形状により任意の状態で加工を施すことができる。
図1ないし図4は、このような加工を施した円形の扁平状固定砥粒研削研磨用工具(成形体)の例をそれぞれ示したものである。これらの図において符号1は本発明の固定砥粒研削研磨用工具、符号2はその研磨面をそれぞれ示す。図1は、研磨面2に放射線状に延びる溝3を形成したもの、図2は研磨面2に格子状に溝3を形成したもの、図3は研磨面2に渦巻き状ないし同心円状に溝3を形成したもの、図4は研磨面2に散点状に複数の穴(凹部)4を設けたものである。
次に、上記の成形体を空気中、乾燥させた。乾燥温度は特に限定されないが、比較的低い温度で時間をかけて乾燥する方が、高温で短時間で乾燥する場合に比べて割れにくい。通常は、室温で乾燥することが好ましい。その後、この乾燥物の両面を研磨して平滑にした。この平滑化は重要で、乾燥物の平面に凹凸が存在すると、工具として研磨用の定盤等に取り付け、被研磨体に押し当てたときに、局部的に力が加わり、工具が割れ易くなる。以上の工程により、最終的に目的とする扁平状の固定砥粒研削研磨用工具に仕上げた。
なお、以上の例では、真空乾燥により、ある程度水分を除去する方法について説明した。これは、堆積物の面積が大きくなると、乾燥時に反り易くなるため、ある程度水分が除去されるまで堆積物を固定したものであるが、目的とする扁平形状の固定砥粒研削研磨用工具の厚さや面積により、真空乾燥工程を経ることなく、空気中で乾燥することも可能である。
上述した方法により、砥粒としての酸化物粒子と結合剤としての水溶性高分子とから構成された厚さが1〜20mmの範囲に、平面部分の面積が1〜3000cm2 の範囲に、かつ厚さに対する平面方向における最大長さの比が2〜300の範囲にある扁平形状を有する固定砥粒研削研磨用工具を作製した。この固定砥粒研削研磨用工具の平面方向における形状としては平板状が汎用性が高くて好ましいが、このような平板状に限定されるものではなく、前記の扁平形状の条件を満たす範囲で曲面状など電極の形状に応じて任意の形状のものを作製することができる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
〈板状酸化セリウム粒子の作製〉
72.0モルの水酸化ナトリウムを64リットルの水に溶解し、アルカリ水溶液を作製した。このアルカリ水溶液とは別に、5.92モルの塩化セリウム(III)七水和物を32リットルの水に溶解して、塩化セリウムの水溶液を調整した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化アルミニウム水溶液を滴下して、約25℃で水酸化セリウムを含む沈殿物を調整した。このときのpHは10.5であった。この沈殿物を懸濁液の状態で20時間熟成させた。
次に、上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、オートクレーブに仕込み、180℃で2時間、水熱処理を施した。
水熱処理生成物を水洗し、ろ過して、90℃で空気中乾燥させた。この乾燥物を乳鉢で軽く解砕した後、空気中600℃で1 時間の加熱処理を行って酸化セリウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、平均粒子径は21nmの板状の粒子であることがわかった。なお、平均粒子径は、透過電子顕微鏡(日立電界放出型電子顕微鏡HF−200型)を用いて20万倍で撮影した印画紙上、100個の粒子の粒子径の平均値として求めた。また粒子の板面方向におけるの最大長さと厚さの比は、約5であった。この粒子の板面方向におけるの最大長さと厚さの比は、同じ電子顕微鏡を用いて500万倍でのこの粒子をバインダ中に分散させたシートの断面観察により求めた。
この酸化セリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図5に、X線回折図を図6に示す。
〈板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子を用いた分散液の作製〉
11.2kgの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム60gを溶解した。この溶解液に上述した方法で作製した酸化セリウム粒子740gを添加し、内容積4リットルのペイントコンデイショナー用ポットを5個使用して、ペイントコンデイショナーにより3時間分散した。なお、このポットには、直径1mmのジルコニアビーズを1kgを入れた。この分散処理により、個々の酸化セリウム粒子がアルギン酸ナトリウム水溶液中に均一に分散した分散液を得た。
次に、ポットから分散液を取り出し、その内の9.6kgを20リットルのステンレス容器に入れ、ホットプレート上で攪拌しながら総重量が2.4kgになるまで水を蒸発させて濃縮した。
〈電気泳動を利用した板状酸化セリウム粒子/水溶性高分子混合物の成形体の作製〉
上述した濃縮分散液を容積が約4リットルの樹脂製の容器に移し替え、正極板として直径150mm、厚さ2mmの円形の黄銅板を使用した。負極としては、直径約1mmの黄銅棒を最外周の直径が約160mmになるようにらせん状に成形して、正極板と対向するように配置した。
この正極と負極との間に直流低電圧電源を使用して10Vの電圧を印加した。このとき正極・負極間に流れる電流は約0.5〜3Aであった。この状態で正極板を回転させながら2時間電圧を印加し、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは、約6mmであった。
〈固定砥粒研削研磨用工具の作製〉
次に分散液から正極板を取り出し、空気中で約5時間自然乾燥させた後、その表面に不織布シートを乗せ、さらにその上に正極板と同一形状の金属板でこの堆積物を挟み、室温で約10時間真空乾燥した。その後、堆積物を挟んだ不織布シートと黄銅板を取り除いた。次いで、この半乾燥状態の堆積物の平面に、一辺が約10mmで深さが約2mmのほぼ正方形の格子状の溝を全面に形成した。その後、正極板に堆積物を固定した状態で空気中40℃で、約1日間かけて乾燥させた後、乾燥物を正極板から取りはずした。この乾燥により堆積物は収縮して、最終的に、直径約120mm、厚さ3.3mmの板状の酸化セリウム粒子にアルギン酸ナトリウムが結合した円形の扁平状成形体を得た。
さらにこの扁平状成形体の表面の局部的な凹凸を除去するために、成形体の両面をダイヤモンド定盤を使って研磨し固定砥粒研削研磨用工具とした。この工具の厚さは、2.8mm、面積(工具の一方の面側における研磨面の面積、以下の実施例および比較例の場合においても同様)110cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は46であった。また、この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1における板状酸化セリウム粒子の作製において、沈殿物の懸濁液の水熱処理条件を「180℃、2時間」から「200℃、2時間」に変更し、かつ空気中での加熱処理条件を、「600℃、1 時間」から「800℃、1時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして、水酸化セリウムを含有する沈殿物を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理して、酸化セリウム粒子を作製した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また実施例1と同様の方法で透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、平均粒子径が58nmで、板面方向におけるの最大長さと厚さの比が約8の板状粒子であることがわかった。
この酸化セリウム粒子の20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真を図7に示す。この酸化セリウム粒子を用いて、実施例1と同様の正負電極を使用し、実施例1と同様の方法で水溶性高分子を用いた分散液を作製し、さらに電気泳動を利用して板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とからなる扁平状の固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは3.5mm、面積は120cm2 であった。また厚さに対する平面方向における最大長さの比は37であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1における板状酸化セリウム粒子の作製において、沈殿物の懸濁液の水熱処理条件を「180℃、2時間」から「200℃、2時間」に変更し、かつ空気中での加熱処理条件を、「600℃、1 時間」から「900℃、4時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして、水酸化セリウムを含有する沈殿物を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理して、酸化セリウム粒子を作製した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また実施例1と同様の方法で透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、平均粒子径は120nmで、板面方向におけるの最大長さと厚さの比が約10の板状粒子であることがわかった。
この酸化セリウム粒子を用いて、実施例1と同様の正負電極を使用し、実施例1と同様の方法で水溶性高分子を用いた分散液の作製し、さらに電気泳動を利用して板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とからなる扁平状の固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは、4.5mm、面積は115cm2 であった。また厚さに対する平面方向における最大長さの比は27であった。またこの工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例2における板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とを用いた分散液の作製において、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウムの溶解量を60gから100gに変更した以外は、実施例1と同様にして分散液を作製し、さらに実施例1と同様にして水を蒸発させて濃縮した。次に、この濃縮分散液を用いて、実施例1と同様の方法により、電気泳動を利用して板状酸化セリウム粒子と水溶性高分子とからなる扁平状の固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは、3.2mm、面積は110cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は36であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ88.1重量%および11.9重量%であった。
実施例1における板状酸化セリウム粒子の作製において、沈殿物の懸濁液の水熱処理を行わずに、かつ空気中での加熱処理条件を、「600℃、1 時間」から「300℃、1時間」に変更した以外は、実施例1と同様にして、水酸化セリウムを含有する沈殿物を生成させ、水洗、ろ過、乾燥後、加熱処理して、酸化セリウム粒子を作製した。
得られた酸化セリウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に蛍石構造の酸化セリウムに対応するスペクトルが観測された。また実施例1と同様の方法で透過電子顕微鏡を使って形状観察したところ、平均粒子径が30nmの球状ないしは粒状の粒子であることがわかった。
この酸化セリウム粒子を用いて、実施例1と同様の正負電極を使用し、実施例1と同様の方法で水溶性高分子を用いた分散液を作製し、さらに電気泳動を利用して球状ないしは粒状の形状を有する酸化セリウム粒子と水溶性高分子とからなる扁平状の固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは、2.5mm、面積は110cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は48であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1と同様にして固定砥粒研削研磨用工具を作製し、後述する水晶ウエハーに対する研削性の評価において、30分に1回の割合で20ccの純水を合計3回、研削途中に水晶ウエハー表面に添加した以外は、実施例1と同様とした。この実施例6に係る固定砥粒研削研磨用工具(実施例1と同様の固定砥粒研削研磨用工具)は、実際の研削研磨作業時に上記のように適度の水を与えることで、板状酸化セリウム粒子の有する優れた機械的研削性にさらに酸化セリウムの有する化学的研削性を付与したメカノケミカルな性質をもった工具となる(後述する研削性評価の結果参照)。
実施例2と同様にして固定砥粒研削研磨用工具を作製し、後述する水晶ウエハーに対する研削性の評価において、30分に1回の割合で20ccの純水を合計3回、研削途中に水晶ウエハー表面に添加した以外は、実施例2と同様とした。
実施例5と同様にして固定砥粒研削研磨用工具を作製し、後述する水晶ウエハーに対する研削性の評価において、30分に1回の割合で20ccの純水を合計3回、研削途中に水晶ウエハー表面に添加した以外は、実施例5と同様とした。この実施例8に係る固定砥粒研削研磨用工具(実施例5と同様の固定砥粒研削研磨用工具)は、板状の酸化セリウム粒子を用い場合に比べてエッジ部分がないため機械的研削性は若干劣るが、実際の研削研磨作業に上記のように適度の水を添加することで、球状ないし粒状で30nmの粒子径を有する酸化セリウム粒子の化学的研削性を付与したメカノケミカルな性質をもった工具となる(後述する研削性評価の結果参照)。
実施例1における平均粒子径21nmの板状酸化セリウム粒子に代えて、平均粒子径80nmで板面方向における最大長さと厚さの比が約8の板状酸化アルミニウム(γ−アルミナ)粒子を砥粒として使用した以外は、実施例1と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは2.8mm、面積は110cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は43であった。
なお、この実施例で用いた板状の酸化アルミニウム粒子は、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同様の方法により作製したものである。この工具中の酸化アルミニウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1における平均粒子径21nmの板状酸化セリウム粒子に代えて、平均粒子径30nmで板面方向における最大長さと厚さの比が約3の板状酸化ジルコニウム粒子を砥粒として使用した以外は、実施例1と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは2.2mm、面積は105cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は50であった。
なお、この板状の酸化ジルコニウム粒子は、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ作製法により作製したものである。この工具中の酸化ジルコニウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1における平均粒子径21nmの板状酸化セリウム粒子に代えて、平均粒子径50nmで板面方向における最大長さと厚さの比が約5の板状酸化鉄粒子を砥粒として使用した以外は、実施例1と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは2.9mm、面積は110cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は41であった。
なお、この板状の酸化鉄粒子も、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ方法により作製したものである。この工具中の酸化鉄粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例1における平均粒子径21nmの板状酸化セリウム粒子に代えて、平均粒子径20nmのほぼ球状の酸化珪素粒子を砥粒として使用した以外は、実施例1と同様にして分散液および固定砥粒研削研磨用工具を作製した。なお、この実施例12で使用した酸化珪素粒子は、本発明の発明者の一人が開発した方法に基づき、既述した板状酸化セリウム粒子の作製法と基本的に同じ方法により作製したものであるが、最終工程の空気中加熱処理を、実施例1における「600℃、1時間」を「300℃、1時間」に変更して作製したものである。
さらにこの扁平状工具の両面をダイヤモンド定盤を使って平滑にした。最終的にこの工具は円形の扁平形状で、厚さは2.3mm、面積は105cm2 、厚さに対する平面方向における最大長さの比は50であった。この工具中の酸化珪素粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例2で示した板状酸化セリウム粒子を用い、実施例1と同様の方法で分散液を作製した。正極板として直径800mm、厚さ2mmの円形の黄銅板を使用した。負極としては、直径約1mmの黄銅棒を最外周の直径が約800mmになるようにらせん状に成形して、正極板と対向するように配置した。この組み合わせの電極を使用して、正極板上に、実施例1と同一条件で、アルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約5mmであった。
この堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥し、研磨して円形の固定砥粒研削研磨用工具とした。この工具の厚さは2.3mm、面積は2800cm2 、厚さに対する平面方方向の最大長さの比は260であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例2で示した板状酸化セリウム粒子を用い、実施例1と同様の方法で分散液を作製した。正極板として直径80mm、厚さ2mmの円形の黄銅板を使用した。負極としては、直径約1mmの黄銅棒を最外周の直径が約90mmになるようにらせん状に成形して、正極板と対向するように配置した。この組み合わせの電極を使用して、約8時間電圧を印加して、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約25mmであった。
この堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥し、研磨して円形の固定砥粒研削研磨用工具とした。この工具の厚さは19mm、面積は23cm2 、厚さに対する平面方方向の最大長さの比は2.8であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例14において、通電時間を約8時間から20分に変更した以外は実施例14と同様にして、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約2.5mmであった。
この堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥し、研磨して円形の固定砥粒研削研磨用工具とした。この工具の厚さは1.3mm、面積は21cm2 、厚さに対する平面方方向の最大長さの比は38であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
実施例2で示した板状酸化セリウム粒子を用い、実施例1と同様の方法で分散液を作製した。正極板として直径25mm、厚さ2mmの円形の黄銅板を使用した。負極としては、直径約1mmの黄銅棒を最外周の直径が約20mmになるようにらせん状に成形して、正極板と対向するように配置した。この組み合わせの電極を使用し、約30分間電圧を印加して、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約3mmであった。
この堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥し、研磨して円形の固定砥粒研削研磨工具とした。この工具の厚さは1.8mm、面積は1.8cm2 、厚さに対する平面方方向の最大長さの比は8.3であった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
[比較例1]
水260gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解した。この溶解液に市販のダイヤモンド砥粒(平均粒子径:カタログ値0.1μm)37gを添加し、攪拌機を用いて1時間分散した。この分散液をホットプレート上に乗せて、攪拌できなくなるまで水を加熱蒸発させた。
得られた濃縮混合体を円板状に成形加工し、実施例1と同様に室温で乾燥させ、さらに乾燥および平滑化処理後の厚さが2.5mm、面積が110cm2 になるように円形に切り出した。すなわち、比較例1は、砥粒としてダイヤモンド粒子を用い、これを水溶性高分子で固定して固定砥粒研削研磨用工具としたものである。
[比較例2]
水260gの水に、水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウム3gを溶解した。この溶解液に市販のα−アルミナ砥粒(平均粒子径:カタログ値0.3μm)37gを添加し、攪拌機を用いて1時間分散した。この分散液をホットプレート上に乗せて、攪拌できなくなるまで水を加熱蒸発させた。
この濃縮混合体を円板状に成形加工し、実施例1と同様に室温で乾燥させ、さらに乾燥および平滑化処理後の暑さが3.3mm、面積が110cm2 になるように円形に切り出した。すなわち、比較例2は、砥粒としてα−アルミナ粒子を用い、これを水溶性高分子で固定して固定砥粒研削研磨用工具としたものである。
[比較例3]
正極板として、実施例13で使用した直径800mm、厚さ2mmの円形の黄銅板に代えて、直径1000mm、厚さ2mmの円形の黄銅板を使用し、負極として、直径約1mmの黄銅棒を最外周の直径が約1100mmになるようにらせん状に成形して、正極板と対向するように配置した。この組み合わせの電極を使用して、正極板上に、実施例1と同一条件で、アルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約5mmであった。この工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
上記のようにして得られた堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥したが、乾燥時にひび割れが発生し易く、またひび割れを防止して乾燥できた場合でも、乾燥後の反りが激しく、研磨して固定砥粒研削研磨用工具とする工程においてひび割れが発生した。
[比較例4]
実施例14において通電時間を約8時間から10分に変更した以外は、実施例14と同様にして、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約1.5mmであった。またこの工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
得られた堆積物を実施例1と同様の方法で乾燥し、研磨して円形の固定砥粒研削研磨工具としたが、凹凸を除去するために、ダイヤモンド定盤を使って研磨する工程において、乾燥物が薄過ぎるために、均一な厚さの固定砥粒とすることができなかった。
[比較例5]
実施例16において通電時間を約30分から約8時間に変更して、正極板上にアルギン酸ナトリウムで覆われた板状の酸化セリウム粒子を堆積させた。このときの堆積厚さは約35mmであった。このようにして作製した工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
[比較例6]
実施例16で得た固定砥粒工具を、さらに円周部を削って厚さは1.8mmのままで、面積が0.8cm2 になるまで小さくした。このときの直径は約1cmであった。このようにして作製した工具中の酸化セリウム粒子および水溶性高分子の含有量は、それぞれ92.5重量%および7.5重量%であった。
《研削性の評価》
以上の各実施例および比較例で得られた固定砥粒研削研磨用工具の研削性能を調べるため、これらを用いて実際に被研磨体を研削し、その研削性を評価した。研削性の評価には、被研磨体として直径約3.5インチ(約8.9cm)の水晶ウエハーを用いた。研削性を調べるための装置としては、精工技研社製のファイバーポリッシャー(SFP−120A)を使用した。研削するにあたっては、まず前記ファイバーポリッシャーにおける厚さ約5mmの金属定盤(上部定盤)に接着剤を使って上記工具を固定した。一方、直径約120mmの下部定盤上に直径約3.5インチ(約8.9cm)の水晶ウエハーを固定し、この水晶ウェハーの上部に、上記工具を固定した上部定盤を乗せ、さらに上部定盤上に約3kgの重りを乗せた。そして、その状態で上部定盤を固定し、下部定盤を75rpmで回転させることにより、下部定盤上に固定した水晶ウエハーを研削した。
研削効率は、水晶ウエハー表面にAkashi社製のヌープ硬度計(HM−122)を用いて菱形の傷を3ヶ所入れ、3ヶ所の傷の深さの変化の平均値から評価した。この場合、研削の進行に伴い、傷の深さが小さくなるため、この変化値が大きいほど研削効率が高いことを示す。
一方、研削後の表面平滑性は、Zygo社製の非接触表面粗さ計(New View
5000)を用いて、水晶ウエハーの表面粗さRA値から評価した。RA値が小さいものほど表面平滑性が優れていることを示す。
表1に、以上の各実施例および比較例で作製した砥粒の種類、平均粒子径、工具の厚さ、工具の面積、および厚さに対する平面方向における最大長さの比を示す。また、表2に、以上の研削性の評価結果を示す。この表2には、研削性評価時の水添加の有無、1時間研削後の研削深さの変化値および研削面のRA値をまとめて示してある。
なお、比較例5の工具については、上記の方法で研削研磨試験を行ったが、固定砥粒の厚さ方向の硬度の均一性が悪く、安定した研削研磨性を得ることができなかった。また、比較例5の工具についても、同様の方法で研削研磨試験を行ったが、工具が小さいために、工具の被研磨体への当りが悪く、表面性の均一な研磨面を得ることができなかった。
表2から明らかなように、実施例1〜16で得られた本発明の固定砥粒研削研磨用工具は、研削効率と研削後の表面平滑性のバランスの良好な工具であることがわかる。中でも実施例1〜8、13〜15で得られた板状酸化セリウム粒子を用いた固定砥粒研削研磨用工具は、粒子が板状形状を有することによるエッジを利用した優れた機械的研削性と、砥粒が微粒子であることにもとずく優れた表面平滑性とを示す。さらに実施例6〜8に示すように、所定の酸化セリウム粒子を用いた固定砥粒研削研磨用工具に水を添加して使用すると、メカノケミカル作用により、研削効率が飛躍的に向上することがわかる。酸化セリウム粒子として、板状の酸化セリウム粒子を用い、かつ水を添加した実施例6および7では、この効果がさらに顕著になる。これらの実施例で得られる優れた表面平滑性は、工具中の砥粒として使用した酸化物粒子が20〜120nmと極めて微粒子であることに基づく。
実施例9〜11の固定砥粒研削研磨用工具は、板状の酸化アルミニウム粒子、板状の酸化ジルコニウム粒子および酸化鉄粒子を用いたものであり、酸化セリウム粒子を使用して、さらに水を添加して研削したものに比べて研削効率は劣るが、これは被研磨体として水晶ウエハーを用いたためである。被研磨体が例えば金属金型など、水晶ウエハー以外の場合には、これらの酸化物粒子を用いた工具が優れた研削効率を示すことがある。要するに本発明の工具に使用する砥粒は、被研磨体の種類あるいは研削条件によって、任意に選択することが好ましい。
一方、比較例1に示すダイヤモンド砥粒を用いた固定砥粒研削研磨用工具は、ダイヤモンド粒子の高い硬度を反映して研削効率は高いが、研削後に明らかに研削痕が残り、表面平滑性は著しく劣る。
平均粒子径が0.3μmのα−アルミナ粒子を用いた比較例2の固定砥粒研削研磨用工具では、α−アルミナは比較的高い硬度を反映して研削効率は比較的高いが、表面平滑性に劣る。
酸化セリウム粒子を用いた比較例3〜6の工具は、工具の形状において、厚さ、平面の面積、あるいは厚さに対する平面方向における最大長さの比が適当でないために、工具が乾燥時に割れたり、厚さ方向の硬度が不均一であったり、さらには被研磨体に均一に当らないなどの不具合があり、工具としては使用できない状態のものであることがわかる。
研磨面に放射線状の切り込み加工を施した円形扁平状の固定砥粒研削研磨用工具の一例を示す斜視図である。
研磨面に格子状の切り込み加工を施した円形扁平状の固定砥粒研削研磨用工具の一例を示す斜視図である。
研磨面に渦巻き状ないし同心円状の切り込み加工を施した円形扁平状の固定砥粒研削研磨用工具の一例を示す斜視図である。
研磨面に複数の穴(凹部)を形成した円形扁平状の固定砥粒研削研磨用工具の一例を示す斜視図である。
実施例1で得られた酸化セリウム粒子の20万倍の透過電子顕微鏡写真を示す図である。
実施例1で得られた酸化セリウム粒子のX線回折スペクトルを示す図である。
実施例2で得られた酸化セリウム粒子の20万倍の透過電子顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
1 固定砥粒研削研磨用工具
2 研磨面
3 溝
4 穴(凹部)