JP2006040835A - 電子ビーム照射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平面型電子ビーム源を有する電子ビーム照射装置において、電子ビームのロスを少なくし、電子ビーム密度を高め、コンパクト化し、高速処理を可能にする。
【解決手段】強誘電体層2の各面に、共通電極1と、電子発生用開口部31のある電子発生電極3を設ける。所定距離はなして、電子収束用開口部41がある加速電極4を設ける。電子ビーム源の電子発生電極3の開口率よりも、加速電極4の開口率を大きくして、電子ビームのロスを少なくする。さらに、電子ビーム源である強誘電体層2の表面に、二次電子放出能力の高いMgO膜や窒化アルミニウム膜等を積層して、電子ビーム放出密度を高める。電子集束部として、金属メッシュ電極と誘電体メッシュの複数層から構成される電子ビーム集束板を設けると、電子ビーム密度を高めてもコンパクト化できる。また、電子ビームの照射面を両面とすることで、電子照射効率を2倍にできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子ビーム照射装置に関し、特に、露光装置や陰極線管や冷陰極ディスプレイや微細加工装置等に用いられる電子ビーム源である電子ビーム照射装置に関する。
従来、電子ビーム源は、種々の分野で広く用いられている。映像関連分野では、CRT(陰極線管)の電子銃をはじめとして、冷陰極FDP(フラットパネルディスプレイ)や走査電子顕微鏡などにおいて、電子ビーム照射装置が用いられている。材料加工分野においては、微細加工やエッチング加工や露光等に、電子ビーム照射装置が用いられている。電子ビーム源における主な技術要素は、電子発生源から放出された電子を、使用目的に応じた方向に制御する手段と、電子ビームを加速する手段と、電子ビームを集束する制御手段である。
映像表示分野に用いられている代表的な電子ビーム照射装置は、CRTの電子銃である。これは最も古くから実用化されてきたものである。最近では、EL素子を用いたフレキシブルディスプレイや、ツイストボールディスプレイや、液晶ディスプレイや、プラズマディスプレイ等の各種のFPDや、その他の新しいディスプレイデバイスが普及しつつある。しかし、明るさや解像度やコントラストの点では、CRTが依然として優れており、広く利用されている。ところが、CRTは、電子銃の構造と画像形成方法に基づく本質的な特性のため、画質の向上はこれ以上望めず、コンパクトにもならない。CRT用の電子銃で単発型の電子ビームを発生して画像を形成する場合には、スクリーンに均一で高密度の電子ビームを照射するために、電子銃とスクリーンとの間にある程度の距離が必要となる。したがって、CRTの体積と重量がともに大きくなってしまう。
これらの限界のため、冷陰極電子ビーム照射装置が、ディスプレイデバイスに用いられるようになってきた。電子ビーム源が平面照射型の冷陰極電子ビーム源では、電子ビーム源と電子ビーム照射面間の距離が、CRT用電子銃の場合よりはるかに短くても、電子ビームは十分な密度に集束でき、均一な電子ビームが得られる。したがって、表示装置の重量は軽くなり、体積も小さくなる。
一般の電子放出源としては、熱電子放出型電子源と、電界放出型電子源と、熱電界放出型電子源の3種類がある。熱電子放出型電子源は、電極の金属から放出される熱電子を、電極間に印加した高電圧で加速して電子ビームとして取り出すものである。したがって、電子放出時には電極等の素子が高温となり、それらの素子からガスが真空中に放出され、装置の機能寿命に悪影響を及ぼす。それに対し、電界放出型電子源では、電極を熱することをせずに冷陰極を用いて、強い電界によって電子を放出する方法をとるので、ガス放出の問題はない。中でも、針状の冷陰極では、素子の高温化が防止できるのみではなく、1000A/cm2以上の高い電子放出密度も実現可能である。また、半導体中のなだれ降伏や、絶縁膜またはショットキー障壁のトンネル効果を利用した平面陰極構造も存在する。さらには、非特許文献1〜4などに開示されているように、強誘電体の分極を瞬時に反転させ、強誘電体表面に束縛された電子をパルス的に放出させることで、1A/cm2以上の電流密度が得られるものもある。
冷陰極型の電子ビーム源の例を示す。特許文献1に開示された「電子ビーム装置」は、電子ビームの優れた集束特性と電子ビームの高周波変調を実現した電界放出冷陰極を用いた電子ビーム装置である。基板上に電子引き出し電極を有する複数個の尖鋭なエミッタの集合体を形成する。このエミッタの集合体から放出される電子を、電磁界レンズにより集束する。その際、エミッタ集合体の周囲の電子引き出し電極と概略同一平面上に形成された集束電極により、放出される電子のエミッタンス特性を、電子レンズの収差を補償させるよう制御する。これにより、優れた集束特性を得ることができる。更に、電界放出冷陰極の集束電極とエミッタ間の電位差を一定に保つことにより、エミッタ・集束電極間静電容量の影響による高周波特性の劣化を防止する。
特許文献2に開示された「電子ビーム装置」は、電子ビームを細く絞ることができる小型低コストの電子ビーム装置である。電子を放出するエミッタ電極を、半導体基板の表面に一体的に突出して形成する。半導体基板上に、エミッタ電極の周辺部を覆うように、絶縁体を形成する。この絶縁体上に、エミッタ電極の周辺部を覆い、エミッタ電極の先端部に近接して配置されたリング状の電子引き出し電極を設ける。エミッタ電極から放出される電子を取り出す方向とほぼ平行に磁場を重畳させる集束コイルを、絶縁体表面上の電子引き出し電極の外周部分に設ける。これにより、エミッタ電極から放出された電子を集束させる。
図8は、非特許文献5に開示された冷陰極電子ビーム照射装置の断面構造図である。冷陰極と対向電極間に電圧を印加することにより、冷陰極先端であるエミッタから電子が放出される。加速電極により電界がかけられて、電子は加速され、HARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductorの略)膜に当たり、HARP膜の下面が負に帯電し、電界が発生する。光がHARP膜の上面に入射すると電子正孔対が発生し、電子はHARP膜中の電界で電子雪崩を起こし、アバランシェ増幅される。これによる電流が出力電極から取り出され、出力信号により像を形成する。
ところで、電子ビームを加速させるために電界をかけるのみであると、電子放出直後に電子がクロスオーバーにより拡散し、電子ビームの照射先に対して高密度に照射されず、照射面においてもムラが生じる。したがって、電子の加速を行う以外に、電子ビームの進行方向を制御し、集束も制御する必要がある。加速された電子の方向制御と集束制御には、一般に磁界レンズと電界レンズが用いられる。平面電子ビーム源の場合は、磁界レンズが多用されている。その他、電子が通過するスリット幅を小さくすることでも、電子ビーム径を制御できる。
最近では、さらに画質の向上を図るために、高密度化されている。高鮮明度で高解像度の高画質映像が求められており、画像の画素サイズが極小化しつつある。高画質とするためには、電子照射面において必要な電子ビーム密度に対応して、電子源の実装密度を高密度にする必要がある。図8に示すような冷陰極電子ビーム装置においては、電子ビームを放出する部分が冷陰極の先端のみである。冷陰極によるこの電子ビーム装置において、電子ビームが照射される電極開口径の最小単位のサイズは1μm以下であり、とても小さい。しかし、エミッタ電極と絶縁体との間に、最小限の空隙が必要であるという構造のために、電子ビーム照射源の領域が限定され、電子ビーム密度を向上させるための電子ビーム源の高密度実装には限界がある。このことから、電子ビーム照射における電子ビーム径の広がりによる照射密度の低下と、電子ビーム照射の不均一性が発生するという問題がある。
単発ビーム源として用いる電子ビームの集束には、電界レンズが用いられている。ディスプレイ分野では、最も高い解像度が得られる特性を有する磁界レンズが、最近になって多用されている傾向にある。冷陰極電子ビーム装置における電子集束制御の例を、図9に示す。共通電極とエミッタ電極と絶縁体と冷陰極とからなる電子ビーム源と、電子加速用電極と、HARP膜と出力電極とを、容器によって封止する。この装置の側面と底面に、磁束密度が0.11テスラ以上の永久磁石を設ける。この磁界による電子ビーム集束制御については、非特許文献5や特許文献1や特許文献5に開示されている。それぞれの磁石の磁力線によって、電子ビームの向きが直線方向に揃えられる。
電子ビーム源の高密度実装を考慮した電子ビーム照射装置が提案されている。特許文献3に開示された「強誘電体冷陰極」は、強誘電体を電極によりサンドイッチ構造とし、電極間に交番電界を印加することにより電子放出を行う強誘電体冷陰極である。強誘電体の一方の面に、第1の電極を形成する。強誘電体の他方の面に、第2の電極を形成する。強誘電体の表面層と、その他の部分の抵抗率が異なっているので、電子放出特性の安定した実用的な冷陰極が得られる。
特許文献4に開示された「2次元ディスプレイ」は、強誘電体を用いた電子ビーム発生装置を利用した、画像分解能の優れた2次元ディスプレイである。発光体面の一方の面に、第1ストライプ電極と第2ストライプ電極を直交させて形成する。そのどちらとも平行しないように斜めに、第3のストライプ電極を、全素子上に形成する。第3のストライプ電極は、ディスプレイの視認性を全く損なうことがないように、ITO等からなる透明の電極とする。第3のストライプ電極は、電子ビーム発生素子と反対側の発光体面に設ける。第1ストライプ電極と第2ストライプ電極に、強誘電体の抗電圧より大きな駆動パルスを印加する。それと同時に、第3ストライプ電極に、正の第1バイアスパルスを印加する。
図10は、強誘電体を用いた電子ビーム源の基本構成を示す図である。図11は、強誘電体を用いた電子ビーム照射装置の概略断面図である。電子ビーム照射装置は、連続した一層の強誘電体と、この強誘電体の一面に形成された共通電極と、開口を有し、強誘電体の他面に形成された電子発生電極と、開口を有し電子ビームを加速させる加速電極とで構成されている。共通電極と電子発生電極間に交流電圧を印加することにより、電子ビーム照射側の電子発生電極の開口を通して、強誘電体層の表面から電子ビームが放出される。
この電子ビーム照射装置において、共通電極と電子発生電極との間に交流電界を印加すると、強誘電体内部に、印加された電界を打ち消すような向きに分極が生じる。この分極が、印加交流電界の変化に伴って反転する際に、電子発生電極の近傍に存在する電子が放出される。すなわち、連続してなる一層の強誘電体を共通電極と電子発生電極とで挟む構造の電子ビーム源において、1対の電極に電圧が印加されると、強誘電体の表面から真空中に電子が放出される。さらに電子は、電子発生電極からある距離に設置された加速電極に印加された電圧による電界の力を受けて加速される。このような構造であると、電子ビーム放出が1点に限られず、強誘電体表面のすべてから電子放出が可能となるため、電子照射密度が向上する。
特開平9-306338号公報 特開平9-134665号公報 特開平5-325777号公報 特開平8-262996号公報 特開2000-243305号公報 H. Gundel et al, Appl. Phys. Lett., Vol.54, p.2071, 1989. H. Gundel et al, Journal of Applied Physics 69(2), p.975, 1991. G. I. Rosenman et al; Ferroelectrics, Vol.110, pp.99-112, 1990. 浅野肇等;強誘電体応用会議予稿集,pp.69, 1992. NHK放送技術センターの公開技術展示会にて配布された資料「研究発表別刷」研究発表7-1〜研究発表7-2、(NHK放送技術研究所、平成16年度5月28日)
しかし、従来の電子ビーム源には、以下のような問題がある。冷陰極電子ビーム照射装置の外側または内側に磁石が配置されているものでは、装置が大掛かりになり、設備に費用がかかる。また、磁石と容器内の電子ビーム装置との配置のずれが生じやすく、電子ビームの集束がばらつきやすい。したがって、電子ビーム照射の均一性等に悪影響を与えやすい。また、装置外部に対して磁場による悪影響を与える恐れもある。さらに、磁石の大きさや磁場の大きさ等のせいで、電子ビーム照射範囲が限定される。
電子ビーム源の強誘電体そのものから電子放出を行っている形式の装置では、電子放出が、2次電子放出物質よりも活発でないので、電子ビームの照射密度が低い。また、電子放出の際に、電子発生電極や強誘電体からガスが発生し、電子放出の効率を下げてしまう。強誘電体の分極反転を利用した電子放出は、高々、強誘電体の分極電荷と結合した電荷量のみであるので、高い放出電子密度は望めない。
また、電子ビーム源における電子発生電極の開口面積と、電子ビームを加速させる加速電極の開口面積が等しいため、電子ビームの放出後、電子ビームのロスが生じる。強誘電体の表面から放射された電子ビームは、ある程度の広がりがある。加速電極の開口面積より広がった分の電子ビームは、加速電極を通過する時、加速電極に衝突し、電子ビームのロスが生じる。このようなロスが生じることにより、電力が浪費されてしまう。さらに、電子ビームが加速電極へ衝突することにより、加速電極からガスが放出され、電子ビーム照射密度が低下し、電極が劣化し、電子ビーム装置の寿命が縮まる。
最近では、電子ビーム装置による露光や加工においては、生産効率を上げるための高速処理が求められている。従来の電子ビーム装置の照射面は一面のみであり、高速処理ができない。半導体基板加工に必要なエッチング加工あるいは露光の際に、1面のみでしか照射処理が行えず、高速処理ができない。また、高鮮明度で高解像度の画質が求められるディスプレイ装置分野や、コンパクト化や高速処理が求められている加工分野においては、電子ビーム照射密度や、寿命や、集束制御におけるコンパクト性や、高速処理の点において、従来の電子ビーム装置は性能不足である。
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、電子ビーム照射装置において、照射密度を高め、寿命を延ばし、集束制御手段をコンパクトにし、高速処理を可能にすることである。
上記の課題を解決するために、本発明では、電子ビーム照射装置を、平板状の共通電極と、共通電極の一方の面に設けられた強誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して誘電体層の共通電極と反対側の面上に設けられた電子発生電極と、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して電子発生電極から所定の距離に設けられた加速電極と、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備する構成とした。
このように構成したことにより、電子ビームが加速電極に衝突することによる電子ビームロスがなくなり、電子ビーム照射効率が向上する。電子ビーム衝突による電極の劣化が減少し、電子ビーム装置が長寿命となる。
また、電子ビーム照射装置を、平板状の共通電極と、共通電極の両面に設けられた2つの強誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して各強誘電体層の上に設けられた2つの電子発生電極と、共通電極と各電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して各電子発生電極から所定の距離に設けられた2つの加速電極と、共通電極と各加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備する構成とした。このように構成したことにより、2倍の速さで電子ビーム照射が行える。
また、電子ビーム照射装置を、円柱状の共通電極と、共通電極の外周側面に設けられた誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して強誘電体層の上に設けられた電子発生電極と、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して電子発生電極から所定の距離に同軸で設けられた円柱状の加速電極と、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備する構成とした。このように構成したことにより、円周の全方向に電子ビーム照射が行える。
また、金属メッシュと誘電体メッシュの積層板からなる電子ビーム集束制御手段を、加速電極の後段に設けた。また、電子発生電極および電子発生用開口部の強誘電体面を、MgO膜または窒化アルミニウム膜で被覆した。また、MgO膜または窒化アルミニウム膜と電子発生電極との間に、セラミック膜あるいはシリカガラス膜を積層した。このように構成したことにより、電子ビーム源から放出された電子ビームの径が広がることがない。省スペースで、電子ビーム集束制御ができ、電子エネルギーの加速制御もできる。強誘電体から放出される電子ビーム密度よりも高い密度で電子ビームを放出できる。強誘電体や電子発生電極からのガス放出が減り、寿命が長くなる。
加速電極の開口を大きくすることにより、電子ビームのロスを最小限に抑えることができる。また、強誘電体の表面にMgOや窒化アルミニウム等の二次電子放出能力の高い膜を積層させることにより、電子ビームの高効率な照射ができる。さらに、二次電子放出能力の高い膜と電子発生電極との間に、セラミックあるいはシリカガラスよる絶縁膜を積層することによって、電極からのガス放出や電極の劣化を防ぐことができ、長寿命化ができる。また、複数の金属メッシュ電極と誘電体メッシュから構成される集束制御板を用いることにより、コンパクトで省スペースの電子集束制御および電子ビーム加速制御が行える。また、電子ビーム照射面を両面とすることにより、2倍のスピードで電子ビーム照射が行える。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施例1は、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加する電子ビーム照射装置である。
図1は、本発明の実施例1における電子ビーム照射装置の断面図である。図1において、共通電極1は、交流電界と直流電界をかけるための共通の電極である。強誘電体層2は、強誘電体セラミックスの層である。他の強誘電体でもよい。電子発生電極3は、電子発生用の開口部31を有する電極である。加速電極4は、電子発生電極3から所定の間隔を保って対向して配置され、電子発生電極3の開口部31より大きな開口部41を有する加速用の電極である。電子発生電極3と加速電極4の面積は、開口がなければ等しい。加速電極の開口率は、電子発生電極の開口率より大きい。本発明における開口率とは、それぞれの電極において、開口が設けられる領域の総面積に対する開口の総面積の割合である。したがって、開口率は、穴の形や大きさや電極の線幅等には依存しない。交流電源AE1は、共通電極1と電子発生電極3との間に交流電界を印加するための電源である。直流電源DE1は、共通電極1と加速電極4との間に、電子ビームを加速させるための電界を印加するための電源である。
上記のように構成された本発明の実施例1における電子ビーム照射装置の動作を説明する。共通電極1と電子発生電極3との間に、交流電源AE1により交番電界を印加すると、強誘電体層2の内部に、印加された電界を打ち消すような向きに分極が生じる。この分極が、印加交番電界の変化に伴って反転する際に、電子発生電極3の近傍に存在する電子が、開口部31から放出される。開口部31から放出された電子ビームは、共通電極1と加速電極4との間に形成された電界により加速され、加速電極4の開口部41を介して、例えば、図示していないディスプレイ用の蛍光膜や被加工物などに照射される。
電子放出側の電子発生電極3の開口部31よりも、電子加速用の加速電極4の開口部41が大きいので、強誘電体の分極反転により放出された電子ビームが、ある程度の径を有していても、加速電極4を通過する際に、加速電極4に電子ビームが衝突することが避けられ、電子ビームのロスを減らすことができる。
電子発生電極3と加速電極4の開口の面積を等しくした装置に、電子ビーム照射面に蛍光体を設置し、電子ビームによって励起された蛍光体の遷移光を可視光として検出する。同様に、電子発生電極3よりも加速電極4の開口面積を大きくした装置に、子ビーム照射面に蛍光体を設置し、電子ビームによって励起された蛍光体の遷移光を可視光として検出する。それぞれの検出可視光を比較する。
電子発生電極3と加速電極4との距離は50μmである。電子発生電極3と加速電極4の開口面積を、7.8×10-5mm2としたものを装置#1とする。電子発生電極3の開口部31の面積を7.8×10-5mm2とし、加速電極4の開口部41の面積を15.6×10-5mm2としたものを装置#2とする。電子発生電極3と加速電極4の開口率を変えた装置#2は、電子発生電極3の開口率を、加速電極4の開口率の50%とした。電子ビーム源側の電子発生電極3には、1kVの電圧を印加し、加速電極4には10kVの電圧を印加する。放出された電子ビームを蛍光体に対して照射する。電子ビームにより励起された蛍光体が遷移する際に放射する光を、照度計により計測する。蛍光体の輝度から、電子ビームの照射密度を推定する。
電子発生電極3と加速電極4の開口面積を等しくした装置#1に比較し、電子発生電極3より加速電極4の開口率を大きく取った装置#2は、平均照射密度に換算して、15%〜30%の照射密度向上が見られる。加速電極の設置位置にもよるが、電子発生電極3の開口面積より、加速電極4の開口面積を大きくし、開口率を大きくすることにより、電子照射密度は大きくなる。
上記のように、本発明の実施例1では、電子ビーム照射装置を、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加する構成としたので、電子ビームのロスを減らすことができる。
本発明の実施例2は、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生電極および電子発生用開口部の強誘電体面をMgO膜で被覆し、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加する電子ビーム照射装置である。
図2は、本発明の実施例2における電子ビーム照射装置の断面図である。電子放出部分の表面に、無機質材を被着させた電子ビーム源である。図2において、MgO膜3aは、電子放出効率を高めるための誘電体膜である。電子放出が起こる強誘電体層2の表面と、電子発生電極3の表面に、二次電子放出能力の高いMgO膜3aを積層したものである。これは、窒化アルミニウム膜3aでもよい。図3は、電子ビーム照射装置の他の例の断面図である。図3において、絶縁膜3bは、MgO膜3aと電子発生電極3の間に設けたセラミック(シリカガラスでもよい)の層である。図4は、それぞれの電子ビーム源の照射密度と寿命の特性を示す表である。
上記のように構成された本発明の実施例2における電子ビーム照射装置の動作を説明する。MgO膜3aで、電子放出の効率を上げることができる。また、強誘電体層2と電子発生電極3からのガス放出も防ぐことができるので、電子ビーム照射装置の寿命を延ばすことができる。
電子放出面である強誘電体層2の表面と電子発生電極3の表面に、MgO膜3aを積層させたものを装置#3とする。強誘電体層2の表面のみにMgO膜3aを積層させたものを装置#4とする。MgO膜をまったく積層させないものを装置#5とする。図3に断面図を示すような、MgO膜3aと電子発生電極3の間に、セラミック(あるいはシリカガラス)の絶縁膜3bを積層させた電子ビーム源を、装置#6とする。図示していないが、実施例1と同様に、加速電極4を、電子発生電極3から一定距離だけ離して設ける。それぞれの電子ビーム装置からの電子ビームを蛍光体に照射し、電子ビームによって励起された蛍光体の遷移光を可視光として検出する。蛍光体の輝度から、電子ビームの照射密度を推定する。
電子ビーム源の共通電極1と電子発生電極3の厚さは、10μmである。強誘電体層2の厚さは、3μmである。電子発生電極3の開口面積は、7.8×10-5mm2である。加速電極4の開口面積は、15.6×10-5mm2である。MgO膜の厚さは、1μmである。セラミック(あるいはシリカガラス)の絶縁膜3bの厚さは、1μmである。電子発生電極3と加速電極4との距離は、50μmである。共通電極1と電子発生電極3との間に、1kVの電圧を印加し、共通電極1と加速電極4との間に10kVの電圧を印加する。
図4を参照しながら、それぞれの電子ビーム源の照射密度と寿命の特性を説明する。絶縁膜等の積層無しの装置#5は、照射密度も寿命も最も悪い。膜の積層があるものの中では、強誘電体層2の表面のみにMgO膜3aを積層させた装置#4は、照射密度が最も良好であるが、寿命の点では最も悪い。強誘電体層2の表面と電子発生電極3の表面にMgO膜3aを積層し、さらにMgO膜と電子発生電極3の間にセラミック(あるいはシリカガラス)の絶縁膜3bを積層させた装置#6は、寿命が最も長いが、照射密度は最も低い。
このことからわかるように、MgO膜3aや窒化アルミニウム膜3a等の、高融点で電気的に高絶縁性の膜と、セラミック(あるいはシリカガラス)の絶縁膜3bの積層により、照射密度や寿命特性を向上させることができる。MgO膜3aや窒化アルミニウム膜3a等の高融点で電気的に高絶縁性の膜や、セラミックあるいはシリカガラスの絶縁膜3bの積層態様を、電子ビーム照射処理を行う目的や用途に応じて、適宜選択することによって、最良の効果を得ることができる。
上記のように、本発明の実施例2では、電子ビーム照射装置を、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生電極および電子発生用開口部の強誘電体面をMgO膜で被覆し、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加する構成としたので、電子発生効率を高めて寿命を長くすることができる。
本発明の実施例3は、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、加速電極の後段にさらに多段加速電極を設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と多段加速電極の間に加速電圧を印加する電子ビーム照射装置である。
図5は、本発明の実施例3における電子ビーム照射装置の断面図である。電界レンズによる電子ビーム集束制御手段を付加した電子ビーム照射装置である。電子ビーム照射装置を撮像装置に適用した例である。図5において、HARP膜5は、アバランシェ現象を利用した撮像素子である。出力電極6は、撮像信号を得る電極である。金属メッシュ電極9a,9c,9eは、集束用の電極である。誘電体メッシュ9b,9d,9fは、金属メッシュ電極9a,9c,9eに積層された誘電体である。電子ビーム集束板9は、金属メッシュ電極9a,9c,9eと誘電体メッシュ9b,9d,9fよりなる集束電極である。直流電源DE2、DE3、DE4は、共通電極1と各金属メッシュ電極9a,9c,9eとの間に電子ビーム収束用の電圧を印加するための電源である。直流電源DE5は、共通電極1と出力電極6との間に接続されている出力用電源である。その他は、実施例1と同様である。
上記のように構成された本発明の実施例3における電子ビーム照射装置の動作を説明する。強誘電体層2をはさむ共通電極1と電子発生電極3とからなる電子ビーム源において、共通電極1と電子発生電極3に電圧が印加されると、電子放出が起こる。放出された電子は、加速電極4による電界の力を受けて、加速される。電子発生電極3の開口面積よりも、加速電極4の開口面積が大きいので、電子ビーム径はある程度広がる。しかし、その先にある金属メッシュ電極(9a,9c,9e)と誘電体メッシュ(9b,9d,9f)の複数層から構成される電子ビーム集束板9に電圧が印加されて生じる電界によって、電子ビーム径は狭められる。
金属メッシュ電極(9a,9c,9e)と誘電体メッシュ(9b,9d,9f)から構成される電子ビーム集束板9のメッシュの穴は、電子ビームが通過するスリットに相当する。なお、狭いスリットによって電子ビーム径が狭められるという動作原理は、単発型の電子銃集束制御装置と同等である。さらに、誘電体メッシュ(9b,9d,9f)を金属メッシュ電極(9a,9c,9e)の間に介在させることによって、金属メッシュ電極の間隔を正確に保つことができ、正確な電子ビーム集束制御ができる。この構成によって得られた電子は高々、強誘電体の分極反転による結合電荷量のみであるので、高い電流密度は望めない。しかし、金属メッシュ電極間に絶縁層を設ける方が、設けない場合より、電流のリークは少なくなる。金属メッシュ電極間の電位差を保つことができ、電子ビームを加速して電子ビームのエネルギーを増大させることができる。
誘電体メッシュ(9b,9d,9f)を、金属メッシュ電極(9a,9c,9e)間に介在させない電子ビーム装置と、介在させた電子ビーム装置とで、電子ビーム照射密度と電子ビーム照射均一性を比較する。電子ビーム源の共通電極1と、電子発生電極3の厚さは、10μmである。強誘電体層2の厚さは、3μmである。電子発生電極3の開口面積は、7.8×10-5mm2である。加速電極4の開口面積は、15.6×10-5mm2である。図示していないが、MgO膜の厚さは、1μmである。セラミック(あるいはシリカガラス)の絶縁膜3bの厚さは、1μmである。電子発生電極3と加速電極4との距離は50μmである。共通電極1と電子発生電極3との間に1kVの電圧を印加し、共通電極1と加速電極4との間に2kVの電圧を印加する。金属メッシュ電極と誘電体メッシュから構成される電子ビーム集束板9は、加速電極4から100μm離し、金属メッシュ電極と誘電体メッシュのサイズを一致させ、メッシュの開口を2.0mm2とする。印加した電圧はそれぞれ、共通電極1と金属メッシュ電極9aとの間に、3kVの電圧を印加する。共通電極1と金属メッシュ電極9cとの間に、5kVの電圧を印加する。共通電極1と金属メッシュ電極9eとの間に、10kVの電圧を印加する。
電子ビーム照射装置からの電子ビームを蛍光体に照射し、電子ビームによって励起された蛍光体の遷移光の可視光を検出する。蛍光体の輝度から、電子ビームの照射密度を推定する。電子ビームの照射密度と均一性を比較する。誘電体メッシュ(9b,9d,9f)を金属メッシュ電極(9a,9c,9e)間に介在させたものの方が、介在させないものより、電子ビーム照射密度が15%低下するが、電子ビーム照射のばらつきが20%抑制される。この電子ビーム集束板は、電子ビーム装置において電子ビームを均一に集束する手段として有効である。
電子ビーム集束板9を通過した電子は、電子ビーム径が広がらず、高密度でHARP膜5に当たる。光を受けて発生した電子正孔対が、アバランシェ増幅により増倍され、電子ビームの電子と再結合して電流に変換され、撮像信号として出力される。磁界収束に比較して、電子ビームの集束効果も劣らず、コンパクトな撮像装置が実現できる。スキャン手段については図示していないが、電極をマトリクス状に配置して交点で電子ビームを発生するなどの周知の方法で可能である。
上記のように、本発明の実施例3では、電子ビーム照射装置を、強誘電体層の一方の面に平板状の共通電極を設け、他方の面に小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極を設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある加速電極を、電子発生電極から所定の距離に設け、加速電極の後段にさらに多段加速電極を設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と多段加速電極の間に加速電圧を印加する構成としたので、電子ビームを均一に加速することができる。
本発明の実施例4は、平板状の共通電極の両面に強誘電体層を設け、各強誘電体層の上に、小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極をそれぞれ設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある2つの加速電極を、各電子発生電極から所定の距離に設け、各加速電極の後段にさらに多段加速電極をそれぞれ設け、各多段加速電極の後段に終段電極をそれぞれ設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と多段加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と終段電極の間に加速電圧を印加する電子ビーム照射装置である。
図6は、本発明の実施例4における両面電子ビーム照射装置の断面図である。電子ビーム源における共通電極1を対称面として、上下対称の構造とした電子ビーム装置である。共通電極1〜電子ビーム集束板9は、実施例3で図5に示した共通電極1〜電子ビーム集束板9と同じである。電子ビーム集束板9からある距離だけおいた位置に、終段電極10が設けられている。各構成要素が共通電極1を境として対称に配置されている。平板状の共通電極1の両面に、2つの強誘電体層2を設ける。各強誘電体層2の上に、小口径の電子発生用開口部を有する2つの電子発生電極3を設ける。電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有する2つの加速電極4を、各電子発生電極3から所定の距離に設ける。各加速電極4の後段に、さらに多段加速電極である電子ビーム集束板9をそれぞれ設ける。各電子ビーム集束板9の後段に終段電極10をそれぞれ設ける。共通電極1と各電子発生電極3の間に、交流電源から高周波電圧を印加する。共通電極1と各加速電極4の間に、直流電源から加速電圧を印加する。共通電極1と各電子ビーム集束板9の間に加速電圧を印加する。共通電極1と終段電極10の間に加速電圧を印加する。実施例3の図5で説明した構成と同じ部分とその作用については詳細な説明を省略する。
共通電極1を対称面として対称な構造なので、上下面とも等しい性能の装置となり、同じスペックで電子ビーム照射が行える。電子ビームは、両方の処理対象物11に同様に照射され、1面型の装置の2倍の処理スピードで電子ビーム照射処理が行える。なお、電子発生電極3および電子発生用開口部の強誘電体面を、MgO膜または窒化アルミニウム膜で被覆してもよい。MgO膜または窒化アルミニウム膜と電子発生電極3との間に、セラミック膜あるいはシリカガラス膜を積層してもよい。
上記のように、本発明の実施例4では、電子ビーム照射装置を、平板状の共通電極の両面に強誘電体層を設け、各強誘電体層の上に、小口径の電子発生用開口部のある電子発生電極をそれぞれ設け、電子発生用開口部に対応する位置に大口径の電子収束用開口部がある2つの加速電極を、各電子発生電極から所定の距離に設け、各加速電極の後段にさらに多段加速電極をそれぞれ設け、各多段加速電極の後段に終段電極をそれぞれ設け、共通電極と電子発生電極の間に高周波電圧を印加し、共通電極と加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と多段加速電極の間に加速電圧を印加し、共通電極と終段電極の間に加速電圧を印加する構成としたので、2倍のスピードで電子ビーム照射が行える。
本発明の実施例5は、円柱状の共通電極と強誘電体層と電子発生電極と加速電極と多段加速電極と終段電極を同軸で設けた電子ビーム照射装置である。
図7は、本発明の実施例5における円柱型電子ビーム照射装置の断面図である。電子ビーム源における共通電極1を円柱状として、その中心軸を軸として同軸の対称構造とした電子ビーム装置である。共通電極1〜終段電極10は、実施例4の図6に示した共通電極1〜終段電極10を円柱状にしたものである。共通電極1の外周側面に、強誘電体層2を設ける。小口径の電子発生用開口部を有する電子発生電極3を、強誘電体層2の上に設ける。電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有する円柱状の加速電極4を、電子発生電極3から所定の距離に同軸で設ける。加速電極4の後段にさらに多段加速電極である電子ビーム集束板9を設ける。電子ビーム集束板9の後段に終段電極10を設ける。共通電極1と電子発生電極3の間に、交流電源から高周波電圧を印加する。共通電極1と加速電極4の間に、直流電源から加速電圧を印加する。共通電極1と電子ビーム集束板9の間に加速電圧を印加する。共通電極1と終段電極10の間に加速電圧を印加する。共通電極1〜終段電極10を円柱状として軸対称に配置したことにより、円柱面全周方向に電子ビームを照射できる。なお、電子発生電極3および電子発生用開口部の強誘電体面を、MgO膜または窒化アルミニウム膜で被覆してもよい。MgO膜または窒化アルミニウム膜と電子発生電極3との間に、セラミック膜あるいはシリカガラス膜を積層してもよい。
上記のように、本発明の実施例5では、電子ビーム照射装置を、円柱状の共通電極と強誘電体層と電子発生電極と加速電極と多段加速電極と終段電極を同軸で設けた構成としたので、円柱面全周方向に電子ビームを照射できる。
本発明の電子ビーム照射装置は、露光装置や陰極線管や冷陰極ディスプレイや微細加工装置等に用いられる電子ビーム源として最適である。
本発明の実施例1における電子ビーム照射装置の断面図、 本発明の実施例2における電子ビーム照射装置の断面図、 本発明の実施例2における電子ビーム照射装置の他の例の断面図、 MgO膜の積層による照射密度と寿命の特性の違いを示す表、 本発明の実施例3における電子ビーム照射装置の断面図、 本発明の実施例4における両面電子ビーム照射装置の断面図、 本発明の実施例5における円柱型電子ビーム照射装置の断面図、 従来の冷陰極電子ビーム装置の断面図、 従来の集束手段付冷陰極電子ビーム装置の断面図、 従来の強誘電体電子ビーム源の断面図、 従来の加速電極付強誘電体電子ビーム照射装置の断面図である。
符号の説明
1 共通電極
1a エミッタ電極
2 強誘電体層
3 電子発生電極
4 加速電極
AE1 交流電源
DE1 直流電源
DE2 直流電源
DE3 直流電源
DE4 直流電源
DE5 直流電源
4a 金属メッシュ電極
4b 誘電体メッシュ
4c 金属メッシュ電極
4d 誘電体メッシュ
4e 金属メッシュ電極
4f 誘電体メッシュ
5 HARP膜
6 出力電極
7 密閉容器
8 永久磁石
9 電子ビーム集束板
10 終段電極
11 電子ビーム照射対象物

Claims (6)

  1. 平板状の共通電極と、前記共通電極の一方の面に設けられた強誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して前記強誘電体層の前記共通電極と反対側の面上に設けられた電子発生電極と、前記共通電極と前記電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、前記電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して前記電子発生電極から所定の距離に設けられた加速電極と、前記共通電極と前記加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備すること特徴とする電子ビーム照射装置。
  2. 平板状の共通電極と、前記共通電極の両面に設けられた2つの強誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して前記各強誘電体層の上に設けられた2つの電子発生電極と、前記共通電極と前記各電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、前記電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して前記各電子発生電極から所定の距離に設けられた2つの加速電極と、前記共通電極と前記各加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備すること特徴とする電子ビーム照射装置。
  3. 円柱状の共通電極と、前記共通電極の外周側面に設けられた強誘電体層と、小口径の電子発生用開口部を有して前記強誘電体層の上に設けられた電子発生電極と、前記共通電極と前記電子発生電極の間に高周波電圧を印加するための交流電源と、前記電子発生用開口部に対応する位置にある大口径の電子収束用開口部を有して前記電子発生電極から所定の距離に同軸で設けられた円柱状の加速電極と、前記共通電極と前記加速電極の間に加速電圧を印加するための直流電源とを具備すること特徴とする電子ビーム照射装置。
  4. 金属メッシュと誘電体メッシュの積層板からなる電子ビーム集束制御手段を、前記加速電極の後段に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子ビーム照射装置。
  5. 前記電子発生電極および前記電子発生用開口部の強誘電体面を、MgO膜または窒化アルミニウム膜で被覆したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子ビーム照射装置。
  6. 前記MgO膜または窒化アルミニウム膜と前記電子発生電極との間に、セラミック膜あるいはシリカガラス膜を積層したことを特徴とする請求項5に記載の電子ビーム照射装置。
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