第1の発明は、機種の選択が主たる目的ではなく複数機種間で装備の有無が異なる制御回路と、前記複数機種に対応し複数の制御プログラムを内蔵するマイクロコンピュータを備えて、前記マイクロコンピュータは、所定ポートにて前記制御回路を駆動または前記制御回路から信号入力するとともに、前記所定ポートの状態に基づき前記制御回路の装備有無を検知し、この検知結果に基づき前記複数の制御プログラムを選択し実行することにより、マイクロコンピュータは、まずポートの状態を入力して制御回路の接続有無を検知し機種を判別するので、判別した機種に対応する制御プログラムを選択し実行することができる。
そして、マイクロコンピュータは、前記選択した制御プログラムに基づき同一ポートにて前記制御回路を駆動する、または前記制御回路から信号入力するので、機種により装備の異なる制御回路の駆動または信号入力のためのポートと機種設定のための入力ポートを兼用することが可能となり、マイクロコンピュータの有限のポートを有効活用、または所有ポート数の少ないマイクロコンピュータ採用による低コスト化を実現することができる。
第2の発明は、特に第1の発明の所定ポートを入出力兼用ポートとし、ポートの入出力設定が入力ポートのときは制御回路をオフする構成にして、まずポートの入出力設定を入力ポートにして前記制御回路の装備有無を検知し、その後、前記制御回路を装備する機種ではポートの入出力設定を出力ポートにして前記制御回路を駆動することにより、マイクロコンピュータは、まずポートの入出力設定を入力ポートにして制御回路の装備有無を検知し、機種を判別して実行する制御プログラムを選択するとともに、前記制御回路の装備有無を検知している間に前記制御回路が誤ってオンしてしまうのを防ぐことができる。
そして、マイクロコンピュータは、その後、制御回路を装備する機種では前記選択した制御プログラムに基づきポートの入出力設定を出力ポートに変更して制御回路を駆動するようにポート出力し、制御回路を装備しない機種では前記選択した制御プログラムに基づきポートの入出力設定を入力ポートに維持してポート出力を行わないようにして、同一ポートにて、機種を判別するとともに判別した機種に対応するポートの入出力設定を選択し、制御回路を装備していない機種でポート出力し制御装置を損傷してしまうのを防ぐことができる。
第3の発明は、特に第2の発明の所定ポート入出力設定を、前記制御回路をオフするときは入力設定にして前記制御回路の装備有無を再度検知し直すことにより、マイクロコンピュータは、ポートの入出力設定を入力ポートにして制御回路を装備する機種であると検知した後も、制御回路をオフしている間はポートの入出力設定を入力ポートにして制御回路を装備する機種であることを再度検知し直すので、判別した機種をマイクロコンピュータ内部の揮発性の書込み/読出しメモリ(以後RAMと称する)に記憶し活用する場合に前記RAMに記憶するデータがノイズ等で異なる値に変化しても正常な値に復帰させることができる。
第4の発明は、特に第2の発明または第3の発明の制御回路を発光ダイオードとすることにより、マイクロコンピュータは、発光ダイオードを装備する機種で発光ダイオードを駆動可能とするとともに、発光ダイオードを装備しない機種でポート出力し制御装置を損傷してしまうのを防ぐことができる。
第5の発明は、特に第2の発明または第3の発明の制御回路をブザーとすることにより、マイクロコンピュータは、ブザーを装備する機種でブザーを吹鳴可能とするとともに、ブザーを装備しない機種でポート出力し制御装置を損傷してしまうのを防ぐことができる。
第6の発明は、特に第1の発明の制御回路をスイッチとし、所定のポートをAD入力ポートとして、マイクロコンピュータは、前記AD入力ポートからの入力信号を入力電圧値に基づき、少なくとも「スイッチあり、かつスイッチオフ」、「スイッチあり、かつスイッチオン」、「スイッチなし」の3領域に識別するようにしたことにより、マイクロコンピュータは、ポートの状態を入力して「スイッチあり」と「スイッチなし」を検知し、スイッチの装備有無に基づき判別した機種に対応する制御プログラムを選択して実行し、「スイッチあり」の機種においては「スイッチオフ」と「スイッチオン」を識別するので、製品の操作スイッチの入力ポートと機種設定のための入力ポートを兼用しつつ、機器を使用する者の操作によって機種が誤設定されてしまう危険性を完全に回避することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器(機種A)のブロック図である。
図1において、インバータ回路4は、商用電源1を入力源とし、スイッチング素子5のオンオフによって加熱コイル2へ高周波電流を供給し、加熱コイル2と磁気結合する鍋2を誘導加熱する。直流電源回路6は、商用電源1を入力源として5Vの直流電圧(Vdd−GND)を生成し出力する。また、SW7a等からなる入力手段7、液晶表示素子8、LED9a等からなるLED表示手段9を備えている。
そして、マイコン10が入力手段7、液晶表示素子8、LED表示手段9を統括的に制御し、マイコン10の内部は、ポート設定手段10a、機種判別手段10b、RAM(書込み/読出しメモリ)10c、ROM(読出し専用メモリ)10dで構成されている。
また、図2は、本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器(機種B)のブロック図である。図1に示す機種Aと図2に示す機種Bの異なる点は、図2のマイコン10のポートには図1で示したLED表示手段9が接続されておらず、代わりに直流電源回路6のGNDに接続されていることである。
なお、図1に示す機種Aと図2に示す機種Bは、同一のマイコン10を使用しており、マイコン10のROM10dには、機種Aで動作させるプログラムAと、機種Bで動作させるプログラムBが予め記憶されている。
以上のように構成された電気機器の制御装置について、図3〜図6を用いて、以下その動作、作用を説明する。
まず、プログラムAとプログラムBの動作の違いについて説明する。図3は、本発明の実施の形態1におけるプログラムAの動作を示すフローチャート、図4は、プログラムBの動作を示すフローチャートである。
図3に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムAは、加熱オフ状態を示す「待機」モードの他に、オート調理メニューとして「しみこみ保温」モードを備えている。ステップ31にて入力手段7のSW7aが押下され入力信号が「L」→「H」になるのを検知すると、ステップ32にて動作モードを「しみこみ保温」モードに変更する。そして、ステップ33にて動作モードを読出し、ステップ34にて動作モード=「しみこみ保温」モードのときは、ステップ35にて「しみこみ保温」の所定プロセスに基づき加熱コイル3へ供給する電流を制御し、ステップ36にてポートの入出力設定を出力ポートかつ「L」出力にしてLED表示手段9のLED9aを点灯し、ステップ37にて液晶表示素子8にて調理終了までの残時間を表示する。また、ステップ34にて動作モード=「待機」モードのときは、ステップ38にて加熱コイル3へ供給する電流を遮断して加熱オフし、ステップ39にてポートの入出力設定を出力ポートかつ「H」出力してLED表示手段9のLED9aを消灯し、ステップ3aにて液晶表示素子8を消灯する。
これに対し、図4に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムBは、加熱オフ状態を示す「待機」モードの他に、オート調理メニューとして「圧力調理」、「玄米炊飯」、「発芽玄米炊飯」、「しみこみ保温」の4つのモードを備えている。ステップ41にて入力手段7のSW7aが押下され入力信号が「L」→「H」になるのを検知すると、ステップ43〜45にて動作モードを「圧力調理」→「玄米炊飯」→「発芽玄米炊飯」→「しみこみ保温」→「圧力調理」の順で変更するとともに、ステップ46にてモード確定までの時間を計時するためのカウンタを初期化した後にカウント開始する。そして、ステップ47にて動作モードを読出し、ステップ48にて動作モード=「待機」モードのときは、ステップ4aにて液晶表示素子8を消灯し、ステップ4dにて加熱コイル3へ供給する電流を遮断して加熱オフする。また、ステップ48にて動作モード≠「待機」モードのときは、ステップ49にて液晶表示素子8で現在選択されているモードの種類および調理終了までの残時間を表示するとともに、ステップ4bにてモード変更してから8秒まではステップ4dにて加熱コイル3へ供給する電流を遮断して加熱オフし、8秒経過以後はステップ4cにて選択したオート調理メニューの所定プロセスに基づき加熱コイル3へ供給する電流を制御する。
なお、8秒経過し一旦オート調理が開始されると以後メニュー変更できないようにするために、ステップ42にてモード変更してから8秒経過以後はSW7aの押下を無効としている。
また、入力信号が「L」とは直流電源回路6のGNDと同電圧(すなわち0V)、「H」とは直流電源回路6のVddと同電圧(すなわち5V)であり、入力信号の「L」→「H」検知は、SW7a接点のバウンジングを考慮して複数回入力一致で確定としている。
次に、機種判別動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるマイコン10の機種判別動作を示すフローチャートである。
機器に商用電源1が印加されると、マイコン10は、直流電源回路6から5Vの直流電圧が供給されリセット解除して動作を開始し、まずは、ステップ51にてポート設定手段10aでポートの入出力設定を入力ポートに設定(但し、リセット時およびリセット解除直後のマイコン入出力兼用ポートの設定が入力ポートになっている場合あり)し、ステップ52にて機種判別手段10bでポートの状態を検知する。
そして、ステップ53〜55にて、機種判別手段10bは、ポートの状態=「H」の場合は、LED表示手段9がポートに接続されていると検知して機種Aと判定し、ポートの状態=「L」の場合は、LED表示手段9がポートに接続されていないと検知して機種Bと判定する。そして、ステップ56にて機種A/機種Bの判別結果をRAM10cに予め割り当てられた機種判別データ領域に記憶する。
以後は、マイコン10は、ステップ57〜58にてRAM10cの機種判別データ領域に記憶されている値に基づき、機種Aの場合はステップ59にてROM10dに予め記憶されているプログラムAを選択して実行し、機種Bの場合はステップ5aにてROM10dに予め記憶されているプログラムBを選択して実行する。
以上の構成により、マイコン10は、動作を開始するときにポートにLED表示手段9が接続されているか否かを検知して機種A/機種Bを判別し、以後、機種Aの場合はプログラムAを実行して入力手段7からの入力信号に基づき「しみこみ保温」の調理を開始するとともに、LED表示手段9のLED9aを点灯、液晶表示素子8にて調理終了までの残時間を表示し、機種Bの場合はプログラムBを実行して入力手段7からの入力信号に基づき「圧力調理」・「玄米炊飯」・「発芽玄米炊飯」・「しみこみ保温」の4つのメニューから選択して調理を開始するとともに、液晶表示素子8にて実行中のメニューの種類および調理終了までの残時間を表示するので、LED表示手段9の駆動のためのポートと、選択可能なメニューを機種A/機種Bで1種類/4種類に切り替えるといったLED表示手段9の駆動とは異なる機能での機種設定のための入力ポートを兼用することが可能となり、マイコン10の有限のポートを有効活用、または所有ポート数の少ないマイコン10採用による低コスト化を実現することができる。
なお、LED表示手段9は、マイコン10のポート設定手段10aが入力ポートに設定されているときはLED9aが点灯しないような構成としているので、マイコン10の機種判別手段10bが機種A/機種Bの判別を行っている間に、機種Aにて誤ってLED表示手段9のLED9aが点灯してしまうのを防ぐことができる。
また、マイコン10は、ROM10dにあるプログラムBを実行すると、ポート設定手段10aはポートの入出力設定を変更せずに入力ポートの設定を維持する構成としているので、マイコン10のポートがLED表示手段9に接続されておらずGNDに直接接続されている機種Bでは、ポート設定手段10aを出力ポートに設定せず、ポートが誤って「H」出力し制御装置を損傷してしまうのを防ぐことができる。
さらに、機種AにてLED表示手段9のLED9aを消灯する場合、図3に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムAは、ステップ39にてポートの入出力設定を出力ポートかつ「H」出力してLED9aを消灯している。しかし、ステップ39の構成をポート設定手段10aにてポートの入出力設定を入力ポートに設定しLED9aを消灯するようにし、図6に示すように、ステップ6bにてLED9aが消灯している間はステップ62へ分岐し、ステップ63〜65にて機種判別手段10bで機種A/機種Bの判別を実施し、ステップ66にてRAM10cの機種判別データ領域に記憶している値を再度検知し直して、RAM10cの機種判別データ領域に記憶している値がノイズ等で異なる値に変化しても正常な値に復帰させることができる。
さらに、図1のLED表示手段9にあるLED9aのカソード側に接続しているプルアップ抵抗は、マイコン10のポートにすでに備わっているプルアップ抵抗機能を有効とすることで兼ねると更に低コスト化することができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における誘導加熱調理器(機種B)のブロック図、図8は、誘導加熱調理器(機種A)のブロック図である。なお、図7および図8において、実施の形態1で示した図1と同一の機能を有するものは同じ符号を付し説明を省略する。
実施の形態1で示した図1と異なる点は、図7に示す機種Bでは、LED表示手段9に代わってBZ11a等からなる音響手段11を備えて、マイコン10が入力手段7からの入力信号を受け付けたことやオート調理メニューの調理動作が終了したこと等を報知するために音響手段11のBZ11aを吹鳴させ、図8に示す機種Aでは、ポートには図1に示すLED表示手段9や図7に示す音響手段11は接続されておらず、代わりに直流電源回路6のVddに接続されていることである。
以上のように構成された電気機器の制御装置について、図9〜図11を用いて、以下その動作、作用を説明する。
まず、プログラムAとプログラムBの動作の違いについて説明する。図9は、本発明の実施の形態2におけるプログラムAの動作を示すフローチャート、図10は、プログラムBの動作を示すフローチャートである。
図9に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムAの動作について、図3で示した実施の形態1におけるプログラムAの動作と異なる点は、LED9aの点灯または消灯に関する処理が削除されたことであり、その他の動作については実施の形態1におけるプログラムAの動作と同様である。
図10に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムBの動作について、図4で示した実施の形態1におけるプログラムBの動作と異なる点は、入力手段7のSW7aの押下を検知し動作モードを変更したときにステップ10eにてポートの入出力設定を出力ポートかつ2.0kHzの「H/L」出力にして音響手段11のBZ11aを「ぴっ」と吹鳴させる処理を追加し、ステップ10cによるモードに対応した制御の一環として、選択したオート調理メニューの所定プロセスに基づき加熱コイル3へ供給する電流を制御することに加えて、調理時間が終了し8秒カウンタを初期化して「待機」モードに移行するときにポートの入出力設定を出力ポートかつ2.0kHzの「H/L」出力にして音響手段11のBZ11aを「ぴーぴーぴー」と吹鳴させるようにしたことであり、その他の動作については実施の形態1におけるプログラムBの動作と同様である。
次に、機種判別動作について説明する。図11は、本発明の実施の形態2におけるマイコン10の機種判別動作を示すフローチャートである。
機器に商用電源1が印加されると、マイコン10は、直流電源回路6から5Vの直流電圧が供給されリセット解除して動作を開始し、まずは、ステップ111にてポート設定手段10aでポートの入出力設定を入力ポートに設定(但し、リセット時およびリセット解除直後のマイコン入出力兼用ポートの設定は入力ポートになっている場合あり)し、ステップ112にて機種判別手段10bでポートの状態を検知する。
そして、ステップ113〜115にて、機種判別手段10bは、ポートの状態=「H」の場合は、音響手段11がポートに接続されていないと検知して機種Aと判定し、ポートの状態=「L」の場合は、音響手段11がポートに接続されていると検知して機種Bと判定する。そして、ステップ116にて機種A/機種Bの判別結果をRAM10cに予め割り当てられた機種判別データ領域に記憶する。
以後は、マイコン10は、ステップ117〜118にてRAM10cの機種判別データ領域に記憶されている値に基づき、機種Aの場合はステップ119にてROM10dに予め記憶されているプログラムAを選択して実行し、機種Bの場合はステップ11aにてROM10dに予め記憶されているプログラムBを選択して実行する。
以上の構成により、マイコン10は、動作を開始するときにポートに音響手段11が接続されているか否かを検知して機種A/機種Bを判別し、以後、機種Aの場合はプログラムAを実行して入力手段7からの入力信号に基づき「しみこみ保温」の調理を開始して、液晶表示素子8にて調理終了までの残時間を表示し、機種Bの場合はプログラムBを実行して入力手段7からの入力信号に基づき「圧力調理」・「玄米炊飯」・「発芽玄米炊飯」・「しみこみ保温」の4つのメニューから選択して調理を開始し、液晶表示素子8にて実行中のメニューの種類および調理終了までの残時間を表示するとともに、入力手段7のSW7aの押下によるメニュー変更時や調理終了時に音響手段11のBZ11aを吹鳴させるので、音響手段11の駆動のためのポートと、選択可能なメニューを機種A/機種Bで1種類/4種類に切り替えるといった音響手段11の駆動とは異なる機能での機種設定のための入力ポートを兼用することが可能となり、マイコン10の有限のポートを有効活用、または所有ポート数の少ないマイコン10採用による低コスト化を実現することができる。
なお、音響手段11は、マイコン10のポート設定手段10aが入力ポートに設定されているときはBZ11aに電圧が印加しないような構成としているので、マイコン10の機種判別手段10bが機種A/機種Bの判別を行っている間に、機種Aにて誤って音響手段11のBZ11aに電圧が印加されて、経年変化でマイグレーションを引き起こしてしまうのを防ぐことができる。
また、マイコン10は、ROM10dにあるプログラムBを実行すると、ポート設定手段10aはポートの入出力設定を変更せずに入力ポートの設定を維持する構成としているので、マイコン10のポートが音響手段11に接続されておらずVddに直接接続されている機種Bでは、ポート設定手段10aを出力ポートに設定せず、ポートが誤って「L」出力し制御装置を損傷してしまうのを防ぐことができる。
さらに、機種Aにて音響手段11のBZ11aを吹鳴しない場合、ポートの入出力設定を出力ポートかつ「L」出力する構成もあるが、ポート設定手段10aにてポートの入出力設定を入力ポートに設定する構成にすれば、実施の形態1の図6で示した内容と同様にして、BZ119aが吹鳴していない間は機種判別手段10bで機種A/機種Bの判別を実施し、RAM10cの機種判別データ領域に記憶している値を再度検知し直して、RAM10cの機種判別データ領域に記憶している値がノイズ等で異なる値に変化しても正常な値に復帰させることができる。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における誘導加熱調理器(機種B)のブロック図ある。
図12おいて、インバータ回路4は、商用電源1を入力源とし、スイッチング素子5のオンオフされると加熱コイル2へ高周波電流を供給し、加熱コイル2と磁気結合する鍋2を誘導加熱する。直流電源回路6は、商用電源1を入力源として5Vの直流電圧を生成し出力する。また、液晶表示素子8、SW12a等からなる第一の入力手段12、SW13a、SW13b、SW13c等からなる第二の入力手段13を備えている。
そして、マイコン10が液晶表示素子8、第一の入力手段12、第二の入力手段13を統括的に制御し、さらにマイコン10の内部は、機種判別手段10b、RAM(書込み/読出しメモリ)10c、ROM(読出し専用メモリ)10d、AD変換機10e、スイッチ受付手段10fで構成されている。
また、図13は、本発明の実施の形態3における誘導加熱調理器(機種A)のブロック図である。図12に示す機種Bと図13に示す機種Aの異なる点は、図13のマイコン10のポートには図12で示した第一の入力手段12が接続されておらず、代わりに直流電源回路6のVddに接続されていることである。
なお、図12に示す機種Bおよび図13に示す機種Aは、同一のマイコン10を使用しており、マイコン10のROM10dには、機種Aで動作させるプログラムAと、機種Bで動作させるプログラムBが予め記憶されている。
また、マイコン10のAD変換器10eは、ポートの入力電圧を8bitのAD値に変換して出力し、スイッチ受付手段10fは、第一の入力手段12のSW12a、および第二の入力手段13のSW13a、SW13b、SW13cの押下検知を行う。スイッチ受付手段10fの検知方法としては、SW13a、SW13b、SW13cについては入力信号=「H」でオン/入力信号=「L」でオフとし、SW12aについてはAD変換器10eより入力する信号と表1との関係に基づきオン/オフ検知する。
以上のように構成された電気機器の制御装置について、図14〜図16を用いて、以下その動作、作用を説明する。
まず、プログラムAとプログラムBの動作の違いについて説明する。図14は、本発明の実施の形態3におけるプログラムAの動作を示すフローチャート、図15は、プログラムBの動作を示すフローチャートである。
図14に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムAは、動作モードとして、加熱オフ状態を示す「待機」モードと、火力「弱」・「1」・「2」・「3」・「4」・「5」・「6」の7段階の火力設定にて加熱コイル3へ印加する電流を制御する「加熱」モードを備えている。なお、この動作モードと火力設定はRAM10cの一部に記憶される。また、第二の入力手段13のSW13aからの入力信号に基づき動作モードを「待機」モードと「加熱」モードで切り替え、動作モード=「加熱モード」ではSW13bからの入力信号に基づき火力設定を増加し、SW13cからの入力信号に基づき火力設定を減少させる。
そして、プログラムAは、図14に示すように、ステップ141にてRAM10cに記憶されている動作モードを読み出し、ステップ142にて動作モード=「加熱」モードのときはステップ143へ分岐し、ステップ143にて火力設定に対応した電流を加熱コイル3へ印加するように制御して鍋2を誘導加熱し、ステップ144にて液晶表示素子8に「加熱」モードの火力設定を表示するとともに、ステップ145にて第二の入力手段13のSW13b押下を検知するとステップ146にて火力設定を1段階だけ増加(但し、火力「6」が上限)し、ステップ147にて第二の入力手段13のSW13c押下を検知するとステップ148にて火力設定を1段階だけ減少(但し、火力「弱」が下限)し、ステップ149にて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ14aにて動作モード=「待機」モードに変更する。
また、ステップ142にて動作モード≠「加熱」モード(すなわち「待機」モード)のときはステップ14bへ分岐し、ステップ14bにて加熱コイル3への電流供給を遮断して加熱オフし、ステップ14cにて液晶表示素子8の表示を消灯するとともに、ステップ14dにて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ14eにて動作モード=「加熱」モード、火力設定=火力「6」に変更する。
これに対し、図15に示すマイコン10のROM10dにあるプログラムBは、動作モードとして、加熱オフ状態を示す「待機」モード、火力「弱」・「1」・「2」・「3」・「4」・「5」・「6」・「強」の8段階(プログラムAよりも1段階多い)の火力設定にて加熱コイル3へ印加する電流を制御する「加熱」モードの他に、オート調理メニューとして「圧力調理」、「玄米炊飯」、「発芽玄米炊飯」、「しみこみ保温」の4つのメニューを備え、この4つのメニューの中から1つを選択するメニュー選択モード、選択したメニューに応じて加熱コイル3へ印加する電流を制御し調理を実行するオート調理モードを備えている。なお、動作モードと火力設定に加えて、選択したメニューもRAM10cの一部に記憶される。
そして、プログラムBは、図15に示すように、ステップ151にてRAM10cに記憶されている動作モードを読み出す。そして、ステップ152にて動作モード=「加熱」モードのときはステップ153へ分岐し、ステップ153にて火力設定に対応した電流を加熱コイル3へ印加するように制御して鍋2を誘導加熱し、ステップ154にて液晶表示素子8に「加熱」モードの火力設定を表示するとともに、ステップ155にて第二の入力手段13のSW13b押下を検知するとステップ156にて火力設定を1段階だけ増加(但し、火力「強」が上限)し、ステップ157にて第二の入力手段13のSW13c押下を検知するとステップ158にて火力設定を1段階だけ減少(但し、火力「弱」が下限)し、ステップ159にて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ15aにて動作モード=「待機」モードに変更する。
また、ステップ15fにて動作モード=「メニュー選択」モードのときはステップ15hへ分岐し、ステップ15hにて加熱コイル3への電流供給を遮断して加熱オフし、ステップ15iにて液晶表示素子8で選択されているメニューを表示するとともに、ステップ15jにて第一の入力手段12のSW12a押下を検知するとステップ15kにてメニューを「圧力調理」→「玄米炊飯」→「発芽玄米炊飯」→「しみこみ保温」→「圧力調理」の順で変更し、ステップ15lにて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ15mにて動作モード=「オート調理」モードに変更する。
また、ステップ15gにて動作モード=「オート調理」モードのときはステップ15nへ分岐し、ステップ15nにて選択されたメニューに対応した所定プロセスに基づき加熱コイル3へ供給する電流を制御し、ステップ15oにて液晶表示素子8で選択されたメニューおよび調理終了までの残時間を表示するとともに、ステップ159にて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ15aにて動作モードを「待機」モードに変更する。
また、ステップ152、15f、15gにて動作モードが「加熱」、「メニュー選択」、「オート調理」モードの何れでもない(すなわち「待機」モード)のときはステップ15bへ分岐し、ステップ15bにて加熱コイル3への電流供給を遮断して加熱オフし、ステップ15cにて液晶表示素子8の表示を消灯するとともに、ステップ15dにて第二の入力手段13のSW13a押下を検知するとステップ13eにて動作モード=「加熱」モード、火力設定=火力「強」に変更し、ステップ15pにて第一の入力手段SW12a押下を検知するとステップ15qにて動作モード=「メニュー選択」モード、メニュー=「圧力調理」に変更する。
次に、機種判別動作について説明する。図16は、本発明の実施の形態3におけるマイコン10の機種判別動作を示すフローチャートである。
機器に商用電源1が印加されると、マイコン10は、直流電源回路6から5Vの直流電圧が供給されリセット解除して動作を開始し、まずは、ステップ161にてRAM10cを初期化し、ステップ162にてAD変換器10eを動作させてポートの状態を検知し8bitのAD値として出力する。
そして、ステップ163〜165にて、機種判別手段10bは、AD変換器10eからの入力信号に基づき、AD値≧240の場合は、第一の入力手段12がポートに接続されていないと検知して機種Aと判定し、AD値<240の場合は、第一の入力手段12がポートに接続されていると検知して機種Bと判定する。そして、ステップ166にて機種A/機種Bの判別結果をRAM10cに予め割り当てられた機種判別データ領域に記憶する。
以後は、マイコン10は、ステップ167〜168にてRAM10cの機種判別データ領域に記憶されている値に基づき、機種Aの場合はステップ169にてROM10dに予め記憶されているプログラムAを選択して実行し、機種Bの場合はステップ16aにてROM10dに予め記憶されているプログラムBを選択して実行する。
すなわち、もしも、図14に示すプログラムAと図15に示すプログラムBの動作の違いが「メニュー選択」および「オート調理」モードといったオート調理メニューに関する動作のみであれば、マイコン10のROM10dにプログラムBのみ記憶し、機種判別手段10bにて機種A/機種Bの判別を行わずにプログラムBを実行しても、第一の入力手段12を接続してオート調理メニューに関する動作を有効とし、第一の入力手段12を接続せずにオート調理メニューに関する動作を無効として実質的にプログラムAと同じ動作を実現することもできるが、本発明の実施の形態3では、「加熱」モードの火力設定を機種A/機種Bで7段階/8段階に切り替えるように、第一の入力手段12とは直接関連しない機能についても機種設定を行っている。
以上の構成により、マイコン10は、動作を開始するときに第一の入力手段12が接続されているか否かを検知して機種A/機種Bを判別し、以後、機種Aの場合はプログラムAを実行して「加熱」モードの火力設定を火力「弱」〜「6」の7段階とし、機種Bの場合はプログラムBを実行してオート調理メニューに関する動作を行うとともに、「加熱」モードの火力設定を1段階増加して火力「弱」〜「強」の8段階とするので、第一の入力手段12のためのポートと、第一の入力手段12と直接関連しない機能での機種設定のための入力ポートを兼用することが可能となり、マイコン10の有限のポートを有効活用、または所有ポート数の少ないマイコン10採用による低コスト化を実現することができる。
なお、第二の入力手段13は、SW13a、SW13b、SW13cがそれぞれ独立してマイコン10に接続されているが、SW13a〜SW13cの一端を接続し、他端とVdd間に異なる定数の抵抗を接続して、それぞれのSW押下状態により異なる電圧値になるような回路構成にしてマイコン10のAD変換器10eに接続し、スイッチ受付手段10fがAD変換器10eから入力する信号と表2との関係に基づきSW13a〜SW13cのオン/オフを検知することもできる。
また、上記の構成を第一の入力手段12に採用し、第一の入力手段12においてスイッチの数を増やすこともできる。
さらに、実施の形態1〜3においてマイコン10は、機種AのときはプログラムAのみ実行し、機種BのときはプログラムBのみ実行する構成としているが、マイコン10のROM10dに、機種A/機種Bで共通する処理をプログラムCとして予め記憶し、プログラムAは機種Aのみに限定した処理、プログラムBは機種Bのみに限定した処理として、機種AのときはプログラムCとプログラムAを実行し、機種BのときはプログラムCとプログラムBを実行するような構成にすれば、機種A/機種Bで共通する処理を一元化してプログラム規模を小さく抑え、マイコン10の有限のROM10dを有効活用、またはROM10d規模の小さなマイコン10を採用することができる。