JP2005310647A - 電界放射型ディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

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金 壽 方
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Abstract

【課題】像の輝度、解像度、および色純度に影響を与えることなく、電子線を蛍光体層上の所定の場所に正確に衝突させることを可能とした電界放射型ディスプレイを提供する。
【解決手段】四極の電界放射型ディスプレイは、蛍光体層を備える陽極と、前記蛍光体層に整合された電子放射源層を備える陰極と、前記電子放射源層に向き合うゲート層、前記蛍光体層に向き合う収束電極層、および当該ゲート層と当該収束電極層とに挟まれた絶縁層を含み、これらの各層を貫通するように伸延した複数の開口をもつメッシュ部材と、前記陽極と前記収束電極層との間で広がったスペーサガラス板と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電界放射型ディスプレイおよびその製造方法に関し、より詳細には、一般的な三極(陽極、陰極、およびゲート)の電界放射型ディスプレイに対して、第四極目の電極(収束電極)を導入した電界放射型ディスプレイおよびその製造方法に関する。
電界放射型ディスプレイ(FED)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、および有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)のようなフラットパネルディスプレイは、市場において益々人気を博している。このような種々のフラットパネルディスプレイは、軽くて薄いという共通した性質を有する。面積および輝度などの特徴に応じて、ある種類のフラットパネルディスプレイは、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)のような小面積のディスプレイパネルに適しており、他の種類のフラットパネルディスプレイは、コンピュータ画面やテレビ画面のような中面積および大面積のディスプレイに適しており、さらに他の種類のフラットパネルディスプレイは、屋外でのディスプレイパネルのような非常に大面積のディスプレイに適している。フラットパネルディスプレイの開発傾向は、高画像品質化、大画面化、低コスト化、および長寿命化を指向している。
電界放射型ディスプレイは、近年になって開発が進められてきた技術である。この電界放射型ディスプレイは、自己発光型であるので、液晶ディスプレイのようなバック・ライト用光源を必要としない。また、電界放射型ディスプレイは、高輝度であるのに加えて、視角が広く、電力消費量が低く、反応速度が速く(残像がなく)、さらに動作温度範囲が広いといった長所を有する。電界放射型ディスプレイは、一般的な陰極線管(CRT)ディスプレイの画質と同等かそれ以上の画質を有するにもかかわらず、電界放射型ディスプレイの大きさは、陰極線管に比べて薄くて軽い。したがって、市場においても、電界放射型ディスプレイが液晶ディスプレイに取って代わることもあり得ると予測されている。さらに、ナノ・テクノロジーの急速な発展によって、電界放射型ディスプレイにおいてナノ材料を利用することが可能となり、この結果、電界放射型ディスプレイの技術が商業的に利用が期待されている。
図1は、一般的な三極の電界放射型ディスプレイを示している。この電界放射型ディスプレイは、陽極10と陰極20とを含んでいる。スペーサ部材14は、これら陽極と陰極とを所定の間隔だけ隔離して支持するために、陽極10と陰極20との間の真空領域に配置されている。陽極10は、陽極基板11、陽極導電層12、および蛍光体層13を含んでいる。一方、陰極20は、陰極基板21、陰極導電層22、電子放射層23、誘電層24、およびゲート層25を含んでいる。このような構成においてゲート層25に電位差が与えられて、電子放射層23からの電子線放射が誘導される。また、陽極導電層12によって与えられる高電圧は、電子線が十分な運動量を持つに至るまで電子線を加速する。この結果、十分に加速された電子線が陽極10の蛍光体層13に衝突し、蛍光体が励起することによって発光する。このような電界放射型ディスプレイにおける電子の振る舞いを可能とするためには、適切な平均自由行程が得られるように、真空度を少なくとも10−5torr(約1.3×10−3Pa)以下とすることが望ましい。さらに、電子放射源および蛍光体層への汚染物および有害物の付着を避けねばならない。また、蛍光体層13から光を生じさせるのに必要なエネルギーを持つように電子を加速させるために、電子放射層23と蛍光体層13とは、互いに所定の間隔をあけて配置されねばならない。
従来の電子放射層は、一般的には、スパイク構造(図1参照)を形成しているか、スピント型構造(「A thin−film field−emission cathode」 Journal of Applied Physics,June 1968 Vol.39,No.7、米国特許3,665,241号明細書、および米国特許3,755,704号明細書参照)を形成している。スピント型構造は、薄膜処理やフォトリソグラフィー処理によって形成されたスパイク構造を含む。薄膜処理技術の更なる発展によって、種々のスピント型電界放射型ディスプレイが提案され、改良が加えられている。スパイク部分での電界によって引き起こされた電子線は、小さな半径を持つ曲線を描きながら垂直方向に進む。電子線の放射領域全体の断面積(「電子線の断面積」という)を補正するため、あるいは正しい位置で蛍光体層13bに照射されるように正しい経路に沿って電子線を案内するために、種々の構造を持った制御電極が一般的な電界放射型ディスプレイに導入されている。したがって、一般的な電界放射型ディスプレイには、電子放射源としてのスパイク構造、電子の放射経路の配置、および薄膜処理、すなわちフォトリソグラフィー技術や機械電気的なマイクロマシンニング技術が要求される。このような要求の困難さが1960年代からの電界放射型ディスプレイの開発の遅延をもたらしてきたといえる。
一方で、近年、カーボンナノチューブが飯島(Nature,1991年)によって提案された。カーボンナノチューブは、高い縦横比、高い機械的強度、高い化学的耐性、耐摩耗性、および低い閾値電界を持っているので、カーボンナノチューブは熱心に研究され(Science,1995年)、電子放射源として応用されている。この分野でよく知られているように、物体表面に強い電界を印加することによってエネルギー障壁の厚さが薄なると、量子力学におけるトンネル効果によって電子が物体表面から放射され、自由電子となるといった作用によって、電界電子放射は生じる。ここで、電界電子放射における電流は、物体表面の仕事関数を低くすることによって増加させることができる。なお、電界電子放射では、電界によって自由電子が生じるので、熱源は要求されない。したがって、電界電子放射装置は、ときには冷陰極と呼ばれる。
カーボンナノチューブは、継続的に改良が加えられており、電界放射型ディスプレイにおける電子の放射の増強も継続的に試みられている。現在では、カーボンナノチューブは、(スクリーン印刷またはスプレー印刷のような)薄膜処理によって形成することができる。例えば、「特許文献1」によれば、陰極導電層22上に電子放射層23を形成するために、カーボンナノチューブを陰極導電層22上に直接的にパタニングすることができる。その結果、一般的な三極の電界放射型ディスプレイは、必ずしも高コストの薄膜処理を用いたものに限られるわけではない。カーボンナノチューブ電子放射源は、低コストの駆動回路によって、完全な動的表示効果を達成することができる高い電子放射効率(電流密度10μA/cm、閾値電圧1.5V/μm、2.5V/μmの電界下で電流密度10mA/cm)を有する。しかしながら、各電子放射源単体が複数のカーボンナノチューブで構成される場合であっても、それによって陽極と陰極との間の道程中に生じる電子線は、通常のスパイク電界放射源によって生じるものと同様である。したがって、電子線26の断面積は、図2に示されるとおり、陽極に近づくにつれて広がる。特に、陽極と陰極との間の距離が長くなるほど、断面積も大きくなる。この結果、断面積が各蛍光体層13の発光領域よりも大きくなり、あるいは発散された電子線26が隣接する蛍光体層13に衝突することによって、色純度または画像解像度に影響を与える可能性もある。
このような色純度や画像解像度の問題を解決するために、電子放射源の領域を減少させ、または複数の小さな単体に区切ることによって、生じる電子線26の照射領域の大きさを、励起される蛍光体層13に対応する領域と同程度とすることができる。しかしながら、断面積の減少は、電子放射の効率の低下を生じさせ、あるいは蛍光体層13の対応する領域面積を減少させるので、隣接する蛍光体層13との間の間隔が大きくなり、画像解像度の低下を招く場合もある。
上記の問題を解決する他の方法は、ゲート電極(ゲート層)25と陰極導電層22との間に調節可能な電圧を与えることである。このような構成によれば、ゲート層25は、電子の排流(ドレイン作用)を制御するのみならず、電圧を調整することによって電子線の断面積についても制御することができる(たとえば、「特許文献2」参照)。しかしながら、この種の設計は、電子の生成効率の低下という問題と、さらに複雑な回路設計を必要とするといった問題を引き起こす。また、像の反応時間が増加し、画像品質が低下するおそれもある。
上記の問題を解決する第3の方法は、陰極と陽極との間に1または複数組の制御電極(制御ゲート)を形成する構成を有する。制御ゲートは、電子線を収束させて電子線の断面を狭めるため、あるいは電子線を偏向させるために、収束電圧、すなわちバイアス電圧を印加するものである。この結果、電子線は、所定の位置で蛍光体層13に衝突することができる。しかしながら、従来の制御電極を用いた設計では、薄膜処理またはリソグラフィー処理のような複雑な製造工程が必要となり、また大画面化の要求や大量生産化の要求に十分に応えることができないという問題があった。
一方で、従来の三極電界放射ディスプレイの陰極20と陽極10との間の真空空間は、一つのスペーサ部材14またはリブで支持されている。陰極20および陽極10が低圧の真空状態下に置かれるので、陰極20および陽極10が崩れ落ちるのを防ぐために、スペーサ部材14は、ガラス球、クロス状ガラス板、またはその他の頑丈なストリップの形で形成される。スペーサ部材14を陰極20および陽極10に取り付けるために接着剤が使用され、スペーサ部材14を陰極20および陽極10にさらに強固に固定するためにシンタリング処理が実行される。表示される画像への影響を避けるために、スペーサ部材14は、約50μm乃至200μmの厚さを有する。しかしながら、この種のスペーサ部材14は、以下のとおり、ディスプレイを製造する上で困難を伴う。
1.製造工程が複雑である。スペーサ部材14は、非常に薄く形成されるので、スペーサ部材を設置するための取り付け装置や移送装置に高い精度が要求される。
2.スペーサ部材に用いられる接着剤によって汚染されやすい。一般的なスペーサ14は、接着剤ペーストに浸漬され、熱処理にさらされるため、この接着剤ペーストが、熱処理の際に汚染源となる。さらに、接着剤ペーストの溶剤が、シンタリング処理において蒸発し、二次的な汚染を引き起こす場合もある。
さらに、電界の影響によって、スペーサ14の表面が帯電しやすく、この帯電によって、周囲に電界が形成される。その結果、電子線の経路や蛍光体層13へ作用が影響を受ける場合がある。
台湾特許出願公告第502,495号明細書 米国特許5,138,237号明細書
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、第四極目の電極である収束電極層によって、電子線が広がる範囲を十分に制限することができ、像の輝度、解像度、および色純度に影響を与えることなく、電子線を蛍光体層上の所定の場所に正確に衝突させることを可能とした電界放射型ディスプレイおよびその製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
本発明の電界放射型ディスプレイは、四極の電界放射型ディスプレイであって、蛍光体層を備える陽極と、前記蛍光体層に整合された電子放射源層を備える陰極と、前記電子放射源層に向き合うゲート層、前記蛍光体層に向き合う収束電極層、および当該ゲート層と当該収束電極層とに挟まれた絶縁層を含み、これらの各層を貫通するように伸延した複数の開口をもつメッシュ部材と、前記陽極と前記収束電極層との間で広がったスペーサガラス板と、を有することを特徴とする。
本発明の電界放射型ディスプレイは、四極の電界放射型ディスプレイであって、それぞれが陽極導電層と当該陽極導電層上に形成された蛍光体層とを含む陽極単体が複数個形成された陽極基板と、それぞれが陰極導電層と当該陰極導電層上に形成された電子放射源層とを含む陰極単体が複数個形成された陰極基板と、前記陽極基板と前記陰極基板との間で広がっており、前記電子放射源層に向き合うゲート層と前記蛍光体層に向き合う収束電極層とを含み、前記陽極単体および前記陰極単体の一組ごとに対応して整合された各開口を有するメッシュ部材と、を有することを特徴とする。
本発明の四極の電界放射型ディスプレイは、陽極と陰極との間にメッシュ部材を有する。このメッシュ部材は、絶縁層と、当該絶縁層の一の面および当該一の面に対向する他の面にそれぞれ形成されたゲート層および収束電極層とからなる積層構造を有する。メッシュ部材は、それを貫いて伸延した複数の開口を含む。各開口は、陽極単体および陰極単体の一組ごとに対応する。メッシュ部材の収束電極層は陽極に向き合っており、電子放射源から放射された電子線が広がる範囲が収束電極層によって制限される。ディスプレイは、陽極と収束電極層との間に支持用のスペーサガラス板を有する。
本発明の電界放射型ディスプレイの製造方法は、四極の電界放射型ディスプレイの製造方法であって、蛍光体層を備える陽極を形成する段階と、電子放射源層を備える陰極を形成する段階と、一の面にゲート層を有するとともに他の面に収束電極層を有するメッシュ部材を形成する段階と、前記ゲート層が陰極に向き合うとともに前記収束電極層が陽極に向き合うように前記陽極と前記陰極との間に前記メッシュ部材を配置する段階と、前記メッシュ部材と前記陽極との間にスペーサガラス板を配置する段階と、有することを特徴とする。
本発明によれば、陽極と陰極との間にゲート層と収束電極層とを配置することによって、四極(テトラオード)の構造が形成され、第四番目の電極構成である収束電極層によって、電子線の広がる範囲を収束させて限定することができる。このように電子線の照射断面積が減少されることによって、像の輝度、解像度、および色純度に影響を与えることなく、電子線を蛍光体層上の所定の場所に正確に衝突させることができる。さらに、製造費用が高くならない。
また、本発明は、金属導電板によって形成された収束電極層と、ゲート電極とを含む四極電界放射型ディスプレイを提供する。本発明によれば、絶縁層を挟み込むようにゲート層と収束電極層とが配置された積層構造のメッシュ部材を用いることができるので、陽極や陰極などのようなディスプレイ本体の製造工程とは独立した工程でメッシュ部材を製造することができ、このように製造されたメッシュ部材を後続する工程において陽極に取り付けることができる。したがって、従来のような複雑で高コストな工程が要求されず、従来の構造に比べて厚さも薄くでき得る。
さらに、本発明は、四極電界放射型ディスプレイとその製造方法を提供する。製造工程は、さらに簡単化され、この四極電界放射型ディスプレイは、大量生産によって製造することができる。
さらに、本発明は、四極電界放射型ディスプレイとその製造方法を提供する。各単体ごとに設けられた複数のスペーサ部材は、メッシュ部材と陽極との間で広がったガラス板によって置き換えられる。その結果、製造時の取り扱いが容易となり、汚染も少なくできる。また、スペーサ部材の周りに電荷が蓄積されて望ましくない電界が生じることはなくなる。したがって、電子線が望ましくない電界によって影響を受けることがなくなり、所定の正確な位置で蛍光体層に作用する。
本発明の種々の形態を図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施の形態の電界放射型ディスプレイを示す断面図であり、図3は、一組の陰極単体と陽極単体とを図示している。陽極30における各陽極単体は、陽極導電層32と、その上の蛍光体層33とを有している。陽極導電層32は、陽極基板31上に形成されている。陰極40は、陰極基板41と、各陰極単体とを有している。各陰極単体は、陰極基板41上に形成された陰極導電層42と、当該陰極導電層42上に付着された電子放射源層43とを含む。ここで電子放射源層43は、上記の蛍光体層33と整合(アライン)されている。
メッシュ部材5は、陰極40と陽極30との間に配置されている。メッシュ部材5は、互いに積層された収束電極層51と、絶縁層52と、ゲート層53とを含んでいる。収束電極層51は、陽極30に向き合う一方、ゲート層53は、陰極40に向き合っている。ゲート層53と収束電極層51のそれぞれには、特定の電位が与えられる。具体的には、収束電極層51には、ゲート電極53に与えられるドレイン電位よりも低い電位が与えられる。メッシュ部材5は、陽極単位および陰極単位の一組ごとに対応して整合された各開口54を含んでいる。この結果、電子放射層43から放射された電子は、開口54を通過して蛍光体層33へと進む。
図4は、メッシュ部材5の斜視図を示している。このメッシュ部材5は、収束電極層51とゲート層53とで絶縁層52を挟みこんだ積層構造を有している。好ましくは、収束電極層51は、絶縁層52の一の面上に形成された金属導電層であり、ゲート層53は、絶縁層52の他の面上に形成された導電層から作られている。複数の開口54は、それぞれ収束電極層51、絶縁層52、およびゲート層53を貫くように伸延して配列されている。本実施の形態では、複数の矩形の開口54は、陽極単体および陰極単体の組に1対1に対応するように整列されている。各開口54は、各陰極単体から放射された各電子が、対応する陽極単体に照射されることを可能とする。各開口54は、たとえば、後述するように逆円錐形状をしていてもよく、あるいは中央付近で径が絞られた形状(砂時計形状)をしていてもよい。この場合、各陰極単体から放射された各電子が遮られることなく陽極単体に照射されるためには、各開口54のゲート層53における口部が、電子放射源層43の対角線長さよりも大きい口径を有することが望ましい。すなわち、開口54のゲート層53における口部は、電子放射源層43の対角線長さよりも小さくない直径を有する。また、メッシュ部材5は、収束電極層51の端縁に沿って設けられた無効領域55を含んでいる。そして、真空パッケージ工程の際の位置合わせ、および開口54と対応する一組の陽極単体および陰極単体との間の位置合わせのための複数のマーキング551が上記の無効領域55に設けられている。
電界放射型ディスプレイは、陽極30とメッシュ部材5との間にスペーサガラス板34を有する。図5は、スペーサガラス板34の一例を示している。スペーサガラス板34を構成する材料は、好ましくは、陽極基板31および陰極基板41を構成する材料と同一である。スペーサガラス板34の厚さは、陽極30と陰極40との間隔に依存する。本実施の形態では、スペーサガラス板34の厚さは、たとえば約0.5mm乃至約1.5mmである。複数の貫通孔341がスペーサガラス板34を貫通して伸延するように形成されている。各貫通孔341は、メッシュ部材5の各開口54と整合している。すなわち、貫通孔341と開口54は1対1に対応している。しかしながら、図6に示されるとおり、より大きな貫通孔341を形成したスペーサガラス板34´を用いることによって、陽極単体および陰極単体の二組分またはそれ以上の組分の複数の開口54を1つの貫通孔341´で包含するようにしてもよい。スペーサガラス板34も、その端縁に沿って設けられた無効領域342を含んでいる。そして、メッシュ部材5および陽極30との位置合わせに役立たせるために、複数のマーキング343が上記の無効領域342に形成されている。複数の隔離壁(陽極側隔離壁)35がメッシュ部材5と陽極基板31との間にスクリーン印刷によって形成されてもよい。この場合、パッケージの際に空気の通路として役に立つ特定の隙間を維持することができる。
また、パッケージの際の空気の通路を提供するために、スペーサまたは隔離壁(陰極側隔離壁)44が陰極基板41とゲート層53との間に取り付けられていてもよい。本実施の形態では、隔離壁44が、たとえば、約10μm乃至約150μmの厚さを有することが望ましい。図面に示されるとおり、隔離壁44は、陽極単体と陰極単体との間の電子の放射通路を遮らないように複数の開口の間に設けられている。
電子線6の経路が図7に示されている。図に示されるとおり、ゲート層53は、電子放射源層43からの電子を排流させ、電子線6は、陽極の蛍光体層33に向かって照射されるように形成される。この際、ゲート層53におけるドレイン電圧よりも低いドレイン電圧が収束電極層51に印加される。この結果、収束電極層51を通過して進むことによって電子線6の断面積が収束(converging)される。したがって、電子線6が広がることが抑制されて、予め決められた位置で蛍光体層33に衝突する。
次に、本実施の形態の電界放射型ディスプレイの製造方法、特に、メッシュ部材5の製造方法について説明する。
本実施の形態の電界放射型ディスプレイの製造方法は、蛍光体層33を備える陽極33を形成する段階と、電子放射源層43を備える陰極40を形成する段階と、一の面にゲート層53を有するとともに他の面に収束電極層51を有するメッシュ部材を形成する段階と、ゲート層53が陰極40に向き合うとともに収束電極層51が陽極30に向き合うように陽極30と陰極40との間にメッシュ部材5を配置する段階と、メッシュ部材と前記陽極との間にスペーサガラス板を配置する段階と、を有している。また、ゲート層53と収束電極層51とで挟まれた絶縁層52も形成される。
メッシュ部材5を形成する段階を詳しく説明すれば、以下のとおりとなる。メッシュ部材5を形成する段階は、陽極基板31および陰極基板41と同様の熱膨張係数を持つ金属導電板を選択する段階を含む。たとえば、厚さが約150μmであって、熱膨張係数が約82×10−7/°から約86×10−7/°である材料、好適には、鉄、ニッケル、および炭素の複合材を金属導電材料として使う。この金属導電材料から収束電極層51が形成される。この結果、真空パッケージ工程の際に熱膨張の違いによって、クラックが発生することが防止できる。
レーザーまたはフォトリソグラフィー、およびエッチングプロセスが、金属導電板を貫通する複数の開口54を形成するために使われ、その結果、収束電極層51が形成される。絶縁層52は、上記の収束電極層51の片側の面上に絶縁物質をプリントする段階またはフォトリソグラフィーを用いてパタニングする段階を経て形成される。たとえば、デュポン(登録商標)によって製造されているガラスコーティングペーストであるDG001を使用して絶縁層52を収束電極層51上にプリントすることができる。絶縁層52の厚さは、好ましくは、10乃至100μmの間に制御される。また、一つの導電層が、絶縁層52の収束電極層51で覆われていない反対側の面上に形成されて、ゲート層53として供される。具体的には、ゲート層53を形成する段階は、導電物質をプリントする段階、スパッタリングする段階、蒸着被覆する段階、またはフォトリソグラフィーを用いてパタニングする段階を含む。本実施の形態では、デュポン(登録商標)によって製造されている銀導電性ペーストであるDC206を使用して厚さが4乃至10μmの間に制御されたゲート層53をプリントすることができる。以上のように、メッシュ部材5は、ディスプレイ本体の製造工程とは独立して製造することができ、後にディスプレイに適用される。
複数の開口54は、特定の効果を得るために種々の形状で形成することができる。たとえば、図8に示される逆円錐形状の開口54´を採用することもでき、図9に示されるように、中央付近で径が絞られた形状、すなわち砂時計形状の開口54´´を採用することもできる。
以上のとおり、本発明の内容を説明するために本発明の好ましい実施の形態を示したが、本発明はこれらの場合に限られるものではなく、さまざまな変形例を含むことは明らかである。
図1は、従来の三極電界放射型ディスプレイの断面図である。 図1に示される従来の三極電界放射型ディスプレイにおいて生じた電子線の放射経路を示す図である。 本発明における電界放射型ディスプレイの断面図である。 図3に示される本発明の電界放射型ディスプレイのメッシュ部材を示す図である。 図3に示される電界放射型ディスプレイに適用されるスペーサガラス板の好ましい一例である。 スペーサガラス板の他の例である。 本発明の電界放射型ディスプレイにおける電子線の放射経路を示す図である。 収束電極層の開口の一例を示す図である。 収束電極層の開口の他の例を示す図である。
符号の説明
30 陽極、
31 陽極基板、
32 陽極導電層、
33 蛍光体層、
34 スペーサガラス板、
35 陽極側隔離壁、
40 陰極、
41 陰極基板、
42 陰極導電層、
43 電子放射源層、
44 陰極側隔離壁、
5 メッシュ部材、
51 収束電極層、
52 絶縁層、
53 ゲート層、
54 開口、
55 無効領域、
551 マーキング、
6 電子線。

Claims (22)

  1. 四極の電界放射型ディスプレイであって、
    蛍光体層を備える陽極と、
    前記蛍光体層に整合された電子放射源層を備える陰極と、
    前記電子放射源層に向き合うゲート層、前記蛍光体層に向き合う収束電極層、および当該ゲート層と当該収束電極層とに挟まれた絶縁層を含み、これらの各層を貫通するように伸延した複数の開口をもつメッシュ部材と、
    前記陽極と前記収束電極層との間で広がったスペーサガラス板と、を有することを特徴とする電界放射型ディスプレイ。
  2. さらに、前記ゲート層と前記陰極との間に配置される陰極側隔離壁を有することを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  3. 前記陰極側隔離壁は、複数の開口の間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電界放射型ディスプレイ。
  4. 前記メッシュ部材は、さらに前記収束電極層の端縁に沿って設けられた無効領域を有し、当該無効領域には、位置合わせのための複数のマーキングが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  5. 前記開口は、逆円錐形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  6. 前記開口の前記ゲート層における口部は、前記電子放射源層の対角線長さよりも大きい口径を有することを特徴とする請求項5に記載の電界放射型ディスプレイ。
  7. 前記開口は、中央付近で径が絞られた形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  8. 前記開口の前記ゲート層における口部は、前記電子放射線層の対角線長さよりも大きい口径を有することを特徴とする請求項7に記載の電界放射型ディスプレイ。
  9. 前記収束電極層には、前記ゲート層に与えられるドレイン電位よりも低い電位が与えられることを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  10. さらに、前記スペーサガラス板と前記陽極との間で広がった陽極側隔離壁を有することを特徴とする請求項1に記載の電界放射型ディスプレイ。
  11. 四極の電界放射型ディスプレイであって、
    それぞれが陽極導電層と当該陽極導電層上に形成された蛍光体層とを含む陽極単体が複数個形成された陽極基板と、
    それぞれが陰極導電層と当該陰極導電層上に形成された電子放射源層とを含む陰極単体が複数個形成された陰極基板と、
    前記陽極基板と前記陰極基板との間で広がっており、前記電子放射源層に向き合うゲート層と前記蛍光体層に向き合う収束電極層とを含み、前記陽極単体および前記陰極単体の一組ごとに対応して整合された各開口を有するメッシュ部材と、を有することを特徴とする電界放射型ディスプレイ。
  12. 前記メッシュ部材は、さらに前記ゲート層と収束電極層とで挟まれた絶縁層を有することを特徴とする請求項11に記載の電界放射型ディスプレイ。
  13. 前記メッシュ部材は、前記陽極基板および前記陰極基板と実質的に同じ熱膨張係数を持つことを特徴とする請求項11に記載の電界放射型ディスプレイ。
  14. 前記開口の前記ゲート層における口部は、前記電子放射源層の対角線長さよりも小さくない直径を有することを特徴とする請求項11に記載の電界放射型ディスプレイ。
  15. 四極の電界放射型ディスプレイの製造方法であって、
    蛍光体層を備える陽極を形成する段階と、
    電子放射源層を備える陰極を形成する段階と、
    一の面にゲート層を有するとともに他の面に収束電極層を有するメッシュ部材を形成する段階と、
    前記ゲート層が陰極に向き合うとともに前記収束電極層が陽極に向き合うように前記陽極と前記陰極との間に前記メッシュ部材を配置する段階と、
    前記メッシュ部材と前記陽極との間にスペーサガラス板を配置する段階と、有することを特徴とする電界放射型ディスプレイの製造方法。
  16. さらに、前記ゲート層と前記収束電極層とで挟まれた絶縁層を形成する段階を有することを特徴とする請求項15に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  17. 前記メッシュ部材を形成する段階は、
    金属導電材料から前記収束電極層を形成する段階と、
    前記収束電極層の上に絶縁層を形成する段階と、
    前記絶縁層の上にゲート層を形成する段階と、
    を含むことを特徴とする請求項15に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  18. さらに、前記メッシュ部材を貫通するように伸延する複数の開口を形成する段階を有することを特徴とする請求項17に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  19. 前記金属導電材料は、前記陽極および前記陰極と実質的に同じ熱膨張係数を持つことを特徴とする請求項17に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  20. 前記金属導電材料は、鉄、ニッケル、および炭素の複合材料であることを特徴とする請求項17に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  21. 前記絶縁層を形成する段階は、絶縁物質をプリントする段階またはフォトリソグラフィーを用いてパタニングする段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
  22. ゲート層を形成する段階は、導電物質をプリントする段階、スパッタリングする段階、蒸着被覆する段階、またはフォトリソグラフィーを用いてパタニングする段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の電界放射型ディスプレイの製造方法。
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