JP2006029313A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は内燃機関の制御装置に関し、ノック信号の誤検出によってノック対応制御が誤って実行されることを防止できるようにする。
【解決手段】 現在の運転状態におけるクランク角毎の発熱量からノック信号の検出時期における燃焼割合を算出する。また、現在の運転状態に対応する燃焼割合上限値(ノックが発生する燃焼割合の上限値)を記憶手段から読み出す。そして、ノック信号検出時期における燃焼割合と燃焼割合上限値とを比較し、ノック信号検出時期における燃焼割合が燃焼割合上限値を超えていると判定されるときには、ノック対応制御の実行を禁止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、ノックの発生時に点火時期制御等、所定のノック対応制御を実行する制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1に記載されるように、内燃機関には、ノックの発生を検出するためのノックセンサが設けられている。内燃機関を制御する制御装置(ECU)は、ノックセンサによってノックに伴う異常振動が検出されると点火時期を遅角側に制御する等、所定のノック対応制御を実行している。
特開平7−139456号公報 特公平7−92414号公報 特開2003−113735号公報
しかしながら、内燃機関では、例えばピストンの打撃に伴う振動や補器等から発生する振動等、ノックによる振動以外にも様々な振動が発生している。これらノイズの周波数がノックに伴う振動と同レベルである場合には、ノックセンサはこれらノイズもノック信号として検出する。ノックセンサがノイズを検出することで、ECUはノックが発生していないにもかかわらずノックが発生したと判断し、所定のノック対応制御を実行してしまう。その結果、内燃機関は最良の制御状態から外れた状態で運転されることとなり、最良の性能を得ることができなくなってしまう。例えば、ノック対応制御として点火時期が遅角される場合は、点火時期の過剰な遅角によって燃費の悪化を招くことになる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ノック信号の誤検出によってノック対応制御が誤って実行されることを防止できるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、ノックの発生時には所定のノック対応制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態に関する情報を検出する運転状態検出手段と、
前記内燃機関で発生するノック信号を検出するノック信号検出手段と、
クランク角を検出するクランク角検出手段と、
現在の運転状態におけるクランク角毎の発熱量を算出する発熱量算出手段と、
前記発熱量算出手段により算出されたクランク角毎の発熱量から、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合を算出する燃焼割合算出手段と、
ノックが発生する燃焼割合の上限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した上限値記憶手段と、
前記上限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合上限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合上限値を超えていないか判定する上限判定手段と、
前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合上限値を超えていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止するノック対応制御禁止手段と、
を備えることを特徴としている。
また、第2の発明は、第1の発明において、ノックが発生する燃焼割合の下限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した下限値記憶手段と、
前記下限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合下限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていないか判定する下限判定手段とをさらに備え、
前記ノック対応制御禁止手段は、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止することを特徴としている。
第3の発明は、上記の目的を達成するため、ノックの発生時には所定のノック対応制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態に関する情報を検出する運転状態検出手段と、
前記内燃機関で発生するノック信号を検出するノック信号検出手段と、
クランク角を検出するクランク角検出手段と、
現在の運転状態におけるクランク角毎の発熱量を算出する発熱量算出手段と、
前記発熱量算出手段により算出されたクランク角毎の発熱量から、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合を算出する燃焼割合算出手段と、
ノックが発生する燃焼割合の下限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した下限値記憶手段と、
前記下限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合下限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていないか判定する下限判定手段と、
前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止するノック対応制御禁止手段と、
を備えることを特徴としている。
また、第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、混合気の自着火条件が成立するクランク角の領域を現在の運転状態から予測する自着火領域予測手段と、
前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角が前記自着火領域予測手段により予測される自着火領域から外れていないか判定する自着火判定手段とをさらに備え、
前記ノック対応制御禁止手段は、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角が前記自着火領域から外れていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止することを特徴としている。
燃焼割合が内燃機関の運転状態によって決まる上限値を超えて高くなった状態では、未燃燃料の減少によって急激な燃焼はもはや生じず、ノックの発生する可能性は極めて低い。第1の発明によれば、ノック信号検出手段によりノック信号が検出された場合でも、ノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合が、現在の運転状態における燃焼割合上限値を超えている場合には、ノック対応制御の実行は禁止される。これにより、ノック信号の誤検出によりノック対応制御が誤って実行されることは防止される。
また、燃焼割合が内燃機関の運転状態によって決まる下限値を下回っている状態では、燃焼室内は急激な燃焼が生じる温度まで上昇していないため、ノックの発生する可能性は極めて低い。第2の発明によれば、ノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合が、現在の運転状態における燃焼割合上限値以内であったとしても、さらに燃焼割合下限値を下回っている場合には、ノック対応制御の実行は禁止される。これにより、ノック信号の誤検出によりノック対応制御が誤って実行されることはより確実に防止される。
第3の発明によれば、ノック信号検出手段によりノック信号が検出された場合でも、ノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合が、現在の運転状態における燃焼割合下限値を下回っている場合には、ノック対応制御の実行は禁止される。これにより、ノック信号の誤検出によりノック対応制御が誤って実行されることは防止される。
ノックは燃焼室内の混合気が自着火することによって生じるが、混合気の自着火は圧力や温度等の自着火条件が成立している場合に発生する。このため、燃焼割合が内燃機関の運転状態によって決まる下限値から上限値の間にある場合であっても、自着火条件が成立していない状況ではノックの発生する可能性は極めて低い。第4の発明によれば、ノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合が下限値から上限値の間にあったとしても、そのときのクランク角が自着火条件が成立する自着火領域から外れている場合には、ノック対応制御の実行は禁止される。これにより、ノック信号の誤検出によりノック対応制御が誤って実行されることはより確実に防止される。
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
図1〜図5は本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置について説明するための図である。本実施形態の内燃機関の制御装置は、ECU(Electronic Control Unit)2として構成されている。ECU2は、複数のセンサの出力信号に基づき、内燃機関(以下、エンジン)の運転状態に係わる各種機器を総合的に制御する。本実施形態では、図5に示すように、ECU2の入力側には、ノックセンサ4とクランク角センサ6が接続され、その出力側には、点火プラグ10を駆動するドライバ8が接続されている。
ノックセンサ4はエンジンブロックに取り付けられ、燃焼室内からエンジンブロックに伝わるノック振動(ノック信号)を検出している。ノックセンサ4としては共振型、非共振型の何れを用いてもよい。ノックセンサ4はノック信号の検出に応じてECU2に信号(ノック検出信号)を出力している。一方、クランク角センサ6はクランク軸の近傍に設けられ、所定のクランク角位置でECU2に信号(クランク角信号)を出力している。ECU2は、ノックセンサ4やクランク角センサ6から出力信号の供給を受けていると共に、ドライバ8に対して駆動信号を供給している。なお、ECU2には、これらのセンサ4,6以外にも、エンジンの運転状態に関する情報を検出する複数のセンサ(運転状態検出手段)や、運転条件に関する情報を検出するセンサが接続されているが、ここではその説明は省略する。
ECU2は、ノックセンサ4から入力されるノック検出信号に基づいてノックの発生を検出し、ノック対応制御として点火時期制御を実行する。ECU2により実行される点火時期制御の内容は図2のフローチャートで示される。図1の点火時期制御ルーチンはクランク角センサ6から出力される基準信号に同期して実行される。
まず、最初のステップ101では、ECU2に接続された各種センサから、現在のエンジンの運転状態に関する情報(運転状態情報)と、エンジンの運転条件に関する情報(運転条件情報)が読み込まれる。運転状態情報には、エンジン回転数Ne、エンジン負荷KL、可変バルブタイミング装置(VVT)の進角量VT、吸入空気量Ga、燃料噴射量F等が含まれ、運転条件情報には、吸気温度Tin、湿度AH、大気圧Pa等の気象情報が含まれる。次のステップ102では、現在の点火時期の設定値も読み込まれる。
次に、ステップ103では、前回の情報読み込み時(前回のルーチン実行時)からの運転状態の変化について確認される。ECU2のメモリには前回ステップ101で読み込まれた運転状態情報が記憶されており、メモリに記憶された運転状態情報と今回ステップ101で読み込まれた運転状態情報の比較が行われる。比較後、メモリの記憶内容は今回読み込まれた運転状態情報に更新される。
ステップ103での比較の結果、運転状態に変化が生じていない場合には、本ルーチンは終了される。前回或いはそれ以前のルーチンの実行によって同運転状態においては既にノックが生じないよう点火時期の調整が行われている。このため、運転状態に変化がない場合にはノックが発生することはない。この場合は点火時期の変更は行われず、現在の点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
一方、運転状態が変化した場合には、ステップ104でノックセンサ(KCS)4によるノック信号の検出が行われる。エンジンでノックが発生した場合には、ノックセンサ4によりノック信号が検出され、ノックセンサ4からECU2にノック検出信号が出力される。したがって、ECU2へのノック検出信号の入力がない場合には、ノックは発生しておらず、点火時期は現在の運転状態に応じた適正値に設定されていると判断することができる。この場合は点火時期の変更は行われず、現在の点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
ステップ104でノックセンサ4によりノック信号が検出されたときには、そのときのクランク角がクランク角センサ6からのクランク角信号より求められ、ノック検出時期KKCSとしてメモリに一時記憶される(ステップ105)。なお、ノック検出時期KKCSはノックセンサ4の応答遅れを考慮して決定する。
続くステップ106では、ステップ101で読み込んだ現在の運転状態及び運転条件、ステップ102で読み込んだ現在の点火時期から、熱発生モデルを用いてクランク角毎の発熱量が算出される。熱発生モデルとしては、例えば、Wiebeモデルを用いることができる。発熱量をQ、クランク角をCAとすると、クランク角毎の発熱量ΔQ/ΔCAは、図2に示すようななだらかな山型の曲線となる。Wiebeモデルは、図2における燃焼期間、中心、及び曲線の形状をパラメータとして設定できるようになっており、これらパラメータを運転状態、点火時期、運転条件に応じて設定することで、現在の運転状態、点火時期、及び運転条件におけるクランク角毎の発熱量を算出できるようになっている。なお、Wiebeモデルの各パラメータの設定値は、運転状態、点火時期、及び運転条件に応じて予め設定され、マップに記憶されている。
ステップ107では、ノック検出時期KKCSにおける燃焼割合BRKCSが算出される。燃焼割合は次の(1)式で定義され、クランク角に対して図3に示すように変化する。
燃焼割合=そのクランク角までの総発熱量/供給燃料の総発熱量 ・・・(1)
ECU2は、ステップ106で算出したクランク角毎の発熱量ΔQ/ΔCAに基づき燃焼割合BRKCSを算出する。上記(1)式における分母は、供給燃料量と燃料の単位量当たりの低発熱量との積であり、図2の燃焼期間の全域についてΔQ/ΔCAを積算することで求めることができる。上記(1)式における分子は燃焼開始時点からノック検出時期KKCSまでのΔQ/ΔCAの積算値である。
ところで、図4に示すように、ノックの発生は燃料の燃焼割合によって左右される。燃焼割合が高くなるほど燃焼室内の未燃燃料は減少していくため、燃焼割合があまりに高い状態では、もはや燃えるべき燃料が無いために急激な燃焼は起こらず、ノックは発生しない。つまり、燃焼割合にはノックが発生しうる上限値が存在する。逆に、燃焼割合があまりに低い状態では、燃焼室内の温度が十分に上昇していないために急激な燃焼は起こらず、ノックは発生しない。つまり、燃焼割合にはノックが発生しうる下限値も存在する。エンジンの運転状態が変化すればノックの発生条件も変化し、ノックの発生条件の一つであるノック発生時期の燃焼割合も変化する。本実施形態では、ノック発生時期の燃焼割合がエンジンの運転状態毎に実験や計算によって求められ、その上限値BRmapH及び下限値BRmapLが予めマップに記憶されている。このマップは、第1の発明の「上限値記憶手段」と第2及び第3の発明の「下限値記憶手段」に相当している。
ステップ108では、上記のマップから、現在の運転状態においてノックが発生する場合の燃焼割合の上限値BRmapH及び下限値BRmapLが読み出される。次のステップ109では、ステップ107で算出された燃焼割合BRKCSがステップ108で読み出された上限値BRmapHから下限値BRmapLまでの範囲に入っているか否か判定される。上記の燃焼割合BRKCSが上限値BRmapHから下限値BRmapLまでの範囲に入っているならば、ステップ104でノックセンサ4により検出されたノック信号はノックによって生じた信号の可能性が高い。つまり、現在の点火時期の設定値ではノックが発生している可能性が高い。したがって、この場合はノック対応制御が実行され、点火時期は現在の設定値よりも所定量、遅角側に変更される(ステップ110)。次回の点火時には、変更された点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
一方、上記の燃焼割合BRKCSが上限値BRmapHを超えている場合、或いは、下限値BRmapLを下回っている場合には、ステップ104でノックセンサ4により検出されたノック信号はノイズである可能性が高い。つまり、ノックは発生しておらず、点火時期は現在の運転状態に応じた適正値に設定されていると判断することができる。したがって、この場合は点火時期の変更は行われず、現在の点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
以上説明した点火時期制御ルーチンによれば、ノックセンサ4によりノック信号が検出された場合でも、ノック検出時期KKCSにおける燃焼割合BRKCSが、現在の運転状態における燃焼割合上限値BRmapHを超えている場合には、点火時期の遅角は禁止される。また、ノック検出時期KKCSにおける燃焼割合BRKCSが、現在の運転状態における燃焼割合下限値BRmapLを下回っている場合にも、点火時期の遅角は禁止される。これにより、ノックセンサ4によるノック信号の誤検出によって点火時期が誤って遅角されることを防止することができ、過剰な点火時期の遅角による燃費の悪化を防止することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ECU2による上記ステップ106の処理の実行により、第1及び第3の発明の「発熱量算出手段」が実現され、上記ステップ107の処理の実行により、第1及び第3の発明の「燃焼割合算出手段」が実現されている。また、ECU2による上記ステップ108,109の処理の実行により、第1の発明の「上限判定手段」と第2及び第3の発明の「下限判定手段」が実現され、上記ステップ109の判定の結果、Noルートが選択されることにより、第1乃至第3の発明の「ノック対応制御禁止手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図6〜図8を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2としての制御装置は、実施の形態1において、ECU2に、図1の点火時期制御ルーチンに代えて図6の点火時期制御ルーチンを実行させることにより実現することができる。
実施の形態1では、燃焼割合に基づいてノック対応制御の実行の可否を判断している。しかし、燃焼割合がノックの発生に必要な燃焼割合になっていても、燃焼室内の混合気(未燃ガス)が自着火しなければノックは発生しない。混合気の自着火は圧力や温度等の自着火条件が成立している場合に発生するので、自着火条件が成立していない状況ではノックの発生する可能性は低い。そこで、本実施形態にかかる点火時期制御ルーチンは、燃焼室内の混合気が自着火する自着火条件を考慮してノック対応制御の実行の可否を判断することを特徴としている。以下、図6にフローチャートで示す点火時期制御ルーチンについて説明する。なお、本ルーチンもクランク角センサ6から出力される基準信号に同期して実行される。
図6に示すルーチンの最初のステップ201では、ECU2に接続された各種センサから、運転状態情報と運転条件情報が読み込まれる。また、現在の点火時期の設定値も読み込まれる。本ステップの処理は、図1のルーチンにおけるステップ101及び102の処理に相当している。ここで読み込まれる運転状態情報、運転条件情報の内容は、実施の形態1において説明した通りである。
ステップ202では、ノックセンサ(KCS)4によるノック信号の検出が行われる。ノック信号が検出されたときには、ノックセンサ4の応答遅れを考慮した上でそのときのクランク角をノック検出時期KKCSとしてメモリに一時記憶する(ステップ203)。ノック信号が検出されない場合には、ノックは発生しておらず、点火時期は現在の運転状態に応じた適正値に設定されていると判断することができる。この場合は点火時期の変更は行われず、現在の点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。なお、実施の形態1(ステップ103の判定処理)と同様に、ステップ202の判定に先立ち、前回の情報読み込み時からの運転状態の変化について確認する処理を実行してもよい。
次のステップ204では、ステップ201で読み込んだ現在の運転状態や運転条件から、熱発生モデルを用いてクランク角毎の発熱量が算出され、発熱量から上記(1)式に従ってクランク角毎の燃焼割合が算出される。また、現在の運転状態においてノックが発生する場合の燃焼割合の上限値BRmapH及び下限値BRmapLがマップから読み出され、クランク角毎の燃焼割合に基づいて上限値BRmapHに対応する上限クランク角KHと下限値BRmapLに対応するク下限ランク角KLが算出される。そして、図7に示すように、下限クランク角KLから上限クランク角KHまでの範囲がノック発生可能領域Cbとして設定される。このとき、クランク角毎の燃焼割合を算出する際の計算誤差を考慮して、下限クランク角KLから上限クランク角KHまでの範囲よりも広い範囲にノック発生可能領域Cbを設定してもよい。なお、ここでは熱発生モデルを用いてノック発生可能領域Cbを算出しているが、前もって運転状態や運転条件毎に算出したものをマップに記憶しておくようにしてもよい。
また、ステップ205では、ステップ201で読み込んだ現在の運転状態や運転条件から、自着火予測式を用いて混合気の自着火条件が成立する自着火領域が算出される。自着火予測式としては、例えば、Livengood-Wuの式を用いることができる。Livengood-Wuの式によれば、混合気(未燃ガス)の圧力及び温度を入力値として式の積分を実行し、その積分値が1になるときのクランク角を求めることで、自着火が起きるクランク角を予測することができる。ここでは予測誤差を考慮して、図8に示すように、積分値が1になるクランク角Kaを中心とする一定の範囲(例えばKa±5deg)が自着火領域Caとして設定される。なお、燃焼室内の混合気の圧力や温度は直接には計測することが難しい。このため、本実施形態では、モデルやマップを用いて、現在の運転状態や運転条件(機関回転数、負荷率、バルブタイミング、空燃比、吸入空気温度、湿度等)から混合気の圧力及び温度を算出し、その値をLivengood-Wuの式に入力するようになっている。なお、ここでは自着火予測式を用いて自着火領域Caを算出しているが、前もって運転状態や運転条件毎に算出したものをマップに記憶しておくようにしてもよい。
次のステップ206では、ノック検出時期KKCSがステップ204で設定されたノック発生可能領域Cbに入っているか否か、また、ステップ205で設定された自着火領域Caに入っているか否か判定される。判定の結果、ノック検出時期KKCSがノック発生可能領域Cbにも自着火領域Caにも入っているならば、ステップ203でノックセンサ4により検出されたノック信号はノックによって生じた信号の可能性が高い。つまり、現在の点火時期の設定値ではノックが発生している可能性が高い。したがって、この場合はノック対応制御が実行され、点火時期は現在の設定値よりも所定量、遅角側に変更される(ステップ207)。次回の点火時には、変更された点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
一方、ノック検出時期KKCSがノック発生可能領域Cbと自着火領域Caの何れにも入っていない場合、或いは、何れか一方の領域に入っていない場合には、ステップ203でノックセンサ4により検出されたノック信号はノイズである可能性が高い。つまり、ノックは発生しておらず、点火時期は現在の運転状態に応じた適正値に設定されていると判断することができる。したがって、この場合は点火時期の変更は行われず、現在の点火時期の設定値に基づいてドライバ8に駆動信号が供給されることになる。
以上説明した点火時期制御ルーチンによれば、ノック検出時期KKCSが現在の運転状態における燃焼割合上限値BRmapHと下限値BRmapLで決まるノック発生可能領域Cbに入っている場合でも、それが自着火領域Caから外れている場合には、ノック対応制御の実行は禁止される。これにより、ノックセンサ4によるノック信号の誤検出によって点火時期が誤って遅角されることをより確実に防止することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ECU2による上記ステップ205の処理の実行により、第4の発明の「自着火領域予測手段」が実現されている。また、ECU2による上記ステップ206の処理の実行により、第4の発明の「自着火判定手段」が実現され、上記ステップ206の判定の結果、Noルートが選択されることにより、第4の発明の「ノック対応制御禁止手段」が実現されている。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
実施の形態1では、ノック検出時期KKCSにおける燃焼割合BRKCSを、現在の運転状態における燃焼割合上限値BRmapH及び下限値BRmapLと比較しているが、燃焼割合上限値BRmapHとのみ比較し、燃焼割合BRKCSが燃焼割合上限値BRmapH以下であれば所定のノック対応制御を実行するようにしてもよい。逆に、ノック検出時期KKCSにおける燃焼割合BRKCSを燃焼割合下限値BRmapLとのみ比較し、燃焼割合BRKCSが燃焼割合下限値BRmapL以上であれば所定のノック対応制御を実行するようにしてもよい。前者は、燃焼割合が低い状況でノックしやすいエンジン(ヘビーノックしやすいエンジン)の点火時期制御に用いて好適であり、後者は、燃焼割合が高い状況でノックしやすいエンジン(ライトノックしやすいエンジン)の点火時期制御に用いて好適である。
同様に、実施の形態2では、ノック発生可能領域Cbの上限及び下限を設定しているが、上記のように、エンジンのノック特性に応じて上限と下限の何れか一方のみ設定するようにしてもよい。自着火領域Caについても同様であり、エンジンのノック特性に応じて上限と下限の何れか一方のみ設定するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、ノック発生可能領域Cbはその下限となるクランク角KLのみ設定し、図10に示すように、自着火領域Caはその上限となるクランク角KHのみ設定するようにしてもよい。この場合は、ノック発生可能領域Cbの下限クランク角KLから自着火領域Caの上限クランク角KHまでの範囲にノック検出時期KKCSが入っている場合にのみ、ノック対応制御を実行する。逆に、ノック発生可能領域Cbはその上限となるクランク角KHのみ設定し、自着火領域Caはその下限となるクランク角KLのみ設定するようにしてもよい。この場合は、自着火領域Caの下限クランク角KLからノック発生可能領域Cbの上限クランク角KHまでの範囲にノック検出時期KKCSが入っている場合にのみ、ノック対応制御を実行する。
上記実施形態ではノック対応制御として点火時期の遅角制御を実行しているが、ノックの発生に応じて実行される制御であれば、ノック対応制御は点火時期の遅角には限定されない。
また、上記実施形態では、ノック信号検出手段としてノックセンサ4を用いているが、ノック信号はエンジンブロックに伝わる振動以外からでも検出することができる。例えば、ノック信号検出手段として筒内圧センサを設け、筒内圧センサにより計測される筒内圧(燃焼圧)の変動をノック信号として検出してもよい。
また、上記実施形態では、熱発生モデルを用いてクランク角毎の発熱量を求めているが、筒内圧センサが設けられている場合には、筒内圧センサにより計測される筒内圧からクランク角毎の発熱量を求めることもできる。
本発明の実施の形態1において実行される点火時期制御ルーチンのフローチャートである。 クランク角毎の発熱量とクランク角との関係を示す図である。 燃焼割合とクランク角との関係を示す図である。 ノックの発生と燃焼割合との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2において実行される点火時期制御ルーチンのフローチャートである。 ノック発生可能領域Cbの設定について説明するための図である。 自着火領域Caの設定について説明するための図である。 ノック発生可能領域Cbの他の設定例について説明するための図である。 自着火領域Caの他の設定例について説明するための図である。
符号の説明
2 ECU
4 ノックセンサ
6 クランク角センサ
8 ドライバ
10 点火プラグ

Claims (4)

  1. ノックの発生時には所定のノック対応制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の運転状態に関する情報を検出する運転状態検出手段と、
    前記内燃機関で発生するノック信号を検出するノック信号検出手段と、
    クランク角を検出するクランク角検出手段と、
    現在の運転状態におけるクランク角毎の発熱量を算出する発熱量算出手段と、
    前記発熱量算出手段により算出されたクランク角毎の発熱量から、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合を算出する燃焼割合算出手段と、
    ノックが発生する燃焼割合の上限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した上限値記憶手段と、
    前記上限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合上限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合上限値を超えていないか判定する上限判定手段と、
    前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合上限値を超えていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止するノック対応制御禁止手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. ノックが発生する燃焼割合の下限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した下限値記憶手段と、
    前記下限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合下限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていないか判定する下限判定手段とをさらに備え、
    前記ノック対応制御禁止手段は、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. ノックの発生時には所定のノック対応制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の運転状態に関する情報を検出する運転状態検出手段と、
    前記内燃機関で発生するノック信号を検出するノック信号検出手段と、
    クランク角を検出するクランク角検出手段と、
    現在の運転状態におけるクランク角毎の発熱量を算出する発熱量算出手段と、
    前記発熱量算出手段により算出されたクランク角毎の発熱量から、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角における燃焼割合を算出する燃焼割合算出手段と、
    ノックが発生する燃焼割合の下限値を前記内燃機関の運転状態に対応させて予め記憶した下限値記憶手段と、
    前記下限値記憶手段から現在の運転状態に対応する燃焼割合下限値を読み出し、前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていないか判定する下限判定手段と、
    前記燃焼割合算出手段により算出された燃焼割合が燃焼割合下限値を下回っていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止するノック対応制御禁止手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 混合気の自着火条件が成立するクランク角の領域を現在の運転状態から予測する自着火領域予測手段と、
    前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角が前記自着火領域予測手段により予測される自着火領域から外れていないか判定する自着火判定手段とをさらに備え、
    前記ノック対応制御禁止手段は、前記ノック信号検出手段によりノック信号が検出されたときのクランク角が前記自着火領域から外れていると判定されるときには、前記ノック対応制御の実行を禁止することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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