JP2006027983A - ゼオライト成形方法および粘土状のゼオライト混練組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ゼオライト成形方法は、ゼオライトに水を加えたのち、ゼオライトと水とを混ぜることにより、粘土状のゼオライト混練組成物を生成するステップS11と、ゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップS14と、成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップS15と、乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップS16とを備える。
【選択図】 図2
Description
しかし、従来、ゼオライト粉末は、可塑性を有しないため、これと水とを混錬しても成形に適した可塑物を得ることができないとされていた。その結果、ゼオライト粉末を可塑成形および焼成する際には、天然粘土やベントナイトなどの無機質結合剤(バインダー)を添加して成形したのちに焼成している(たとえば、非特許文献1など)。しかしながら、このようなゼオライトにバインダーを添加する成形方法では、添加されるバインダーに吸着能がなく、製造されたゼオライト成形体では、バインダーの分だけゼオライトの露出する表面積が少なくなり、成形体としての吸着力が低下せざるを得なかった。
冨永博夫ら,「ゼオライトの科学と応用」,講談社,pp.159〜162,1987年
水上富士夫,「ゼオライトの成形とその触媒反応への応用」,マテリアルインテグレーション,Vol.13,No.10,pp.31〜35,2000年
また、本発明の他の目的は、バインダー添加およびバインダーレスに関らず、任意の形状のゼオライト成形体を製造するのに適した粘土状のゼオライト混練組成物を提供することにある。
また、本発明のゼオライト成形方法は、原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したのち水を加え、粘土状の状態にして自由に加工し、焼成を行う。
前記成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップと、
前記乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップと、
を備える。
前記乾燥するステップで、前記成形したゼオライト混練組成物を成形体の形状が変形しないよう穏やかに乾燥させてもよい。
前記焼成するステップで、最高温度までの温度を段階的に分けて焼成時間を制御してもよい。
さらに、本発明方法では、ゼオライトを成形するために要する複雑な工程がなく、コストの削減、工程数の削減、必要な機器類の削減などの効果が得られる。
図1は本発明のゼオライト成形方法の第1の実施例を示すフローチャートである。
まず、粉末状または粒状(好ましくは、粒径5mm以下)のゼオライトに対して30重量%以上の水を加えて両者を人手または機械を用いて混ぜることにより、ゼオライトと水との粘土状のゼオライト混練組成物とする(ステップS1)。ここで、ゼオライトとして天然ゼオライトを使用する場合には、少量の岩石状のものが加わっていてもよい。
次に、このゼオライト混練組成物が成形しやすい固さ(たとえば、含水率が20〜40重量%)になるまで、軽く水分を飛ばす(ステップS2)。たとえば、このゼオライト混練組成物を常温で半日から1日程度放置したのち(ステップS3)、一定の含水率(たとえば、20〜40重量%)となった時点で、このゼオライト混練組成物をラップに包んで保管する(ステップS4)。これにより、一定の含水率を維持したままゼオライト混練組成物を保管することができる。
このとき、最高温度までの温度を段階的に分けて制御するため、たとえば200℃までは2〜4時間、200℃から最高温度までは1〜6時間、そして最高温度で30分〜2時間の条件で焼成時間を変化させた。但し、これら焼成時間の制御は成形体の形状及び乾燥状態などの因子に左右される。
なお、最高温度を900℃としたときには、製造したゼオライト成形体(サンプルD)の陽イオン交換容量は、原料として用いたゼオライトの約4%であった。同サンプルは陽イオン交換容量を極端に低下させたわけだが、最高温度が上昇すると成形体の強度が増大するため用途によっては必要とされる場合も多く、なおもって陽イオン交換容量を示す構造として維持できることが分かった。
まず、粉末状または粒状(好ましくは、粒径5mm以下)のゼオライト、または、原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したものに対して20重量%以上の水を加えて両者を人手またはミキサーなどの機械を用いて混ぜることにより、水分を均一化したゼオライトと水との粘土状のゼオライト混練組成物とする(ステップS11)。ここで、粉末状または粒状ゼオライトのほか、岩石状(好ましくは、粒径5mm以上50mm以下)の天然ゼオライトを始めとした鉱石などを加えてもよい。
次に、この混練物をよく練って所定の形状に成形する(ステップS14)が、この前段として混練時に成形するには水分が多い場合、成形しやすい固さ(たとえば、20〜40重量%)まで軽く水分を飛ばす(ステップS12)。そして、ステップS14の成形をすぐに行わない場合、所定の含水率を維持するために密閉(たとえば、ラップに包む。)して保管してもよい(ステップS13)。なお、ゼオライト混練組成物を生成してから成形するまで(ステップS12〜ステップS14の間)に、よくゼオライト混練組成物を練ることが重要となる。練る際には、手作業で行ってもよいし、機械(たとえば、土練機、クラッシャー等)を用いてもよい。これは、ゼオライト混練組成物の含水率および固さを均一にするため、また、ゼオライト混練組成物中の空気を追い出してゼオライト混練組成物を密にすることで、元来は可塑性が低いといわれるゼオライト混練組成物の可塑性を増すためである。
なお、乾燥後に、着色剤やインクなどを用いて着色してもよい。
このとき、最高温度までの温度を段階的に分けて制御するため、たとえば200℃までは2〜4時間、200℃から最高温度までは1〜6時間、そして最高温度で30分〜5時間の条件で焼成時間を変化させてもよい。但し、これら焼成時間の制御は成形体の形状及び乾燥状態などの因子に左右される。
そして、最高温度で焼成した後に冷却するが、これは自然放冷を行ってもよいし、温度を段階的に分けて制御して穏やかに冷却してもよい。
なお、焼成後に、着色剤やインクなどを用いて着色してもよい。
なお、最高温度を900℃としたときには、製造したゼオライト成形体(サンプルG)の陽イオン交換容量は、原料ゼオライト(サンプルA)の約5%であった。同サンプルは陽イオン交換容量を極端に低下させたわけだが、最高温度が上昇すると成形体の強度が増大するため用途によっては必要とされる場合も多く、なおもって陽イオン交換容量を示す構造として維持できる。
また、粘土状のゼオライト混練組成物を生成したが、ゼオライト混練組成物を型に流し込んでゼオライト成形体を製造する場合には、同様の方法によりゼオライトに対して含水率20〜200重量%のゼオライト混練組成物を生成して、型に流し込み穏やかに乾燥させて成形してもよい。
さらに、ゼオライトは、天然ゼオライトでも合成ゼオライトでもよい。
なお、本発明によるゼオライト成形方法では、ゼオライト原料および成形体の化学組成は、SiO2が40〜90重量%、Al2O3が2〜40重量%であるものとする。
Claims (8)
- 粒状ゼオライトに水を加えて自由な形に成形し、穏やかに乾燥させた後焼成することで、バインダーを用いずにゼオライトの成形体が得られることを特徴とするゼオライト成形方法。
- 原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したのち水を加え、粘土状の状態にして自由に加工し、焼成を行う、ゼオライト成形方法。
- ゼオライトに水を加えたのち、該ゼオライトと該水とを混ぜてよく練ることにより粘土状のゼオライト混練組成物を生成し、該粘土状のゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップと、
前記成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップと、
前記乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップと、
を備えることを特徴とする、ゼオライト成形方法。 - 前記ゼオライト混練組成物を生成したのち、密閉保存など含水率を維持した状態で保存し、加工成形するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のゼオライト成形方法。
- 前記乾燥するステップで、前記成形したゼオライト混練組成物を成形体の形状が変形しないよう穏やかに乾燥させることを特徴とする、請求項3または4に記載のゼオライト成形方法。
- 前記焼成するステップで、焼成温度を300〜1200℃とすることを特徴とする、請求項3乃至5いずれかに記載のゼオライト成形方法。
- 前記焼成するステップで、最高温度までの温度を段階的に分けて焼成時間を制御することを特徴とする、請求項3乃至6いずれかに記載のゼオライト成形方法。
- ゼオライトと該ゼオライトに対して20重量%以上の水を用いて混練し、少なくとも含水率を20〜40重量%程度にしたことを特徴とする、粘土状のゼオライト混練組成物。
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