以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
(撮像装置の外観構造の説明)
図1は、本発明に係るアクチュエータ駆動装置が好適に適用される撮像装置としてのデジタルカメラ1の外観を示す斜視図であり、(a)は正面方向から見た図、(b)は背面方向から見た図をそれぞれ示している。デジタルカメラ1は、本体ボディ100の頂面側にレリーズスイッチ101及びモード設定スイッチ102等が、正面側に撮影レンズ部103及びグリップ部104等が、また背面側に電源スイッチ105や手ぶれ補正スイッチ106などの各種の操作ボタン、及び液晶モニター(LCD)からなるLCD表示部107やファインダー部108等がそれぞれ配置されている。そして本体ボディ100の内部には、被写体輝度を検出する、すなわち撮影レンズ部103によって結像された被写体光像の光量に応じて、RGB各成分の画像信号に光電変換して出力する、図略の撮像センサや、後述するPWM信号を発生する回路及び圧電アクチュエータ等を含む各種本体機器が配置されている。なお、上記の各スイッチ以外に、ズームスイッチ、メニュー選択スイッチ、選択決定スイッチ等のプッシュスイッチ群、或いは現在設定(選択)されている各モードやメニューが表示される設定表示部等が備えられていてもよい。
レリーズスイッチ101は、撮影動作を開始させるためのものであり、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。例えば、レリーズスイッチ101が半押しされると、被写体の画像を撮影するための準備動作(自動露出制御や自動焦点制御等の準備動作)が実行され、レリーズスイッチ101が全押しされると、撮影動作(撮像センサを露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード等に記録するといった一連の撮影動作)が実行される。モード設定スイッチ102は、自動露出制御モード(AEモード)や自動焦点制御モード、或いはフラッシュモードや連続撮影モードといった各種撮影モードを設定するためのものである。
撮影レンズ部103は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該光を本体ボディ100の内部に配置されている後述の撮像センサ110やファインダー部108へ導くための撮影レンズ系(例えば光軸に沿って直列的に配置されるズームレンズブロックや固定レンズブロック)を構成するものである。なお、撮影レンズ部103は、マニュアル操作或いは自動的に各レンズ位置を移動させて焦点調整を行うことが可能に構成されている。グリップ部104は、デジタルカメラ1の一側端部に突設され、片手(又は両手)により確実に保持可能とするための把持部である。このグリップ部104には、カメラ駆動用のバッテリー等が内蔵可能とされている。電源スイッチ105は、デジタルカメラ1の電源をON(起動)、OFF(駆動停止)するための押下スイッチであり、当該押下動作によりカメラ電源のON、OFFを順次繰り返すことができる。
手ぶれ補正スイッチ106は、手持ち撮影や望遠撮影、暗部での(長時間露光が必要な)撮影時において手ぶれ等の「ブレ」が発生する恐れのある場合に対して、確実な撮影を可能とするためのブレ補正モードを設定するものである。LCD表示部107は、レリーズスイッチ101の押下により撮影した時点での撮影画像を表示したり、本体ボディ100等に内蔵された記録媒体(上記メモリカード等)に記録されている記録画像を再生表示させたり、撮影待機中等において撮影された被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示させたりするものである。ファインダー部108は、所謂覗き窓(接眼部)である。
(撮像装置の電気的構成の説明)
図2は、本発明に係るアクチュエータ駆動装置としてのブレ補正システムの一例を示すブロック図である。図2に示すように、ブレ補正システム10は、圧電アクチュエータ20及びPWM信号発生回路30を備えて構成されている。圧電アクチュエータ20は、所謂超音波駆動が行われるインパクト形のリニアアクチュエータであり、発生したブレ量に応じて圧電アクチュエータ20の被駆動部材(撮像センサ)をスライド移動させることにより、当該ブレに対する補正を行うものである。つまり、例えば図3に示すように、カメラにブレが発生して撮影レンズ部(デジタルカメラ1の撮影レンズ部103とする)に入射される光軸が各レンズに対して符号Aに示す光軸から符号Bに示す光軸へずれたとすると、当該光軸のずれ量に応じて撮像センサ110をシフトさせることによりブレを補正するものである。圧電アクチュエータ20は、ロッド部21、スライダ部22及び圧電素子部23等を備えている。
ロッド部21は、圧電素子部23によって駆動(図2における左右方向に振動)される所定の断面形状を有した棒状の駆動部材(駆動軸)であり、スライダ部22の移動を支持するものである。スライダ部22は、ロッド部21に対して摩擦結合、すなわち所定の摩擦力で係合されており、ロッド部21の駆動(振動)に応じて当該ロッド部21の軸方向に沿って(図2における左右方向に)スライド移動する被駆動部材(移動体)である。スライダ部22には、CCDやCMOS等の固体撮像素子を備えた図略の撮像センサ(上記撮像センサ110)、及びスライダ部22の位置を検出するためのLED(赤外LED)が一体的に設けられている。
圧電素子部23は、印加される電圧に応じて伸縮され、この伸縮に応じてロッド部21を振動させるものである。圧電素子部23による当該伸縮においては、高速伸長と低速縮小とが、若しくは低速伸長と高速縮小とが、又は伸長速度及び縮小速度が同じである等速伸長と等速縮小とが交互に繰り返される。この圧電素子部23は、例えば積層型圧電素子からなり、ロッド部21の一端において、分極方向が当該ロッド部21の軸方向と一致した状態で固着されている。圧電素子部23の電極部には、後述する駆動部33からの信号線が接続されており、駆動部33からの駆動信号に応じて圧電素子部23が充電又は放電(逆方向充電)されることで上記伸縮が行われる。圧電素子部23がこのように伸縮を繰り返すことにより、スライダ部22が、ロッド部21に対して相対的に正方向又は逆方向(右方向又は左方向)に移動したり、或いはその場に停止した状態となる。なお、ロッド部21における圧電素子部23と反対側の端部には、圧電素子部23によって発生した振動がロッド部21に効率良く伝達されるようにするべく図略の錘部(ウエイト)が固着されている。この錘部は、当該圧電アクチュエータ20に対するベース部231としてのデジタルカメラ1(内部の所定位置)に固定されている。また、ここでは、当該圧電素子部23によるロッド部21の振動は、例えば約60kHzの周波数となるように設定されている。
PWM信号発生回路30は、圧電アクチュエータ20に対し、PWM駆動方式によるアクチュエータ駆動を行うためのPWM信号を発生するものである。このPWM信号発生回路30は、位置検出部31、指示部32、駆動部33及び制御部34等を備えている。
位置検出部31は、後述する位置検出素子からの検出信号に基づいて、ロッド部21上のスライダ部22の位置を検出するもの(検出回路)であり、当該位置検出素子からの検出信号を入力し、この入力した信号に応じたスライダ部22の現在位置を示す位置情報(位置検出信号)を制御部34へ出力する。位置検出部31は、位置検出素子部311を備えている。位置検出素子部311は、PSD(Position Sensitive Device)等の位置検出素子を備えており、スライダ部22と一体的に移動する上記LEDからの赤外光を当該PSDによって受光し、スライダ部22の位置に応じた検出信号を位置検出部31へ出力する。
なお、デジタルカメラ1においては、位置検出素子部311は、X−Y座標(2次元座標軸)での位置検出が可能に構成された所謂2次元PSDで構成されたものを採用している。この2次元での位置検出に関し、ブレ補正システム10における実際の圧電アクチュエータ部や位置検出素子部の構成は、図4における概略縦断面図に示すように、X軸方向に配置された第1圧電アクチュエータ211(当該アクチュエータの軸方向に垂直な断面形状が示されている)と、Y軸方向に配置された第2圧電アクチュエータ212(軸方向に沿った断面形状が示されている)との2つの圧電アクチュエータを備えたものとなっている。
第1圧電アクチュエータ211は、ベース部231に相当する支持体2311に固定されており、スライダ部22に相当するフレーム体221をX軸方向にスライド移動させる。第2圧電アクチュエータ212は、上記フレーム体221(圧電アクチュエータ212のベース部に相当する)に固定されており、スライダ部22に相当するフレーム体222を、当該フレーム体222に配設されている撮像センサ110とともにY軸方向へスライド移動させる。この構成により、第1圧電アクチュエータ211によって、フレーム体221、フレーム体222、第2圧電アクチュエータ212、及び撮像センサ110からなるもの全体がX軸方向に移動されるとともに、当該移動される第2圧電アクチュエータ212によってさらにフレーム体222及び撮像センサ110がY軸方向へ移動される。
支持体2311には、位置検出素子部311に相当する2次元PSD3111が、フレーム体222に設けられた2次元赤外RED3112と対向して配置されており、これら2次元PSD3111及び2次元赤外RED3112によって、上記第1圧電アクチュエータ211によるX軸方向への移動に対する撮像センサ110の位置、及び第2圧電アクチュエータ212によるY軸方向への移動に対する撮像センサ110の位置の検出が行われる。このようにして、後述のデジタルカメラ1におけるヨー方向(X軸方向)及びピッチ方向(Y軸方向)のブレに対する撮像センサ110の位置補正が実施されるようになっている。
指示部32は、デジタルカメラ1のブレを検出するとともに、撮像センサ110上に結像される画像のブレを補正するためのスライダ部22の目標位置の情報(目標位置信号)を制御部34へ出力するものである。指示部32は当該ブレを検出するためのブレ検出機構を備えている。このブレ検出機構は、図5に示すように符号Cに示すヨー(Yaw)方向と符号Dに示すピッチ(Pitch)方向とにおけるデジタルカメラ1の角速度を検出する所謂ジャイロセンサを備えて構成されるものである。具体的には、指示部32は、当該ブレ検出機構によって検出されたデジタルカメラ1の上記各方向における傾きに応じて出力された角速度信号に対し、所定の積分処理を施すことで角度信号(ブレ信号)を算出し、さらにこの角度信号に対して、被写体との焦点距離に応じたGain(ゲイン)を掛け合わせる処理を行うことによりブレ方向やブレ量を算出し、この算出情報に基づいてスライダ部22(撮像センサ110)の移動に際しての目標位置(この位置へ向かってスライダ部22が移動していく)を求める。当該目標位置信号(上記ブレ信号)は、例えば約500μsec(周波数:2kHz)のサーボ周期毎に検出されるように設定されている。
なお、指示部32は、後述の駆動制御終了時における退避(退避制御)を行う場合の、(ロッド部21に対する)スライダ部22の所定の退避位置としての目標位置の情報を制御部34へ出力するものとしても機能する。
駆動部33は、圧電アクチュエータ20に対して駆動信号を出力し、当該圧電アクチュエータ20の圧電素子部23を充電又は放電させることにより当該圧電アクチュエータ20を駆動させるさせるためのもの(駆動回路)である。この駆動部33における構成及び動作の詳細については後述する。
制御部34は、ブレ補正(或いは後述の退避制御)に対する動作制御を司るものであり、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを格納するRAM(Random Access Memory)、及び上記制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU等からなり、位置検出部31、指示部32或いは駆動部33等からの各種信号に応じてブレ補正制御用の各種演算を行う。
具体的には、制御部34は、位置検出部31から送信された位置検出信号をA/D変換してデジタルデータとして入力し、この入力したデータに対して所定のフィルタ処理や積分処理を行い、スライダ部22(撮像センサ110)の現在位置を算出する。一方、指示部32から送信された目標位置信号を同様に入力し、これら2つのデータ(スライダ部22の現在位置及び目標位置)の差(すなわち現在位置からの移動量)を算出するとともに、当該差の情報に基づいて、スライダ部22の好適な移動速度(この移動速度に基づく速度パラメータ)を算出する。ただし、この移動速度は、ブレに対してスライダ部22(の移動)が追従可能となるように、すなわち上記現在位置及び目標位置の差を無くす(完全に差の値がゼロとならなくてもよく、予め設定した所定の誤差を有していてもよい)ために必要な速度として、例えば当該「差」÷「サーボ周期」の演算によって求めてもよい。
さらに、制御部34は、算出した上記移動速度(速度パラメータ)の情報に基づいて、後述の周期やデューティ比といったPWM信号出力用の所定の設定値を算出する。そして、この設定値に応じた設定信号(指示信号)を駆動部33へ出力し、駆動部33に、圧電アクチュエータ20の駆動に対するPWM信号を発生させる。なお、制御部34は、当該制御ループをデジタルサーボで構成し、ブレ補正(或いは退避駆動)に対して十分な短サーボ周期を確保することによって、高速且つ高精度のブレ補正動作(退避動作)を実現している。また、制御部34にはクロック信号を発生するクロック発生部としての水晶発振子等の発振素子(図略)が備えられており、駆動部33へクロック信号を出力する。本実施形態では、この発振素子によるクロック信号の周波数(クロック数)は、例えば約12MHz(周期:約83nsec)とされている。
このような制御部34は、デジタルカメラ1を制御する図略の主制御部(メインCPU)とは独立させて、当該ブレ補正システム10の制御専用に用いるものとして備えられてもよい。この場合、制御部34は主制御部との交信により、動作モードの選択や各種データの授受が可能な構成となっている。
図6は、駆動部33の構成の一例を示すブロック図である。図6において、駆動部33は、制御部34の発振素子から出力されるクロック信号(クロックパルス)をカウントするとともに、そのカウント値を出力するカウンタ331と、制御部34からの設定信号に基づいて、発生させる駆動パルス(PWM信号)のデューティ比に関する設定を行うための第1レジスタ332と、同じく上記設定信号に基づいて駆動パルス(PWM信号)の周期に関する設定を行うための第2レジスタ333と、カウンタ331によるカウント値と第1レジスタ332に設定されている設定値とを比較する第1比較器334と、カウンタ331によるカウント値と第2レジスタ333に設定されている設定値とを比較する第2比較器335と、第1比較器334から出力されたPWM信号を反転させる反転回路336(インバータ)と、第1比較器334から出力されたPWM信号(PWM1信号)及び反転回路336から出力されたPWM信号(PWM2信号)に基づいて、圧電素子部23を充・放電させるための駆動電圧(駆動信号)を出力する、圧電アクチュエータ20の駆動用のドライバ337とを備えている。
カウンタ331は、クロック信号が入力されるごとにカウント値をインクリメント(カウントアップ)させ、このカウント値を示すカウント信号を第1及び第2比較器334、335へ出力する。またカウンタ331は、当該カウンタ331に備えられたリセット端子にリセット信号(後述の第2比較器335から出力されたH信号)が入力されると、カウント値をリセットして初期値に戻す。
第1レジスタ332は、PWM信号の1周期における信号レベルがロー(以降、Lと表現する)又はハイ(以降、Hと表現する)となる期間に相当する値がセットされる。ところで、上記デューティ比とは、PWM信号(矩形波)のL期間の長さ(Lt)とH期間の長さ(Ht)との比、すなわち、デューティ比Dt=Ht/(Lt+Ht)を示すものとする。なお、本実施形態では、第1レジスタ332にはL期間に相当する値が設定(セット)されるものとする。第2レジスタ333は、PWM信号の周期(1周期)に相当する値が設定される。ただし、当該周期は、後述の図13に示すように、例えば周期「200」と周期「201」とが交互に繰り返して、すなわち周期の値が微変動するように設定される。
第1比較器334は、カウンタ331からのカウント値と第1レジスタ332に設定されている設定値(第1設定値という)とを比較して、カウント値が第1設定値よりも小さい(カウント値<第1設定値)場合には、ドライバ337に対してL信号を出力し、カウント値が第1設定値以上(カウント値≧第1設定値)となる場合にはドライバ337に対してH信号を出力する。
第2比較器335は、カウンタ331からのカウント値と第2レジスタ333に設定されている設定値(第2設定値という)とを比較し、上記と同様、カウント値<第2設定値となる場合には、カウンタ331に対してL信号を出力し、カウント値≧第2設定値となる場合にはカウンタ331(のリセット端子)に対してH信号を出力する。なお、第2設定値>第1設定値の関係となっている。
反転回路336は、第1比較器334から出力されたPWM1信号における上記L信号及びH信号を反転させてPWM2信号を生成し、このPWM2信号をドライバ337へ出力する。ドライバ337は、例えば所定数のスイッチ素子(例えばNチャンネル又はPチャンネルFET)から構成されるブリッジ回路からなり、上述の圧電素子部23を充電させるための正の駆動電圧(+Vp)、及び圧電素子部23を放電(逆方向充電)させるための負の駆動電圧(−Vp)を交互に発生させ、これら駆動電圧+V、−Vpからなる駆動信号を圧電アクチュエータ20へ出力する。
図7は、カウント値及びPWM信号の変化の一例を様子を示す図である。図7における符号401に示す図は、カウンタ331のカウント値の変化の様子を示すものであり、符号402に示す図は、ドライバ337に入力されるPWM1信号及びPWM2信号(駆動パルス)の波形を示している。先ず上記図6に示すようにクロック信号の入力に伴いカウンタ331によってカウント値が初期値403からインクリメントされる。このカウント値は第1、第2比較器334、335へ入力されており、カウント値が符号404の位置に示す第1設定値未満である場合(期間)において、第1比較器334からは、符号405に示すL信号が(ドライバ337へ向けて)出力される。また当該第1設定値未満である期間は、第2比較器335へ入力されるカウント値は第2設定値未満であるため、第2比較器335からはL信号が(カウンタ331へ向けて)出力される。この場合、カウンタ331に入力される信号はL信号であるので、カウンタ331によるカウントのリセットは行われずそのままカウントアップが継続される。
カウント値が第1設定値以上になると、第1比較器334からの出力信号がL信号から符号406に示すH信号に切り替えられる。そして、さらにカウント値が増加し、符号407に示す第2設定値に達すると、第2比較器335からの出力信号がL信号からH信号に切り替えられ、このH信号がカウンタ331に入力されると、カウンタ331はカウント値をリセットして符号408に示す初期値に戻す。カウント値がこのように初期値に戻されたため、第1比較器334においては当該カウント値(初期値)が第1設定値未満となり、第1比較器334からの出力信号が、符号406に示すH信号から符号409に示すL信号に切り替えられる。このようにして、L信号及びH信号が繰り返される符号4021に示すPWM1信号が第1比較器334から出力され、当該PWM1信号が反転回路336によって反転された符号4022に示すPWM2信号とともにドライバ337へ入力される。
以上のことから、第2レジスタ333に設定する第2設定値を変更させることにより、PWM信号の周期、すなわちカウント値が初期値から第2設定値となるまでの期間を変化させることができる。また、第1レジスタ332に設定する第1設定値を変更させることにより、図7に示すL信号の期間Lt(初期値から第1設定値までの期間)とH信号の期間Ht(第1設定値から第2設定値までの期間)との比、すなわちPWM信号のデューティ比Dtを変化させることができる。
このように、駆動部33において周期及びデューティ比が変化され、例えば図8(a)〜(c)に示すような、後述するデューティ(%)がそれぞれ約40%、50%、60%である駆動パルス(PWM1信号及びPWM2信号)がドライバ337へ出力され、当該各駆動パルスに応じてドライバ337から圧電アクチュエータ20に対して駆動電圧が印加され、この駆動電圧に応じてスライダ部22が左方向又は右方向へ移動する。なお、図8(b)に示す駆動パルスが出力される場合には、スライダ部22はその場所で停止した状態となる。
(動作の説明)
本発明では上記第2設定値、すなわち周期の値を微変動させつつ、上記第1設定値、すなわちデューティ比を変更させることでより分解能の高いデューティを得るようにしている。このことについて以下に説明する。なお、ここでは上記期間HtとLtとの比を“デューティ比”と表現し、このデューティ比を値として算出したものを“デューティ”と表現している(デューティ比とデューティとは実質的には同じものである)。
図13は、第1レジスタ332及び第2レジスタ333にそれぞれ設定される周期及びデューティ比に関する設定値と、当該各設定値に基づいて得られるデューティの値を示す図である。図13において、符号501に示す最左欄(欄501)には、スライダ部22の移動速度に関するパラメータ値である速度パラメータが示されている。符号502に示す欄(欄502)には、第2レジスタ333に設定される第2設定値としての周期(PWM周期)が示されている。この周期の値は、図7の符号407に示す位置のカウント値に相当する。符号503及び符号504に示す欄(欄503、504)には、第1レジスタ332に設定される、デューティ比に関する上記期間Ht(“H”期間)又は期間Lt(“L”期間)の値が示されている。ここでは、期間Ltの値が第1設定値として設定されており、当該Ltの値は、図7の符号404に示す位置のカウント値に相当する。ただし、期間Ltの値を定めると、周期の値から当該Ltの値を減算したものとして期間Htの値も定まることになる。符号505に示す欄(欄505)には、当該設定されたHt及びLt(デューティ比)に基づいて得られるデューティ(%)の値が示されており、符号506に示す欄(欄506)には、得られた各デューティ(%)の差の値が示されている。
欄501に示す速度パラメータは、符号507の位置に示す値ゼロ「0」(このときのデューティは50%)を基点として、図13の上下方向に「+21」及び「−22」まで変化した値となっている。この速度パラメータは、上述したように、制御部34において、スライダ部22の現在位置と目標位置との差に基づき、当該差をなくするのに好適なスライダ部22の移動速度が算出され、この移動速度に応じて決定されるパラメータである。ただし、速度パラメータが「0」の場合は、スライダ部22の現在位置と目標位置とが同じ値を示しており、スライダ部22を移動させる必要がないことを示している。
ところで図9は、圧電アクチュエータ20の駆動制御においてデューティを変化させた場合のスライダ部22の移動速度の特性の一例を示す図である。図9に示すように、デューティが符号601に示す50%のときには、移動速度が「0」でありスライダ部22が停止している状態となっている(この場合、ロッド部21は常に振動しているが、左右方向への振動速度が同じとなることから、ロッド部21に対して相対的に移動が停止した状態となっている)。デューティが0%側に変化すると、移動速度は正の方向に増大し、デューティが100%側に変化すると、移動速度は負の方向に増大する。ただし、デューティが0%側に変化する(移動速度が正の方向へ増大する)場合、図2においてスライダ部22は左方向へ移動し、デューティが100%側に変化する(移動速度が負の方向へ増大する)場合、スライダ部22は右方向へ移動するものとする。また、図9に示すように、移動速度の正の側においては、符号602に示す例えばデューティが約35%の位置において極大値となっており、また移動速度の負の側においては、符号603に示す例えばデューティが約65%の位置において極小値となっている。
この特性に基づいて、本実施形態における圧電アクチュエータ20の制御に対するデューティ%(欄505)及び速度パラメータ(欄501)の範囲は、図9に示すデューティが約40%(40%弱)から約60%(60%強)の間のリニアな部分の特性を利用するように設定している。ただし、当該利用する部分は、このように約40%〜60%の範囲に限らず任意の範囲を設定してもよい。
上述のように決定された各速度パラメータに応じて、第2レジスタ333に欄502に示すPWM周期の数値が設定されるとともに、第1レジスタ332に欄504に示す“L”期間の数値が設定される。このPWM周期は、速度パラメータが「1」ステップ変化する毎に例えば「200」と「201」との数値が交互に設定される。“L”期間は、当該速度パラメータが「2」ステップ変化する毎に「1」ステップ変化するよう設定される。例えば図13において、速度パラメータが「17」から「20」へ1ステップずつ増加していくと、これに応じてPWM周期は、符号508に示すように「201」、「200」、「201」、「200」と交互に変化し、“L”期間は、この間に符号509、510に示すように「109」、「110」と1ステップ変化する。
このようにPWM周期の値を交互に設定していき、すなわちPWM周期(の値)を微変動させつつ、“L”期間の値を変更していく、すなわちデューティ比を変更していくような設定がなされることにより、速度パラメータが「1」ステップ(単位ステップ)変化する毎に異なるデューティ(%)が得られ、且つ、当該得られた各デューティの値の差が平均約0.25%となる高精度なデューティ(高いデューティの分解能)が得られるようになる。なお、上記PWM周期及び“L”期間(“H”期間)の数値を変化(変更)させるのに対する分解能(変更分解能)は、クロック信号(クロックパルス)の1パルス分(上記約83nsecの時間)に相当する。このことは、当該PWM周期及び“L”期間(“H”期間)の各数値が、クロック信号に基づきカウンタ331においてカウントされることによって得られるカウント値に相当するものであり、従ってこの各数値を設定する分解能もクロック信号(クロック周波数)に依存するものとなるからである。
ここで、従来の場合との差違を明確にするべく、上記図13に対応した従来の場合の設定値及びデューティを示す図14と比較すると、図14において例えば速度パラメータが「14」から「17」へ1ステップずつ増加していくのに対して、PWM周期は符号551に示すように「200」に固定されており、“L”期間は、この速度パラメータが「14」から「17」へ変化する間に符号552、553に示すように「107」、「108」と1ステップ変化するようにされている。このため、速度パラメータが「1」ステップ変化しても、デューティ(%)は符号554に示すように「46」のまま変化せず、すなわちデューティを変化させるためには速度パラメータを「2」ステップ変化させる必要があり、また、この場合得られるデューティも上記約0.25%よりも大きい0.5%となり、デューティの分解能が低いものとなる。この従来との比較からも、本発明においては、クロック周波数を上げることなく、デューティの分解能を向上させるとともに、各速度パラメータの変化に応じたより細やかなデューティを得ることが可能となる。
図10は、スライダ部22のブレ補正時及び退避時における位置(スライダ位置)の変動の様子の一例を示す図である。ブレ補正時には、デジタルカメラ1のブレに応じてスライダ部22(と一体的に移動する撮像センサ110)を移動させることで当該ブレ補正を行うが、この場合、スライダ部22(撮像センサ110)は、例えば符号701の軌跡のように基準位置に対して左右方向(図10では上下方向)に変動する。このスライダ部22のブレ補正時の変動範囲は、例えば符号702に示す所定の範囲(ブレ補正時動作範囲702)に制限されており、すなわち基準位置から左右方向への変化距離に制限を設けており、当該ブレ補正時動作範囲702内での変動において発生するブレ(ブレ量)以上の大きなブレが発生した場合には、スライダ部22の目標位置は、例えば符号703に想定される位置ではなく、符号704に示す上記ブレ補正時動作範囲702の端部位置に固定される構成とされていてもよい。このようにスライダ部22の変動範囲に制限をもたせることにより、レンズに対して撮像センサ110が大きく移動してしまい、例えば口径食により画面周辺の光量が著しく低下してしまう所謂「けられ」の発生等を防止することができる。
ブレ補正動作を停止する場合は、例えば符号705に示す位置(OFF位置705とする)でのデジタルカメラ1の手ぶれ補正スイッチ106が押下されてOFF動作される、或いは電源スイッチ105が押下されてOFF動作されると、スライダ部22は、符号706に示す所定の退避位置まで退避(移動)される。ただし、電源スイッチ105が押下されて電源のOFF動作がなされたとしても、退避駆動が完了するまでの退避駆動用の電力(電源)は確保される構成となっている。なお、当該スライダ部22の変動範囲を制限する(リミット機能として動作する)制御は、制御部34において行われる。
図11は、スライダ部22の退避位置に関して概念的に説明する図である。図11に示すように、スライダ部22は、ブレ補正時にはロッド部21に対して上記ブレ補正時動作範囲702において変動する。実際の変動においては、スライダ部22が基準位置を中心として頻繁に変動する範囲である汎用範囲が存在する。この汎用範囲を第1範囲801として、ブレ補正時動作範囲702から当該第1範囲801を除いた範囲を第2範囲802、803とする。また、符号804に示す範囲をスライダ部22の移動(駆動)が可能なスライダ可動範囲(スライダ可動範囲804)として、このスライダ可動範囲804からブレ補正時動作範囲702を除いた範囲を第3範囲805、806とする。ここでは、これら第2範囲802及び第3範囲805は、図2に示すロッド部21の基端部側(圧電素子部23側)に位置するものとする。
ただし、上記汎用範囲(第1範囲801)を示す情報(汎用範囲情報)は、例えば指示部32に当該汎用範囲情報を設定(記憶)する範囲設定部(図略)を備えて、この範囲設定部に予め設定されており、必要に応じて、すなわち電源スイッチ105が押下されて電源がOFFされた場合、或いは手ぶれ補正スイッチ106が押下されてブレ補正モードが設定された場合などに応じて、当該範囲設定部に設定された汎用範囲情報が、後述するように被駆動部材(スライダ部22)の汎用範囲外への退避制御において用いられる。また、この範囲設定部には、上記汎用範囲の情報の他に、ブレ補正時動作範囲702やスライダ可動範囲804(第2範囲802、803や第3範囲805、806)等の情報も設定されており、上記汎用範囲情報とともに、ブレ補正制御や退避制御等の各種制御において適宜用いられるようになっている。
上記各駆動範囲となるスライダ部22の駆動制御において、長時間に亘ってブレ補正駆動が行われた場合など、ロッド部21及びスライダ部22間の摩擦熱によってロッド部21内のウィスカー(カーボン樹脂)等の樹脂成分等が溶け出してしまい、この状態(位置)で放置しているとロッド部21及びスライダ部22が互いに固着してしまう可能性があり、これを防止するべく、上述のようにOFF動作された後、直ちにその位置で駆動停止せずに、少なくとも上記汎用範囲(第1範囲801)外の位置に退避(退避駆動)させた後、圧電アクチュエータ20の駆動を停止させる構成となっている。換言すれば、次回の圧電アクチュエータ20の起動時まで、スライダ部22を少なくとも当該汎用範囲外の位置で待避(待機)させる構成となっている。
上記汎用範囲外の位置(退避位置)とは、ロッド部21の基端部側における、第2範囲802若しくは第3範囲805の位置、又は第2範囲802と第3範囲805との両方にかけての位置(境界部を含む位置)、あるいは、ロッド部21の先端部側における、第2範囲803若しくは第3範囲806の位置、又は第2範囲803と第3範囲806との両方にかけての位置である。本実施形態では、前者(ロッド部21の基端部側)における退避位置である、具体的には第3範囲805の位置(第3範囲805内の所定の位置)に退避させるものとする。なお、上記指示部32に設定されている各範囲の情報(退避位置の情報)は、スライダ部22の当該退避に関する目標位置の情報として制御部34に入力される。
図12は、本実施形態に係るブレ補正制御及び退避制御に関する動作の一例を示すフローチャートである。まず、指示部32から、ブレを補正するためのスライダ部22の目標位置の情報(指示値)が制御部34へ入力される(ステップS1)とともに、位置検出部31からスライダ部22の現在位置を示す情報が制御部34へ入力される(ステップS2)。そして、この目標位置情報と現在位置情報とに基づいて、目標位置と現在位置との差が検出(算出)され(ステップS3)、当該差の情報に基づいて、ブレ補正に関するスライダ部22の移動に際しての所要の速度パラメータが算出される(ステップS4)。さらに、当該算出された速度パラメータに対応する周期及びデューティ比が設定され、すなわちPWM信号の周期に関する第1設定値が、制御部34からの設定信号(指示信号)に基づいて第1レジスタ332に設定され、またPWM信号のデューティ比に関する第2設定値が、同様に制御部34からの設定信号(指示信号)に基づいて第2レジスタ333に設定され、これら設定に応じて発生したPWM信号(PWM1及び2信号)に基づいて、圧電アクチュエータ20によるブレ補正駆動(目標位置へ向けてのスライダ部22の移動)が行われる(ステップS5)。所定のサーボ周期(例えば約500μsec)が経過すると(ステップS6のYES)、駆動停止でない場合(ステップS7のNO)、上記ステップS1に戻り、同様に目標位置及び現在位置の情報から周期及びデューティ比の設定が行われ、この設定に基づくブレ補正駆動が行われる。なお、所定のサーボ周期が経過しない間は(ステップS6のNO)、上記ステップS5におけるブレ補正駆動が継続される。
ステップS7において駆動停止される場合には(ステップS7のYES)、指示部32から、スライダ部22を退避させる位置としての目標位置の情報(退避位置の情報;例えば図11に示す第3範囲805内の所定位置へ退避させる情報)が制御部34へ入力される(ステップS8)とともに、位置検出部31からスライダ部22の現在位置を示す情報が制御部34へ入力され(ステップS9)、退避における目標位置情報と現在位置情報とに基づいて、目標位置と現在位置との差が検出される(ステップS10)。そして、当該検出された差の値が所定の誤差範囲内に入っており(或いは差の値がゼロであり)、スライダ部22が退避位置にあると検出された場合には(ステップS11のYES)、PWM信号の発生(PWM駆動)が停止され、圧電アクチュエータ20の駆動が停止されて(ステップS12)、フロー終了となる。
上記ステップS11において、スライダ部22が退避位置に到っていない場合には(ステップS11のNO)、上記ステップS10において検出された差の情報に基づいて、退避駆動に関するスライダ部22の所要の速度パラメータが算出される(ステップS13)。そして、算出された速度パラメータに対応する周期及びデューティ比が上記ステップS5と同様に設定され、これら設定に応じて発生したPWM信号に基づいて、圧電アクチュエータ20による退避駆動(退避位置へ向けてのスライダ部22の移動)が行われる(ステップS14)。所定のサーボ周期(例えば上記ステップS6と同じ約500μsec)が経過すると(ステップS15のYES)、上記ステップS9に戻り、スライダ部22の現在位置の情報と、上記ステップS8において既に制御部34に入力されている目標位置の情報とに基づいて周期及びデューティ比が設定され、この設定に基づく退避駆動が行われる。なお、所定のサーボ周期が経過しない間は(ステップS15のNO)、上記ステップS14における退避駆動が継続される。
以上のように本発明のアクチュエータ駆動装置又はこれを備えた撮像装置によれば、位置検出部31によって圧電アクチュエータ20におけるロッド部21に対するスライダ部22の位置が検出され、指示部32(汎用範囲設定手段)によって、ロッド部21に対するスライダ部22のスライダ可動範囲804における少なくとも当該移動が頻繁に行われる範囲としての汎用範囲(第1範囲801)が設定される。そして、圧電アクチュエータ20を駆動制御する制御部34によって、位置検出部31により検出された位置情報に基づき、駆動制御終了時に、指示部32(の例えば範囲設定部)において設定された汎用範囲(第1範囲801)外の位置にスライダ部22が退避されるため、圧電アクチュエータ20のスライダ部22(ローター)及びロッド部21(ステーター)同士が貼り付くことを回避でき、圧電アクチュエータ20の起動時におけるスリープ現象の発生を確実に防止することが可能となる。
また、圧電アクチュエータ20の駆動制御終了時に、制御部34によってスライダ部22がブレ補正時動作範囲702(通常使用範囲)外の位置まで退避(退避駆動)されるため、すなわちスライダ部22が頻繁に移動するとされた汎用範囲だけでなく、この汎用範囲も含み、通常の駆動時にスライダ部22が移動される範囲の外の位置にスライダ部22が退避される構成であるため、互いに擦れるロッド部21及びスライダ部22によって発生する摩擦熱により樹脂等が溶け出すと想定される範囲を、汎用範囲より更に広い範囲(更に安全側に広げた範囲)であるブレ補正時動作範囲702に設定することとなり、このブレ補正時動作範囲702より外の位置まで退避されることから、より確実に圧電アクチュエータ20のスライダ部22及びロッド部21同士の貼り付きを回避することができる。
また、上記ブレ補正時動作範囲702は、圧電アクチュエータ20による撮像装置(デジタルカメラ1)の手ぶれ補正(ブレ補正)駆動を行う動作域であるため、撮像装置の手ぶれ補正駆動終了時に、スライダ部22がロッド部21における(少なくとも汎用範囲外である)ブレ補正時動作範囲702外に退避され、スライダ部22及びロッド部21同士の貼り付きを回避することができ、次回の手ぶれ補正駆動開始時(圧電アクチュエータ20の起動時)におけるスリープ現象の発生を確実に防止することができる。
さらに、上記ブレ補正時動作範囲702は、圧電アクチュエータ20による、撮像装置(デジタルカメラ1)の例えば撮影レンズ部103等におけるレンズ駆動(例えばズーム駆動やフォーカシング駆動)を行う動作域であるため、撮像装置のレンズ駆動終了時に、スライダ部22がロッド部21における(少なくとも汎用範囲外である)ブレ補正時動作範囲702外に退避され、スライダ部22及びロッド部21同士の貼り付きを回避することができ、次回のレンズ駆動開始時(圧電アクチュエータ20の起動時)におけるスリープ現象の発生を確実に防止することができる。
なお、本発明は、以下の態様をとることができる。
(A)図13の欄502に示すような「200」や「201」といた2つの周期値(PWM周期)を用いて当該周期を微変動させるのではなく、これより多種の周期値、例えば「199」、「200」、「201」といった3つの周期値を用いて微変動させる構成であってもよい。この場合、周期を199、200、201の順に繰り返すことにより当該微変動させてもよい。
(B)本実施形態では、PWM信号発生回路30や圧電アクチュエータ20を手ぶれ補正駆動に使用しているが、これに限らず例えばズーム駆動やフォーカシング駆動等に使用してもよい。また、当該PWM信号発生回路30や圧電アクチュエータ20を、デジタルカメラに限らす、アナログカメラ或いはビデオカメラに適用してもよいし、例えばデジタルカメラ機能(撮像機能)を備えた携帯電話機等に適用してもよい。また、これらを撮像機能を備える装置以外の機器に対して適用してもよい。
(C)本実施形態では、図7に示すように、カウント値が初期値から符号404に示す第1設定値までの期間はL信号(Lt)となるように第1比較器334からPWM信号を出力し、当該第1設定値から407に示す第2設定値までの期間はH信号(Ht)となるようにPWM信号を出力する構成としているが、当該L信号とH信号とが逆となるように、すなわち初期値から第1設定値までをH信号、第1設定値から第2設定値までをL信号とするようにPWM信号を出力させる構成としてもよい。
(D)デューティDt=Lt/(Lt+Ht)と定義してもよい。
(E)本発明のPWM信号発生回路30(方法)を用いてのPWM駆動を行うのと同時に、別途、クロック周波数も上げることによって、更に高いデューティの分解能が得られるようにしてもよい。
(F)汎用範囲(第1範囲)は、予め設定したものでなくともよく、例えば圧電アクチュエータ20の動作履歴(具体的には例えばスライダ部22の移動履歴)の情報に基づいて算出されたものが設定されてもよい。この場合、例えば制御部34(又は指示部32)に当該動作履歴を取得する動作履歴取得部(動作履歴を記憶する動作履歴記憶部)等を備え、例えば、圧電アクチュエータ20の駆動開始に伴って動作履歴の取得を開始し、駆動終了時に当該取得した動作履歴から汎用範囲を算出して指示部32(範囲設定部等)に設定し、当該設定した汎用範囲外の位置までスライダ部22を退避させる構成であってもよい。動作履歴から汎用範囲を算出(決定)するに際しては、例えば、ロッド部21に対してスライダ部22が所定回数以上、移動(往復移動)された範囲を汎用範囲とするようにしてもよい。なお、当該実際のスライダ部22の移動履歴から求めた汎用範囲は、必ずしも図11に示すように基準位置を含む位置(範囲)とならずともよく、ブレ補正時動作範囲702内であれば、いずれの位置であってもよい。
(G)圧電アクチュエータ20の駆動終了時(スライダ部22の退避制御時)に、汎用範囲の設定の有無に拘わらず、ブレ補正時動作範囲702外の位置(第3範囲805、806の位置)まで退避させる構成、すなわち、汎用範囲に関係なく、駆動終了時にはスライダ部22をブレ補正時動作範囲702外の位置に退避させる構成であってもよい。
(H)汎用範囲は、必ずしもスライダ部22が実際に頻繁に移動する範囲として設定するものでなくともよく、例えば当該実際に頻繁に移動する範囲の両外側部に、頻繁には移動しない範囲を追加することによって汎用範囲の裕度を高くした(範囲の幅を広げた)ような範囲として設定してもよい。