JP2005089194A - ゼオライト成形方法および粘土状のゼオライト混練組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の形状のゼオライト成形体を製造することができるゼオライト成形方法を提供する。
【解決手段】ゼオライト成形方法は、ゼオライトに水を加えたのち、ゼオライトと水とを混ぜることにより、粘土状のゼオライト混練組成物を生成するステップS1と、ゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップS5と、成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップS6と、乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップS7とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】ゼオライト成形方法は、ゼオライトに水を加えたのち、ゼオライトと水とを混ぜることにより、粘土状のゼオライト混練組成物を生成するステップS1と、ゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップS5と、成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップS6と、乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップS7とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライト成形方法および粘土状のゼオライト混練組成物に関し、特に、ゼオライトを任意の形状に成形できるゼオライト成形方法および任意の形状のゼオライト成形体を製造するのに適した粘土状のゼオライト混練組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、その吸着能および触媒能から工業的に種々の用途に使用されているが、この使用に際しては、球状や粒状などの成形体とされる。
しかし、従来、ゼオライト粉末は、可塑性を有しないため、これと水とを混錬しても成形に適した可塑物を得ることができないとされていた。その結果、ゼオライト粉末を可塑成形および焼成する際には、天然粘土やベントナイト等の無機質結合剤(バインダー)を添加して成形したのちに焼成している(たとえば、冨永博夫ら,「ゼオライトの科学と応用」,講談社,pp.159〜162,1987年など)。しかしながら、このようなゼオライトにバインダーを添加する成形方法では、添加されるバインダーに吸着能がなく、製造されたゼオライト成形体では、バインダーの分だけゼオライトの露出する表面積が少なくなり、成形体としての吸着力が低下せざるを得なかった。
【0003】
一方、ゼオライトにバインダーを添加せずに成形する方法として、ゼオライトの前駆体を成形したのちにゼオライト化する方法がある(たとえば、水上富士夫,「ゼオライトの成形とその触媒反応への応用」,マテリアルインテグレーション,Vol.13,No.10,pp.31〜35,2000年)。しかしながら、このような方法では、成形体をゼオライト化するために薬品処理などの熟成等が必要になるため、工程が複雑になる。
【0004】
また、ゼオライト粉末と粘土バインダーの混合物を焼成処理およびアルカリ浸透処理してビーズ状のゼオライト成形体を製造する方法もある(たとえば、特開2003−2636号や特開2003−68732号)。しかしながら、このような方法では、アルカリ浸透処理が必要であるほか、原料の種類が増加し製造コストが高くなり、また製造工程も複雑化する。
【0005】
さらに、ゼオライト粉末に30〜200重量%の水を添加してなるゼオライト混練組成物を攪拌造粒により成形して、粒状のゼオライト成形体を製造する方法もある(たとえば、特開2000−128523号)。しかしながら、このようなゼオライト成形方法は、攪拌造粒機が必須であり、またその装置から得られるのは粒状の成形体に限られる。さらに、実施例の記載によれば、増粘剤であるメチルセルロースを使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のゼオライト成形方法では、バインダーを必要としたり、工程が複雑化したり、任意の形状のゼオライト成形体を製造することができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ゼオライトと水とを用いて、任意の形状のゼオライト成形体を製造することができるゼオライト成形方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、バインダー添加およびバインダーレスに関らず、任意の形状のゼオライト成形体を製造するのに適した粘土状のゼオライト混練組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のゼオライト成形方法は、粒状ゼオライトに水を加えて自由な形に成形し、穏やかに乾燥させた後焼成することで、バインダーを用いずにゼオライトの成形体が得られることを特徴とする。
また、本発明のゼオライト成形方法は、原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したのち水を加え、粘土状の状態にして自由に加工し、焼成を行う。
【0009】
さらに、本発明のゼオライト成形方法は、ゼオライトに水を加えたのち、該ゼオライトと該水とを混ぜることにより粘土状のゼオライト混練組成物を生成し、該粘土状のゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップと、
前記成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップと、
前記乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップと、
を備える。
【0010】
前記ゼオライト混練組成物を生成したのち、密閉保存など含水率を維持した状態で保存し、加工成形するステップをさらに備えてもよい。
前記乾燥するステップで、前記成形したゼオライト混練組成物を成形体の形状が変形しないよう穏やかに乾燥させてもよい。
【0011】
前記焼成するステップで、焼成温度を300〜1200℃としてもよい。ここで、焼成方法としては、公知の方法を用いて実施することができ、たとえば、マッフル炉、トンネル炉等、陶芸用窯、ガス炉、電気炉等を使用してもよい。
前記焼成するステップで、最高温度までの温度を段階的に分けて焼成時間を制御してもよい。
【0012】
本発明の粘土状のゼオライト混練組成物は、ゼオライトと該ゼオライトに対して30重量%以上の水を用いて混練し、少なくとも含水率を(20〜40重量%程度)にしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゼオライト成形方法およびゼオライト成形体の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明のゼオライト成形方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
まず、粉末状または粒状(好ましくは、粒径5mm以下)のゼオライトに対して30重量%以上の水を加えて両者を人手または機械を用いて混ぜることにより、ゼオライトと水との粘土状のゼオライト混練組成物とする(ステップS1)。ここで、ゼオライトとして天然ゼオライトを使用する場合には、少量の岩石状のものが加わっていてもよい。
次に、このゼオライト混練組成物が成形しやすい固さ(たとえば、含水率が20〜40重量%)になるまで、軽く水分をとばす(ステップS2)。たとえば、このゼオライト混練組成物を常温で半日から1日程度放置したのち(ステップS3)、一定の含水率(たとえば、20〜40重量%)となった時点で、このゼオライト混練組成物をラップに包んで保管する(ステップS4)。これにより、一定の含水率を維持したままゼオライト混練組成物を保管することができる。
【0015】
次に、一定の含水率のゼオライト混練組成物をよく練って、所定の形状に成形する(ステップS5)。ここで、一定の含水率を維持したゼオライト混練組成物は粘土状であるため、任意の形状に成形することができる。たとえば、5〜15cm角で高さ4〜6mmのタイル状、10cm角のタイルに円形の孔を空けた型抜き板状、ミンチ状に押し出して成形した形状、棒状、麺状、メッシュ状、一般的な焼物(たとえば、壷、皿、コップ、置物など)の形状とすることができる。
【0016】
次に、成形したゼオライト混練組成物を乾燥させる(ステップS6)。この乾燥は数日間の自然乾燥(たとえば、3日から2週間)もしくは、乾燥機を用いることになる。
【0017】
次に、乾燥させたゼオライト混練組成物をたとえば焼成温度300〜1200℃で焼成して、ゼオライト成形体を完成させる(ステップS7)。
この時、最高温度までの温度を段階的に分けて制御するため、例えば200℃までは2〜4時間、200℃から最高温度までは1〜6時間、そして最高温度で30分〜2時間の条件で焼成時間を変化させた。但し、これら焼成時間の制御は成形体の形状及び乾燥状態などの因子に左右される。
【0018】
電気炉を用いて製造したゼオライト成形体の機能性を確認するために、CEC(陽イオン交換容量)試験を行った。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示すように、最高温度を600℃および700℃としたときには、製造したゼオライト成形体の陽イオン交換容量は、原料として用いたゼオライトの60〜70%であるが、次の理由により、後述する用途には支障のないサンプルを得ることができた。すなわち、製造されたゼオライト成形体は粘土状のゼオライト混練組成物から自由成形できるために表面積を大きくすることができ、単位面積当りのCECが低下してもゼオライト成形体の表面積を増大させることができるので、ゼオライト成形体としては十分なCECを確保することができる。
なお、最高温度を900℃としたときには、製造したゼオライト成形体の陽イオン交換容量は、原料として用いたゼオライトの約4%であった。同サンプルは陽イオン交換容量を極端に低下させたわけだが、最高温度が上昇すると成形体の強度が増大するため用途によっては必要とされる場合も多く、なおもって陽イオン交換容量を示す構造として維持できることが分かった。
【0021】
以上のようにして製造したゼオライト成形体は、たとえば、タイル状、一般的な置物形状、麺状、粒状などとすることができるので、脱臭作用を有する壁材や置物の一部、担体やろ材、不織布への充填物などとして使用することができる。
【0022】
以上の説明では、ゼオライトに水のみを加えてゼオライト混練組成物を生成したが(図1のステップS1参照)、このとき、成形体の強度を保持するため、成形助剤を添加してもよい。有機質成形助剤としては、CMCなどセルロース系有機物に加え、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等粘結性を持つものがある。また無機質成形助剤としては、ベントナイト、カオリナイトを始めとした天然粘土、シリカ、アルミナ等、成形体の強度物性を向上させるためのものがある。また成形作業を容易にするため、分散剤、減水剤を使用してもよい。ただし、これら助剤を多量に使用すると強度の低下またはゼオライト特性の低下を招くので、添加は最小限に留めるものとする。
また、粘土状のゼオライト混練組成物を生成したが、ゼオライト混練組成物を型に流し込んでゼオライト成形体を製造する場合には、同様の方法によりゼオライトに対して含水率30〜200重量%のゼオライト混練組成物を生成してもよい。
さらに、ゼオライトは、天然ゼオライトでも合成ゼオライトでもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゼオライト成形方法は、バインダーの有無に関らずゼオライトに水を加えて混練成形し焼成することによりゼオライトの成形体を得られ、また、練ったのちに、成形しやすい固さになるまで水分をとばし、また焼成することで任意の形状のゼオライト成形体を製造することができる。
さらに、本発明方法では、ゼオライトを成形するために要する複雑な工程がなく、コストの削減、工程数の削減、必要な機器類の削減などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゼオライト成形方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
S1〜S7 ステップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライト成形方法および粘土状のゼオライト混練組成物に関し、特に、ゼオライトを任意の形状に成形できるゼオライト成形方法および任意の形状のゼオライト成形体を製造するのに適した粘土状のゼオライト混練組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、その吸着能および触媒能から工業的に種々の用途に使用されているが、この使用に際しては、球状や粒状などの成形体とされる。
しかし、従来、ゼオライト粉末は、可塑性を有しないため、これと水とを混錬しても成形に適した可塑物を得ることができないとされていた。その結果、ゼオライト粉末を可塑成形および焼成する際には、天然粘土やベントナイト等の無機質結合剤(バインダー)を添加して成形したのちに焼成している(たとえば、冨永博夫ら,「ゼオライトの科学と応用」,講談社,pp.159〜162,1987年など)。しかしながら、このようなゼオライトにバインダーを添加する成形方法では、添加されるバインダーに吸着能がなく、製造されたゼオライト成形体では、バインダーの分だけゼオライトの露出する表面積が少なくなり、成形体としての吸着力が低下せざるを得なかった。
【0003】
一方、ゼオライトにバインダーを添加せずに成形する方法として、ゼオライトの前駆体を成形したのちにゼオライト化する方法がある(たとえば、水上富士夫,「ゼオライトの成形とその触媒反応への応用」,マテリアルインテグレーション,Vol.13,No.10,pp.31〜35,2000年)。しかしながら、このような方法では、成形体をゼオライト化するために薬品処理などの熟成等が必要になるため、工程が複雑になる。
【0004】
また、ゼオライト粉末と粘土バインダーの混合物を焼成処理およびアルカリ浸透処理してビーズ状のゼオライト成形体を製造する方法もある(たとえば、特開2003−2636号や特開2003−68732号)。しかしながら、このような方法では、アルカリ浸透処理が必要であるほか、原料の種類が増加し製造コストが高くなり、また製造工程も複雑化する。
【0005】
さらに、ゼオライト粉末に30〜200重量%の水を添加してなるゼオライト混練組成物を攪拌造粒により成形して、粒状のゼオライト成形体を製造する方法もある(たとえば、特開2000−128523号)。しかしながら、このようなゼオライト成形方法は、攪拌造粒機が必須であり、またその装置から得られるのは粒状の成形体に限られる。さらに、実施例の記載によれば、増粘剤であるメチルセルロースを使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のゼオライト成形方法では、バインダーを必要としたり、工程が複雑化したり、任意の形状のゼオライト成形体を製造することができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ゼオライトと水とを用いて、任意の形状のゼオライト成形体を製造することができるゼオライト成形方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、バインダー添加およびバインダーレスに関らず、任意の形状のゼオライト成形体を製造するのに適した粘土状のゼオライト混練組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のゼオライト成形方法は、粒状ゼオライトに水を加えて自由な形に成形し、穏やかに乾燥させた後焼成することで、バインダーを用いずにゼオライトの成形体が得られることを特徴とする。
また、本発明のゼオライト成形方法は、原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したのち水を加え、粘土状の状態にして自由に加工し、焼成を行う。
【0009】
さらに、本発明のゼオライト成形方法は、ゼオライトに水を加えたのち、該ゼオライトと該水とを混ぜることにより粘土状のゼオライト混練組成物を生成し、該粘土状のゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップと、
前記成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップと、
前記乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップと、
を備える。
【0010】
前記ゼオライト混練組成物を生成したのち、密閉保存など含水率を維持した状態で保存し、加工成形するステップをさらに備えてもよい。
前記乾燥するステップで、前記成形したゼオライト混練組成物を成形体の形状が変形しないよう穏やかに乾燥させてもよい。
【0011】
前記焼成するステップで、焼成温度を300〜1200℃としてもよい。ここで、焼成方法としては、公知の方法を用いて実施することができ、たとえば、マッフル炉、トンネル炉等、陶芸用窯、ガス炉、電気炉等を使用してもよい。
前記焼成するステップで、最高温度までの温度を段階的に分けて焼成時間を制御してもよい。
【0012】
本発明の粘土状のゼオライト混練組成物は、ゼオライトと該ゼオライトに対して30重量%以上の水を用いて混練し、少なくとも含水率を(20〜40重量%程度)にしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゼオライト成形方法およびゼオライト成形体の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明のゼオライト成形方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
まず、粉末状または粒状(好ましくは、粒径5mm以下)のゼオライトに対して30重量%以上の水を加えて両者を人手または機械を用いて混ぜることにより、ゼオライトと水との粘土状のゼオライト混練組成物とする(ステップS1)。ここで、ゼオライトとして天然ゼオライトを使用する場合には、少量の岩石状のものが加わっていてもよい。
次に、このゼオライト混練組成物が成形しやすい固さ(たとえば、含水率が20〜40重量%)になるまで、軽く水分をとばす(ステップS2)。たとえば、このゼオライト混練組成物を常温で半日から1日程度放置したのち(ステップS3)、一定の含水率(たとえば、20〜40重量%)となった時点で、このゼオライト混練組成物をラップに包んで保管する(ステップS4)。これにより、一定の含水率を維持したままゼオライト混練組成物を保管することができる。
【0015】
次に、一定の含水率のゼオライト混練組成物をよく練って、所定の形状に成形する(ステップS5)。ここで、一定の含水率を維持したゼオライト混練組成物は粘土状であるため、任意の形状に成形することができる。たとえば、5〜15cm角で高さ4〜6mmのタイル状、10cm角のタイルに円形の孔を空けた型抜き板状、ミンチ状に押し出して成形した形状、棒状、麺状、メッシュ状、一般的な焼物(たとえば、壷、皿、コップ、置物など)の形状とすることができる。
【0016】
次に、成形したゼオライト混練組成物を乾燥させる(ステップS6)。この乾燥は数日間の自然乾燥(たとえば、3日から2週間)もしくは、乾燥機を用いることになる。
【0017】
次に、乾燥させたゼオライト混練組成物をたとえば焼成温度300〜1200℃で焼成して、ゼオライト成形体を完成させる(ステップS7)。
この時、最高温度までの温度を段階的に分けて制御するため、例えば200℃までは2〜4時間、200℃から最高温度までは1〜6時間、そして最高温度で30分〜2時間の条件で焼成時間を変化させた。但し、これら焼成時間の制御は成形体の形状及び乾燥状態などの因子に左右される。
【0018】
電気炉を用いて製造したゼオライト成形体の機能性を確認するために、CEC(陽イオン交換容量)試験を行った。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示すように、最高温度を600℃および700℃としたときには、製造したゼオライト成形体の陽イオン交換容量は、原料として用いたゼオライトの60〜70%であるが、次の理由により、後述する用途には支障のないサンプルを得ることができた。すなわち、製造されたゼオライト成形体は粘土状のゼオライト混練組成物から自由成形できるために表面積を大きくすることができ、単位面積当りのCECが低下してもゼオライト成形体の表面積を増大させることができるので、ゼオライト成形体としては十分なCECを確保することができる。
なお、最高温度を900℃としたときには、製造したゼオライト成形体の陽イオン交換容量は、原料として用いたゼオライトの約4%であった。同サンプルは陽イオン交換容量を極端に低下させたわけだが、最高温度が上昇すると成形体の強度が増大するため用途によっては必要とされる場合も多く、なおもって陽イオン交換容量を示す構造として維持できることが分かった。
【0021】
以上のようにして製造したゼオライト成形体は、たとえば、タイル状、一般的な置物形状、麺状、粒状などとすることができるので、脱臭作用を有する壁材や置物の一部、担体やろ材、不織布への充填物などとして使用することができる。
【0022】
以上の説明では、ゼオライトに水のみを加えてゼオライト混練組成物を生成したが(図1のステップS1参照)、このとき、成形体の強度を保持するため、成形助剤を添加してもよい。有機質成形助剤としては、CMCなどセルロース系有機物に加え、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等粘結性を持つものがある。また無機質成形助剤としては、ベントナイト、カオリナイトを始めとした天然粘土、シリカ、アルミナ等、成形体の強度物性を向上させるためのものがある。また成形作業を容易にするため、分散剤、減水剤を使用してもよい。ただし、これら助剤を多量に使用すると強度の低下またはゼオライト特性の低下を招くので、添加は最小限に留めるものとする。
また、粘土状のゼオライト混練組成物を生成したが、ゼオライト混練組成物を型に流し込んでゼオライト成形体を製造する場合には、同様の方法によりゼオライトに対して含水率30〜200重量%のゼオライト混練組成物を生成してもよい。
さらに、ゼオライトは、天然ゼオライトでも合成ゼオライトでもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゼオライト成形方法は、バインダーの有無に関らずゼオライトに水を加えて混練成形し焼成することによりゼオライトの成形体を得られ、また、練ったのちに、成形しやすい固さになるまで水分をとばし、また焼成することで任意の形状のゼオライト成形体を製造することができる。
さらに、本発明方法では、ゼオライトを成形するために要する複雑な工程がなく、コストの削減、工程数の削減、必要な機器類の削減などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゼオライト成形方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
S1〜S7 ステップ
Claims (8)
- 粒状ゼオライトに水を加えて自由な形に成形し、穏やかに乾燥させた後焼成することで、バインダーを用いずにゼオライトの成形体が得られることを特徴とするゼオライト成形方法。
- 原料となるゼオライトを粒径5mm以下に粉砕したのち水を加え、粘土状の状態にして自由に加工し、焼成を行う、ゼオライト成形方法。
- ゼオライトに水を加えたのち、該ゼオライトと該水とを混ぜることにより粘土状のゼオライト混練組成物を生成し、該粘土状のゼオライト混練組成物を所定の形状に成形するステップと、
前記成形したゼオライト混練組成物を乾燥させるステップと、
前記乾燥させたゼオライト混練組成物を焼成するステップと、
を備えることを特徴とする、ゼオライト成形方法。 - 前記ゼオライト混練組成物を生成したのち、密閉保存など含水率を維持した状態で保存し、加工成形するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のゼオライト成形方法。
- 前記乾燥するステップで、前記成形したゼオライト混練組成物を成形体の形状が変形しないよう穏やかに乾燥させることを特徴とする、請求項3または4に記載のゼオライト成形方法。
- 前記焼成するステップで、焼成温度を300〜1200℃とすることを特徴とする、請求項3乃至5いずれかに記載のゼオライト成形方法。
- 前記焼成するステップで、最高温度までの温度を段階的に分けて焼成時間を制御することを特徴とする、請求項3乃至6いずれかに記載のゼオライト成形方法。
- ゼオライトと該ゼオライトに対して30重量%以上の水を用いて混練し、少なくとも含水率を(20〜40重量%程度)にしたことを特徴とする、粘土状のゼオライト混練組成物。
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
JP2006027983A (ja) * | 2004-07-21 | 2006-02-02 | Kanatsu Giken Kogyo Kk | ゼオライト成形方法および粘土状のゼオライト混練組成物 |
JP2007223868A (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-06 | Yoshiyuki Suzuki | セラミック固形物の製造方法 |
WO2008153126A1 (ja) * | 2007-06-14 | 2008-12-18 | Kyodo Printing Co., Ltd. | 吸着剤含有成形体の製造方法及び吸着剤含有成形体 |
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-
2003
- 2003-07-22 JP JP2003199659A patent/JP2005089194A/ja active Pending
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