JP4226936B2 - 画像入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像入力装置に関し、詳細には、温度による影響を受ける測距手段を有する画像入力装置におけるオートフォーカス動作の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スチルカメラやビデオカメラ等の画像入力装置には、被写体像のピント状態を自動で最適に調整するAF(オートフォーカス)装置が搭載されている。
【0003】
そして、被写体像を画像や映像としてフイルムやビデオテープ等の記録媒体に記録する伝統的な画像入力装置におけるオートフォーカス装置は、被写体までの距離を求める測距手段を備え、この測距手段によって求められた距離に対応するフォーカス位置までレンズを移動させるようにフォーカス駆動手段を制御するAFが採用されており、後述するコントラストAFに対して外光AFと称されている。
【0004】
外光AFは、測距手段による測距方法の違いによって、パッシブAFとアクティブAFとに大別され、パッシブAFは、撮影光学系を通過する光路とは異なる光路を通過して測距手段に投影された複数の被写体像の位相差に基づいて測距し、アクティブAFは、例えば近赤外線や超音波等を被写体に照射し、被写体からの反射波が測距手段に戻るまでの時間や角度に基づいて測距するものである。
【0005】
なお、アクティブAFでは、例えば窓ガラス越しの被写体を撮影する場合、被写体に照射した近赤外線等が窓ガラスで反射されてしまうため、被写体までの距離を精度良く検出することができない場合があるのに対して、このような構図であっても影響を受けにくいパッシブAFは、比較的精度が要求される画像入力装置に採用される傾向がある。
【0006】
一方、被写体像を、撮影光学系を介してCCDやCMOSなどの撮像手段に投影し、この投影された像を電気信号として取り出すデジタルカメラ等の新規な画像入力装置では、被写体像の投影と略同時に画像信号として取り出すことができるため、この画像信号を利用してAF動作を行わせることができる。
【0007】
すなわち、このAFは、撮影光学系のフォーカスレンズを移動させながら、その移動の都度、撮像手段に投影された像のコントラスト(画像の鮮鋭度等)を、画像信号に基づいてリアルタイムに評価し、この評価の値が極大となる位置で撮影光学系の移動を停止させるものであり、コントラストAFと称されている。なお、撮像手段としてCCDを用いたものでは、CCDAFともいう。
【0008】
このコントラストAFは、被写体までの距離を求めるのではなく、撮像手段に実際に投影された像を評価して行うAFであるため、合焦精度が非常に高いという特長を有している。
【0009】
そして、コントラストAFは、フォーカスレンズを移動しつつ各移動位置ごとの評価値を比較しながら行うため、像の蓄積、転送、評価値の算出、比較という一連の動作の繰返し周波数を高めるほど合焦精度を向上させることができる。
【0010】
一方、繰返し周波数を高くすると、合焦位置の決定(AF動作の完了)までに要する時間が長く掛かるという問題があり、AF動作の開始から完了までに要する時間すなわちタイムラグが、被写体像のピント合わせに重大な影響を及ぼす状況、例えば高速度で移動している被写体を撮影する場合等においては、所望とするタイミングで撮影することができない場合がある。
【0011】
また、コントラストAFは、全体のコントラストが低下している暗い状況下では、評価値に有意な差が現れず、適切な合焦動作を行うことができない場合もある。
【0012】
これに対して外光AFは、合焦精度の点ではコントラストAFに劣るものの、AF動作に要するタイムラグが少ないため、動的な被写体に対しても良好に追従することができ、撮影タイミングの逸失を防止することができる。
【0013】
また、外光AFは、一般的には被写体のコントラストによる影響を受けにくいという特長も有している。
【0014】
そこで、これら外光AF動作を行うAF手段とコントラストAF動作を行うAF手段とを備え、撮影状況や被写体の状況に応じて、両AF動作を択一的に切換え可能としたハイブリッドAF(HBAF)が提案されている(特許文献1)。
【0015】
また、本出願人においても、通常の撮影操作の範囲で、外光AFを基調としつつ所定の条件下でコントラストAFに切換え可能としたHBAFを提案している(特許文献2,3(未公開))。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−255456号公報
【特許文献2】
特願2002−175297号
【特許文献3】
特願2002−231065号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、HBAFにおける外光AFとして例えばパッシブAFを適用した場合、図3に示すような測距手段が用いられる。
【0018】
すなわち、この測距センサ(測距手段)は、光軸間距離(基線長)Bで左右に配置された2つのレンズと、各レンズの後方に配置された絞りと、さらに後方に配置された2つのCCD(ラインセンサ)を備え、被写体までの距離Lは、各ラインセンサ上に投影された被写体像間の位置ずれ量(位相差)2Δd(=Δd+Δd)、レンズの焦点距離fおよび基線長Bに基づいて、下記式(1)により求めることができる。
L=Bf/(2Δd) (1)
ここで、基線長Bの精度を確保するとともに製造コスト抑制のために、2つのレンズは図3(a)に示すように一体的に形成されるのが一般的である。そして、この一体レンズは、一体成型に適したプラスチック材料によって形成されている。
【0019】
ところで、上述した基線長Bは、被写体までの距離Lに対して極めて短いため、基線長Bのわずかな誤差や変動によって、検出される距離Lは大きく変動し、測距精度に与える影響は大きい。
【0020】
また、基線長Bの誤差や焦点距離fの誤差がそれぞれ許容範囲内であっても、測距手段全体としての集積誤差が許容範囲から外れる虞もある。
【0021】
そこで、許容範囲から外れるような集積誤差を有するものでは、組合せを予め調整したり、式(1)に適当な係数を乗じることによって、誤差を補正することが行われている。
【0022】
しかし、このような事前調整を施した場合にも、温度変化による収縮の問題が残る。すなわち、特にプラスチック材料のように温度変化による収縮が大きい材料で形成されたレンズでは、使用環境の雰囲気温度によって基線長Bや焦点距離fが変動することが懸念される。
【0023】
そこで、デジタルカメラ等の新規の画像入力装置に対して、伝統的な画像入力装置で用いられていた補正方法を適用することが考えられる。すなわち、この補正方法は、画像入力装置に温度センサを備えるとともに、温度に対する検出距離の変動(温度特性)を予め実験的に求めておき、温度センサで検出された温度に応じて、外光AFモジュールで検出された被写体距離を補正するものである。
【0024】
しかし、新規の画像入力装置では、CCD等撮像素子や付随する電子回路等、液晶モニタ等による発熱が大きいため、装置内部の温度変動に対する測距精度への影響は、伝統的な画像入力装置よりも大きく、電源を投入してからの経過時間に対する温度上昇の割合も急激であり、伝統的な画像入力装置と同様の補正方法で対応するのは困難である。
【0025】
なお、上述した温度変動による誤差の問題は、外光AFがパッシブAFである場合に限るものではなく、アクティブAFの場合であっても、測距手段や撮像手段(CCD等)を有する限り、同様に起こりうるものである。
【0026】
また、この問題は、HBAFにおいて外光AFが適用される条件下でのみ起こりうるものでなく、コントラストAFによる走査範囲を、測距手段によって得られた被写体距離に基づいて、ある程度限定するようなHBAFにおいても同様に起こりうる。
【0027】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、装置内部の温度状況に対応して適切に精度を確保したAF動作を行うことができる画像入力装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の画像入力装置は、画像入力装置への電源投入からの経過時間に応じて、コントラストAFの動作を適切に制御するものである。
【0029】
すなわち、本発明の請求項1に係る画像入力装置は、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、該画像入力装置への電源投入からの経過時間を計時するタイマ手段をさらに備え、前記制御手段は、前記タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御することを特徴とする。
【0030】
ここで、画像入力装置には、電子スチルカメラやこれと同様のビデオカメラ、その他シャッタを操作して被写体の像を撮像する種々の画像入力装置を含む。
【0031】
また、撮像手段とは、CCDやCMOS等の固体撮像素子やその他の光電変換素子等が配列されたイメージセンサを意味し、投影された像を略リアルタイムに電気信号等の像信号として取り出すことができるものをいう。
【0032】
撮影光学系とは、撮像手段に被写体の像を投影し、結像させるフォーカスレンズ群等の光学系を意味するものであり、ズームレンズ群等の光学系を付加的に備えるものも含む。
【0033】
測距手段は、アクティブAFに用いられるモジュールであってもよいし、パッシブAFに用いられるモジュールであってもよい。
【0034】
また、撮影光学系の一部もしくは全部および撮像手段のうち少なくとも一方とは、
(i)撮影光学系の一部のみ、
(ii)撮影光学系の全部のみ、
(iii)撮像手段のみ、
(iv)撮影光学系の一部および撮像手段、
(v)撮影光学系の全部および撮像手段、
という5つの態様のうちいずれかの態様を意味し、撮影光学系と撮像手段の構成に応じて適宜選択できるものである。
【0035】
また、像信号を逐次評価するとは、各ピント状態ごとに得られた各像信号について、例えば被写体像のコントラストや鮮鋭度等、被写体像のピント状態に対応する値(画像信号の微分値等)を求め、得られた各値間での最大値あるいは極大値を求めること等をいう。
【0036】
すなわち、例えば、被写体像の鮮鋭度は、輪郭部等についての画像信号の微分値で表すことができ、この微分値が極大となるとき、被写体像が撮像手段上で適切に結像している状態すなわちピントが合っている状態ということができる。
【0037】
したがって、第1オートフォーカス手段は、いわゆるコントラストAF(CCDAF)動作などによってフォーカス駆動手段を制御するものである。
【0038】
タイマ手段は、時間を直接計るものに限らず、適当な周期のクロック信号を発するパルス発生器と、発生したクロック信号のパルス数を計数するカウンタとからなるもののように、時間を間接的に図るものであってもよい。
【0039】
第1オートフォーカス手段の作動を制御するとは、第1オートフォーカス手段の作動内容自体を制御するものであってもよいし、オートフォーカス動作の種類が第1オートフォーカス手段のものとは異なる他のオートフォーカス手段をさらに備えるものにあっては、この第1オートフォーカス手段の作動と当該他のオートフォーカス手段の作動とを切り換える切換制御するものであってもよい。
【0040】
そして、第1オートフォーカス手段の作動は、測距手段によって測距された被写体までの距離に応じたものであるため、この測距の精度に直接依存している。
【0041】
一方、測距手段による測距の精度あるいはその精度に対応して制御手段が被写体までの距離を補正すべき補正量は、測距手段周辺等画像入力装置内部の温度に依存し、この画像入力装置内部の温度は、電源投入からの経過時間に依存している。
【0042】
したがって、本発明の請求項1に係る画像入力装置によれば、タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度に応じて、すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0043】
また、本発明の請求項2に係る画像入力装置は、請求項1に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御するとともに、前記経過時間に応じて、前記周辺ピント範囲の広狭を設定することを特徴とする。
【0044】
このように構成された本発明の請求項2に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0045】
また、電源投入からの経過時間に応じてこの周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0046】
なお、制御手段は、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御してもよい。
【0047】
このように撮影光学系等の移動範囲の広狭をも同時に制御することにより、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合においては、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0048】
また、本発明の請求項3に係る画像入力装置は、請求項2に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記経過時間が、前記測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、前記周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、前記周辺ピント範囲を広く設定することを特徴とする。
【0049】
ここで、周辺温度の安定期間とは、時間の経過に対する温度変化の割合が小さい期間を意味し、例えば、単位時間当たり10%以下、好ましくは5%以下、最適には2%以下の温度変動率の期間をいう。
【0050】
そして、この安定期間に対応した時間範囲は、具体的には例えば、画像入力装置への電源投入時(T=0)から短時間経過(T=T1)までの時間範囲(0≦T≦T1;低温安定期間)や、電源投入時から長時間経過(T=T2)した以後の時間範囲(T2≦T;高温安定期間)などである。
【0051】
すなわち、低温安定期間は、電源投入直後における短時間だけ比較的低温で維持された状態を呈し、高温安定期間は、画像入力装置内の温度が比較的高温でサチレートした状態を呈する。
【0052】
一方、周辺温度の変動期間とは、時間の経過に対する温度変化の割合が、安定期間における割合よりも大きい期間を意味する。したがって、安定期間以外の期間が変動期間となる。
【0053】
そして、具体的には例えば、安定期間が上記低温安定期間(0≦T≦T1)および高温安定期間(T2≦T)である場合には、変動期間に対応した所定時間範囲は、これら安定期間以外の期間、すなわち、画像入力装置への電源投入時から短時間経過(T=T1)した以後から、長時間経過(T=T2)するまでの間の時間範囲(T1<T<T2)である。
【0054】
このように構成された本発明の請求項3に係る画像入力装置によれば、経過時間が、測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0055】
また、本発明の請求項4に係る画像入力装置は、請求項1に係る画像入力装置において、前記測距手段によって得られた距離に基づいて前記フォーカス駆動手段を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段をさらに備え、前記制御手段は、前記タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0056】
ここで、第2オートフォーカス手段は、測距手段によって得られた距離に基づいて、所定のピント状態を直接得るように、フォーカス駆動手段を制御するものであればよく、例えば、いわゆる外光AF動作などを行うオートフォーカス手段である。
【0057】
すなわち、この第2オートフォーカス手段は、測距手段によって得られた被写体までの距離に基づいて、この距離に対応した被写体の像が撮像手段上で所定のピント状態で結像するのに必要な撮影光学系と撮像手段との間の距離を直接算出し、撮影光学系と撮像手段との間の距離が、この算出された距離になるように、フォーカス駆動手段を制御する。
【0058】
したがって、この第2オートフォーカス手段によるAF動作は、第1オートフォーカス手段によるAF動作よりも、測距手段の測距精度への依存度が高い。
【0059】
そして、本発明の請求項4に係る画像入力装置によれば、制御手段が、タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、経過時間が上述した温度の変動期間に対応する時間範囲にあるときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、経過時間が上述した温度の安定期間に対応する時間範囲にあるときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0060】
また、本発明の請求項5に係る画像入力装置は、請求項4に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御することを特徴とする。
【0061】
このように構成された本発明の請求項5に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0062】
また、本発明の請求項6に係る画像入力装置は、請求項4又は5に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記経過時間が、前記測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、前記第1オートフォーカス手段を作動させ、前記周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときは、前記第2オートフォーカス手段を作動させるように、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0063】
このように構成された本発明の請求項6に係る画像入力装置によれば、経過時間が、測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、経過時間が変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、経過時間が安定期間に対応する時間範囲であるときは、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0064】
また、本発明の請求項7に係る画像入力装置は、請求項3または6に係る画像入力装置において、前記変動期間に対応して予め設定された時間範囲は、前記電源投入から第1の所定時間が経過したときから、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間が経過したときまで、の時間範囲であることを特徴とする。
【0065】
ここで、第1の所定時間は、上述した低温安定期間の終了時に対応した時間であり、第2の所定時間は、上述した高温安定期間の開始時に対応した時間である。
【0066】
このように構成された本発明の請求項7に係る画像入力装置によれば、低温安定期間が終了してから高温安定期間が開始するまでの間の期間は、低温安定期間中の低温状態から高温安定期間の高温状態に至る急激な温度変動期間であり、この期間を変動期間として設定することにより、測距手段の精度変動期間には、走査範囲である周辺ピント範囲を拡大してコントラストAF動作を作動させること(請求項3)によって、または測距手段の精度変動期間には、外光AF動作を行わずにコントラストAF動作を行うこと(請求項6)によって、測距手段の精度変動によるAF精度の低下を防止することができる。
【0067】
また、本発明の請求項8に係る画像入力装置は、請求項7に係る画像入力装置において、少なくとも電源投入時における前記画像入力装置内の初期温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された初期温度に応じて、前記第2の所定時間を遅延させることを特徴とする。
【0068】
ここで、画像入力装置への電源投入時における装置内部の初期温度は、この画像入力装置の雰囲気温度と略一致するが、電源投入後の低温安定期間については、この雰囲気温度に拘わらず略一定であるのに対して、この低温安定期間に後続する変動期間の終了時すなわち高温安定期間の開始時は、雰囲気温度に応じて変動する。
【0069】
具体的には、雰囲気温度が高い程、変動期間は短縮されて、より早く高温安定期間に至る。
【0070】
したがって、本発明の請求項8に係る画像入力装置によれば、制御手段が、温度検出手段によって検出された初期温度に応じて、第2の所定時間を遅延させることにより、画像入力装置の温度の変動期間と安定期間とを精度よく設定することができ、測距手段の精度変動によるAF精度の低下を防止することができる。
【0071】
なお、以上の説明は、特に言及した場合を除き、以下の発明においても同様である。
【0072】
また、本発明に係る第2の画像入力装置は、画像入力装置内の温度に応じて、コントラストAFの動作を適切に制御するものである。
【0073】
すなわち、本発明の請求項9に係る画像入力装置は、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、該画像入力装置内の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御することを特徴とする。
【0074】
ここで、温度検出手段が検出する画像入力装置内の温度は、測距手段の周辺の温度であることが好ましい。
【0075】
測距手段周辺の温度の経時的変化割合は、測距手段が検出する被写体までの距離の測距精度に、大きな影響を与えるからである。
【0076】
このように構成された本発明の請求項9に係る画像入力装置によれば、温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度の経時的変化割合すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0077】
また、本発明の請求項10に係る画像入力装置は、請求項9に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御するとともに、前記温度の経時的変化割合に応じて、前記周辺ピント範囲の広狭を設定することを特徴とする。
【0078】
このように構成された本発明の請求項10に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0079】
また、画像入力装置内の温度の経時的変化割合に応じて、この周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0080】
なお、制御手段は、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御してもよい。
【0081】
このように撮影光学系等の移動範囲の広狭をも同時に制御することにより、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合においては、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0082】
また、本発明の請求項11に係る画像入力装置は、請求項10に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記周辺ピント範囲を広く設定することを特徴とする。
【0083】
ここで、予め設定された所定値は、測距手段の周辺等画像入力手段内部の温度が安定している安定期間と、この温度が大きく変化する変動期間とを、明確に画する値をいう。
【0084】
すなわち、例えば、温度の経時的変化割合が10%以下、好ましくは5%以下、最適には2%以下の期間を安定期間として設定する場合には、この10%、好ましくは5%、最適には2%が所定値となる。
【0085】
なお、安定期間は、具体的には例えば、画像入力装置への電源投入時(T=0)から短時間経過(T=T1)までの時間範囲(0≦T≦T1;低温安定期間)や、電源投入時から長時間経過(T=T2)した以後の時間範囲(T2≦T;高温安定期間)などである。
【0086】
すなわち、低温安定期間は、電源投入直後における短時間だけ比較的低温で維持された状態を呈し、高温安定期間は、画像入力装置内の温度が比較的高温でサチレートした状態を呈する。
【0087】
そして、具体的には例えば、安定期間が上記低温安定期間(0≦T≦T1)および高温安定期間(T2≦T)である場合には、変動期間はこれらの間の期間(T1<T<T2)となる。
【0088】
このように構成された本発明の請求項11に係る画像入力装置によれば、温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0089】
また、本発明の請求項12に係る画像入力装置は、請求項9に係る画像入力装置において、前記測距手段によって得られた距離に基づいて前記フォーカス駆動手段を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段をさらに備え、前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0090】
このように構成された本発明の請求項12に係る画像入力装置によれば、制御手段が、温度検出手段によって検出された画像入力装置内の温度の経時的変化割合に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、検出された温度に基づく経時的変化割合が変動期間に対応するときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、経時的変化割合が安定期間に対応するときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0091】
また、本発明の請求項13に係る画像入力装置は、請求項12に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御することを特徴とする。
【0092】
このように構成された本発明の請求項13に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0093】
また、本発明の請求項14に係る画像入力装置は、請求項12又は13に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記第1オートフォーカス手段を作動させ、前記所定値よりも小さいときは、前記第2オートフォーカス手段を作動させるように、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0094】
このように構成された本発明の請求項14に係る画像入力装置によれば、温度の経時的変化割合が予め設定された所定値より大きいときは、所定値より小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、この場合は、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、温度の経時的変化割合が予め設定された所定値よりも小さい場合は、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、画像入力装置内部の温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0095】
また、本発明に係る第3の画像入力装置は、画像入力装置内の温度分布の不均一性に応じて、コントラストAFの動作を適切に制御するものである。
【0096】
すなわち、本発明の請求項15に係る画像入力装置は、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、該画像入力装置内の互いに異なる複数の部位の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記複数の温度検出手段によってそれぞれ検出された温度に基づく前記画像入力装置内の温度分布の不均一性に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御することを特徴とする。
【0097】
ここで、画像入力装置内の温度分布の不均一性は、測距手段の周辺の温度分布の不均一性であることが好ましい。
【0098】
測距手段周辺の温度の不均一は、測距手段が検出する被写体までの距離の測距精度に、大きな影響を与えるからである。
【0099】
このように構成された本発明の請求項15に係る画像入力装置によれば、複数の温度検出手段によってそれぞれ検出された温度に基づく装置内の温度不均一性に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度の不均一性すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0100】
また、本発明の請求項16に係る画像入力装置は、請求項15に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御するとともに、前記温度分布の不均一性に応じて、前記周辺ピント範囲の広狭を設定することを特徴とする。
【0101】
このように構成された本発明の請求項16に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0102】
また、画像入力装置内の温度の不均一性に応じて、この周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度不均一な状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度均一な状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0103】
なお、制御手段は、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御してもよい。
【0104】
このように撮影光学系等の移動範囲の広狭をも同時に制御することにより、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合においては、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0105】
また、本発明の請求項17に係る画像入力装置は、請求項16に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記温度分布の不均一性を表す指標値が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記周辺ピント範囲を広く設定することを特徴とする。
【0106】
ここで、予め設定された所定値は、各温度検出手段によって検出された各温度の値が略同一値となる略均一な状態と、各温度の値が略同一値とはならない不均一な状態とを、明確に画する値をいい、例えば、不均一性を表す指標値として温度の最大値と最小値との差が10%以下、好ましくは5%以下、最適には2%以下の値などを適用することができる。
【0107】
なお、温度の不均一性が低い期間は、温度が安定している安定期間と略一致し、温度の不均一性が高い期間は、温度が大きく変化する変動期間と略一致する。
【0108】
そして、安定期間は、具体的には例えば、画像入力装置への電源投入時(T=0)から短時間経過(T=T1)までの時間範囲(0≦T≦T1;低温安定期間)や、電源投入時から長時間経過(T=T2)した以後の時間範囲(T2≦T;高温安定期間)などである。
【0109】
すなわち、低温安定期間は、電源投入直後における短時間だけ比較的低温で維持された状態を呈し、高温安定期間は、画像入力装置内の温度が比較的高温でサチレートした状態を呈する。
【0110】
そして、具体的には例えば、安定期間が上記低温安定期間(0≦T≦T1)および高温安定期間(T2≦T)である場合には、変動期間はこれらの間の期間(T1<T<T2)となる。
【0111】
このように構成された本発明の請求項17に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性を表す指標値が、予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0112】
また、本発明の請求項18に係る画像入力装置は、請求項15に係る画像入力装置において、前記測距手段によって得られた距離に基づいて前記フォーカス駆動手段を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段をさらに備え、前記制御手段は、前記複数の温度検出手段によってそれぞれ検出された温度に基づく前記画像入力装置内の温度分布の不均一性に応じて、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0113】
このように構成された本発明の請求項18に係る画像入力装置によれば、制御手段が、複数の温度検出手段によって検出された画像入力装置内の温度に基づく温度の不均一性に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、不均一性が高い変動期間に対応するときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、不均一性が低い安定期間に対応するときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、画像入力温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0114】
また、本発明の請求項19に係る画像入力装置は、請求項18に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御することを特徴とする。
【0115】
このように構成された本発明の請求項19に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0116】
また、本発明の請求項20に係る画像入力装置は、請求項18又は19に係る画像入力装置において、前記制御手段は、前記温度分布の不均一性を表す指標値が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記第1オートフォーカス手段を作動させ、前記所定値よりも小さいときは、前記第2オートフォーカス手段を作動させるように、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする。
【0117】
このように構成された本発明の請求項20に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性を表す指標値が予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、この場合は、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、温度の不均一性を表す指標値が予め設定された所定値よりも小さい場合は、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、画像入力装置内部の温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0118】
また、本発明の請求項21に係る画像入力装置は、請求項15から20のうちいずれか1項に係る画像入力装置において、前記複数の温度検出手段のうち少なくとも1つは、前記測距手段近傍部位のうち前記撮像手段に近い側の部位に設けられ、少なくとも他の1つは、前記測距手段近傍部位のうち前記撮像手段から遠い側の部位に設けられていることを特徴とする。
【0119】
ここで、画像入力装置を構成する構成要素のうち撮像手段の温度上昇は、装置内部の温度上昇に寄与しやすいため、測距手段近傍部位のうち、撮像手段に近い側の部位の温度と遠い側の部位の温度との不均一性は、画像入力装置内部の温度の不均一性を顕著に反映し、しかもこれらの部位間の温度の不均一性は、測距精度に最も影響を与えやすい。
【0120】
したがって、このように構成された本発明の請求項21に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性によって、測距手段による測距精度の信頼性を端的に反映したAF動作を行うことができる。
【0121】
また、本発明の請求項22に係る画像入力装置は、請求項1から21のうちいずれか1項に係る画像入力装置において、前記測距手段は、前記撮影光学系を通過する光路とは異なる光路を通過した複数の被写体像の位相差に基づいて、前記被写体までの距離を検出するものであることを特徴とする。
【0122】
ここで、撮影光学系を通過する光路とは異なる光路を通過した複数の被写体像の位相差に基づいて、被写体までの距離を検出する測距手段とは、具体的には、いわゆるパッシブAF用の測距手段であり、アクティブAF用の測距手段に比べて、測距精度が温度によって変動しやすい。
【0123】
したがって、本発明の請求項22に係る画像入力装置によれば、測距精度が比較的温度の影響を受けやすい測距手段であっても、装置内部の温度状況に対応して適切に精度を確保したAF動作を行うことができる。
【0124】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像入力装置の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
本発明の第1の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態1)であるデジタルカメラ100は、図1に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、第1オートフォーカス手段50の作動を制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、電源投入からの経過時間Tを計時するタイマ80とを備え、制御手段60は、測距手段30によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で上記評価を行うように、第1オートフォーカス手段50を制御するとともに、タイマ80によって計時された経過時間Tに応じて、上記周辺ピント範囲の広狭を設定するように構成されている。
【0125】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図2に示すように構成されている。
【0126】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50、タイマ80および制御手段60として、それぞれ対応している。
【0127】
また、このデジタルカメラ100の筐体1の内部には、上述した構成に加えて、撮影条件や表示条件等各種の設定情報が入力されるカメラ操作部65と、撮像素子11に投影されシステムコントローラ61に入力されたデジタル信号が表す可視像やカメラ操作部65で設定された各種の情報等を表示する表示部66と、撮影字の補助光を発光するストロボ発光部68およびこのストロボ発光部68の発光を制御するストロボ制御部67と、ズームレンズ群22を駆動するズーム駆動系64と、絞り69を駆動するシャッタ・絞り駆動系62と、レリーズ押圧部2と、レリーズ押圧部2の半押し状態を検出する半押し検出部3と、レリーズ押圧部2の全押し状態を検出する全押し検出部4とが収容されている。
【0128】
ここで、フォーカス駆動系41はフォーカスレンズ群23を光軸方向に移動させ、ズーム駆動系64はズームレンズ群22を光軸方向に移動させる。また、シャッタ・絞り駆動系62は、ズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23との間に配された絞り69の開度を調整する。
【0129】
なお、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXは、所定の周波数で発振するパルスの数Mに対応して設定されており、パルス数Mが大きくなるに従って移動距離ΔXは大きくなる。
【0130】
A/Dコンバータ12は、CCD11から出力されたアナログ信号をデジタル信号化し、画像処理部13は、デジタル信号を信号処理してシステムコントローラ61に入力する。
【0131】
ストロボ発光部68は、ストロボ制御部67を介してシステムコントローラ61に接続され、半押し検出部3および全押し検出部4はそれぞれシステムコントローラ61に直接接続されている。
【0132】
システムコントローラ61に接続されたメモリ群63には、撮影条件等に応じてシステムコントローラ61が制御する各種作動に用いる設定値等が記憶され、あるいはシステムコントローラ61から送出された情報を書換え可能に一時的に記憶する。また、このメモリ群63には、撮影された被写体像を表すデジタル信号を記憶する着脱可能のスマートメディアやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部メモリも含まれる。
【0133】
測距センサ31は、図3(a)に示すように、2眼レンズと、この2眼レンズの各レンズに対応して設けられた絞りと、各絞りの後方にそれぞれ設けられたラインセンサであるCCDとからなり、同図(b)に示すように、各CCDにそれぞれ投影された被写体200の像間の位相差に基づいて、測距センサ制御部32が被写体までの距離を測定している。
【0134】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域より狭くも限定される。
【0135】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0136】
さらに、制御手段60が設定する上記走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)は、タイマ80によって計時された経過時間Tに応じて変化する。
【0137】
すなわち、経過時間Tが所定時間範囲(T1<T<T2)にあるときは、この所定時間範囲以外の範囲(T≦T1またはT2≦T)にあるときよりも、走査範囲が広くなるように設定される。具体的な設定は、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXが依存するパルス数Mによって行われ、所定時間範囲(T1<T<T2)のときのパルス数Mは10パルス、所定時間範囲以外の範囲(T≦T1またはT2≦T)のときのパルス数Mは6パルスに設定されている。
【0138】
なお、この走査範囲の広狭を規定する具体的な値は、このパルス数Mに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0139】
ここで、上述した所定時間範囲を規定する経過時間T1,T2について説明する。
【0140】
まず、制御手段60が設定するCCDAFにおける走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の中心値XAは、測距センサ31により検出された値に基づくものであるところ、測距センサ31は、その周辺温度tによって測距値(被写体までの距離)が変化する。
【0141】
このため、測距センサ31による測距値は、測距センサ31の周辺温度tが所定温度のときの状態を基準に設定され、例えば周辺温度tが上昇したときには、その温度に応じて制御手段61が測距値を補正するように設定されている。
【0142】
しかし、測距センサ31の周辺温度tは図5に示すように、デジタルカメラ100の電源SW70がオンになる以前は、デジタルカメラ100の雰囲気温度(室温等)で安定している(低温安定期間)が、電源SW70がオンとなり電源が投入されると、この電源投入の直後(T=T1)から、撮像素子11やその他の電気回路の発熱によって急激に上昇し(温度変動期間)、さらに所定時間(T=T2)経過すると、筐体1の内部の温度がある程度安定し、測距センサ31の周辺温度tも安定する(高温安定期間)。
【0143】
したがって、測距センサ31の周辺温度tが、低温で安定しているとき(低温安定期間)や高温で安定しているとき(高温安定期間)は、その温度に応じて所定の補正を行うことで測距センサ31による測距値の信頼性を確保することができるが、時間の経過に対する温度tの変化割合が急激(例えば、単位時間当たりの温度変動率が5%超えの場合等)である温度変動期間では、所定の補正値を設定することできず、結果的に測距の信頼性が低下している期間となる。
【0144】
このように、上記経過時間T1は低温安定期間と温度変動期間とを画する時間として、経過時間T2は温度変動期間と高温安定期間とを画する時間として、それぞれ予め実験的に求めて設定されている。
【0145】
次に、本実施形態1に係るデジタルカメラ100の作用について、図6に示したフローチャートを参照して説明する。
【0146】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#1)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0147】
このとき、システムコントローラ61のタイマ80が計時を開始し(#2)、電源SW70がオンに切り換えられてからの経過時間Tを計測し始める。なお、経過時間Tの初期値はゼロに設定されている。
【0148】
さらに、システムコントローラ61は、メモリ群63からCCDAFの走査範囲の広狭を切り換えるための経過時間Tの閾値T1,T2を読み込み(#3)、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#4)。
【0149】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#4)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0150】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0151】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#5)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0152】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#6)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0153】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定し、一方、測距判定がNGの場合は、測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0154】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、図4(a)に示す走査範囲(XS〜XE)について、フォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#15)。
【0155】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#16)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#17)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#19,#21)。
【0156】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#19)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ5(#5)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#20)。
【0157】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#19,#21)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#21)は、ステップ4(#4)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#4)。
【0158】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ15(#15)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#16)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#18)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#19,#21)。
【0159】
次に、測距判定がOKの場合(#6)は、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するが、さらにシステムコントローラ61は、タイマ80による経過時間Tが、温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあるか、温度変動期間(T1<T<T2)にあるかを判定する(#7,#8)。
【0160】
そして、経過時間Tが温度安定期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、比較的少ない±6パルスに設定する(#10)。この結果、限定走査範囲の幅は狭くなる。
【0161】
一方、経過時間Tが温度変動期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離が信頼性が比較的低いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、±10パルスに設定する(#9)。この結果、限定走査範囲の幅は広くなる。
【0162】
このようにして、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲(図4(b))について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#11)。
【0163】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#12)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#13)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#19,#21)。
【0164】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#19)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ5(#5)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#20)。
【0165】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0166】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#19,#21)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#21)は、ステップ4(#4)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#4)。
【0167】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ11(#11)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#12)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#14)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#19,#21)。
【0168】
なお、このステップ14(#14)におけるAF動作は、いわゆる外光AF動作と同じである。
【0169】
また、システムコントローラ61が、タイマ80による経過時間Tが温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあると判定したとき(#7,#8)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合(#7)には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合(#8)には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ11(#11)においてCCDAF動作を行う限定走査範囲を決定する際に、これらのフラグに応じて、限定走査範囲の中心位置XAを補正するようにしている。
【0170】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0171】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0172】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0173】
以上説明したように、本実施形態1に係るデジタルカメラ100によれば、タイマ80によって計時された経過時間Tに応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動を制御することにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50の作動が制御され、第1オートフォーカス手段50によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0174】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、CCDAF動作の限定走査範囲を広く設定することによって、全域(XS〜XE)を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、限定走査範囲を狭く設定することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
(変形例)
上述した実施形態1に係るデジタルカメラ100においては、少なくとも電源投入時におけるデジタルカメラ100内の初期温度t0を検出する温度検出手段をさらに備え、制御手段60が、温度変動期間と高温安定期間とを画するものとして設定された経過時間T2を、温度検出手段によって検出された初期温度t0に応じて遅延させる(繰り下げる)ものとしてもよい。
【0175】
すなわち、上述した実施形態1のデジタルカメラ100においては、初期温度t0に拘わらず経過時間T2は一定として取り扱っているが、本願発明者らの実験によれば、図7に示すように、初期温度t0に拘わらず低温安定期間の終期(温度変動期間の始期)である経過時間T1は略一定であるものの、温度変動期間の終期である経過時間T2は、初期温度t0によって変動し、初期温度t0が低い程、変動期間が長くなって経過時間T2はより遅い時間となり、初期温度t0が高い程、変動期間が短くなって経過時間T2はより早い時間となることが判明した。
【0176】
そこで、温度検出手段によって検出された初期温度t0が低いときは、制御手段60が経過時間T2を遅延させるようにすればよい。
【0177】
このように構成された変形例に係るデジタルカメラによれば、デジタルカメラの内部温度の温度変動期間と温度安定期間とを一層精度よく画することができ、測距手段30の精度変動によるAF精度の低下を確実に防止することができる。
【0178】
なお、初期温度t0が低いときを基準として、温度検出手段によって検出された初期温度t0が高いときは、制御手段60が経過時間T2を繰り上げるようにしてもよい。
(実施形態2)
本発明の第1の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態2)であるデジタルカメラ100は、図8に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、測距手段30によって得られた距離に基づいてフォーカス駆動手段40を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段90と、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、電源投入からの経過時間Tを計時するタイマ80とを備え、制御手段60は、タイマ80によって計時された経過時間Tに応じて、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換えるように構成されている。
【0179】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図2に示すように構成されている。
【0180】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50、第2オートフォーカス手段90、タイマ80および制御手段60として、それぞれ対応している。
【0181】
なお、本実施形態2のデジタルカメラ100と前述した実施形態1のデジタルカメラ100とは、システムコントローラ61の機能が異なる以外は同一の構成であるため、システムコントローラ61の機能以外については、説明を省略する。
【0182】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域よりも狭く限定される。
【0183】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0184】
また、システムコントローラ61の第2オートフォーカス手段90は、測距手段30によって得られた被写体までの距離に基づいて、この距離に対応した被写体200の像が撮像素子11上で最適なピント状態で結像するのに必要なフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、フォーカスレンズ群23の位置が、この算出された位置XAになるように、フォーカス駆動系41を制御するいわゆる外光AF動作を行うオートフォーカス手段であり、第1オートフォーカス手段によるAF動作(CCDAF)よりも、測距手段30の測距精度への依存度が高い。
【0185】
そして、制御手段60は、タイマ80によって計時された経過時間Tが所定時間範囲(T1<T<T2)にあるときは、AF動作を第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作となるように、所定時間範囲以外の範囲(T≦T1またはT2≦T)にあるときは、AF動作を第2オートフォーカス手段90による外光AF動作となるように、両オートフォーカス手段50,90を切換制御する。
【0186】
ここで、上述した所定時間範囲を規定する経過時間T1,T2については、実施形態1において説明したものと同一である。
【0187】
すなわち、測距センサ31の周辺温度tが、低温で安定しているとき(低温安定期間)や高温で安定しているとき(高温安定期間)は、その安定している温度に応じて所定の補正を行うことで測距センサ31による測距値の信頼性を確保することができるため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作を選択し、時間の経過に対する温度tの変化割合が急激(例えば、単位時間当たりの温度変動率が5%超えの場合等)である温度変動期間では、特定の補正値を設定することできず、結果的に測距の信頼性が低下しているため、測距センサ31の測距値への依存度が外光AF動作よりも相対的に低い第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作を選択するものである。
【0188】
次に、本実施形態2に係るデジタルカメラ100の作用について、図9に示したフローチャートを参照して説明する。
【0189】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#21)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0190】
このとき、システムコントローラ61のタイマ80が計時を開始し(#22)、電源SW70がオンに切り換えられてからの経過時間Tを計測し始める。なお、経過時間Tの初期値はゼロに設定されている。
【0191】
さらに、システムコントローラ61は、メモリ群63から、CCDAF動作と外光AF動作とを択一的に切り換えるための経過時間Tの閾値T1,T2を読み込み(#23)、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#24)。
【0192】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#24)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0193】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0194】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#25)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0195】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#26)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0196】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するとともに、この中心値XAを挟んだ周辺ピント範囲(XA±ΔX)を、CCDAFの限定走査範囲として設定する。
【0197】
一方、測距判定がNGの場合は、システムコントローラ61には測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0198】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、走査範囲(XS〜XE)について、フォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#33)。
【0199】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#34)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#35)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#37,#39)。
【0200】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#37)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ25(#25)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#38)。
【0201】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#37,#39)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#39)は、ステップ24(#24)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#24)。
【0202】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ33(#33)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#34)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#36)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#37,#39)。
【0203】
次に、測距判定がOKの場合(#26)は、システムコントローラ61は、CCDAFの限定走査範囲を設定するが、さらにシステムコントローラ61は、タイマ80による経過時間Tが、温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあるか、温度変動期間(T1<T<T2)にあるかを判定する(#27,#28)。
【0204】
そして、経過時間Tが温度安定期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に高い、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換え、経過時間Tが温度変動期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離が相対的に信頼性が低いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に低い、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作に切り換える(#27,#28)。
【0205】
このようにして、温度変動期間に対応してCCDAF動作に切り換えられたときは、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#29)。
【0206】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#30)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#31)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#37,#39)。
【0207】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#37)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ25(#25)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#38)。
【0208】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0209】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#37,#39)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#39)は、ステップ24(#24)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#24)。
【0210】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ29(#29)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#30)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換える(#30)。
【0211】
そして、経過時間Tが温度安定期間にあると判定して第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#27,#28)、またはCCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#30)、第2オートフォーカス手段90は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#32)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#37,#39)。
【0212】
なお、システムコントローラ61が、タイマ80による経過時間Tが温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあると判定したとき(#27,#28)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合(#27)には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合(#28)には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ32(#32)において外光AF動作を行う位置XAを補正するようにしている。
【0213】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0214】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0215】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0216】
以上説明したように、本実施形態2に係るデジタルカメラ100によれば、タイマ80によって計時された経過時間Tに応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換える制御を行うことにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作、または第2オートフォーカス手段90による外光AF動作が行われ、両オートフォーカス手段50,90によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0217】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、AF精度の高いCCDAF動作を選択することによって、測距センサ31の信頼性低下による最適ピント状態の誤探索を防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、AF動作速度の速い外光AF動作を選択することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
【0218】
なお、本実施形態2のデジタルカメラ100においても、実施形態1のデジタルカメラの変形例と同様に、少なくとも電源投入時におけるデジタルカメラ100内の初期温度t0を検出する温度検出手段をさらに備え、制御手段60が、温度変動期間と高温安定期間とを画するものとして設定された経過時間T2を、温度検出手段によって検出された初期温度t0に応じて遅延させる(繰り下げる)ものとしてもよい。
【0219】
このように構成された変形例に係るデジタルカメラによれば、デジタルカメラの内部温度の温度変動期間と温度安定期間とを一層精度よく画することができ、測距手段30の精度変動によるAF精度の低下を確実に防止することができる。
【0220】
なお、初期温度t0が低いときを基準として、温度検出手段によって検出された初期温度t0が高いときは、制御手段60が経過時間T2を繰り上げるようにしてもよい。
(実施形態3)
本発明の第2の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態3)であるデジタルカメラ100は、図10に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、第1オートフォーカス手段50の作動を制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、デジタルカメラ100内の温度tを検出する温度検出手段81とを備え、制御手段60は、測距手段30によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で上記評価を行うように、第1オートフォーカス手段50を制御するとともに、温度検出手段81によって検出された温度tの経時的変化割合に応じて、上記周辺ピント範囲の広狭を設定するように構成されている。
【0221】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図11に示すように構成されている。
【0222】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50および制御手段60として、温度センサ82が温度検出手段81として、それぞれ対応している。
【0223】
また、このデジタルカメラ100の筐体1の内部には、上述した構成に加えて、撮影条件や表示条件等各種の設定情報が入力されるカメラ操作部65と、撮像素子11に投影されシステムコントローラ61に入力されたデジタル信号が表す可視像やカメラ操作部65で設定された各種の情報等を表示する表示部66と、撮影字の補助光を発光するストロボ発光部68およびこのストロボ発光部68の発光を制御するストロボ制御部67と、ズームレンズ群22を駆動するズーム駆動系64と、絞り69を駆動するシャッタ・絞り駆動系62と、レリーズ押圧部2と、レリーズ押圧部2の半押し状態を検出する半押し検出部3と、レリーズ押圧部2の全押し状態を検出する全押し検出部4とが収容されている。
【0224】
ここで、フォーカス駆動系41はフォーカスレンズ群23を光軸方向に移動させ、ズーム駆動系64はズームレンズ群22を光軸方向に移動させる。また、シャッタ・絞り駆動系62は、ズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23との間に配された絞り69の開度を調整する。
【0225】
なお、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXは、所定の周波数で発振するパルスの数Mに対応して設定されており、パルス数Mが大きくなるに従って移動距離ΔXは大きくなる。
【0226】
A/Dコンバータ12は、CCD11から出力されたアナログ信号をデジタル信号化し、画像処理部13は、デジタル信号を信号処理してシステムコントローラ61に入力する。
【0227】
ストロボ発光部68は、ストロボ制御部67を介してシステムコントローラ61に接続され、半押し検出部3および全押し検出部4はそれぞれシステムコントローラ61に直接接続されている。
【0228】
システムコントローラ61に接続されたメモリ群63には、撮影条件等に応じてシステムコントローラ61が制御する各種作動に用いる設定値等が記憶され、あるいはシステムコントローラ61から送出された情報を書換え可能に一時的に記憶する。また、このメモリ群63には、撮影された被写体像を表すデジタル信号を記憶する着脱可能のスマートメディアやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部メモリも含まれる。
【0229】
測距センサ31は、図3(a)に示すように、2眼レンズと、この2眼レンズの各レンズに対応して設けられた絞りと、各絞りの後方にそれぞれ設けられたラインセンサであるCCDとからなり、同図(b)に示すように、各CCDにそれぞれ投影された被写体200の像間の位相差に基づいて、測距センサ制御部32が被写体までの距離を測定している。
【0230】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域よりも限定される。
【0231】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0232】
さらに、制御手段60が設定する上記走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)は、温度センサ82によって検出された測距センサ31の周辺温度tの経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)に応じて変化する。
【0233】
すなわち、温度tの経時的変化割合|t(n)−t(n-1)|は、図12に示すように、電源SW70がオンに切り換えられてからの経過時間Tが温度変動期間(T1<T<T2)にあるときは、温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあるときよりも大きく、この温度tの経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)が予め設定された所定値t1(>0)よりも大きいとき(t1<|t(n)−t(n-1)|)は、走査範囲が広くなるように設定される。
【0234】
具体的な設定は、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXが依存するパルス数Mによって行われ、経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)が所定値t1よりも大きいときのパルス数Mは10パルス、経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)が所定値t1よりも大きくないとき(|t(n)−t(n-1)|≦t1)のパルス数Mは6パルスに設定されている。
【0235】
なお、この走査範囲の広狭を規定する具体的な値は、このパルス数Mに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0236】
ここで、上述した経時的変化割合|t(n)−t(n-1)|の大小を規定する所定値t1は、具体的には、温度変動期間と温度安定期間とを画する経過時間Tに対応して設定されている。
【0237】
次に、本実施形態3に係るデジタルカメラ100の作用について、図13に示したフローチャートを参照して説明する。
【0238】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#1)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0239】
このとき、温度センサ82が測距センサ31の周辺の温度tを所定の時間間隔で繰返し検出開始する(#2)。また、同時にシステムコントローラ61は、メモリ群63からCCDAFの走査範囲の広狭を切り換えるための所定値t1を読み込み、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#3)。
【0240】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#3)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0241】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0242】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#4)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0243】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#5)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0244】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定し、一方、測距判定がNGの場合は、測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0245】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、走査範囲(XS〜XE)についてフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#14)。
【0246】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#15)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#16)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#18,#20)。
【0247】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#18)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ4(#4)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#19)。
【0248】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#18,#20)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#20)は、ステップ3(#3)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#3)。
【0249】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ14(#14)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#15)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#17)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#18,#20)。
【0250】
次に、測距判定がOKの場合(#5)は、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するが、さらにシステムコントローラ61は、温度センサ82によって検出された温度tについて、最新データt(n)の一つ前のデータt(n-1)を読み出して(#6)、この最新のデータt(n)と一つ前のデータt(n-1)との差の大きさ、すなわち温度tの経時的変動割合|t(n)−t(n-1)|を算出し、この値と所定値t1とを比較し、温度安定期間にあるか、温度変動期間にあるかを判定する(#7)。
【0251】
そして、|t(n)−t(n-1)|≦t1のときは温度安定期間にあると判定して、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、比較的少ない±6パルスに設定する(#9)。この結果、限定走査範囲の幅は狭くなる。
【0252】
一方、t1<|t(n)−t(n-1)|のときは温度変動期間にあると判定して、測距センサ制御部32による測距距離が信頼性が比較的低いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、±10パルスに設定する(#8)。この結果、限定走査範囲の幅は広くなる。
【0253】
このようにして、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#10)。
【0254】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#11)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#12)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#18,#20)。
【0255】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#18)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ4(#4)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#19)。
【0256】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0257】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#18,#20)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#20)は、ステップ3(#3)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#3)。
【0258】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ10(#10)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#11)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#13)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#18,#20)。
【0259】
なお、このステップ13(#13)におけるAF動作は、いわゆる外光AF動作と同じである。
【0260】
また、システムコントローラ61が、温度安定期間にあると判定したとき(#7)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ10(#10)においてCCDAF動作を行う限定走査範囲を決定する際に、これらのフラグに応じて、限定走査範囲の中心位置XAを補正するようにしている。
【0261】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0262】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0263】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0264】
なお、低温安定期間であるか高温安定期間であるかの判定は、温度tについて最新のデータt(n)までの検出回数nに基づいて行うことができる。
【0265】
すなわち、温度センサ82は、電源SW70がオンに切り換えられてから所定の時間間隔で温度tを検出しているため、低温安定期間に検出する回数は所定回数に限られる。
【0266】
したがって、この検出回数nの閾値を、低温安定期間内における検出回数と高温安定期間までの検出回数とを明確に画する値として設定しておくことによって、検出回数nに基づいて、低温安定期間であるか高温安定期間であるかを判定することができる。
【0267】
以上説明したように、本実施形態3に係るデジタルカメラ100によれば、温度センサ82によって検出された温度tの経時的変動割合|t(n)−t(n-1)|に応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動を制御することにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50の作動が制御され、第1オートフォーカス手段50によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0268】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、CCDAF動作の限定走査範囲を広く設定することによって、全域(XS〜XE)を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、限定走査範囲を狭く設定することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
(実施形態4)
本発明の第2の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態4)であるデジタルカメラ100は、図14に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、測距手段30によって得られた距離に基づいてフォーカス駆動手段40を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段90と、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、デジタルカメラ100内の温度tを検出する温度検出手段81とを備え、制御手段60は、測距手段30によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で上記評価を行うように、第1オートフォーカス手段50を制御するとともに、温度検出手段81によって検出された温度tの経時的変化割合に応じて、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換えるように構成されている。
【0269】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図11に示すように構成されている。
【0270】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50、第2オートフォーカス手段90および制御手段60として、温度センサ82が温度検出手段81として、それぞれ対応している。
【0271】
なお、本実施形態4のデジタルカメラ100と前述した実施形態3のデジタルカメラ100とは、システムコントローラ61の機能が異なる以外は同一の構成であるため、システムコントローラ61の機能の以外については、説明を省略する。
【0272】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域よりも限定される。
【0273】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0274】
また、システムコントローラ61の第2オートフォーカス手段90は、測距手段30によって得られた被写体までの距離に基づいて、この距離に対応した被写体200の像が撮像素子11上で最適なピント状態で結像するのに必要なフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、フォーカスレンズ群23の位置が、この算出された位置XAになるように、フォーカス駆動系41を制御するいわゆる外光AF動作を行うオートフォーカス手段であり、第1オートフォーカス手段によるAF動作(CCDAF)よりも、測距手段30の測距精度への依存度が高い。
【0275】
そして、制御手段60は、温度センサ82によって検出された温度tの経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)が予め設定された所定値t1(>0)よりも大きいとき(t1<|t(n)−t(n-1)|)は、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作となるように、経時的変化割合(|t(n)−t(n-1)|)が予め設定された所定値t1よりも大きくないとき(|t(n)−t(n-1)|≦t1)は、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作となるように、両オートフォーカス手段50,90を切換制御する。なお、所定値t1は、実施形態3において説明したものと同一である。
【0276】
すなわち、測距センサ31の周辺温度tの経時的変化割合が所定値t1よりも大きくないときは、低温で安定しているとき(低温安定期間)や高温で安定しているとき(高温安定期間)であり、その安定している温度に応じて所定の補正を行うことで測距センサ31による測距値の信頼性を確保することができるため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作を選択し、経時的変化割合が所定値t1よりも大きいときは、温度tが急激に変動しているとき(温度変動期間)であり、特定の補正値を設定することできず、結果的に測距の信頼性が低下しているため、測距センサ31の測距値への依存度が外光AF動作よりも相対的に低い第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作を選択するものである。
【0277】
次に、本実施形態4に係るデジタルカメラ100の作用について、図15に示したフローチャートを参照して説明する。
【0278】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#21)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0279】
このとき、温度センサ82が測距センサ31の周辺の温度tを所定の時間間隔で繰返し検出開始する(#22)。また、同時にシステムコントローラ61は、メモリ群63からCCDAFの走査範囲の広狭を切り換えるための所定値t1を読み込み、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#23)。
【0280】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#23)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0281】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0282】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#24)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0283】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#25)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0284】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するとともに、この中心値XAを挟んだ周辺ピント範囲(XA±ΔX)を、CCDAFの限定走査範囲として設定する。
【0285】
一方、測距判定がNGの場合は、システムコントローラ61には測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0286】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、走査範囲(XS〜XE)について、フォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#32)。
【0287】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#33)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#34)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#36,#38)。
【0288】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#36)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ24(#24)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#37)。
【0289】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#36,#38)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#38)は、ステップ23(#23)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#23)。
【0290】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ32(#32)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#34)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#35)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#36,#38)。
【0291】
次に、測距判定がOKの場合(#25)は、システムコントローラ61は、CCDAFの限定走査範囲を設定するが、さらにシステムコントローラ61は、温度センサ82によって検出された温度tについて、最新データt(n)の一つ前のデータt(n-1)を読み出して(#26)、この最新データt(n)と一つ前のデータt(n-1)との差の大きさ、すなわち温度tの経時的変動割合|t(n)−t(n-1)|を算出し、この値と所定値t1とを比較し、温度安定期間にあるか、温度変動期間にあるかを判定する(#27)。
【0292】
そして、温度安定期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に高い、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換え、温度変動期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離が相対的に信頼性が低いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に低い、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作に切り換える(#27)。
【0293】
このようにして、温度変動期間に対応してCCDAF動作に切り換えられたときは、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#28)。
【0294】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#29)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#30)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#36,#38)。
【0295】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#36)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ24(#24)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#37)。
【0296】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0297】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#36,#38)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#38)は、ステップ23(#23)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#23)。
【0298】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ28(#28)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#29)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換える(#29)。
【0299】
そして、温度安定期間にあると判定して第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#27)、またはCCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#29)、第2オートフォーカス手段90は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#31)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#36,#38)。
【0300】
なお、システムコントローラ61が、温度安定期間にあると判定したとき(#27)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ31(#31)において外光AF動作を行う位置XAを補正するようにしている。
【0301】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0302】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0303】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0304】
なお、低温安定期間であるか高温安定期間であるかの判定は、温度tについて最新のデータt(n)までの検出回数nに基づいて行うことができる。
【0305】
すなわち、温度センサ82は、電源SW70がオンに切り換えられてから所定の時間間隔で温度tを検出しているため、低温安定期間に検出する回数は所定回数に限られる。
【0306】
したがって、この検出回数nの閾値を、低温安定期間内における検出回数と高温安定期間までの検出回数とを明確に画する値として設定しておくことによって、検出回数に基づいて、低温安定期間であるか高温安定期間であるかを判定することができる。
【0307】
以上説明したように、本実施形態4に係るデジタルカメラ100によれば、温度センサ82によって検出された温度tの経時的変動割合|t(n)−t(n-1)|に応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換える制御を行うことにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作、または第2オートフォーカス手段90による外光AF動作が行われ、両オートフォーカス手段50,90によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0308】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、AF精度の高いCCDAF動作を選択することによって、測距センサ31の信頼性低下による最適ピント状態の誤探索を防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、AF動作速度の速い外光AF動作を選択することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
(実施形態5)
本発明の第3の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態5)であるデジタルカメラ100は、図16に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、第1オートフォーカス手段50の作動を制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、デジタルカメラ100内の互いに異なる2カ所の温度ta,tbをそれぞれ検出する2つの温度検出手段81,81とを備え、制御手段60は、測距手段30によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で上記評価を行うように、第1オートフォーカス手段50を制御するとともに、2つの温度検出手段81,81によってそれぞれ検出された温度ta,tbに基づくデジタルカメラ100内部の温度分布の不均一性に応じて、上記周辺ピント範囲の広狭を設定するように構成されている。
【0309】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図17に示すように構成されている。
【0310】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50および制御手段60として、温度センサ82,82が温度検出手段81,81として、それぞれ対応している。
【0311】
ここで、2つの温度センサ82,82はそれぞれ、測距センサ31の近傍に配設されており、図18に示すように、一方の温度センサ(第1温度センサ)82は、測距センサ31の近傍のうち撮像素子11に近い側の部分に設けられ、他方の温度センサ(第2温度センサ)82は、測距センサ31の近傍のうち撮像素子11から遠い側の部分に設けられて、デジタルカメラ100内部の温度分布として測距センサ31近傍の温度分布を算出するのに供される。
【0312】
また、このデジタルカメラ100の筐体1の内部には、上述した構成に加えて、撮影条件や表示条件等各種の設定情報が入力されるカメラ操作部65と、撮像素子11に投影されシステムコントローラ80に入力されたデジタル信号が表す可視像やカメラ操作部65で設定された各種の情報等を表示する表示部66と、撮影字の補助光を発光するストロボ発光部68およびこのストロボ発光部68の発光を制御するストロボ制御部67と、ズームレンズ群22を駆動するズーム駆動系64と、絞り69を駆動するシャッタ・絞り駆動系62と、レリーズ押圧部2と、レリーズ押圧部2の半押し状態を検出する半押し検出部3と、レリーズ押圧部2の全押し状態を検出する全押し検出部4とが収容されている。
【0313】
ここで、フォーカス駆動系41はフォーカスレンズ群23を光軸方向に移動させ、ズーム駆動系64はズームレンズ群22を光軸方向に移動させる。また、シャッタ・絞り駆動系62は、ズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23との間に配された絞り69の開度を調整する。
【0314】
なお、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXは、所定の周波数で発振するパルスの数Mに対応して設定されており、パルス数Mが大きくなるに従って移動距離ΔXは大きくなる。
【0315】
A/Dコンバータ12は、CCD11から出力されたアナログ信号をデジタル信号化し、画像処理部13は、デジタル信号を信号処理してシステムコントローラ61に入力する。
【0316】
ストロボ発光部68は、ストロボ制御部67を介してシステムコントローラ61に接続され、半押し検出部3および全押し検出部4はそれぞれシステムコントローラ61に直接接続されている。
【0317】
システムコントローラ61に接続されたメモリ群63には、撮影条件等に応じてシステムコントローラ61が制御する各種作動に用いる設定値等が記憶され、あるいはシステムコントローラ61から送出された情報を書換え可能に一時的に記憶する。また、このメモリ群63には、撮影された被写体像を表すデジタル信号を記憶する着脱可能のスマートメディアやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の外部メモリも含まれる。
【0318】
測距センサ31は、図3(a)に示すように、2眼レンズと、この2眼レンズの各レンズに対応して設けられた絞りと、各絞りの後方にそれぞれ設けられたラインセンサであるCCDとからなり、同図(b)に示すように、各CCDにそれぞれ投影された被写体200の像間の位相差に基づいて、測距センサ制御部32が被写体までの距離を測定している。
【0319】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域よりも狭く限定される。
【0320】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0321】
さらに、制御手段60が設定する上記走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)は、2つの温度センサ82,82によって検出された測距センサ31の周辺温度ta,tbの分布の不均一性を表す指標値(|ta−tb|)に応じて変化する。
【0322】
すなわち、温度分布の不均一性|ta−tb|は、図19に示すように、電源SW70がオンに切り換えられてからの経過時間Tが温度変動期間(T1<T<T2)にあるときは、温度安定期間(T≦T1またはT2≦T)にあるときよりも大きく、この温度分布の不均一性|ta−tb|が予め設定された所定値t2(>0)よりも大きいとき(t2<|ta−tb|)は、走査範囲が広くなるように設定される。
【0323】
具体的な設定は、フォーカスレンズ群23の移動距離ΔXが依存するパルス数Mによって行われ、温度分布の不均一性(|ta−tb|)が所定値t2よりも大きいときのパルス数Mは10パルス、温度分布の不均一性(|ta−tb|)が所定値t2よりも大きくないとき(|ta−tb|≦t2)のパルス数Mは6パルスに設定されている。
【0324】
なお、この走査範囲の広狭を規定する具体的な値は、このパルス数Mに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0325】
ここで、上述した温度分布の不均一性(|ta−tb|)の大小を規定する所定値t2は、具体的には、温度変動期間と温度安定期間とを画する経過時間Tに対応して設定されている。
【0326】
次に、本実施形態5に係るデジタルカメラ100の作用について、図20に示したフローチャートを参照して説明する。
【0327】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#1)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0328】
このとき、システムコントローラ61は、メモリ群63からCCDAFの走査範囲の広狭を切り換えるための所定値t2を読み込み、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#2)。
【0329】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#2)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0330】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0331】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#3)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0332】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#4)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0333】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定し、一方、測距判定がNGの場合は、測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0334】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、走査範囲(XS〜XE)についてフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#13)。
【0335】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#14)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#15)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#17,#19)。
【0336】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#17)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ3(#3)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#18)。
【0337】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#17,#19)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#19)は、ステップ2(#2)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#2)。
【0338】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ13(#13)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#14)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#16)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#17,#19)。
【0339】
次に、測距判定がOKの場合(#4)は、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するが、さらにシステムコントローラ61は、2つの温度センサ82,82がそれぞれ検出した測距センサ31の近傍の温度ta,tbを読み込み(#5)、両温度の差である温度分布の不均一性の指標値|ta−tb|を算出し、この値と所定値t2とを比較し、温度安定期間にあるか、温度変動期間にあるかを判定する(#6)。
【0340】
そして、|ta−tb|≦t2のときは温度安定期間にあると判定し、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、比較的少ない±6パルスに設定する(#8)。この結果、限定走査範囲の幅は狭くなる。
【0341】
一方、t2<|ta−tb|のときは温度変動期間にあると判定し、測距センサ制御部32による測距距離が信頼性が比較的低いものであると判定し、第1オートフォーカス手段50の限定走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)の広狭を規定するパルス数Mを、±10パルスに設定する(#7)。この結果、限定走査範囲の幅は広くなる。
【0342】
このようにして、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#9)。
【0343】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#10)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#11)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#17,#19)。
【0344】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#17)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ3(#3)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#18)。
【0345】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0346】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#17,#19)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#19)は、ステップ2(#2)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#2)。
【0347】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ9(#9)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#10)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#12)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#17,#19)。
【0348】
なお、このステップ12(#12)におけるAF動作は、いわゆる外光AF動作と同じである。
【0349】
また、システムコントローラ61が、温度安定期間にあると判定したとき(#6)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ9(#9)においてCCDAF動作を行う限定走査範囲を決定する際に、これらのフラグに応じて、限定走査範囲の中心位置XAを補正するようにしている。
【0350】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0351】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0352】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0353】
なお、低温安定期間であるか高温安定期間であるかの判定は、例えば、電源SW70がオンされてからの経過時間等に基づいて行うことができる。
【0354】
以上説明したように、本実施形態5に係るデジタルカメラ100によれば、温度センサ82,82によって検出された測距センサ31の近傍の温度分布の不均一性|ta−tb|に応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動を制御することにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50の作動が制御され、第1オートフォーカス手段50によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0355】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、CCDAF動作の限定走査範囲を広く設定することによって、全域(XS〜XE)を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、限定走査範囲を狭く設定することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
【0356】
また、デジタルカメラ100を構成する構成要素のうち撮像素子11の温度上昇は、デジタルカメラ100内部の温度上昇に影響を与えやすいため、測距センサ31の近傍部位のうち、撮像素子11に近い側の部位の温度taと遠い側の部位の温度tbとの不均一性は、デジタルカメラ100内部の温度の不均一性を顕著に反映し、しかもこれらの部位間の温度の不均一性は、測距精度に最も影響を与えやすい。
【0357】
したがって、本実施形態5に係るデジタルカメラ100によれば、温度の不均一性によって、測距手段30による測距精度の信頼性を端的に反映したAF動作を行うことができる。
(実施形態6)
本発明の第3の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態6)であるデジタルカメラ100は、図21に示すように、投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段10と、撮像手段10に被写体200の像を投影する撮影光学系20と、被写体200までの距離を測定する測距手段30と、撮影光学系20の一部を光軸方向に移動させて撮像手段10に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段40と、フォーカス駆動手段40を制御してピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段50と、測距手段30によって得られた距離に基づいてフォーカス駆動手段40を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段90と、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを制御する制御手段60と、電源を投入する電源SW70と、デジタルカメラ100内の互いに異なる2カ所の温度ta,tbをそれぞれ検出する2つの温度検出手段81,81とを備え、制御手段60は、測距手段30によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で上記評価を行うように、第1オートフォーカス手段50を制御するとともに、2つの温度検出手段81,81によってそれぞれ検出された温度ta,tbに基づくデジタルカメラ100内部の温度分布の不均一性に応じて、第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換えるように構成されている。
【0358】
そして、このデジタルカメラ100は、詳細には図17に示すように構成されている。
【0359】
すなわち、測距センサ31と測距センサ制御部32とが測距手段30として、撮像素子(CCD)11とA/Dコンバータ12と画像処理部13とLPF(ローパスフィルタ)14とが撮像手段10として、鏡胴ユニット21とズームレンズ群22とフォーカスレンズ群23とが撮影光学系20として、フォーカス駆動系41がフォーカス駆動手段40として、システムコントローラ61とメモリ群63とが第1オートフォーカス手段50、第2オートフォーカス手段90および制御手段60として、温度センサ82,82が温度検出手段81,81として、それぞれ対応している。
【0360】
なお、本実施形態6のデジタルカメラ100と前述した実施形態5のデジタルカメラ100とは、システムコントローラ61の機能が異なる以外は同一の構成であるため、システムコントローラ61の機能以外については、説明を省略する。
【0361】
システムコントローラ61の第1オートフォーカス手段50は、図4(a)に示すように、フォーカスレンズ群23の可動範囲(XS〜XE)の全域を走査範囲として移動させつつ、フォーカスレンズ群23の各位置Xにおける被写体像のコントラストCを算出し、全域走査後に最大のコントラストCmaxが得られる位置XBを最適ピント状態の位置すなわち最適焦点位置として決定し、改めてこの位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御するCCDAFを行うが、同じくシステムコントローラ61の制御手段60によって、その走査範囲は、フォーカスレンズ群23の可動範囲の全域よりも狭く限定される。
【0362】
すなわち、制御手段60は、図4(b)に示すように、測距手段30によって得られた被写体200までの距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、上述したCCDAFを行う際は、この位置XAを中心として±ΔXの走査範囲(XA−ΔX〜XA+ΔX)を周辺ピント範囲と設定し、この周辺ピント範囲を走査範囲とするように、第1オートフォーカス手段50を制御する。
【0363】
また、システムコントローラ61の第2オートフォーカス手段90は、測距手段30によって得られた被写体までの距離に基づいて、この距離に対応した被写体200の像が撮像素子11上で最適なピント状態で結像するのに必要なフォーカスレンズ群23の位置XAを算出し、フォーカスレンズ群23の位置が、この算出された位置XAになるように、フォーカス駆動系41を制御するいわゆる外光AF動作を行うオートフォーカス手段であり、第1オートフォーカス手段によるAF動作(CCDAF)よりも、測距手段30の測距精度への依存度が高い。
【0364】
そして、制御手段60は、2つの温度センサ82,82によって検出された測距センサ31の周辺温度ta,tbの分布の不均一性を表す指標値(|ta−tb|)が予め設定された所定値t2(>0)よりも大きいとき(t2<|ta−tb|)は、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作となるように、温度分布の不均一性(|ta−tb|)が予め設定された所定値t2よりも大きくないとき(|ta−tb≦t2)は、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作となるように、両オートフォーカス手段50,90を切換制御する。なお、所定値t2は、実施形態5において説明したものと同一である。
【0365】
すなわち、測距センサ31の近傍の温度分布の不均一性が所定値t2よりも大きくないときは、低温で安定しているとき(低温安定期間)や高温で安定しているとき(高温安定期間)であり、その安定している温度に応じて所定の補正を行うことで測距センサ31による測距値の信頼性を確保することができるため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作を選択し、温度分布の不均一性が所定値t2よりも大きいときは、温度ta,tbが急激に変動しているとき(温度変動期間)であり、特定の補正値を設定することできず、結果的に測距の信頼性が低下しているため、測距センサ31の測距値への依存度が外光AF動作よりも相対的に低い第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作を選択するものである。
【0366】
次に、本実施形態6に係るデジタルカメラ100の作用について、図22に示したフローチャートを参照して説明する。
【0367】
まず、撮影者は、このデジタルカメラ100の電源SW70をオンに切り換えて電源を投入し(#21)、デジタルカメラ100を被写体200に向けて撮影準備を整える。
【0368】
このとき、システムコントローラ61は、メモリ群63からCCDAFの走査範囲の広狭を切り換えるための所定値t2を読み込み、レリーズ押圧部2が押圧されるのを待つ(#22)。
【0369】
撮影者が撮影意図によってレリーズ押圧部2を押下すると、レリーズ押圧部2は、半押し位置を通過した後に全押し位置まで押下されるが、まず、AF動作のために半押し位置まで押下されると、半押し検出部3がレリーズ押圧部2の半押し状態を検出し(#22)、システムコントローラ61に検出結果を送出する。
【0370】
なお、必要に応じて被写体200にズームアップする場合は、カメラ操作部65を操作して、システムコントローラ61によりズーム駆動系64を制御し、このズーム駆動系64によってズームレンズ群22を駆動させればよい。
【0371】
システムコントローラ61は、半押し状態の検出結果の入力を受けて、その時点におけるズームレンズ群22のズーム位置、絞り69の開放状態(絞り値)、カメラ操作部65に設定されている画質モード等を読み込む(#23)とともに、測距センサ31による測距を開始させる。
【0372】
そして、システムコントローラ61は、測距センサ31による測距が可能か否かを、測距センサ制御部32からの入力によって判定する(#24)。具体的には、例えば被写体が三角測量の原理では適切に距離を算出できないような繰返し模様を有するもの等であるときは、測距センサ制御部32は適切な距離を算出することができず、この場合は、測距センサ制御部32から測距NGの信号がシステムコントローラ61に入力され、一方、適切に距離を算出できた場合は、その測距距離がシステムコントローラ61に入力されるため、システムコントローラ61はその入力によって測距の可否を判定することができる。
【0373】
ここで、システムコントローラ61の制御手段60は、測距判定がOKの場合は、測距センサ制御部32から入力された測距距離に対応するフォーカスレンズ群23の位置XAを、第1オートフォーカス手段50によるCCDAFの走査範囲の中心値XAとして設定するとともに、この中心値XAを挟んだ周辺ピント範囲(XA±ΔX)を、CCDAFの限定走査範囲として設定する。
【0374】
一方、測距判定がNGの場合は、システムコントローラ61には測距センサ制御部32から測距距離が入力されないためこの中心値XAを設定できず、したがって、第1オートフォーカス手段50の走査範囲をフォーカスレンズ群23の可動範囲の全域(XS〜XE)に設定する。
【0375】
測距判定がNGの場合は続けて、第1オートフォーカス手段50が、走査範囲(XS〜XE)について、フォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#31)。
【0376】
そして、コントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#32)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#33)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#35,#37)。
【0377】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#35)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ23(#23)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#36)。
【0378】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#35,#37)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#37)は、ステップ22(#22)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#22)。
【0379】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ31(#31)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#32)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、被写界深度が深くなる位置(常焦点位置)にフォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#34)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#35,#37)。
【0380】
次に、測距判定がOKの場合(#24)は、システムコントローラ61は、CCDAFの限定走査範囲を設定するが、さらにシステムコントローラ61は、2つの温度センサ82,82がそれぞれ検出した測距センサ31の近傍の温度ta,tbを読み込み(#25)、両温度の差である温度分布の不均一性の指標値|ta−tb|を算出し、この値と所定値t2とを比較し、温度安定期間にあるか、温度変動期間にあるかを判定する(#26)。
【0381】
そして、温度安定期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離がある程度信頼性が高いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に高い、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換え、温度変動期間にあると判定したときは、測距センサ制御部32による測距距離が相対的に信頼性が低いものであると判定し、この測距センサ32の測距精度への依存度が相対的に低い、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作に切り換える(#26)。
【0382】
このようにして、温度変動期間に対応してCCDAF動作に切り換えられたときは、システムコントローラ61の制御部60が設定した限定走査範囲について、第1オートフォーカス手段50がフォーカス駆動系41を制御してCCDAFを行う(#27)。
【0383】
そして、この限定走査範囲でのコントラストCの最大値(ピーク)Cmaxが得られたとき(#28)は、第1オートフォーカス手段50は、そのコントラストCの最大値Cmaxが得られた位置XBにフォーカスレンズ群23を移動させるようにフォーカス駆動系41を制御して(#29)最適なピント状態を得、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#35,#37)。
【0384】
そして、レリーズ押圧部2が全押しされたとき(#35)すなわち撮影者が撮影実行操作を行ったときは、全押し検出部4がこのレリーズ押圧部2の全押し状態を検出し、この検出結果がシステムコントローラ61に入力され、システムコントローラ61はこの検出結果の入力により、シャッタ・絞り駆動系62を制御し、ステップ23(#23)において読み込まれた各種条件にしたがって絞り69を閉じてシャッタを切り、撮影が実行される(#36)。
【0385】
なお、撮影の実行に際しては、必要に応じて、あるいはカメラ操作部65に設定された条件にしたがって、システムコントローラ61がストロボ制御部67を制御し、ストロボ発光部68が撮影補助光としてのストロボ光を発光させる。
【0386】
一方、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待っている間(#35,#37)に、撮影者が撮影動作を中止したとき、すなわちレリーズ押圧部2が全押しされることなく、半押し状態から解除されたとき(#37)は、ステップ22(#22)に戻って、次に半押し状態が検出されるのを待つ(#22)。
【0387】
また、被写体200を含む構図全体が暗い場合等特殊な条件下では、ステップ27(#27)におけるCCDAF動作によっても、コントラストCの最大値Cmaxを検出することができない場合(#28)があり、この場合は、CCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、システムコントローラ61は、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換える(#28)。
【0388】
そして、温度安定期間にあると判定して第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#26)、またはCCDAF動作によっては最適なピント状態を得ることができないため、第2オートフォーカス手段90による外光AF動作に切り換えたとき(#28)、第2オートフォーカス手段90は、測距センサ制御部32から入力された位置XAに、フォーカスレンズ群23を移動させるように、フォーカス駆動系41を制御して(#30)、レリーズ押圧部2が全押しされるのを待つ(#35,#37)。
【0389】
なお、システムコントローラ61が、温度安定期間にあると判定したとき(#26)は、さらに詳しくは、この温度安定期間が低温安定期間である場合には、低温安定期間を表すフラグを立て、高温安定期間である場合には、高温安定期間を表すフラグを立てており、ステップ30(#30)において外光AF動作を行う位置XAを補正するようにしている。
【0390】
すなわち、低温安定期間および高温安定期間では、測距センサ31による検出値は各期間内ではばらつかないものの、低温安定期間における検出値と高温安定期間における検出値とでは異なる値となるため、少なくとも一方の温度安定期間における検出値を補正するのが好ましい。
【0391】
そこで、例えば、低温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、高温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、高温安定期間における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合にのみ検出値を補正し、低温安定期間と高温安定期間との中間温度における検出値を基準として設定している場合には、低温安定期間のフラグが立っている場合も高温安定期間のフラグが立っている場合も、それぞれの温度安定期間ごとに対応して設定された補正値によって検出値を補正すればよい。
【0392】
この温度に対応した検出値の補正は、伝統的なフイルムカメラ等の測距手段に用いられている補正方法をそのまま適用することができ、補正値等はメモリ群63に予め記憶されており、システムコントローラ61が、メモリ群63からこの補正値を読み出して、上述した補正処理を行なうものとすればよい。
【0393】
なお、低温安定期間であるか高温安定期間であるかの判定は、例えば、電源SW70がオンされてからの経過時間等に基づいて行うことができる。
【0394】
以上説明したように、本実施形態6に係るデジタルカメラ100によれば、温度センサ82,82によって検出された測距センサ31の近傍の温度分布の不均一性|ta−tb|に応じて、制御手段60が第1オートフォーカス手段50の作動と第2オートフォーカス手段90の作動とを択一的に切り換える制御を行うことにより、測距センサ31の測距精度の信頼性に応じて、第1オートフォーカス手段50によるCCDAF動作、または第2オートフォーカス手段90による外光AF動作が行われ、両オートフォーカス手段50,90によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0395】
すなわち、測距センサ31の精度の信頼性が低下する温度変動期間では、AF精度の高いCCDAF動作を選択することによって、測距センサ31の信頼性低下による最適ピント状態の誤探索を防止することができ、一方、測距センサ31の精度の信頼性が低下しない温度安定期間では、AF動作速度の速い外光AF動作を選択することによって、最適ピント状態を探索する探索時間を短縮することができる。
【0396】
また、デジタルカメラ100を構成する構成要素のうち撮像素子11の温度上昇は、デジタルカメラ100内部の温度上昇に影響を与えやすいため、測距センサ31の近傍部位のうち、撮像素子11に近い側の部位の温度taと遠い側の部位の温度tbとの不均一性は、デジタルカメラ100内部の温度の不均一性を顕著に反映し、しかもこれらの部位間の温度の不均一性は、測距精度に最も影響を与えやすい。
【0397】
したがって、本実施形態6に係るデジタルカメラ100によれば、温度の不均一性によって、測距手段30による測距精度の信頼性を端的に反映したAF動作を行うことができる。
【0398】
なお、本発明に係る画像入力装置は、上述した各実施形態のデジタルカメラに限定されるものではなく、各請求項に記載された発明の範囲で、種々の形態を採用することができることはいうまでもない。
【0399】
例えば、筐体1に対してフォーカスレンズ群23を固定的に配し、撮像素子11やLPF14を、フォーカスレンズ群23に対して相対的にその光軸方向に移動可能とし、フォーカス駆動系41がフォーカスレンズ群23を駆動するのに代えて、これら撮像素子11等を駆動するものとしてもよい。
【0400】
また、撮像素子11としては、CCD以外の固体撮像素子、例えばCMOS等を適用してもよい。
【0401】
さらに、測距センサ31および測距センサ制御部32からなる測距手段30としては、上述したいわゆるパッシブAF動作用の測距モジュールに代えて、被写体に近赤外光や超音波等を照射して、その反射波を検出することにより測距するいわゆるアクティブAF動作用のモジュールを適用することもできる。
【0402】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の請求項1に係る画像入力装置によれば、タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度に応じて、すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0403】
また、本発明の請求項2に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0404】
また、電源投入からの経過時間に応じてこの周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0405】
なお、制御手段が、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御するものでは、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合において、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0406】
また、本発明の請求項3に係る画像入力装置によれば、経過時間が、測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0407】
また、本発明の請求項4に係る画像入力装置によれば、制御手段が、タイマ手段によって計時された経過時間に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、経過時間が上述した温度の変動期間に対応する時間範囲にあるときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、経過時間が上述した温度の安定期間に対応する時間範囲にあるときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0408】
また、本発明の請求項5に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0409】
また、本発明の請求項6に係る画像入力装置によれば、経過時間が、測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、経過時間が変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、経過時間が安定期間に対応する時間範囲であるときは、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0410】
また、本発明の請求項7に係る画像入力装置によれば、低温安定期間が終了してから高温安定期間が開始するまでの間の期間は、低温安定期間中の低温状態から高温安定期間の高温状態に至る急激な温度変動期間であり、この期間を変動期間として設定することにより、測距手段の精度変動期間には、走査範囲である周辺ピント範囲を拡大してコントラストAF動作を作動させることによって、または測距手段の精度変動期間には、外光AF動作を行わずにコントラストAF動作を行うことによって、測距手段の精度変動によるAF精度の低下を防止することができる。
【0411】
また、本発明の請求項8に係る画像入力装置によれば、制御手段が、温度検出手段によって検出された初期温度に応じて、第2の所定時間を遅延させることにより、画像入力装置の温度の変動期間と安定期間とを精度よく設定することができ、測距手段の精度変動によるAF精度の低下を防止することができる。
【0412】
また、本発明の請求項9に係る画像入力装置によれば、温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度の経時的変化割合すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0413】
また、本発明の請求項10に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0414】
また、画像入力装置内の温度の経時的変化割合に応じて、この周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0415】
なお、制御手段が、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御するものでは、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合において、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0416】
また、本発明の請求項11に係る画像入力装置によれば、温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0417】
また、本発明の請求項12に係る画像入力装置によれば、制御手段が、温度検出手段によって検出された画像入力装置内の温度の経時的変化割合に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、検出された温度に基づく経時的変化割合が変動期間に対応するときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、経時的変化割合が安定期間に対応するときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0418】
また、本発明の請求項13に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0419】
また、本発明の請求項14に係る画像入力装置によれば、温度の経時的変化割合が予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値より小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、この場合は、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、温度の経時的変化割合が予め設定された所定値よりも小さい場合は、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、画像入力装置内部の温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0420】
また、本発明の請求項15に係る画像入力装置によれば、複数の温度検出手段によってそれぞれ検出された温度に基づく装置内の温度不均一性に応じて、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動を制御することにより、画像入力装置内の温度の均一性すなわち測距手段の測距精度等に応じて、第1オートフォーカス手段の作動が制御され、第1オートフォーカス手段によるAF動作を適切な精度で行わせることができる。
【0421】
また、本発明の請求項16に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0422】
また、画像入力装置内の温度の不均一性に応じて、この周辺ピント範囲の広狭が設定されるため、例えば、測距手段等の精度が低下するような温度不均一な状況下では、所定ピント状態を探索するために走査する周辺ピント範囲を広く設定して評価することによって、全域を走査範囲としていれば検出されるべき最適ピント状態の位置が限定された走査範囲から外れて設定されるのを防止することができ、一方、測距手段等の精度が低下しない温度均一な状況下では、走査する周辺ピント範囲を狭く設定して評価することによって、探索時間の短縮を図ることができる。
【0423】
なお、制御手段は、第1オートフォーカス手段が評価する際の対象であるピント範囲の広狭を制御するだけでなく、フォーカス駆動手段による撮影光学系等の移動範囲の広狭も併せて制御するものでは、撮影光学系等の移動範囲を狭く設定した場合において、この撮影光学系等の移動に要する時間を短縮することができ、AF動作完了までのタイムラグを低減することができる。
【0424】
また、本発明の請求項17に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性を表す指標値が、予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、制御手段が、精度変動している状態の測距手段によって検出された測距距離を基礎として設定される周辺ピント範囲を広く設定するため、この周辺ピント範囲を走査範囲として評価する第1オートフォーカス手段の精度が低下するのを防止することができる。
【0425】
また、本発明の請求項18に係る画像入力装置によれば、制御手段が、複数の温度検出手段によって検出された画像入力装置内の温度に基づく温度の不均一性に応じて、第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、例えば、不均一性が高い変動期間に対応するときは、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段の作動に切り換えてコントラストAF動作を行わせ、一方、不均一性が低い安定期間に対応するときは、第2オートフォーカス手段の作動に切り換えて外光AF動作を行わせて、画像入力温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0426】
また、本発明の請求項19に係る画像入力装置によれば、第1オートフォーカス手段が、測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で評価を行うように制御されるため、第1オートフォーカス手段が、所定ピント状態を探索するために走査する範囲を、周辺ピント範囲に限定することができ、AF動作時間を短縮することができる。
【0427】
また、本発明の請求項20に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性を表す指標値が予め設定された所定値よりも大きいときは、所定値よりも小さいときよりも、測距手段の測距精度が変動しやすいため、低温安定期間や高温安定期間のように一律な補正によって対応することができないが、この場合は、測距手段の測距精度への依存度が比較的少ない第1オートフォーカス手段を作動させ、温度の不均一性を表す指標値が予め設定された所定値よりも小さい場合は、第2オートフォーカス手段を作動させるように、制御手段が第1オートフォーカス手段の作動と第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えるため、画像入力装置内部の温度変動に対するAF精度の低下を適切に防止することができる。
【0428】
また、本発明の請求項21に係る画像入力装置に係る画像入力装置によれば、温度の不均一性によって、測距手段による測距精度を端的に判定することができる。
【0429】
また、本発明の請求項22に係る画像入力装置によれば、測距精度が比較的温度の影響を受けやすい測距手段であっても、装置内部の温度状況に対応して適切に精度を確保したAF動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態1)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1および図8に示したデジタルカメラの詳細な構成を示す図である。
【図3】(a)は測距手段の構成を示す図、(b)は測距手段の作用を説明する図である。
【図4】CCDAFの走査範囲を示す図であり、(a)はフォーカスレンズ群の可動範囲全域、(b)は限定範囲を示す図である。
【図5】電源オンからの経過時間と測距センサの信頼性低下期間との対応関係を示すグラフである。
【図6】実施形態1のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【図7】デジタルカメラ内部の初期温度とその後の温度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態2)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図9】実施形態2のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態3)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図11】図10および図14に示したデジタルカメラの詳細な構成を示す図である。
【図12】デジタルカメラ内部の温度の経時的変動割合と測距センサの信頼性低下期間との対応関係を示すグラフである。
【図13】実施形態3のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態4)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図15】実施形態4のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第3の画像入力装置に係る第1の実施形態(実施形態5)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図17】図16および図21に示したデジタルカメラの詳細な構成を示す図である。
【図18】温度センサの配設位置と撮像素子との位置関係を示す図である。
【図19】デジタルカメラ内部の温度分布の不均一性と測距センサの信頼性低下期間との対応関係を示すグラフである。
【図20】実施形態5のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第3の画像入力装置に係る第2の実施形態(実施形態6)であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図22】実施形態6のデジタルカメラのAF制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 筐体
10 撮像手段
20 撮影光学系
30 測距手段
40 フォーカス駆動系
50 第1オートフォーカス手段
60 制御手段
70 電源SW
80 タイマ
90 第2オートフォーカス手段
100 デジタルカメラ
200 被写体
Claims (8)
- 投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、
該画像入力装置への電源投入からの経過時間を計時するタイマ手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、かつ、前記タイマ手段によって計時された経過時間に応じて前記周辺ピント範囲の広狭を設定するように、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御し、
前記制御手段は、前記経過時間が、前記測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、前記周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときよりも、前記周辺ピント範囲を広く設定し、
前記変動期間に対応して予め設定された時間範囲は、前記電源投入から第1の所定時間が経過したときから、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間が経過したときまで、の時間範囲であることを特徴とする画像入力装置。 - 投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、
該画像入力装置への電源投入からの経過時間を計時するタイマ手段と、
前記測距手段によって得られた距離に基づいて前記フォーカス駆動手段を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記タイマ手段によって計時された経過時間が前記測距手段の周辺温度の変動期間に対応して予め設定された時間範囲であるときは、前記第1オートフォーカス手段を作動させ、前記周辺温度の安定期間に対応する時間範囲であるときは、前記第2オートフォーカス手段を作動させるように、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2−オートフォーカス手段の作動とを切り換え、
前記変動期間に対応して予め設定された時間範囲は、前記電源投入から第1の所定時間が経過したときから、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間が経過したときまで、の時間範囲であることを特徴とする画像入力装置。 - 前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
- 少なくとも電源投入時における前記画像入力装置内の初期温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された初期温度に応じて、前記第2の所定時間を遅延させることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の画像入力装置。 - 投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、
該画像入力装置内の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、かつ、前記温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合に応じて前記周辺ピント範囲の広狭を設定するように、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御し、
前記制御手段は、前記温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記周辺ピント範囲を広く設定することを特徴とする画像入力装置。 - 投影された像を像信号に変換して出力する撮像手段と、前記撮像手段に被写体の像を投影する撮影光学系と、前記被写体までの距離を測定する測距手段と、前記撮影光学系の一部もしくは全部および前記撮像手段のうち少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させて前記撮像手段に投影される像のピント状態を変化させるフォーカス駆動手段と、前記フォーカス駆動手段を制御して前記ピント状態を順次変化させつつ、各ピント状態ごとに得られた前記像信号を逐次評価し、この評価に基づいて所定のピント状態を得る第1オートフォーカス手段と、前記第1オートフォーカス手段の作動を制御する制御手段とを備えた画像入力装置において、
該画像入力装置内の温度を検出する温度検出手段と、
前記測距手段によって得られた距離に基づいて前記フォーカス駆動手段を制御し、所定のピント状態を得る第2オートフォーカス手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段によって検出された温度の経時的変化割合が、予め設定された所定値よりも大きいときは、前記第1オートフォーカス手段を作動させ、前記所定値よりも小さいときは、前記第2オートフォーカス手段を作動させるように、前記第1オートフォーカス手段の作動と前記第2オートフォーカス手段の作動とを切り換えることを特徴とする画像入力装置。 - 前記制御手段は、前記測距手段によって得られた距離に対応するピント状態の周辺ピント範囲で前記評価を行うように、前記第1オートフォーカス手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像入力装置。
- 前記測距手段は、前記撮影光学系を通過する光路とは異なる光路を通過した複数の被写体像の位相差に基づいて、前記被写体までの距離を検出するものであることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の画像入力装置。
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