JP2006027389A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 送風機の自動停止時に内気温を的確に検出する。
【解決手段】 送風機制御手段によって、送風機の風量を自動制御する制御と、送風機を空調熱負荷条件に基づいて自動停止する制御とを行うようになっている自動制御方式の車両用空調装置であって、内気温検出装置60に、車室内空気温度を検出する内気温センサ32と、車室内空気を吸入して内気温センサ32の周囲を流通させる電動ファン53と、空調ケース2からの熱が内気温センサ32に伝達することを阻止する断熱カバー54とを備える。
【選択図】 図6

Description

本発明は、送風機の自動停止制御を実行する車両用空調装置において、内気温の検出装置に関する。
従来、車両用空調装置においては、車室内温度(内気温)を乗員の設定温度に維持するための目標吹出空気温度TAOを算出し、この目標吹出空気温度TAOの高低に応じて送風機の風量(車室内吹出空気の風量)を自動制御している(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、目標吹出空気温度TAOの低温域および高温域において送風機の風量を大きくし、TAOの中間温度域において送風機の風量を小さくするように、送風機の回転数を高回転域から低回転域にわたって連続的に自動制御している。
特開昭58−26618号公報
しかし、従来技術では、空調装置の起動後は常に送風機が作動し続ける構成になっている。そのため、空調装置の起動後時間が経過して車室内の空調状態が進行し、車室内温度が設定温度付近に到達し、車室内が快適な空調状態になった後も、送風機が作動し続ける。このため、乗員によっては送風機の作動音が煩わしいと感じて、送風機作動スイッチを手動操作して送風機を停止する場合がある。
このことは、自動制御方式の空調装置であるにもかかわらず、乗員に送風機作動スイッチの手動操作を強いることになり、自動制御方式の特徴を損なうことになる。
そこで、本発明者は、乗員が送風機を停止したいと感じる空調条件を自動判定して送風機を自動停止する車両用空調装置を先に特願2004−58599号の特許出願にて提案している。
この先願のように送風機を自動停止する制御を行う車両用空調装置においても、車両走行時に外気モードを選択している場合は、車両走行動圧(ラム圧)により外気が空調装置通風路内に導入されるので、送風機を自動停止しても、温度調整した外気空調風を車室内へ吹き出すことができる。
ところで、内気温を検出する内気温検出装置としてはアスピレータ方式が代表的である。このアスピレータ方式は、図11に示すように、内気吸入口51から車室内空気を吸入するセンサケース52内に内気温センサ(サーミスタ)32を収容するとともに、センサケース52をアスピレータホース56によりアスピレータ本体部57に結合している。
このアスピレータ本体部57は、室内空調ユニット1の空調ケース2の開口部58の周辺壁面に取り付けられ、開口部58から空調ケース2内の空気を僅少量導入し、この導入空気を絞り部57aで絞ることにより負圧を発生するようになっている。
これにより、車室内空気を内気吸入口51→センサケース52→アスピレータホース56を経てアスピレータ本体部57内に吸入して、センサケース52内の内気温センサ32にて内気温(車室内温度)を検出している。
しかし、先願によると、送風機の自動停止時には室内空調ユニット内の空気流れの風量が0になったり、大幅に減少するので、アスピレータ方式の内気温検出装置では、内気温センサ32周囲を通過する空気流量も0になったり、大幅に減少する。
これに加え、送風機の自動停止時には室内空調ユニット1の空調ケース2温度がヒータコア(暖房用熱交換器)15の熱の影響で上昇する。そして、室内空調ユニット1の空調ケース2に対してセンサケース52がアスピレータホース56およびアスピレータ本体部57を経て熱的に結合されているので、センサケース52の温度も上昇する。
この結果、先願のものでは、送風機の自動停止時に内気温の検出精度が低下することが分かった。
本発明は上記点に鑑み、送風機の自動停止制御を行う車両用空調装置において、送風機の自動停止時に内気温を的確に検出することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ吹き出す空気の温度および前記車室内へ吹き出す空気の風量を自動制御する自動制御方式の車両用空調装置において、
前記車室内へ向かって空気を送風する送風機(8)と、
前記送風機(8)の送風空気と熱交換を行う熱交換器(9、15)と、
前記送風機(8)および前記熱交換器(9、15)を内蔵し、前記車室内へ向かう空気の通路を形成する空調ケース(2)と、
前記送風機(8)の作動を自動制御する送風機制御手段(S70、S90)と、
車室内温度を検出する内気温検出装置(60)と、
車室内へ吹き出す空気の温度を調整する温度調整手段(17)と、
少なくとも前記内気温検出装置(60)の検出温度に基づいて前記温度調整手段(17)の操作位置を自動制御する吹出温度制御手段(S20、S40、S50)とを備え、
前記送風機制御手段(S70、S90)は、前記送風機(8)の風量を自動制御する制御と、前記送風機(8)を空調熱負荷条件に基づいて自動停止する制御とを行うようになっており、
前記内気温検出装置(60)は、車室内空気温度を検出する内気温センサ(32)と、車室内空気を吸入して前記内気温センサ(32)の周囲を流通させる電動ファン(53)と、前記空調ケース(2)からの熱が前記内気温センサ(32)に伝達することを阻止する断熱手段(54、50)とを有することを特徴としている。
これによると、先願と同様に、空調熱負荷条件に基づいて送風機(8)を自動停止するから、快適な空調状態において送風機(8)の作動音をなくして車室内を静粛な環境とすることができ、乗員の快適性を一層向上できる。しかも、乗員に手動操作の煩わしさを与えることがないから、実用上極めて有利である。
更に、内気温検出装置(60)に車室内空気を吸入して内気温センサ(32)の周囲を流通させる電動ファン(53)を備えているから、送風機(8)の自動停止時にもセンサ専用の電動ファン(53)により内気温センサ(32)に対して車室内空気を必要な風量だけ送風できる。
また、送風機(8)の自動停止時に空調ケース(2)の温度が暖房用熱交換器(15)の熱で温度上昇しても、空調ケース(2)からの熱が内気温センサ(32)に伝達することを断熱手段(54、50)により阻止できる。
このようにセンサ専用の電動ファン(53)による車室内空気の送風作用と、断熱手段(54、50)による空調ケース(2)からの熱の遮断作用とを組み合わせることにより、送風機(8)の自動停止時にも内気温の検出精度を確保して、車室内吹出空気の温度制御を良好に行うことができる。
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の車両用空調装置において、前記内気温センサ(32)および前記電動ファン(53)の外面側を被覆する断熱カバー(54)を有し、前記断熱カバー(54)により前記断熱手段を構成できる。
請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、前記内気温検出装置(60)および前記空調ケース(2)をともに車両計器盤(50)の内側部に配置してよい。
いる。
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、空調ケース(2)が車両計器盤(50)の内側部に配置され、前記内気温検出装置(60)が前記車両計器盤(50)の外側部に配置され、
前記車両計器盤(50)自体により前記断熱手段を構成することを特徴とする。
これによると、既存の車両計器盤(50)自体を断熱手段として利用することにより、送風機(8)の自動停止時における内気温の検出精度を確保できる。従って、内気温検出装置(60)専用の断熱手段を新たに設定せずに済み、内気温検出装置(60)のコストを低減できる。
請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載の車両用空調装置において、前記内気温検出装置(60)を前記車両計器盤(50)の外側面から突出するように配置してよい。
請求項6に記載の発明のように、請求項4に記載の車両用空調装置において、前記車両計器盤(50)にその内側方向に凹んだ凹部(50b)を形成し、
前記凹部(50b)内に前記内気温検出装置(60)を配置するようにしてもよい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の全体構成の概要を示すもので、車両用空調装置は車室内最前部に位置する計器盤50(後述の図 参照)の内側部に配設される室内空調ユニット1を備えている。
この室内空調ユニット1はケース2を有し、このケース2内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。このケース2の空気通路の最上流部に内気導入口3および外気導入口4を有する内外気切替箱5を配置している。この内外気切替箱5内に、内外気切替手段としての内外気切替ドア6を回転自在に配置している。
この内外気切替ドア6はサーボモータ7によって駆動されるもので、内気導入口3より
内気(車室内空気)を導入する内気モードと外気導入口4より外気(車室外空気)を導入
する外気モードとを切り替える。
内外気切替箱5の下流側には車室内に向かう空気流を発生させる電動式の送風機8を配
置している。この送風機8は、遠心式の送風ファン8aをモータ8bにより駆動するよう
になっている。送風機8の下流側にはケース2内を流れる空気を冷却する蒸発器9を配置
している。この蒸発器9は、送風機8の送風空気を冷却する冷房用熱交換器で、冷凍サイ
クル装置10を構成する要素の一つである。
なお、冷凍サイクル装置10は、圧縮機11の吐出側から、凝縮器12、受液器13お
よび減圧手段をなす膨張弁14を介して蒸発器9に冷媒が循環するように形成された周知
のものである。凝縮器12には電動式の冷却ファン12aによって室外空気(冷却空気)
が送風される。
冷凍サイクル装置10において、圧縮機11は電磁クラッチ11aを介して車両エンジ
ン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ11aの通電の断続により圧縮
機11の作動を断続制御できる。また、蒸発器9は、膨張弁14にて減圧された後の低温
低圧の気液2相状態の冷媒が送風機8の送風空気から吸熱して蒸発することにより、送風
空気を冷却する。
一方、室内空調ユニット1において、蒸発器9の下流側にはケース2内を流れる空気を
加熱するヒータコア15を配置している。このヒータコア15は車両エンジンの温水(エ
ンジン冷却水)を熱源として、蒸発器9通過後の空気(冷風)を加熱する暖房用熱交換器
である。ヒータコア15の側方にはバイパス通路16が形成され、このバイパス通路16
をヒータコア15のバイパス空気が流れる。
蒸発器9とヒータコア15との間に温度調整手段をなすエアミックスドア17を回転自
在に配置してある。このエアミックスドア17はサーボモータ18により駆動されて、そ
の回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
このエアミックスドア17の開度によりヒータコア15を通る空気量(温風量)と、バ
イパス通路16を通過してヒータコア15をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調
節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
ケース2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスWに向けて空調風を吹き出す
ためのデフロスタ吹出口19、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出
口20、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口21の計3種
類の吹出口が設けられている。
これら吹出口19〜21の上流部にはデフロスタドア22、フェイスドア23およびフットドア24が回転自在に配置されている。これらのドア22〜24は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ25によって開閉操作される。
次に、本実施形態の電気制御部の概要を説明すると、空調制御装置30は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この空調制御装置30は、そのROM内に空調制御のための制御プログラムを記憶しており、その制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
空調制御装置30の入力側にはセンサ群31〜35からセンサ検出信号が入力され、また、車室内前部の計器盤(図示せず)付近に配置される空調パネル36から各種操作信号が入力される。
センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気温センサ31、内気温(車室内温度)Trを検出する内気温センサ32、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ33、蒸発器9の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ34、ヒータコア15に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ35等が設けられる。
また、空調パネル36には各種操作スイッチとして、図2に示すスイッチ37〜43が設けられている。温度設定スイッチ37は車室内の設定温度の信号を出すもので、設定温度上昇用スイッチ37aと、設定温度低下用スイッチ37bと、設定温度表示部37cとを備えている。
吹出モードスイッチ38は吹出モードドア22〜24により設定される各種吹出モードをマニュアル設定するための信号を出すもので、フェイスモードスイッチ38a、バイレベルモードスイッチ38b、フットモードスイッチ38c、フットデフロスタモードスイッチ38d、およびデフロスタモードスイッチ38eを備えている。
内外気切替スイッチ39は内外気切替ドア6による内気モードと外気モードをマニュアル設定する信号を出すもので、内気モードスイッチ39aと外気モードスイッチ39bを備えている。
エアコンスイッチ40は圧縮機11の作動指令信号(電磁クラッチ11aのON信号)を出すものである。エコノミースイッチ41はエアコンスイッチ40の投入時よりも目標蒸発器吹出温度TEOを引き上げる信号を出して圧縮機11の稼働率を低下させるものである。
送風機作動スイッチ42は送風機8の風量切替をマニュアル設定するための信号を出すもので、送風機8を停止するOFFスイッチ42a、低風量用スイッチ42b、第1中風量用スイッチ42c、第1中風量より所定量多い第2中風量用のスイッチ42d、および大風量用スイッチ42eを備えている。
オートスイッチ43は空調自動制御状態の指令信号を出すもので、オートスイッチ43をオン状態にすると、エアコンスイッチ40およびエコノミースイッチ41がオフ状態であっても、電磁クラッチ11aに通電して、圧縮機11を作動状態にし、かつ、各種空調機器の作動を自動制御する状態にする。
空調制御装置30の出力側には、圧縮機11の電磁クラッチ11a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ7、18、25、送風機8のモータ8b、凝縮器冷却ファン12aのモータ12b等が接続され、これらの機器の作動が空調制御装置30の出力信号により制御される。
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。最初に、室内空調ユニット1の
作動の概要を説明すると、送風機8を作動させることにより、内気導入口3または外気導
入口4より導入された空気がケース2内を車室内に向かって送風される。また、電磁クラ
ッチ11aに通電して電磁クラッチ11aを接続状態とし、圧縮機11を車両エンジンに
て駆動することにより、冷凍サイクル装置10内を冷媒が循環する。
送風機8の送風空気は、先ず蒸発器9を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエア
ミックスドア17の回転位置(開度)に応じてヒータコア15を通過する流れとバイパス
通路16を通過する流れとに分けられる。ヒータコア15を通過する流れは加熱されて温
風となり、バイパス通路16を通過する流れは冷風のままである。
従って、エアミックスドア17の開度によりヒータコア15を通る空気量(温風量)と
、バイパス通路16を通過する空気量(冷風量)との割合を調整し、これにより、車室内
に吹き出す空気の温度を調整できる。そして、この温度調整された空調風が、ケース2の
空気通路の最下流部に位置するデフロスタ吹出口19、フェイス吹出口20およびフット
吹出口21のうち、いずれか1つまたは複数の吹出口から車室内へ吹き出して、車室内の
空調および車両の前面窓ガラスWの曇り止めを行う。
次に、本実施形態による空調自動制御を図3に基づいて説明する。図3は空調制御装置30のマイクロコンピュータにより実行される制御ルーチンのフローチャートであり、こ
の制御ルーチンはオートスイッチ43の投入によりスタートし、先ず、ステップS10に
てセンサ群31〜35の検出信号、空調パネル36からの各種操作信号等を読み込む。
次に、ステップS20にて車室内への吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。この
目標吹出温度TAOは空調熱負荷変動にかかわらず、空調パネル36の温度設定スイッチ
37により乗員が設定した設定温度Tsetに車室内温度を維持するために必要な車室内
吹出空気温度である。このTAOは設定温度Tset、外気温Tam、内気温Tr、日射
量Tsに基づいて下記数式(1)により算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C (1)
但し Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン
C:補正用の定数
次に、ステップS30にて目標蒸発器吹出温度TEOを算出する。ここで、目標蒸発器
吹出温度TEOは、主に、車室内吹出空気の温度制御、車両前面窓ガラスWの曇り止め制
御、圧縮機11の省動力(エコノミー)制御、車室内湿度制御等のために決定される制御値であって、周知のごとく目標吹出温度TAO、外気温度Tam、車室内湿度等に応じて算出される。
次に、ステップS40にてエアミックスドア17の目標開度SWを、目標吹出温度TA
Oと、蒸発器温度センサ34により検出される蒸発器吹出空気温度Teと、水温センサ4
4により検出される温水温度Twとに基づいて次式(2)により算出する。
SW={(TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%) (2)
次に、ステップS50にて、エアミックスドア17の実際の開度が上記目標開度SWと
なるように、サーボモータ18によりエアミックスドア17を駆動制御する。これにより
、車室内吹出温度が目標吹出温度TAOとなるように制御され、車室内温度Trが設定温
度Tsetに維持される。
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア17の最大冷房位置であり、バイパス通路
16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)
は、エアミックスドア17の最大暖房位置であり、バイパス通路16を全閉し、ヒータコ
ア15側の通風路を全開する。
次に、ステップS60にて目標吹出温度TAOが、前記設定温度Tset付近の所定中
間温度域にあるか判定する。この設定温度Tset付近の所定中間温度域は具体的には1
8℃〜34℃である。前記設定温度Tsetは、乗員が快適と感じる温度であって、通常
、25℃前後の温度が設定される。
従って、TAO=18℃〜34℃という、この中間温度域は、室内空調ユニット1の空調熱負荷が最小となる温度域であると言うことができる。ここで、室内空調ユニット1の空調熱負荷とは、車室内温度Trを設定温度Tsetに維持するために、室内空調ユニット1の吸い込み空気を冷却または加熱する熱量を言う。
空調装置の起動時、例えば、夏期の冷房起動時では車室内が50℃以上にも及ぶ高温に
なることがあるので、目標吹出温度TAOが冷房起動時には−30℃以下の低温度として
算出される。このため、ステップS60の判定はNOとなる。
また、冬期の暖房起動時には車室内が逆に0℃以下のような低温になるので、目標吹出
温度TAOが暖房起動時には90℃以上にも及ぶ高温として算出される。このため、ステ
ップS60の判定はNOとなる。
このように、空調装置の起動直後の冷房立ち上げ時および暖房立ち上げ時には室内空調
ユニット1の空調熱負荷が非常に大きくなって、目標吹出温度TAOが設定温度Tset
から大きく離れた高温または低温として算出されるので、ステップS60の判定がNOと
なり、ステップS70に進む。
このステップS70では、送風機8を作動(ON)状態にするとともに、送風機8の風
量を目標吹出温度TAOの変化に応じて自動制御する。
この風量制御を図4に基づいて具体的に説明すると、夏期の冷房起動時には通常、目標
吹出温度TAOが、図4の第1所定温度T1(例えば−30℃)より低い温度として算出
されるので、送風機8の駆動モータ8bへの印加電圧を最大にして、送風機8の風量を最
大風量(Hi)に設定する。
そして、車室内の冷房が進行して車室内温度(内気温)Trが低下するにつれて目標吹
出温度TAOが上昇する。目標吹出温度TAOが第1所定温度T1以上に上昇すると、こ
れにつれて、送風機8の駆動モータ8bへの印加電圧を連続的に低下して送風機8の風量
を連続的に低下させる。
目標吹出温度TAOが第2所定温度T2(例えば8℃)まで上昇すると送風機8の風量
を最小風量(Lo)まで低下させる。
これに対し、冬期の暖房起動時には通常、目標吹出温度TAOが図4の第6所定温度T
6(例えば90℃)より高い温度として算出されるので、送風機8の駆動モータ8bへの
印加電圧を最大にして、送風機8の風量を最大風量(Hi)に設定する。
なお、図4では、目標吹出温度TAOの低温側(冷房側)の最大風量(Hi)と目標吹
出温度TAOの高温側(暖房側)の最大風量(Hi)とを同一値として示しているが、一
般に最大冷房時の必要風量の方が最大暖房時の必要風量より大きいので、実際には、目標
吹出温度TAOの高温側(暖房側)の最大風量(Hi)を目標吹出温度TAOの低温側(
冷房側)の最大風量(Hi)よりも所定量小さく設定する。
そして、車室内の暖房が進行して車室内温度(内気温)Trが上昇するにつれて目標吹
出温度TAOが低下する。目標吹出温度TAOが第6所定温度T6以下に低下すると、こ
れにつれて、送風機8の駆動モータ8bへの印加電圧を連続的に低下して送風機8の風量
を連続的に低下させる。
目標吹出温度TAOが第5所定温度T5(例えば44℃)まで低下すると送風機8の風
量を最小風量(Lo)まで低下させる。
図3において、次のステップS80では、圧縮機11を作動(ON)状態にするととも
に、圧縮機11の能力制御を行う。具体的には、蒸発器9の吹出空気温度Te(温度セン
サ34の検出温度)が目標蒸発器吹出温度TEOとなるように圧縮機11の能力制御を行
う。
本実施形態では、圧縮機11として常に一定の吐出容量で作動する固定容量型圧縮機を
用いているので、具体的には、図5に示すように圧縮機11の作動を断続制御する。すな
わち、蒸発器9の実際の吹出空気温度Teが目標蒸発器吹出温度TEOまで上昇すると、
電磁クラッチ11aに通電して圧縮機11を作動状態とし、蒸発器9の実際の吹出空気温
度Teが目標蒸発器吹出温度TEO−αまで低下すると、電磁クラッチ11aへの通電を
遮断して圧縮機11を停止(OFF)状態とする。ここで、αはハンチング防止のための
ヒステリシス幅で、例えば、1℃程度である。
このように、圧縮機11の作動を断続制御することにより、圧縮機11の稼働率、ひい
ては冷媒吐出能力が制御されて、蒸発器9の実際の吹出空気温度Teが目標蒸発器吹出温
度TEO付近に維持される。
ところで、春秋の中間季節等においては、車室内空調の熱負荷が元々小さいので、送風
機8の風量を最小風量(Lo)まで低下しても、車室内温度(内気温)Trを乗員が設定
した設定温度Tset付近に維持することができる。このような空調熱負荷条件下では、
目標吹出温度TAOが前記した設定温度Tset付近の所定中間温度域(18℃〜34℃
)の範囲内に入る。
この場合には、図3のステップS60の判定がYESとなるので、ステップS90に進
み、送風機8の駆動モータ8bへの通電を遮断して送風機8を完全に停止する。続いて、
ステップS100にて電磁クラッチ11aへの通電を遮断状態に維持して、圧縮機11を
完全な停止状態に維持する。
これにより、車室内を送風機騒音が全くない静粛な雰囲気にすることができ、車室内の
快適性を向上できるとともに、送風機8の消費電力低減および圧縮機11の駆動動力低減
効果を発揮できる。しかも、車室内空調の熱負荷が小さい状況を判定して、送風機8およ
び圧縮機11の自動停止制御を行うから、乗員の手動操作を必要とせず、乗員に操作負担
をかけることもない。
更に、送風機8の風量を最小風量(Lo)にする第2所定温度T2と第5所定温度T5との温度範囲(例えば、8℃〜44℃)の内側に入る所定温度範囲(例えば、18℃〜34℃)を車室内空調の熱負荷が最小となる範囲とし、この空調熱負荷最小範囲にて送風機8および圧縮機11を自動停止しているから、送風機8および圧縮機11の停止状態が持続されて、目標吹出温度TAOが上記空調熱負荷最小範囲(例えば、18℃〜34℃)の外側へ変動した場合に、送風機8が必ず最小風量で再起動する。
従って、送風機8が最小風量よりも高い風量で急に再起動するという違和感を乗員に与
えることを確実に回避できる。このことも乗員の快適性向上に貢献できる
なお、ステップS60の判定がYESとなって、送風機8の自動停止制御を行っている場合は、空調パネル36の送風機作動スイッチ42のOFFスイッチ42aおよびオートスイッチ43に設けられた表示部42a’、43aを点灯することにより、送風機8の自動停止制御中であることを乗員に表示できる。表示部42a’、43aは周知の発光ダイオード等で構成すればよい。
ところで、送風機8の自動停止時においても内外気切替箱5の内外気切替ドア6を外気導入口4より外気(車室外空気)を導入する外気モード位置に操作することにより、車両走行動圧により外気を室内空調ユニット1のケース2内に導入し、この導入外気をエアミックスドア17により温度調整し、その温度調整した空気を車室内へ吹き出すことができる。
よって、送風機8の自動停止時においても車室内吹出空気の温度制御を的確に行う必要がある。そのためには、送風機8の自動停止時においても内気温度を内気温センサ32により的確に検出する必要がある。
しかるに、図11に示す従来の代表的なアスピレータ方式の内気温検出装置では、送風機8の自動停止時に前述のごとく内気温センサ32を通過する空気流量の減少、および室内空調ユニット1からの熱伝導の影響で内気温を的確に検出できない。
そこで、本実施形態においては、内気温度の的確な検出のために、内気温検出装置を図6に示すように構成している。図6において、計器盤50のうち車室内乗員側に面する壁面に格子状のスリットを有する内気吸入口51が開口している。この内気吸入口51は、通常、図7に示すように計器盤50のうち、運転席前方の位置に設定される。より具体的には、運転者の左膝の上方部付近に内気吸入口51は設定される。なお、図7は車両右側に運転席を配置する右ハンドル車の場合を示している。
室内空調ユニット1は、計器盤50の内側空間のうち助手席前方側から車両左右方向の中央部付近にわたって配置されている。
内気吸入口51の内側部(計器盤50の内側部)に樹脂製のセンサケース52が配置され、このセンサケース52の一端側に内気入口52aを設け、この内気入口52aを計器盤50の内気吸入口51に接続している。
センサケース52の内部に内気温センサ32およびセンサファン53が配置されている。センサファン53は軸流式送風ファン53aとファン駆動用モータ53bとから構成される電動ファンである。ファン駆動用モータ53bに空調制御装置30を通して通電することにより、モータ53bが回転してセンサファン53が送風作用をなす。
センサケース52の他端側、すなわち、センサケース52において内気吸入口51から離れる側の端部に内気出口52bを設けている。センサケース52の外面は、内気入口52aと内気出口52bを除く全体を断熱カバー54により被覆している。
この断熱カバー54は室内空調ユニット1のケース2からの熱を遮断するための部材であって、断熱性に優れた樹脂多孔質断熱材等により構成される。この断熱カバー54にはセンサケース52の内気出口52bと連通する内気出口穴54aが設けてある。図6では、
内気温センサ32、センサケース52、センサファン53、断熱カバー54等により内気温検出装置60を構成している。
図6の内気温検出装置60によると、ファン駆動用モータ53bに空調制御装置30を通して通電することにより、モータ53bが回転してセンサファン53が内気吸入口51からセンサケース52へ向かって送風作用を発揮する。
このセンサファン53は空調用送風機8の作動、停止と関係なくモータ53bの回転により常に所定の送風作用を発揮できる。よって、空調用送風機8の作動停止中であっても、内気温度検出のために必要な風量の内気を内気吸入口51から吸入してセンサケース52内へ送風できる。
しかも、センサケース52と室内空調ユニット1が、計器盤50の内側空間にて隣接配置されても、センサケース52の外面を断熱カバー54により被覆しているから、室内空調ユニット1の熱Aがセンサケース52に伝達することを断熱カバー54により阻止できる。
以上のことから、送風機8の自動停止時においても、内気温度を内気温センサ32により的確に検出でき、その検出温度に基づいて車室内吹出空気温度を的確に制御することができる。
図8(a)は第1実施形態(図6)の内気温検出装置による効果を示す実験結果であり、図8(a)の縦軸は温度で、横軸は時間を示す。図8(a)は、時間:0〜5分の間は送風機8が作動し、車室内温度(内気温)は設定温度Tset付近に維持されている。そして、時間が5分経過後に送風機8を停止している。
このように、送風機8の作動、停止を自動制御した場合における実際の車室内平均温度Tr0と、図6の内気温検出装置の内気温センサ32の検出温度Tr1と、図11に示す従来のアスピレータ方式の内気温検出装置の内気温センサ32の検出温度Tr2とを示す。
なお、実際の車室内平均温度Tr0は、図8(b)に示す6箇所の測定温度の平均値である。実験条件として、空調の内外気吸入モードは外気モードであり、外気温Tamは10℃である。
図8(a)は外気温Tam=10℃という冬期の暖房条件下での実験であるので、送風機8の停止後は、車室内へ吹き出す空気(温風)の風量低下により車室内平均温度Tr0は設定温度Tsetから徐々に低下していく。
第1実施形態(図6)の内気温検出装置によると、検出内気温Tr1が車室内平均温度Tr0の低下に伴って低下する傾向を示すので、送風機8の停止後でも内気温度の検出精度をある程度確保できる。
しかるに、従来のアスピレータ方式(図11)では、送風機8の停止後、車室内平均温度Tr0の低下とは逆に、その検出内気温Tr2が上昇する傾向を示し、内気温の検出精度が著しく悪化する。
なお、第1実施形態では、図1のエアミックスドア17により「車室内へ吹き出す空気の温度を調整する温度調整手段」を構成し、また、図3のステップS70、S90により「送風機8の作動を自動制御する送風機制御手段」を構成し、また、図3のステップS20、S40、S50により「少なくとも内気温検出装置60の検出温度に基づいてエアミックスドア(温度調整手段)17の操作位置を自動制御する吹出温度制御手段」を構成している。
(第2実施形態)
図9は第2実施形態による内気温検出装置を示しており、計器盤50のうち車室側の面(外面)にセンサケース52を配置し、このセンサケース52内部に内気温センサ32およびセンサファン53を配置している。センサファン53は第1実施形態と同様に軸流式送風ファン53aとファン駆動用モータ53bとから構成される電動ファンである。
センサケース52の前面部(一端側)に格子状のスリットを有する内気入口52aを設け、計器盤50のうちセンサケース52の後方部(他端側)に位置する部位に内気出口50aを設けている。センサファン53は内気を内気入口52aからセンサケース52内に吸入し、その後、内気出口50aから計器盤50の内側空間に内気を排出する。
第2実施形態によると、計器盤50自体によって室内空調ユニット1の熱Aがセンサケース52に伝達することを阻止できる。従って、第1実施形態の断熱カバー54を廃止しても、送風機8の自動停止時に第1実施形態と同程度の内気温検出精度を確保できる。
(第3実施形態)
第2実施形態では計器盤50のうち車室側の面(外面)からセンサケース52が車室側へ突出するので、計器盤50のデザイン上問題となる場合がある。
そこで、第3実施形態では図10に示すように、計器盤50自体に計器盤50の内側方向(車両前方側)へ凹んだ凹部50bを形成し、この凹部50bの内部に、内気温センサ32およびセンサファン53を配置している。凹部50bの前面部(一端側)に格子状のスリットを有する内気入口55aを開口した前面部材55を配置している。
第3実施形態によると、計器盤50の凹部50b内に内気温センサ32およびセンサファン53を配置しているので、第2実施形態によるセンサケース52の突出形状を解消して、計器盤50のデザイン上の問題を解決できる。
また、第3実施形態においても、計器盤50自体によって室内空調ユニット1の熱Aがセンサケース52に伝達することを阻止できるので、内気温検出精度の面では第2実施形態と同様の効果を発揮できる。
(他の実施形態)
なお、第1実施形態では、車室内吹出空気の温度調整手段としてエアミックスドア17を用いているが、この温度調整手段として、ヒータコア15に流入する温水の流量や温度を調整する周知の温水弁を用いてもよい。
また、車室内所定部位の表面温度を非接触で検出する赤外線センサを内気温センサとして用いれば、送風機8の自動停止時にも内気温を的確に検出できる。
また、図11に示す従来のアスピレータ方式の内気温検出装置において、送風機8の自動停止時には内気温センサ32の検出値を所定割合だけ低温側へ補正するようにすれば、
送風機8の自動停止時における内気温検出値の精度を向上できる。
本発明の第1実施形態を示す全体システム構成図である。 第1実施形態における空調パネルの正面図である。 第1実施形態の空調制御の概要を示すフローチャ−トである。 第1実施形態による送風機制御の特性図である。 第1実施形態による固定容量型圧縮機の断続制御の特性図である。 第1実施形態による内気温検出装置の具体例を示す断面図である。 第1実施形態による室内空調ユニットと内気温検出装置の計器盤に対する配置例を示す断面図である。 (a)は第1実施形態による内気温検出の効果を示すグラフ、(b)は(a)の車室内平均温度の測定位置を示す説明図である。 第2実施形態による内気温検出装置の具体例を示す断面図である。 第3実施形態による内気温検出装置の具体例を示す断面図である。 従来のアスピレータ方式の内気温検出装置を示す断面図である。
符号の説明
8…送風機、9…蒸発器(冷房用熱交換器)、15…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
17…エアミックスドア(温度調整手段)、30…空調制御装置、32…内気温センサ、
50…計器盤(断熱手段)、53…センサファン(電動ファン)、
54…断熱カバー(断熱手段)、60…内気温検出装置。

Claims (6)

  1. 車室内へ吹き出す空気の温度および前記車室内へ吹き出す空気の風量を自動制御する自動制御方式の車両用空調装置において、
    前記車室内へ向かって空気を送風する送風機(8)と、
    前記送風機(8)の送風空気と熱交換を行う熱交換器(9、15)と、
    前記送風機(8)および前記熱交換器(9、15)を内蔵し、前記車室内へ向かう空気の通路を形成する空調ケース(2)と、
    前記送風機(8)の作動を自動制御する送風機制御手段(S70、S90)と、
    車室内温度を検出する内気温検出装置(60)と、
    車室内へ吹き出す空気の温度を調整する温度調整手段(17)と、
    少なくとも前記内気温検出装置(60)の検出温度に基づいて前記温度調整手段(17)の操作位置を自動制御する吹出温度制御手段(S20、S40、S50)とを備え、
    前記送風機制御手段(S70、S90)は、前記送風機(8)の風量を自動制御する制御と、前記送風機(8)を空調熱負荷条件に基づいて自動停止する制御とを行うようになっており、
    前記内気温検出装置(60)は、車室内空気温度を検出する内気温センサ(32)と、車室内空気を吸入して前記内気温センサ(32)の周囲を流通させる電動ファン(53)と、前記空調ケース(2)からの熱が前記内気温センサ(32)に伝達することを阻止する断熱手段(54、50)とを有することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記内気温センサ(32)および前記電動ファン(53)の外面側を被覆する断熱カバー(54)を有し、前記断熱カバー(54)により前記断熱手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記内気温検出装置(60)および前記空調ケース(2)がともに車両計器盤(50)の内側部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記空調ケース(2)が車両計器盤(50)の内側部に配置され、前記内気温検出装置(60)が前記車両計器盤(50)の外側部に配置され、
    前記車両計器盤(50)自体により前記断熱手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  5. 前記内気温検出装置(60)が前記車両計器盤(50)の外側面から突出するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記車両計器盤(50)にその内側方向に凹んだ凹部(50b)を形成し、
    前記凹部(50b)内に前記内気温検出装置(60)が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
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