JP2006036699A - α−ヒドロキシカルボン酸アルミニウム塩及び錯塩とその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クエン酸のアルミニウム化合物であって、水に易溶性で金属及び電極の表面処理及びその電解液、染色助剤、工業薬品等に用いられ、優れた効果を発揮するクエン酸アルミニウム塩及びその錯塩とその製法を提供すること。
【解決手段】 アルミニウム塩類の水溶液にクエン酸を添加して、これに水酸化カルシウム、炭酸バリウム等を添加して水に不溶性の硫酸塩を形成させ、溶液から分離する。又残ったクエン酸アルミニウムを含む溶液を濃縮して、冷却晶析するか、濃縮乾固、噴霧乾燥等の方法で固体の製品を得る方法。又アルミニウム塩類の水溶液に水酸化カリウム等のアルカリ金属をpH4〜5になるまで添加して分離した塩基性アルミニウムにクエン酸を添加してクエン酸のアルミニウム塩及びその錯塩の溶液を生成させ、上記同様の方法でクエン酸アルミニウム塩及び錯塩を得る方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば金属の表面処理、電解コンデンサーの電極の表面処理及びその電極液、染色助剤等に用いられる、クエン酸、酒石酸等のα―ヒドロキシカルボン酸アルミニウム塩および錯塩のうちクエン酸アルミニウム塩および錯塩とその製法に関する。
クエン酸アルミニウムの製法としクエン酸又はそのアルカリ塩類と水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム等の水に溶解しないアルカリ塩類とは水溶液中では反応しないが、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等水に溶解するアルミニウム塩類とは水溶液中では反応する。しかし反応生成したクエン酸アルミニウムを結晶として晶析することは困難であり、反応主生成物及び副生成物を任意に混合した状態で分離し、分離物を精製していた。この方法では反応物に不純物が多く混入するため、高品位のクエン酸アルミニウムを取り出すことは困難であった。
一方アルミニウムは両性塩の性質を持ち、クエン酸の酸性基に対して単なるアルミニウム塩となる反応の外に、Al(OH)2・SO4のような所謂塩基性アルミニウム塩として結合していると見るべき化合物であるため使用する原料によって、構造式は非常に複雑であり多岐にわたっている。
かかるクエン酸のアルミニウム塩はいずれも、製造段階に於いてクエン酸の水溶液又は懸濁液中にアルミニウム塩類又は塩基性アルミニウム塩を添加して中和した時点では透明な水溶液となっている。この水溶液を精製して加熱濃縮、冷却等の工程を得て固化させることにより反応物を取り出しているが、その際反応のために添加した塩類によって、クエン酸の数、アルミニウムの数、塩基性アルミニウム塩の構造とその数等が様々である種々の構造式をとる。しかも、それらの構造式により結晶型、溶解度等に差が生じてくる。
特許公報、昭 36−7624 [Al2+n〔OH〕3n]LXm、〔L:クエン酸等ヒドロキシルカルボン酸、X:SO4〕 Al(OH)3・3H2O・Al(OH)2・O・SO3H、(森: 有機顔料、29.)又は Al2O3・O・3SO3・3H2O、(Kirk−Othmer: Encyclop of Chem.Tech.2nd Ed.Vol.2,51.)
本発明者は、有機酸及びそのアルカリ金属塩からアルミニウム化合物を製造する手段として、クエン酸及びそのアルカリ金属塩といろいろなアルミニウム塩類を反応する際、使用原料によりアルミニウムイオン特有の反応生成物が出来ること、反応条件によって塩類と共に錯塩類が生成する事を発見し、その製造法を確立して、本発明を完成するに至った。
本発明は、クエン酸又はクエン酸塩類の水溶液に硫酸アルミニウム等のアルミニウム化合物を添加して懸濁液又は水溶液とする。この溶液は添加したクエン酸、硫酸アルミニウムと共に反応で生成したクエン酸アルミニウム化合物の混合溶液である。また、その際生成するアルミニウム塩は、中和で生じたアルミニウム塩の他に塩基性アルミニウム塩というべきものとの塩に分けられる。その構造は例えばスルホン基を含む場合は、上記文献記載の様な一般式で表される。またその際合成される化合物は大別して、クエン酸の有するカルボキシル基と反応してカルボン酸塩を生成するか、カルボキシル基及びヒドロキシル基に反応して分子内に錯塩を生成するか、のいずれかである。又アルミニウムの場合は、錯塩を生成すると共に一部のカルボキシル基もアルミニウム塩となる。
かくして生成したクエン酸のアルミニウム化合物は、アルミニウムの含量が7.5〜9.0%であり、1〜2モルの結晶水を有し、乾燥減量は4〜10%(105℃、3時間)で、水に対する溶解性は12〜15%(70℃)である。
以上詳述したように、クエン酸アルミニウムの製造法にはクエン酸と水溶性のアルミニウム塩(硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)との反応による方法があり、種々の構造を有する塩類、錯塩が生成するが、その反応の際に生成する不純物も混在する。この不純物の分離は比較的困難であるため、不純物の少ないクエン酸アルミニウムを簡単な操作で、安価に製造する方法はなかった。
これに対し、本発明によれば硫酸アルミニウム等の水溶液にクエン酸を加え、クエン酸アルミニウム塩、またはその錯塩を生成させ、その反応液に水酸化カルシウム、炭酸バリウム等を添加して水に不溶性の硫酸カルシウム、硫酸バリウム等を副生物として反応圏外に分離して不純物の少ないクエン酸アルミニウム塩、錯塩を得る方法であり、高含量のクエン酸アルミニウムを簡単に作る方法である。
又他の方法は、上記と同じ硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の塩類に苛性ソーダ、苛性カリウム等のアルカリ金属を加えて、塩基性アルミニウム塩類を分離し、水洗浄等により精製し、これにクエン酸を加えて溶解させ、高含量のクエン酸アルミニウム塩を得ることができる。
これらの方法により生成されたクエン酸アルミニウム化合物は中和滴定によればクエン酸の3個のカルボキシル基のうち1.5〜2個の水素は置換されているが1〜1.5個は置換されていないか又は苛性ソーダ等のアルカリ金属によって結合が容易に切れてカルボン酸になるかのいずれかである。いずれにしても前述の塩基性アルミニウム塩とクエン酸の反応物であり、水に対する溶解度も高く、また溶解した状態で安定である。従って水溶液の状態で金属の表面処理、電解コンデンサーの電極液、染色助剤等に使用することができる優れた化合物であり、これらの化合物及びその製造方法は未だ製品としてまた文献等で見ることのない化合物である。
本発明に係わるクエン酸アルミニウム水和物は、前記のように、クエン酸又はクエン酸塩類(主としてアルカリ金属)の水溶液にアルミニウム塩類(これらを「アルミニウム原料」という)を添加して懸濁液又は水溶液としこの溶液にアルカリ土類金属、例えば水酸化カルシウムを添加して塩類をカルシウム塩とし反応溶液から不溶物として分離する。不溶物をろ過等で除去し、当該反応液から生成物を濃縮して得る方法がある。(以下製造法1という)
別の方法として、アルミニウム原料に苛性カリ等のアルカリ金属を加え、ゲル状水酸化アルミニウム錯化合物を生成させ、得られたゲル状沈殿物をろ過、水洗浄等により精製する。このゲル状ろ過物をイオン交換水に懸濁し、これにクエン酸又はクエン酸塩類を添加して加熱反応することにより目的物を得ることが出来る。(以下製造法2という)
本発明に用いられるクエン酸は、クエン酸、無水クエン酸、イソクエン酸のみならず、イソクエン酸の脱水物であるラクトンをも含んでいる。
本発明に用いられるアルミニウム原料としては金属アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムが挙げられるが、アルミニウム塩類は塩基性の塩類であるか酸性の塩類であるかを問わない。
本発明に用いられるカルシウム原料としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。かかる物質の中で水溶液中で酸性物質と比較的反応しやすく、しかも反応生成物は水に対する溶解性が低く、又副生成物が水であることが望ましい。又これらの原料は、水溶液中で反応することから、出来るだけ水となじみやすい性質を持つことが望ましく、且クエン酸、硫酸アルミニウムとの反応性が高いことから水酸化カルシウム、炭酸カルシウムが挙げられる。又、カルシウム塩類の形態としては、特に限定しないが20メッシュ以下の細かい粒子経有する粉末である方が反応をスムースに進めることができる。
又上掲のカルシウム原料は単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いられるアルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化化合物、及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、等が挙げられるが、前述のように水溶液中で上記アルミニウム塩と比較的反応し易く、しかも生成物は水に対する溶解度が低いことが必要である。一方副生成物が水に対する溶解性が大きいことが望ましい。これらの点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
又本発明に使用される水としては、出来るだけアルミニウム以外の塩類を含まない様にし、且クエン酸アルミニウムを純粋なものとするために使用する水はイオン交換水、蒸留水、透析膜精製水等の精製水を使用することが好ましい。
本発明におけるクエン酸とアルミニウム塩類との反応(製造法1)に於いては、反応をスムーズに進めるために水溶液であることが望ましい。使用する水の量は、クエン酸100部(重量部、以下同様)に対して150部以上、好ましくは200部以上とすることが望ましい。逆に、水の使用量があまりに多い場合は、反応終了時の液量が多くなり、反応生成物のクエン酸アルミニウム塩を取り出す際の濃縮量が多くなるため、クエン酸100部に対して300部以下とすることがよく、好ましくは250部以下とすることが望ましい。
次に、クエン酸の溶解した水溶液に、アルミニウム原料を添加して溶解させる(以下溶解液1という)が、添加するアルミニウム塩の量はクエン酸に対して等モル比を標準として、その前後10〜15%の量でよい。又その水溶液の温度は溶解をスムースに行うために20℃以上にすることが良く、均一な水溶液とするために30℃以上とすることが望ましい。反応液を中和するときは、発熱反応であることから冷却しなければ80℃以上になり、一部分解を起こす、これを抑えるために溶解の温度は40℃以下とすることがよい。
続いて、溶解液(1)にアルカリ土類金属塩類を添加して反応を行うが、反応生成物を系外に不溶物として分離させる方法がある。この場合は水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム等と反応して水に不溶性の硫酸カルシウム、硫酸バリウムを生成させ、ろ過分離する方法がある。この場合の添加するアルカリ土類金属の量は、硫酸根と反応する量に対して98%の添加量がよい。過剰の添加はクエン酸に反応して塩類を生成させることになる。
上記のクエン酸水溶液にアルミニウム原料を加えて反応した溶解液とし、これに水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属を加えてクエン酸アルミニウム水溶液と水に不溶性のアルカリ土類金属塩類に分離するが、この添加する際にクエン酸カルシウムの生成を抑え、硫酸カルシウムの生成を優先させることが必要である。そのためには添加する塩類を水と十分に懸濁させ、時間をかけて徐々に添加することが必要である。又反応をより完全に進ませるため40℃以上とすることが望ましく、反応を早く進ませるためには60℃以上が好ましい。又クエン酸の分解を抑えるために90℃以下が望ましく、反応の進行をより完全に又徐々に進ませるために、70℃以下が好ましい。このようにして得られた硫酸カルシウム粒子も大きく、ろ過性に優れている。この反応液を冷却後ろ過する。得られた溶液を70℃以下で濃縮する。
又別の方法としての(製造法2)に於いては、アルミニウム原料、としては硫酸アルミニウム、塩酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を使用することが出来る。
これらにアルカリ金属の水溶液を添加して弱酸性になるまで中和するが、硫酸アルミニウムの場合は、水溶液としなければならない。使用する水の量は硫酸アルミニウム100部に対して250部以上、好ましくは500部以上とすることが望ましい。逆に、水の量はあまりに多い場合は、反応物の粒度が小さくなり、ろ過工程に支障をきたすため、硫酸アルミニウム100部に対して、1,500部以下、好ましくは、1,000部以下にすることが望ましい。
又硫酸アルミニウムをスムースに溶解(以下溶解液(2)と言う)するためには、20℃以上であることが望ましく、好ましくは、30℃以上がよい。溶解温度が高すぎると次工程での温度か高くなりすぎるため50℃以下が望ましく、より好ましいのは40℃以下である。
次に溶解液(2)にアルカリ金属を添加して中和反応を行うが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属を使用することが出来る。
溶解液(2)を中和する温度は、水酸化アルカリ金属の場合は発熱反応であるため冷却が必要であり、炭酸アルカリ金属の場合は吸熱反応であるため加熱をしなければならないが、精製した硫酸塩が析出しないため30℃以上であることが望ましく、生成物のろ過工程での温度低下を考慮すると35℃以上が好ましい。また生成物の結晶のろ過を良くするためには80℃以下が望ましく、より好ましい温度はクエン酸を分解させないために、60℃以下である。
又中和点はアルミニウム塩類が両性物質であり、酸性側及びアルカリ性側では水溶性である。そのため最も水に対して溶解性の低いpHを選ぶ必要がある。その点は4.0以下では硫酸アルミニウムの加水分解が不十分であり、好ましくは4.5以上である。又5.5以上では中和された水酸化アルミニウムが水に可溶化してくる。より好ましくは4.5〜5.0である。
中和により生成した水酸化アルミニウムは水に不溶性である。従って出来るだけ不純物の少ないものとするため、その際副生する硫酸アルカリ塩等をろ過して良く水洗淨で除去することが出来る。十分水洗浄した塩基性アルミニウム塩にクエン酸を添加して溶解するが、30℃以下では反応速度が遅く、80℃以上ではクエン酸の分解物が認められるため溶解温度は40〜60℃が好ましい。又クエン酸の量はアルミニウムの含量を1〜10%(乾燥物換算)の範囲で調整することが出来るが、水酸化アルミニウムと反応してアルミニウム塩及び錯塩となる濃度は12%迄である。 得られた溶液は70℃以下で減圧濃縮して、固形化する。
本発明に於いては、多孔性水酸化アルミニウムの水懸濁液にクエン酸等のヒドロキシカルボン酸を加えて加熱する。加熱温度は30℃以下では反応速度が遅い。80℃以上ではクエン酸が一部分解する。好ましくは40℃以上であり、分解を起こさせないためには60℃以下である。反応液が溶解すると、クエン酸のアルミニウム塩又は錯塩の混合物が得られる。この溶液を減圧濃縮して、濃縮液を晶析するか、減圧乾燥、噴霧乾燥等によりこの混合物が粉末となって得られる。
ここで得られた粉末はクエン酸のアルミニウム塩及び錯塩であり、乾燥条件により1〜2分子の結晶水をもつ。
次に、本発明のクエン酸アルミニウム塩及びその錯塩及びその製法を、下記の実施例及び比較例に基づいて詳しく説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
実施例1.
クエン酸170gをイオン交換水240gに加えた。攪拌して溶解させ、この溶液を35℃に加温し、攪拌しながら、240gの硫酸アルミニウム13〜14水和物(含量57%)を徐々に添加して溶解した。溶液のpHは0.6であった。完全に溶解して、溶液の温度を50〜60℃に保った。 水酸化カルシウム95g(含量95%)をイオン交換水200gで懸濁した溶液を30分で添加し、55℃で2時間攪拌した。生成した石膏をろ過した。ろ液は、960gあり、その溶液のpHは2.0であった。この溶液を60℃以下の温度で減圧で濃縮して白色の粉末を得た。得られた粉末は、226gであった。
この粉末をアルミニウムの含量を原子吸光光度法により下記の測定条件で行った。
装 置 :AA−890 (日本ジャーレル・アッシュ株式会社)
波 長 :309.3nm
フレーム:亜酸化窒素−アセチレン
その値は7.6%でクエン酸アルミニウムに換算して60.8%であった。中和滴定によるクエン酸の含量換算は28.3%であった。
又得られた粉末の赤外線吸孔スペクトルを下記の条件に従って測定したその図形を図1に示す。
・使用機器:FT−IR560[Nicolet Instrument
Corporation]
・顕微装置:IR−PlanAAM[SPECTRA−TECHInc.]
・分 解 能:8cm−1
・積算回数:32回
又粉末のX線解析を下記の条件に従って測定した、その図形を図2に示す。
・機 種 :デスクトップX線回析装置 MiniFlex[理学電機株式会社]
・ターゲット:銅
・電圧及び電流:30KV,15mA
・走査速度:2/min
実施例2.
硫酸アルミニウム13〜14水和物100gにイオン交換水750gを加え、35℃に加熱攪拌して溶解させた。水酸化カリウム51gを80gのイオン交換水に溶解し、この溶解液を添加して中和反応した。中和の終点のpHは4.9であった。生成した塩基性水酸化アルミニウムをろ過した。ケーキを水350mlで洗浄した。ケーキに水500mlを加え50℃に加熱して攪拌した。その溶液のpHは4.6であった。その溶液にクエン酸71gを加え溶解した。PH 2.1になった。完全に反応が終わり水酸化アルミニウムの沈殿が認められなくなるまで60℃で攪拌した。反応終了液のpHは2.1であった。60℃以下の温度で減圧濃縮乾固した。収量は103gであった。アルミニウムの含量は7.4%であり、含量は60%であった。中和滴定によるクエン酸の含量は41.6%であった。実施例1.と同様に赤外線吸収スペクトルの測定及びX線解析分析を行った結果を図3及び図4に示す。
得られた白色粉末は図3に示すように非晶質である。したがって、水に対する溶解度は常温で5%、60℃では12.5%である。
実施例3.
実施例2 に準じ得られた塩基性水酸化アルミニウムのケーキ135gを得た。
そのケーキの105℃での乾燥減量は73%であった。このケーキにクエン酸71gを添加して24時間静置した。ケーキはクエン酸と反応して溶液となった。この溶液を精製して冷却することにより、クエン酸アルミニウム塩及びその錯塩の混合結晶68gを得た。この結晶の2%水溶液のHPLCを下記の条件で行った。その結果を図5に示す。
・機種 :LC−10システム HPLC(島津製作所株式会社)
カラムSTR−ODS−2ガードカラム付(信和化学工業株式会社)
・分析条件 :移動相 100mM 過塩素酸ナトリウム
5mM 燐酸二水素ナトリウム
5mM リン酸
流 量 0.8mL/min
カラム温度 40℃
試料濃度及び量 5w/w%、5μL
比較例1.
クエン酸84gをイオン交換水200gに溶解した。この溶液に水酸化アルミニウム32gを加えた。攪拌しながら加熱し、5時間還流させた。
5時間後のpHは1.8であった。HPLCの分析では未反応クエン酸は認められたがクエン酸アルミニウム塩及びその錯塩は認められなかった。
比較例2.
硫酸アルミニウム13〜14水和物90gを100gのイオン交換水に溶解した。
その溶液のpHは1.7であった。クエン酸三カリウム塩一水和物96gを水100gに溶解した。その溶液のpHは8.6であった。両方の溶液を混合し攪拌した。pHは2.3となった。50℃で反応して反応液400gを得た。この溶液を260gまで濃縮して冷却した。析出した沈殿をろ過分離して硫酸カリウム80g、ろ液180gを得た。ろ液を濃縮乾固することにより76gの粉体を得た。HPLCの分析では未反応クエン酸塩及びクエン酸アルミニウム塩、その錯塩は混合物として認められたがその分離は出来なかった。
実施例1で得られた粉末の赤外吸収スペクトルである。 実施例1で得られた粉末のX線解析スペクトルである。 実施例2で得られた粉末の赤外吸収スペクトルである。 実施例2で得られた粉末のX線解析スペクトルである。 実施例3で得られた粉末のHPLCによる分析例である

Claims (4)

  1. 硫酸アルミニウムの水溶液にクエン酸を加え溶解し、この溶液に水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの水懸濁液を添加することによりクエン酸とアルミニウムが反応し、副生物として水に溶けにくい硫酸カルシウムを生成させ分離し、ろ液を濃縮し、濃縮液から結晶を析出させてろ過し、乾燥するか、ろ液を濃縮乾固するか、噴霧乾燥等で乾燥することを特徴とするクエン酸アルミニウム塩及び錯塩。
  2. 硫酸アルミニウムの水溶液にクエン酸を加え溶解し、この溶液に水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの水懸濁液を添加することによりクエン酸とアルミニウムが反応し、副生物として水に溶けにくい硫酸カルシウムを生成させ分離し、ろ液を濃縮し、濃縮液から結晶を析出させてろ過し、乾燥するか、ろ液を濃縮乾固するか、噴霧乾燥等で乾燥することを特徴とするクエン酸アルミニウム塩及び錯塩の製法。
  3. 硫酸アルミニウムの水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水溶液を加え、pH4.0〜5.0に中和し、生成した塩基性アルミニウム化合物をろ過し水で洗浄し、これをクエン酸水溶液に加え溶解、反応させ、反応液を濃縮し、濃縮液から結晶を析出させてろ過し、乾燥するか、ろ液を濃縮乾固するか、噴霧乾燥等で乾燥することを特徴とするクエン酸アルミニウム塩及び錯塩。
  4. 硫酸アルミニウムの水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水溶液を加え、pH4.0〜5.0に中和し、生成した塩基性アルミニウム化合物をろ過し、水で洗浄し、これをクエン酸水溶液に加え溶解、反応させ、反応液を濃縮し、濃縮液から結晶を析出させてろ過し、乾燥するか、ろ液を濃縮乾固するか、噴霧乾燥等で乾燥することを特徴とするクエン酸アルミニウム塩及び錯塩の製法。
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