JP2006042622A - イチゴの四季成り性を検定するdnaマーカー - Google Patents
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Abstract
【課題】 イチゴの四季成り性遺伝子の近傍に座乗するDNAマーカー、該マーカーを増幅するためのプライマーを提供し、該マーカーを利用した四季成り性と一季成り性を簡便に判定する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】イチゴの四季成り性の単因子優性遺伝子の近傍で、イチゴの品種間で保存された塩基配列に基づくプライマーを設計し、PCRで特異的に増幅させ、増幅断片を検出することによって四季成り性遺伝子の有無を検出し、四季成り性と一季成り性を判定する。
【選択図】 なし
【解決手段】イチゴの四季成り性の単因子優性遺伝子の近傍で、イチゴの品種間で保存された塩基配列に基づくプライマーを設計し、PCRで特異的に増幅させ、増幅断片を検出することによって四季成り性遺伝子の有無を検出し、四季成り性と一季成り性を判定する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、イチゴの四季成り性遺伝子の近傍に座乗するDNAマーカー、該マーカーを増幅するためのプライマーを提供し、該マーカーを用いてイチゴの四季成り性と一季成り性を検定する方法に関する。本発明は、DNAマーカーを用いたイチゴの四季成り性品種の育成に利用される。
イチゴの四季成り性品種の育種は、イチゴの四季成り性母本と一季成り性母本との交配、または四季成り性母本間の交配による。これらの交配により得られた種子を通常、春期に播種、その後育苗し秋期に植え付け、翌年の春〜秋期にかけて花芽形成を観察し四季成り性か一季成り性かを判定する。この約2年を要する四季成り性選抜の煩雑さのため、四季成り性イチゴの育種は困難とされている。実際、実用的な四季成り性イチゴ品種は極めて少ない。
近年、DNA分析に基づき遺伝子の有無を判定する、いわゆるマーカー選抜技術が開発されてきた。この方法では、まず、染色体において対象とする遺伝子に近接して座乗するDNAを探索する。このDNAは、対象とする遺伝子に近接しているほど効果が高い。このDNAを分析することで、対象とする遺伝子の有無を判定し、育種を効率化させる技術がマーカー選抜技術である。
門馬ら(非特許文献1=野菜・茶業試験場研究報告 1990 C.1, 21-29)は、イチゴの四季成り性が単因子優性の遺伝子に支配されていることを見出した。山元ら(非特許文献2=http://ss.cgk.affrc.go.jp/dbase/seika/nendo/h13/seibutu/we13027.html)は、四季成り性を約80%の精度で判定するDNAマーカーを、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法と呼ばれるPCR法を応用した方法によって開発した。
RAPD法では、無作為に配列された10塩基程度の短いオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる。このため、塩基配列情報無しにDNAマーカーが開発できる。しかし、短いプライマーを利用するため、アニール温度を低く設定しなければならず、PCRが不安定になる。その結果、不純物を多く含むDNAを鋳型とした場合、目的とするDNAが増幅されないことが頻発するという欠点がある。RAPD法によるDNAマーカーは、PCR法によりDNAの増幅断片が得られる優性(陽性)と、反応が無くDNAの増幅断片が得られない劣性(陰性)で判定する、いわゆる優性マーカーである場合がほとんどである。RAPD法は、優性であってもDNAの純度が低い場合、PCRによる増幅が無く、劣性と誤判定することがある。このような理由から、RAPD法によるDNAマーカーは、誤判定が多く再現性の低い方法と評価されている。従って、山元らの方法は、実用的ではない。また、山元らの方法では、塩基配列を決定しないので、塩基配列を利用する技術に比べて精度が落ちるという難点がある。
また、山元らの技術は、特異性の高いDNAマーカーを開発したわけではないことから、実用できるものではない。
しかし、これまでにイチゴの四季成り性遺伝子の近傍に座乗する塩基配列情報は、全く知られていない。
門馬ら、野菜・茶業試験場研究報告 1990 C.1, 21-29 山元義久ら、"DNAマーカー利用によるイチゴ四季成り性のQTL解析"、[online]、平成14年8月、平成13年度近畿中国四国農業研究成果情報[平成16年5月検索]、インターネット<URL:http://ss.cgk.affrc.go.jp/dbase/seika/nendo/h13/seibutu/we13027.html>
門馬ら、野菜・茶業試験場研究報告 1990 C.1, 21-29 山元義久ら、"DNAマーカー利用によるイチゴ四季成り性のQTL解析"、[online]、平成14年8月、平成13年度近畿中国四国農業研究成果情報[平成16年5月検索]、インターネット<URL:http://ss.cgk.affrc.go.jp/dbase/seika/nendo/h13/seibutu/we13027.html>
本発明は、イチゴの四季成り性をより高い精度で、簡便に判定するためのマーカーを提供することを課題とする。
本発明者らは、四季成り性のイチゴ品種の染色体より、四季成り性のイチゴ品種の染色体の単因子優性遺伝子の近傍に座乗する塩基配列から開発したDNAマーカーと、該マーカーを増幅するためのプライマーを提供し、該マーカーを利用した四季成り性と一季成り性を簡便かつ安定的に検定する方法を提供することにより上記課題を解決した。特に、四季成り性遺伝子の近傍に座乗するDNAを探索して見いだされた、配列番号1および配列番号2を利用する場合、従来の方法に比べて、格段に高い精度でイチゴの四季成り性を判定することができるようになった。この塩基配列からプライマー対を設計することにより、四季成り性遺伝子の近傍に座乗したDNAマーカーを得ることができる。さらに、単離した塩基配列中には、マイクロサテライトを含むことを見出した。本発明者らは、配列番号1および配列番号2のDNA配列を利用して、2種類のプライマー対を合成し、安定してPCR法でDNA断片を増幅させることに成功、四季成り性遺伝子の近傍に座乗するDNAマーカーを開発するに至った。このDNAマーカーを用いて増幅されるDNA断片を解析することで、四季成り性遺伝子の有無を検出し、簡便に四季成り性と一季成り性を検定できることを見出した。
従って、本発明は以下を提供する。
(1) 配列番号1に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
(2) 上記識別を可能とするに十分な配列は、上記配列番号1に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、項目1に記載の核酸分子。
(3) 上記核酸分子は、上記配列番号1に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、項目1に記載の核酸分子。
(4) 上記核酸分子は、上記配列番号1に記載の配列の一部または全部の配列を含む、項目1に記載の核酸分子。
(5) 配列番号1に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
(6) 配列番号2に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
(7) 上記識別を可能とするに十分な配列は、上記配列番号2に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、項目6に記載の核酸分子。
(8) 上記核酸分子は、上記配列番号2に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、項目6に記載の核酸分子。
(9) 上記核酸分子は、上記配列番号2に記載の配列の一部または全部の配列を含む、項目6に記載の核酸分子。
(10) 配列番号2に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
(11) 配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第一核酸分子と、配列番号1に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第二核酸分子とを含み、上記第一核酸分子に由来する配列は、上記配列番号1において、上記第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
(12) 配列番号2に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子と、配列番号2に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子と含み、上記第一核酸分子に由来する配列は、上記配列番号2において、上記第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
(13) イチゴの四季成り性の有無の検定のための方法であって、
A)被験体中の核酸を抽出する工程;および
B)上記核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する工程であって、上記核酸が上記配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、上記被験体は、四季成り性を有すると判定する、工程、
を包含する、方法。
(14) イチゴの四季成り性の有無の検定のためのキットであって、
A)被験体中の核酸を抽出する手段;および
B)上記核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する手段であって、上記核酸が上記配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、上記被験体は、四季成り性を有すると判定する、手段、
を備える、キット。
(15) イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングする方法であって、
A)上記配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する工程;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において上記核酸分子とを接触させる工程;および
C)上記接触後、相互作用する候補化合物を、上記イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する工程、
を包含する、方法。
(16) イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングするキットであって、
A)上記配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する手段;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において上記核酸分子とを接触させる手段であって、上記接触後、相互作用する候補化合物を、上記イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する、手段、
を備える、キット。
(1) 配列番号1に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
(2) 上記識別を可能とするに十分な配列は、上記配列番号1に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、項目1に記載の核酸分子。
(3) 上記核酸分子は、上記配列番号1に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、項目1に記載の核酸分子。
(4) 上記核酸分子は、上記配列番号1に記載の配列の一部または全部の配列を含む、項目1に記載の核酸分子。
(5) 配列番号1に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
(6) 配列番号2に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
(7) 上記識別を可能とするに十分な配列は、上記配列番号2に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、項目6に記載の核酸分子。
(8) 上記核酸分子は、上記配列番号2に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、項目6に記載の核酸分子。
(9) 上記核酸分子は、上記配列番号2に記載の配列の一部または全部の配列を含む、項目6に記載の核酸分子。
(10) 配列番号2に記載の塩基配列または上記塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
(11) 配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第一核酸分子と、配列番号1に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第二核酸分子とを含み、上記第一核酸分子に由来する配列は、上記配列番号1において、上記第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
(12) 配列番号2に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子と、配列番号2に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または上記塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子と含み、上記第一核酸分子に由来する配列は、上記配列番号2において、上記第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
(13) イチゴの四季成り性の有無の検定のための方法であって、
A)被験体中の核酸を抽出する工程;および
B)上記核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する工程であって、上記核酸が上記配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、上記被験体は、四季成り性を有すると判定する、工程、
を包含する、方法。
(14) イチゴの四季成り性の有無の検定のためのキットであって、
A)被験体中の核酸を抽出する手段;および
B)上記核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する手段であって、上記核酸が上記配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、上記被験体は、四季成り性を有すると判定する、手段、
を備える、キット。
(15) イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングする方法であって、
A)上記配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する工程;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において上記核酸分子とを接触させる工程;および
C)上記接触後、相互作用する候補化合物を、上記イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する工程、
を包含する、方法。
(16) イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングするキットであって、
A)上記配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する手段;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において上記核酸分子とを接触させる手段であって、上記接触後、相互作用する候補化合物を、上記イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する、手段、
を備える、キット。
本発明は、代表的には、(1)配列番号1を有する塩基配列のDNA、(2)配列番号2を有する塩基配列のDNA、(3)配列番号1からプライマーを設計し、四季成り性遺伝子の有無をPCR法によりDNAマーカーとして検出し、四季成り性と一季成り性を検定する方法。(4)配列番号2からプライマーを設計し、四季成り性遺伝子の有無をPCR法によりDNAマーカーとして検出し、四季成り性と一季成り性を検定する方法、を含む。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および添付の図面、ならびに当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、以下に記載する本発明の効果の他、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
本発明を用いることにより、従来の方法よりも格段に精度よく、簡便に、イチゴの四季成り性を判定することができる。DNAレベルで安定かつ簡便に四季成り性の有無を判定することができ、イチゴ四季成り性品種の育種において幼苗選抜が可能となる。より詳細には、本発明により、四季成り性遺伝子の近傍に位置するDNAマーカーと、このDNAマーカーを増幅するためのプライマーが提供され、DNAレベルで簡便に四季成り性と一季成り性を判定することができ、イチゴ四季成り性品種の育種において幼苗選抜が可能となる。
日本で育成されている四季成りイチゴは、単因性の優性遺伝であることが知られており、本発明は、任意の四季成りイチゴに適用されることが理解される(Hancockら、Eiphytica 126、177−184、2002)。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
(用語)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
(生化学)
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
本明細書において「核酸分子」もまた、本明細書において、核酸、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用され、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどを含む。本明細書では、核酸および核酸分子は、用語「遺伝子」の概念に含まれ得る。ある遺伝子配列をコードする核酸分子はまた、「スプライス変異体(改変体)」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。
本明細書において「複合分子」とは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖などの分子が複数種連結してできた分子をいう。そのような複合分子としては、例えば、糖脂質、糖ペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書では、配列番号1または2に記載される配列を認識する限り、そのような複合分子も使用することができる。
本明細書において「単離された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子が天然に存在する生物体の細胞内の他の生物学的因子(例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製されたものをいう。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。
本明細書中で使用される用語「精製された」および「単離された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。
本明細書において、「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定するものを構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子(たとえば、プロモーター)という。本明細書では、遺伝子は、特に言及しない限り、構造遺伝子および調節遺伝子を包含する。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を指すことがある。本明細書においてはまた、「遺伝子産物」は、遺伝子によって発現された「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を包含する。当業者であれば、遺伝子産物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。
本明細書において遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて同一性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、同一性と類似性とは同じ数値を示す。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.9 (2004.5.12 発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
その文字コードは以下のとおりである。
アミノ酸
3文字記号 1文字記号 意味
Ala A アラニン
Cys C システイン
Asp D アスパラギン酸
Glu E グルタミン酸
Phe F フェニルアラニン
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
Ile I イソロイシン
Lys K リジン
Leu L ロイシン
Met M メチオニン
Asn N アスパラギン
Pro P プロリン
Gln Q グルタミン
Arg R アルギニン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
VaL V バリン
Trp W トリプトファン
Tyr Y チロシン
Asx アスパラギンまたはアスパラギン酸
Glx グルタミンまたはグルタミン酸
Xaa 不明または他のアミノ酸。
アミノ酸
3文字記号 1文字記号 意味
Ala A アラニン
Cys C システイン
Asp D アスパラギン酸
Glu E グルタミン酸
Phe F フェニルアラニン
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
Ile I イソロイシン
Lys K リジン
Leu L ロイシン
Met M メチオニン
Asn N アスパラギン
Pro P プロリン
Gln Q グルタミン
Arg R アルギニン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
VaL V バリン
Trp W トリプトファン
Tyr Y チロシン
Asx アスパラギンまたはアスパラギン酸
Glx グルタミンまたはグルタミン酸
Xaa 不明または他のアミノ酸。
塩基
記号 意味
a アデニン
g グアニン
c シトシン
t チミン
u ウラシル
r グアニンまたはアデニンプリン
y チミン/ウラシルまたはシトシンピリミジン
m アデニンまたはシトシンアミノ基
k グアニンまたはチミン/ウラシルケト基
s グアニンまたはシトシン
w アデニンまたはチミン/ウラシル
b グアニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル
d アデニンまたはグアニンまたはチミン/ウラシル
h アデニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル
v アデニンまたはグアニンまたはシトシン
n アデニンまたはグアニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル、不明、または他の塩基。
記号 意味
a アデニン
g グアニン
c シトシン
t チミン
u ウラシル
r グアニンまたはアデニンプリン
y チミン/ウラシルまたはシトシンピリミジン
m アデニンまたはシトシンアミノ基
k グアニンまたはチミン/ウラシルケト基
s グアニンまたはシトシン
w アデニンまたはチミン/ウラシル
b グアニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル
d アデニンまたはグアニンまたはチミン/ウラシル
h アデニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル
v アデニンまたはグアニンまたはシトシン
n アデニンまたはグアニンまたはシトシンまたはチミン/ウラシル、不明、または他の塩基。
本明細書において、「対応する」アミノ酸または核酸とは、それぞれあるポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子において、比較の基準となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、あるいは有することが予測されるアミノ酸または核酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、あるポリヌクレオチドのアンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。
本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。本発明は、このような対応する遺伝子の相違点を見出したことに特徴があるというべきである。
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本発明では、生体分子としてポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどが使用される場合、所望の目的(例えば、植物の種の識別など)が達成される限り、このようなフラグメントもまた、全長のものと同様に使用され得ることが理解される。
本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能を発揮する活性が包含される。例えば、ある因子がアンチセンス分子である場合、その生物学的活性は、対象となる核酸分子への結合、それによる発現抑制などを包含する。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。
本明細書において「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。
「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、血管新生、細胞再生など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
(特異的に結合する因子)
本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子およびその集合体をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイルスなどを含むがそれらに限定されない。生体分子は、生体から抽出される分子およびその集合体を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子およびその集合体であれば生体分子の定義に入る。したがって、医薬品として利用され得る低分子(たとえば、低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子、およびその集合体(例えば、細胞外マトリクス、線維など)などが包含されるがそれらに限定されない。本明細書において、生体分子は、細胞増殖因子を含むことが意図される。
本明細書において使用される用語「生体分子」とは、生体に関連する分子およびその集合体をいう。本明細書において「生体」とは、生物学的な有機体をいい、動物、植物、菌類、ウイルスなどを含むがそれらに限定されない。生体分子は、生体から抽出される分子およびその集合体を包含するが、それに限定されず、生体に影響を与え得る分子およびその集合体であれば生体分子の定義に入る。したがって、医薬品として利用され得る低分子(たとえば、低分子リガンドなど)もまた生体への効果が意図され得るかぎり、生体分子の定義に入る。そのような生体分子には、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子など)、これらの複合分子、およびその集合体(例えば、細胞外マトリクス、線維など)などが包含されるがそれらに限定されない。本明細書において、生体分子は、細胞増殖因子を含むことが意図される。
本明細書においてある核酸分子に「特異的に結合する因子」とは、その核酸分子に対するその因子の結合レベルが、その核酸分子以外の核酸分子または他の物質に対するその因子の結合レベルと同じかまたはそれよりも高い(好ましくは、識別可能な程度に高い)因子をいう。そのような因子としては、例えば、対象が核酸分子の場合、対象となる核酸分子に対して相補的な配列を有する核酸分子、対象となる核酸配列に対して結合するポリペプチド(例えば、転写因子など)などが挙げられ、対象がポリペプチドの場合、抗体、単鎖抗体、レセプター−リガンドの対のいずれか一方、酵素−基質のいずれか一方などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「因子」としては、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、エネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「マーカー」とは、特定の生物について目印となる物質をいう。物質がDNAであるときは、DNAマーカーという。
本明細書において「共優性」とは、ヒトの血液型のABのように,ヘテロ接合している対立遺伝子のおのおのが完全に発現している状態をいう。共優性を有する遺伝子の場合、ヘテロ型、ホモ型などの遺伝形質の伝播の状態を容易に判定することができる。
本明細書中で使用される「化合物」は、任意の識別可能な化学物質または分子を意味し、これらには、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、または核酸が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこのような化合物は、天然物または合成物であり得る。
本明細書において「有機低分子」とは、有機分子であって、比較的分子量が小さなものをいう。通常有機低分子は、分子量が約1000以下のものをいうが、それ以上のものであってもよい。有機低分子は、通常当該分野において公知の方法を用いるかそれらを組み合わせて合成することができる。そのような有機低分子は、生物に生産させてもよい。有機低分子としては、例えば、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において用いられる用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体、ならびにそれらの断片、例えばF(ab’)2およびFab断片、ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」は、同質な抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、それが作製される様式によって限定されない。この用語は、全免疫グロブリン分子ならびにFab分子、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、およびもとのモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示す他の分子を含む。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する方法は当該分野で公知であり、そして以下でより十分に記載される。
モノクローナル抗体は、当該分野で周知の標準的な技術(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature(1975)256:495)またはその改変(例えば、Buckら(1982)In Vitro 18:377)を使用して調製される。代表的には、マウスまたはラットを、タンパク質キャリアに結合したタンパク質で免疫化し、追加免疫し、そして脾臓(および必要に応じていくつかの大きなリンパ節)を取り出し、そして単一細胞を解離する。必要に応じて、この脾臓細胞は、非特異的接着細胞の除去後、抗原でコーティングされたプレートまたはウェルに細胞懸濁液を適用することにより、スクリーニングされ得る。抗原に特異的なイムノグロブリンを発現するB細胞がプレートに結合し、そして懸濁液の残渣でもリンス除去されない。次いで、得られたB細胞(すなわちすべての剥離した脾臓細胞)をミエローマ細胞と融合させて、ハイブリドーマを得、このハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を産生させる。
本明細書において「抗原」(antigen)とは、抗体分子によって特異的に結合され得る任意の基質をいう。本明細書において「免疫原」(immunogen)とは、抗原特異的免疫応答を生じるリンパ球活性化を開始し得る抗原をいう。
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNAStar)を用いて行ってもよい。
本明細書において「プローブ」とは、インビトロおよび/またはインビボなどのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の手段となる物質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相同なまたは相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プローブとして用いる場合は、識別対象となる種に特異的な配列は不変であるか、類似の配列と識別可能な程度の相同性を有していることが好ましい。
本明細書において、「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman, Proc.Natl.Acad.Sci., USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman, J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアッセイ)、PCRおよび in situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、試薬、酵素、プライマー、分子量標準など)が提供されるユニットをいう。混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、試薬、酵素、ヌクレオチド、標識されたヌクレオチド、慎重反応を止めるヌクレオチドなど(およびその三リン酸)、プライマー、標準など)をどのように処理すべきかを記載する説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、試薬成分、緩衝液、塩濃縮液、使用するための補助手段、使用方法を記載した指示書などが含まれる。
本明細書において「指示書」は、本発明の試薬の使用方法、反応方法などを使用者に対して記載したものである。この指示書は、本発明の酵素反応などの手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、必要に応じて本発明が実施される国の監督官庁が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、瓶に貼り付けられたフィルム、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ(ウェブサイト)、電子メール)のような形態でも提供され得る。本発明のキットは、核酸合成酵素の反応のための試薬をさらに含む。このような試薬には、緩衝液、必要なイオン濃縮液、塩濃縮液、pH調整剤などを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書において「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ生物または物質などの標的を、特定の操作/評価方法で多数を含む集団の中から選抜することをいう。スクリーニングのために、本発明の核酸分子を使用することができる。
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.AssociatESand Wiley−Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Innis,M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
(発明を実施するための好ましい形態)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
1つの局面において、本発明は、四季成り性イチゴに由来する核酸およびそれに対して特異的に相互作用する因子に関する。ここで、四季成り性イチゴに由来する核酸は、代表的に、
(a)配列番号1または2に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号1または2に記載の塩基配列において、1以上のヌクレオチドが、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリヌクレオチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列の対立遺伝子変異体である、ポリヌクレオチド;
(d)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(e)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、四季成り性イチゴでないイチゴのうち少なくとも1つのイチゴに由来する核酸と識別可能である、ポリヌクレオチド、
を含む。
(a)配列番号1または2に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号1または2に記載の塩基配列において、1以上のヌクレオチドが、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリヌクレオチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列の対立遺伝子変異体である、ポリヌクレオチド;
(d)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(e)(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、四季成り性イチゴでないイチゴのうち少なくとも1つのイチゴに由来する核酸と識別可能である、ポリヌクレオチド、
を含む。
1つの好ましい実施形態において、上記(b)における置換、付加および欠失の数は、限定され、例えば、50以下、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下であることが好ましい。より少ない数の置換、付加および欠失が好ましいが、四季成り性イチゴでないイチゴのうち少なくとも1つのイチゴに由来する核酸と識別可能である限り、多い数であってもよい。
別の好ましい実施形態において、対立遺伝子変異体は、配列番号1に示す核酸配列と少なくとも80%の相同性、より好ましくは少なくとも90%の相同性を有することが好ましい。特に、本発明の核酸配列におけるマイクロサテライトは、特性である縦列反復配列部分に変異した縦列反復配列の数に応じて遺伝子型を判別することができる。従って、このような対立遺伝子変異体は本発明において十分に利用できる。
本発明で利用される共優性マーカーは、RAPD法のようにPCRによる反応の有無で決定するのではなく、塩基配列の違いに対応して、遺伝子型を検出するマーカーである。このため、全ての検体で、PCR法により増幅されたDNAの断片が得られる。よって、不純物を多く含むDNAを鋳型とした場合にDNAが増幅されない場合があっても、これを劣性(陰性)と誤判定する危険は無い。かつ、優性マーカーは、優性と劣性の2種類の遺伝子型しか検出できないのに対し、共優性マーカーは、子房親ホモ型、花粉親ホモ型、ヘテロ型の3種類の遺伝子型が検出できる。PCR法を応用した高精度で再現性の高い共優性マーカーとして、マイクロサテライトマーカーが知られている。マイクロサテライトとは、1〜数塩基(例えば、6塩基)の単純な塩基の繰り返し配列からなる部分である。この配列は、縦列反復配列と呼ばれ、simple sequence repeat(SSR)またはshort tandem repeat(STR)と呼ばれている。マイクロサテライトは、真核生物のゲノムに普遍的に存在しており、反復単位の付加または欠失により、繰り返し数の多型性が変わり、特にこの繰り返し数の変動が大きいことが知られている。さらに、マイクロサテライトは、ゲノム中に散在していることから、特定の遺伝子座と連鎖するDNAマーカーとして利用できる優れた性質を有している。
本発明では、マイクロサテライトの繰り返し数が、植物品種によって異なっており、しかも、植物品種に固有であることを特に利用する。よって、マイクロサテライトマーカーは、ひとつのマーカーで遺伝子型を多数もつマルチアリルであることから、最も利用価値の高い共優性マーカーとされている。一般にマイクロサテライトマーカーでは、20から25塩基程度の長さのオリゴヌクレオチドをプライマー対として用い、55℃程度のアニール温度で安定したPCR法によるDNAの増幅を行う。マイクロサテライトマーカーのプライマー対を設計するためには、塩基配列情報が必要である。
好ましい実施形態において、上記(a)〜(c)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性は、少なくとも約80%であり得、より好ましくは少なくとも約90%であり得、さらに好ましくは少なくとも約98%であり得、もっとも好ましくは少なくとも約99%であり得る。
好ましい実施形態において、本発明の因子は、核酸分子、ポリペプチド、脂質、糖鎖、有機低分子およびそれらの複合分子からなる群より選択される。
好ましい実施形態では、本発明の因子は、核酸分子である。本発明の因子が核酸分子である場合、そのような核酸分子は、少なくとも8の連続するヌクレオチド長であり得る。本発明の核酸分子は、本発明の使用目的によってその適切なヌクレオチド長が変動し得る。より好ましくは、本発明の核酸分子は、少なくとも10の連続するヌクレオチド長であり得、さらに好ましくは少なくとも15の連続するヌクレオチド長であり得、なお好ましくは少なくとも20の連続するヌクレオチド長であり得る。これらのヌクレオチド長の下限は、具体的に挙げた数字のほかに、それらの間の数(例えば、9、11、12、13、14、16など)あるいは、それ以上の数(例えば、21、22、...30、など)であってもよい。本発明の核酸分子は、目的とする用途(例えば、マーカー、プライマー、プローブ)として使用することができる限り、その上限の長さは、配列番号1に示す配列の全長であってもよく、それを超える長さであってもよい。あるいは、プライマーとして使用する場合は、通常少なくとも約8のヌクレオチド長であり得、好ましくは少なくとも約10ヌクレオチド長であり得る。プローブとして使用する場合は、通常少なくとも約15ヌクレオチド長であり得、好ましくは少なくとも約17ヌクレオチド長であり得る。
従って、1つの例示的な実施形態において、本発明の因子は、上記(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチドの核酸配列に対して相補的な配列またはそれに対して少なくとも70%の同一性を有する配列を有する核酸分子であり得る。
別の例示的な実施形態において、本発明の因子は、(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチドの核酸配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子であり得る。
好ましい実施形態において、本発明の因子は、標識されているかまたは標識と結合し得るものであることが有利であり得る。そのように標識がされている場合、本発明の因子によって測定することができる種々の状態を直接および/または容易に測定することができる。そのような標識は、識別可能に標識される限り、どのような標識でもよく、例えば、蛍光標識、化学発光標識、放射能標識などが挙げられるがそれらに限定されない。あるいは、その因子が抗体などの免疫反応を利用して相互作用する場合、ビオチン−ストレプトアビジンのような免疫反応においてよく利用される系を用いてもよい。
本明細書において「DNAマーカー」とは、イチゴ内に存在するDNAのうち、所望の性質と連鎖することが知られるDNAまたはその配列をいう。
代表的な実施形態では、本発明のDNAマーカーは、配列番号1または配列番号2からプライマー対を設計し、PCR法により増幅することにより検出される。DNAマーカーを特異的に増幅させるためには、最低15塩基以上の長さを有するDNA配列のプライマーが好ましい。従って、本発明のDNAマーカーを増幅するプライマーとしては、代表的には、配列番号1または2の中で、互いに向かい合う15塩基から40塩基程度の長さを有するDNA配列が好ましいがこれに限定されない。
配列番号1または配列番号2は、イチゴの品種によって塩基の一部欠失、付加、置換を含んでいてもよく、90%以上の相同性を持つものは実質的に本発明に言う塩基配列1または2に含まれる。なぜなら、四季成り性イチゴ以外のイチゴにおいても、配列番号1に記載の配列も配列番号2に記載の配列またはそれに類似する配列が見出されているからであり、共優性を示すマーカーとして使用することが可能であるからである。
次に、代表的な配列を例示して、配列番号1または配列番号2の単離方法について説明する。本発明の配列番号1または配列番号2は、四季成り性イチゴ品種から抽出したDNAを鋳型としてPCR法により増幅できる。DNAを抽出するための組織としては、根、葉、果房など植物体のあらゆる部分を利用できる。配列番号1を単離するには、配列番号3で示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし、アニール温度を50℃としてPCRを行う。これによって、複数のDNA断片が増幅される。このうち436bpの増幅断片が配列番号1である。配列番号2を単離するには、配列番号4で示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし、アニール温度を50℃としてPCRを行う。これによって、複数のDNA断片が増幅される。このうち575bpの増幅断片が塩基番号2である。例えば、四季成り性品種"エバーベリー"から抽出したDNAを鋳型とした場合には、配列番号1と配列番号2に示されるものが増幅される。
次に、特異性の高いプライマーの設計について説明する。配列番号3と配列番号4のプライマーは、特異性が低く、複数のDNA断片が増幅される。プライマーの特異性は、プライマーの塩基配列を長くすることで改善され、目的のDNA断片のみが増幅されるようになる。特異的プライマーは、20から25塩基の長さが最も一般的である。GC含量は、40から60%に設定することが望ましい。また、同一プライマー内、プライマー対間で相補的な配列にならないように設計する。さらに、マイクロサテライトマーカーを設計する場合は、マイクロサテライト領域を挟むようにプライマー対を設計しなくてはならない。両側にプライマー対を設計できるマイクロサテライト領域は、配列番号1では394から415番目にCTの単純繰り返し配列部分が、配列番号2では169から198番目にTGTCACの単純繰り返し配列部分が位置する。これらの条件を満たすプライマー対はいくつか設計可能である。例えば、配列番号1のマイクロサテライト領域をPCRで特異的に増幅するプライマー対として、178から197番目の配列である配列番号5と、408から427番目の相補的な配列である配列番号6をプライマーとして設計できる。配列番号2のマイクロサテライト領域をPCRで特異的に増幅するプライマー対としては、129から151番目の配列番号7と、292から314番目の相補的な配列である配列番号8をプライマーとして設計できる。
次に、DNAマーカーを用いた四季成り性遺伝子の有無を判定する方法について説明する。まず、イチゴからDNAを抽出するが、抽出するための組織としては根、葉、果房など植物体のあらゆる部分を利用できる。DNAの抽出方法としては、一般的などの様な方法も用いることができる。次に、抽出したDNAを鋳型として設計したプライマーによりPCR法で増幅し、得られたDNA断片を電気泳動等によって検出する。四季成り性に特異的な増幅断片の有無により、四季成り性遺伝子の有無を判定する。DNAの増幅断片を検出する電気泳動方法として、アガロースゲル、変性および非変性のアクリルアミドゲル、キャピラリーを用いる方法が行える。また、蛍光色素を利用する方法も用いることができる。
本発明の配列番号1から設計したDNAマーカーは、四季成り性に対する適合率が96%である。配列番号2から設計したDNAマーカーは、配列番号1より四季成り性遺伝子にやや遠いため、四季成り性に対する適合率が82%である。これらは四季成り性遺伝子、配列番号1、配列番号2の間の位置関係から、DNAマーカーの適合率を遺伝解析している。このような適合性の高いマーカーはこれまで四季成り性イチゴにおいては見出されていなかった。遺伝解析による位置関係は、分析に用いる個体の集団の種類や個体数によって変動することが知られている。このことを考慮しても、配列番号1と配列番号2は、育種上有効な距離に位置する塩基配列情報であり、これらをもとに設計したDNAマーカーで四季成り性系統を幼苗選抜することにより育種効率が高まる。さらにこれら配列番号1および配列番号2から設計した共優性マーカーであるマイクロサテライトマーカーを利用することで、四季成り性遺伝子が、ホモ型かヘテロ型かが識別できる。四季成り性遺伝子がホモ化して集積している系統は、育種母本として極めて有効である。すなわち、四季成り性遺伝子がホモ型である系統に一季成り性品種を交配したF1世代は、四季成り性遺伝子が単因子優性であるため、全て四季成り性となる。これに対し、四季成り性遺伝子がヘテロ型である系統に一季成り性品種を交配したF1世代は、約50%しか四季成り性の系統が育成されず、育種効率が低い。
本明細書において「識別を可能とする」とは、本発明の対象とする四季成り性イチゴに由来する核酸に特異的に相互作用することができ、他方、四季成り性イチゴでないイチゴに由来する核酸とは特異的に相互作用しない配列の性質をいう。識別を可能とするためには、例えば、目的とする配列との相同性、長さなどを考慮する必要がある。このような考慮事項は、当業者にとっては周知であり、当業者は、適宜配列情報および検定を行う条件を考慮に入れながら、適宜配列を設計することができることが理解される。
識別を可能とするには、一般に、使用する配列が、ある目的の配列(例えば、配列番号1または2)に対して、少なくとも8つのヌクレオチドが同一であることが必要であるがこれに限定されず、好ましくは、少なくとも10のヌクレオチドが同一であり、より好ましくは、少なくとも15のヌクレオチドが同一であり、さらにより好ましくは、少なくとも20同一であることが有利である。このような同一なヌクレオチドは、好ましくは、連続して同一であることが有利である。
あるいは、プローブなどとして用いる場合は、使用する配列が目的とする配列に対して相同性が少なくとも30%、通常少なくとも50%であり、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%あることが有利であるがこれらに限定されない。
識別を可能とするには、最も好ましくは、使用する配列が標的とする配列と同一であることが好ましいが、他の配列と識別することができる限り、1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含んでいてもよいことが理解される。あるいは、他の配列と識別することができる限り、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする配列であってもよいことが理解される。
別の局面では、本発明は、プライマーセットを提供する。このプライマーセットは、代表的に、配列番号1または2に記載の塩基配列のうち、少なくとも8つの(好ましくは、15の)連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第一核酸分子と、配列番号1または2に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも8つの(好ましくは、15の)連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第二核酸分子とを含み、該第一核酸分子に由来する配列は、該配列番号1において、該第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセットであり得る。
好ましくは。プライマーセット内または一つの核酸分子内に相補配列を有しないことが有利である。そのような配列の回避の方法もまた、当業者に周知であり、例えば、市販のプライマー設計ソフトウェア(Primer Express(登録商標)ソフトウェア(アプライドバイオシステムズ)、Genetyx(ジェネティクス)を用いて設計することが可能である。好ましくは、マイクロサテライト配列がプライマーによって増幅されるようなセットを提供するとよい。四季成り性遺伝子が、ホモ型かヘテロ型かが識別できるからである。マイクロサテライト領域は、配列番号1では394から415番目にCTの単純繰り返し配列部分が、配列番号2では169から198番目にTGTCACの単純繰り返し配列部分が位置する。
このような配列セットとしては、以下の組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。
配列番号5と配列番号6との組み合わせ;
配列番号7と配列番号8との組み合わせ。
配列番号7と配列番号8との組み合わせ。
本発明では、このようなプライマーセットを備える、イチゴの四季成り性の有無の検定のためのキットを提供することができる。
別の局面において、本発明は、イチゴの四季成り性の有無の検定のための方法を提供する。この方法は、A)被験体中の核酸を抽出する工程;およびB)該核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも8つの配列または相補配列(好ましくは、それぞれのマイクロサテライト配列を含む配列、より好ましくは全長配列)を有するか否かを決定する工程であって、該核酸が該配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、該被験体は、四季成り性を有すると判定する、工程、を包含する。
このような配列の有無の決定方法は、どのような方法を用いてもよく、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ループ媒介等温増幅(LAMP=Loop-MediatedIsothermal Amplification)法、サザンブロット、配列決定、DNAアレイの利用などを挙げることができるがそれらに限定されない。好ましくは、PCRを利用する。
本発明の場合、共優性マーカーを検出することから、PCRなどの増幅方法により、被験体における関連する配列を増幅し、四季成り型か一季成り型かの峻別は、親と同じ遺伝子型(縦列反復配列の数、塩基長または配列決定によって判別可能)によって行うことができる。共優性マーカーでは、四季成り型および一季成り型の両方の品種においてPCRで増幅され得るからである。
本発明はまた、上記方法を実現するためのキットであって、A)被験体中の核酸を抽出する手段;およびB)該核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも8つの配列または相補配列(好ましくは、それぞれのマイクロサテライト配列を含む配列、より好ましくは全長配列)を有するか否かを決定する手段であって、該核酸が該配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、該被験体は、四季成り性を有すると判定する、手段、を備える。ここで、決定手段について、上記方法を実現するための任意の手段を用いることができる、核酸の抽出方法および手段もまた、当該分野において周知の技法を用いることができることが理解される。そのような抽出方法としては、例えば、アルカリ法、ボイリング法などを応用した技法があり、そのような抽出技術として、市販のキットを用いてもよい。
別の局面において、本発明は、イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、A)該配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する工程;B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において該核酸分子とを接触させる工程;C)該接触後、相互作用する候補化合物を、該イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する工程、を包含する。好ましくは、このスクリーニング方法は、さらに、四季成り性を有しないイチゴから抽出される非四季成り性核酸分子を提供する工程、および前記相互作用する候補化合物から該非四季成り性核酸分子と相互作用する候補化合物を候補からはずす工程、をさらに包含する。より特異性の高いマーカーを同定することができるからである。
本発明はまた、上記スクリーニング方法を実現するキットを提供する。このキットは、A)該配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する手段;B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において該核酸分子とを接触させる手段であって、該接触後、相互作用する候補化合物を、該イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する、手段を備える。好ましくは、このキットでは、さらに、四季成り性を有しないイチゴから抽出される非四季成り性核酸分子を提供する工程、および前記相互作用する候補化合物から該非四季成り性核酸分子と相互作用する候補化合物を候補からはずすことを特徴とする。より特異性の高いマーカーを同定することができるからである。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。以下において使用した試薬類は、特に言及した場合を除いて、和光純薬、Sigma、寶酒造、Promegaなどから市販されているものを使用した。また、イチゴの各品種は、各種種苗会社(例えば、株式会社サカタのタネ、株式会社ミヨシ)、公的試験研究機関(例えば、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター、同九州沖縄農業研究センターおよび農業生物資源データバンクなど)から入手することができる。
(実施例1)
イチゴの四季成り性品種"大石四季成"および一季成り性品種"はるよい"と、この2品種の交雑により育成された四季成り性品種"エバーベリー"の葉から、DNA抽出キットヌクレオンファイトピュア(アマシャムバイオサイエンス社)によりDNAを抽出した。配列番号3に記載の配列および配列番号4に記載の配列を持つ2つのプライマーを用い、上記DNAを鋳型としてPCRによりDNA断片を増幅させた。PCRはアイサイクラー(バイオ・ラッド社)を使用して行った。反応液10μl中には250nMの配列番号3または配列番号4のプライマー、10ng DNA、0.5ユニットTaqポリメラーゼ(宝酒造)、0.25mM dNTP、1xPCRバッファーが含まれる。PCR条件は、94℃で1分間のディネーチャー、50℃で1分間のアニール、72℃で1分間の伸長反応を1サイクルとし、35サイクル反応させた。反応液を1.5%アガロースゲル電気泳動により分離したところ、配列番号3のプライマーによる反応液からは約440bpのDNA断片が"大石四季成"と"エバーベリー"にのみ検出され(図1)、配列番号4のプライマーによる反応液からは約580bpのDNA断片が"大石四季成"と"エバーベリー"のみに検出された(図2)。このうち、いずれも"エバーベリー"のDNA断片をゲルから回収し、TAクローニングキット(インビトロジェン社)を用いサブクローニングした。得られたクローンの塩基配列を310ジェネッティクアナライザー(ABI社)により決定したところ、配列番号1に示すような436bpの塩基配列と、配列番号2に示すような575bpの塩基配列であった。
イチゴの四季成り性品種"大石四季成"および一季成り性品種"はるよい"と、この2品種の交雑により育成された四季成り性品種"エバーベリー"の葉から、DNA抽出キットヌクレオンファイトピュア(アマシャムバイオサイエンス社)によりDNAを抽出した。配列番号3に記載の配列および配列番号4に記載の配列を持つ2つのプライマーを用い、上記DNAを鋳型としてPCRによりDNA断片を増幅させた。PCRはアイサイクラー(バイオ・ラッド社)を使用して行った。反応液10μl中には250nMの配列番号3または配列番号4のプライマー、10ng DNA、0.5ユニットTaqポリメラーゼ(宝酒造)、0.25mM dNTP、1xPCRバッファーが含まれる。PCR条件は、94℃で1分間のディネーチャー、50℃で1分間のアニール、72℃で1分間の伸長反応を1サイクルとし、35サイクル反応させた。反応液を1.5%アガロースゲル電気泳動により分離したところ、配列番号3のプライマーによる反応液からは約440bpのDNA断片が"大石四季成"と"エバーベリー"にのみ検出され(図1)、配列番号4のプライマーによる反応液からは約580bpのDNA断片が"大石四季成"と"エバーベリー"のみに検出された(図2)。このうち、いずれも"エバーベリー"のDNA断片をゲルから回収し、TAクローニングキット(インビトロジェン社)を用いサブクローニングした。得られたクローンの塩基配列を310ジェネッティクアナライザー(ABI社)により決定したところ、配列番号1に示すような436bpの塩基配列と、配列番号2に示すような575bpの塩基配列であった。
(実施例2)
四季成り性品種"大石四季成"、一季成り性品種"はるよい"、およびこの2品種の交雑により育成された四季成り性品種"エバーベリー"の葉から抽出したDNAを鋳型として、配列番号1から設計した配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対、配列番号2から設計した配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。DNAの抽出方法は実施例1と同様である。PCRはアイサイクラー(バイオ・ラッド社)を使用して行った。反応液10μl中には250nMの配列番号3または配列番号4のプライマー、10ng DNA、0.5ユニット Taqポリメラーゼ(宝酒造)、0.25mM dNTP、1xPCRバッファーが含まれる。PCR条件は、94℃で30秒間のディネーチャー、58℃で30秒間のアニール、72℃で30秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。反応液を4%ヌシーブ3:1 アガロースゲル (キャンブレックス社)により電気泳動で分離した。"大石四季成"、"はるよい"、"エバーベリー"の鋳型DNAから増幅したDNA断片に違いが検出できた(図3、図4)。塩基配列を310ジェネッティクアナライザー(ABI社)により決定したところ、配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対で増幅するDNAが増幅断片は、"大石四季成"が250bpのホモ型、"はるよい"が254bpのホモ型、"エバーベリー"が250bpと254bpのヘテロ型であった。配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対で増幅するDNAが増幅断片は、"大石四季成"が186bpのホモ型、"はるよい"は180bpホモ型、"エバーベリー"は180bpと186bpのヘテロ型であった。"エバーベリー"における、配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対で増幅する250bpと、配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対で増幅する186bpは、四季成り性遺伝子とともに"大石四季成"から"エバーベリー"に遺伝している。
四季成り性品種"大石四季成"、一季成り性品種"はるよい"、およびこの2品種の交雑により育成された四季成り性品種"エバーベリー"の葉から抽出したDNAを鋳型として、配列番号1から設計した配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対、配列番号2から設計した配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。DNAの抽出方法は実施例1と同様である。PCRはアイサイクラー(バイオ・ラッド社)を使用して行った。反応液10μl中には250nMの配列番号3または配列番号4のプライマー、10ng DNA、0.5ユニット Taqポリメラーゼ(宝酒造)、0.25mM dNTP、1xPCRバッファーが含まれる。PCR条件は、94℃で30秒間のディネーチャー、58℃で30秒間のアニール、72℃で30秒間の伸長反応を1サイクルとし、30サイクル反応させた。反応液を4%ヌシーブ3:1 アガロースゲル (キャンブレックス社)により電気泳動で分離した。"大石四季成"、"はるよい"、"エバーベリー"の鋳型DNAから増幅したDNA断片に違いが検出できた(図3、図4)。塩基配列を310ジェネッティクアナライザー(ABI社)により決定したところ、配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対で増幅するDNAが増幅断片は、"大石四季成"が250bpのホモ型、"はるよい"が254bpのホモ型、"エバーベリー"が250bpと254bpのヘテロ型であった。配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対で増幅するDNAが増幅断片は、"大石四季成"が186bpのホモ型、"はるよい"は180bpホモ型、"エバーベリー"は180bpと186bpのヘテロ型であった。"エバーベリー"における、配列番号5と配列番号6で示されるプライマー対で増幅する250bpと、配列番号7と配列番号8で示されるプライマー対で増幅する186bpは、四季成り性遺伝子とともに"大石四季成"から"エバーベリー"に遺伝している。
(実施例3)
四季成り性品種"エバーベリー"を自殖して、自殖第1世代72系統を得た。全系統の幼苗の葉からそれぞれ抽出したDNAを鋳型として、配列番号5と配列番号6で示される配列を持つプライマー対、配列番号7と配列番号8で示される配列を持つプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。PCRの方法は、実施例2と同じである。反応液を4%ヌシーブ3:1アガロースゲル(キャンブレックス社)により電気泳動により分離した。配列番号5と配列番号6で増幅するDNAマーカーによる250bpのホモ型、または250bpと254bpのヘテロ型の自殖第1世代が四季成り性である適合率は96%であった。配列番号7と配列番号8で増幅するDNAマーカーによる186bpのホモ型、または180bpと186bpのヘテロ型の自殖第1世代がの四季成り性である適合率は82%であった。さらに、配列番号5と配列番号6で増幅するDNAマーカーによる250bpのホモ型から5系統、250bpと254bpのヘテロ型から3系統をそれぞれ自殖し、それぞれの系統の次世代20系統、すなわち自殖第2世代を合計160系統を育成した。その結果、DNAマーカーがホモ型であった5系統の自殖第2世代は、全て四季成り性であり、四季成り性遺伝子がホモ化して集積していた。DNAマーカーがヘテロ型の3系統の自殖第2世代は、四季成り性と一季成り性の系統が出現し、四季成り性遺伝子がホモ化していなかった。増幅DNA断片の長さの違いによって、四季成り性遺伝子の有無と四季成り性遺伝子がホモ型かヘテロ型かを識別することが出来た。
四季成り性品種"エバーベリー"を自殖して、自殖第1世代72系統を得た。全系統の幼苗の葉からそれぞれ抽出したDNAを鋳型として、配列番号5と配列番号6で示される配列を持つプライマー対、配列番号7と配列番号8で示される配列を持つプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。PCRの方法は、実施例2と同じである。反応液を4%ヌシーブ3:1アガロースゲル(キャンブレックス社)により電気泳動により分離した。配列番号5と配列番号6で増幅するDNAマーカーによる250bpのホモ型、または250bpと254bpのヘテロ型の自殖第1世代が四季成り性である適合率は96%であった。配列番号7と配列番号8で増幅するDNAマーカーによる186bpのホモ型、または180bpと186bpのヘテロ型の自殖第1世代がの四季成り性である適合率は82%であった。さらに、配列番号5と配列番号6で増幅するDNAマーカーによる250bpのホモ型から5系統、250bpと254bpのヘテロ型から3系統をそれぞれ自殖し、それぞれの系統の次世代20系統、すなわち自殖第2世代を合計160系統を育成した。その結果、DNAマーカーがホモ型であった5系統の自殖第2世代は、全て四季成り性であり、四季成り性遺伝子がホモ化して集積していた。DNAマーカーがヘテロ型の3系統の自殖第2世代は、四季成り性と一季成り性の系統が出現し、四季成り性遺伝子がホモ化していなかった。増幅DNA断片の長さの違いによって、四季成り性遺伝子の有無と四季成り性遺伝子がホモ型かヘテロ型かを識別することが出来た。
(実施例4)
四季成り性品種"大石四季成"、"エバーベリー"、一季成り性品種"はるよい"、"女峰"、"とよのか"、"とちおとめ"、および"さちのか"の全7品種の葉からそれぞれ抽出したDNAを鋳型として、配列番号5と配列番号6で示される配列を持つプライマー対、配列番号7と配列番号8で示される配列を持つプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。反応液を4%ヌシーブ3:1アガロース(キャンブレックス社)により電気泳動で分離した。アガロースゲル電気泳動で明瞭に分離できないDNAマーカーは、310 ジェネッティクアナライザー(ABI社)により塩基配列を決定した。検出結果を表1にまとめた。配列番号5と配列番号6のプライマー対によりPCRで増幅する250bpのDNAマーカーは、四季成り性品種に特異的に検出された。配列番号7と配列番号8のプライマー対によりPCRで増幅する186bpのDNAマーカーも、四季成り性品種に特異的に検出された。表中の試料番号は、1:"大石四季成"、2:"エバーベリー"、3:"はるよい"、4:"女峰"、5:"とよのか"、6:"とちおとめ"、7:"さちのか"を表す。
四季成り性品種"大石四季成"、"エバーベリー"、一季成り性品種"はるよい"、"女峰"、"とよのか"、"とちおとめ"、および"さちのか"の全7品種の葉からそれぞれ抽出したDNAを鋳型として、配列番号5と配列番号6で示される配列を持つプライマー対、配列番号7と配列番号8で示される配列を持つプライマー対により、PCRによってDNAマーカーを増幅した。反応液を4%ヌシーブ3:1アガロース(キャンブレックス社)により電気泳動で分離した。アガロースゲル電気泳動で明瞭に分離できないDNAマーカーは、310 ジェネッティクアナライザー(ABI社)により塩基配列を決定した。検出結果を表1にまとめた。配列番号5と配列番号6のプライマー対によりPCRで増幅する250bpのDNAマーカーは、四季成り性品種に特異的に検出された。配列番号7と配列番号8のプライマー対によりPCRで増幅する186bpのDNAマーカーも、四季成り性品種に特異的に検出された。表中の試料番号は、1:"大石四季成"、2:"エバーベリー"、3:"はるよい"、4:"女峰"、5:"とよのか"、6:"とちおとめ"、7:"さちのか"を表す。
また、連鎖解析の実験には時間および労力がかかることから、目的とするF1およびF2などの集団を数十系統育成し、四季成り性を検定するのに2−3年かかることを考えると、このようなDNAマーカーによる検定には意義があることが理解される。従来達成可能であった、80%程度の精度に比べて、顕著に高い、約96%という適合率を示す。
(実施例5:在外種などでの実験)
実施例1と同様の条件で、国内一季成り品種”とよのか”、育種系統93C3、および在外四季成り品種(”Selva”)の配列番号1および2に対応する塩基配列を決定した。その配列は、それぞれ、配列番号9、10、11、12、13および14として示す。得られた塩基配列は、”エバーベリー”由来の配列番号1および2と、それぞれ塩基配列の変異を比較するために、遺伝情報解析ソフトウェアGenetyxによりアラインメントを行った。マイクロサテライトの特徴である縦列反復配列に品種間の変異が観察された。394番目から415番目にCTの反復が11回ある配列番号1と比較して”とよのか”ではCTが付加されて反復が12回あり、93C3系統では、TTCTCTが付加されており、”Selva”ではCTCTが付加されて反復が13回あった。169番目から198番目にTGTCACの反復が5回ある配列番号2と比較して、”とよのか”および93C3では、反復が4回、”Selva”では、反復が3回あった。これらのアラインメントを図5および図6に示すマイクロサテライト領域に集中して生じる変異を利用することによって四季成り性と一季成り性とを識別するDNAマーカーを国内外の品種により適用することが可能である。
実施例1と同様の条件で、国内一季成り品種”とよのか”、育種系統93C3、および在外四季成り品種(”Selva”)の配列番号1および2に対応する塩基配列を決定した。その配列は、それぞれ、配列番号9、10、11、12、13および14として示す。得られた塩基配列は、”エバーベリー”由来の配列番号1および2と、それぞれ塩基配列の変異を比較するために、遺伝情報解析ソフトウェアGenetyxによりアラインメントを行った。マイクロサテライトの特徴である縦列反復配列に品種間の変異が観察された。394番目から415番目にCTの反復が11回ある配列番号1と比較して”とよのか”ではCTが付加されて反復が12回あり、93C3系統では、TTCTCTが付加されており、”Selva”ではCTCTが付加されて反復が13回あった。169番目から198番目にTGTCACの反復が5回ある配列番号2と比較して、”とよのか”および93C3では、反復が4回、”Selva”では、反復が3回あった。これらのアラインメントを図5および図6に示すマイクロサテライト領域に集中して生じる変異を利用することによって四季成り性と一季成り性とを識別するDNAマーカーを国内外の品種により適用することが可能である。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、イチゴの四季成り性の識別を簡便に行うことを実現することから、農業、食品産業など種々の場面において有用である。
(配列表の説明)
配列番号1:”エバーベリー”に由来する特異的な配列の一つである。
配列番号2;”エバーベリー”に由来する特異的な配列の別の一つである。
配列番号3:配列番号1を増幅するために使用され得るプライマー配列である。
配列番号4:配列番号2を増幅するために使用され得るプライマー配列である。
配列番号5:配列番号1を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号6:配列番号1を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号7:配列番号2を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号8:配列番号2を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号9:配列番号1に対応する”とよのか”のヌクレオチド配列である。
配列番号10:配列番号2に対応する”とよのか”のヌクレオチド配列である。
配列番号11:配列番号1に対応する育種系統93C3のヌクレオチド配列である。
配列番号12:配列番号2に対応する育種系統93C3のヌクレオチド配列である。
配列番号13:配列番号1に対応する在外四季成り品種”Selva”のヌクレオチド配列である。
配列番号14:配列番号2に対応する在外四季成り品種”Selva”のヌクレオチド配列である。
配列番号1:”エバーベリー”に由来する特異的な配列の一つである。
配列番号2;”エバーベリー”に由来する特異的な配列の別の一つである。
配列番号3:配列番号1を増幅するために使用され得るプライマー配列である。
配列番号4:配列番号2を増幅するために使用され得るプライマー配列である。
配列番号5:配列番号1を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号6:配列番号1を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号7:配列番号2を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号8:配列番号2を増幅するために使用される好ましいプライマーセットのプライマー配列の一つである。
配列番号9:配列番号1に対応する”とよのか”のヌクレオチド配列である。
配列番号10:配列番号2に対応する”とよのか”のヌクレオチド配列である。
配列番号11:配列番号1に対応する育種系統93C3のヌクレオチド配列である。
配列番号12:配列番号2に対応する育種系統93C3のヌクレオチド配列である。
配列番号13:配列番号1に対応する在外四季成り品種”Selva”のヌクレオチド配列である。
配列番号14:配列番号2に対応する在外四季成り品種”Selva”のヌクレオチド配列である。
Claims (16)
- 配列番号1に記載の塩基配列または該塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
- 前記識別を可能とするに十分な配列は、前記配列番号1に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子は、前記配列番号1に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子は、前記配列番号1に記載の配列の一部または全部の配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
- 配列番号1に記載の塩基配列または該塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
- 配列番号2に記載の塩基配列または該塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子。
- 前記識別を可能とするに十分な配列は、前記配列番号2に記載の配列と1または数個の置換、付加または欠失を有する点を除き同一の配列を含むことを特徴とする、請求項6に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子は、前記配列番号2に記載の配列と相補的な配列の一部または全部の配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
- 前記核酸分子は、前記配列番号2に記載の配列の一部または全部の配列を含む、請求項6に記載の核酸分子。
- 配列番号2に記載の塩基配列または該塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または識別を可能とするに十分な配列を有する、核酸分子に対して特異的に相互作用する因子。
- 配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第一核酸分子と、配列番号1に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む第二核酸分子とを含み、該第一核酸分子に由来する配列は、該配列番号1において、該第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
- 配列番号2に記載の塩基配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子と、配列番号2に記載の塩基配列の相補配列のうち、少なくとも15の連続する塩基配列または該塩基配列において1または数個の置換、付加または欠失を含む塩基配列を含む核酸分子とを含み、該第一核酸分子に由来する配列は、該配列番号2において、該第二核酸分子に由来する配列よりも5’側に存在する、核酸分子のセット。
- イチゴの四季成り性の有無の検定のための方法であって、
A)被験体中の核酸を抽出する工程;および
B)該核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する工程であって、該核酸が該配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、該被験体は、四季成り性を有すると判定する、工程、
を包含する、方法。 - イチゴの四季成り性の有無の検定のためのキットであって、
A)被験体中の核酸を抽出する手段;および
B)該核酸において、配列番号1または配列番号2に記載の配列のうち少なくとも15の配列または相補配列を有するか否かを決定する手段であって、該核酸が該配列番号1または配列番号2に記載の配列を有する場合、該被験体は、四季成り性を有すると判定する、手段、
を備える、キット。 - イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングする方法であって、
A)該配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する工程;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において該核酸分子とを接触させる工程;および
C)該接触後、相互作用する候補化合物を、該イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する工程、
を包含する、方法。 - イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子をスクリーニングするキットであって、
A)該配列番号1または2に記載される核酸配列を含む核酸分子を提供する手段;
B)候補化合物と、所望の特異的に結合する条件下において該核酸分子とを接触させる手段であって、該接触後、相互作用する候補化合物を、該イチゴの四季成り性の有無の検定のための因子と同定する、手段、
を備える、キット。
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JP2004224893A JP2006042622A (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | イチゴの四季成り性を検定するdnaマーカー |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016002005A (ja) * | 2014-06-13 | 2016-01-12 | 公益財団法人かずさDna研究所 | イチゴ種子のdna粗抽出液を用いたイチゴf1種子の純度検定法 |
WO2016148275A1 (ja) * | 2015-03-18 | 2016-09-22 | トヨタ自動車株式会社 | イチゴ属植物の四季成り性関連マーカーとその利用 |
JP2016174602A (ja) * | 2015-03-18 | 2016-10-06 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | イチゴ属植物の四季成り性関連マーカーとその利用 |
JP2017046664A (ja) * | 2015-09-04 | 2017-03-09 | 公益財団法人東洋食品研究所 | ヘタ離れ性の有無を判別する方法およびヘタ離れ形質判定用プライマーセット |
-
2004
- 2004-07-30 JP JP2004224893A patent/JP2006042622A/ja active Pending
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JPN6010022565, 平成13年度 近畿中国四国農業研究成果情報, 2002, pp.27−28 * |
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US10704109B2 (en) | 2015-03-18 | 2020-07-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Marker associated with everbearing properties in plant of genus Fragaria and use thereof |
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