JP2006042701A - マイクロアレイを用いた生体活性の変化の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 サンプル中の各遺伝子やタンパク質の発現量を経時的に比較することで、マイクロアレイを用いた生体活性の変化を評価する。
【選択図】 なし
Description
Wilson, M. et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96: 12833-12838, 1999 Heller, R. A. et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 2150-2155, 1997
すなわち、本発明は以下の(1)〜(16)である。
(a)プローブ毎にサンプル及びコントロールまたは経過時間の異なるコントロールの生体活性を経時的に測定し、データを得る工程
(b)得られたデータよりコントロールの経時的な発現量及びサンプルの経時的な発現量またはコントロール同士の経時的な発現量を比較する工程、
を含む前記マイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(2)データを比較する工程が、サンプルの経時的な測定データとコントロールの基準時の測定データを比較する工程である前記(1)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(3)データを比較する工程が、
(a)ある時間経過後のコントロールの測定データ(Yc)と、それ以前の時間におけるコントロールの測定データ(Xc)が等しく時系列内で発現量が変化しない内部標準遺伝子を抽出する工程
(b)工程 (a)において抽出した内部標準遺伝子において、ある時間経過後のサンプル及びコントロールを競合させて得た測定データ(Yc’)と、それ以前の時間におけるサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Xc’)を等しくする係数(A)を求める工程
(c)工程(b)において得られた係数(A)を用いて目的とする遺伝子の各時間経過後のサンプル及びコントロールの測定データを補正する工程
を含む前記(1)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(4)データを比較する工程が、
(a)目的とする遺伝子のある時間経過後の測定データ(Yc)を1として、目的とする遺伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)の発現量比(B)を算出する工程
(b)工程(a)において得られた発現量比(B)を用いて目的とする遺伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)を補正する工程
をさらに含む前記(1)または(3)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(5)測定する試料がDNA、RNA、タンパク質、化学物質である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(6)測定する試料が、化学処理されたサンプル及び無処理のコントロールである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(7)化学処理がレチノイン酸またはカドミウムによる処理である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(8)マイクロアレイ上の固定化されたプローブが、DNA、RNA、抗体、ペプチド、既知タンパク質の断片、化学物質である前記(1)〜(7)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(9)マイクロアレイ上の固定化されたプローブが、初期発生段階の細胞のDNA、RNA、ペプチド、既知タンパク質の断片である前記(1)〜(8)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(10)ラベル化した複数のプローブを、マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロール、または、経過時間の異なるコントロールとハイブリダイズさせることによって、該ラベル量を測定する生体活性の測定データの評価方法であって、以下の工程:
(a)プローブ毎にサンプル及びコントロール、または経過時間の異なるコントロールの生体活性を経時的に測定し、データを得る工程、
(b)得られたデータよりコントロールの経時的な発現量及びサンプルの経時的な発現量またはコントロール同士の経時的な発現量を比較する工程、
を含む前記マイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(11)データを比較する工程が、サンプルの経時的な測定データとコントロールの基準時の測定データを比較する工程である前記(10)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(12)データを比較する工程が、
(a)コントロールについてある時間経過後の測定データ(Yc)と、それ以前の時間における測定データ(Xc)が等しく、時系列内で発現量が変化しない内部標準遺伝子を抽出する工程
(b)工程(a)において抽出した内部標準遺伝子において、ある時間経過後のサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Yc’)と、それ以前の時間におけるサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Xc’)を等しくする係数(A)を求める工程
(c)工程(b)において得られた係数(A)を用いて目的とする遺伝子の各時間経過後のサンプル及びコントロールの測定データを補正する工程
を含む前記(10)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(13)データを比較する工程が、
(a)目的とする遺伝子のある時間経過後の測定データ(Yc)を1として、目的とする遺伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)の発現量比(B)を算出する工程
(b)工程(a)において得られた発現量比(B)を用いて目的とする遺伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)を補正する工程
をさらに含む前記(10)または(12)に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(14)マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロールが卵(あるいは胚)、細胞である前記(10)〜(13)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(15)マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロールが、化学処理されたサンプル及び無処理のコントロールである前記(10)〜(14)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
(16)化学処理がレチノイン酸またはカドミウムによる処理である前記(10)〜(15)のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
また、プローブは蛍光、色素、放射性物質等でラベルすることもでき、調べたい目的に応じてアレイ基板のボリュームが許す限り何色でラベルしても良い。
さらに、これらに加えて処理時間の異なる細胞の遺伝子を緑色でラベルすることができる。このように試料を3色でラベルした場合においては、ハイブリダイズによって、アレイ上で緑色に標識されたスポットには処理時間の違いによって影響を受ける遺伝子が存在することも一目で確認することができる。これらを比較することで薬剤処理における遺伝子の発現変化を、経時的に評価することも可能である。
ゼブラフィッシュは水温28℃、明期14時間、暗期10時間で飼育されたものを使用した。受精卵は、任意に選んだ健康な雌雄数組が産んだ直後のものを採取し、飼育水をHoltfreter’s solution(以下、HSと略す)に置換して28℃で飼育した。HSは表1に示す組成で調製した。また、以降、受精後0、6、12、18、24、および48時間(以下、hpf:hour per fertilizationと略す)の胚とは、前後15分間を含む30分間に産卵された胚を0hpfとして、HSにて28℃で飼育した場合の各時間後の胚と定義した。
ゼブラフィッシュ(未受精卵及び受精後0〜24時間目の初期胚)より抽出した5579遺伝子(cDNA)とコントロール遺伝子(ヒト、アラビドプシス(Arabidopsis)29遺伝子)をPlasmidPrep(登録商標、Qiagen社製)で精製し、これをテンプレートとしてPCRを行った。ゼブラフィッシュ遺伝子に用いたPCRのプライマーは配列表配列番号1(λTriplEx5’)および配列番号2(λTriplEx3’)に示した。また、ヒトおよびアラビドプシス遺伝子に用いたプライマーは配列表配列番号3(M13−20Primer)および配列表配列番号4(Reverse Primer)に示した。得られたPCR産物を電気泳動で確認後、回収・濃縮して再度電気泳動して濃度を確認した。PCR産物は凍結乾燥した後、スポット溶液(3×SSC;0.45M塩化ナトリウム,0.045M クエン酸ナトリウム)に溶解して、384穴プレートに移してAffimetrix417Arrayer(登録商標、Affimetrix社製)を用いてスポッティングを行い、ハウスメイドマイクロアレイMZM(以下MZM:Mie University Zebrafish Microarrayと略す)を作製した。MZMにおいて蛍光標識の組み合わせを替えて試験を行い、再現性を見ることによりデータの精度を上げた。作製したMZMは一枚のマイクロアレイ上に同じスポット群UpperとLowerの2組ずつスポットされているため、1枚につき2回分のアレイデータが得られた。
RNA抽出からラベリングの操作は、器具および試薬等のすべてについてRNase−freeの状態で行った。ラベリング以降の操作はサンプルを遮光し、蛍光標識の退光を防いだ。産卵された直後の受精卵をHSバッファおよび1.0×10−8M レチノイン酸(以下、atRAと略す)を含むHSバッファに曝露し、28℃で24hpfまで飼育した。生存している胚を採集し、卵膜表面の水分を充分に除去して計量した後、15ml容遠沈管に移して、10倍量のISOGEN(登録商標、ニッポンジーン社製)またはQIAzol(登録商標、Qiagen社製)を加えた。これを針(21G×11/2”,テルモ社製)とシリンジ(テルモ社製)を用いて胚が完全に懸濁するまでホモジナイズした。なお、ホモジナイズしたサンプルは、十分量の胚(胚重量約1000mg=マイクロアレイ5枚前後)を採集できるまで、−80℃で凍結保存した。
凍結保存していたサンプルを融解し、室温に5分間静置した。これに、ISOGEN(登録商標)またはQIAzol(登録商標)量の1/5量のクロロホルムを加え、15秒間激しく振とうして室温に2〜3分間静置した。遠心分離(8,000rpm、15分間、4℃)後、水層を新たなチューブへ移し、これと等量の70%エタノールを加えて数分間ボルテックスした。さらに、得られたサンプルからのtotalRNAの抽出にはRNeasy Midi kit(登録商標、Qiagen社製)を使用し、最終的に200μlのDEPC処理水で溶出した。溶出液1μlをDEPC処理水により70倍希釈し、OD260およびOD280の吸収を測定して濃度および精製度を算出した。RNA濃度が1.1μg/μl以下であったサンプルについては、逆転写反応に充分な濃度に達するようにエタノール沈殿を行って濃縮した。
前記I−2−2で得られたtotalRNAはoligodTプライマーを用いてmRNAのみを特異的に逆転写した。また同時に、dNTPにCy3あるいはCy5−dNTPを加えて、転写されるcDNAを蛍光標識した。すなわち、新しい0.5ml容チューブにtotalRNAを40μg、0.5μg/μl oligodTプライマーを8μl加え、総量が46μlとなるようにDEPC処理水を加えて穏やかに混合した。これを、70℃で10分間静置した後、氷上に移して表2に示した試薬を加えてよく混合した。逆転写酵素はSuperscriptII reverse transcriptase(登録商標、Invitrogen社製)を用いた。これを4℃で5分間、23℃で10分間、42℃で120分間反応させ、0.5M EDTAを20μl、1N NaOHを20μl加えて65℃に15分間静置後、4℃に移した。これに1M Tris−HCl(pH7.4)を50μl加えた。以下、HSバッファに曝露した受精卵由来のcDNAをコントロールとして、atRAを含むHSバッファに曝露した受精卵由来のcDNAをサンプルとした。
Cy3またはCy5標識されたcDNAの精製はQIAquick PCR purification kit(登録商標、Qiagen社製)を使用した。溶出は100μlの溶出液で行い、得られたCy3およびCy5で標識された溶出液を新しい1.5ml容チューブに加えて混合した。また、混合する組み合わせは表3に従った。これに300μlのTE(10mM Tris−HCl,pH8.0,1mM EDTA)を加えた。全溶液(500μl)を1.5ml容チューブにセットしたMicrocon YM−30 sample reserver(登録商標、Millipore社製)に移して、遠心分離(12,000rpm、13分間、室温)してサンプルを濃縮した。このときリザーバー内に直径1mm程度の紫色の水滴が残るのがよく、13分間の遠心分離で足りない場合はさらに1分間遠心分離をした。また、濃縮され過ぎていた場合にはTEを5μl加えた。リザーバーをチューブから外して上下を逆にし、新たな1.5ml容チューブにセットした。遠心分離(3,000rpm、5分間、室温)後、リザーバー内のサンプルを新しいチューブに移した。
濃縮したサンプルに10μg/μl Yeast tRNAを0.5μl、20×SSCを12.5μl、50×Denhaedt’s solution、10%SDSを6.5μl、ハイブリダイゼーション溶液を10μl加え混和した。TEで全量を40μlにして95℃で2分間静置した後、氷上に移した。さらに、コンペティターDNAとして1μg/μl salmon sperm DNAを5μl、ホルムアミドを5μl加え、ハイブリダイゼーション前に42℃で2分間加熱した。cDNAマイクロアレイは前記MZMを用いた。cDNAマイクロアレイに埃等が付着すると蛍光解析に支障を来たすため、これ以降の操作はパウダーフリーのグローブを装着して慎重に行った。マイクロアレイの両面をエアースプレーで吹き、スポット面の中央にサンプルを滴下した。この上からカバーガラスをマイクロアレイとの間に空気が入らないようにゆっくりと被せ、乾燥防止のための滅菌水を加えたハイブリダイゼーションチャンバーに入れて、65℃で16〜24時間ハイブリダイズした。
ハイブリダイゼーション後のマイクロアレイは、カバーガラスが外れるまで2×SSC、0.1%SDSの入ったグラスボックスに浸漬した。カバーガラスを外す際は、スポット上をカバーガラスが何度も擦れることがないように細心の注意を払った。その後、2×SSC、0.1%SDSに沈めた洗浄台にマイクロアレイをセットし、スターラーで撹拌することにより洗浄した。続けて、1×SSC、0.5×SSCおよび0.1×SSCへと洗浄液を変えて同様に洗浄した。洗浄したマイクロアレイは、自然乾燥する前にエアースプレーによって急速に水分を完全に飛ばしてスキャンニングの操作へ移った。
cDNAマイクロアレイのスキャンニングは、DNAマイクロアレイ用共焦点型レーザースキャナーScanArray 5000(登録商標、GSI Lumonics社製)を用いた。スライドガラス上から得られた画像イメージは、TIFFおよびBMP形式で出力して両形式で保存し、解析にはTIFF画像を用いた。画像からの蛍光シグナル強度の数値化は、GenePix(登録商標、Amersham社製)およびQuantArray(登録商標、GSI Lumonics社製)を用いて行い、数値化したデータの解析にはGeneSpring(登録商標、Silicon Genetics社製)を用いた。得られたデータのグラフを図2に示した。また、MZM上にスポットされているゼブラフィッシュS100A1の遺伝子の発現に関して、MZMのデータを解析した。atRAで処理したサンプルまたは未処理のコントロールとハイブリダイズしたMZM上のS100A1の配列のスポット(10−8Mレチノイン酸曝露による受精後24時間のRNAを使用)において測定された蛍光強度を表4に示した。試験は3回行った。
HSおよび1.0×10−8M atRAを含むHS曝露した各発生時間の胚におけるS100A1遺伝子発現量はリアルタイムPCR法を用いて定量した。リアルタイムPCRはABI PRISM 7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)を使用し、PCR反応および発現量の測定を同時に行った。PCRには5’ to 3’のヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれているTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社製)を用いて行った。配列表配列番号5(ZA1−RT−F)および配列番号6(ZA1−RT−R)に記載のプライマーと配列表配列番号7に記載のプローブ(ZA1−probe)を使用し、表5に示したTm値、PCR反応液組成、ならびにPCRサイクル条件にてPCRを実施した。なお、リアルタイムPCR法では5’末端にレポーター色素となるFAM(登録商標)および3’末端に失活色素となるTAMRA(登録商標)を使用する。
前記試験例1により得られたatRA処理によるゼブラフィッシュの受精後の胚におけるS100A1遺伝子発現量の変化を経時的に解析した。表4に示した0、6、12、及び24 hpfのコントロール及びサンプルにおけるS100A1遺伝子発現量の変化を、6hpfを基準時として検討した。
コントロール及びサンプルにおけるS100A1遺伝子発現量の経時的な変化を図4a)に示した。サンプルにおけるS100A1遺伝子発現量は、コントロールと同様に0hpfから経時的に低下していることが示された。一方で、atRA処理によりS100A1遺伝子の発現量はコントロールに比べて発現量の低下の割合が低いことが示された。この結果は試験例2におけるリアルタイムPCRによっても裏付けることができた(図3)。
表4に示された0,6,12及び24時間の6時間目と12時間目におけるコントロール及びサンプルのS100A1遺伝子発現量の変化を検討した。
6時間目と12時間目のコントロール及びサンプルにおけるS100A1遺伝子発現量を図4b)、c)に示した。サンプルにおけるS100A1遺伝子発現量は、コントロールと比較して、6時間目及び12時間目ともに増大していることが示された。このように各時間のコントロール及びサンプルを比較する従来の解析方法においては、atRA処理によってS100A1遺伝子の発現が促進されると示唆された。しかし、実施例1で示した図4a)と比較すると、6時間目及び12時間目におけるサンプルのS100A1遺伝子発現量は、6時間目あるいは12時間目のある特定の時間について検討しているだけであって、実際はatRA処理によってS100A1遺伝子の発現が促進されるのではなく、実施例1に示すようにコントロールと比較して、発現量の低下の割合が低いだけであることが明確となった。
前記試験例1により得られたatRA処理によるゼブラフィッシュの受精後の胚におけるS100A1遺伝子発現量の変化を経時的に解析した。解析にあたり、ある時間経過後のコントロールの測定データ(以下、Ycと示す)と、それ以前の時間におけるコントロールの測定データ(以下、Xcと示す)が等しく、時系列内で発現量が変化しない内部標準遺伝子を抽出した。そして、抽出した遺伝子においてある時間経過後のサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Yc’)と、それ以前の時間におけるサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Xc’)を測定し、これらを等しくする係数(A)を求めた。この得られた係数(A)を目的とする遺伝子における各時間経過後のサンプル及びコントロールの測定データに乗じ、補正を行った。
補正によるコントロール及びサンプルにおけるS100A1遺伝子発現量の経時的な変化を図5に示した。補正により、サンプルにおけるS100A1遺伝子発現量は減少するものの、atRA処理によって、発現量の低下の割合が低いことが示された。この方法により、異なった試験区及び時点でのDNAマイクロアレイ解析の結果を補正して、真の発現量を得ることで、試験区間の差異を時系列内の異なった時点間においても正確に把握することが可能となった。
Claims (16)
- ラベル化したサンプルとラベル化したコントロールを競合させつつ、または、経過時間の異なるラベル化したコントロールを競合させつつ、マイクロアレイ上の固定化された複数のプローブとハイブリダイズさせることによって、該ラベル量を測定する生体活性の測定データの評価方法であって、以下の工程:
(a) プローブ毎にサンプル及びコントロールまたは経過時間の異なるコントロールの生体 活性を経時的に測定し、データを得る工程
(b) 得られたデータよりコントロールの経時的な発現量及びサンプルの経時的な発現量ま たはコントロール同士の経時的な発現量を比較する工程、
を含む前記マイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - データを比較する工程が、サンプルの経時的な測定データとコントロールの基準時の測定データを比較する工程である請求項1に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- データを比較する工程が、
(a) ある時間経過後のコントロールの測定データ(Yc)と、それ以前の時間におけるコ ントロールの測定データ(Xc)が等しく時系列内で発現量が変化しない内部標準遺 伝子を抽出する工程
(b) 工程(a)において抽出した内部標準遺伝子において、ある時間経過後のサンプル及 びコントロールを競合させて得た測定データ(Yc’)と、それ以前の時間における サンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Xc’)を 等しくする係数(A)を求める工程
(c) 工程(b)において得られた係数(A)を用いて目的とする遺伝子の各時間経過後の サンプル及びコントロールの測定データを補正する工程
を含む請求項1に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - データを比較する工程が、
(a) 目的とする遺伝子のある時間経過後の測定データ(Yc)を1として、目的とする遺 伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)の発現量比(B)を算出する工程
(b) 工程(a)において得られた発現量比(B)を用いて目的とする遺伝子のそれ以前の 時間における測定データ(Xc)を補正する工程
をさらに含む請求項1または3に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - 測定する試料がDNA、RNA、タンパク質、化学物質である請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- 測定する試料が、化学処理されたサンプル及び無処理のコントロールである請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- 化学処理がレチノイン酸またはカドミウムによる処理である請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- マイクロアレイ上の固定化されたプローブが、DNA、RNA、抗体、ペプチド、既知タンパク質の断片、化学物質である請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- マイクロアレイ上の固定化されたプローブが、初期発生段階の細胞のDNA、RNA、ペプチド、既知タンパク質の断片である請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- ラベル化した複数のプローブを、マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロール、または、経過時間の異なるコントロールとハイブリダイズさせることによって、該ラベル量を測定する生体活性の測定データの評価方法であって、以下の工程:
(a) プローブ毎にサンプル及びコントロール、または経過時間の異なるコントロールの生 体活性を経時的に測定し、データを得る工程、
(b) 得られたデータよりコントロールの経時的な発現量及びサンプルの経時的な発現量ま たはコントロール同士の経時的な発現量を比較する工程、
を含む前記マイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - データを比較する工程が、サンプルの経時的な測定データとコントロールの基準時の測定データを比較する工程である請求項10に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- データを比較する工程が、
(a) コントロールについてある時間経過後の測定データ(Yc)と、それ以前の時間にお ける測定データ(Xc)が等しく、時系列内で発現量が変化しない内部標準遺伝子を 抽出する工程
(b) 工程(a)において抽出した内部標準遺伝子において、ある時間経過後のサンプル及 びコントロールを競合させて得たコントロールの測定データ(Yc’)と、それ以前 の時間におけるサンプル及びコントロールを競合させて得たコントロールの測定デー タ(Xc’)を等しくする係数(A)を求める工程
(c) 工程(b)において得られた係数(A)を用いて目的とする遺伝子の各時間経過後の サンプル及びコントロールの測定データを補正する工程
を含む請求項10に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - データを比較する工程が、
(a) 目的とする遺伝子のある時間経過後の測定データ(Yc)を1として、目的とする遺 伝子のそれ以前の時間における測定データ(Xc)の発現量比(B)を算出する工程
(b) 工程(a)において得られた発現量比(B)を用いて目的とする遺伝子のそれ以前の 時間における測定データ(Xc)を補正する工程
をさらに含む請求項10または12に記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。 - マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロールが卵(あるいは胚)、細胞である請求項10〜13のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- マイクロアレイ上の固定化されたサンプル及びコントロールが、化学処理されたサンプル及び無処理のコントロールである請求項10〜14のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
- 化学処理がレチノイン酸またはカドミウムによる処理である請求項10〜15のいずれかに記載のマイクロアレイを用いた測定データの評価方法。
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JPN6010041842, Toxicol. In Vitro, (2001), 15, [4−5], p.393−398 * |
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