上述した電子部品実装ラインにおいては、実装モジュールの小型化が図られており、実装モジュールの基板搬送方向の幅が狭くなる傾向にある。係る電子部品実装ラインおいて、実装モジュールの幅より長い基板に部品を実装する場合がある。このように1台の実装モジュールに収まりきらない基板、すなわち2台の実装モジュールに跨る基板に部品を実装するためには、隣接する実装モジュールにより1台の電子部品実装装置を編成し、両実装モジュールに跨る実装領域に基板を搬入して位置決め支持し、前段の実装モジュールの部品移載装置のみが部品を実装可能な第1領域と、後段の実装モジュールの部品移載装置のみが部品を実装可能な第2領域と、各々の部品移載装置が部品を実装可能な共有領域を前記実装領域に設け、両実装モジュールが協調して1枚の基板に部品を実装する必要がある。この場合、従来の電子部品実装装置では、基板を常に一定位置、例えば基板の中心を2台の実装モジュールの接合部に一致させてクランプしていた。そのために基板上の実装部品の分布状況によっては、一方の実装モジュールの部品移載装置でしか実装できない領域に位置する実装部品の点数が多くなり、一方の部品移載装置に部品実装の負荷が偏って実装時間が長くなり、基板1枚あたりの実装時間が増大する不具合があった。
本発明は、係る必要性を満たすためになされたもので、部品供給装置により供給された部品を採取して一枚の基板上に実装する第1および第2部品移載手段の負荷が均等となる電子部品実装方法および装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、基台に設けられて基板を実装領域に搬入出する基板搬送装置と、前記実装領域の目標位置に搬入された基板を前記基台に位置決め支持するクランプ装置と、基台上に水平面内で互いに直交するX軸およびY軸方向に移動可能に装架され、部品供給装置により供給された部品を採取して前記目標位置に位置決め支持された前記基板上に実装する第1および第2部品移載手段とを備え、前記実装領域は前記第1部品移載手段のみが部品を実装可能な第1領域と、第2部品移載手段のみが部品を実装可能な第2領域と、第1および第2部品移載手段が部品を実装可能な共有領域とに区分された電子部品実装装置において、前記第1および第2部品移載装置が各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように前記基板を第1および第2部分に区分けし、この第1および第2部分の区分け線が前記共有領域内に位置するように前記目標位置を設定し、前記第1および第2部分に前記第1および第2移載手段に夫々部品実装させることである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、基台に設けられて基板を実装領域に搬入出する基板搬送装置と、前記実装領域の目標位置に搬入された基板を前記基台に位置決め支持するクランプ装置と、基台上に水平面内で互いに直交するX軸およびY軸方向に移動可能に装架され、部品供給装置により供給された部品を採取して前記目標位置に位置決め支持された前記基板上に実装する第1および第2部品移載手段とを備え、前記実装領域は前記第1部品移載手段のみが部品を実装可能な第1領域と、第2部品移載手段のみが部品を実装可能な第2領域と、第1および第2部品移載手段が部品を実装可能な共有領域とに区分された電子部品実装装置において、前記第1および第2部品移載装置が各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように前記基板を第1および第2部分に仮区分けし、この第1および第2部分の仮区分け線が前記共有領域の中央部分に位置するように前記目標位置を設定し、前記第1および第2部品移載手段の部品実装時間が均等になるように、前記第1および第2部品移載手段が実装を分担する部品を前記共有領域内の部品について分担替えすることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記仮区分け線を搬送方向に変位させた変位区分け線を設定し、この変位区分け線を前記共有領域の中央部分に位置させた場合に、前記第1および第2部品移載手段の部品実装時間が均等になるように、前記第1および第2部品移載手段が実装を分担する部品を前記共有領域内の部品について分担替えし、この分担替えした後に前記第1および第2部品移載手段が各分担部品を前記基板に部品実装する時間が短縮した前記変位区分け線を変更区分け線とし、この変更区分け線が前記共有領域の中央部分に位置するように前記目標位置を設定することである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、複数台の実装モジュールを並べて構成した電子部品実装ラインの隣接する2台の実装モジュールにより前記電子部品実装装置を編成することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、基台に設けられて基板を実装領域に搬入出する基板搬送装置と、前記実装領域の目標位置に搬入された基板を前記基台に位置決め支持するクランプ装置と、基台上に水平面内で互いに直交するX軸およびY軸方向に移動可能に装架され、部品供給装置により供給された部品を採取して前記目標位置に位置決め支持された前記基板上に実装する第1および第2部品移載手段とを備え、前記実装領域は前記第1部品移載手段のみが部品を実装可能な第1領域と、第2部品移載手段のみが部品を実装可能な第2領域と、第1および第2部品移載手段が部品を実装可能な共有領域とに区分された電子部品実装装置において、前記第1および第2部品移載装置が各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように前記基板を第1および第2部分に区分けする区分け手段と、この第1および第2部分の区分け線が前記共有領域内に位置するように前記目標位置を設定する手段と、前記第1および第2部分に前記第1および第2移載手段に夫々部品を実装させる手段とを備えたことである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、第1部品移載手段のみが部品を実装可能な第1領域と、第2部品移載手段のみが部品を実装可能な第2領域と、第1および第2部品移載手段が部品を実装可能な共有領域とに区分された実装領域の目標位置に基板が位置決めされ、該基板上に部品が第1および第2部品移載手段により実装される。第1および第2部品移載手段が各分担部分に部品実装する負荷が均等となるように、基板を第1および第2部分に区分けし、この第1および第2部分の区分け線が共有領域内に位置するように目標位置が設定される。これにより、第1および第2部品移載手段の部品実装の負荷が均等化され、各部品移載装置の実装時間が短くなり、基板1枚あたりの実装時間を短縮することができる。また、共有領域が区分け線により第1および第2部品移載手段が部品実装を分担する部分に区分されるので、第1および第2部品移載手段の部品実装時における干渉防止を容易に確実に行うことができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、第1および第2部品移載手段が各分担部分に部品実装する負荷が均等となるように、基板を第1および第2部分に仮区分けし、この第1および第2部分の仮区分け線が共有領域の中央部分に位置するように目標位置が設定される。そして、第1および第2部品移載手段の部品実装時間が均等になるように、共有領域内の部品について第1および第2部品移載手段の分担替えが行われる。これにより、基板を実装領域に位置決めする目標位置を設定した状態で、狭い共有領域内の部品について第1および第2部品移載手段の分担替えを行い、第1および第2部品移載手段の部品実装時間の均等化を迅速かつ容易に行うことができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、仮区分け線を搬送方向にシフトした変位区分け線を共有領域の中央部分に位置させ、第1および第2部品移載手段が各分担部品を基板に実装する時間が短縮する変位区分け線をみつけて変更区分け線とし、この変更区分け線が共有領域の中央部分に位置するように目標位置が設定される。これにより、第1および第2部品移載手段の部品実装時間の均等化とともに、部品実装時間の短縮を図ることができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、電子部品実装装置は隣接する2台の実装モジュールにより構成されるので、複数台の実装モジュールを並べて構成した電子部品実装ラインにおいて、隣接する2台の実装モジュールに跨る基板に部品を効率的に実装することができる。
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、第1および第2部品移載手段が部品実装を行う実装領域は、第1部品移載手段のみが部品を実装可能な第1領域と、第2部品移載手段のみが部品を実装可能な第2領域と、第1および第2部品移載手段が部品を実装可能な共有領域とに区分されている。第1および第2部品移載手段が各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように、基板が第1および第2部分に区分けされ、この第1および第2部分の区分け線が共有領域内に位置するように目標位置が設定される。この目標位置に基板が位置決め支持され、この基板上に部品が第1および第2部品移載手段により実装される。これにより、第1および第2部品移載手段の部品実装の負荷が均等化され、各部品移載装置の実装時間が短縮し、基板に部品を効率的に実装可能な電子部品実装装置を提供することができる。
以下、本発明に係る電子部品実装方法および装置の第1の実施形態について説明する。図1において、電子部品実装ライン10は、第1乃至第4実装モジュール11a〜11dを直列に並べて構成されている。第1実装モジュール11aの上流および第4実装モジュール11dの下流には、それぞれ第1実装モジュール11aに基板PBを搬入する搬入用シフト装置15、および第4実装モジュール14dからの基板PBを搬出する搬出用シフト装置16が配置されている。
各実装モジュール11は、図2に示すように、いわゆるシングルトラックコンベヤ方式の実装モジュールである。実装モジュール11の基台21上には、基板PBをX軸方向に搬送する基板搬送装置30が設けられている。基板搬送装置30は、基板PBを所定方向(図1および図2において右方向)に搬送するものであり、互いに対向して搬送方向に平行に延在されるガイドレール31,32が基台21上に配置され、ガイドレール31,32は、基板PBを搬送方向にそれぞれ案内する。基板搬送装置30には、ガイドレール31,32の直下に互いに平行に設けられた一対のコンベヤベルトが並設されている。これらコンベヤベルトは基板PBを支持して搬送方向に搬送する。なお、コンベヤベルトはステッピングモータによって駆動されるようになっている。
各実装モジュール11には、図2に示すように、センサ61〜63が基板搬送装置30のガイドレール31,32の内側に搬入口、中間位置および搬出口の3箇所に設けられている。基板搬入、搬出センサ61,63は基板PBの搬入、搬出を確認するために設けられたものであり、位置決めセンサ62は基板前端の通過を検出した後に基板PBを移動距離Lだけ移動させて目標位置に停止させるために設けられたものである。センサ61〜63の検出信号は図3に示す制御装置60に入力されるようになっている。
また、基板搬送装置30には所定の目標位置まで搬送された基板PBを押し上げ、ガイドレール31,32に基板PBの側縁に対向して突設された当接面に押し付けてクランプ(位置決め支持)するクランプ装置33が備えられている。クランプ装置33は、その上面に立設されて基板PBを下から押し上げて支持するバックアップピンを複数有しており、これらバックアップピンは基板PBを効果的に支持する位置に配置されている。この配置は基板PBの型式によって異なっている。
基板搬送装置30の上方(図2において紙面垂直上方向)には、部品供給装置50により供給された電子部品を採取し目標位置に位置決め支持された基板PB上に実装する部品移載装置43が設けられている。基台21の上方にはY軸方向に延在する固定レール42が設けられ、固定レール42にはX軸方向に細長い移動台41がY軸方向に移動可能に装架され、移動台41に支持ベース45がX軸方向に移動可能に装架されている。移動台41および支持ベース45は夫々サーボモータによりボールねじを介してX軸およびY軸方向に移動される。支持ベース45には部品実装ヘッド46がX軸,Y軸方向と直角なZ軸方向に昇降可能に支持され、サーボモータによりボールねじを介して昇降される。部品実装ヘッド46には電子部品を下端に吸着保持する円筒状の吸着ノズル47が下方に突出して設けられている。
実装モジュール11のY軸方向両側には、基板搬送装置30を挟んで部品供給装置50が配置されており、この部品供給装置50は着脱可能な多数のカセット式フィーダ(部品供給カセット)51を並設してなるものである。カセット式フィーダ51は、本体52と、本体52の後部に設けた供給リール53と、本体52の先端に設けた部品取出部54を備えている。供給リール53には電子部品が所定ピッチで封入された細長いテープ(図示省略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図示省略)により所定ピッチで引き出され、電子部品が封入状態を解除されて部品取出部54に順次送り込まれるようになっている。なお部品供給装置50は、カセット式のものだけでなくトレイ上に電子部品が並べられているトレイ式のものもある。
第1乃至第4実装モジュール11a〜11dを直列に並べて構成した電子部品実装ライン10は、図1に示すように隣接する実装モジュール11の部品移載装置43のX軸方向の実装範囲Aがオーバラップしており、隣接する実装モジュール11に跨る実装領域は、前段の実装モジュール11の第1部品移載装置43のみが部品を実装可能な第1領域71と、後段の実装モジュール11の第2部品移載装置43のみが部品を実装可能な第2領域72と、前段および後段の実装モジュール11の第1および第2部品移載装置43が部品を実装可能な共有領域73とに区分される。1台の実装モジュール11に収まりきらない基板PBに部品を実装するときは、電子部品実装ライン10の隣接する実装モジュール、例えば第1および第2実装モジュール11a,11bにより電子部品実装装置22が編成され、第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域の目標位置に基板PBが搬入され、第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品移載装置43a,43bにより電子部品が実装される。なお、基板搬送装置30、部品移載装置43、制御装置60等は、第1乃至第4実装モジュール11a〜11dの各々に設けられたものを示す場合、基板搬送装置30a〜30b、部品移載装置43a〜43b、制御装置60a〜60b等と表示する。
実装モジュール11は、図3に示すように制御装置60を備えており、各制御装置60には、基板搬送装置30、部品供給装置50、クランプ装置33、部品移載装置43、センサ61〜63、入力装置65、通信装置66、および記憶装置67が接続されている。入力装置65は、作業者が操作して実装開始、実装停止などの操作を行い、また基板PBの実装に必要な情報、データなどを入力するためのものである。通信装置66は、ホストコンピュータ68および他の実装モジュール11の制御装置60との間で情報を互いに通信するためのものである。記憶装置67には、部品実装プログラム、基板PBを停止させる目標位置等がホストコンピュータ68から通信装置66を介して送信され記憶されるとともに、基板搬送装置30、クランプ装置33等の制御プログラムが記憶されている。
ホストコンピュータ68の記憶装置には、電子部品の種類と型番(以下、電子部品の種類と型番を含めて型式という。)毎にX,Y,Z軸方向の寸法(長さ、幅、高さ)および搬送速度等の電子部品に関するデータ、および基板PBの型式毎にX,Y軸,方向の寸法(長さ、幅)、実装される電子部品の型式および実装位置(座標値)などの基板PBに関するデータが記憶されるとともに、部品を吸着する吸着ノズルの決定方法、部品を部品移載装置43に吸着して基板PBの実装位置に搬送するまでに要する実装時間を演算するための搬送速度などの実装条件に関するデータが電子部品の型式毎に記憶されている。各型式の部品の実装時間は、各型式に応じた搬送速度に搬送距離を乗じて求める。さらに、ホストコンピュータ68の記憶装置には、第1乃至第4実装モジュール11a〜11dの部品移載装置43a〜43dに装備可能な吸着ノズル47の本数、部品供給装置50のカセット式フィーダの個数等の実装モジュール11、部品供給装置50等に関するデータが記憶されるとともに、隣接する実装モジュール11に跨る実装領域の目標位置に搬入された基板PBの各分担部分に、隣接する実装モジュール11の各部品移載装置43が部品を実装する負荷が均等となるように基板PBを第1および第2部分に区分けする区分けプログラムが記憶されている。
また、各型式の基板PBについて部品実装を担当する実装モジュール11、実装を担当する実装モジュール11の実装領域の目標位置に基板PBを位置決めするために、基板前端の通過を検出する信号が制御装置60に取込まれて実装領域の基準位置を設定する有効位置決めセンサ、および有効位置決めセンサが基板前端の通過を検出してから基板PBが目標位置に位置するまでの移動距離Lがホストコンピュータ68により決定される。決定された有効位置決めセンサおよび移動距離Lは基盤PBの型式毎に図4に示す位置決めテーブルに登録されている。例えば、幅が実装モジュールの幅より短く、第1乃至第4実装モジュール11a〜11dに順次搬入されて位置決めされ、部品を実装される型式PB02の基板(以下、基板PB02という。)については、全位置決めセンサ62a〜62dが有効位置決めセンサとして登録されるとともに、位置決めセンサ62a〜62dから検出信号が送出されてから基板PB02が目標位置に位置されるまでの移動距離La2〜Ld2が登録されている。他の例として、第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域の目標位置に位置決めされ、各部品移載装置43a,43bにより部品を実装される基板PB01については、位置決めセンサ62bが有効位置決めセンサとして登録されるとともに、位置決めセンサ62bから検出信号が送出されてから基板PB01が目標位置に位置されるまでの移動距離Lb1が登録されている。
隣接する実装モジュール11、例えば第1および第2実装モジュール11a,11bにより電子部品実装装置22を編成し、第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域の目標位置に基板PB01を搬入して位置決めクランプし、種々型式の電子部品を複数個、基板PB01の各実装位置に実装する場合の作動を図5に示す区分けプログラム70および図6の基板搬送装置30の制御プログラム75とともに説明する。ホストコンピュータ68は区分けプログラム70を実行し、第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品移載装置43a,43bが実装する部品点数が等しくなるように基板PB01を第1および第2部分に区分けする(ステップS1)。この第1および第2部分の区分け線が共有領域73の中央部分に位置するように基板PB01を第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域に搬入して停止させる目標位置を算出して設定する(ステップS2)。区分け線が共有領域73の中央部分に位置するように目標位置を設定すると、部品移載装置43a,43bの部品実装ヘッド46a,46bの共有領域での移動距離を均等化することができる。しかし、目標位置の設定は、区分け線を共有領域73の中央部分に位置させることが必須ではなく、区分け線を共有領域73内に位置させることが必要である。
ホストコンピュータ68は、さらに第1および第2実装モジュール11a,11bが夫々実装する電子部品の型式、該型式の部品を封入されたテープが巻かれた供給リールを装填する各部品供給装置50a,50bのアドレス、および各型式の部品を吸着する吸着ノズル47等を指定するとともに、第1および第2実装モジュール11a,11bの部品実装ヘッド46a,46bが各部品供給装置50a.50bから部品を採取し、基板PB01の第1および第2部分の実装位置に実装する第1および第2部品移載装置用の部品実装プログラムを作成する。
区分け線が共有領域の中央部分に位置するように基板PB01を位置決めする目標位置、各供給リールを装填する各部品供給装置50a,50bのアドレス、各型式の部品を吸着する吸着ノズル47、および第1および第2部品移載装置用の部品実装プログラムは、ホストコンピュータ68から第1および第2実装モジュール11a,11bの各制御装置60a,60bに必要に応じて送信され、各制御装置60a,60bの記憶装置67a,67bに記憶される。
電子部品実装装置22においては、指定された吸着ノズル47が第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品実装ヘッド46a,46bに装着され、各型式の部品を収納した各供給リール53が各部品供給装置50a,50bの指定されたアドレスに装填される。図1に仮想線で示すように基板PB01が搬入用シフト装置15に搬入され、実装開始スイッチが押されると、第1乃至第4実装モジュール11a〜11dの各制御装置60a〜60dは、基板搬送装置30a〜30dの制御プログラムを実行する。各制御装置60a〜60dは、実装モジュール11a〜11dに基板PB01が搬送されるまで待機する(ステップS21)。搬入用シフト装置15から第1実装モジュール11aに基板PB01が搬送され基板搬入センサ61aが作動されると、第1実装モジュール11aの基板搬送装置30aが起動される。位置決めセンサ62aは図4の位置決めテーブルにおいて有効位置決めセンサに指定されていないので(ステップS22)、この基板搬送装置30aは第2実装モジュール12の制御装置60aから指令が送信されるまで基板を搬送し続ける(ステップS30,S29)。
第2実装モジュール11bの位置決めセンサ62bは有効位置決めセンサに指定されているので(ステップS22)、位置決めセンサ62bが基板前端の通過を検出すると、制御装置60bは第2実装モジュール11bの基板搬送装置30bのコンベヤベルトのステッピングモータを図4の位置決めテーブルに示された移動距離Lb1に相当するパルス数だけ回転させ、基板PB01を目標位置まで搬送して停止させる(ステップS24)。この間、制御装置60aは第1実装モジュール11aの基板搬送装置30aのコンベアベルトのステッピングモータを制御装置60bから停止信号を受けるまで同期回転させる(ステップS30,S31)。クランプ装置33a,33bを同期して作動させ、基板PB01を目標位置にクランプする(ステップS25〜S27,S32)。クランプ完了後、第1および第2実装モジュール11a,11bの部品移載装置43a,43bが部品供給装置50a,50bにより供給された電子部品を採取して基板PB01に実装する(ステップS28,S33)。実装完了後、基板PB01はクランプ装置33a,33bにより同期してアンクランプされ(ステップS28,S34)、基板搬送装置30a〜30dにより第3および第4実装モジュール11c、11dの実装領域の目標位置に同期して搬送される(ステップS29)。
次に、第1および第2実装モジュール11a,11bの部品移載装置43a,43bが基板の各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように基板を第1および第2部分に仮区分けし、この第1および第2部分の仮区分け線が共有領域73の中央部分に位置するように基板PBを位置決めする目標位置を設定し、部品移載装置43a,43bの部品実装時間が均等になるように、第1および第2部品移載装置43a,43bが実装を分担する部品を共有領域73内の部品について分担替えする第2の実施形態を図7に示す区分けプログラム75に基づいて説明する。
ホストコンピュータ68は区分けプログラム75を実行し、第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品移載装置43a,43bが実装する部品点数が等しくなるように基板PB01を第1および第2部分に仮区分けする(ステップS41)。この第1および第2部分の仮区分け線が共有領域73の中央部分に位置するように基板PB01を第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域に搬入して停止させる目標位置を算出する(ステップS42)。
基板PB01が目標位置に位置決めクランプされたとき、第1および第2実装モジュール11a,11bが夫々実装を分担する電子部品の型式、該型式の部品を封入されたテープが巻かれた供給リール53を装填する各部品供給装置50a,50bのアドレス、および各型式の部品を吸着する吸着ノズル47等を設定する(ステップS43)。各供給リール53が装填される各部品供給装置50a,50bのアドレス、各部品実装ヘッド46a,46bに装着される吸着ノズル47等が設定されたことにより、共有領域73において部品実装ヘッド46aまたは46bでしか実装できなくなった部品を該部品実装ヘッド46aまたは46bを備えた部品移載装置43aまたは43bに割当てる(ステップS44)。目標位置に位置された基板PB01に部品移載装置43a,43bが部品を実装する時間が均等になるように、第1および第2部品移載装置43a,43bが実装を分担する部品を共有領域73内の部品について分担替えする(ステップS45)。
このように区分けプログラム75により作成された第1および第2部品移載装置43a,43bの部品実装分担に基づいてホストコンピュータ68は第1および第2実装モジュール11a,11bの部品実装ヘッド46a,46bが各部品供給装置50a.50bから部品を採取し、基板PB01の実装位置に実装する第1および第2部品移載装置用の部品実装プログラムを作成する。第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品移載装置43a,43bが部品実装ヘッド46a,46bに装着された吸着ノズル47により各部品供給装置50a.50bから部品を採取し、基板PB01の実装位置に実装する第1および第2部品実装プログラムを作成する。基板PB01を基板搬送装置30a,30bにより搬送して目標位置に位置決めし、クランプ装置33a、33bによりクランプし、部品移載装置43a,43bにより部品実装することは第1の実施形態の場合と同様であるので説明を省略する。
次に、第2の実施形態に加え、仮区分け線を搬送方向に変位させた変位区分け線を設定し、この変位区分け線を共有領域73の中央部分に位置させたときに、第1および第2部品移載装置43a,43bの部品実装時間が均等になるように、第1および第2部品移載装置43a,43bが実装を分担する部品を共有領域73内の部品について分担替えし、この分担替えした後に第1および第2部品移載装置43a,43bが各分担部品を基板PB01に実装する時間が短縮した場合、この変位区分け線を変更区分け線とし、この変更区分け線が前記共有領域の中央部分に位置するように基板PB01を目標位置に位置決めさせる第3の実施形態を図8に示す区分けプログラム80に基づいて説明する。
ステップS51からS54までは第2の実施形態のステップS41からS44までと同じである。ステップS55において目標位置に位置された基板PB01に部品移載装置43a,43bが部品を実装する時間が均等になるように、第1および第2部品移載装置43a,43bが実装を分担する部品を共有領域73内の部品について分担替えし、部品移載装置43a,43bの部品実装時間の中の長い方を所要部品実装時間として記憶する(ステップS55)。
基板PB01において仮区分け線をX軸の正負方向に所定量ずつシフトして変位区分け線を順次設定し、所要部品実装時間が低下しなくなるまで各変位区分け線についてステップS55と同様の処理を繰り返し実行する(ステップS56)。ステップS56で求めた所要部品実装時間に対応する変位区分け線を変更区分け線とし、この変更区分け線が共有領域73の中心に位置するように基板PB01を第1および第2実装モジュール11a,11bに跨る実装領域に搬入して停止させる目標位置を算出する(ステップS57)。以下の作動は前述の第2の実施形態の場合と同様である。
基板PB01の第1および第2部分に夫々実装される部品の実装時間は、ホストコンピュータ68の記憶装置に記憶された電子部品および基板に関するデータ並びに実装条件に基づいて、第1および第2実装モジュール11a,11bの部品移載装置46a,46bが部品を基板PB01に実装するシーケンスをホストコンピュータ68が図9に示すようにシミュレーションすることにより演算することができる。このシミュレーションでは、第1実装モジュール11aにおいて複数個の吸着ノズル47を有する部品実装ヘッド46aが複数個の電子部品を部品供給装置50aの部品取出部54から吸着し、部品の吸着姿勢を撮像するために監視カメラ65aを経由して基板PB01上に実装する軌跡が表示されている。第2実装モジュール11bにおいては1個の吸着ノズル47を有する部品実装ヘッド46bが1個の電子部品を部品取出部54から吸着し、監視カメラ65bを経由して基板PB01上に実装する軌跡が表示されている。部品実装ヘッド46がこのような軌跡を移動して部品を基板に実装するのに必要な時間は、(1)部品の吸着時間、(2)部品を採取する部品取出部54から監視カメラ65までの移動時間、(3)監視カメラ65による吸着部品の撮影時間、(4)監視カメラ65から基板上の実装位置までの移動時間、(5)部品実装ヘッド46が下降して部品を基板上に実装する時間、(6)実装位置から次の部品の部品取出部54までの移動時間を積算して求めることができる。
また、各型式の部品の実装時間は、各部品型式に対応した搬送速度に基板の形式毎に基板の大きさに応じて設定された平均搬送距離を乗じて求め、この実装時間を基板の第1および第2部分に実装される部品毎に積算することにより、基板の第1および第2部分に部品を夫々実装する実装時間を簡易的に演算してもよい。
上記実施の形態では、第1および第2部品移載装置が各分担部分に部品を実装する負荷が均等となるように基板を第1および第2部分に区分けするために、第1および第2実装モジュール11a,11bの各部品移載装置43a,43bが実装する部品点数が等しくなるように基板を第1および第2部分に区分けしているが、基板の第1および第2部分に夫々実装される部品の実装時間を演算し、各部品の実装時間を基板の第1および第2部分毎に加算することにより、基板の第1および第2部分の実装時間を演算し、基板の第1および第2部分の実装時間が均等になるように基板を第1および第2部分に区分けしてもよい。
上記実施の形態では、電子部品実装ライン10の第1および第2実装モジュール11a,11bにより電子部品実装装置22を編成しているが、電子部品実装ライン10の隣接するいずれの2台の実装モジュール11により電子部品実装装置を編成してもよい。この場合は、前段の実装モジュール及びその部品移載装置が第1実装モジュール及び第1部品移載装置となり、後段の実装モジュール及びその部品移載装置が第2実装モジュール及び第2部品移載装置となる。
また、基板搬送装置、クランプ装置、部品供給装置などを装備された1個の基台上に第1および第2部品移載装置を並設して電子部品実装装置を構成してもよい。さらに、基板に部品を夫々実装する第1および第2部品移載装置の少なくとも一方を複数台にしてもよい。
10…電子部品実装ライン、11…実装モジュール、15…搬入用シフト装置、16…搬出用シフト装置、21…基台、22…電子部品実装装置、30…基板搬送装置、33…クランプ装置、43…部品移載装置、46…部品実装ヘッド、47…吸着ノズル、50…部品供給装置、54…部品取出部、60…制御装置、61〜63…センサ、65…監視カメラ、67…記憶装置、68…ホストコンピュータ、70,75,80…区分けプログラム、71…第1領域、72…第2領域、73…共有領域、PB…基板。