JP2006027449A - 摩擦抵抗低減型船艇 - Google Patents
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Abstract
【課題】 船体に作用する摩擦抵抗を低減し、かつ摩擦抵抗の低減に関しても少エネルギを実現することが可能な摩擦抵抗低減型船艇を供給する。
【解決手段】 上記課題を達成するための摩擦抵抗低減型船艇は、気体を貯留する凹陥部と複数の回転体とを有し、前記回転体を前記凹陥部の開口部に備える摩擦抵抗低減ユニット10を船体表面の喫水線以下の箇所に、前記開口部が位置するように備えたことを特徴とする。また、前記回転体は、前記開口部に密接して配置すると良い。また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において、前記回転体は、少なくとも過半部が気体に接触するように構成すると良い。また、前記凹陥部に対して気体を供給する気体供給手段30を備える構成とすると良い。
【選択図】 図8
【解決手段】 上記課題を達成するための摩擦抵抗低減型船艇は、気体を貯留する凹陥部と複数の回転体とを有し、前記回転体を前記凹陥部の開口部に備える摩擦抵抗低減ユニット10を船体表面の喫水線以下の箇所に、前記開口部が位置するように備えたことを特徴とする。また、前記回転体は、前記開口部に密接して配置すると良い。また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において、前記回転体は、少なくとも過半部が気体に接触するように構成すると良い。また、前記凹陥部に対して気体を供給する気体供給手段30を備える構成とすると良い。
【選択図】 図8
Description
本発明は船艇に係り、特に旅客を目的とした大型船舶や、大型艦艇に有用な摩擦抵抗低減型船艇に関する。
従来より、水中や水上を移動する移動体が水から受ける抵抗(抗力)を低減する手段として、移動体自体の形状が注目されてきており、現在でもそれに変わりは無い。移動体の理想形状として求められたのは、流線型である。流線形は、魚の形状をモデルとしており、先端が丸く後端が先細となった細長い形状である。
物体の(移動体)の周りを流れる流れの領域は、主流と境界層という2つの領域に分けることができる。境界層は物体との摩擦抵抗によって流れの運動が支配される物体壁面に近い領域のことであり、主流は理想流体の流れと仮定できる摩擦抵抗の影響が少ない領域のことである。
物体に働く抗力には、圧力抗力Dpと、摩擦抗力Dfとがあり、主流の影響による抗力を圧力抗力、境界層の影響による抗力を摩擦抗力というように分けることができる。ここで、前記流線形は特に、圧力抗力を低減することに優れている。
物体に働く抗力には、圧力抗力Dpと、摩擦抗力Dfとがあり、主流の影響による抗力を圧力抗力、境界層の影響による抗力を摩擦抗力というように分けることができる。ここで、前記流線形は特に、圧力抗力を低減することに優れている。
このため、高速移動を求められる移動体には、流線形が採用されることが多く、コンピュータ処理により、究極とされる形状も提案されている。しかし、究極とされる流線形であっても移動に伴う抵抗は存在し、形状から追求する抵抗の低減は限界域へ達しつつある。
そこで、移動体の周囲に存在する境界層の影響による摩擦抵抗を低減することが注目されるようになった。移動体に付加される摩擦抵抗を低減する方法として、移動体の周辺を流れる液体に、気泡を混ぜるという方法が知られている。この方法によれば、移動体の周囲に発生する境界層に気泡を混入させることにより移動体に作用する摩擦抵抗を低減することができるという。
このような方法を用いた摩擦抵抗低減型船舶が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている船舶は、船体の前側に設けられた気泡噴出し口に対して、隙間を設けていた部材を配置したことを特徴とする船舶である。このような構成の船舶によれば、気泡噴出し口から噴出された気泡が境界層の外部へ拡散することなく、船体に沿って後方へ流れていくという。これにより、噴出させる気泡を無駄にすることが無くなり、少エネルギで船舶に作用する摩擦抵抗を低減させることができる。
特開平11−321775号公報
特許文献1に開示された船舶によれば、確かに船体に作用する摩擦抵抗を低減することが可能であると考えられる。しかし、開示された船舶の構造では、摩擦抵抗低減効果を得るためには常に船外へ気泡を放出していなければならないため、コンプレッサ等を常に稼動させておく必要があり、エネルギ消費量は必ずしも改善されたとは言いがたい。また、波浪等によって船体動揺がある場合は、噴出された気泡が境界層の外部へ拡散し、摩擦抵抗を低減することが出来なくなってしまう。
本発明では、船体に作用する摩擦抵抗を低減し、かつ摩擦抵抗の低減に関しても少エネルギを実現することが可能な摩擦抵抗低減型船艇を供給することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る摩擦抵抗低減型船艇は、気体を貯留する凹陥部と複数の回転体とを有し、前記回転体を前記凹陥部の開口部に備えるユニットを船体表面の喫水線以下の箇所に前記開口部が位置するように備えたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る摩擦抵抗低減型船艇は、船体表面の喫水線以下の箇所に開口部が位置するように気体を貯留可能とする凹陥部を備え、前記凹陥部の開口部に複数の回転体を配置したことを特徴とするものであっても良い。
上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において前記複数の回転体にはベルトが掛け回され、前記凹陥部の開口部を覆うベルトコンベアが構成されると良い。
上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において前記複数の回転体にはベルトが掛け回され、前記凹陥部の開口部を覆うベルトコンベアが構成されると良い。
また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において前記回転体は、前記開口部に密接して配置する構成とすると良い。
また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において前記回転体は、少なくとも過半部が気体に接触するように構成すると良い。
また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇では、前記凹陥部に対して気体を供給する気体供給手段を備える構成とすると良い。
また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇において前記回転体は、少なくとも過半部が気体に接触するように構成すると良い。
また、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇では、前記凹陥部に対して気体を供給する気体供給手段を備える構成とすると良い。
また、船体に複数の凹陥部を備えた場合、隣接する凹陥部同士を空間的に接続する接続部を備える構成とすると良い。これにより、一つの気体供給手段によって複数の凹陥部に気体を供給することができる。
さらに、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇では、前記回転体を能動的に回転させる動力部を備えるようにすると良い。
さらに、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇では、前記回転体を能動的に回転させる動力部を備えるようにすると良い。
上記構成のユニットを備えた船艇によれば、回転体の回転作用によって、船体と液体との接触面に生じる摩擦抵抗を低減することができる。また、ユニットを船体に貼り付ける構造を採っているため、既存の船艇にも低コストで採用することが可能となる。
船体自体に凹陥部を設けた構成とすることによれば、回転体の回転作用によって、船体と液体との接触面に生じる摩擦抵抗を低減することができる。
船体自体に凹陥部を設けた構成とすることによれば、回転体の回転作用によって、船体と液体との接触面に生じる摩擦抵抗を低減することができる。
また、回転体にベルトを掛け回し、凹陥部の開口部にベルトコンベアを形成することにより、ユニットにおける液体との接触面が平滑なものとなり、摩擦抵抗低減を成す際の理想形態に近づけることができる。
また、回転体を凹陥部の開口部に対して密接に配置したことにより、前記凹陥部に貯留した気体が船体の動揺等によって漏れ出すことを防止することができる。
また、回転体を凹陥部の開口部に対して密接に配置したことにより、前記凹陥部に貯留した気体が船体の動揺等によって漏れ出すことを防止することができる。
また、回転体の断面においてその過半部が気体(例えば空気)に接触するように構成したことにより、回転体を水流の作用によって効率良く回転させることができる。また、気体供給手段を備えることによって、前記凹陥部から気体が漏れ出したとしても気体を補充し、回転体の過半部が気体に接触する状態を保つことが可能となる。
さらに、上記構成の摩擦抵抗低減型船艇では、前記回転体を能動的に回転させる動力部を備えるようにすることにより、回転体及び、ベルトを液体の流れに沿って移動(回転)させることが可能となる。よって、より効果的に物体と液体との接触面に生じる摩擦抵抗を低減することが可能となる。
以下、本発明の摩擦抵抗低減型船艇に係る実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る一部の実施形態を示すものであり、本発明の摩擦抵抗低減型船艇は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
まず、図1〜図8を参照して、本発明の摩擦抵抗低減型船艇に係る第1の実施形態に備えるユニット(摩擦抵抗低減ユニット)と、その作用効果について説明する。
図1は本実施形態の船艇に備える摩擦抵抗低減ユニットを示す図であり、図1(A)は断面を、(B)は底面を示す。
本実施形態の船艇に備える摩擦抵抗低減ユニット10は、平板状のパネルの一面に凹陥部20を形成したユニット本体12と、前記ユニット本体12の凹陥部20の開口部に備えられた円筒状の回転体14とを基本的な構成とする。
本実施形態の船艇に備える摩擦抵抗低減ユニット10は、平板状のパネルの一面に凹陥部20を形成したユニット本体12と、前記ユニット本体12の凹陥部20の開口部に備えられた円筒状の回転体14とを基本的な構成とする。
このような基本構成を有する摩擦抵抗低減ユニット10は、液体(例えば水)22に接触する面に、相対的な流れU0が生じた場合に発生する摩擦抵抗を低減することに有用なユニットである。
ここで、前記ユニット本体12は、前記液体22と船体との接触面に取り付けられた際には前記凹陥部20が、液体22との接触面を構成するように備えられる。また、前記凹陥部20は気体(例えば空気)16を貯留可能な構成とする。また、前記回転体14は、その断面方向における過半部が凹陥部20内に貯留された空気16に接触するように備えられると良い。また、前記回転体14は、前記凹陥部20に対して複数、密接な状態となるように備えることによって、前記凹陥部20内の空気16が外部に漏れ出す可能性を低減することができる。なお、前記回転体14は、軸18を介してユニット本体12に回転可能に備え付ける構成とすると良い。
ここで、本実施形態における摩擦係数低減ユニット10の作用効果について説明する。
理論上、一様な流速U0で流れる流体が固定壁面(平滑平板)50に対して作用することによって生じる単位面積あたりの壁面摩擦せん断応力τは、数式1で求めることができる(図2(A)参照)。
ここで、ρは流体の密度であり、δは境界層の厚さであり、uは境界層における流体の流速である。数式1は、単位面積あたりの平滑平板50を、ある位置に固定しておく、あるいは速度U0で平滑平板50を移動させるために必要な力を示しているので、平滑平板50の表面と流体との間に境界層が存在する場合、物体を移動させる際の妨げとなることがわかる。このため、図2(B)に示すように、平面を流体と同じ速度で同じ方向へ移動させることができれば、流体と物体との境界層が発生しなくなり、壁面摩擦せん断応力は生じないものと考えることができる。
理論上、一様な流速U0で流れる流体が固定壁面(平滑平板)50に対して作用することによって生じる単位面積あたりの壁面摩擦せん断応力τは、数式1で求めることができる(図2(A)参照)。
ここで、流れが物体表面に作用することによって生じる摩擦抵抗Dfについて平滑平板の表面を例に挙げて考える。図2(A)に示すような長さlの平滑平板50に平行に流れる流速U0の一様な流れの作用によって平滑平板50に生ずる摩擦抵抗Df0は乱流領域においては、数式2のように示すことができる。
ここで、ρは流体の密度を示し、νは流体の動粘度を示す。
これに対し、図3に示すように平板52は表面が微小な回転体で構成されていると仮定する。この場合であっても、回転体が停止している状態では、平板52に作用する摩擦抵抗は平滑平板の摩擦抵抗と同一である。一方、図3に示す平板52において全ての回転体が流れに沿って回転した場合は図2(B)に示すように壁面が一様な流れと同一方向へ運動している状態となり、平板52の摩擦抵抗は低減されることとなる。
以下、回転体が回転するメカニズムと回転体が回転することによって摩擦抵抗が低減される理由を説明する。まず、図4に示すように複数の回転体の上部側の領域αでは一様な流れU0が存在し、回転体の下部側の領域βでは流速が零の状態を想定する。このような状態において、回転体が回転しない場合と、回転する場合とについて、一つの回転体を例に挙げて考察する。この時回転体は上部側に、領域αの流体から、圧力抵抗Fpと摩擦抵抗による回転モーメントQfrとを受ける。これに対し、下部側には、領域βの流体から、回転体の回転に対して反対方向に作用する摩擦抵抗による回転モーメントQfr*を受ける。すなわち、回転体の回転を妨げるように作用するモーメントである。
また、回転軸には回転方向に逆らう機械的な軸トルクqが生じる。なお、回転体の表面に働く圧力は全て軸方向に作用するため、前記回転体の表面に働く圧力抵抗は回転体の回転には関与しない。一方、摩擦抵抗は回転体の表面の接線方向に働くため、回転方向、あるいは回転に逆らう方向に作用するモーメントとなる。
一方、一様流速が早くなり、回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQf0が機械的な軸に働く静止摩擦によるトルクq0より大きくなると、回転体はモーメントがバランスする状態の回転数で回転する。この時、回転体には回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQfrは機械的な軸に働く動摩擦によるトルクqmと領域βの流体から受ける摩擦抵抗による回転モーメントQfr*との和になっている。すなわち、
となる。停止中の回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQf0と、回転中の回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQfrとの関係は、回転体の回転により境界層を低減させることと、回転軸に機械的に働く動摩擦が静止摩擦よりかなり小さいという理由から、
となることは明らかである。
したがって、回転している時の回転体表面に働く接線方向の摩擦抵抗は、回転していない時の回転体表面に働く接線方向の摩擦抵抗よりも小さくなる。
したがって、回転している時の回転体表面に働く接線方向の摩擦抵抗は、回転していない時の回転体表面に働く接線方向の摩擦抵抗よりも小さくなる。
図5は一様流速U0の中で平滑平板に働く摩擦抵抗と、停止している場合の回転体表面に働く摩擦抵抗とを比較するための図である。図5を参照して、一つの回転体に働く摩擦抵抗に対し、それと同等の大きさ(長さ)の平滑平板に働く摩擦抵抗とを比較して説明する。複数の回転体が一様流れの中に置かれた場合、回転体と回転体との間には破線で示すよどみ部分が生ずる。このため、本来は回転体の表面に接する流れが回転体の上部全体に到ることは無いが、本説明においては、回転体の上部全体に沿ってU0の流れが作用するものと仮定する。また、平滑平板と回転体は同一の平滑度とする。このため、単位面積あたりに働く接線方向の摩擦力fは同じ値を示すものとし、平板に働く摩擦抵抗は回転体の直径2Rの長さに対して評価する。
平板に働くX方向の摩擦抵抗F0は、
となる。これに対し、回転体の表面に働く摩擦抵抗のX方向の成分FRX0は、
となる。よって、F0とFRX0との間には、
の関係が成り立つこととなる。よって、回転体の表面に働く摩擦抵抗のX方向の成分FRX0は平板に働くX方向の摩擦抵抗F0と等しいことになる。
以上のことより、平板に働くX方向の摩擦抵抗F0、停止している回転体の表面に働く摩擦抵抗のX方向成分FRX0および回転体が回転することによって回転体の表面に働く摩擦抵抗のX方向成分FRXrの大小関係は以下のようになる。
よって、回転している回転体に作用する摩擦抵抗は、平滑平板に働く摩擦抵抗よりも小さいことがわかる。すなわち、回転体が回転することにより、液体との接触面に働く摩擦抵抗を低減することができるのである。
本実施形態では、図6に示すように領域α側は液体、領域β側は気体となるように構成している。液体から回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントを受けて回転体が回転している場合、数式4、或いは数式5に示される回転モーメントQfr*(気体)は、領域β側が液体の場合の回転モーメントQfr*(液体)に比べて極めて小さくなる。これは、気体の粘性が液体の粘性に比べ、極めて低いためである。すなわち、
となり、領域β側が気体の場合には、回転体は効率良く回転することになり、回転モーメントQfrは回転中のトルクqmと殆ど等しくなる。したがって、回転中の回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQfrも停止中の回転体表面に働く摩擦抵抗による回転モーメントQf0に比べて極めて小さくなり、効率良く摩擦抵抗を低減することができる。また、本実施形態では、回転体を効率良く回転させることができるため、回転体の境界層が低減され、回転体周りの流体の流れはポテンシャル流(理想流体)に近づく。このため、回転体に働く圧力抵抗を減らす効果もある。
上記のような論理により、本実施形態の船艇に備える摩擦抵抗低減ユニット10は、液体と船体との接触面に相対的な流れが発生した場合に生じる摩擦抵抗を低減することができる。
次に図7を参照して、本実施形態の船艇に備える摩擦抵抗低減ユニットの応用形態について説明する。なお、以下に示す摩擦抵抗低減ユニットの形態は、その殆どの構成を上述した摩擦抵抗低減ユニットと同様としている。よって、作用効果を同様とする箇所については同一符号を附してその詳細な説明を省略する。
本実施形態では、ユニット本体12に設けた凹陥部20に対して気体(空気)16を供給するコンプレッサ等の気体供給手段30を備えたことが上述した摩擦抵抗低減ユニットと異なる。気体供給手段30は、配管32等を介してユニット本体12の凹陥部20に接続すれば良い。気体供給手段30を設けたことにより、凹陥部20から空気16が漏れてしまった場合であっても、常に液体22と気体16との関係(圧力バランス)を良好な状態に保つことができる。すなわち、凹陥部20の開口面(開口部)において、気体16の圧力と、凹陥部20外部の圧力とを均衡させることが可能となる。
本実施形態の船艇は、上述した摩擦抵抗低減ユニットを船体に備えた構造を特徴とするものである(図8参照)。詳細すると、上述した摩擦抵抗低減ユニット10を、船底100a、若しくは/及び船側100bに貼付する。また、摩擦抵抗低減ユニット10の貼り付けに関しては、ボルトやビス、溶接といった手法によれば良い。なお、図8において、(A)は船艇の側面を示すブロック図であり、(B)は(A)におけるA−A矢視を示す図である。
ここで、船底100aに備える摩擦抵抗低減ユニット10に関しては、凹陥部20内の空気16が漏れ出す可能性は低いのでそのまま取り付けることができる。これに対し、船側100bに備える摩擦抵抗低減ユニット10に関しては、船底100aに備えるものに比べて凹陥部20内の空気16が漏れ出す可能性が高い。このため、船側100bに備える摩擦抵抗低減ユニット10に関しては特に、前記回転体14を密接に配置したり、回転体14間をシールするシール材を設けたりして、気体16が凹陥部20から漏れ出すことを防止することが望ましい。これにより、気体(気泡)を常時噴出し続ける従来の摩擦抵抗低減手段よりも少エネルギとすることができる。
本実施形態の摩擦抵抗低減型船艇100に備える摩擦抵抗低減ユニット10は、図8に示すように、小型のユニットを複数配置する構成とすることが望ましい。これにより、一つの規格のユニットで様々な大きさの貼付面に対応させることができることとなるため経済的である。しかしながら当然に、船体の貼付面に合わせた大型のユニットを形成し、それを船体に備えたとしても、本発明の摩擦抵抗低減型船艇100の範囲を逸脱するものでは無い。
また、図8においては、船側100bに備えた摩擦抵抗低減ユニット10は高さ(深さ)方向への配置を間隔を空けて行っているが、密接させて配置させても良い。逆に、密接して配置を行っている、船底100aに配置した摩擦抵抗低減ユニット10を幅方向に間隔を空けて配置するようにしても良い。
上述のように船体へ備えた摩擦抵抗低減ユニット10では、最前列に配置した摩擦抵抗低減ユニット10の前方に、圧力抵抗を低減させるためのスロープ(三角板)10a等を設けるようにすると良い。
また、隣接配置した摩擦抵抗低減ユニット10では、それぞれの凹陥部20同士を空間的に繋ぐ接続部(不図示)を設け、気体供給手段30からの気体の供給を1つのユニットに集中させるようにすると良い。このような構成により、煩わしい気体供給用の配管32を最小限に抑えることができる。このような構成の摩擦抵抗低減ユニット10では、例えば気体供給手段30を船体の後方へ配置し、気体供給用の配管32を船体の後方から取り回し、船体の最後方に備えた摩擦抵抗低減ユニット10へ接続するようにすることができる。これにより、配管32による圧力抵抗を低減させることができ、配管32の長さも抑えることができる。
また、上記摩擦抵抗低減型船艇100において、船側100bに備える摩擦抵抗低減ユニット10は、喫水線よりも下の位置となるように配置することが望ましい。これにより、上記作用を奏することができる。
上記構成の摩擦抵抗低減型船艇100によれば、船体に作用する摩擦抵抗を低減させることができる。よって、進行速度を向上させることが出来ると共に、燃費を向上させることができる。また、気泡を船体に沿って噴出させる構成とは異なり、常時コンプレッサ等を稼動させておく必要が無いため消費エネルギが少ない。また、摩擦抵抗低減型ユニットを船体へ備えるという構成であるため、既存の船艇に対しても容易に採用することができる。
次に、本発明の摩擦抵抗低減型船艇に係る第2の実施形態について、図9を参照して説明する。
本実施形態の摩擦抵抗低減型船艇の構成は、基本的には第1の実施形態の摩擦抵抗低減型船艇と同様である。構成上の違いとしては、回転体14を備える凹陥部20を予め船体に設ける構成としたことである。よって、作用効果を同様とする箇所に関しては同一の符号を附して詳細な説明を省略する。
本実施形態の摩擦抵抗低減型船艇の構成は、基本的には第1の実施形態の摩擦抵抗低減型船艇と同様である。構成上の違いとしては、回転体14を備える凹陥部20を予め船体に設ける構成としたことである。よって、作用効果を同様とする箇所に関しては同一の符号を附して詳細な説明を省略する。
摩擦抵抗低減型船艇100を上記構成とすることにより、摩擦抵抗低減ユニットを貼付することによる出っ張りを無くすことができ、船体に作用する圧力抵抗を低減することができる。また、船体の建造時に凹陥部20を設ける構造を把握していることより、気体を供給する配管32類も船体内部へ納めることができる。
このような構成の摩擦抵抗低減型船艇であっても、上述した進行速度の向上、燃費の向上といった効果を奏することができる。
本発明の摩擦抵抗低減型船艇に利用する摩擦抵抗低減ユニットは、図10に示すようなものであっても良い。
本発明の摩擦抵抗低減型船艇に利用する摩擦抵抗低減ユニットは、図10に示すようなものであっても良い。
図10に示す摩擦抵抗低減ユニット200は、凹陥部220を形成したユニット本体212と、前記凹陥部220の開口部であって長手方向の両端部に備えられた2つの回転体214と、前記回転体214に掛け回されたベルト240とから成る。
上記構成の摩擦抵抗低減ユニット200において、ユニット本体212及び凹陥部220は、上記実施形態における摩擦抵抗低減ユニットと同様な構成である。
これに対し、回転体214は、前記凹陥部220に対してその長手方向の両端部にそれぞれ一つ設けられるのみである。そして、前記凹陥部220の端部に設けられた回転体214に対して無端ベルト(ベルト)240を掛けまわし、凹陥部220の開口部にベルトコンベアを形成する。
これに対し、回転体214は、前記凹陥部220に対してその長手方向の両端部にそれぞれ一つ設けられるのみである。そして、前記凹陥部220の端部に設けられた回転体214に対して無端ベルト(ベルト)240を掛けまわし、凹陥部220の開口部にベルトコンベアを形成する。
このような構成の摩擦抵抗低減ユニット200では、液体から受ける摩擦抵抗によってベルト240が回転すれば、上記実施形態における摩擦抵抗低減ユニットよりもさらに、図2(B)の状態に近づけることができ、液体と船体との接触面に生じる摩擦抵抗を低減することができる。
なお、図10に示す摩擦抵抗低減ユニット200において凹陥部220内に貯留する気体16は、凹陥部220の開口部側に位置するベルト240の裏面側までを満たすようにすることが望ましい。また、上述では、回転体214は凹陥部220の長手方向両端部に一つづつと記載したが、当然に、さらに沢山の回転体を設けてそれらにベルト240を掛け回す構成としても良い。
次に、本発明の摩擦抵抗低減型船艇に係る応用形態について図11を参照して説明する。本実施形態は、上述した摩擦抵抗低減ユニット10を空気圧力式複合支持船(以下TSLという)300に備えた場合の形態である。
TSL300はいわゆる空気浮上型の船艇であって、浮上型の双胴船である。なお、図11において(A)は浮上前のTSLを示す側面図であり、(B)は浮上時のTSLを示す側面図であり、(C)は進行方向正面図を示すブロック図である。その概略構成としては、双胴船の胴部302a,302b間の前方と後方にシール材304a,304bを設けて内部に空間320を形成し、前記空間320に気体を導入ことにより船体を浮上させるというものである。
本実施形態におけるTSL300では、前記シール材304a,304bは、気体の導入・排出によって膨縮を可能とするものであり、船体浮上時には膨張して前記空間320のシール材の役割を果たし、停止時には収縮して前記空間から気体を排出することができる。
このような構成のTSL300において、前記胴部302a,302bの下部であって、前記空間320を形成した際の開口部となる部分に、複数の回転体14を密接に配置することにより、TSL320自体を摩擦抵抗低減ユニットとみなしたものが本実施形態の船艇である。
すなわち、本実施形態では、前記胴部302a,302bと、前記シール材304a,304bとによって形成された空間320が上述した摩擦抵抗低減ユニット10の凹陥部20となり、前記胴部302a,302bの下部が前記凹陥部20の開口部となるのである。
このような構成の摩擦抵抗低減型船艇であっても、船体に作用する摩擦抵抗を低減することができる。また、前記空間へ導入する気体の量を減らすことができ、少エネルギを達成することができる。
上記実施形態においてはいずれも、水面を移動するものを船艇として挙げていたが、本発明における船艇とは、水中を移動する潜水艇(潜水艦)をも含むものであり、潜水艇に前述した摩擦抵抗低減ユニットを備えたとしても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
上述した第1の実施形態、第2の実施形態、及び応用形態では、いずれも回転体14として円筒体を使用する旨記載した。しかしながら、回転体14は図示したようなもののみに限られるものでは無い。すなわち、図1及び図7に示した回転体14は、ユニット本体12の幅と略同一の長さで示しているが、これをソロバン珠のように複数に分散させた状態としても良い。
また、形状自体を円筒体に限ることなく、図12に示すように球体としても良い。回転体を球体とした場合には、図12(A)に示すように、少なくとも2枚のプレート40,42によって、球体の一部を挟み込むようにして保持すれば良い。また、球体の配置としては、碁盤の目のように(図12(B)参照)配置しても良いし、石垣状に(図12(C)参照)配置しても良い。球体を石垣状に配置した場合、球体(回転体)間の隙間を小さくすることができ、摩擦抵抗低減に高い効果をあげることができる。さらに、回転体を球体とすることにより、液体との接触面に対する流れの方向を問わず、摩擦抵抗を低減させることが可能となる。
また、上述した摩擦抵抗低減ユニットではいずれも、回転体及びベルトは液体によって受動的に回転する旨記載した。しかしながら、回転体、もしくはユニットに動力部(不図示)を備え、前記回転体及びベルトに能動的な回転をさせるようにしても良い。このような構成によれば、物体と液体との接触面に生じる摩擦抵抗をより良好に低減することが可能となる。前記動力部については、回転体自体に取り付けても良いし、ユニット本体に取り付けるようにしても良い。
なお、実施形態において、図8、図9、及び図11に関しては、理解を容易にするために、摩擦抵抗低減ユニット及び回転体を実際の比率とは異なる比率で記載しており、実際に本発明を実施した場合には、前記回転体は、船体に対して十分に小さいものとして圧力抵抗を殆ど考慮しなくて良いものとなる。
10………摩擦抵抗低減ユニット、12………ユニット本体、14………回転体、18………軸、20………凹陥部、30………気体供給手段、32………配管、100………摩擦抵抗低減型船艇。
Claims (7)
- 気体を貯留する凹陥部と複数の回転体とを有し、前記回転体を前記凹陥部の開口部に備えるユニットを船体表面の喫水線以下の箇所に前記開口部が位置するように備えたことを特徴とする摩擦抵抗低減型船艇。
- 船体表面の喫水線以下の箇所に開口部が位置するように気体を貯留可能とする凹陥部を備え、
前記凹陥部の開口部に複数の回転体を配置したことを特徴とする摩擦抵抗低減型船艇。 - 前記複数の回転体にはベルトが掛け回され、前記凹陥部の開口部を覆うベルトコンベアが構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦抵抗低減型船艇。
- 前記回転体は、前記開口部に密接して配置する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦抵抗低減型船艇。
- 前記回転体は、少なくとも過半部が気体に接触するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の摩擦抵抗低減型船艇。
- 前記凹陥部に対して気体を供給する気体供給手段を備えたとことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の摩擦抵抗低減型船艇。
- 前記回転体を能動的に回転させる動力部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の摩擦抵抗低減型船艇。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101259626B1 (ko) * | 2011-04-18 | 2013-04-29 | 삼성중공업 주식회사 | 마찰저항 감소 선박 |
JP2017096402A (ja) * | 2015-11-24 | 2017-06-01 | 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 | 摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法 |
KR20190007765A (ko) | 2017-07-13 | 2019-01-23 | 김상호 | 무자석형 고정밀성 전자실린더 |
JP2022519972A (ja) * | 2018-11-19 | 2022-03-28 | エデュアルド アークシン カルロス | 航行中での前進に対する抵抗を減少させる回転体のタンデム配置によって形成される輸送用浮体構造 |
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2004
- 2004-07-16 JP JP2004209740A patent/JP2006027449A/ja active Pending
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