JP2006021080A - 放電型ガス処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理ガスの圧損の増加を抑制しつつ、放電空間を確保するとともに放電の電力密度を向上させることにより、より大流量の被処理ガスを処理可能な小型の放電型ガス処理装置である。
【解決手段】放電型ガス処理装置10は、被処理ガスXの流路上に被処理ガスXの進行方向を横切る複数の棒状の電極15aを有する導体電極15と、導体電極15に対向し、棒状の電極15aの曲率よりも大きい曲率の表面を有する対向電極16と、対向電極16の導体電極15側を覆う誘電体17と、導体電極15と対向電極16との間に所要の電圧を印加して被処理ガスXに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源13とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、放電プラズマの作用により排気ガス等の被処理ガス中の有害物質等に対して浄化処理を施す放電型ガス処理装置に関する。
水処理施設、家畜飼育施設、工場などから排出される排気ガスに含まれる悪臭の原因となる物質や有害物質の除去は、現代の重要な技術開発課題である。排気ガスから有害物質等の被処理物質の除去処理を行なう排気ガス処理法としては、吸着材や触媒により被処理物質を吸着あるいは分解する方法、薬剤の水溶液に被処理物質を溶解吸収させる方法、放電プラズマにより被処理物質を燃焼除去する方法など、さまざまな方法が開発されてきている。この中で、放電プラズマを用いた放電型ガス処理装置は、被処理物質が含まれることとなった廃材の量が少なくてすむという特長を持つ。
一般的に、大気圧下で安定な高密度放電プラズマを生成するには、対向する一組の電極の一方、または、両方の電極の表面を絶縁材で覆い、両電極間に交流の高電圧を印加する。このような放電方式を誘電体バリア放電と呼ぶ。最も簡単な例として紹介されるのは、図8に示したような電極構成である。ガス処理装置として、以下のように適用する。
放電型ガス処理装置1は放電部2に電力を供給するための放電電源3をリード線4を介して接続した構成である。放電部2は、板状の導体電極5と対向電極6とを対向配置して構成される。また、対向電極6の導体電極5側は板状の誘電体7により覆われる。さらに、導体電極5および対向電極6は、それぞれリード線4を介して放電電源3と接続される。
そして、このように構成された放電部2の導体電極5と対向電極6との間に被処理ガスである排気ガスが導かれるとともに放電電源3から電圧が印加され、放電プラズマが生成される。ここで、対向電極6は誘電体7によって覆われているため、誘電体7と導体電極5とで挟まれた空間に放電が起こり、放電は大気圧放電をアーク放電に至らしめず安定に維持することが可能な誘電体バリア放電となる。
このような誘電体バリア放電によって生成される放電プラズマの作用によって、導体電極5と対向電極6との間の放電空間に導入された排気ガス中に含まれる一酸化窒素をはじめとする有害成分等の被処理物質が分解され、排気ガスの浄化処理が施される。また、この際、放電プラズマの作用により排気ガス中の酸素から副次的にオゾンが生成され、オゾンも排気ガスの浄化処理に寄与すると解されている。そして、放電プラズマの作用により浄化処理された排気ガスは、放電型ガス処理装置1の外部、例えば大気中に放出される。
さらに、このような原理を応用して排気ガスのガス流路を容易に形成することができるように、誘電体や対向電極を筒状構造とする一方、放電用の導体電極を棒状あるいは筒状として筒状の対向電極内部に同軸状に設けて放電部を構成した放電型ガス処理装置が実用化に向けて提案される(例えば非特許文献1参照)。
「静電気ハンドブック」 p81 図4・67 (a) (オーム社 静電気学会編)
従来の平板型の導体電極5および対向電極6で構成された放電型ガス処理装置1では、放電のために形成される電界が一様であるため、放電に必要な電圧が高くなるという問題がある。換言すれば、被処理ガスの浄化に十分な放電が発生されず、その結果、被処理ガスの浄化処理が不十分であったり、大容量の被処理ガスを対象とする場合には非常に大きな電力を要することとなり、実用化が困難となる場合がある。
一方、誘電体や対向電極を筒状構造とした同軸型の従来の放電型ガス処理装置では、導体電極の曲率と対向電極の曲率との差が大きく、電気力線がより密となる部位が生じるように電界が形成されるため、放電開始電圧をある程度は低減させることができる。また、ガラス管等の誘電体管の内外に簡易に電極を設けることにより、容易に被処理ガスの流路を形成しつつ放電部を製造することができる。
しかし、より大容量の被処理ガスを浄化処理の対象とする場合には、放電空間を広く確保するとともに発生させる放電のエネルギを増加させることが重要となるが、誘電体や対向電極を筒状構造とすると誘電体、対向電極および導体電極からなる多数の同軸状のユニットを束ねて放電部を構成することが必要となる。
この点、同軸型の従来の放電型ガス処理装置では、放電の電力密度が小さく大容量の被処理ガスを対象とすると非常に放電部が大型化されるという問題がある。すなわち、同軸型の放電型ガス処理装置では、処理能力を確保しようとすると実用的なサイズにすることが困難である一方、実用化のために小型化しようとすると放電のエネルギが不十分となり大容量の被処理ガスを適切に浄化できなくなる恐れがあるという問題がある。
また、同軸型の放電型ガス処理装置では、棒状あるいは筒状の導体電極が筒状構造の対向電極内部において、適切な位置に固定されて均等に良好な電界が形成されるようにスペーサにより導体電極を誘電体に固定する必要がある。しかし、スペーサは、被処理ガスの進行方向を遮って設けざるを得ず、圧損の増加に繋がるという問題がある。
さらに、大流量の被処理ガスを浄化処理する場合は、電極と非処理ガスの相互作用も問題となる場合がある。すなわち、例えば同軸型の放電型ガス処理装置において、放電開始電圧を低減させるために導体電極を棒状に形成すると、棒状の導体電極周辺に被処理ガスの渦が発生し、発生した被処理ガスの渦に起因して導体電極が振動することになる。特に、導体電極の振動数が導体電極の固有振動数となって共鳴すると、電極の破損事故に至る可能性も想定される。
このため、例えば車載型の放電型ガス処理装置のように、小型化が要求され、かつ装置に振動を頻繁に受けるような場合には、導体電極の寿命が低減し、実用化の妨げとなっている。この結果、装置の小型化が制限されるという事態が生じている。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、被処理ガスの圧損の増加を抑制しつつ、放電空間を確保するとともに放電の電力密度を向上させることにより、より大流量の被処理ガスを処理可能な小型の放電型ガス処理装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、被処理ガスの流量の増加に伴って生じる共鳴振動の発生を抑制し、小型化が容易な放電型ガス処理装置を提供することである。
本発明に係る放電型ガス処理装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、被処理ガスの流路上に前記被処理ガスの進行方向を横切る複数の棒状の電極を有する導体電極と、前記導体電極に対向し、前記棒状の電極の曲率よりも大きい曲率の表面を有する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明に係る放電型ガス処理装置は、上述の目的を達成するために、請求項2に記載したように、導体電極と、この導体電極の固有振動数を調整する固有振動数調整機構と、前記導体電極に対向する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明に係る放電型ガス処理装置は、上述の目的を達成するために、請求項3に記載したように、被処理ガスの流路上に前記被処理ガスの進行方向を横切る複数の棒状の電極を有する導体電極と、この導体電極の固有振動数を調整する固有振動数調整機構と、前記導体電極に対向し、前記棒状の電極の曲率よりも大きい曲率の表面を有する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とするものである。
本発明に係る放電型ガス処理装置においては、被処理ガスの圧損の増加を抑制しつつ、放電空間を確保するとともに放電の電力密度を向上させることにより、より大流量の被処理ガスを処理可能として装置の小型化に繋げることができる。
また、被処理ガスの流量の増加に伴って生じる共鳴振動の発生を抑制することにより、装置の小型化を容易とすることができる。
本発明に係る放電型ガス処理装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る放電型ガス処理装置の第1の実施形態を示す構成図であり、図2は、図1に示す放電型ガス処理装置10の放電部12の詳細構成図である。
放電型ガス処理装置10は被処理ガスの一例である排気ガスXが流れる配管11上に設けられる。放電型ガス処理装置10は放電部12を備え、放電部12には電力を供給するための放電電源13がリード線14を介して接続される。
放電部12は、導体電極15を対向電極16に対向配置して構成される。対向電極16は、板状あるいは箔状とされ、少なくとも導体電極15側は誘電体17により覆われて導体電極15と対向電極16とが誘電体17を介さずに直接対向する部位が存在しないように構成される。例えば、対向電極16は薄板状とされ、補強材を兼ねる2枚の板状の誘電体17に挟持される。また、誘電体17は、例えばアルミナ製とされる。
一方、導体電極15は、複数の棒状の電極である棒状電極15aを固定用電極15bに固定して構成される。棒状電極15aは丸棒や角材で構成することができる。例えば棒状電極15aは丸棒状とされる。すなわち、例えば2つの角柱状の固定用電極15bが誘電体17に略平行に固定され、2つの固定用電極15bの間に複数の棒状電極15aが共通の平面上となるように互いに略平行で、かつ固定用電極15bの長手方向に略垂直に設けられる。そして、2つの固定用電極15bと誘電体17とで仕切られた空間が排気ガスXの流路とされる。このため、各棒状電極15aは、長手方向が排気ガスXの進行方向に略垂直となるような向きとなる。
ただし、各棒状電極15aの向きが排気ガスXの進行方向に対して傾くように、あるいは平行となるようにしてもよい。
さらに、このように構成された導体電極15の固定用電極15bと対向電極16とは、それぞれリード線14を介して放電電源13と接続され、放電電源13から導体電極15と対向電極16との間に所要の電圧を印加して放電を行なうことができるように構成される。この結果、電界は各棒状電極15aから排気ガスXの流路を横切って誘電体17を介して対向電極16に向かうように形成される。
尚、対向電極16の形状は、表面が平面あるいは曲率が少なくとも導体電極15を構成する棒状電極15aの曲率よりも大きい形状であれば任意である。
次に放電型ガス処理装置10の作用について説明する。
浄化あるいは無害化の対象となる被処理ガスとして、排気ガスXが配管11内を流れ、放電型ガス処理装置10の放電部12に導かれる。そして、放電電源13から放電部12に放電の開始に必要な所要の電力が印加される。このため、各棒状電極15aと対向電極16との間に放電が起こり、放電に伴って排気ガスXの流路には放電プラズマが生成される。
尚、対向電極16は誘電体17によって覆われているため、誘電体17と導体電極15とで挟まれた放電空間には、誘電体17が介在することとなり、放電は大気圧放電をアーク放電に至らしめず安定に維持することが可能な誘電体バリア放電となる。
ここで、導体電極15の放電発生部分の形状が棒状構造とされる一方、対向電極16は平面状とされるため、放電発生部分である各棒状電極15aでは電気力線がより密となるように電界が形成される。このため、より低い電圧印加で高エネルギの放電を開始させることができる。また、放電プラズマを生成する棒状電極15aは複数個、排気ガスXの流れ方向に沿って設けられているため、導体電極15と単一の棒状電極15aで構成した場合に比べてより大量の放電プラズマを排気ガスXの流路に生成することができる。
さらに、各棒状電極15aの長さを調節すれば、各棒状電極15aと対向電極16との間の距離を広くすることなく、すなわち放電開始電圧の増加を伴わず、かつ排気ガスXの流路に十分な放電プラズマを生成できるような距離としつつ、放電空間を増加させて排気ガスXの流路を広くとることができる。一方、各棒状電極15a間の距離を狭くすることにより、排気ガスXの流路により高密度で放電を行ない、電力密度を向上させることができる。
加えて、排気ガスXの流路には、放電に供される各棒状電極15aを除けば排気ガスXの進行を遮るスペーサ等の物体を設ける必要がないため、排気ガスXの圧損を増加することなく排気ガスXを放電空間に導くことができる。
このような作用により放電空間に導かれた排気ガスXは、誘電体バリア放電によって生成される放電プラズマによって浄化される。すなわち、排気ガスX中に含まれる一酸化窒素をはじめとする有害成分等の被処理物質が放電プラズマによって分解され、排気ガスXの浄化処理が施される。また、この際、放電プラズマの作用により排気ガスX中の酸素から副次的にオゾンが生成され、オゾンも排気ガスXの浄化処理に寄与すると解されている。そして、放電プラズマの作用により浄化処理された排気ガスXは、放電型ガス処理装置10の下流側の配管11に放出され、配管11から所要の空間に放出される。
以上のような放電型ガス処理装置10によれば、排気ガスXの進行方向を横切る向きで複数の棒状電極15aを設けて導体電極15を構成したため、各棒状電極15a間の距離や各棒状電極15aの長さを調整することにより放電空間の確保や電力密度の向上が容易となる。このため、より大流量の被処理ガスXを効率的に浄化処理することが可能となり、装置を小型化することができる。
また、電極形状が板状および棒状であるため製造が容易であるとともに、放電部12を箱型にすることができるため、放電部12をユニット化して積層することにより容易に浄化処理可能な被処理ガスの容量を向上させることができる。さらに、被処理ガスXの進行方向を遮るスペーサ等の障害物が少ないため、被処理ガスXの圧損を増加させることなく、放電部12に導いて浄化処理を施すことができる。
図3は本発明に係る放電型ガス処理装置の第2の実施形態を示す構成図である。
図3に示された、放電型ガス処理装置10Aでは、棒状電極15aに固有振動数調整機構20を防振体として設けた点が図1に示す放電型ガス処理装置10と相違する。他の構成および作用については図1に示す放電型ガス処理装置10と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
放電型ガス処理装置10Aでは、棒状電極15aに固有振動数調整機構20が防振体として設けられる。固有振動数調整機構20は、棒状電極15aの重量を変化させることにより棒状電極15aの固有振動数を小さくする機能を有する。このため、棒状電極15aと被処理ガスとの相互作用により棒状電極15aが共鳴し、振動が発生する可能性を低減させることができる。
固有振動数調整機構20は、少なくとも各棒状電極15aの重量を所要の重量として目的とする固有振動数に調整し、各棒状電極15aの振動を抑制することが可能であれば材質は任意である。従って固有振動数調整機構20は、導体であるか誘電体であるかを問わない。ただし、固有振動数調整機構20の材質を密度が大きい材料とすれば、より小さい体積で各棒状電極15aの固有振動数の低減効果を向上させることが可能となり、被処理ガスの圧損を増加させることなく防振機能を良好にすることができる。
また、対向電極16を覆う誘電体17に固有振動数調整機構20が接触する構成としてもよいし、非接触としてもよい。ただし、固有振動数調整機構20を誘電体17に接触させ、必要に応じて固定すれば、固有振動数の調整に加え各棒状電極15aの機械的な振動をも防止することが可能となり、また製造も容易とすることができる。さらに、固有振動数調整機構20を誘電体17に接触させることにより、固有振動数調整機構20に排気ガスXの整流機能を備えることもできる。また、固有振動数調整機構20の長手方向を排気ガスXの流れ方向とすれば、排気ガスXの圧損の増加を抑制することができる。
固有振動数調整機構20は、棒状電極15aとは個別に製造して棒状電極15aに取り付けることができるが、棒状電極15aの一部の形状を変えることにより棒状電極15aと一体に形成してもよい。図3は、各棒状電極15aとは別に棒状電極15aを挿入可能な複数の孔を有する角柱状の固有振動数調整機構20を製造し、固有振動数調整機構20の孔に各棒状電極15aを挿入して組み立てた例を示す図である。図3に示すように各棒状電極15aに共通の固有振動数調整機構20を設けてもよいし、棒状電極15aごとに物理的に分離した固有振動数調整機構20を設けてもよい。固有振動数調整機構20を各棒状電極15aに共通とすれば、部品点数を低減させることができる。
固有振動数調整機構20に孔を設けて各棒状電極15aを挿入することにより棒状電極15aに固有振動数調整機構20を設ける場合には、例えば、固有振動数調整機構20と棒状電極15aとを互いに溶接により接合することができる。固有振動数調整機構20と棒状電極15aとを溶接により接合すれば、より強固に一体化せしめられ、固有振動数の低減効果をより確実に得ることができる。
一方、例えば各棒状電極15aが小型であり強度が小さい場合のように、固有振動数調整機構20と棒状電極15aとの溶接による接合が困難な場合には、締結手段や勘合によって固有振動数調整機構20と棒状電極15aと固定することもできる。勘合による固定の場合には、例えば固有振動数調整機構20に棒状電極15aの直径よりも僅かに大きい直径の孔をあけ、この孔に棒状電極15aを挿入して摩擦力で固定される。勘合によって固有振動数調整機構20と棒状電極15aと固定する場合に、固有振動数調整機構20を各棒状電極15aに共通のものとすれば、固有振動数調整機構20や各棒状電極15aの製造誤差により寸法のばらつきの影響により、より十分な強度で固定することができる。
図4は、図3に示す放電型ガス処理装置10Aにおいて、固有振動数調整機構20と棒状電極15aとを締結によって固定した場合の例を示す拡大断面図である。
締結手段によって固有振動数調整機構20と棒状電極15aと固定する場合には、例えば図4に示すように固有振動数調整機構20に設けた孔に棒状電極15aを挿入した後、ワッシャ21とナット22で締めて固定することができる。
以上のような放電型ガス処理装置10Aによれば、図1に示す放電型ガス処理装置10と同等な効果に加え、棒状電極15aの固有振動数を下げて棒状電極15aと被処理ガスの流れとの相互作用を抑制し、振動を防止することができる。そして電極の破損事故を回避させて装置の安全性を向上させることができる。
すなわち、図1に示す放電型ガス処理装置10において、放電開始電圧を低減するために棒状電極15aの曲率を小さくする一方、より大流量の排気ガスXを放電空間に導くと棒状電極15a周辺に排気ガスXの渦が発生し、発生した排気ガスXの渦に起因して棒状電極15aが振動することになる。さらに、棒状電極15aの振動数が固有振動数となって共鳴すると、電極の破損事故に至る恐れがある。
このため、より大流量の排気ガスXを対象とする場合には、図1に示す放電型ガス処理装置10のように複数の棒状電極15aを並べて放電部12を構成することが困難となり、従来型の構成をとらざるを得ないということになる。この結果、装置の小型化が阻害されるという問題が生じる。特に車載型の装置のように振動を頻繁に受けるような場合には、棒状電極15aの強度を向上させる必要が生じるため、電力密度が低減し小型化の阻害要因となる。
一方、放電型ガス処理装置10Aによれば、排気ガスXの流量が増加して棒状電極15aの周辺に渦が発生したとしても、固有振動数調整機構20により固有振動数が低減されるため、共鳴による振動の増加を抑制して電極の健全性を確保することができる。この結果、棒状電極15aの曲率を小さくするとともに電力密度を向上させることができるのみならず、大流量の排気ガスXに対してより小型で電力密度の高い棒状電極型の放電部を採用することが可能となり、装置の小型化に繋げることができる。
尚、さらに大流量の排気ガスXの浄化処理を行なう場合には、放電部12を積層して放電型ガス処理装置10Aを構成することとになる。このような場合には、固有振動数調整機構20が誘電体17により挟み込まれることになるため、棒状電極15aの振動をさらに押さえ込んで、装置の安全性を向上させることができる。
一方、放電型ガス処理装置10Aの放電部12の電極構成を従来用いられる平行金属板や同軸筒状の電極とし、排気ガスXの渦が発生する恐れがある電極の部位に固有振動数調整機構20を設けて振動を抑制できるように構成することもできる。特に棒状の電極を筒状の電極内部に設ける場合には、棒状の電極が振動する恐れがあるため、棒状の電極に固有振動数調整機構20を設けて固有振動数を低減させることが有効である。また、薄い導体板により放電側の電極を構成する場合にも、電極の強度が低く振動が生じる恐れがあるため、固有振動数調整機構20を設けることにより固有振動数を低減させることができる。
図5は本発明に係る放電型ガス処理装置の第3の実施形態を示す構成図である。
図5に示された、放電型ガス処理装置10Bでは、固有振動数調整機構20を複数個設けた構成が図3に示す放電型ガス処理装置10Aと相違する。他の構成および作用については図3に示す放電型ガス処理装置10Aと実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
放電型ガス処理装置10Bでは、複数の固有振動数調整機構20が例えば薄板で棒状に形成され、それぞれ排気ガスXの進行方向に沿う方向に設けられる。この結果、固有振動数調整機構20同士は、互いに排気ガスXの進行方向を横切る向きに異なる位置となる。また、必要に応じて各固有振動数調整機構20により排気ガスXの整流が行なわれる。
放電型ガス処理装置10Bのように固有振動数調整機構20をより細長くして複数個設け、排気ガスXの進行方向に面する面積を小さく、かつ所要の重量が棒状電極15aに付加されるように構成すれば、図3に示す放電型ガス処理装置10Aと同等な効果に加え、排気ガスXに対する圧損の増加を抑制することができる。さらに、排気ガスXの整流機能を向上させることができる。
図6は本発明に係る放電型ガス処理装置の第4の実施形態を示す拡大断面図である。
図6に示された、放電型ガス処理装置10Cでは、固有振動数調整機構20を誘電体17に締結手段により固定した点が図3に示す放電型ガス処理装置10Aと相違する。他の構成および作用については図3に示す放電型ガス処理装置10Aと実質的に異ならないため固有振動数調整機構20の固定部分近傍の拡大断面のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
放電型ガス処理装置10Cの固有振動数調整機構20には、例えば孔が設けられて棒状電極15aが勘合される。さらに、固有振動数調整機構20の誘電体17側近傍には、例えば有孔板状の固定用部材30が一体化して設けられる。また、誘電体17には、ネジを切った固定用ネジ31が誘電体17の表面から突出して設けられる。そして、固有振動数調整機構20に設けられた固定用部材30の孔に誘電体17に設けられた固定用ネジ31が通されて、ナット32により締めることにより固有振動数調整機構20が誘電体17に固定される。
このため放電型ガス処理装置10Cによれば、図3に示す放電型ガス処理装置10Aと同等の効果に加え、固有振動数調整機構20がより強固に誘電体17に固定されるため、棒状電極15aの防振効果をさらに向上させることができる。
図7は本発明に係る放電型ガス処理装置の第5の実施形態を示す拡大断面図である。
図7に示された、放電型ガス処理装置10Dでは、固有振動数調整機構20を誘電体17に勘合により固定した点が図3に示す放電型ガス処理装置10Aと相違する。他の構成および作用については図3に示す放電型ガス処理装置10Aと実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
放電型ガス処理装置10Dの固有振動数調整機構20には、例えば孔が設けられて棒状電極15aが勘合される。さらに、固有振動数調整機構20の誘電体17側の面には、勘合用突起20aが設けられる。また、誘電体17には、固有振動数調整機構20の勘合用突起20aと勘合する形状の勘合用凹み部17aが設けられる。そして、固有振動数調整機構20に設けられた勘合用突起20aが誘電体17に設けられた勘合用凹み部17aに勘合により合致せしめられる。
このため放電型ガス処理装置10Dによれば、図3に示す放電型ガス処理装置10Aと同等の効果に加え、固有振動数調整機構20がより強固に誘電体17に固定されるため、棒状電極15aの防振効果をさらに向上させることができる。また、固有振動数調整機構20を誘電体17に固定するために新たに部品が必要ないため、部品点数の増加を回避させることができる。
さらに、放電型ガス処理装置10Dでは、固有振動数調整機構20の正確な位置決めが容易となる。このため、特に固有振動数調整機構20に棒状電極15aを勘合して構成した場合には、固有振動数調整機構20がずれる恐れがなくなり、固有振動数調整機構20の位置決めの信頼性を向上させることができる。
以上のような各実施形態における放電型ガス処理装置10、10A、10B、10C、10Dは互いに組み合わせて構成してもよい。
本発明に係る放電型ガス処理装置の第1の実施形態を示す構成図。 図1に示す放電型ガス処理装置の放電部の詳細構成図。 本発明に係る放電型ガス処理装置の第2の実施形態を示す構成図。 図3に示す放電型ガス処理装置において、固有振動数調整機構と棒状電極とを締結によって固定した場合の例を示す拡大断面図。 本発明に係る放電型ガス処理装置の第3の実施形態を示す構成図。 本発明に係る放電型ガス処理装置の第4の実施形態を示す拡大断面図。 本発明に係る放電型ガス処理装置の第5の実施形態を示す拡大断面図。 従来の放電型ガス処理装置の構成図。
符号の説明
10,10A,10B,10C,10D 放電型ガス処理装置
11 配管
12 放電部
13 放電電源
14 リード線
15 導体電極
15a 棒状電極
15b 固定用電極
16 対向電極
17 誘電体
17a 勘合用凹み部
20 固有振動数調整機構
20a 勘合用突起
21 ワッシャ
22 ナット
30 固定用部材
31 固定用ネジ
32 ナット
X 排気ガス

Claims (7)

  1. 被処理ガスの流路上に前記被処理ガスの進行方向を横切る複数の棒状の電極を有する導体電極と、前記導体電極に対向し、前記棒状の電極の曲率よりも大きい曲率の表面を有する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とする放電型ガス処理装置。
  2. 導体電極と、この導体電極の固有振動数を調整する固有振動数調整機構と、前記導体電極に対向する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とする放電型ガス処理装置。
  3. 被処理ガスの流路上に前記被処理ガスの進行方向を横切る複数の棒状の電極を有する導体電極と、この導体電極の固有振動数を調整する固有振動数調整機構と、前記導体電極に対向し、前記棒状の電極の曲率よりも大きい曲率の表面を有する対向電極と、前記対向電極の前記導体電極側を覆う誘電体と、前記導体電極と前記対向電極との間に所要の電圧を印加して前記被処理ガスに浄化処理を施すための放電プラズマを生成させる放電電源とを備えることを特徴とする放電型ガス処理装置。
  4. 単一の固有振動数調整機構を複数の棒状の電極に共通に設けたことを特徴とする請求項3記載の放電型ガス処理装置。
  5. 複数の固有振動数調整機構をそれぞれ複数の棒状の電極に共通に設け、各固有振動数調整機構により前記被処理ガスを整流するようにしたことを特徴とする請求項3記載の放電型ガス処理装置。
  6. 前記固有振動数調整機構を前記被処理ガスの進行方向に沿って設けたことを特徴とする請求項2または3記載の放電型ガス処理装置。
  7. 前記固有振動数調整機構を前記誘電体に固定したことを特徴とする請求項2または3記載の放電型ガス処理装置。
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