JP2017096402A - 摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法 - Google Patents

摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乱流境界層のなかでも、例えば船体の表面近くの領域である粘性底層とバッファー域に直接作用することにより、局所的に高いボイド率あるいは粒子の体積濃度を実現し、乱流を抑制し、船体等の対象物(構造物)の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法を提供すること。【解決手段】流体Xによる摩擦抵抗の低減を図る対象物11の表面に電極20を形成し、電極20に電力を印加することによる電気分解作用により発生する粒子及び/又は気泡を乱流境界層の内部の壁面である対象物11の表面から作用させることによって、対象物11の流体Xによる摩擦抵抗を低減する。【選択図】図1

Description

本発明は、流体による摩擦抵抗の低減を図る対象物についての摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法に関する。
船舶が航行する際に働く抵抗のなかでも影響の大きい摩擦抵抗の低減法として、水中に気泡を発生させる空気潤滑法やマイクロバブル法がある。
例えば、特許文献1には、喫水線より下の船首部の船体外板表面に所定の距離を隔てて形成した陽極側導電性塗膜面及び陰極側導電性塗膜面と、その両塗膜面に通電する電源装置とを設け、海水を電気分解して気泡を発生させ、気泡を後方に流すことによって船体の摩擦抵抗を低減する装置が記載されている。
また、特許文献2には、船体の没水表面の近傍に形成される境界層中に、気泡水混合流体を没水表面から斜め後方に向けて噴出させ、気泡単独の場合よりも的確に気泡を境界層内の所望の底層に送り込み、摩擦低減を行う装置が記載されている。
特開平9−48389号公報 特開平7−156859号公報
特許文献1は、圧縮空気を多孔板をくぐらせることにより気泡を形成し、その気泡を船体外板に設けた穴から噴出させる従来の技術に代えて、海水を電気分解して酸素と水素を発生させ、両塗膜面より離して泡として、船体外板に沿って、船の進行方向とは逆の方向に流して、摩擦抵抗を低減するものであり、乱流境界層と気泡との関係は考慮されていない。
また、特許文献2は、境界層中に気泡水混合流体を送り込んで船体の摩擦抵抗を低減しようとするものであるが、相対速度uが船体の航行速度と等しくなる距離δを境界層の範囲として捉えるものであり、境界層のなかでも船体の表面近くの領域である粘性底層とバッファー域と気泡との関係は考慮されていない。
そこで本発明は、乱流境界層のなかでも、例えば船体の表面近くの領域である粘性底層とバッファー域に直接作用することにより、局所的に高いボイド率あるいは粒子の体積濃度を実現し、乱流を抑制し、船体等の対象物(構造物)の摩擦抵抗を低減させる摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法を提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した摩擦抵抗低減方法においては、流体による摩擦抵抗の低減を図る対象物の表面に電極を形成し、電極に電力を印加することによる電気分解作用により発生する粒子及び/又は気泡を乱流境界層の内部の壁面である対象物の表面から作用させることによって、対象物の流体による摩擦抵抗を低減することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、粒子及び/又は気泡が乱流境界層の内部の壁面(対象物の表面)に形成した電極から発生するので、粒子及び/又は気泡は乱流境界層内の内部の壁面近くの領域である粘性底層とバッファー域に直接作用する。したがって、発生した粒子又は気泡が少量であっても、局所的に高い粒子の体積濃度あるいは気泡のボイド率を実現し、乱流を抑制し、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。また、乱流が抑制されることで乱流境界層内の拡散が小さくなるため、少量の粒子及び/又は気泡であっても内部の壁面近傍に留まりながら流れる。したがって、摩擦抵抗低減効果が高くなる。また、流体の圧力が高い環境下での利用であっても、特別な加圧手段を必要とすることなく、粒子及び/又は気泡を乱流境界層の内部の壁面から発生させることができる。
請求項2記載の本発明は、電力の印加時における電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、流体の流線と交差するように陽極と陰極を配置したことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、電極を流体の流線に対し平行に設置することができる。
請求項3記載の本発明は、電力の印加時における電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、流体の流線と平行となるように陽極と陰極を配置したことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、電極を流体の流線に対して垂直に設置することができる。
請求項4記載の本発明は、電極を対象物の表面と同一面に形成、又は電極を乱流境界層の粘性底層以下に対象物の表面から突出して形成したことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、対象物の表面には電極が形成されることによる凹凸がない、又は表面から突出しても摩擦抵抗に対する影響は実質的にないため、電極を対象物の表面に形成することによる抵抗増加を防止、又は突出して形成しても抵抗増加を抑制できる。
請求項5記載の本発明は、複数個の電極を対象物の表面に形成し、摩擦抵抗の低減を図る対象物の流体と接する部分全体を複数個の電極で覆ったことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、対象物の流体と接する部分全体を少量の粒子及び/又は気泡で内部の壁面近傍に留まりながら流すことができるため、摩擦抵抗低減効果を大きくすることができる。
請求項6記載の本発明は、電力を印加することによりイオン化して溶出する金属材料を、電極に用いたことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、粒子及び気泡を発生させて、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
請求項7記載の本発明は、電力として直流を用いたことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、電極に直流を印加して電気分解を行い、粒子及び/又は気泡を発生させることができる。直流を用いる場合は、例えばバッテリーに蓄電した電力を直接利用でき、電力を供給する電源装置も簡素化することが可能である。
請求項8記載の本発明は、電力として交流を用いたことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、周期的に陽極と陰極を入れ替えて電気分解を行うことができるため、例えば陽極と陰極から粒子及び/又は気泡を発生させることができ、陽極や陰極の消耗や、スケールの付着を低減することができる。
請求項9記載の本発明は、流体の流速又は電極の没水状態に応じて、電力を制御したことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、対象物の摩擦抵抗は流体の流速によって増減するので、流体の流速に応じて又は電極の没水状態に応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効果的に対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
請求項10記載の本発明は、乱流境界層の厚さに応じて、電力を制御したことを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、乱流境界層の厚さに応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効果的に対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
請求項11記載の本発明は、電気分解作用により発生する粒子の体積濃度を1.0E−8%以下1.0E−6%以上及び/又は気泡のボイド率を2%以下0.0001%以上としたことを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、電気分解作用による粒子及び/又は気泡の発生量を抑えつつ、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
請求項12に記載の本発明は、流体が水、海水又は水溶液であることを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、水、海水又は水溶液に含まれるイオンの作用により電気分解作用を促進し、水、海水又は水溶液と接する対象物の、水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。
請求項13記載に対応した摩擦抵抗を低減した構造物においては、請求項12に記載の摩擦抵抗低減方法を対象物としての水、海水又は水溶液と接する構造物に適用したことを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、水、海水又は水溶液に含まれるイオンの作用により電気分解作用を促進し、水、海水又は水溶液と接する構造物の、水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を効果的に低減できる。
請求項14記載の本発明は、構造物は、船舶の船体であることを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、船舶の船体の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特に船体の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
請求項15記載の本発明は、構造物は、船舶のプロペラであることを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、船舶のプロペラの水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特にプロペラの水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
請求項16記載の本発明は、構造物は、配管であることを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、配管の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特に配管の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
請求項17記載に対応した摩擦抵抗低減用の電極形成方法においては、請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の摩擦抵抗低減方法に用いる電極の形成方法であって、電極を、導電性材料を用いて対象物の表面に塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成したことを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、対象物の表面に電極を形成して、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
本発明の摩擦抵抗低減方法によれば、粒子及び/又は気泡が乱流境界層の内部の壁面(対象物の表面)に形成した電極から発生するので、粒子及び/又は気泡は乱流境界層内の内部の壁面近くの領域である粘性底層とバッファー域に直接作用する。したがって、発生した粒子又は気泡が少量であっても、局所的に高い粒子の体積濃度あるいは気泡のボイド率を実現し、乱流を抑制し、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。また、乱流が抑制されることで乱流境界層内の拡散が小さくなるため、少量の粒子及び/又は気泡であっても内部の壁面近傍に留まりながら流れる。したがって、摩擦抵抗低減効果が高くなる。また、流体の圧力が高い環境下での利用であっても、特別な加圧手段を必要とすることなく、粒子及び/又は気泡を乱流境界層の内部の壁面から発生させることができる。
また、電力の印加時における電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、流体の流線と交差するように陽極と陰極を配置した場合には、電極を流体の流線に対し平行に設置することができる。
また、電力の印加時における電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、流体の流線と平行となるように陽極と陰極を配置した場合には、電極を流体の流線に対して垂直に設置することができる。
また、電極を対象物の表面と同一面に形成、又は電極を乱流境界層の粘性底層以下に対象物の表面から突出して形成した場合には、対象物の表面には電極が形成されることによる凹凸がない、又は表面から突出しても摩擦抵抗に対する影響は実質的にないため、電極を対象物の表面に形成することによる抵抗増加を防止、又は突出して形成しても抵抗増加を抑制できる。
また、複数個の電極を対象物の表面に形成し、摩擦抵抗の低減を図る対象物の流体と接する部分全体を複数個の電極で覆った場合には、対象物の流体と接する部分全体を少量の粒子及び/又は気泡で内部の壁面近傍に留まりながら流すことができるため、摩擦抵抗低減効果を大きくすることができる。
また、電力を印加することによりイオン化して溶出する金属材料を、電極に用いた場合には、粒子及び気泡を発生させて、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
また、電力として直流を用いた場合には、電極に直流を印加して電気分解を行い、粒子及び/又は気泡を発生させることができる。直流を用いる場合は、例えばバッテリーに蓄電した電力を直接利用でき、電力を供給する電源装置も簡素化することが可能である。
また、電力として交流を用いた場合には、周期的に陽極と陰極を入れ替えて電気分解を行うことができるため、例えば陽極と陰極から粒子及び/又は気泡を発生させることができ、陽極や陰極の消耗や、スケールの付着を低減することができる。
また、流体の流速又は電極の没水状態に応じて、電力を制御した場合には、対象物の摩擦抵抗は流体の流速によって増減するので、流体の流速に応じて又は電極の没水状態に応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効果的に対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
また、乱流境界層の厚さに応じて、電力を制御した場合には、乱流境界層の厚さに応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効果的に対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
また、電気分解作用により発生する粒子の体積濃度を1.0E−8%以下1.0E−6%以上及び/又は気泡のボイド率を2%以下0.0001%以上とした場合には、電気分解作用による粒子及び/又は気泡の発生量を抑えつつ、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
また、流体が水、海水又は水溶液である場合には、水、海水又は水溶液に含まれるイオンの作用により電気分解作用を促進し、水、海水又は水溶液と接する対象物の、水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。
また、摩擦抵抗低減方法を対象物としての水、海水又は水溶液と接する構造物に適用した場合には、水、海水又は水溶液に含まれるイオンの作用により電気分解作用を促進し、水、海水又は水溶液と接する構造物の、水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を効果的に低減できる。
また、構造物が船舶の船体である場合には、船舶の船体の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特に船体の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
また、構造物が船舶のプロペラである場合には、船舶のプロペラの水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特にプロペラの水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
また、構造物が配管である場合には、配管の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗を低減できる。また、特に配管の水、海水又は水溶液による摩擦抵抗が大きい部分を選んで、局所的に摩擦抵抗の低減を図ることも可能である。
また、電極を、導電性材料を用いて対象物の表面に塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成した場合には、対象物の表面に電極を形成して、対象物の流体による摩擦抵抗を低減できる。
本発明の一実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図 同摩擦抵抗低減方法に用いる電極の模式図 本発明の他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図 同摩擦抵抗低減方法に用いる電極の模式図 本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図 本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図 本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を用いた船体11の部分水平断面図 本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用したプロペラを示す概略構成図 本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した配管を示す概略構成図 実験に用いた小型高速流路の全体図 同実験に用いた電極の構成図 同実験において沈殿物を発生させている様子を撮影した写真 同実験に用いた電極の陽極の下流側の高さ分部を示す図 同実験に用いた計測部の概要図 同実験の計測中の様子を撮影した写真 同実験による主流方向の平均速度分布図 同実験による主流方向の乱流強度分布図 同実験によるデータレートの分布図 同実験による主流方向の平均速度分布図 同実験による主流方向の乱流強度分布図 同実験によるデータレートの分布図
以下に、本発明の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図1は本発明の一実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図、図2は同摩擦抵抗低減方法に用いる電極の模式図である。
流体Xによる摩擦抵抗の低減を図る対象物としての構造物は、船舶10の船体11である。船舶10は、図1において白抜き矢印で示す方向に航行している。流体Xは、水、海水又は水溶液である。構造物である船体11は、流体X(水、海水又は水溶液)と接する。
船舶10が航行する際には、構造物である船体11の外板表面のうち水中に没する部分に乱流境界層が形成される。乱流境界層は、船体11の外板表面に近いほうから順に、粘性底層、バッファー域、対数則域と称される領域を有する。粘性底層及びバッファー域は、両者を合わせて概ね数十μmから数百μm程度である。
例えば、実船を対象として計算で求めた粘性底層及びバッファー域の計算結果としては、船長L=300m、船速12ktで約270μm(タンカー等大型外航船が相当)、L=300m、24ktで、約150μm(コンテナ船など大型高速外航船が相当)、L=70m、10ktで、約270μm(小型内航貨物船)であった。
船体11の外板表面のうち、流体Xと接する部分(喫水線Y以下の部分)には、長手方向が水平方向となるように形成された複数個の電極20が設けられている。それぞれの電極20は、陽極21と陰極22とで構成される。陽極21及び陰極22は、一端が船首部12側に位置し、他端が船尾部13側に位置する。このように、船体11は、その外板表面のうち流体Xと接する部分(喫水線Y以下の部分)全体が、複数個の電極20によって覆われている。なお、陽極21及び陰極22は、船首部12側から船尾部13側まで各々1本の電極でなく、複数個に分かれていても良い。また、船体11の外板表面のうち摩擦抵抗の大きい部分のみに電極20を形成することもできる。
電極20には電源装置30が接続されている。電源装置30の電力としては直流を用いる。直流を用いる場合は、バッテリーに蓄電した電力を直接利用でき、また電源装置30
も簡素化できる利点を有する。電源装置30は制御装置40によって電力の供給が制御される。なお、電源装置30の電力として交流を用いることも可能であり、この場合は、周期的に陽極と陰極を入れ替えて電気分解を行うことができる。交流を用いる場合は、陽極と陰極から粒子及び/又は気泡を発生させることができ、また、陽極や陰極の消耗や、スケールの付着を低減することができる。
図2は、電極20の模式図である。黒矢印は流体の流れ方向を示す。
電極20の陽極21と陰極22は、電力の印加時における陽極21と陰極22との間に形成される電気力線Fが、流体Xの流線Zと交差するように配置されている。
電極20には、電力を印加することによりイオン化して溶出する金属材料を用いる。例えば、粒子を発生する金属材料として、Ag(銀)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、はんだ、バビットメタル等があり、酸素及び水素を発生させる金属材料として、Ag、Sn、Zn、はんだ、バビットメタル等に加えて、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Be(ベリリウム)、Pt(白金)、Co(コバルト)、Ir(イリジウム)、Au(金)、Pd(パラジウム)、Cd(カドミウム)、Ru(ルテニウム)、Cu(銅)、In(インジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Pb(鉛)、Rh(ロジウム)、Cr(クロム)等の導電性金属と、真鍮、青銅、ステンレス等の合金、アルミ合金等の導電性の合金がある。このような金属材料を用いることによって粒子及び気泡を発生させることができる。なお、粒子を発生しない材料を用いて気泡だけを発生させてもよい。
電極20は、船体11の表面に導電性塗料を塗布することによって形成する。導電性塗料の塗布によって電極20を形成することで、凹凸を少なくし、電極20自身が抵抗増加の原因となることを防止できる。なお、塗布に代えて、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成することも可能である。ここで、印刷には、3Dプリンタを用いた形成も含む。また、導電性塗料に代えて、導電性樹脂又はカーボンを使用することも可能である。
電源装置30により電極20に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極21から酸素及び粒子が発生し、陰極22から水素が発生する。
電極20は、船体11の外板表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した粒子、また酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。このように、電気分解作用により発生する粒子及び気泡を乱流境界層の内部の壁面である船体11の表面から作用させることによって、局所的に高い粒子の体積濃度あるいは気泡のボイド率を実現し、乱流を抑制し、船体11の摩擦抵抗を低減させる。また、乱流が抑制されるため、乱流境界層内の気泡及び粒子の拡散が小さくなり、ごく少量の気泡又は粒子であっても、内部の壁面近傍に留まりながら後方に流れる。そのため、高い抵抗低減効果が得られる。
このように、少量の気泡又は粒子であっても摩擦抵抗低減効果を十分に得ることができるので、粒子及び気泡の発生量を少なくして電力消費量を抑えるために、電気分解作用により発生する粒子の体積濃度を1.0E−8%以下1.0E−6%以上及び気泡のボイド率を2%以下0.0001%以上とすることが好ましい。但し、粒子及び気泡の発生量をより重視する場合には、体積濃度を1.0E−7%台に、またボイド率を2%未満0.001%以上とすることが好ましい。
なお、後出の実験における、電気分解作用により発生する粒子の体積濃度を計算した結果、2.55E−7%〜6.12E−7%であった。
粒子の体積濃度がボイド率よりも数値的に低くて済む理由は、粒子の場合は細長い帯状となることが予測され、気泡の場合の球形に比べて体積的に小さくても長さが長いため、乱流の抑制に効果があるものと推定される。
制御装置40は、流量検出手段(流速センサ等)によって計測された流体Xの流速に応じて、電源装置30の電力を制御する。船体11の摩擦抵抗は流体Xの流速によって増減するので、流体Xの流速に応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効率的に船体11の摩擦抵抗を低減できる。すなわち、流速が速くなれば粒子及び/又は気泡の発生量を増し、流速が遅くなれば粒子及び/又は気泡の発生量を減らすことにより、効率的に摩擦抵抗の低減が図れる。
また、制御装置40は、船体11の喫水や姿勢に応じた電極20の没水状態に応じて、電源装置30の電力を制御する。船体11の摩擦抵抗は没水状態によって増減するので、電極20の没水状態に応じて電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調節することで、効率的に船体11の摩擦抵抗を低減できる。没水状態の検出には、喫水計や傾斜計等の他に電極20自身を用いてもよい。また、電極20の一部の周辺が水に漬からずに乾いている状態では、電力をかけても電流が流れないため、自動的に電力を制御して粒子及び/又は気泡の発生量を調整することも可能である。
なお、制御装置40は、乱流境界層の厚さに応じて、電源装置30の電力を制御してもよい。乱流境界層の厚さは、船体11の前縁からの位置、船速、及び水温を計測し、その計測値から、例えば、Karman−Schoenherrの抵抗係数式、対数速度分布式を用いて概算できる。したがってこの場合は、演算手段(パーソナルコンピュータ等)が、船体11の前縁からの位置を検出する位置検出手段、船速を計測する船側計測手段、及び水温を計測する水温計測手段によって得られた各値に基づいて乱流境界層の厚さを算出し、制御装置40は、その算出された乱流境界層の厚さに応じて電力を制御する。
次に図3及び図4を用いて本発明の他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図3は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図、図4は同摩擦抵抗低減方法に用いる電極の模式図である。
本実施形態は、長手方向が鉛直方向となるように形成された複数個の電極120が設けられている点において上記の実施形態と異なる。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極120は、陽極121と陰極122とで構成される。陽極121及び陰極122は、一端が喫水線Y側に位置し、他端が船底側に位置する。このように、船体11は、その外板表面のうち流体Xと接する部分(喫水線Y以下の部分)全体が、複数個の電極120によって覆われている。外表面が複雑な形状で、局所的な摩擦抵抗が異なる場合、気泡による摩擦抵抗低減を重視するときは、陰極122の方が気泡の発生量が多くなるため陰極122を摩擦抵抗の大きい部分に適用した方がよい。また、粒子による摩擦抵抗低減を重視するときは、陽極121を摩擦抵抗の大きい部分に適用した方がよい。
図4は、電極120の模式図である。黒矢印は流体の流れ方向を示す。
電極120の陽極121と陰極122は、電力の印加時における陽極121と陰極122との間に形成される電気力線Fが、流体Xの流線Zと平行となるように配置されている。
電源装置30により電極120に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極121から酸素及び粒子が発生し、陰極122から水素が発生する。
電極120は、船体11の外板表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。
電極120には、上記した実施形態の電極20と同様の金属材料を用いることができる。また、電極120は、上記した実施形態の電極20と同様に、塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成できる。
次に図5を用いて本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図5は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図である。
本実施形態は、千鳥状(網目状)に形成された複数個の電極220が設けられている点において上記の実施形態と異なる。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極220は、陽極221と陰極222とで構成される。電極220は、矩形である。船体11は、その外板表面のうち流体Xと接する部分(喫水線Y以下の部分)全体が、複数個の電極220によって覆われている。
電源装置30により電極220に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極221から酸素及び粒子が発生し、陰極222から水素が発生する。
電極220は、船体11の外板表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。
電極220には、上記した実施形態の電極20、120と同様の金属材料を用いることができる。また、電極220は、上記した実施形態の電極20、120と同様に、塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成できる。
次に図6を用いて本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図6(a)は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した船舶を示す概略構成図、図6(b)及び図6(c)は同摩擦抵抗低減方法に用いる電極の模式図である。
本実施形態は、千鳥状(網目状)に形成された複数個の電極320が設けられ、電極320に接続された電源装置130は、制御装置140によって電極320への電力供給が個別に制御される点において上記の実施形態と異なる。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極320は、矩形である。船体11は、その外板表面のうち流体Xと接する部分(喫水線Y以下の部分)全体が、複数個の電極320によって覆われている。
船体11の喫水線Y以下の表面を千鳥状(網目状)に覆うように形成された電極320への電力供給を制御することにより、様々な電極パターンを実施することができる。すなわち、電力供給される電極320を任意に選択することで、複数個の電極320の集合体としての見かけの電極形状を変更できる。
電源装置130により電極320に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極から酸素及び粒子が発生し、陰極から水素が発生する。
電極320は、船体11の外板表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。
電極320には、上記した実施形態の電極20、120、220と同様の金属材料を用いることができる。また、電極220は、上記した実施形態の電極20、120、220と同様に、塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成できる。
また、電極320の形状としては、図6(b)に示すような渦巻き型電極や図6(c)に示すような櫛型電極を用いてもよい。図6(b)に示す渦巻き型電極や図6(c)に示す櫛型電極では、陽極321と陰極322が比較的均一に分布できるため、粒子や気泡の発生も比較的均一化が図れる。
次に図7を用いて本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図7は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を用いる船体11の部分水平断面図であり、図中に電極を模式的に示している。なお、一点鎖線Aは船体中心線である。
本実施形態は、上記した電極20、120、220、320を、船体11の表面11aの表層に埋め込むことによって船体11の表面11aと同一面に形成している点において上記の実施形態と異なる。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極20、120、220、320は、船体11の表面11aと同一面に形成されるので、船体11の表面11aには、電極20、120、220、320が形成されても凹凸が生じない。したがって、電極20、120、220、320を船体11の表面11aに形成することで電極20、120、220、320自身が抵抗増加の原因となってしまうことを更に防止できる。電極20、120、220、320は、船体11を構成する材料の中に埋め込んでもよいし、陽極21、121、221、321と陰極
22、122、222、322間を絶縁材料で埋めて同一面に構成してもよい。
また、電極20、120、220、320を乱流境界層の粘性底層以下に船体11の表面から突出して形成してもよい。この場合、船体11から電極20、120、220、320の突出があっても摩擦抵抗の増加への影響は実質的に無いため、電極20、120、220、320自身が抵抗増加の原因となってしまうことを更に防止できる。
次に図8を用いて本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図8は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用したプロペラを示す概略構成図である。
本実施形態は、千鳥状(網目状)に形成された複数個の電極420が、プロペラ50の表面に設けられている。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極420は矩形であり、陽極421と陰極422で構成される。プロペラ50は、その表面が複数個の電極420によって覆われている。
電源装置30、130により電極420に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極421から酸素及び粒子が発生し、陰極422から水素が発生する。
電極420は、プロペラ50の表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。
電極420には、上記した実施形態の電極20、120、220、320と同様の金属材料を用いることができる。また、電極420は、上記した実施形態の電極20、120、220、320と同様に、塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成できる。
電極420は、プロペラ50のうちの、特に摩擦抵抗が大きくなる部分に選択的に設けてもよい。
次に図9を用いて本発明の更に他の実施形態による摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法について説明する。
図9は本実施形態による摩擦抵抗低減方法を適用した配管を示す概略構成図である。
本実施形態は、千鳥状(網目状)に形成された複数個の電極520が、配管60の内表面に形成されている。それ以外の構成は上記の実施形態と同じである。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
それぞれの電極520は矩形であり、陽極521と陰極522で構成される。配管60は、その内表面が複数個の電極520によって覆われている。
電源装置30、130により電極520に電力が印加されると流体Xが電気分解され、陽極521から酸素及び粒子が発生し、陰極522から水素が発生する。
電極520は、配管60の内表面(乱流境界層内の内部の壁面)に形成されているので、発生した酸素及び水素は気泡となって、乱流境界層内の粘性底層及びバッファー域に直接作用する。配管60の場合、不凍液や汚水等の水に各種の物質が混入した水溶液を取り扱うことが多い。
電極520には、上記した実施形態の電極20、120、220、320、420と同様の金属材料を用いることができる。また、電極420は、上記した実施形態の電極20、120、220、320、420と同様に、塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成できる。
電極520は、配管60のうちの、特に曲がり部や分岐部、急縮小部、急拡大部等の摩擦抵抗が大きくなる部分に選択的に設けてもよい。また、エルボ、ベンド、チーズ、レデューサ等の配管材料も配管のうちに入るものとする。
(実験)
本発明に関する実験結果について以下に説明する。
図10は実験に用いた小型高速流路の全体図である。本装置は、供試流体をポンプにより駆動し、拡大縮流部で整流を行うことで、試験部で二次元流れ(平行平板間の流れ)を実現するものである。試験部は透明なアクリル製であり、矩形断面(チャネル)を持つ。その主要寸法を表1に示す。試験部では、その断面形状から流速が大きくなると流れは完全発達した乱流となる。また試験部の上部には主流方向に500mm間隔で計5ヶ所の計測窓があり、せん断力計などを取り付けた計測蓋を設置することが可能となっている。
本実験では壁面近傍でのデータレートの向上のために、電解沈殿法により電気分解の際に生じる不溶性の沈殿物を直接壁面から溶出させトレーサーとして供給する方法を用いた。
電解沈殿法は、水を電気分解する際に陽極から発生する不溶性の沈殿物をトレーサーとする可視化手法である。スズ、亜鉛、ハンダ、バビットメタルなどの金属を陽極とすると、酸素を発生させずして白色の微粒子の雲を発生させることができる(石井幸治:流れの可視化技術のまとめ,九州大学応用力学研究所技術職員技術レポート,第8号,2007,pp.142-166.)。
電解沈殿法用の電極を計測蓋に施工した。図11に施工した計測蓋の計測面側を示す。陽極は試験部の幅方向の中心になるように施工されており、陰極はレーザードップラー流速計(LDV(Laser Doppler Velocimetry))のレーザー光線を妨げないよう、プローブを設置する反対側に施工した。
数cm/sの流れにおいて沈殿物を発生させている様子を図12に示す。
電極は壁面から沈殿物を溶出させるため、また流れを乱さないよう施工面となるべく平滑にするため、導電性銀塗料を塗布することにより製作した。製作した陽極の下流側の高さ分布を図12に示す。施工面に対して電極表面の高さは50μm程度だが、端部はそれよりも高く、特に下流端は200μm程度の高さとなっていることが分かる。端部が高くなっているのは塗布時のマスキングテープに起因するものである。
レーザードップラー流速計はレーザー光線を交差させ形成された測定体積を通過する微小粒子の散乱光のドップラー周波数変化を測定し、流体の流速を計測する手法である。非接触で測定ができ、空間分解能、時間分解能が高い、絶対測定が可能などの特徴を持っている(レーザー計測ハンドブック編集委員会編:レーザー計測ハンドブック, 1998, pp.159-161.)。ここで、小型高速流路に整備されているLDVシステムを表2に示す。このシステムでは2次元の計測も可能だが、本実験では壁面近傍を計測する際、高さ方向の流速を計測するレーザー光線を計測位置に差し込むことが難しいため1次元で計測を行った。プローブはトラバーサーに設置され、高さ方向に最小0.01mm間隔でトラバースさせた。
次に実験手法を説明する。
電極を施工した計測蓋を上流から3つ目の計測窓に設置した。計測部の概要図を図13に示す。LDV計測は幅方向の中心において陽極の下流端の3mm 下流(Pos.1)、また下流端からL/4=23mm上流の位置(Pos.2)で流路内の上面y=0mmから高さ方向の中心y=10mmまでの主流方向の流速分布を計測した。図10のように縮流部下流端をx=0mmとするとPos.1はx=1621mm、x=1596.5mmである。計測の様子を図15に示す。
次に計測結果を説明する。
まずPos.1での計測結果について述べる。計測条件を表3に示す。Pos.1-Flatは電極を施工していないケース、Pos.1-0.00A/mは電極が施工されているが電流を流していないケース、Pos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mはそれぞれ電圧(Volt.)を20、30、40Vかけたケースである。0.00A/m、0.23A/m、0.40A/m、0.56A/mはそれぞれ流した電流を電極の長さL=86mmで除した値である。Um(m/s)は断面内平均流速で、Pos.1-FlatとPos.1-0.00A/mではLDV計測結果から求めた値、Pos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mでは平均流速分布の変化が大きかったためPos.1-0.00A/mと同じ値を用いた。T(deg.)は水温で、RemはUmとチャネルの高さ2δで無次元化されたバルクレイノルズ数(Rem= Um(2δ)/ν, ν(m2/s):動粘性係数)である。平行平板間の流れはRem=3000程度から乱流に遷移するため、計測条件は完全発達した乱流であることがわかる。Reτは壁面摩擦速度uτ、チャネルの半高さδで無次元化されたレイノルズ数(Reτ= uτ(δ)/ν)である。摩擦速度uτ(m/s)はDeanの式(R. B. Dean : Reynolds number dependence of skin friction and other bulk flow variables in two-dimensional rectangular duct flow, ASME Trans. J. Fluids Eng, 100, 215, 1978)(cf=0.073×Rem-0.25)から算出した。
主流方向の平均速度分布を図16に示す。図16(a)は主流方向の平均速度分布を示した図、図16(b)は図16(a)に速度勾配の減少を示す長破線を追加で示した図、図16(c)は図16(a)から一部のデータを抜粋して見やすく示した図である。各図において破線は岩本らによるチャネル乱流(Reτ=650)のDNS計算結果(K. Iwamoto, et al. : Fully Developed 2-D Channel Flow at Re_tau = 650, DNS Database of Turbulence and Heat Transfer, 2002, http://thtlab.jp/DNS/CH12__PG.WL10)である。LDV計測は1点ごとに90秒間(最大5000samples)計測した。Pos.1-Flatを見ると粘性底層、バッファー域、対数則域がよく捉えられていることがわかる。またDNSと比較すると、対数則域において流速が小さい傾向となっている。Pos.1-0.00A/mを見ると概ねPos.1-Flatの結果と一致しているが、y+=5〜40において流速が小さくなっていることが分かる。ここで、図12を見ると陽極の下流端の高さは200μm程度あり、この計測条件においてはy+=12程度に相当する。この値はPos.1-0.00A/mの流速の低下がもっとも大きい位置と一致していることから、この流速の低下は電極の形状の影響によるものと考えられる。Pos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mを見るとy+=300より大きいところでは流速はPos.1-0.00A/mと一致していること、y+=7〜300付近では流速は大きく低下していることがわかる。y+=7〜20付近においてはPos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mの順に流速の低下が大きくなっている。またy+=40〜100付近においてはPos.1-0.56A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.23A/mの順に流速の低下が大きくなっており、電流を大きくすると流速の低下が大きくなっていることがわかる。またy+=1〜7付近においてはPos.1-0.56A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.23A/mの順に流速が増加している。
図16(b)に示すように、Pos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mにおいては、Pos.1-Flat又はPos.1-0.00A/mと比べて速度勾配が大きく減少していることが分かる。このように流場が大きく変化するということは、摩擦抵抗の低減効果が得られていることを意味する。
主流方向の乱流強度(速度変動の標準偏差、rms値)分布を図17に示す。Pos.1-Flat はDNSとピーク位置とピーク値及びy+=10以降の傾向がよく一致していることがわかる。 y+=1〜10においてバラツキが大きいのは壁面近傍ではデータレートが低く取得したサンプル数が少ないことに起因するものと考えられる。Pos.1-0.00A/mを見ると概ねPos.1-Flatの結果と一致しているが、y+=10〜30付近でPos.1-Flatより小さい値となっている。Pos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mを見ると、y+=300より大きいところではPos.1-0.00A/mと一致しているが、それ以外では全体的に大きな値をとっていることが分かる。またピークの位置がy+=30付近とPos.1-0.00A/mに比べ外側にあることがわかる。y+=10〜30付近においてはPos.1-0.23A/m、Pos.1-0.40A/m、Pos.1-0.56A/mの順に乱流強度が大きくなっており、これは平均流速分布のこの範囲での流速の低下の傾向と一致している。
データレートの分布を図18に示す。y+=1〜100において電流が大きくなるにつれてデータレートが向上していることがわかる。またy+=100より大きいところではデータレートに大きな差はないことがわかる。
Pos.1における計測ではデータレートは向上したものの、流場が大きく変化した。これはこの計測で流した電流では、沈殿物とともに酸素気泡も発生していたことが原因ではないかと考えられる。平均速度が低下し、乱流強度のピークが壁から離れるほうに移動するという傾向は、マイクロバブル流れの乱流計測でも同様の計測結果(北川石英他:PTV/LIF法によるマイクロバブル流れの乱流変調計測, 海上技術安全研究所第4回研究発表会講演集, 2003)が得られている。
そこで酸素の発生を防ぐため、より小さな電流で、また沈殿物を直接計測体積に混入させるために、電極の直下であるPos.2で計測を行った。実験条件を表4に示す。Pos.2-0.00A/mは電流を流していないケース、Pos.2-0.02A/mはPos.1での計測の1/10ほどの電圧3Vをかけたケースである。断面内平均流速UmはPos.2-0.00A/mでは計測値から算出し、Pos.2-0.02A/mではそれと同じ値を用いた。
主流方向の平均速度分布を図19に示す。LDV計測はPos.1での計測に比べて全体的にデータレートが低かったため、1点ごとに180秒間(最大5000samples)計測した。Pos.2では、電極表面をy=0mmとしている。Pos.2-0.00A/mを見ると、Pos.1-Flatとよく一致しており、電極端部の形状と異なり、電極表面上の凹凸は平均流速分布には大きな影響を与えないことがわかる。Pos.2-0.02A/mを見ると、y+=3〜20において流速が小さくなっているが、その変化量と変化範囲はPos.1での計測時と比較してどちらも小さくなっている。
主流方向の乱流強度分布を図20に示す。Pos.2-0.00A/mを見ると、平均流速分布と同様にPos.1-Flatとよく一致しており、電極端部の形状と異なり、電極面上の凹凸は乱流強度分布にも大きな影響を与えないことがわかる。Pos.2-0.02A/mを見ると、y+=3〜20において乱流強度が小さくなっている。これは平均流速分布が変化している範囲と一致している。また、平均流速分布と同様にその変化量と変化範囲はPos.1での計測時と比較してどちらも小さくなっている。
y+=0〜20のデータレートの分布を図21に示す。これより、Pos.2-0.02A/mではデータレートが1.5〜3倍程度向上していることがわかる。Pos.1と同様にデータレートに変化があった範囲は流場に変化があった範囲と一致しており、y+=20以降はデータレートに大きな差は見られなかった。
本発明の摩擦抵抗低減方法、摩擦抵抗を低減した構造物、及び摩擦抵抗低減用の電極形成方法は、水を含む流体の摩擦抵抗を受ける対象物や構造物(船舶の船体、船舶のプロペラ、配管等)に適用できる。
11 船体(対象物、構造物)
20、120、220、320、420、520 電極
21、121、221、321、421、521 陽極
22、122、222、322、422、522 陰極
30、130 電源装置
40、140 制御装置
50 プロペラ(対象物、構造物)
60 配管(対象物、構造物)
F 電気力線
X 流体
Z 流線

Claims (17)

  1. 流体による摩擦抵抗の低減を図る対象物の表面に電極を形成し、前記電極に電力を印加することによる電気分解作用により発生する粒子及び/又は気泡を乱流境界層の内部の壁面である前記対象物の前記表面から作用させることによって、前記対象物の前記流体による摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減方法。
  2. 前記電力の前記印加時における前記電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、前記流体の流線と交差するように前記陽極と前記陰極を配置したことを特徴とする請求項1に記載の摩擦抵抗低減方法。
  3. 前記電力の前記印加時における前記電極の陽極と陰極との間に形成される電気力線が、前記流体の流線と平行となるように前記陽極と前記陰極を配置したことを特徴とする請求項1に記載の摩擦抵抗低減方法。
  4. 前記電極を前記対象物の前記表面と同一面に形成、又は前記電極を前記乱流境界層の粘性底層以下に前記対象物の表面から突出して形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  5. 複数個の前記電極を前記対象物の前記表面に形成し、摩擦抵抗の低減を図る前記対象物の前記流体と接する部分全体を複数個の前記電極で覆ったことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  6. 前記電力を印加することによりイオン化して溶出する金属材料を、前記電極に用いたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  7. 前記電力として直流を用いたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  8. 前記電力として交流を用いたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  9. 前記流体の流速又は前記電極の没水状態に応じて、前記電力を制御したことを特徴とする請求項1から請求項8のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  10. 前記乱流境界層の厚さに応じて、前記電力を制御したことを特徴とする請求項1から請求項8のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  11. 前記電気分解作用により発生する前記粒子の体積濃度を1.0E−8%以下1.0E−6%以上及び/又は前記気泡のボイド率を2%以下0.0001%以上としたことを特徴とする請求項1から請求項10のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  12. 前記流体が水、海水又は水溶液であることを特徴とする請求項1から請求項11のうちの1項に記載の摩擦抵抗低減方法。
  13. 請求項12に記載の摩擦抵抗低減方法を前記対象物としての水、海水又は水溶液と接する構造物に適用したことを特徴とする摩擦抵抗を低減した構造物。
  14. 前記構造物は、船舶の船体であることを特徴とする請求項13に記載の摩擦抵抗を低減した構造物。
  15. 前記構造物は、船舶のプロペラであることを特徴とする請求項13に記載の摩擦抵抗を低減した構造物。
  16. 前記構造物は、配管であることを特徴とする請求項13に記載の摩擦抵抗を低減した構造物。
  17. 請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の摩擦抵抗低減方法に用いる前記電極の形成方法であって、前記電極を、導電性材料を用いて前記対象物の前記表面に塗布、印刷、貼付、又は埋め込みによって形成したことを特徴とする摩擦抵抗低減用の電極形成方法。
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