JP2006038023A - 水封機構 - Google Patents

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Abstract


【課題】 気体送り配管系途中に設置され、水封器内の液体が上流側へ逆流するのを簡便な構成で良好に防止できる水封機構の提供。
【解決手段】 気体送り配管系途中に配置された水封容器と、該水封容器内の液体中に配管上流側から送られてくる前記気体を放出するノズル手段と、ノズル手段から放出されて液体中を浮上した気体を水封容器内の液面上で回収して配管下流側へ送る取り出し手段とを備えた水封機構に気体において、水封容器内の上流側配管途中に配置され、槽内の上部空間を介して配管上流側から送られる気体を水封容器内に配置されたノズル手段へ送る液体トラップ槽をさらに備え、該液体トラップ槽には、水封容器内の液体中のノズル手段下端より下方に位置するように該トラップ槽内部と水封容器内部とを連通する戻り配管を接続した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば雰囲気炉や化学反応装置の排ガス配管系に設置される水封機構に関するものである。
従来から、高温ガス炉用被覆燃料粒子等の製造には、例えば雰囲気ガスを用いた雰囲気炉で燃料粒子の焼成などが行われている。このような可燃ガスを用いる雰囲気炉や反応装置では、排ガス配管系の排ガス処理側や外部で火災が発生すると、その火炎が雰囲気炉内や反応装置内に入り込んで爆発的な火災や爆発の原因となる恐れがあるため、通常は排ガス配管系中に雰囲気炉や反応装置の内部側と排ガス処理側との間を物理的に遮断する水封器を設置し、雰囲気炉や反応装置内部への火炎の延焼を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
このような水封器としては、図3に示すように、水封容器21内に液体24を収容し、雰囲気炉又は反応装置からの排ガス配管途中で、該配管20aから液体24中に導入配置されたノズル手段22によって排ガス23を液体24中に放出するものである。液体24中に放出された排ガス23は、液体24中を上昇して液面上の空間に出て、水封容器21の上方から回収管25を介して排ガス燃焼設備へ連通する排ガス配管系20bに戻り、排ガス燃焼設備へ送られて燃焼処理される。
特開2002−20763号公報(図1)
上記のような従来の水封器では、通常運転中は水封器の上流側圧力Puが水封容器の下流側圧力Pdより若干高くなっており、排ガスは上流側から下流側へ流れる。しかしながら、以下のような場合には、下流側圧力Pdの方が上流側圧力Puよりいきなり高くなって水封容器内の液体が上流側へ逆流してしまう。
例えば、雰囲気炉においては、まず雰囲気炉内を真空ポンプで減圧して空気の排出をしてから所定の雰囲気ガスを供給することにより炉内雰囲気を置換しており、このガス置換の後に炉内を昇温して雰囲気ガスと炉内原料物との反応や熱処理が行われるものである。通常は、空気排出のための減圧時には、水封器と雰囲気炉との間の配管系でバルブを閉めて雰囲気炉内側空間と水封器側空間とを遮断し、水封器内の液体の逆流を防いでいるが、操作ミスやバルブの故障等によりバルブの遮断機能が維持できない場合に水封容器内の液体が雰囲気炉内へ逆流してしまう。
また、水封器上流側で運転中の雰囲気炉や反応装置に故障や操作ミスでヒータ電源が停止して、炉内や反応装置内の温度が急速に低下してしまった場合には、炉内や反応装置内に大きな圧力低下が起こり、仮に一定量の雰囲気ガスを供給している場合であっても水封器からの液体の逆流が発生してしまう。
さらに、雰囲気炉や反応装置に可燃ガスが使用されている際には、水封器の下流側末端には可燃ガス燃焼設備が設置されていることがあるが、この可燃ガス燃焼設備が故障により爆発的な燃焼を起こすと、水封器上流側より下流側の圧力が急激に高くなって液体の上流側への逆流が生じてしまう。
以上のような場合に生じる水封器の液体の上流側への逆流は、設備を腐食させる原因となるだけでなく、設備内が高温となった際には水蒸気爆発の発生原因となってしまう。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、雰囲気炉や化学反応装置と排ガス燃焼設備の間の排ガス配管系などの気体送り配管系途中に設置され、水封器内の液体が上流側へ逆流するのを簡便な構成で良好に防止できる水封機構を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る水封機構は、気体送り配管系途中に配置された液体を収容するための水封容器と、該水封容器内の液体中に配管上流側から送られてくる前記気体を放出するノズル手段と、ノズル手段から放出されて液体中を浮上した気体を水封容器内の液面上で回収して配管下流側へ送る取り出し手段とを備えた水封機構において、前記水封容器の上流側配管途中に配置され、槽内の上部空間を介して配管上流側から送られる気体を前記ノズル手段へ送る液体トラップ槽をさらに備え、該液体トラップ槽には、前記水封容器内の液体中のノズル手段下端より下方に位置するように該トラップ槽内部と水封容器内部とを連通する戻り配管が接続されているものである。
また、請求項2に記載の発明に係る水封機構は、請求項1に記載の水封機構において、記気体送り配管系が、雰囲気炉または化学反応装置と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系であることを特徴とする。
本発明の水封機構においては、気体送り配管系途中に設けられて配管の上流側空間と下流側空間を遮断する水封容器の上流側にさらに液体トラップ槽を設けて該トラップ槽の上部空間を介して気体を水封容器の液体中にノズル手段により放出すると共に、該ノズル手段の下端より下方位置に設けた戻り配管により水封容器と液体トラップ槽とを連通したものである。従って、水封容器の上流側圧力が下流側圧力より低くなって水封容器のノズル手段から液体が上流側へ逆流しても、その逆流液は液体トラップ槽に収容されると共に、戻り配管を介して水封容器側へ戻るため、液体トラップ槽より上流側配管への逆流が防止できるという効果がある。
また、本発明による水封機構を、雰囲気炉または化学反応装置と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系途中に設けるものとすれば、排ガス燃焼設備側の火災からの上流側への延焼を遮断できるだけでなく、上流側圧力が下流側圧力より低下するいかなる状況においても、雰囲気炉内や化学反応装置内への液体の逆流は防止され、液体浸入による設備装置の腐食や昇温時の水蒸気爆発の発生原因となる危険は回避される。
本発明の水封機構は、液体を収容するための水封容器を気体送り配管系途中に配置し、ノズル手段によって水封容器内の該液体中に配管上流側から送られてくる気体を放出し、その液体中を浮上した気体を取り出し手段にて水封容器内の液面上で回収して配管下流側へ送るという構成により、配管系の上流側空間と下流側空間とを液体で遮断するものであり、さらに水封容器の上流側に液体トラップ槽を配置することによって、水封容器から上流側へ逆流してきた液体をこの液体トラップ槽で留めてその上流側への液体の浸入を阻止するものである。
この本発明における液体トラップ槽は、槽内の上部空間を介して配管上流側から送られる気体を水封容器内の液体中に配置されたノズル手段へ送るものであるが、この液体トラップ槽には該トラップ槽内部と水封容器内部とを連通する戻り配管が接続されおり、この戻り配管は、ノズル手段の下端位置より下方に位置するように設けられている。従って、上流側配管から液体トラップ槽の上部空間に送り込まれた気体は、確実に下流側へ送られ、水封容器内のノズル手段から液体中に放出される。
さらに、戻り配管によって互いに連通された液体トラップ槽と水封容器においては、水封用の液体が供給されると、水封容器内だけでなく液体トラップ槽内にも液体が導入され、上流側圧力Puが下流側圧力Pdより若干高くて気体が上流側から下流側へ流れて実質的に両圧力に殆ど大きな差がない自然状態においてほぼ同じ液面高さとなるが、この液面高さがノズル手段の下端より上方に位置し、ノズル手段から放出された気体バブルが液面まで浮上するのにある程度の距離が確保できる液体量が供給されるものである。
上記に示した構成においては、上流側に下流側より大きな圧力低下が生じて水封容器内の液体がノズル手段から逆流してくると、その液体は液体トラップ槽内に一旦収容されるが、逆流液体を収容して液嵩が増した液体トラップ槽内の液体は、速やかにその液体圧が水封容器側と均衡するまで戻り配管から水封容器側へ移動するため、実質的には逆流液体は戻り配管を介して水封容器へ戻ることとなる。よって、配管の上流側圧力が下流側圧力より低くなってしまう状況において、水封容器から液体が逆流しても、液体トラップ槽に一時的に取り込まれるだけで、液体トラップ槽より上流側へ液体が逆流してしまう危険は回避される。
なお、本水封機構においては、水封容器から液体トラップ槽へ一度に逆流する最大液体量は、前記自然状態における水封容器内のノズル手段の下端高さ位置から液面までに亘る液体体積分であり、逆流液体が液体トラップ槽から配管上流側へ溢流することのないように、この最大液体逆流量を充分に受け入れるだけの空間体積が液体トラップ槽の液面上に形成されるように水封容器と液体トラップ槽の容積および液体収容量を適宜設定する。
以上の構成を備えた本発明の水封機構によれば、例えば、雰囲気炉または化学反応装置と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系途中に設置されるものとした場合、排ガス燃焼設備側の火災からの上流側への延焼を遮断できるだけでなく、雰囲気炉内や反応装置内の減圧時における配管バルブの操作ミスや故障が発生したり、運転中に加熱ヒータが故障して雰囲気炉内や反応装置内に急速な温度低下が発生したり、また仮に排ガスが可燃性で排ガス燃焼設備にて爆発的な火災が発生した場合など、上流側圧力が下流側圧力より低下してしまったいかなる場合においても、雰囲気炉内や化学反応装置内への液体の逆流は防止され、液体浸入による設備装置の腐食や昇温時の水蒸気爆発の発生原因となる危険は回避される。
本発明の第1実施例としての水封機構を図1の概略構成図に示す。本実施例による水封機構1は、気体送り配管系途中に配置されるものであり、主に水封用の液体7を収容する水封容器2とその配管上流側に設けられ、戻り配管4によって水封容器2と連通する液体トラップ槽3とから構成されるものである。
本水封機構1における配管の上流側空間と下流側空間を遮断するための水封容器2の基本構成は従来の水封器と同様であり、水封容器2内の液体7中まで導入配置されたノズル手段5によって気体送り配管から送られてくる気体6を液体7中に放出するものであり、この液体7中に放出されて浮上し、液面上の空間に出た気体6を、水封容器2の上方から回収管8を介して次の気体処理設備15へ連通する気体送り配管系9bへ戻すものである。
本実施例の水封機構では、この水封容器2の上流側にさらに液体トラップ槽3を設けて該液体トラップ槽3の上部空間を介して気体6を水封容器2のノズル手段5へ送るものである。即ち、液体トラップ槽3は、上部が気体送り配管系9aに接続していると共にノズル手段5の上流側が液体トラップ槽側の気体回収管として接続しているものである。
また液体トラップ槽3と水封容器2とを連通する戻り配管4は、その上端高さHpがノズル手段5の気体6を放出するノズル下端高さHnより下方に位置するように水平に設けられており、上流側の配管系9aから液体トラップ槽3の上部空間に送り込まれた気体6は、確実に下流側へ送られ、ノズル手段5から放出される。
さらに、このような戻り配管4によって液体トラップ槽3と水封容器2とが互いに連通されているため、水封用の液体7は、水封容器2内だけでなく液体トラップ槽3内にも導入され、上流側圧力Puと下流側圧力Pdとの間に大きな差のない自然状態において互いに同じ液面高さとなる。ここで液体7の全供給量はこの液面高さがノズル手段5の下端から液面まで、放出された気体6のバブルが浮上するのにある程度の距離が確保できる量に設定されている。
以上の構成を備えた本水封機構1においては、上流側圧力が下流側圧力より大きく低下して水封容器2内の液体7がノズル手段5から逆流してきても、その液体7は液体トラップ槽3内に一旦収容されて槽内の液嵩を増加させるが、その液体圧が水封容器2側と均衡するまで速やかに戻り配管4を通って水封容器2側へ移動するため、実質的には逆流液体は戻り配管4を介して水封容器2へ戻ることとなる。
また、この水封容器2から液体トラップ槽3へ一度に逆流する最大液体量は、前記自然状態における水封容器2内のノズル手段5の下端高さHnから液面までに亘る体積分VLであるが、本実施例では、この体積VLよりも液体トラップ槽3の液面上に形成される空間体積VCが大きくなるように設定することにより、液体トラップ槽3は最大液体逆流量を充分に受け入れることができ、逆流液体が液体トラップ槽3の上部から上流側の配管9aへ溢流するはない。
従って、本実施例の水封機構1によれば、配管の上流側圧力Puが下流側圧力Pdに対して大きく低下して水封容器2から上流側へ液体7が逆流しても、液体トラップ槽3に一時的に取り込まれるだけで、液体トラップ槽3より配管9aを上流側へ液体が逆流してしまう危険は全く回避される。
次に、本発明の第2実施例として、以上の実施例1に示した水封機構1を、雰囲気炉と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系途中に配置して該雰囲気炉および排ガス燃焼設備を運転した場合を以下に示す。図2は排ガス配管系全体を示す概略構成図である。
本実施例における雰囲気炉10は、三酸化ウラン(UO)あるいは八酸化ウラン(U)の粉末や粒子またはペレットを原料11として水素ガス雰囲気中で二酸化ウラン(UO)に還元・焼結するものであり、排ガス燃焼設備15は、雰囲気炉10で使用した後の水素ガスを排ガスとして燃焼処理するものである。また水封用の液体7としては水を用いた。
まず、雰囲気炉10内に原料11を載置し、雰囲気炉10内の空気を真空ポンプ13によって排出する。これにより雰囲気炉内圧力は約1.33Pa(約1×10−2Torr)まで減圧される。この時、故障あるは操作ミスが生じて排気バルブ14が閉じていない場合でも、上記水封機構1が配置された本実施例における配管系においては、水封容器2から水(液体7)が逆流しても液体トラップ槽3に取り込まれるだけで、雰囲気炉10内まで逆流することはない。
次に、加熱ヒータ12を作動させて雰囲気炉10内を昇温する。雰囲気炉内温度は、原料11の還元処理工程では約600〜900℃程度まで、また原料11の焼結処理工程では約1600〜1700℃程度まで昇温して原料11を二酸化ウランとする。
この還元・焼結処理工程の間中の通常運転では、水素ガス(雰囲気ガス)が10L/minで雰囲気炉10内へ供給され、その後、排ガスGとして雰囲気炉10内から排ガス配管系9aへ排気され、液体トラップ槽3の上部空間を介して水封容器2内の液体7中へバブリング放出され、回収されて排ガス配管系9bへ戻り、最終的に排ガス燃焼設備15で燃焼処理される。
還元または焼結の処理工程終了後に、加熱ヒータ12の作動を停止して雰囲気炉10内の温度を室温まで降下させるが、この際、水素ガスの供給を停止して窒素ガスを20L/minで雰囲気炉10内へ供給する。これにより、雰囲気炉10内の温度が室温程度に降下した時には炉内雰囲気は水素ガスから不活性ガスの窒素ガスへの置換も完了し、雰囲気炉10から二酸化ウラン製品を取り出す際の火災爆発の危険は排除されている。
本雰囲気炉10において、万一、運転中に操作ミスや故障でヒータ12が停止して、炉内の温度が急速に低下して炉内に急激な圧力低下が起こったとしても、また排ガス燃焼設備15で故障により爆発的な燃焼が起きて、下流側で圧力が急激に高くなったとしても、水封容器2内から逆流した液体7は液体トラップ槽3内でトラップされて戻り配管4を介して水封容器2へ戻り、雰囲気炉10内へ逆流することはない。
本発明の第1実施例による水封機構の概略構成図である。 実施例1による水封機構を雰囲気炉と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系途中に配置した場合の配管系全体を示す概略構成図である。 従来の水封器の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1:水封機構
2,21:水封容器
3:液体トラップ槽
4:戻り配管
5,22:ノズル
6:気体
7,24:液体
8,25:回収管
9a,20a:上流側配管
9b,20b:下流側配管
Hp:戻り配管上端高さ
Hn:ノズル下端高さ
VL:(最大逆流液体)体積
VC:液体トラップ槽上部空間体積
10:雰囲気炉
11:原料
12:ヒータ
13:真空ポンプ
14:排気バルブ
15:排ガス燃焼設備
G,23:排ガス

Claims (2)

  1. 気体送り配管系途中に配置された液体を収容するための水封容器と、該水封容器内の液体中に配管上流側から送られてくる前記気体を放出するノズル手段と、ノズル手段から放出されて液体中を浮上した気体を水封容器内の液面上で回収して配管下流側へ送る取り出し手段とを備えた水封機構において、
    前記水封容器の上流側配管途中に配置され、槽内の上部空間を介して配管上流側から送られる気体を前記ノズル手段へ送る液体トラップ槽をさらに備え、
    該液体トラップ槽には、前記水封容器内の液体中のノズル手段下端より下方に位置するように該トラップ槽内部と水封容器内部と連通する戻り配管が接続されていることを特徴とする水封機構。
  2. 前記気体送り配管系が、雰囲気炉または化学反応装置と排ガス燃焼設備との間の排ガス配管系であることを特徴とする請求項1に記載の水封機構。
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