JP2006035004A - 飲料水の製造方法及び湧水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】そのままでは飲料水として適さない湧水から美味な飲料水を得る湧水処理方法、及びその方法を実現することのできる小型の湧水処理装置を提供すること。
【解決手段】トンネル内湧水を、(1)砂ろ過、活性炭吸着、精密ろ過、及び限外ろ過から選択された少なくとも1種のろ過からなる前処理、及び(2)逆浸透膜によってろ過処理する。
【選択図】図1
【解決手段】トンネル内湧水を、(1)砂ろ過、活性炭吸着、精密ろ過、及び限外ろ過から選択された少なくとも1種のろ過からなる前処理、及び(2)逆浸透膜によってろ過処理する。
【選択図】図1
Description
本発明は、従来厄介者として扱われてきたトンネル内湧水を有効活用する湧水処理方法に関し、特に、都市部のトンネル内湧水を、美味な銘水として再利用するに適した湧水処理方法、及びそれに使用することのできる小型の湧水処理装置に関する。
大都市の地下は地下鉄や自動車道のトンネル、電力や通信等の共同溝が網目状に敷説されており、これらのトンネル等の各所において地下水が湧き出ている。このように湧き出た地下水(以下「湧水」という。)は、強制的に止水されるか、ポンプを用いて下水道に放流されているのが現状である。
湧水を下水道に放流する場合には、大量の湧水を下水処理場へ送ることになるので、下水処理場の負担と共に事業者の費用負担も過大なものになっている。従って、このような湧水を、簡便に飲料水や生活用水に還元することができれば、下水処理のための負担を軽減すると同時に、水道水の節約を図ることもできるという大きな利点が生じる。
しかしながら、湧水には、各種ウィルス、フルボ酸、フミン酸、農薬等の水溶性高分子有機化合物、トリハロメタン、硝酸イオン等の低分子化合物、あるいは各種の金属イオン等の人体に有害な物質が含まれ、一般的に、特に都市部の湧水になるほどその含有量は増大する。従って、湧水を飲料水に利用する場合にはこれらの有害物質を除去する必要がある。
また、飲料水として利用するためには、軟水化する必要があるため、マグネシウムイオンやカルシウムイオンなどの硬度成分も除去しなければならないが、逆浸透膜を用いて過度に軟水化をして純水とするのは、コスト高となるだけでなく、かえって健康に良くないし味も悪くなる。
しかしながら、従来のように、単にオゾン酸化による有機化合物を分解しても、該有機化合物を完全に二酸化炭素と水とに分解はできず、低分子の化合物が残留するだけでなく、オゾン酸化の際に、人体に有害な、長寿命の高分子ラジカルが生成するという可能性もある。また、この方法ではミネラル分含有量の調整をすることができないので、美味な飲料水を得ることはできない。
上記のような化学反応による方法以外の水の浄化方法としては、砂ろ過、活性炭吸着、種々のろ過膜を利用したろ過による方法がある。懸濁物質やプランクトン類であれば、砂ろ過や活性炭吸着で除去することができるが、フルボ酸等の水溶性高分子化合物やウィルス類を除去するためには、細孔径が0.01μm程度のフィルターを使用する限外濾過によらなければならない。しかしながら、限外ろ過でも、トリハロメタンや硝酸イオン、あるいは重金属のイオン等の人体に有害な低分子化合物を除去することはできない。
そこで本発明者らは、そのままでは飲料水として適さない湧水から、安全且つ安価で美味な飲料水を製造すべく鋭意検討した結果、前処理した湧水を逆浸透膜を使用して逆浸透ろ過することにより、トリハロメタン、硝酸イオン等の低分子化合物や重金属イオンが除去されると共に、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等の硬度成分も適度に除去することができ、これによって美味な飲料水を容易に得ることができることを見出し、本発明に到達した。
従って本発明の第1の目的は、そのままでは飲料水として適さない湧水から、美味な飲料水を得る湧水処理方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、そのままでは飲料水として適さない湧水を、安価で美味な飲料水に変換することのできる、小型の湧水処理装置を提供することにある。
従って本発明の第1の目的は、そのままでは飲料水として適さない湧水から、美味な飲料水を得る湧水処理方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、そのままでは飲料水として適さない湧水を、安価で美味な飲料水に変換することのできる、小型の湧水処理装置を提供することにある。
本発明の上記の目的は、トンネル内湧水から美味に感じる飲料水を製造する方法であって、該方法が、(1)砂ろ過、活性炭吸着、精密ろ過、及び限外ろ過から選択された少なくとも1種のろ過からなる前処理工程、及び(2)逆浸透膜によるろ過工程を含むことを特徴とする飲料水の製造方法、並びに該方法に使用することのできる小型で移動可能な湧水処理装置によって達成された。
本発明によれば、従来大量に下水道に放出され下水処理の負担を大きくするに過ぎなかった湧水から、販売価値のある美味な飲料水を得られるだけでなく、水道水の使用量を節約することができる上、下水処理の負担をも減らすことができる。更に、適宜前処理しただけの処理水や、逆浸透膜ろ過によって生じる濃縮水を中水や工業用水として有効に利用することもできる。また、本発明の湧水処理装置は小型で移動可能であるので、定期的に、ろ材や膜を新しくした装置と交換することができ、維持管理も容易である。
本発明におけるトンネルとは、都市部、山岳部等に限定されず、あらゆる地下抗を包含する概念であるが、特に動物に悪い影響を及ぼす可能性のある物質やイオンを含みやすい都市部のトンネルで湧き出す湧水に対して、本願発明は効果的である。本発明の湧水処理装置は、湧水の湧き出し現場や、地下鉄駅構内などの地下に設けても良いし、地上に設けても良い。地上に設ける場合には、当然ポンプで湧水をくみ上げて処理することになる。
本発明の前処理で使用する砂ろ過装置、活性炭吸着装置、精密ろ過装置及び限外ろ過装置等の前処理装置は公知であり、これらを単独で使用するか組み合わせて使用するかも含め、湧水量や地形及び規模等によって適宜設計することができる。後工程で使用する逆浸透膜の寿命を長くする観点から、限外ろ過装置を使用することが好ましい。同様に、本発明で使用する逆浸透膜によるろ過装置(以下、逆浸透膜ろ過処理装置とする。)の規模や処理条件も適宜設計することができる。
本発明においては、逆浸透膜として特にNF膜を使用する事が好ましい。NF膜とは、逆浸透膜の中でも、特に塩の阻止率が0.6以下と低いものの、水透過流速が大きい膜であり、現在では、ナノろ過膜としてRO膜とは別に分類されている。NF膜による分離は、細孔のサイズによるだけではなく、膜表面の荷電による静電気的な分離効果が組み合わされて、その膜固有の阻止性能や透過性能が決まるとされている。従って本発明においては、湧水中から除去したいイオンの種類によって、NF膜を選択することが好ましい。NF膜ろ過処理装置の操作圧力は0.2〜1.5MPaであるが、その条件は適宜設定することができる。また、通常は処理量よりも湧き出し水量の方が多量であるので、前処理装置の前に湧水受水槽を設けることが好ましい。
必要に応じて、前処理した湧水を中水や工場用水として取り出して使用することができるように、前処理装置と逆浸透膜ろ過処理装置の間に貯留槽を設けることが好ましい。また、透過水を製品化するための工場や大口需要者に該透過水を適宜搬送することができるように、逆浸透膜ろ過処理装置の後ろに透過水槽を設置することが好ましい。工場に搬入された透過水は水道水よりも上質な水であるので、ボトルに充填されて有価製品とされる。この製品は、従来のコンビニ等の小売店や駅売店等で販売することができるだけでなく、銘水専用販路を構築し、各所の受容者に出荷することもできる。逆浸透膜ろ過処理装置で発生した、非透過水である濃縮水は、通常放流水として下水道に流されるが、中水として利用したり、一部を透過水に混合して透過水中のミネラル含有量の調整水として使用することもできる。
本発明の湧水処理装置は、駅の売店や地下の飲食店等で、本発明品である透過水を直接販売する場合を想定したものであり、装置全体を定期的又は実情に応じて交換できる程度の小型のものである。この場合には、必要に応じて加圧された湧水を供給すればよいので、透過水槽は必要であっても、湧水受水槽はない方が小型となるので好ましい。透過水槽に貯留したものを、希望者に適宜供給することができればどのようなものであっても良いが、無料の自動給水器としても良いことは当然である。透過水には殺菌用の塩素は含有されていないので、透過水槽を小さくして、製造された飲料水が速やかに消費去れるようにすることが好ましい。
以下に、実施例によって本発明を更に詳述する。
図1は、本発明の湧水処理方法の典型敵な工程を説明する概念図である。図に示されるように、トンネル内の湧水は、適宜湧水受水槽に貯留され、次いで、砂ろ過装置、活性炭吸着装置、精密ろ過装置、及び限外ろ過装置から選択された少なくとも1つのろ過装置によって前処理され、懸濁物、高分子化合物、鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム等が除去される。前処理装置で処理された湧水は、必要に応じて中水や、工場用水として供給するための貯留槽に貯留された後、逆浸透膜ろ過処理装置で処理され、透過水槽に貯留された透過水が大口需要者、飲料水販売所(ウォーターステーション)、あるいは飲料水加工工場に出荷される。この透過水は、塩素を含まないにもかかわらずウイルスやフミン酸、硝酸態窒素、トリハロメタン等が除去されているので、美味である上健康に良く、水道水よりも上質である。逆浸透膜ろ過処理装置の運転方法によって、透過水中のミネラル分を調整して飲料水の味も調整することができるが、必要に応じて、逆浸透膜を透過しなかった濃縮水を透過水に混合して透過水中のミネラル分を調整しても、全く別に新たなミネラル分を添加しても良い。使用しない濃縮水は、下水道に放流する。
図1は、本発明の湧水処理方法の典型敵な工程を説明する概念図である。図に示されるように、トンネル内の湧水は、適宜湧水受水槽に貯留され、次いで、砂ろ過装置、活性炭吸着装置、精密ろ過装置、及び限外ろ過装置から選択された少なくとも1つのろ過装置によって前処理され、懸濁物、高分子化合物、鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム等が除去される。前処理装置で処理された湧水は、必要に応じて中水や、工場用水として供給するための貯留槽に貯留された後、逆浸透膜ろ過処理装置で処理され、透過水槽に貯留された透過水が大口需要者、飲料水販売所(ウォーターステーション)、あるいは飲料水加工工場に出荷される。この透過水は、塩素を含まないにもかかわらずウイルスやフミン酸、硝酸態窒素、トリハロメタン等が除去されているので、美味である上健康に良く、水道水よりも上質である。逆浸透膜ろ過処理装置の運転方法によって、透過水中のミネラル分を調整して飲料水の味も調整することができるが、必要に応じて、逆浸透膜を透過しなかった濃縮水を透過水に混合して透過水中のミネラル分を調整しても、全く別に新たなミネラル分を添加しても良い。使用しない濃縮水は、下水道に放流する。
本発明によれば、従来下水処理のコストを増大させていただけの無用の長物であったトンネル内湧水を、上水よりも高品質の有用な商品に転換することができるので、下水処理コストの低減を図れるだけでなく水道水の節約にもなるので、本発明の産業上の利用可能性は十分である。
Claims (5)
- トンネル内湧水から美味に感じる飲料水を製造する方法であって、該方法が、(1)砂ろ過、活性炭吸着、精密ろ過、及び限外ろ過から選択された少なくとも1種のろ過からなる前処理工程、及び(2)逆浸透膜によるろ過工程を含むことを特徴とする飲料水の製造方法。
- 前記逆浸透膜を透過した透過水に、逆浸透膜を透過しない濃縮水の一部を混合して透過水中のミネラル濃度を調節する、請求項1に記載された飲料水の製造方法。
- 更に、源湧水には含まれていないミネラル分を、前記(2)逆浸透膜によるろ過工程後の何れかの工程で添加して飲料水とする、請求項1又は2に記載された飲料水の製造方法。
- 前記逆浸透膜がNF膜である、請求項1〜3の何れかに記載された飲料水の製造方法。
- 湧水を濾過処理して飲料水を製造する移動可能な湧水処理装置であって、砂ろ過装置及び/又は活性炭吸着装置の直後に逆浸透膜濾過装置及び透過水槽を順次有することを特徴とする湧水処理装置。
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2004
- 2004-07-22 JP JP2004213884A patent/JP2006035004A/ja active Pending
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