JP2000126542A - プラズマ排ガス処理設備及びガス反応促進設備 - Google Patents

プラズマ排ガス処理設備及びガス反応促進設備

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JP2000126542A
JP2000126542A JP10301423A JP30142398A JP2000126542A JP 2000126542 A JP2000126542 A JP 2000126542A JP 10301423 A JP10301423 A JP 10301423A JP 30142398 A JP30142398 A JP 30142398A JP 2000126542 A JP2000126542 A JP 2000126542A
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electrode
electrodes
exhaust gas
linear
discharge
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JP10301423A
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English (en)
Inventor
Keisuke Kawamura
啓介 川村
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理効率が高く、またコスト的な観点から実
用化に耐えうるような十分低いエネルギレベルでの運用
を可能とするプラズマ排ガス処理設備及びガス反応促進
設備を提供する。 【解決手段】 プラズマ排ガス処理設備Pは、その構成
中に電極部2を備えている。この電極部2には電極間隔
dなる一組の電極が備えられている。また、この電極に
は、パルス幅τなる高電圧を印加する電源23が接続さ
れている。いま、ストリーマ放電進展速度をvs、電極
間における放電の発生頻度をfとすると、このプラズマ
排ガス処理設備Pは、5-1(d/vs)≦τ≦5(d/
s)及びf≦1kppsなる条件を満たした状態で運用さ
れる。また、線状電極とこれに対向する平板状電極から
構成される電極形態においては、電極間における排ガス
の滞留時間をtとしたときに、0.5〔s〕≦t≦20
〔s〕なる条件を満たすようその設備は運用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマを利用す
ることにより、火力発電所又はゴミ焼却炉等より排出さ
れるNOx、SOx、ダイオキシン類、揮発性有機化合物
等の有害物質を無害化するプラズマ排ガス処理設備に関
し、また、より一般にガス反応促進設備に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、排ガス処理設備として脱硝、脱硫
等に用いられているものは、そのほとんどが純粋な化学
的方法を利用、応用したものとなっている。例えば、脱
硝設備としては、いわゆるアンモニア触媒還法を利用し
たもの、また、脱硫設備としては石灰石膏法を利用した
設備、が代表的なものとして挙げられ、これらは広く普
及したものとなっている。前者は、300℃以上の温度と
なる排ガス中にアンモニアNH3を添加することによっ
て、NOxを窒素N2と水H2Oに分解するものである。
また、後者は、霧状とした石灰乳を排ガス中に分散させ
これにSO2を吸収させて亜硫酸石膏とし、それを排ガ
スから除去する方法である。
【0003】また上記とは異なり、プラズマを利用する
ことにより、排ガス中に含まれるNOx、SOx等を分
解、無害化する方法も提案されている。これによれば、
放電可能な対向した電極間を排ガスが流通することによ
り、当該電極間に放電により生成されたラジカルと排ガ
ス中のNOx、SOxとの間に反応が生じることにより、
これらの物質の分解を進行させようとするものである。
なお、ラジカルとは、放電により生じたプラズマにおい
て、当該プラズマを構成する反応性の高い粒子のことで
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記化学的
方法、すなわちアンモニア還元法や石灰石膏法を利用し
た排ガス処理設備にあっては、その建設、運転にかかる
コストが極めて大きくなるという問題があった。また、
「化学的」なるがゆえ、設備自体の腐食が問題となると
ともに、触媒の寿命等の問題もある。
【0005】プラズマ排ガス処理設備に関しては、上記
のような問題点は解決されうる。つまり、建設、運転に
かかるコストを抑制することが可能であり、また、電気
的手段により排ガス中における有害物質の分解を進行さ
せるため、腐食等の問題も化学的方法を用いた場合より
も深刻にはならない。
【0006】しかし、このプラズマ排ガス処理設備に関
しても、従来において次のような問題が指摘されてい
た。すなわち、従来設備においては、排ガス分解に供さ
れる電極間の一般的な放電形態は、パルス幅1μs以
上、数十kVの高電圧パルスを用いることによって、繰り
返し(100pps)発生させたグロー放電となっているが、
この場合においては、パルス幅が1μs以上と長いため
に、グロー放電特有の熱発生により処理効率が低下する
という問題があった。ところで、グロー放電を用いた場
合、NOx、SOx等の分解には少なくとも20Wh/Nm3以上
のエネルギが必要であるのであるが、実用化にあたって
は、運用コストを抑制させるという観点から、そのエネ
ルギレベルは3.3Wh/Nm3以下とする必要がある。しか
し、上記グロー放電では、上述したように、熱発生によ
るエネルギーロスが大きいことから、3.3Wh/Nm3以下と
することは不可能であった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、建設費、運転費等のコス
トを全般に抑制することが可能であると共に、処理効率
が高いプラズマ排ガス処理設備、またより一般にガス反
応促進設備を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために以下の手段をとった。すなわち、請求項
1記載のプラズマ排ガス処理設備は、パルス幅τの高電
圧が印加可能である電極間距離dとされた互いに対向す
る一組の電極を備えるプラズマ排ガス処理設備にあっ
て、ストリーマ放電の進展速度をvsとしたときに、前
記パルス幅τが、 5-1(d/vs)≦τ≦5(d/vs) なる条件を満たすことを特徴とするものである。
【0009】これによれば、ストリーマ放電進展時間を
τsとしたときに、ストリーマ放電進展速度vsはvs
d/τsとして表され、したがってτs=d/vsとなるこ
とを考慮すると、電極に印加される高電圧のパルス幅τ
は、上記τsに1/5を乗じたものより大きく、かつ上記
τsに5を乗じたものよりも小さい旨規定するものであ
る。すなわち、パルス幅τが、ストリーマ進展時間τs
と定数5とにより決定される範囲内にあるよう規定する
ものである。このことにより、電圧印加に要したエネル
ギが、排ガス中に含まれる有害物質の除去に有効に利用
されることとなる。
【0010】また、請求項2記載のプラズマ排ガス処理
設備は、前記電極間における放電の発生頻度fを、f≦
1kppsとなるよう規定することを特徴とする。
【0011】これによれば、前記ストリーマ放電が発生
して電極間の反応場の絶縁が回復するまでに要する時間
が1ms程度であることを考慮すれば、放電の発生頻度を
上記のようにf≦1kpps、すなわち1msにつき1回とな
るよう規定すれば、放電発生に要するエネルギ効率を低
下させることなく排ガス処理をすることが可能となる。
すなわち、放電が既に止んでいる時に次の放電が有効に
発生し無駄なエネルギを浪費するようなことがない。
【0012】さらに、請求項3記載のプラズマ排ガス処
理設備は、複数の線状電極と、該線状電極に対向すると
ともに一定の距離を隔てて備えられた平板状電極と、前
記線状電極と前記平板状電極との間において前記線状電
極に垂直な方向に流通する排ガスとから少なくとも構成
されるプラズマ排ガス処理設備にあって、前記線状電極
と前記平板状電極との間における前記排ガスの滞留時間
tが、 0.5〔s〕≦t≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とする。また、請求項4記
載のプラズマ排ガス処理設備は、線状電極と、その周囲
に配置した円筒状電極と、該円筒状電極の内部を流通す
る排ガスとから少なくとも構成されるプラズマ排ガス処
理設備にあって、前記円筒状電極の長さをL、前記排ガ
スの両電極間における流通速度をvfとしたときに、 0.5〔s〕≦(L/vf)〔s〕≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とするものである。
【0013】まず請求項3記載の発明によれば、排ガス
が電極間を通過する時間は、放電を受けるに十分な時間
が確保されていると言えるから、その分解は有効に行わ
れうることがわかる。また、請求項4記載の発明につい
ても、電極の配置形態等が請求項3とは異なるものの、
条件式は同様な意味をもつものである。つまり、この場
合にあっても、排ガスは放電を十分に受け、分解は有効
に行われうることとなる。
【0014】加えて、請求項5から請求項8に記載のガ
ス反応促進設備は、上記各種特徴を備えたものであるか
ら、上に記した作用と同様な作用を呈するものであると
いえる。ただしこの際、これら発明は、処理対象を「排
ガス」に限定されるものではなく、その処理対象を「ガ
ス一般」、すなわちガスそのもの又はガス中に含まれる
物質と規定し、その反応を促進させるためのものであ
る。したがって、上記「同様な作用」という場合、この
点を鑑みる必要がある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の第一の実施形
態について、図を参照して説明する。図1は、本第一実
施形態において使用したプラズマ排ガス処理設備Pの構
成を示す説明図である。このプラズマ排ガス処理設備P
は、ガス生成部1、電極部2、サンプリング部3から概
略構成されている。
【0016】ガス生成部1は、窒素ボンベ11、恒温槽
12、ポンプ13とにより構成されている。恒温槽12
内には、m−クロロフェノールを収めた容器14が備え
られている。このm−クロロフェノールとは、図1に示
すように、ベンゼン環に水酸基及びCl基が繋がったも
のとなっており、一般にダイオキシン類代替物質として
知られているものである。また、恒温槽12内は、その
温度が65℃に常に保たれている。このことにより、m−
クロロフェノールの蒸発量は一定となり、電極部2に送
られるガス量が一定となる。ちなみに、温度65℃におい
ては蒸気圧4mmHgとなる。
【0017】窒素ボンベ11にはその名の通り窒素ガス
2が封入されており、その導出口は、図1に示すよう
に、m−クロロフェノールを収めた容器14の口に接続
されている。また、ポンプ13も当該容器14の口に接
続されるようになっている。したがって、電極部2に対
しては、m−クロロフェノールの蒸発による気体と窒素
ガスN2とが同時に送り込まれるようになっている。こ
のとき窒素ガスN2は、m−クロロフェノールに対する
希釈ガスとしての作用を有し、電極部2に送られる当該
m−クロロフェノールの濃度を調整することが可能とな
っている。なお、いままでに述べた、希釈されたm−ク
ロロフェノールの蒸発ガスが、本発明で言うところの
「排ガス」にあたるものである。
【0018】電極部2は、線状電極21と円筒状電極2
2とからなる一組の電極、電源23、及びオシロスコー
プ24から構成されたものとなっている。線状電極21
と円筒状電極22とは互いに距離dだけ隔たるような位
置関係で設置されている。すなわち、両者の電極間距離
はdであるとでき、また、このことから円筒状電極22
断面における円の直径は2dとなる。また、電源23
は、パルス幅τなる高電圧が印加可能なものとなってい
る。ちなみに、ここでいうパルス幅τとは極めて短い時
間間隔であることを暗喩しているものとする。したがっ
て、当該電極23は極短パルスパワー電源と仮定するこ
とができるものである。さらに、オシロスコープ24
は、前記線状電極21と円筒状電極22との間に発生す
る放電の様子をモニターするために設けられているもの
である。なお、前記ガス生成部1から送り込まれたm−
クロロフェノール蒸発ガスは、線状電極21と円筒状電
極22との間を流通することになる。
【0019】サンプリング部3は、吸収瓶31、ポンプ
32、ガスメータ33により構成されている。吸収瓶3
1にはエタノールが収められており、これにより電極部
2を通過してきたガスを吸収させるようになっている。
また、ポンプ32は、吸収瓶31内を吸引し、ガスメー
タ33にガスを送り込むために設けられている。
【0020】その他、本第一実施形態におけるプラズマ
排ガス処理設備Pには、前記各部1、2、3を連係して
ガスを流通させるための配管4が備えられている。ま
た、その配管4の経路中には、適当な場所にリボンヒー
タ5が備えられている。これは配管4中を流通するガス
の温度を適当に保つために設けられているものである。
【0021】上記構成となるプラズマ排ガス処理設備P
において、その作用及び効果は以下のようになる。ま
ず、ガス生成部1から送出させるm−クロロフェノール
の濃度を、窒素ガスN2を利用することによって適当に
調整した後、これを電極部2における線状電極21と円
筒状電極22との間に送り込む。これら電極間では、電
源23により適当な形態となる放電が発生されることに
なる。ここで「適当な形態となる」放電とは、ストリー
マ放電のことである。このことに関してはすぐ後で詳述
する。そして、このストリーマ放電により電極間に生成
されたラジカルと前記m−クロロフェノールとの間に反
応が生じ、当該m−クロロフェノールが分解されて無害
化されることになる。なお、ラジカルとは、放電により
生じたプラズマにおいて、当該プラズマを構成する反応
性の高い粒子のことである。
【0022】以下では、前記したストリーマ放電につい
て説明する。放電形態には、一般に、ストリーマ放電、
グロー放電、及びアーク放電の三つの形態があることが
知られている。ストリーマ放電とは、電極間の空間にお
ける電子なだれが生じた直後に観察される放電形態で、
いわば放電進展過程とよべる状態のものといえる。ま
た、グロー放電とは、絶縁が破壊されてからストリーマ
放電完了後に観察される放電形態で、いわば持続放電過
程とよべるものといえる。最後に、アーク放電とは、完
全に絶縁が破壊された状態となり、電極間においてはも
はや定常的な電流が観察されるような放電形態で、全路
破壊と呼ばれる状態にある。
【0023】これらストリーマ放電、グロー放電、アー
ク放電においては、この順序で、電極間に存在する電子
のエネルギが10eV以上、数eV、1eV以下となるととも
に、気体温度が低温(常温)、中温(数百度)、高温
(1万度)となるような性質を備えている。したがっ
て、プラズマ排ガス処理設備として最も適した放電形態
は、ストリーマ放電であるといえる。なぜならば、電子
エネルギが大きいことから高効率にラジカルを生成する
ことが可能であり、また、気体温度が低いことから熱損
失が極めて少なくこの点からも高効率を実現することが
可能だからである。
【0024】したがって、本第一実施形態においては上
記ストリーマ放電形態を利用することとするが、より具
体的な態様に関しては次のような規定を設ける。まず、
当該放電を生じさせるために前記一組の電極に印加する
高電圧をパルス状とするとともに、そのパルス幅τが、 5-1(d/vs)≦τ≦5(d/vs)・・・(1) なる条件を満たすものとする。ただし、この式でvs
ストリーマ放電の進展速度、dは前記したように線状電
極21と円筒状電極22との電極間距離である。ここ
で、ストリーマ放電進展速度vsとは、電極間距離d
を、一方の電極から開始した放電が他方の電極に到達す
るまでの時間、すなわちストリーマ放電進展時間τs
除した値のことである。つまり、vs=d/τsであり、
またこれからτs=d/vsなる関係を導くことができ
る。
【0025】このことから、上記(1)式は、以下のよ
うに書き換えることができる。 5-1τs≦τ≦5τs ・・・(2) 結局、パルス幅τに関する条件は、上式に示すように、
当該パルス幅τが、ストリーマ放電進展時間τsに1/5
を乗じたものより大きく、かつこのτsに5を乗じたも
のより小さくなるよう規定するものといえる。このよう
な規定は、具体的には、図2に示すようなパルス幅τと
排ガス中における有害物質の除去率との関係から導いた
ものである。この図からわかるように、ストリーマ進展
時間τsとパルス幅τとが相等しいときに除去率は最大
となる。そして、この点を極としてτが大きくなる方に
は比較的なだらかに、τが小さくなる方には比較的急に
除去率が低下していくことがわかる。したがって、パル
ス幅τが、上記(2)式のように規定されれば、電圧印
加に要したエネルギが、排ガス中に含まれる有害物質の
除去に有効に利用されることとなる。
【0026】また上記に加えて、線状電極21と円筒状
電極22との間におけるストリーマ放電の発生頻度をf
としたときに、このfが f≦1kpps ・・・(3) なる条件を満たすよう、その放電の形態を規定する。こ
れは、前記ストリーマ放電において、その放電が発生し
てから再び絶縁が回復するまでに要する時間が1msであ
ることを考慮することによって設けられた規定である。
すなわち、放電の発生頻度fを、上記(3)式のよう
に、つまり1msにつき1回以下となるよう規定すること
とすれば、放電発生に要するエネルギ効率を高らしめる
ことが可能となるからである。より具体的に言えば、放
電が既に止んでいる時に次の放電が有効に発生し無駄な
エネルギを浪費するようなことがなくなる。
【0027】以上のような規定を考慮した上で、本第一
実施形態においては、上記パルス幅τ、放電の発生頻度
fをはじめとして、その他各種パラメータを表1に示す
ように定めた。
【0028】
【表1】
【0029】この表1のうち、パルス幅τ=35nsとされ
ていることに関しては、図3に示すように、ストリーマ
放電進展時間時間τsが20nsと見なせる事実から、
(2)式にこれらの値を代入すると、 5-1τs=5-1×20=4 ≦ τ=35 ≦ 5τs=5×
20=100 となって確かに条件を満たしていることがわかる。ま
た、放電の発生頻度fについてもf=40〜200ppsである
から、明らかに(3)式の条件を満たしていることがわ
かる。
【0030】このような条件において、適当に希釈され
たm−クロロフェノール蒸発ガスを電極部2に流通させ
た結果、サンプリング部3により得られた測定結果によ
り図4に示すようなグラフを得た。これによれば、m−
クロロフェノールは殆ど分解されていることがわかる。
特に、消費エネルギが15Wh/Nm3以上となる領域において
は、その分解率が99%にも達している。また、消費エネ
ルギが4.7Wh/Nm3においても分解率97%という結果とな
っており、したがって、比較的少ないエネルギ消費で高
い分解率を達成し得ていることがわかる。
【0031】このように本実施形態においては、パルス
幅τ及び放電の発生頻度fとを、(1)あるいは(2)
式、及び(3)式で規定されるような好ましい値に設定
することにより、極めて高い排ガス中における有害物質
の分解率を達成することができる。
【0032】以下では、本発明の第二の実施形態につい
て説明する。この第二実施形態においては、上記プラズ
マ排ガス処理設備Pの構成中、電極部2の形態が異なる
のみである。したがって、以下ではガス生成部1及びサ
ンプリング部3に関する説明を省略することとする。
【0033】本第二実施形態における電極の形態は、図
5に示すように、線状電極25と、これを両側から挟む
二枚の平板状電極26とから構成されたものとなってい
る。これら線状電極25及び平板状電極26には、上述
の第一実施形態と同様に、パルス幅τなる高電圧を印加
可能な図示しない電源が接続されている。また、線状電
極25と各々の平板状電極26とは、距離dを隔てるよ
うにして設置されている。そして、上記m−クロロフェ
ノールの蒸発ガスは、図5中矢印Aに示すように、前記
線状電極25に垂直な方向に流通するようになってい
る。
【0034】このような構成となるプラズマ排ガス処理
設備において、次に示すような規定を設ける。すなわ
ち、前記m−クロロフェノールの蒸発ガスの電極間にお
ける滞留時間をtとしたときに、 0.5〔s〕≦t〔s〕≦20〔s〕 ・・・(4) なる条件を課す。
【0035】上記(4)式のような規定を設けることに
より、m−クロロフェノールの除去率は、図6に示すよ
うなものとなる。図6は横軸に滞留時間tを、縦軸にそ
の除去率をそれぞれとって、前記滞留時間tの変化につ
れて除去率がどのように変化するかを示しているグラフ
である。このグラフによれば、滞留時間tがおよそ10
秒となるときに、除去率が最高となることがわかる。ま
た、この点を極として、回数が増える方向及び減る方向
それぞれに、同程度に除去率が減少していくことがわか
る。
【0036】したがって、(4)式に示す規定は、除去
率が比較的高い状態となるよう、滞留時間tを定めるこ
とを意味しているから、当該m−クロロフェノールの分
解率をより高めることが可能となる。なおこのことは、
排ガスが受ける放電が、その分解を促すに十分であるこ
とによるものである。
【0037】なお、上記(4)式と同様な規定は、いま
説明した線状電極25と平板状電極26とによる電極形
態だけではなく、第一実施形態にて説明した線状電極2
1と、その周囲に配置された円筒状電極22とからなる
ような電極形態において適用することも可能である。こ
の場合、当該円筒状電極22の長さをL、前記排ガスの
両電極間における流通速度をvfとしたときに、 0.5〔s〕≦(L/vf)〔s〕≦20〔s〕 ・・・(5) なる規定を課すようにすればよい。この(5)式におけ
る、不等号に挟まれた式は、実質上、両電極間における
排ガスの滞留時間tと同義となることは明らかである。
図7には、上記(L/vf)を横軸に、除去率を縦軸にと
ったときに、前記(L/vf)の変化につれて除去率がど
のように変化するかを示したグラフが示されている。こ
の図7から一見してわかるように、これが図6とほとん
ど同様であることが明白である。したがって、この事実
から、線状電極21と円筒状電極22からなる電極形態
においても、(5)式の関係を適用することによって、
第二実施形態と同様な効果が得られることが裏付けられ
る。
【0038】上記までのプラズマ排ガス処理設備は、例
えば、図8に示すような構成における一設備として利用
されうる。この図は、プラズマ排ガス処理設備Pを、焼
却炉Fから排出される排ガスの分解に供させるために設
置した例を示している。なおこのとき、図1に示すガス
生成部1は、この図7においては含まれないことは言う
までもない。
【0039】これによれば、焼却炉Fから排出された排
ガスは、集塵装置G1、アーク放電灰溶融炉A等を通過
し、プラズマ排ガス処理設備Pに導入される。ここにお
いて、上述したように、導入された排ガスと電極間に発
生するストリーマ放電により生成されたラジカルとの間
に反応が生じ、有害物質の分解が進行することとなる。
そして、処理済みとなった排ガスは、ほぼ完全に安全な
ものへと変換され、最後に煙突Cによって大気へ放出す
る。
【0040】このようにプラズマ排ガス処理設備は、一
般に排ガスを排出する各種プラントにおいて使用可能で
ある。ここで各種プラントという場合には、いま図8に
て説明した焼却炉F以外、例えば、火力発電用ボイラ等
をも含むものである。すなわち、石炭炊き又は石油炊き
に関わらず火力発電用ボイラが排出する排ガス処理用の
設備として、本発明によるプラズマ排ガス処理設備を適
用することが可能である。
【0041】以下では本実施形態に係る補足事項につい
て説明する。まず、上記第一及び第二の実施形態のいず
れにしても、本発明で規定する「排ガス」とは、m−ク
ロロフェノールを含むものとしての説明を行ったが、本
発明はこの記載に限定されるものではない。すなわち、
「排ガス」なる概念は、その他、NOx、SOx等を含む
もの、また、VOC(揮発性有機化合物)を含むガス、
DXN(ダイオキシン)を含むガス等をも内包するもの
である。つまり、この場合においても本発明は適用可能
であり、また上記と同様な効果が得らることが可能であ
る。
【0042】また、本発明は、「排ガス」のみにこだわ
るものではない。すなわち、ガス一般を対象とし、その
反応を促進させるようなガス反応促進設備も、本発明の
範囲内にあるものである。この場合、ガスの反応が促進
されるのは、基本的に上までに記したのと同様な機構に
よるものである。つまり、電極間に発生した放電がラジ
カルを生成し、これとガス又はガス中に含まれる物質と
の反応が生じ、これを促進させることになる。
【0043】また、第一実施形態における(1)式ある
いは(2)式と、(3)式の条件は、いかなる形態の電
極に対しても適用可能である。つまり、線状電極21と
円筒状電極22からなる電極形態に特にこだわる必要は
なく、例えば、図5で説明したような線状電極25と平
板状電極26とからなる電極形態であっても、全く同様
に適用可能である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載のプ
ラズマ排ガス処理設備は、パルス幅τが、5-1(d/
s)≦τ≦5(d/vs)なる条件を満たすから、電圧
印加に要したエネルギが、排ガス中に含まれる有害物質
の除去に有効に利用されることとなる。したがって有害
物質の分解を促進させることができる。
【0045】また、請求項2記載のプラズマ排ガス処理
設備は、前記電極間における放電の発生頻度fを、f≦
1kppsとなるよう規定することから、放電発生に要する
エネルギ効率を高くすることが可能となる。つまり、無
駄な消費エネルギを浪費することなく、効率よく有害物
質の分解を進行させることができる。
【0046】さらに、請求項3記載のプラズマ排ガス処
理設備は、線状電極と平板状電極から構成された一組の
電極において、前記線状電極と前記平板状電極との間に
おける前記排ガスの滞留時間tが、0.5〔s〕≦t≦2
0〔s〕なる条件を満たすようにするから、流通時に排
ガスが受ける放電回数が十分保証され、有害物質の分解
を有効に促すことができる。またこれにより、効率的な
有害物質の分解を実施することができる。
【0047】加えて、請求項5から請求項8に記載のガ
ス反応促進設備は、上記各種特徴を備えたものとである
ことから、上記と同様な効果が得られるものである。た
だし、この場合において、これら発明は、「ガス一般」
を処理対象としその反応促進を図るものであるから、上
までに記した効果において、「プラズマ排ガス処理設
備」を「ガス反応促進設備」に、「排ガス」は「ガス」
に、「有害物質」は「ガス」又は「(ガス中に含まれ
る)物質」と置換したときに、読み取れうるのと同様な
効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラズマ排ガス処理設備の構成を示す説明図
である。
【図2】 電極に印加する電圧のパルス幅と有害物質除
去率との関係を示すグラフである。
【図3】 電極間に発生した放電の電流、電圧に係る経
時変化を示すグラフである。
【図4】 図1に示すプラズマ排ガス処理設備による排
ガス分解率性能を示すグラフである。より詳しくは当該
排ガス分解率と消費エネルギとの関係を示すグラフであ
る。
【図5】 図1に示す電極部とは異なる形態となる電極
部を示す斜視図である。
【図6】 電極間を流通する排ガスの当該電極間におけ
る滞留時間と有害物質除去率との関係を示すグラフであ
る。
【図7】 線状電極と円筒状電極とからなる電極形態に
おいて、図6に示すものと同様な関係を示すグラフであ
る。
【図8】 図1に示すプラズマ排ガス処理設備を、焼却
炉の排ガス分解に適用した例を示す説明図である。
【符号の説明】
21、25 線状電極 22 円筒状電極 26 平板状電極 P プラズマ排ガス処理設備
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月23日(1999.4.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス幅τの高電圧が印加可能である電
    極間距離dとされた互いに対向する一組の電極を備える
    プラズマ排ガス処理設備にあって、 ストリーマ放電の進展速度をvsとしたときに、前記パ
    ルス幅τが、 5-1(d/vs)≦τ≦5(d/vs) なる条件を満たすことを特徴とするプラズマ排ガス処理
    設備。
  2. 【請求項2】 前記電極間における放電の発生頻度f
    を、f≦1kppsとなるよう規定することを特徴とする請
    求項1記載のプラズマ排ガス処理設備。
  3. 【請求項3】 複数の線状電極と、該線状電極に対向す
    るとともに一定の距離を隔てて備えられた平板状電極
    と、前記線状電極と前記平板状電極との間において前記
    線状電極に垂直な方向に流通する排ガスとから少なくと
    も構成されるプラズマ排ガス処理設備にあって、 前記線状電極と前記平板状電極との間における前記排ガ
    スの滞留時間tが、 0.5〔s〕≦t〔s〕≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とするプラズマ排ガス処理
    設備。
  4. 【請求項4】 線状電極と、その周囲に配置した円筒状
    電極と、該円筒状電極の内部を流通する排ガスとから少
    なくとも構成されるプラズマ排ガス処理設備にあって、 前記円筒状電極の長さをL、前記排ガスの両電極間にお
    ける流通速度をvfとしたときに、 0.5〔s〕≦(L/vf)〔s〕≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とするプラズマ排ガス処理
    設備。
  5. 【請求項5】 パルス幅τの高電圧が印加可能である電
    極間距離dとされた互いに対向する一組の電極を備える
    ガス反応促進設備にあって、 ストリーマ放電の進展速度をvsとしたときに、前記パ
    ルス幅τが、 5-1(d/vs)≦τ≦5(d/vs) なる条件を満たすことを特徴とするガス反応促進設備。
  6. 【請求項6】 前記電極間における放電の発生頻度f
    を、f≦1kppsとなるよう規定することを特徴とする請
    求項1記載のガス反応促進設備。
  7. 【請求項7】 複数の線状電極と、該線状電極に対向す
    るとともに一定の距離を隔てて備えられた平板状電極
    と、前記線状電極と前記平板状電極との間において前記
    線状電極に垂直な方向に流通するガスとから少なくとも
    構成されるガス反応促進設備にあって、 前記線状電極と前記平板状電極との間における前記ガス
    の滞留時間tが、 0.5〔s〕≦t〔s〕≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とするガス反応促進設備。
  8. 【請求項8】 線状電極と、その周囲に配置した円筒状
    電極と、該円筒状電極の内部を流通するガスとから少な
    くとも構成されるガス反応促進設備にあって、 前記円筒状電極の長さをL、前記ガスの両電極間におけ
    る流通速度をvfとしたときに、 0.5〔s〕≦(L/vf)〔s〕≦20〔s〕 なる条件を満たすことを特徴とするガス反応促進設備。
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