近年、移動体向けディジタル伝送において地上系ディジタルテレビジョン放送やハイビジョン伝送技術が確立しつつある。一例として、移動体向けディジタル伝送や地上系ディジタルテレビジョン放送への応用に適しており、マルチパスフェージングやゴーストに強いという特徴のある直交周波数分割多重変調方式(Orthogonal Frequency Division Multiplex:以下OFDM変調方式と略称する。)を例に挙げて説明する。
このOFDM変調方式は、標準規格(例えば、ARIB STD−B33 社団法人 電波産業会、以下、ARIB STDと略称する。)として定められている。このOFDM変調方式は、マルチキャリア変調方式の一種であり、送信すべき所定のデータ量を互いに直交するn本(nは数十〜数百)の搬送波でディジタル変調を施した伝送方式である。図9は、OFDM変調方式を説明するための図であって、多数のディジタル変調波DC、Δf、2Δf、・・・・(n−1)Δfを加算し、OFDM変調信号を得ることを示している。そしてこのOFDM変調信号は、シンボル周期Aの繰返し信号から構成されている。なお、I軸信号、Q軸信号は、直交座標軸上のI軸信号、Q軸信号であり、互いに直交関係を保つように多重されている。
図10は、このようにしてOFDM変調された伝送信号の1シンボル周期Aの構成を示している。以下、ARIB STD−B33を例にとって説明する。1シンボルA(約50μsec)は、ガードインターバルGIと有効データシンボルDSとから構成されている。更に、詳細に説明すると、例えば、1シンボル周期Aは、1152サンプルで構成され、有効データシンボルDSは、1024サンプル、ガードインターバルGIは、128サンプルから構成されている。ガードインターバルGIは、有効データシンボルDSの一部GI’を複写した区間である。従ってGIとGI’は、同じ信号で構成されている。
上記のディジタル変調方式としては、4相差動位相偏移変調方式(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)が最もよく用いられるが、16値直交振幅変調(16QAM:16 Quadrature Amplitude Modulation)や64QAMなどの多値変調方式を用いることも可能である。OFDM方式は、ガードインターバルを付加することにより、ガードインターバル期間内の遅延時間の遅延波に対しては、そのシンボル間干渉による劣化を避けることが出来るため、マルチパスフェージングやゴーストに対して強い耐性を有している。
ここで、ARIB STD−B33で定めているOFDMフレーム構成について説明する。図11は、OFDMフレーム構成の一例、1Kフルモードのフレーム構成を示している。この1Kフルモードのフレーム構成は、OFDMフレームは、図11に示すようにCP(Continual Pilot)、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)、AC(Auxiliary Channel)、Null(Null Carrier)、Data(Data Carrier)の5種類のキャリアで構成されている。また、キャリア数nは、857本である。その内Dataキャリアは、672本(表示のない部分)、CPは、108本、ACは、66本で構成されている。
従来のOFDM送受信機の構成の一例を図4に示す。図4において、送信機401は、DVB(Digital Video Broadcast)符号化処理部402、主データ符号化部403、補助データ符号化部404および変調部405から構成されている。外部の符号化器、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)2の符号化器で画像信号をTS(Transport Stream)形式のディジタル信号D(以下主データDと略称する。)に変換され、入力信号端子DinからDVB符号化処理部402に供給される。DVB符号化処理部402では、後述するDVB符号化処理される。その後、主データ符号化部403において畳み込み符号化、データを間引くパンクチャ、インターリーブを適宜行い、変調部405に入力される。
一方、外部からの補助データAC(Auxiliary Channel)は、補助データ入力端子ACinから補助データ符号化部404に入力され、畳み込み符号化、パンクチャ、インターリーブを行い、変調部405に印加される。なお、補助データACは、音声や連絡データなどの付加情報を伝送するためのもので、適宜使用が許されている。
上述の主データDと補助データACの2つの信号は、変調部405においてOFDM変調され、伝送路406を介して受信機407に送信される。受信機407は、復調部408、主データ復号化部409、補助データ復号化部410およびDVB復号化処理部411から構成されている。送信機401から送られてきたOFDM変調信号は、復調部408においてOFDM復調される。ここで主データDと補助データACに分離され、主データDは、主データ復号化部409においてデインターリーブ、デパンクチャ、ビタビ復号を行いDVB復号化処理部411に入力される。そしてDVB復号化処理部411においてDVB復号し、出力信号端子Doutから外部の復号化器などへ出力される。一方、補助データACは、補助データ復号化部410においてデインターリーブ、デパンクチャ、ビタビ復号され、補助データ出力端子ACoutから出力される。
次に、各部の詳細について説明する。まず、DVB符号化処理部402の構成を図5に示す。主データDが端子501を介してエネルギー拡散部502に印加され、エネルギー拡散部502において例えば擬似ランダム系列加算でエネルギー拡散を行い、RS(Reed-Solomon)符号化部503においてRS符号化を行い、インターリーブ部504においてインターリーブを行う。RS符号化部503では、1TS単位で誤り訂正を行う。そのためRS符号化部503では、1TS毎にパリティを付加する。例えば、RS(204,188)符号(ARIB STD−B33での表示方法)化処理の場合、1TS、つまり204byteの内訳は、データ188byte、パリティ16byteであり、204byte中8byteまで誤り訂正が可能であることを示している。
図6は、変調部405の一例を示すものである。主データ符号化部403で符号化された主データは、端子601を介して主データマッピング部603に印加される。主データマッピング部603では、主データに基づいて例えば、64QAMの場合、I−Q座標上に64ポイントのマッピングを行う。CP発生部604は、規準位相をBPSK(Binary Phase Shift Keying)でマッピングを行うため、一定振幅となる。また、CPキャリアは、図11に示すようにキャリア方向に8キャリアに1回挿入される。
補助データマッピング部605は、補助データACが入力端子602から印加され、例えば16QAMやQPSKなどのマッピングが行われる。統合部606は、各々マッピングされた、主データD、CPデータ、補助データACを図11に示すキャリア配置パターンに従い順次選択する。IFFT(inverse First Fourier Transform)607は、入力される信号を周波数成分とみなして、1024サンプルの時間波形(有効データシンボルDS)を作成する。この処理によって直交関係のあるマルチキャリア変調が行なわれる。ガード付加部608は、有効データシンボルDSの最終部分の時間波形の一部GI’をその前のガードインターバルGIとして付加し、9/8倍の時間長の1シンボル周期Aの波形を作る。DA変換部609は、ディジタル・アナログ変換部で、I成分とQ成分の入力を直交変調し、例えば20.45MHzのアナログIF信号に変換する。IF変換部610は、中間周波変換部で、130MHzのIF信号に変換する。送信高周波部611は、IF信号をマイクロ波帯に周波数変換し、電力増幅した後、出力端子613から伝送路406を介して受信機407に送信される。なお、OSC612は、システムクロック発生部で、変調部405の各構成部分は、このシステムクロック発生部612の発生するクロックに同期して駆動される。
次に、復調部408の構成について図7を用いて説明する。図7において、受信機401から伝送路406を介して送信されたOFDM変調信号は、端子701から受信高周波部702で受信され、IF変換部703で中間周波数に変換され、AD変換部704に供給される。AD変換部704では、例えば20.45MHzのアナログIF信号を直交復調し、直交座標系のI成分とQ成分の信号に変換される。FFT(First Fourier Transform)部705は、1024サンプルからなる時間波形から、その周波数成分を求める。時間同期CNT706は、時間波形のガード期間信号を利用し復調部408の各部の動作タイミングや周期を制御する時間同期制御部である。
CP抽出&補間部707は、前述した8本毎に配置されたCPキャリアを取り出し、CPキャリアの位相や振幅成分を基にデータキャリアで生じている位相や振幅変化を示す補正データを生成する。補正部708は、CP抽出&補間部707で生成した補正データに基づいてデータキャリアの伝送時に生じた特性を逆補正し、データキャリアの位相と振幅を修正する。分離部709は、主データキャリア成分と補助データキャリア成分を分離する。データ識別部710は、得られたマッピング点から主データキャリアの伝送データ値を求め、端子712から出力する。AC復号部711は、得られたマッピング点から補助データキャリアの伝送データ値を求め、端子713から出力する。
最後に、DVB復号化処理部411について図8を用いて説明する。DVB復号化処理部411は、図5で示すDVB符号化処理部とは逆の処理が行われる。即ち、図8において、受信機407の主データ復号化部409からの復号データが端子801を介してデインターリーブ部802に印加される。デインターリーブ部802では、デインターリーブが行われ、RS復号化部803においてRS復号化を行い、エネルギー逆拡散部804においてエネルギー逆拡散を行う。
以上のようにOFDM変調方式を用いた従来の送受信機について説明したが、他に誤り訂正符号器および復号器(例えば、特許文献1参照。)があるが、この誤り訂正符号器は、2個の符号化器を並列に用い、2種類のパリテイ系列をシリアル信号として出力するため、パリテイビットが長くなり、伝送するデータ量が減少する問題がある。
特開2002−76922号公報(第4−5頁、図8、図9)
以上説明した従来の構成では、RS符号化、RS復号化は1回のみである。また、特許文献1記載の誤り訂正符号器では、2個の符号化器を並列に用い、2種類のパリテイ系列をシリアル信号として出力するため、パリテイビットが長くなり、伝送するデータ量が減少する問題がある。
本発明の目的は、二重符号化によりデータの伝送耐性を向上させることのできるデータ伝送装置およびデータ伝送方法を提供することである。
本発明の他の目的は、OFDM変調方式で使用されている補助データキャリアを有効に活用し、データの伝送耐性を向上させることのできるデータ伝送装置およびデータ伝送方法を提供することである。
本発明のデータ伝送装置は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して伝送を行うデータ伝送装置であって、少なくとも伝送データを誤り訂正符号化する第1の符号化処理部と、上記第1の符号化処理部からの信号を二重に誤り訂正符号化する第2の符号化処理部と、上記第1の符号化処理部からの信号と上記第2の符号化処理部からの二重誤り訂正符号部とを変調する変調部からなり、上記変調部は、上記第1の符号化処理部からの信号を上記主データキャリアを使用し、上記二重誤り訂正符号部は、上記補助データキャリアを使用して伝送するように構成される。
また、本発明のデータ伝送装置において、上記二重誤り訂正符号部の誤り訂正ビット数を上記伝送データと上記補助データキャリアの伝送容量に基づいて調節するように構成される。
また、本発明のデータ伝送装置において、上記補助データキャリアは、ACデータキャリアであり、上記第1の符号化処理部は、RS符号化部を有し、上記第2の符号化処理部は、RS二重符号化部を有し、上記変調部は、OFDM変調部で構成される。
また、本発明のデータ伝送装置において、補助データキャリアの変調方式は、主データキャリアの変調方式以下の変調方式とするように構成される。
また、本発明のデータ伝送装置は、更に、付加情報を符号化する第3の符号化処理部および上記第3の符号化処理部からの信号と上記二重誤り訂正符号化部とを統合する統合部とを備え、上記統合部からの信号を上記補助データキャリアを使用して伝送するように構成される。
また、本発明のデータ伝送装置は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して伝送を行うデータ伝送装置であって、伝送データを所定時間圧縮する時間圧縮部と、上記時間圧縮部の出力を符号化する第3の符号化処理部と、上記第3の符号化処理部の出力を所定期間遅延する遅延部を有し、上記第3の符号化処理部は、第1の期間に上記時間圧縮部からの出力を誤り訂正符号化し、第2の期間に上記遅延部の出力を二重誤り訂正符号化し、上記第3の符号化処理部から出力されるデータをそれぞれ時間伸張する時間伸張部および上記時間伸張部からの出力を変調する変調部からなり、上記変調部は、上記第3の符号化処理部の上記第1の期間の出力データを上記主データキャリアを使用し、上記第3の符号化処理部の上記第2の期間の出力データを上記補助データキャリアを使用して伝送するように構成される。
更に、本発明のデータ伝送装置は、送信機と受信機とからなり、上記送信機は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して送信する送信機であって、少なくとも伝送データを誤り訂正符号化する第1の符号化処理部と、上記第1の符号化処理部からの信号を二重に誤り訂正符号化する第2の符号化処理部と、上記第1の符号化処理部からの信号と上記第2の符号化処理部からの二重誤り訂正符号部とを変調する変調部からなり、上記変調部は、上記第1の符号化処理部からの信号を上記主データキャリアを使用し、上記二重誤り訂正符号部は、上記補助データキャリアを使用して伝送するように構成される。
また、本発明の受信機は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して送られてきた信号を復号する受信機であって、上記信号から主データと補助データに分離する復調部と、上記復調された補助データを復号する第1の復号化処理部と、上記復調された主データと上記第1の復号化処理部からの信号とを復号する第2の復号化処理部を有するように構成される。
また、本発明の受信機は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して送られてきた信号を復号する受信機であって、主データと補助データに分離する復調部と、上記分離された主データと補助データをそれぞれ時間圧縮する時間圧縮部と、上記時間圧縮された補助データを誤り訂正復号化する第3の復号化部と、上記第3の復号化部の出力を遅延する遅延部と上記遅延部の出力を選択的に上記第3の復号化部に入力する構成からなり、上記第3の復号化部は、第1の期間に、二重誤り訂正符号化されたデータを復号し、第2の期間に元の信号に復号する機能を有し、上記第2の期間に上記第3の復号化部から出力されるデータを時間伸張し、元のデータを得るように構成される。
また、本発明のデータ伝送方法は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して伝送を行うデータ伝送装置において、少なくとも伝送データを誤り訂正符号化する第1の符号化処理ステップと、上記第1の符号化処理ステップで符号化された信号を二重に誤り訂正符号化する第2の符号化処理ステップと、上記第1の符号化処理ステップで符号化された信号と上記第2の符号化処理ステップでの二重誤り訂正符号部とを変調するステップからなり、上記第1の符号化処理ステップで符号化された信号を上記主データキャリアを使用し、上記第2の符号化処理ステップで符号化された信号を上記補助データキャリアを使用して伝送するように構成される。
また、本発明のデータ復調方法は、主データキャリアと補助データキャリアを使用して送られてきた信号を復号する受信機において、上記信号から主データと補助データに分離し、復調するステップと、上記復調された補助データを復号する第1の復号化処理ステップと、上記復調された主データと上記第1の復号化処理ステップで復号された信号とを復号する第2の復号化処理ステップを有する。
以上説明したように本発明によれば、RS符号を複数回行うことによりマルチパスフェージングやゴーストに強いデータ伝送を可能にする。また、OFDM変調方式で用いられる補助データキャリアACを有効に活用し、データの伝送量を減少せずに伝送耐性を向上することができる。更に、データの圧縮方式を適応することによりRS符号化部あるいはRS復号化部を1個使用するだけで、送信機あるいは受信機を実現できるので、製品のコストを低減できると言う効果がある。
本発明のOFDM変調方式を用いた送受信装置の一実施例を図1を用いて説明する。図1において、送信機101は、DVB符号化処理部402、主データ符号化部403、RS二重符号化部102、補助データ符号化部および変調部405から構成されている。なお、図4と同じものには同じ符号が付されている。まず、RS符号化を二重にする場合について図2を用いて説明する。
まず、前述したように外部の符号化器で例えば、画像信号がTS(Transport Stream)形式の主データDに変換され、入力信号端子DinからDVB符号化処理部402に供給される。DVB符号化処理部402では、DVB符号化処理される。その後、主データ符号化部403において畳み込み符号化、データを間引くパンクチャ、インターリーブを適宜行い、変調部405に入力される。ここで、DVB符号化処理部402の処理について図2を用いて説明する。
DVB符号化処理部402のRS符号化部503(図5に示す。)では、主データDにRS(204,188)符号化処理を施すことにより図2(A)に示すようにデータD1(188byte)にパリティP1(16byte)が付加された1TSデータ(204byte)が生成される。この1TSデータをインターリーブ部504でインターリーブ処理されると、図2(B)で示されるように、異なったTSとの間でインターリーブ処理されるため、データ部D2(188byte)およびパリティ部P2(16byte)がそれぞれ図2(A)で示す1TSデータとは異なるTSとして出力される。
而して、インターリーブ部504の出力(図2(B)で示す。)は、主データ符号化部403において畳み込み符号化処理、パンクチャ処理、インターリーブ処理を適宜行い、変調部405に入力される。一方、インターリーブ部504の出力は、RS二重符号化部102にも入力される。RS二重符号化部102では、二重(2回目)のRS(204,188)符号化を行う。即ち、二重誤り訂正符号部(以下パリティ部P3と称する。)となる。これによりパリティ部P3(16byte)は、図2(C)に示すように二重目パリティ(16byte)に上書きされる。なお、データ部D3(188byte)は、既に主データ符号化部403に送られたデータ部D2と同じものであるので、データ部D3は、不要である。従って、RS二重符号化部102では、パリティ部P3(16byte)のみを抽出し、補助データ符号化部103に出力する。補助データ符号化部103では、パリティ部P3(16byte)のみについて畳み込み符号化、パンクチャ、インターリーブを行い、変調部405に入力する。
さて、先に説明した従来の送信機401では、補助データACは、音声や連絡データなどの付加情報を伝送するためのもので、適宜使用が許されていると説明した。本発明では、この補助データとして音声や連絡データなどの付加情報を送信する代わりに、二重のパリテイに上書きされたパリティ部P3(16byte)を送るようにしたことである。換言すれば、図1に示す本発明の送信機では、主データ符号化部403からはインターリーブ部504からの出力(図2(B)に示す。)を畳み込み符号化処理、パンクチャ処理、インターリーブ処理を適宜行い、変調部405に入力される。一方、インターリーブ部504からの出力(図2(B)に示す。)は、RS二重符号化部102で二重(2回目)のRS(204,188)符号化が行われ、図2(C)に示すように二重目パリティ(16byte)に上書きされる。このパリティ部P3(16byte)のみが抽出され、補助データ符号化部103を経由して変調部405に入力される。変調部405では、先に説明したように主データD2、CPデータ、補助データAC1を図11に示すキャリア配置パターンに従い順次選択し、伝送路406に送出される。
而して、上述のように補助データキャリアを用いてパリティビットを送信する場合、主データと補助データの伝送容量の関係により全ての二重(2回目)パリティが伝送できるとは限らない。主データの誤り訂正を補助データにより行うので、補助データの変調方式は、主データの変調方式以下の変調、例えば、主データの変調方式が16QAM変調であれば、補助データの変調方式は、QPSK変調と言うように変調方式を変える必要がある。この条件において、二重パリティが全て伝送可能な場合と不可能(一部のみ伝送不可能)な場合における、RS二重符号化部102の処理の一実施例を説明する。
まず、二重パリティが全て伝送可能な場合について説明する。一例として主データキャリア672本(16QAM、1/2)(畳み込み符号化を1/2とする。)、補助データキャリア66本(16QAM、1/2)の場合を考える。この時、1シンボル周期Aで伝送可能なデータ数を求める。主データは1344(=672×4×1/2)ビットである。ここに、1キャリア当たり、4ビットのデータが送れるものとする。このうちRS(204,188)符号による二重パリティは、105(=1344×16/204)ビットである。一方、補助データは、132(=66×4×1/2)ビットである。この時、残りの27(=132−105)ビットはダミーデータを挿入する。この場合、補助データのビット数は、二重パリティに必要なビット数以上であるため、二重目パリティで訂正可能な主データの割合は、100%である。
次に、二重パリティの一部が伝送不可能な場合について説明する。二重パリティの全部が伝送可能な場合の例と同様に、主データキャリア672本(16QAM、1/2)(畳み込み符号化を1/2とする。)、補助データキャリア66本(16QAM、1/2)の場合を考える。この時、1シンボル期間Aで伝送可能なデータ数を求める。主データは、2016(=672×6×1/2)ビットであるとする。ここに、1キャリア当たり、6ビットのデータが送れるものとする。このうちRS(204,188)符号による二重パリティは、158(=2016×16/204)ビットである。一方、補助データは、132(=66×4×1/2)ビットである。これからも明らかなように補助データは、132ビットに対して二重パリティは、158ビットとなり、26(=158−132)ビット不足する。従って、伝送不可能な26ビットは間引く。この場合の二重目パリティで訂正可能な主データの割合は約83%である。
このように、補助データACの伝送容量に調整したRS二重符号化部102の出力を補助データ符号化部103を介して変調部405に入力し、OFDM変調し、伝送路406から出力する。
次に受信機104における動作について説明する。受信機104は、復調部408、主データ復号化部409、補助データ復号化部105、RS二重復号化部106、DVB復号化処理部411から構成されている。なお、図4と同じものには同じ符号が付されている。復調部408において復調された復号化前主データを主データ復号化部409に入力し、復号化前補助データを補助データ復号化部105に入力する。それぞれの出力をRS二重復号化部106に入力し、RS復号化する。
RS二重復号化部106の構成を、図3を用いて説明する。図3において、主データ復号化部409からの出力信号は、端子301を介して選択器303に印加され、図2(B)に示される主データD2が選択され、RS復号化器304に入力される。また、補助データ復号化部105からの補助データが選択器303で図2(C)に示される補助データAC1(二重のパリテイに上書きされたパリティ部P3)が選択され、これがRS復号化器304に入力される。RS復号化器304では、RS復号化を行い、訂正された主データD2が出力される。
一方、端子301に印加された信号は、選択器305でパリティ部P2(16byte)が選択され、また、RS復号化器304からの主データD2と共に端子306を介してDVB復号化処理部411に印加される。DVB復号化処理部411では、図8に示すようにデインターリーブ部802でデインターリーブ処理、RS復号化部803で、RS(204,188)復号化処理され、更に、エネルギー逆拡散部804で、エネルギー逆拡散処理を行い、元の信号に復調され、端子Doutから出力される。このように補助データキャリアACを使用し二重にRS符号化することができる。
図12は、本発明の他の一実施例の概略構成を示すブロック図である。121は、統合部、122は、選択器である。なお、図1および図4と同じものには同じ符号が付されている。図12に示す実施例において、送信機101は、補助データキャリアACに二重のパリテイ部P3と従来の補助データである音声あるいは連絡データなどの付加情報部の2種類を伝送するようにしたものである。即ち、RS二重符号化部102で二重符号化されたパリティ部P3と端子ACinから入力される付加情報部をそれぞれ補助データ符号化部103および404で符号化処理し、統合部121で統合し、変調部405に入力する。なお、統合に際しては、補助データキャリアACは、前述したように66キャリアしかないので、二重符号化されたパリティのビット数と付加情報部の伝送に使用するビット数とを適宜調節して使用する必要のあることは言うまでもない。
また、図12に示す受信機104において、復調部408から出力される補助データは、選択部122で、二重のパリテイ部P3と付加情報部とが選択され、二重のパリテイ部P3は、補助データ復号化部105を介してRS二重復号化部106に印加される。一方、付加情報部は、補助データ復号化部410で復号処理され、端子ACoutから出力される。このように構成することによって、補助データキャリアACを用いて二重のパリテイ部P3と音声等の付加情報を送ることが可能となる。
図13および図15は、本発明の更に他の一実施例を示す図である。先に説明した実施例では、符号化部がRS符号化部503とRS二重符号化部102の2段階の符号化を行っているが、本実施例では、一個の符号化部で行う場合が示されている。図13は、送信機の概略構成を示すブロック図、図15は、受信機の概略構成を示すブロック図である。図13において、1301は、時間圧縮部、1302は、選択部、1303および1304は、時間伸張部、1305は、遅延部である。なお、図1および図5と同じものには、同じ符号が付されてる。
まず、画像データがST形式の主データDに変換され、入力信号端子Dinから時間圧縮部1301に送られる。時間圧縮部1301は、例えば、FIFO(First In First Out)メモリで構成され、主データDが例えば、1/2の時間に圧縮され、エネルギー拡散部502を介して選択部1302に供給される。エネルギー拡散部502でエネルギー拡散された信号は、RS符号化部503においてRS符号化を行う。RS符号化部503では、前述したように1TS単位で誤り訂正が行われ、図2(A)で示すようなデータとなる。このデータは、インターリーブ部504でインターリーブされ、図2(B)で示すような出力となる。この出力は、時間伸張部1303を経由して主データ符号化部403に供給される。なお、時間伸張部1303は、例えば、FIFOメモリで構成することができる。
一方、インターリーブ部504でインターリーブされた信号は、遅延部1305で遅延され、選択部1302に供給される。遅延部1305で遅延された信号は、選択部1302を介して再度RS符号化部503に供給され、ここで2回目(二重)のRS符号化が行われ、図2(C)で示すような出力となり、時間伸張部1304で、時間伸張され、補助データ符号化部103に供給される。これ以降の処理は、図1で説明したものと同じである。なお、時間伸張部1304は、前述と同様に例えば、FIFOメモリで構成することができる。
次に、図13に示す送信機の動作を図14に示すタイムチャートを用いて説明する。図14において、横軸は、時間を表す。まず、主データDは、入力端子Dinから1TS単位で時間T00、T10、T20、T30、・・・において、それぞれDA、DB、DC、・・・のように入力され、時間圧縮器1301に印加される。時間圧縮器1301では、時間T00、T10で入力されたDA、DBは、時間圧縮され、Da、Dbとなる。このDa、Dbは、エネルギー拡散部502、選択部1302を介してRS符号化部503に供給されるが、選択部1302は、時間T10からT20の期間(主データ処理期間)において、データDa、DbをRS符号化部503に供給するように動作する。RS符号化部503の出力は、図2(A)と同様にDa1+パリテイPa1、Db1+パリテイPb1を出力する。この出力は、インターリーブ部504でインターリーブされ、図2(B)と同様にDa2+パリテイPa2、Db2+パリテイPb2を出力する。この信号は、時間伸張部1303で、T20からT40の期間に時間伸張され、Da3+Pa4、Db3+Pb4のように通常の長さ(速度)に戻され、主データ符号化部403に供給される。
一方、インターリーブ部504の出力は、遅延部1305で適宜遅延され、選択部1302に印加される。この選択部1302では、T20からT30の期間(補助データ処理期間)が選択され、Da2+パリテイPa2、Db2+パリテイPb2の出力がRS符号化部503に印加され、この出力として二重のパリテイPa3、Pb3が得られる。この二重パリテイPa3、Pb3は、時間伸張部1304で通常の速度に戻され、Pa5、Pb5として補助データ符号化部103に供給される。即ち、本実施例では、時分割的にRS符号化部503を使用するように構成することによりRS符号化部を1個で実現できるという特徴がある。
次に、受信機104の他の一実施例を図15を用いて説明する。図15において、送信機101の変調部405から伝送路406を介して伝送されたデータは、OFDM復調部408に入力され、主データは、主データ復号部409に、また、補助データは、補助データ復号部105にそれぞれ供給される。主データ復号化部409からの出力は、マルチプレクサ1501の入力M1と時間圧縮部1502に入力される。なお、時間圧縮部1502は、前述と同様にFIFOメモリで構成することができる。
一方、補助データ復号化部105からの出力は、マルチプレクサ1501の入力M2に供給される。マルチプレクサ1501の出力は、時間圧縮部1503で時間圧縮され、選択部1504の入力S2に供給される。選択部1504の出力は、RS復号化器803で前述と同様にRS復号化処理され、マルチプレクサ1505と時間伸張部1507に供給される。マルチプレクサ1507の出力は、時間伸張部1507で時間伸張され、デインターリーブ部802でデインターリーブ処理され、選択部1504の入力S1に供給される。時間伸張部1506の出力は、エネルギー逆拡散部804を介してデータ出力Doutとして出力される。
次に、この受信機の動作について、図16に示すタイムチャートを用いて説明する。図16において、横軸は、時間を表す。まず、主データ復号化部409は、送信機101から送られたデータに基づき受信側の時刻T00からT10においてDa3+パリテイPa4、時刻T10からT20においてDb3+パリテイPb4を通常の速度で出力する。これら各信号はいずれも一重目のパリティを付加された通常の主データDである。また、この同じ期間に補助データ復号化部105は、二重符号化されたパリテイ部Pa5およびPb5を出力し、マルチプレクサ1501の入力端子M1およびM2にそれぞれ入力される。更に、主データ復号化部409の出力の内、パリテイ部Pa4およびPb4は、時間圧縮部1502で時間圧縮され、マルチプレクサ1505に供給される。
マルチプレクサ1501の出力は、図16に示すように主データ部Da3+二重パリテイ部Pa5および主データ部Db3+二重パリテイ部Pb5となる。このマルチプレクサ1501の出力は、時間圧縮部1503で時間圧縮され、選択部1504の入力端子S2に入力される。選択部1504は、時刻T10からT20の期間(補助データ処理期間)は、時間圧縮部1503の出力、即ち、図16に示す時間圧縮されたDa4+二重パリテイ部Pa7およびDb4+二重パリテイ部Pb7を選択し、RS復号化部803に供給する。RS復号化部803では、誤り訂正および二重パリテイ部Pa7およびPb7を一重のパリテイに復号し、マルテイプレクサ1505に供給する。
マルテイプレクサ1505では、RS復号化部803の出力と時間圧縮部1502の出力から図16に示すDa5+一重パリテイ部Pa6およびDb5+一重パリテイ部Pb6となる。この出力は、遅延部1507でT20からT30の期間に遅延され、デインターリーブ部802でデインターリーブ、即ち、図2(B)のような信号Da6+一重パリテイ部Pa8およびDb6+一重パリテイ部Pb8の信号となり、選択部1504の入力端子S1に供給される。
選択部1504は、T20からT30の期間(主データ処理期間)、入力端子S1の入力を選択し、この信号をRS複合化部803に出力する。この結果、Da6+一重パリテイ部Pa8およびDb6+一重パリテイ部Pb8の信号は、RS複合化部803でRS複合化され、この複合化された信号は、時間伸張部1506で通常の速度に変換され、エネルギー逆拡散部804でエネルギー逆拡散され、元のデータDoutとして出力される。以上説明したように本受信機の実施例では、時分割的にRS復号化部803を使用するように構成することによりRS復号化部を1個で実現できるという特徴がある。
なお、以上の実施例では、データDA、データDBの2パケットを単位とし1/2に時間圧縮し、2倍に伸張を行う処理として説明したが、この単位に限定するものではなく、1/3、1/4等に圧縮して行うこともできることは言うまでもない。また、図13に示す送信機と図15に示す受信機について説明したが、図13に示す送信機と図15に示す受信機を一対で使用する必要はなく、例えば、図1に示す送信機と図15に示す受信機を一対で使用したり、あるいは図13で示す送信機と図1に示す受信機を一対で使用する等その組合せは、適宜選択することができることは言うまでもない。
更に、他のOFDM変調の例として、地上デジタルテレビジョン放送用ARIB規格B31に基づいたOFDM伝送における例を以下に述べる。地上デジタルテレビジョン放送用OFDM波は、13セグメントで構成されている。各セグメントは、図11に示すフレーム構成と類似しており、TMCCキャリア、CPキャリア、ACキャリア、データキャリア等から構成され、これらが13セグメント(13組)並んだ形式である。
ARIB規格B31における補助データ(ACデータ)は、主データのキャリア変調が同期符号化の場合、約91Kbpsのデータ容量である。差動符号化の場合、パイロットキャリアが不要になるため、182.5Kbps増加し、合計273.5Kbpsの総容量を持つ。
主データをDQPSK、ガード比1/8での一例として、畳込み符号化率が1/2の場合、4.056Mbps、畳込み符号化率が2/3の場合、5.409Mbpsとなる。この主データに273.5Kbpsのパリテイを付与すると、割合と付与されるパリテイ数は、畳込み符号化率が1/2、4.056Mbpsの場合、6.7%、パリテイ数は13ワード、また、畳込み符号化率が2/3、5.409Mbpsの場合、5,1%、パリテイ数は10ワードで構成できる。従って、本発明は、地上デジタルテレビジョン放送用ARIB規格B31にも適用できることは明らかである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたOFDM変調方式を用いた送受信装置およびデータ伝送方法の実施例に限定されるものではなく、上記以外にOFDM変調方式のデータ伝送装置およびデータ伝送方法に広く適応することが出来ることは言うまでも無い。また、上記実施例では、RS二重復号化処理について説明したが、RS符号化処理を複数回行うことも容易に実施できることは言うまでもない。
101:送信機、102:RS二重符号化部、103:補助データ符号化部、104:受信機、105:補助データ復号化部、106:RS二重復号化部、303:選択器、304:RS復号化器、305:選択器、402:DVB符号化処理部、403:主データ符号化部、405:変調部、406:伝送路、408:復調部、409:主データ復号化部、411:DVB復号化処理部、Din:主データ入力端子、Dout:主データ出力端子、ACin:補助データ入力端子、ACout:補助データ出力端子。