JP2006027455A - 車体フレーム変形制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異なる複数の衝突形態に対して車体フレームを常に適正に変形させることが可能な車体フレーム変形制御装置の提供。
【解決手段】 車体フレーム11の衝撃力入力側の脆弱部22〜24の近傍に、車体フレーム11に沿って荷重を発生可能な圧電素子アクチュエータ26〜28を設けるとともに、圧電素子アクチュエータ26〜28の荷重を制御する制御手段を設け、制御手段が衝突形態に応じて圧電素子アクチュエータ26〜28を作動させて脆弱部22〜24の応力集中を分散させる。
【選択図】 図3
【解決手段】 車体フレーム11の衝撃力入力側の脆弱部22〜24の近傍に、車体フレーム11に沿って荷重を発生可能な圧電素子アクチュエータ26〜28を設けるとともに、圧電素子アクチュエータ26〜28の荷重を制御する制御手段を設け、制御手段が衝突形態に応じて圧電素子アクチュエータ26〜28を作動させて脆弱部22〜24の応力集中を分散させる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、衝突時に生じる車体フレームの変形を制御する車体フレーム変形制御装置に関する。
フロントフレームの先端部にビードと呼ばれる凹みを設けることで、フロントフレームに圧縮荷重が導入された場合にフロントフレームが凹みから座屈するように座屈を制御する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
特開平7−165110号公報
上記のように、車体フレームに凹みを設けるという受動的な座屈制御では、座屈開始荷重が一仕様のみになってしまうことになり、異なる複数の衝突形態に対して車体フレームを常に適正に変形させることができないという問題があった。
したがって、本発明は、異なる複数の衝突形態に対して車体フレームを常に適正に変形させることが可能な車体フレーム変形制御装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車体フレーム(例えば実施形態におけるフロントサイドフレーム11)の脆弱部(例えば実施形態における脆弱部22〜24)の近傍に、前記車体フレームに沿って荷重を発生可能な圧電素子アクチュエータ(例えば実施形態における圧電素子アクチュエータ26〜28)を設けるとともに、該圧電素子アクチュエータの荷重を制御する制御手段(例えば実施形態におけるコントローラ34)を設け、該制御手段が衝突形態に応じて前記圧電素子アクチュエータを作動させて前記脆弱部の応力集中を分散させることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記脆弱部が前記車体フレームの延在方向に沿って複数カ所設けられており、これら脆弱部の各々に対して前記圧電素子アクチュエータが設けられていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記制御手段は、低速衝突の際に前記車体フレームの先端部を座屈させることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記制御手段は、オフセット衝突の際に前記車体フレームを中間部で折れ変形させ、エンジンを下方へ移動させることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記圧電素子アクチュエータの伸長および縮長により前記車体フレームの固有振動を誘起することを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、制御手段の制御により圧電素子アクチュエータに車体フレームに沿って伸長方向の荷重を発生させると、圧電素子アクチュエータが踏ん張ることで車体フレームのこの圧電素子アクチュエータの近傍の脆弱部への応力集中を分散させ変形を抑制することができる。逆に圧電素子アクチュエータに縮長方向の荷重を発生させたり、圧電素子アクチュエータに荷重を発生させなかったりすると、車体フレームのこの圧電素子アクチュエータの近傍の脆弱部に応力集中を生じさせ変形を促進することができる。したがって、変形を生じにくくした方が好ましい衝突形態および変形を促進した方が好ましい衝突形態の異なる複数の衝突形態に対して車体フレームを常に適正に変形させることができる。
請求項3に係る発明によれば、低速衝突の際に車体フレームが先端部のみ座屈するので車体への加速度増加を低減させ、エアバッグ用Gセンサによるエアバック展開不要な極低速での展開を防止できる。
請求項4に係る発明によれば、オフセット衝突の際に車体フレームを中央で折れ変形させ、エンジンを下方へ移動させるため、エンジンの車室側への移動を防止できる。
請求項5に係る発明によれば、圧電素子アクチュエータの伸長および縮長により車体フレームの固有振動を誘起することで、座屈を促進させることができる。
本発明の第1実施形態の車体フレーム変形制御装置を図1〜図6を参照して以下に説明する。
図1は車両10の車体前部を概略的に示すもので、車体前部には車体骨格部材であるフロントサイドフレーム(車体フレーム)11が車体前後方向に沿う状態で車幅方向に離間して一対設けられている。これらフロントサイドフレーム11は、先端側が、車幅方向に沿うフロントバンパビーム12に連結されており、基端側が、車幅方向に沿うダッシュボードロアクロスメンバ13と交差して、車体前後方向に沿うフロアフレーム14にそれぞれ連結されている。
フロントサイドフレーム11は、鋼材からなるもので、図2に概略的に示すように、四つの板部16〜19が枠状に連結されることで長さ方向に直交する断面がほぼ矩形の閉断面形状をなしている。各フロントサイドフレーム11は、フロントバンパビーム12に連結される先端側フレーム部11Aが車体前後方向に沿っており、またフロアフレーム14に連結される基端側フレーム部11Cが先端側フレーム部11Aよりも下側位置において車体前後方向に沿っていて、さらにこれら先端側フレーム部11Aおよび基端側フレーム部11Cの間にある傾斜フレーム部11Bが車体前後方向に対し傾斜している。つまり、各フロントバンパビーム12は2カ所で屈曲している。
第1実施形態の車体フレーム変形制御装置20は、上記したフロントサイドフレーム11の変形を制御するものである。
各フロントサイドフレーム11の先端側(車体前後方向前端側)つまり衝突時の衝撃力入力側には、図2および図3に示すように、フロントサイドフレーム11の延在方向と直交する方向に延びるV字溝状のビードからなる複数具体的には三カ所の脆弱部22〜24がフロントサイドフレーム11の延在方向に沿って所定の間隔をあけるように形成されている。これら脆弱部22〜24は、フロントサイドフレーム11を局所的に脆弱とし車体前方からの衝撃力入力時に応力集中が生じる初期不整カ所となっている。なお、脆弱部22〜24は、周囲より脆弱となれば例えば穴や切欠であっても良い。
ここでは、具体的に、上部の板部19の上面側であって先端側フレーム部11Aの位置に脆弱部22が形成され、下部の板部17の下面側であって先端側フレーム部11Aおよび傾斜フレーム部11Bの境界位置に脆弱部23が形成され、上部の板部19の上面側であって傾斜フレーム部11Bおよび基端側フレーム部11Cの境界位置に脆弱部24が形成されている。
そして、本実施形態の車体フレーム変形制御装置20においては、各フロントサイドフレーム11の脆弱部22〜24の近傍に、フロントサイドフレーム11の延在方向に沿って荷重を発生可能な圧電素子アクチュエータ26〜28が設けられている。ここで、圧電素子アクチュエータ26〜28はフロントサイドフレーム11の延在方向に沿って複数カ所設けられた脆弱部22〜24の各々に対して設けられている。
具体的に、フロントサイドフレーム11の脆弱部22が形成された上部の板部19において、この脆弱部22の裏となる位置に長方形状の圧電素子アクチュエータ26が設けられ、下部の板部17において、脆弱部23の裏となる位置に長方形状の圧電素子アクチュエータ27が設けられ、上部の板部19において、脆弱部24の裏となる位置に長方形状の圧電素子アクチュエータ28が設けられている。ここで、各圧電素子アクチュエータ26〜28は、長さ方向に荷重を発生可能であり、それぞれの長さ方向をフロントサイドフレーム11の延在方向つまり車体前後方向に沿わせてフロントサイドフレーム11に設けられている。これら圧電素子アクチュエータ26〜28は脆弱部22〜24の対応するもののフロントサイドフレーム11の延在方向において前後に配置されている。
各圧電素子アクチュエータ26〜28は、図4に示すように、複数の同一形状の圧電素子30が、姿勢を合わせた状態で厚さ方向に積層されて構成されており、各圧電素子30には、セラミックからなる本体30Aとそれぞれが櫛歯状をなして互いに入り込み合う電極31および電極32が設けられている。各圧電素子30は、一方の電極31をプラスとし他方の電極32をマイナスとして電圧を印加すると、電極31,32間のセラミックからなる本体30Aが膨張し、長さ方向において伸長方向に荷重を発生させ、逆に、前記一方の電極31をマイナスとし前記他方の電極32をプラスとして電圧を印加すると、電極31,32間のセラミックからなる本体30Aが収縮し、長さ方向において縮長方向に荷重を発生させる。
これら圧電素子アクチュエータ26〜28は、すべて図1に示すコントローラ34に接続されており、このコントローラ34で電極31,32に印加される電圧、つまり圧電素子アクチュエータ26〜28の荷重が制御される。
例えば、傾斜フレーム部11Bの脆弱部23に設けられた圧電素子アクチュエータ27に電圧を印加せず、かつこの傾斜フレーム部11Bの脆弱部23を挟んで前後両側の脆弱部22,24に設けられた圧電素子アクチュエータ26,28に伸長方向に荷重を発生させるように電圧を印加すると、フロントサイドフレーム11の中間の脆弱部23に応力集中を生じさせ、その前後両側の脆弱部22,24の応力集中を分散させることになって、中間の脆弱部23の応力集中の度合いを高め、この脆弱部23から変形を促進することができる。その結果、フロントサイドフレーム11に中間の脆弱部23から折れを発生させることができる。
また、例えば、脆弱部23,24に設けられた圧電素子アクチュエータ27,28に電圧を印加し、脆弱部22に設けられた圧電素子アクチュエータ26に電圧を印加しなければ、フロントサイドフレーム11の脆弱部22〜24に先端側から順に応力集中を生じさせることになって、先端側の脆弱部22から変形を促進して良好に圧壊座屈させることができる。
コントローラ34には、例えば車体前方の障害物を検出するレーダ36と、バンパフェース等に装備されて衝突開始初期にバンパフェースの変形の位置および速度等を検出する圧電フィルムセンサ37とが接続されている。コントローラ34はこれらレーダ36および圧電フィルムセンサ37の検出データに基づいて車両10の衝突形態(衝突入力位置、衝突物の種類および衝突速度)を検出する。
コントローラ34は、レーダ36および圧電フィルムセンサ37によって、衝突開始初期の衝突形態を判定する。そして、例えば衝突形態が車幅方向全体にわたる前面衝突であって衝突速度が所定速度よりも低いと判定した場合は、両フロントサイドフレーム11について以下の制御を行う。
先端側フレーム部11Aの脆弱部22に設けられた圧電素子アクチュエータ26に電圧を印加せず、脆弱部23,24に設けられた圧電素子アクチュエータ27,28を作動させる。すると、先端側から入力された衝突の荷重が、先端側の脆弱部22に応力集中を生じさせることになり、図5(a)に示すようにフロントサイドフレーム11の折れを抑止しつつ先端側に圧壊座屈を発生させる。圧壊座屈がさらに進行すると、脆弱部23のアクチュエータ27を非作動とし、中間の脆弱部23に応力集中を生じさせることになり、図5(b)に示すようにフロントサイドフレーム11の圧壊座屈を後方に進行させる。圧壊座屈がさらに進行すると、後側の脆弱部24に応力集中を生じさせることになり、図5(c)に示すようにフロントサイドフレーム11の圧壊座屈を後方に進行させる。
一方、コントローラ34は、例えば衝突形態が車幅方向一側に偏ったオフセット衝突と判定した場合、衝突側のフロントサイドフレーム11では、傾斜フレーム部11Bの脆弱部23に設けられた圧電素子アクチュエータ27に電圧を印加せず、かつこの中間の脆弱部23を挟んで前後両側の脆弱部22,24に設けられた圧電素子アクチュエータ26,28に伸長方向に荷重を発生させるように電圧を印加する。すると、フロントサイドフレーム11の傾斜フレーム部11Bの脆弱部23に応力集中を生じさせ、その前後両側の脆弱部22,24の応力集中を分散させることになって、中間の脆弱部23の応力集中の度合いを高め、この脆弱部23から変形を促進し、フロントサイドフレーム11に傾斜フレーム部11Bの脆弱部23から折れを発生させることができる。そして、図6(a)〜(c)に示すように、傾斜フレーム部11Bにおいて非衝突側のフロントサイドフレーム11をZ字型の折れモードで変形させることができ、オフセット衝突時に、非衝突側のフロントサイドフレーム11も折れることでエネルギ吸収させることが可能となるとともにフロントサイドフレーム11の基端側フレーム部11Cに取付部100において取り付けられたエンジンマウントサブフレーム101に支持された図示せぬエンジンを下方へ移動させて車室側への移動を低減できる。
なお、コントローラ34は、例えば、上記いずれにおいても衝突速度が所定速度よりも高いと判定した場合には、すべての脆弱部22〜24に設けられた圧電素子アクチュエータ26〜28に伸長方向に荷重を発生させるように電圧を印加することで、すべての脆弱部22〜24で圧電素子アクチュエータ26〜28を踏ん張らせるようにして圧壊座屈を生じさせる。このとき、圧電素子アクチュエータ26〜28の踏ん張りでフロントサイドフレーム11の座屈開始荷重を増大させることができる。これにより、衝突発生時の減速度を増大させることが可能となる。
以上に述べた第1実施形態の車体フレーム変形制御装置20によれば、コントローラ34の制御により圧電素子アクチュエータ26〜28にフロントサイドフレーム11に沿って伸長方向の荷重を発生させると、圧電素子アクチュエータ26〜28が踏ん張ることでフロントサイドフレーム11のこの圧電素子アクチュエータ26〜28の近傍の脆弱部22〜24への応力集中を分散させ変形を抑制することができる。逆に圧電素子アクチュエータ26〜28に縮長方向の荷重を発生させたり、圧電素子アクチュエータ26〜28に荷重を発生させなかったりすると、フロントサイドフレーム11のこの圧電素子アクチュエータ26〜28の近傍の脆弱部22〜24に応力集中を生じさせ変形を促進することができる。したがって、変形を生じにくくした方が好ましい衝突形態および変形を促進した方が好ましい衝突形態の異なる複数の衝突形態に対してフロントサイドフレーム11を常に適正に変形させることができる。
また、複数カ所の脆弱部22〜24がフロントサイドフレーム11の延在方向に沿って配設されており、これら脆弱部22〜24の各々に対して圧電素子アクチュエータ26〜28が設けられているため、種々の衝突形態に応じてさらに詳細にフロントサイドフレーム11の変形を制御することができる。
次に、本発明の第2実施形態の車体フレーム変形制御装置を主に図8および図9を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態では、車両衝突時にコントローラ34が圧電素子アクチュエータ26〜28を適宜振動させることになる。つまり、圧電素子アクチュエータ26〜28の振動数がフロントサイドフレーム11の固有の値に達すると、フロントサイドフレーム11の固有振動モードを誘起させることが可能になり、コントローラ34は、これら固有振動モードのうち、圧壊座屈変形形状に類似する図8に示すような固有振動モードを誘起する振動数にする。この状態で、衝突による荷重がフロントサイドフレーム11において軸方向(車体前後方向)に付加されると、フロントサイドフレーム11における圧壊座屈荷重は、図9に実線で示すように、圧電素子アクチュエータ26〜28の非振動時のフロントサイドフレーム11の座屈荷重(図9の一点鎖線)に比べて小さい荷重で座屈を開始させることができ、座屈を促進する効果を有する。
よって、第2実施形態では、コントローラ34が、例えば第1実施形態で説明した衝突速度が所定速度よりも低いと判定した場合に、圧壊座屈を促進させるために、圧壊座屈を生じさせるフロントサイドフレーム11に圧電素子アクチュエータ26〜28で圧壊座屈変形形状に類似する固有振動モードを誘起する振動数を発生させる。
なお、第1実施形態および第2実施形態のいずれにおいても、フロントサイドフレーム11ではなく、車体後部で車体前後方向に沿うリヤフレーム等、他の車体フレームにも上記を適用することが可能である。
11 フロントサイドフレーム(車体フレーム)
22〜24 脆弱部
26〜28 圧電素子アクチュエータ
34 コントローラ(制御手段)
22〜24 脆弱部
26〜28 圧電素子アクチュエータ
34 コントローラ(制御手段)
Claims (5)
- 車体フレームの脆弱部近傍に、前記車体フレームに沿って荷重を発生可能な圧電素子アクチュエータを設けるとともに、該圧電素子アクチュエータの荷重を制御する制御手段を設け、
該制御手段が衝突形態に応じて前記圧電素子アクチュエータを作動させて前記脆弱部の応力集中を分散させることを特徴とする車体フレーム変形制御装置。 - 前記脆弱部が前記車体フレームの延在方向に沿って複数カ所設けられており、これら脆弱部の各々に対して前記圧電素子アクチュエータが設けられていることを特徴とする請求項1記載の車体フレーム変形制御装置。
- 前記制御手段は、低速衝突の際に前記車体フレームの先端部を座屈させることを特徴とする請求項2記載の車体フレーム変形制御装置。
- 前記制御手段は、オフセット衝突の際に前記車体フレームを中間部で折れ変形させ、エンジンを下方へ移動させることを特徴とする請求項2または3記載の車体フレーム変形制御装置。
- 前記制御手段は、前記圧電素子アクチュエータの伸長および縮長により前記車体フレームの固有振動を誘起することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の車体フレーム変形制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2004209913A JP2006027455A (ja) | 2004-07-16 | 2004-07-16 | 車体フレーム変形制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2004
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