JP2006026894A - ワイヤソー用ビードおよびワイヤソー - Google Patents

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Abstract

【課題】
寿命および切削力をさらに向上させることができるワイヤソー用ビードおよびこのビードを備えたワイヤソーを提供する。
【解決手段】
金属材からなる中空円筒状のシャンク(11)と、前記シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層(12)と、前記金属結合材層によりシャンクの本体部の外周面に固定される研磨材(13)とを備えるワイヤソー用ビードであって、前記シャンクの本体部の外周面には、少なくとも一つ以上の溝(19)が形成されており、前記溝は、金属結合材層を構成する金属結合材によって充填されてワイヤソー用ビードを構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、石材およびコンクリート構造物などを切断するのに用いられるワイヤソーに関し、詳しくは、金属結合材層とシャンクとの接触面積を増加させて金属結合材層の接合強度を一層向上させることができるワイヤソー用ビードおよびワイヤソーに関する。
一般に、石材およびコンクリート構造物を切断するための切断工具としては、円状の切断用ソー(以下、サーキュラーソーと称する)およびワイヤソーが用いられる。前記サーキュラーソーとワイヤソーとの最も大きな差異点は、切断する被削材の大きさが制限されるか否かという点である。前記サーキュラーソーは、その切断構造上、その半径以上の厚さを有する被削材を切断することができない。
その反面、前記ワイヤソーは、その長さによって如何なる被削材も容易に切断でき、被削材の厚さおよび形態などに制限を受けない。上記した特性のため、前記ワイヤソーは、石材を採取する切断作業だけでなく、鉄筋コンクリート構造物を解体するための切断作業にも広用される。
図1は、従来のワイヤソーを用いた切断作業を示す概略図である。図1に示すように、ワイヤソーを用いて被削材を切断するためには、被削材300の近くにガイドレール210を設置し、このガイドレール210上にワイヤソーマシン200を滑動自在に取り付けた後、前記被削材300の切断部位に垂直ホール301を貫通形成する。
次に、前記垂直ホール301を通して挿入されるワイヤソー100を前記ワイヤソーマシン200の駆動プーリ201に設置し、電源を印加すると、駆動プーリ201が一方向に回転駆動し、この回転動力がワイヤソー100に伝達されてワイヤソー100が一方向に移動すると、被削材300が切断される。
図2(a)および図2(b)は、従来のワイヤソーを示した部分詳細図で、図示したように、従来のワイヤソー100において、多数の鋼線をねじって形成したワイヤー110の外周面には、ダイヤモンドチップである多数個のビード120が所定間隔をおいて結合される。これらビード120のそれぞれは、金属材からなる中空円筒状のシャンク121と、その外周面に一体に結合される金属結合材層122と、この金属結合材層122によって固定される多数個のダイヤモンドDと、から構成される。
ここで、前記ダイヤモンドDを支持する金属結合材層122は、鉄、コバルトおよびニッケルなどをベースとし、一つあるいはそれ以上の他の金属からなる金属粉末を焼結、ろう付けまたは電気メッキすることで、前記シャンク121の外周面に結合される。
前記ワイヤソー100において、上記のように構成されるビード120がワイヤー110に所定間隔をおいて結合される。前記ビード120の結合方式としては、図2(a)に示した樹脂結合方式、または、図2(b)に示したスプリング連結方式などが用いられる。前記樹脂結合方式は、所定間隔をおいて配置された中空円筒状のシャンク121の中心にワイヤー110を貫通させた状態でシャンク121を金型内に設置し、この金型内にポリウレタンまたはゴムなどの樹脂を射出成形して樹脂層130を形成することで、前記ワイヤー110に所定間隔をおいて配置されたビード120とワイヤー110とを一体に結合固定する方式である。ここで、前記ビード120のシャンク121の内周面には、前記樹脂層130との結合力を高めるためのらせん溝が形成される。
一方、前記スプリング連結方式は、図2(b)に示すように、ダイヤモンドDが金属結合材層122に装着された中空円筒状のシャンク121をワイヤー110に所定間隔をおいて嵌め合わせた後、隣接する各シャンク121の間の所定間隔を維持するためのスプリング部材141をそれぞれ配置する。前記スプリング連結方式では、前記スプリング部材141の両端が前記シャンク121に直接接しないように、前記シャンク121の両端にスペーサー142を設ける。
図3は、従来のワイヤソー用ビードを示した断面図である。図3に示すように、ワイヤソー用ビード120のシャンク121は、研磨材が結合されない先端部121aと、後端部121bと、外周面に研磨材が結合される本体部121cとを有し、前記本体部121cと前記先端部121aとの間、そして、前記本体部121cと後端部121bとの間には、段121d、121eがそれぞれ形成される。
従来の電気メッキ法によってビードを製作する場合、電気メッキされるシャンク121の本体部121cの外周面の状態やメッキ条件などにより、メッキ層とシャンクとの接合力が影響を受ける。電気メッキ法によって製作されたビードは、焼結法によって製作されるビードに比べると、切削時に金属結合材層122に発生する負荷によってシャンク121から容易に脱落するので、その寿命が短縮するという問題点があった。
また、電気メッキ法によって製作されたビードは、焼結法によって製作されたビードに比べて、ビードの表面が有する集中度が高いため、作業時に負荷がやや高く作用するという問題点があった。
焼結法によって製作されたビードは、金属粉末とダイヤモンド研磨材との混合粉末を成形・焼結することで製作される。したがって、焼結法によると、添加されるダイヤモンド研磨材の量を調節することで、各ダイヤモンドの間の間隔を調節することができる。
しかしながら、電気メッキ法では、シャンクの表面にダイヤモンドが積層された状態でメッキが施されるため、ダイヤモンドは、ビードの表面に非常に高い密度で配置され、各ダイヤモンドの間の間隔が非常に短い。したがって、切断作業時に発生する負荷量がビードの表面に露出された各ダイヤモンドに小さく分布することで、ダイヤモンド研磨材の刃が少しずつ研磨されて鈍る。
したがって、切断作業において、ダイヤモンド研磨材の刃が鈍るにつれて、切断作業による負荷が増加する。一方、ろう付け法によって製作される従来のビードにも、電気メッキ法によって製作されるビードと類似した問題点がある。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、寿命をさらに向上させることができるワイヤソー用ビードおよびこのビードを備えたワイヤソーを提供することを目的とする。また、寿命および切削力をさらに向上させることができるワイヤソー用ビードおよびこのビードを備えたワイヤソーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によるワイヤソー用ビードは、金属材からなる中空円筒状のシャンクと、前記シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、前記金属結合材層によりシャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、前記シャンクの本体部の外周面には、少なくとも一つの溝が形成されており、前記溝は、金属結合材層を構成する金属結合材によって充填されることを特徴とする。
また、本発明によるワイヤソー用ビードは、金属材からなる中空円筒状のシャンクと、前記シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、前記金属結合材層により前記シャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、前記シャンクの本体部の外周面には、少なくとも一つの溝が形成されており、前記溝は、前記金属結合材層を構成する金属結合材によって充填され、前記溝の全部または一部には、前記研磨材と、前記金属結合材層を構成する金属結合材と、が共に充填されることを特徴とする。
また、本発明によるワイヤソー用ビードは、金属材からなる中空円筒状のシャンクと、前記シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、前記金属結合材層により前記シャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、前記研磨材が固定されるシャンクの本体部は、二つ以上の領域からなり、前記各領域の間には、段が形成されており、切削方向に対して最先端に位置する領域の外径は、他の領域の外径よりも小さいことを特徴とする。
本発明によると、シャンクと金属結合材層との間の接合強度を向上することで、寿命が向上したビードおよびこれを含むワイヤソーを提供することができるという効果がある。また、寿命が延長し、切削力が増加したビードおよびこれを含むワイヤソーを提供することができるという効果がある。
本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。
本発明は、金属材からなる中空円筒状のシャンクと、このシャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、この金属結合材層によってシャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードおよびこのビードを備えるワイヤソーに関するものである。
前記シャンクは、通常、研磨材が結合されない先端部及び後端部と、その外周面に研磨材が結合される本体部とを有し、前記本体部と前記先端部との間、そして、前記本体部と前記後端部との間には、段がそれぞれ形成される。
本発明によるワイヤソー用ビードは、その本体部の外周面に少なくとも一つの溝が形成されるシャンクを含む。前記シャンクの外周面に形成された溝は、金属結合材層を構成する金属結合材によって充填される。
また、前記溝の一部または全部は、研磨材と、金属結合材層を構成する金属結合材と、によって充填される。本発明の溝は、シャンクの円周方向に不連続的に規則または不規則に形成されるか、または、連続的にリング状に形成される。前記溝は、リング状に形成されることが好ましい。
本発明の溝は、その深さが0.1乃至1.0mmとなるように形成されることが好ましく、その幅は、0.1乃至2.0mmとなるように形成されることが好ましい。また、本発明の溝は、シャンクをその長さ方向に切断したとき、その断面が半円状、三角形状または四角形状をなすように形成される。
本発明におけるシャンクの表面で溝が占める面積は、溝の幅によって変わる。シャンクの全体表面積に対する溝の面積比率は、50%以下であることが好ましい。前記溝の面積比率が全体表面に対して50%を超える場合、前記金属結合材層の最外表面に固定される研磨材の固定領域が相対的に少なくなり、その結果、ビードが迅速に摩耗する。
一方、本発明による他のワイヤソー用ビードは、その本体部が段によって区画される二つ以上の領域からなるシャンクを含む。すなわち、前記シャンクの本体部は、一つ以上の段を有する。前記各段は、切削方向と垂直に形成されることが好ましい。
前記シャンクの本体部は、切削方向に対して最先端に位置する領域の外径は、他の領域の外径よりも小さい。前記本体部に形成される段は、1個以上であり、2〜4個であることが好ましい。前記段の高さは、0.05mm以上であることが好ましく、0.05〜0.5mmであることが最も好ましい。
前記シャンクの本体部の各領域は、シャンクの長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することが好ましい。前記各領域は、その幅が互いに同一になるように、若しくは、一部または全部が異なるように形成される。
また、前記シャンクの本体部の各領域は、その外周面が水平又は傾斜するように形成される。前記外周面が傾斜して形成される場合、その傾斜度を15゜以下に設定することが好ましい。
段が形成されるシャンクの本体部の外周面には、多数個の溝が形成される。このとき、溝の形状は、三角形状、四角形状または半円状であることが好ましい。段が形成されるシャンクの本体部の外周面に溝を形成すると、金属結合層とシャンクとの結合が一層強くなるので、ビードの寿命が延長する。
研磨材は、段が形成される本発明のシャンクの本体部の外周面に全体的に固定される。
本発明に使用される研磨材としては、ダイヤモンド粒子が挙げられる。前記研磨材は、溝または/および段が形成される本発明のシャンクの本体部の外周面に電気メッキまたはろう付けによって一体に維持されることが好ましい。
本発明のワイヤソーは、上記のように構成されるビードを含んで構成される。以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図4は、本発明のワイヤソー用ビードをシャンクの長さ方向に切断した断面図である。図4に示すように、本発明によるワイヤソー用ビード10a、10b、10c、10dは、シャンク11、金属結合材層12および研磨材13を備える。前記シャンク11は、金属素材からなるもので、その内部には、長さ方向に貫通する貫通型中空14が形成されており、この貫通型中空14には、ワイヤソーのワイヤーが貫通される。前記シャンク11の外周面には、溝19が形成されている。
前記溝19は、シャンク11の円周方向に不連続的に規則または不規則に形成されるか、または、連続的にリング状に形成される。前記溝19は、リング状に形成されることが好ましい。本発明の溝19は、シャンク11をその長さ方向に切断したとき、その断面が図4(a)および図4(b)に示すような三角形状、図4(c)に示すような四角形状、または、図4(d)に示すような半円状をなすように、形成される。
前記金属結合材層12は、シャンク11の外周面に一体に結合されており、複数個の研磨材13は、この金属結合材層12によってシャンク11に一体に固定される。前記金属結合材層12は、シャンク11に電気メッキ法またはろう付け法によって一体に結合されることが好ましい。
本発明によってシャンクの外周面に溝19が形成される場合、図4(a)に示すように、その溝19は、金属結合材層を構成する金属結合材のみによって充填されるか、または、図4(b)乃至図4(d)に示すように、前記溝19の一部または全部は、研磨材13と、金属結合材層12を構成する金属結合材と、によって充填される。本発明によって溝19を形成する場合、金属結合材層とシャンクとの接合面積を増大させることにより、金属結合材層の接合力を向上させ、その結果、ビードの寿命を延長させることができる。
また、図4(b)乃至図4(d)に示すように、溝が少なくとも研磨材の一部を収容する程度の大きさで形成される場合、金属結合材層に含まれる研磨材の高さが変わることもある。このように、研磨材の高さが変わる場合は、切断作業時、前記研磨材13と被削材との間で作業に寄与する研磨材の数量が減少し、切断負荷が少なくかかるとともに、溝によって高さが変わった研磨材は、後で作業に寄与することで、ビードの寿命を延長させる効果をもたらす。
本発明の溝19は、その深さが0.1乃至1.0mmとなるように形成されることが好ましく、その幅が0.1乃至2.0mmとなるように形成されることが好ましい。前記各溝19の幅および深さは、それぞれ同一の大きさ、または、異なる大きさを有する。前記溝19は、1個以上形成されるが、その数量が増加するほど、金属結合材層とシャンクとの結合力が高くなる。
しかしながら、シャンクの表面で溝が占める面積が過度に大きい場合は、前記金属結合材層の最外表面に固定される研磨材13の固定領域が相対的に少なくなることで、前記ビードの摩耗が迅速になる。したがって、シャンクの全体表面積に対する溝19の面積比率は、50%以下になることが好ましい。
本発明に使用される研磨材13としては、ダイヤモンド粒子が挙げられる。前記研磨材13は、溝19が形成される本発明のシャンクの本体部の外周面に電気メッキまたはろう付けにより一体に維持されることが好ましい。
一方、図5は、本発明によるワイヤソー用ビードをシャンクの長さ方向に切断した図である。図5(a)および図5(b)に示すように、本発明によるワイヤソー用ビード40a、40bは、シャンク41、金属結合材層42および研磨材43を備える。前記シャンク41は、金属素材からなるもので、その内部には、長さ方向に貫通する貫通型中空44が形成されており、この貫通型中空44には、ワイヤソーのワイヤーが貫通される。
また、前記シャンク41は、研磨材が結合されない先端部31および後端部32と、その外周面に研磨材が結合される本体部111、112と、を含み、前記本体部111、112と前記先端部31との間、そして、前記本体部111、112と前記後端部32との間には、段31a、32aがそれぞれ形成されている。
前記シャンク41の本体部111、112の外周面には、2個の段45がそれぞれ形成されている。すなわち、前記研磨材が固定されるシャンクの本体部111、112の外周面は、2個の段45によってそれぞれ区画される3個の領域111a、111b、111cまたは112a、112b、112cにより構成されている。
図5(a)および図5(b)に示すように、研磨材43が固定されるシャンク41の本体部111の各領域は、水平な外周面を有する。前記各領域は、図5(a)に示すように、その外径が切削方向に先端部から後端部に行くにつれて順次大きくなるように形成される。また、図5(b)に示すように、研磨材43が固定されるシャンク41の本体部112の各領域のうち最も大きい外径を有する領域112bが中央に位置するように、前記各領域を形成することができる。
一方、前記シャンクの本体部の各領域の外周面は、必ず水平である必要はない。すなわち、図6に示すように、ビード50のシャンク51の本体部113の各領域113a、113b、113cは、傾斜して形成されることもあり、このとき、その傾斜度は、15゜以下に設定することが好ましい。前記シャンク41、51の本体部の領域は、2個以上が好ましく、3〜5個が最も好ましい。すなわち、前記シャンク41、51の本体部には、一つ以上の段45、55が形成されることが好ましく、2〜4個の段が形成されることが最も好ましい。
図6において、符号52は、金属結合材層を示し、符号53は、研磨材を示している。本発明において、シャンクの本体部の領域数が増加するほど、すなわち、段の数が多いほど、ビードの外径側における面積が増加し、金属結合材層とシャンクとの結合力が高くなる。しかしながら、前記段の数が過度に多い場合、切断作業中にワイヤーの方向で発生する衝撃負荷に対するビードの強度が弱くなる。
前記シャンクの本体部に形成される段の高さは、0.05mm以上であることが好ましく、0.05〜0.5mmであることが最も好ましい。前記段の高さがダイヤモンドの高さよりも大きくなると、ビードの最外領域に位置したダイヤモンドに摩耗が発生した後、最外領域の直下部に位置した各ダイヤモンドが露出されず、切断作業が不可能になってビードの寿命が短縮する。
前記本体部を構成する各領域は、シャンク長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することが好ましく、各部分は、互いに異なる幅を有することもできる。本発明によってシャンクの本体部が段を形成する場合、金属結合材層とシャンクとの接合面積が増加することにより、金属結合材層の接合力が向上し、その結果、ビードの寿命が延長する。
また、本発明によってシャンクの本体部に段を形成する場合、研磨材が異なる高さを有することで、切断作業時、前記研磨材と被削材との間で作業に寄与する研磨材の数量が減少し、切断負荷が少なくなるとともに、ビードによる切断速度が増大する効果をもたらす。
また、本発明のように、前記シャンクの本体部を、切削方向に対して最先端に位置する領域が他の領域の外径よりも小さい外径を有するように形成することで、ビードが被削材を切断するために被削材と接触するとき、衝突によって発生する負荷が減少し、切断溝にワイヤーを案内してボンド層の衝撃による損傷および離脱の発生が抑制される。
さらに、本発明では、図7(a)、図7(b)および図7(c)に示すように、段65が形成されるシャンク61の本体部211に多数個の溝211a、211b、211cを形成することが好ましい。
図7(a)は、三角形状の溝211aを有するビード60aを示し、図7(b)は、四角形状の溝211bを有するビード60bを示し、図7(c)は、半円状である溝211cを有するビード60cを示す。図7の符号"64"は、"貫通型中空"を示す。
上記のように溝を形成する場合、金属結合材層とシャンクとの結合が一層強くなってビードの寿命が延長される。溝の大きさは、研磨材の直径よりも小さいことが好ましい。これは、溝の直径がダイヤモンドの直径よりも大きい場合、研磨材がその内部に含まれるが、この場合、研磨材が切断作業に寄与しない反面、金属結合材層が被切削部材に接触し、この金属結合材層の寿命が減少する原因になるためである。もちろん、図5(b)に示すように、本体部の外径がシャンクの進行方向に順次増加しない場合だけでなく、図6に示すように、本体部の各領域が傾斜する場合も溝が形成される。
一方、前記研磨材は、段が形成される本発明のシャンクの本体部の外周面全体にかけて固定される。前記研磨材としては、ダイヤモンド粒子が好ましい。前記金属結合材層42、52は、シャンク41、51の外周面に一体に結合されており、この金属結合材層42、52によって複数個の研磨材43、53がシャンク41、51の外周面に一体に固定される。前記金属結合材層42、52は、シャンク41、51に電気メッキ法またはろう付け法によって一体に結合されることが好ましい。
一方、図8および図9には、本発明によるワイヤソーの各例が提示されている。本発明によって構成されるビード10は、図8(a)および図9(a)に示すように、樹脂層21、71によってワイヤー110に所定間隔をおいて固定されることで、本発明のワイヤソー20a、70aを構成する。
本発明のワイヤソー20a、70aでは、本発明のビード10、40のシャンク11、41の中空部に前記ワイヤー110が位置するように金型(図示せず)上に設置した状態で、前記金型内にウレタン樹脂またはゴムなどの樹脂材を射出成形することにより、ビード10、40が、この射出成形された樹脂層21、71によってワイヤー110に所定間隔をおいて固定される。
また、本発明によって構成されるビード10、40は、図8(b)および図9(b)に示すように、スプリング22、72によってワイヤー110に所定間隔をおいて固定されることで、本発明の他のワイヤソー20b、70bを構成する。前記スプリング部材22、72の先端及び後端には、前記シャンク11、41の摩耗を減少するためのスペーサー23、73がそれぞれ装着される。
上記のように構成される本発明のワイヤソーを使用して被削材を切断する場合、ビードの寿命が長くなり、切削能力もさらに向上する。
以下、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
本発明によって外周面に溝が形成された中空円筒状のシャンクを準備した。このとき、溝は、リング状に8個を形成し、その幅は、0.1mm、深さは、0.1mmであった。
上記のように準備したシャンクの外周面に金属結合材を使用して研磨材であるダイヤモンド粒子を固定し、ビードを製作した。このとき、金属結合材によるダイヤモンド粒子の固定は、電気メッキ方式によって行われた。
上記のように製作されたビードを樹脂層によって1m当り40個ずつ装着し、10mの長さを有するワイヤソー(発明例1)を製作した。
上記のように、本発明によって製作されたワイヤソー(発明例1)、および図3に示すように、シャンクの外周面に溝が形成されない従来のワイヤソー(従来例)を用いて横/縦辺の長さが1m、0.5mである配筋率5%の鉄筋コンクリート被削材を20回ずつ切断した後、その切削性能指数および寿命指数を測定し、その測定結果を下記表1に示した。
このとき、作業条件は、移動速度が25m/s、切断速度が1m2/Hrであった。
Figure 2006026894
上記表1に示すように、本発明による発明例1によれば、従来例に比べて切削性能が優れていることが分かる。また、発明例1の場合、ビード表面の金属結合材層の剥離が生じておらず、その結果、寿命が、従来例に比べて25%延長したことが確認された。
(実施形態2)
シャンクの外周面に形成される溝を4個形成し、その幅を0.5mm、深さを0.5mmにすることを除けば、実施形態1の発明例1と同様な方法でワイヤソーを製作した。
上記のように製作されたワイヤソー(発明例2)および溝が形成されない従来のワイヤソー(従来例)を用いて、横/縦辺の長さが1m、0.8mである大理石材質の被削材を40回ずつ切断した後、その 切削性能指数 および 寿命指数 を測定し、その測定結果を下記表2に示した。このとき、作業条件は、移動速度が25m/s、切断速度が1.5m2/Hrであった。
Figure 2006026894
上記表2に示すように、本発明による発明例2によれば、従来例に比べて切削性能が優れており、長い寿命を有することが分かる。
(実施形態3)
本発明によって外周面に溝が形成された中空円筒状のシャンクを準備した。前記溝の個数は4個であり、溝の幅および深さは、下記表3のように形成した。
上記のように準備した中空円筒状のシャンクの外周面に、ろう付け方式により金属結合材層を研磨材であるダイヤモンド粒子と一緒に接合し、本発明によるビード(発明ビード1)を製作した。
また、上記のように準備した中空円筒状のシャンクの外周面に、電気メッキ方式により金属結合材層を研磨材であるダイヤモンド粒子と一緒に接合し、本発明によるビード(発明ビード2)を製作した。
上記のように製作された発明ビード1および発明ビード2をそれぞれ使用し、ワイヤソー(発明例3)およびワイヤソー(発明例4)を製作した。このとき、ワイヤソー(発明例3および4)は、前記発明ビード1および発明ビード2がスプリング部材によってワイヤーに所定間隔をおいて1m当り40個ずつ固定されることで、その長さが10mとなるように製作された。
上記のように製作されたワイヤソー(発明例3および4)および従来例を用いて横/縦辺の長さが1m、0.5mである配筋率5%の鉄筋コンクリート被削材を20回ずつ切断した後、その切削性能指数および寿命指数を測定し、その測定結果を下記表4に示した。このとき、作業条件は、移動速度が25m/s、切断速度が0.5m2/Hrであった。
Figure 2006026894

Figure 2006026894
上記表4に示すように、本発明によるワイヤソー(発明例3および発明例4)は、従来例に比べて切削性能に優れており、特に、切断後、ワイヤソーの表面から金属結合材層が脱落する現象が生じないため寿命が長くなり、切断時、作業負荷も減少することが確認された。
(実施形態4)
本発明によって本体部の外周面に段が形成される中空円筒状のシャンクを準備した。前記本体部は、直径の異なる3個の領域からなり、2個の段を含むように形成した。前記3個の領域は、それぞれ2mmの幅を有し、前記段の高さは、それぞれ0.1mmであった。
上記のように準備したシャンクの本体部の外周面に金属結合材を使用して研磨材であるダイヤモンド粒子を固定し、ビードを製作した。このとき、金属結合材によるダイヤモンド粒子の固定は、電気メッキ方式によって行われた。
上記のように製作されたビードを樹脂層によって1m当り40個ずつ装着し、10mの長さを有するワイヤソーを製作した。
上記のように、本発明によって製作されたワイヤソー(発明例5)、および図3に示すように、シャンクの本体部の外周面に段が形成されないシャンクを使用して製作した従来のワイヤソー(従来例)を用いて横/縦辺の長さが1m、0.5mである配筋率5%の鉄筋コンクリート被削材を20回ずつ切断した後、その 切削性能指数 および 寿命指数を 測定し、その測定結果を下記表5に示した。このとき、作業条件は、移動速度が25m/s、切断速度が1m2/Hrであった。
Figure 2006026894
上記表5に示すように、本発明による発明例5によれば、従来例に比べて切削性能が優れていることが分かる。また、発明例5の場合、寿命は、従来例に比べて25%延長したことが確認された。
従来のワイヤソーを用いた切断作業を示す概略図である。 従来のワイヤソーを示す部分詳細図であって、(a)は、ビードが樹脂層によってワイヤーに固定されたワイヤソーを示し、(b)は、ビードがスプリングによってワイヤーに固定されたワイヤソーを示している。 従来のワイヤソー用ビードを示す断面図である。 本発明によるワイヤソー用ビードの各例を示す断面図である。 本発明によるワイヤソー用ビードの他の各例を示す断面図である。 本発明によるワイヤソー用ビードの他の各例を示す断面図である。 本発明によるワイヤソー用ビードの他の各例を示す断面図である。 本発明によるビードがワイヤーに固定されたワイヤソーを示す構成図であって、(a)は、ビードが樹脂層によってワイヤーに固定されたワイヤソーを示し、(b)は、ビードがスプリングによってワイヤーに固定されたワイヤソーを示す。 本発明による他のビードがワイヤーに固定されたワイヤソーを示す構成図であって、(a)は、ビードが樹脂層によってワイヤーに固定されたワイヤソーを示し、(b)は、ビードがスプリングによってワイヤーに固定されたワイヤソーを示す。
符号の説明
10、10a、10b、10c、10d、40、40a、40b、50、60a、60b、60c ビード
20a、20b、70a、70b ワイヤソー
11、41、51、61 シャンク
12、42 金属結合材層
13、43 研磨材
19、211a、211b、211c 溝
45、55、65 段
111、112、113、211 本体部

Claims (40)

  1. 金属材からなる中空円筒状のシャンクと、該シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、該金属結合材層により前記シャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、
    前記シャンクの本体部の外周面には、少なくとも一つの溝が形成されており、
    前記溝には、前記金属結合材層を構成する金属結合材が充填されることを特徴とするワイヤソー用ビード。
  2. 前記溝は、リング状に形成されることを特徴とする請求項1記載のワイヤソー用ビード。
  3. 前記シャンクの全体表面積に対する前記溝の面積比率は、50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤソー用ビード。
  4. 前記溝は、前記シャンクの長さ方向に切断したとき、その断面が半円状、三角形状または四角形状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤソー用ビード。
  5. 前記溝は、前記シャンクの長さ方向に切断したとき、その断面が半円状、三角形状または四角形状に形成されることを特徴とする請求項3記載のワイヤソー用ビード。
  6. 前記溝は、0.1〜1.0mmの深さおよび0.1〜2.0mmの幅を有することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤソー用ビード。
  7. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤソー用ビード。
  8. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項3記載のワイヤソー用ビード。
  9. 金属材からなる中空円筒状のシャンクと、該シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、該金属結合材層により前記シャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、
    前記シャンクの本体部の外周面には、少なくとも一つの溝が形成されており、
    前記溝には、前記金属結合材層を構成する金属結合材が充填され、前記溝の全部または一部には、前記研磨材と、前記金属結合材層を構成する金属結合材と、が共に充填されることを特徴とするワイヤソー用ビード。
  10. 前記溝は、リング状に形成されることを特徴とする請求項9記載のワイヤソー用ビード。
  11. 前記シャンクの全体表面積に対する前記溝の面積比率は、50%以下であることを特徴とする請求項9または10に記載のワイヤソー用ビード。
  12. 前記溝は、前記シャンクの長さ方向に切断したとき、その断面が半円状、三角形状または四角形状に形成されることを特徴とする請求項9または10に記載のワイヤソー用ビード。
  13. 前記溝は、前記シャンクの長さ方向に切断したとき、その断面が半円状、三角形状または四角形状に形成されることを特徴とする請求項11記載のワイヤソー用ビード。
  14. 前記溝は、0.1〜1.0mmの深さおよび0.1〜2.0mmの幅を有することを特徴とする請求項9または10に記載のワイヤソー用ビード。
  15. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項9または10に記載のワイヤソー用ビード。
  16. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項11記載のワイヤソー用ビード。
  17. 各ビードがワイヤーに所定間隔をおいて固定されるワイヤソーであって、
    前記ビードは、請求項1または2に記載のビードであることを特徴とするワイヤソー。
  18. 各ビードがワイヤーに所定間隔をおいて固定されるワイヤソーであって、
    前記ビードは、請求項9または10に記載のビードであることを特徴とするワイヤソー。
  19. 金属材からなる中空円筒状のシャンクと、前記シャンクの本体部の外周面に一体に結合される金属結合材層と、前記金属結合材層により前記シャンクの本体部の外周面に固定される研磨材とを備えるワイヤソー用ビードであって、
    前記研磨材が固定される前記シャンクの前記本体部は、二つ以上の領域からなり、
    各領域の間には、段が形成されており、
    切削方向に対して最先端に位置する領域の外径は、他の領域の外径よりも小さいことを特徴とするワイヤソー用ビード。
  20. 前記本体部の各領域の外周面は、水平であることを特徴とする請求項19記載のワイヤソー用ビード。
  21. 前記本体部の各領域の外周面は、傾斜していることを特徴とする請求項19記載のワイヤソー用ビード
  22. 前記外周面の傾斜度は、15゜以下であることを特徴とする請求項21記載のワイヤソー用ビード。
  23. 前記本体部の各領域は、3〜5個であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  24. 前記段の高さは、0.05mm以上であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  25. 前記段の高さは、0.05mm以上であることを特徴とする請求項23記載のワイヤソー用ビード。
  26. 前記段の高さは、0.05〜0.5mmであることを特徴とする請求項24記載のワイヤソー用ビード。
  27. 前記段の高さは、0.05〜0.5mmであることを特徴とする請求項25記載のワイヤソー用ビード。
  28. 前記本体部の各領域は、前記シャンクの長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  29. 前記本体部の各領域は、前記シャンクの長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することを特徴とする請求項23記載のワイヤソー用ビード。
  30. 前記本体部の各領域は、前記シャンクの長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することを特徴とする請求項24記載のワイヤソー用ビード。
  31. 前記本体部の各領域は、前記シャンクの長さ方向に0.5乃至3mmの幅を有することを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  32. 前記本体部の外周面には、三角形状、四角形状または半円状の溝が形成されることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  33. 前記本体部の外周面には、三角形状、四角形状または半円状の溝が形成されることを特徴とする請求項23記載のワイヤソー用ビード。
  34. 前記本体部の外周面には、三角形状、四角形状または半円状の溝が形成されることを特徴とする請求項24記載のワイヤソー用ビード。
  35. 前記溝は、前記研磨材の直径よりも小さい大きさを有することを特徴とする請求項32記載のワイヤソー用ビード。
  36. 前記溝は、前記研磨材の直径よりも小さい大きさを有することを特徴とする請求項33または34に記載のワイヤソー用ビード。
  37. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載のワイヤソー用ビード。
  38. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項23記載のワイヤソー用ビード。
  39. 前記金属結合材層は、電気メッキ法またはろう付け法によって前記シャンクに一体に結合されることを特徴とする請求項24記載のワイヤソー用ビード。
  40. 各ビードがワイヤーに所定間隔をおいて固定されるワイヤソーであって、
    前記ビードは、請求項19乃至39のいずれか1項に記載のビードであることを特徴とするワイヤソー。

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