JP2006041051A - 電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体 - Google Patents

電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体 Download PDF

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Abstract

【課題】 低周波数域での電波吸収特性を維持しつつ、より高周波数域で優れた電波吸収能を有する小型の電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体を提供する。
【解決手段】 少なくともLi及びZnを含有するフェライト粉と、1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂とを含む成形体からなる電波吸収体。ピラミッド型の電波吸収体1とフェライトタイル2とを接合した複合電波吸収体3において、成型体に対するフェライト粉の配合割合は、10〜65体積%であり、1GHz以下の電波周波数域での複素比透磁率μrと複素比誘電率εrとの比μr/εrは0.25〜2.5を満たすこととする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体に関し、特に電波暗室に使用される電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体に関する。
最近電子機器から発生した電磁波が他の電子機器に誤動作を与えたり、逆に他の電子機器から妨害波を受けた電子機器が誤動作を起こしたりする事例が増加している。このため電子機器には、他の電子機器に対する妨害波を発生しないこと(電磁的不干渉性)、及び他の電子機器から妨害波が入射しても障害を起こさないこと(電磁的耐性)の両方を満足する電磁的両立性(Electro Magnetic Compatibility;EMC)が求められている。
EMCの測定は、外部から電波が侵入しない電波暗室内で行う必要がある。通常電波暗室は、外壁が金属板によりシールドされており、電子機器から出た電磁波が内壁で反射しないように内壁には電波吸収体が貼り付けてある。従来電波暗室は1GHzの周波数を上限として規格されていたため、比較的小型の電子製品のEMC測定を行う小型電波暗室には、電波吸収体として低周波特性に優れたフェライトタイル吸収体が単体で設けられていることが多かった。しかし、近年1GHzを超える周波数の電波を使用する電子機器が増加しており、これに応じた性能が必要とされている。そのため高周波域の測定を行うにあたり、フェライトタイル吸収体にカーボンピラミッド吸収体を接合し、対応していた。しかし十分な暗室性能を得るためには、カーボンピラミッド吸収体の高さを45 cm〜1m程度にしなければならず、暗室内の有効空間が減少し、暗室自体を大型化する必要もあった。
従来のフェライト暗室の有効空間をほぼ維持しながら高周波域の測定を可能にする電波吸収体として、特許3041295号(特許文献1)は、平板形状、楔形状又はピラミッド形状を有し、1MHz以上の周波数域における比誘電率が4.9以下の汎用樹脂中にフェライト粉を分散させた上部吸収体と、フェライトタイルとを接合した複合電波吸収体を提案している。この複合電波吸収体は、小型でありながら100 MHz〜10 GHzの広帯域で20dB以上の優れた減衰量を示す。特許文献1はフェライト粉の具体例としてNi-Zn系、Ni-Zn-Cu系及びMn-Zn系のものを挙げている。しかしこれらのフェライト粉を用いた電波吸収体は、10 GHzを超える高周波域の電波に対する吸収能が低いという欠点があった。近年18 GHz超の高周波域まで測定できる電波暗室が要求されることがしばしばあり、こうしたケースに対して特許文献1に示された材料組成の複合電波吸収体では対応できない。
また清水康敬編,「最新 電磁波の吸収と遮蔽」,日経技術図書(株),pp. 111-115(非特許文献1)は、マイクロ波帯のような高周波域で優れた特性を示す電波吸収体材料として、ポリマー中に六方晶フェライトや微粉化したスピネルフェライト(Ni-Zn系、Mn-Zn系)粉末を分散させたものを報告している。これらを複合電波吸収体の上部吸収体に使用することにより、上限周波数は向上する。しかし六方晶フェライト及び微粒化Ni-Zn系フェライト粉は、比較的低い周波域(500 MHz〜1GHz)において複素比透磁率μrが小さいため、十分な減衰特性がない上、空間インピーダンスとの整合性が悪く、電波を反射し易いという問題がある。このように単に高周波域の測定に適した材料を採用するだけでは、広い周波数域において優れた電波吸収能を有する電波暗室用吸収体は得られていない。
特許3041295号公報 清水康敬編,「最新 電磁波の吸収と遮蔽」,日経技術図書(株),pp. 111-115
従って、本発明の目的は、低周波数域での電波吸収特性を維持しつつ、より高周波数域で優れた電波吸収能を有する小型の電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂にLi-Zn系フェライトを分散させることにより、低周波域の電波吸収特性を維持しつつ、従来より高周波域において優れた電波吸収能を有する電波吸収体が得られることを見出し、本発明に想到した。
Li-Zn系フェライトについては、T. Nakamura et al.“Journal of Magnetism and Magnetic Materials”256 (2003) pp. 340-347(参考文献1)等に報告されている。参考文献1には、Li-Zn系フェライトを微粉砕し、焼結した成形体について、単層型電波吸収体としての応用可能性を検討した結果、100 MHz〜1GHzの範囲で反射係数が-20dB以下の性能を示すことが記載されている。しかし参考文献1の電波吸収体は、1GHz以上の周波数域で反射係数が-20dBに至らず、しかも10 GHz以上の高周波域での電波吸収能について何ら触れていない。
本発明では、Li-Zn系フェライトを1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂に分散させることにより、広周波数域において優れた電波吸収特性を有する電波吸収体が得られることを見出した。
すなわち、本発明の電波吸収体は、少なくともLi及びZnを含有するフェライト粉と、1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂とを含む成形体からなることを特徴とする。
前記フェライト粉は、下記式(1):
Li0.5xZn1-xFe2+0.5xO4 …(1)
(ただしxは0.3〜0.8である)により表されるものが好ましく、これにより特に低周波域での電波吸収特性が一層向上する。前記フェライト粉の平均粒径は0.1〜100μmであるのが好ましく、これにより高周波域での電波吸収特性がさらに向上する。
本発明の複合電波吸収体は、ピラミッド型、楔型又は平板型に成形した上記電波吸収体とフェライトタイルとを接合したことを特徴とする。この複合電波吸収体における前記フェライト粉の配合割合は、前記フェライト粉及び前記樹脂の合計を100体積%として、10〜65体積%であるのが好ましい。複合電波吸収体の1GHz以下の電波周波数域での複素比透磁率μrと複素比誘電率εrとの比μr/εrは0.25〜2.5を満たすのが好ましい。
本発明によれば、低周波数域での電波吸収特性を維持しつつ、従来に比べて高い周波数域においても優れた電波吸収能を有する小型の電波吸収体が得られる。本発明の電波吸収体は電波暗室用吸収体として最適である。また本発明で用いるLi-Zn系フェライトは従来のNi-Zn系フェライト等と比べ安価なため、電波吸収体の低コスト化を図ることもできる。
本発明の電波吸収体とフェライトタイルとを接合した複合電波吸収体は、500 MHz以下の低周波域ではフェライトタイルにより電波を吸収し、広い帯域で一層優れた吸収特性を有する。
以下、本発明の電波吸収体及びそれを用いた複合電波吸収体ついて説明する。本発明の電波吸収体は、少なくともLi及びZnを含有するフェライト粉(Li-Zn系フェライト粉)と、1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂とを含む成形体からなる。
[1] 電波吸収体
(1) Li-Zn系フェライト粉
Li-Zn系フェライト粉は、少なくともLi及びZnを含有するものである限り、特に制限されず、公知のものが使用できる。Li-Zn系フェライト粉は、例えば上記参考文献1等に記載されている。
Li-Zn系フェライト粉は、例えば上記参考文献1に記載のようにLi2CO3、ZnO及びFe2O3を固相反応させることにより調製できるが、下記式(1):
Li0.5xZn1-xFe2+0.5xO4 …(1)
(ただしxは0.3〜0.8である)により表される組成を有するのが好ましい。xが0.3未満では高周波域での電波吸収能が充分得られない可能性があり、一方0.8を越えると低周波域での電波吸収能が充分得られない可能性がある。xは0.4〜0.8がより好ましく、0.4〜0.75がさらに好ましい。xを0.4〜0.8とすることにより、特に500MHz付近の周波数域で複素比透磁率μrが大きくなるので、優れた減衰特性が得られる。
一般的にフェライト粉を微粒化することにより、高周波域での電波吸収能は向上するが、500MHz付近の複素比透磁率μrは低下する。従来のフェライト粉は、微粒化したり、組成を調整したりして高周波特性を向上させると、低周波域において電波吸収体として望ましい吸収特性である20dB以上の減衰量が得られなかった。しかしLi-Zn系フェライト粉は、従来のフェライト粉に比べて低周波域での電波吸収能に優れているため、微粒化しても十分な低周波特性を維持できる。すなわち微粒化したLi-Zn系フェライト粉を電波吸収体として使用することにより、優れた低周波特性を維持しつつ、高周波特性を一層向上させることができる。
Li-Zn系フェライト粉の平均粒径は0.1〜100μmが好ましく、3〜70μmがより好ましく、4〜60μmが特に好ましい。平均粒径を0.1μm未満とすると、粉砕コストが高額になったり、樹脂中へ分散させる際の溶融粘度が高くなり、成型が困難となったりする可能性がある。一方100μm超とすると高周波域での電波吸収能が充分得られない可能性がある。ここで平均粒径はレーザー回析/散乱法により求めた。レーザー回析/散乱法では、分散した粒子にレーザー光を照射して回析現象を生じさせ、回析光の径と光強度分布からFraunhofer回析理論及びMie散乱理論に基づいて解析することにより粒度分布を求め、平均粒径を算出する。
Li-Zn系フェライト粉は、平均粒径が異なる複数種の粉を混合したものであってもよい。Li-Zn系フェライト粉の混合物として、例えば優れた高周波特性を有する比較的細かい平均粒径の粉と、優れた低周波特性を有する比較的粗い平均粒径の粉との混合物が挙げられる。Li-Zn系フェライト粉を混合物とする場合、各Li-Zn系フェライト粉の組成や平均粒径等に応じて混合比率を適宜調整する。なおLi-Zn系フェライト粉混合物の平均粒径は必ずしも0.1〜100μmとする必要はない。
(2) 樹脂
樹脂は1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下である限り、特に制限されない。そのような樹脂として、例えばポリオレフィン、弗素樹脂、テフロン(登録商標)等の無極性樹脂;アクリル樹脂;アセチルセルロース樹脂;アリル樹脂;エポキシ樹脂;塩化ビニル樹脂;酢酸ビニル樹脂;スチロール樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂等が挙げられるが、中でも無極性樹脂が好ましい。ここで無極性樹脂とは、(i) 電気双極子を持たない分子により構成された樹脂、(ii) 極性結合を持っていても分子の対称性からその双極子モーメントが打ち消された構造を持つ分子により構成された樹脂、又は(iii) 極性の低い結合を持ち実質的に双極子モーメントを持たない分子により構成された樹脂を意味する。ポリオレフィンとしてはポリエチレン及びポリプロピレンが好ましい。
比誘電率が4.9以下の樹脂を含むことにより、本発明の電波吸収体を上部吸収体としてフェライトタイルと接合して複合電波吸収体を形成した場合に、フェライトタイルの吸収特性を阻害しないものとすることができる。樹脂の比誘電率は、1MHz以上の電波周波数域において3以下であるのがより好ましい。また樹脂を含むことにより、電波吸収体を射出成形、押し出し成形、注型等の容易かつ安価な方法により成形できる。なお通常電磁的両立性(EMC)において問題となる電磁波の周波数は約30MHz以上であるので、樹脂の比誘電率は1MHz以上の周波数域で4.9以下であれば十分である。
(3) 配合割合
本発明の電波吸収体は単体でも使用できるが、フェライトタイルと接合して複合電波吸収体とするのが好ましい。フェライトタイルは、一般的に500 MHz以下の低周波域において吸収能が高くなるように設計されるので、電波吸収体はフェライトタイルの吸収能を阻害しないように、電波を反射せず、透過中に減衰のみが生じるのが望ましい。よって電波吸収体のインピーダンスは、500 MHz以下の低周波域において自由空間のインピーダンスに近いのが望ましい。このため電波吸収体の500 MHz以下の電波周波数域における複素比透磁率μrと複素比誘電率εrとの比μr/εrは、0.25〜2.5であるのが好ましい。比μr/εrを0.25未満又は2.5超とすると、電波吸収体表面での反射が大きくなる恐れがある。比μr/εrは0.8〜1.5であるのがより好ましく、約1であるのが特に好ましい。
Li-Zn系フェライト粉及び樹脂の合計を100体積%として、Li-Zn系フェライト粉の割合を10〜65体積%とするのが好ましい。これによりμr/εr比が0.25〜2.5となり、広い周波数域で優れた電波吸収能が得られるとともに、電波吸収体の成形性が良好となる。Li-Zn系フェライト粉の割合は、30〜65体積%がより好ましい。
(4) その他のフェライト粉
本発明の電波吸収体は、Li-Zn系フェライト粉と他のフェライト粉とを併用してもよい。他のフェライト粉として、例えばNi-Zn系フェライト粉(例えば特許3041295号)、六方晶フェライト(例えば1999年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会予稿集第191頁)等が挙げられる。六方晶フェライトを混合することにより、高周波域における吸収能が向上する。他のフェライト粉を添加する場合、その組成や平均粒径等に応じて添加量を適宜調整する。また本発明のLi-Zn系フェライトに、例えばCuを固溶させてLi-Zn-Cu系フェライトとすると、焼成温度の低温化を図ることもできる。
(5) その他の添加剤
本発明の電波吸収体は、樹脂が公知の添加剤を含有してもよい。添加剤として難燃剤、酸化肪止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤、無機充填剤等が挙げられる。
特に本発明の電波吸収体は、樹脂中に無機材料であるフェライト粉を分散しているため、樹脂のみの場合と比較して燃えにくくなっているが、難燃剤を添加することにより、一層高い難燃性を得ることができる。難燃剤は公知のものでよく、その具体例として、デカブロモビフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、ヘキサブロモシクロドデカン、ビストリブロモフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリエチレン、TBAエポキシオリゴマー等の臭素系難燃剤;リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、ポリリン酸塩、赤リン等のリン系難燃剤;塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸等の塩素系難燃剤等が挙げられる。
これらの難燃剤と併用することにより相乗効果が得られる無機系難燃剤を添加してもよい。そのような無機系難燃剤として、例えば酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛等が挙げられる。さらにタルク等の増量剤を併用すれば、難燃剤の添加量を少量化する上で効果的である。以上の難燃剤は、コストアップや成形性阻害を伴わない範囲で、かつμr/εr=0.25〜2.5の特性を満足するように、要求される難燃レベルに応じて適量を添加する。
本発明の電波吸収体は、その表面に難燃性材料を塗布することにより、難燃性を向上させることも可能である。難燃性材料を塗布することにより、装飾性も兼備することができる。例えば本発明者等により提案された、短繊維を表面に付着する方法(特願2003-108360号)が適用できる。この方法において、短繊維はナイロン、ポリエステル、レーヨン及びポリ塩化ビニルからなる群から選ばれた少なくとも一種の化学繊維からなるのが好ましい。また難燃性材料として導電性を有するカーボン繊維等を使用することもできる。導電性を有するカーボン繊維等を使用する場合、低周波域におけるフェライトタイルの性能劣化を考慮し、繊維の体積固有抵抗値を調整するのが望ましい。
(6) 成形方法
まずLi-Zn系フェライト粉及び樹脂を混練する。混練により、Li-Zn系フェライト粉を樹脂中に分散させることができる。得られた混練物は一旦冷却してペレット化するのが好ましい。得られたペレットを用いて、射出成形、押し出し成形、圧縮成形(例えばスタンピングモールド成形等)、注型等の方法により成形する。フェライトタイルと接合して複合電波吸収体とする場合、ピラミッド型、楔型又は平板型に成形するが、電波吸収特性の広帯域化の観点からピラミッド型又は楔型が好ましい。ピラミッド型又は楔型とすることにより、特定方向への反射を小さくすることができるので、電波吸収特性の広帯域化の点で有利になる。ピラミッド型又は楔型の場合、中実一体構造のものに限られず、中空構造のものや、板状のものを組み合わせた構造のものとしてもよい。本発明の電波吸収体は、ピラミッド型又は楔型とした場合の高さが5〜10 cmであれば、十分な電波吸収能が得られる。このように本発明の電波吸収体は小型でありながら、高周波域の測定が可能であるので、電波暗室用吸収体として最適である。
[2] 複合電波吸収体及びその製造方法
複合電波吸収体は、上記電波吸収体を上部吸収体として、フェライトタイルと接合した構造を有する。
(1) 上部吸収体
上記のように、Li-Zn系フェライト粉及び樹脂を用いて、ピラミッド型、楔型又は平板型に成形する。
(2) フェライトタイル
フェライトタイルの組成に特に制限はなく、公知のものが使用できる。フェライトタイルの吸収特性を500 MHz以下の低周波数域において高くする観点から、Ni-Zn系フェライト及びNi-Zn-Cu系フェライトが好ましい。フェライトタイルは通常、原料フェライト粉末を圧縮成形後、焼結させることにより作製する。フェライトタイルの大きさに特に制限はないが、実用的には10 cm×10 cm乃至20 cm×20 cmの大きさが好ましい。フェライトタイルの厚さは、所望の周波数域で電波吸収が最大になる様に設定すればよいが、通常6〜8mm程度とする。
(3) フェライトタイルと上部吸収体の接合法
上部吸収体とフェライトタイルの接合法としては下記の方法が挙げられる。第一の方法では、上部吸収体を成形すると同時にフェライトタイルに接合する。具体的には、小さな逆テーパー穴のついたフェライトタイルを金型内に装着しておき、この状態で射出成形、押し出し成形、鋳込み成形等を行い、抜型する際にフェライトタイルと上部吸収体が接合した状態で取り出す。第一の方法では、成形と接合が同時に行えるのでコストを低く抑えられる上、機械的な取り付けも加味されており確実な固定が可能である。第二の方法は上部吸収体の底面部に接着剤を塗布し、フェライトタイルに固定するもので、現場での施工や既設のフェライト暗室に上部吸収体を追加する場合に有効である。
(4) 複合電波吸収体
以上のような方法により得られる複合電波吸収体は、500 MHz以下の低周波域ではフェライトタイルにより電波を吸収し、広い帯域で一層優れた吸収特性を有する。ピラミッド型又は楔型の上部吸収体の先端部や谷間部分などにおいて、電波の入射方向に対する平坦面が極力少ない形状とするのが望ましい。これにより10GHz以上のミリ波の周波数域で、上部吸収体の形状による散乱効果が向上する。
(5) 複合電波吸収体の施工法
複合電波吸収体を暗室内に施工する際、複合電波吸収体の吸収特性が所望の周波数域で最大になるように、暗室外壁部に設けられた金属反射板との隙間を適宜調整する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1,2
(i) フェライト粉の調製
表1及び表2に示す組成の各フェライトを調製し、湿式ボールミルにより粉砕した。各フェライト粉の平均粒径を表1及び表2に示す。平均粒径はレーザー回析式粒度分布測定装置(Granulometre 850、CILAS社製)を用いて測定した。
(ii) 上部吸収体の作製
各フェライト粉と、ポリプロピレン[比誘電率:2.0〜2.3(1MHz)]とを、フェライト粉の割合が40体積%となるように配合し、混練した。得られた混練物を用いて、ペレタイザーによりφ2mm×長さ3〜4mmの円柱状ペレットを作製した。各ペレットを用いて射出成形により、底面が50×50 mm、高さが100 mmのピラミッド型の上部吸収体を作製した。
Figure 2006041051
Figure 2006041051
(iii) フェライトタイルの作製
Ni-Zn-Cu系フェライト粉を圧縮成形し、焼成した後、六面研削を行い、100 mm×100 mm×7 mmの平板状フェライトタイルを作製した。
(iv) 複合電波吸収体の作製
図1に示すように、得られたフェライトタイル吸収体2の前面に、作製した各ピラミッド型吸収体1を、接着剤により固定して複合電波吸収体3を作製した。
(v) 電波吸収量測定
複合電波吸収体3の背面を金属板4で裏打ちした後、電波吸収量を測定した。50 MHz〜1GHzの周波数域の吸収量は同軸管法により測定した。具体的には、外形30×30 cm、内径10×10 cmの角形同軸管中に金属板4で裏打ちした複合電波吸収体3を設置し、ネットワークアナライザー(HP8753C、旧ヒューレットパッカード社製)により吸収量を測定した。1GHz〜18GHzの周波数域の吸収量はアーチ法により測定した。具体的には、金属板4で裏打ちした複合電波吸収体3をフリースペースに設置し、発振器に接続した送信アンテナから電波を放射し、ネットワークアナライザー(HP8720D、旧ヒューレットパッカード社製)に接続した受信アンテナを用いて、複合電波吸収体3で反射された電波を検出することにより、吸収量を測定した。結果を図2〜4に示す。
図2はLi-Zn系フェライト組成が電波吸収能に及ぼす影響を示す。実施例1〜3では、0.1〜18 GHzの全域でほぼ20 dB以上の反射減衰量を示し、低周波域(0.1 GHz以上〜1GHz以下)及び高周波域(1GHz超〜18 GHz以下)の両域に対して、電波暗室用吸収体として十分な性能を有することが分かった。
図3にはフェライト粉の平均粒径が電波吸収特性に及ぼす影響を示す。平均粒径5μmのフェライト粉を用いた実施例2では、10〜18 GHzの周波数域において特に優れた電波吸収特性を示すが、500 MHz付近の低周波数域において電波吸収特性が若干低下する傾向が認められた。一方100μmのフェライト粉を用いた実施例5では、500 MHz付近の低周波数域において優れた電波吸収特性を示すが、10〜18 GHzの高周波数域において電波吸収特性が若干低下する傾向が認められた。但し、いずれの実施例でも0.1〜18 GHzの全域における電波吸収特性は許容範囲であった。
図4はNi-Zn系フェライト粉を用いた場合の電波吸収能を示す。平均粒径100μmのフェライト粉を用いた比較例1では500 MHz付近の低周波数域において、優れた電波吸収特性を示したが、10〜18 GHzの周波数域において電波吸収特性が急激に低下する傾向が認められた。一方、平均粒径5μmのフェライト粉を用いた比較例2では、10〜18 GHzの高周波数域での吸収能は優れているものの、500 MHz付近の低周波特性が低かった。よってNi-Zn系フェライト系では0.1〜18 GHzの全域での優れた電波吸収特性を有する電波吸収体を得ることは困難と考えられる。
実施例1〜5及び比較例1,2の複合電波吸収体の断面図である。 実施例1〜3の複合電波吸収体の電波吸収能を示すグラフである。 実施例2,4,5の複合電波吸収体の電波吸収能を示すグラフである。 比較例1,2の複合電波吸収体の電波吸収能を示すグラフである。
符号の説明
1・・・上部吸収体
2・・・フェライトタイル
3・・・複合電波吸収体
4・・・金属板

Claims (4)

  1. 少なくともLi及びZnを含有するフェライト粉と、1MHz以上の電波周波数域における比誘電率が4.9以下の樹脂とを含む成形体からなることを特徴とする電波吸収体。
  2. 請求項1に記載の電波吸収体において、前記フェライト粉は、下記式(1):
    Li0.5xZn1-xFe2+0.5xO4 …(1)
    (ただしxは0.3〜0.8である)により表されることを特徴とする電波吸収体。
  3. 請求項1又は2に記載の電波吸収体とフェライトタイルとを接合した複合電波吸収体であって、前記電波吸収体はピラミッド型、楔型又は平板型であることを特徴とする複合電波吸収体。
  4. 請求項3に記載の複合電波吸収体において、前記フェライト粉の配合割合は、前記フェライト粉及び前記樹脂の合計を100体積%として、10〜65体積%であり、1GHz以下の電波周波数域での複素比透磁率μrと複素比誘電率εrとの比μr/εrは0.25〜2.5を満たすことを特徴とする複合電波吸収体。
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