JP2006016280A - Ni−Cu−Znフェライトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】数十MHzから数百MHzの周波数帯域において低損失であり、強度の高いフェライトを提供する。
【解決手段】本発明のNi−Cu−Znフェライトは、Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分と、主成分に対して0.2〜5wt%のCoOと、主成分に対して0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアとを含み、平均結晶粒径が1.0μm以下である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のNi−Cu−Znフェライトは、Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分と、主成分に対して0.2〜5wt%のCoOと、主成分に対して0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアとを含み、平均結晶粒径が1.0μm以下である。
【選択図】なし
Description
本発明はNi−Cu−Zn系フェライトに関し、特にVHF−UHF帯用のアンテナコアに用いられるフェライトに関する。
近年、デジタル信号処理技術の発展や新しい通信技術の開発にともなって、新しい無線通信サービスが提供されつつあり、数十MHzから数百MHzの周波数帯域においては、携帯情報端末あるいは車載用情報端末向けのサービスや、デジタルラジオ放送サービスが検討されている。
こうしたサービスに用いられる携帯情報端末や車載用情報端末は高感度のアンテナを備えていることが求められている。また、特に携帯情報端末は落下によるショックやユーザの不注意な取り扱いによる大きな外力などによって故障や破壊が生じないように十分な強度を備えていることが求められる。車載用情報端末の場合には振動による故障や破壊が生じないように十分な強度を備えていることが求められる。
アンテナの感度を向上させるためには、フェライトからなるコアを用いることが知られている。アンテナのコア、すなわち、アンテナ用集磁素子には、一般にXFe2O4の組成で表されるスピネル型酸化物のフェライトが用いられる。置換元素Xには、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどの一種または複数種が用いられ、これらの元素がスピネル型酸化物に固溶した固溶体を形成している。
たとえば特許文献1は、ページャーなど、200MHzから500MHzの帯域において用いられる電子機器用のアンテナコイルのための磁心に最適な酸化物磁性材料を開示している。
特開平10−284315号公報
しかし、特許文献1に開示されている酸化物磁性材料は強度についての考慮がなされていない。このため、特許文献1に開示される酸化物磁性材料を用いてアンテナを作製し、携帯情報端末に搭載した場合、落下による衝撃やユーザの不注意な取り扱いによる大きな外力によりアンテナが損傷する可能性が考えられる。また、Ni量が多いのでアンテナ用コアとしてはコスト高となる。
本発明は、上記課題に鑑み、数十MHzから数百MHzの周波数帯域において低損失であり、強度の高いフェライトを提供することを目的とする。
本発明のNi−Cu−Znフェライトは、Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分と、前記主成分に対して0.2〜5wt%のCoOと、前記主成分に対して0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアとを含み、平均結晶粒径が1.0μm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記主成分は、組成比で45〜49mol%のFe2O3と、37〜41mol%のNiOと、10〜14mol%のCuOと、残部のZnOとを含む。
ある好ましい実施形態において、前記平均結晶粒径が0.5μm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記CoOを前記主成分に対して0.2〜3wt%の割合で含む。
また本発明のアンテナ用コアは、上記いずれかのNi−Cu−Znフェライトからなる。
ある好ましい実施形態において、前記アンテナ用コアは、VHF帯からUHF帯の電波を受信するために用いられる。
また本発明のアンテナは、上記いずれかに規定されるアンテナ用コアと、前記コアに巻回されたコイルとを備える。
本発明のNi−Cu−Znフェライトの製造方法は、Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分および前記主成分に対して、0.2〜5wt%のCoOおよび0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアを含む仮焼粉を用意する工程と、前記仮焼粉を焼結することにより、平均結晶粒径が1.0μm以下であるNi−Cu−Znフェライトを得る工程とを包含する。
ある好ましい実施形態において、前記焼結を850℃から950℃の範囲の温度で行う。
ある好ましい実施形態において、前記主成分は、組成比で45〜49mol%のFe2O3と、37〜41mol%のNiOと、10〜14mol%のCuOと、残部のZnOとを含む。
ある好ましい実施形態において、前記仮焼粉を用意する工程は、前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分の仮焼粉を得る工程と、前記CoOおよび正方晶ジルコニアの粉末を前記仮焼粉に混合する工程とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記仮焼粉を用意する工程は、前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と前記CoOとを含む仮焼粉を得る工程と、前記正方晶ジルコニアの粉末を前記仮焼粉に混合する工程とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記仮焼粉を用意する工程は、前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と前記正方晶ジルコニアとを含む仮焼粉を得る工程と、前記CoOの粉末を前記仮焼粉に混合する工程とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記仮焼粉を用意する工程は、前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と、前記CoOと、前記正方晶ジルコニアとを含む仮焼粉を得る工程とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記仮焼粉の平均粒径は、1.0μm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記正方晶ジルコニアは前記仮焼粉の平均粒径以下であり、かつ0.1μm以上の平均粒径を有する。
本発明によれば、CoOの添加量および平均結晶粒径を所定の値にすることによって、数十MHzから数百MHzの周波数帯域において低損失なフェライトが得られる。また、正方晶ジルコニアを添加することにより、材料強度を高めることができる。
本発明のフェライトは高い強度を備え、高周波数帯域における損失が小さい。従来のフェライトは高い強度を得るためには高い密度を備えていることが必要であり、高密度なフェライトは、結晶の粒成長を適切に制御し、平均結晶粒径を所定の範囲にすることによって得られていた。しかし、平均結晶粒径はフェライトの磁気特性にも影響する。このため、達成すべき磁気特性や強度によっては、強度と磁気特性とはトレードオフの関係となり、同時に磁気特性および強度を満足させることが困難な場合があった。
これに対し、本発明では、ジルコニアを添加することにより、フェライトの密度や結晶粒径を変えることなく、フェライト全体の強度を向上させることができる。このため、フェライトの磁気特性に影響を与えることなく、フェライトの強度を調整できる。つまり、本発明のフェライトは、所望の材料強度を得ながら、磁気特性を自由に調整することができる。
図1は、Ni−Cu−Znフェライトの透磁率の周波数依存性を示す模式的なグラフである。ここで、μ’およびμ’’は、交流における透磁率および損失成分であり、フェライトの品質係数Qおよび損失係数tanδと以下の関係がある。
tanδ=1/Q=μ’’/μ’
tanδ=1/Q=μ’’/μ’
図1に示すように、μ’は低周波領域ではほぼ一定であり、周波数が高くなるにつれてμ’は徐々に小さくなる。一方、μ’’は、低周波領域では小さな値をとっているが、低周波領域から高周波領域へ遷移する領域において著しく値が増大する。μ’’が増大するため、高周波での損失係数tanδも増大する。
したがって、μ’’の周波数に対するプロファイルを矢印で示すように高周波側へシフトさせることできれば、高周波帯域において低損失なフェライトを実現することができる。本発明では、この点に着目してフェライトの磁気特性を調整し、磁気特性の調整されたフェライトに正方晶ジルコニアを添加し、所望の強度を得る。
以下、本発明のフェライトを詳細に説明する。本発明のNi−Cu−Znフェライトは、Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分と、主成分に対して0.2〜5wt%のCoOと、前記主成分に対して0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶を含むジルコニアとを含んでいる。
主成分は、高周波における損失が少なく、抵抗率の高いNi−Cu−Znフェライトにより構成される。つまり、主成分はFe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる。好ましくは、酸化物に換算した組成比で、45〜49mol%のFe2O3と、37〜41mol%のNiOと、10〜14mol%のCuOとを主成分として含み、残部はZnOからなる。
CoOは、主成分に対して、酸化物に換算した重量比で0.2〜5wt%含むことが好ましい。添加量が0.2wt%よりも少ない場合、100MHz以上の周波数における損失が大きくなり、好ましくない。また、添加量が5wt%よりも多い場合、透磁率が低下し、アンテナのコアとして用いた場合、アンテナの感度を十分に高くすることができなくなる。CoOの添加量はより好ましくは、0.2〜3wt%である。この範囲にすることによって、100MHzから500MHzの周波数において低損失な材料が得られる。
また、主成分に対して、0〜5wt%(ただし0を含まない)のジルコニアを含む。ジルコニアを含まない場合、焼結後のフェライトの強度が低くなってしまう。実用上十分な強度を得るためには、主成分に対して、0.1〜2wt%のジルコニアを含むことが好ましい。添加量が5wt%を超える場合、フェライトの強度は十分高まるが、透磁率が低下してしまう。ジルコニアは、正方晶を含んでいる正方晶ジルコニアであることが好ましく、室温において正方晶である部分安定化ジルコニアを用いることが好ましい。安定化のため、ジルコニアは酸化イットリウムなどの安定化物質を含んでいてもよい。正方晶ジルコニアを用いることによって、フェライトが外部から衝撃を受けた際、衝撃による力のエネルギがジルコニアの正方晶から単斜晶への変態に使われ、フェライトが物理的な構造変化や破壊に至ることを防止する。
本発明のフェライトに含まれる結晶粒の平均結晶粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。結晶粒径が1μmより大きい場合、透磁率の損失成分であるμ’’が高周波帯域において大きくなり、高周波における損失が増大してしまう。これに対し、平均結晶粒径が1μm以下である場合、高周波における損失は小さくなり、平均結晶粒径が0.5μm以下である場合には、およそ数十MHzから500MHzまでの周波数において損失を小さくすることができる。平均結晶粒径は、フェライト作製工程中に形成する仮焼粉の粒径に依存し、仮焼粉の粒径を小さくできる限り、平均結晶粒径の下限に特に制限はない。しかし、粒径の小さい仮焼粉を作製するのは一般にコストがかかるため、平均結晶粒径は0.1μm以上であることがコストの点で好ましい。
図2は、上述の組成範囲の主成分に対して、CoOの添加量を変化させて比透磁率の周波数依存性を測定した結果を示すグラフである。すべての試料は900℃で焼成し、平均結晶粒径は0.5μmである。図2に示すように、CoOを添加しない場合、数十MHzより周波数が高くなると、μ’’が増大する。これに対し、CoOを0.2wt%添加すると、100MHz程度までμ’’は、0.1以下の小さい値をとっている。CoOの添加量を増やすと、周波数に対するμ’’の値を示すグラフは高周波側へシフトする。図に示すようにCoOを8.2wt%添加した場合、約1GHzにおいてもμ’’は、0.1以下の値を示している。図2から明らかなように、CoOを添加することによってμ’’の周波数依存性を示すグラフは高周波側へシフトする。したがって、損失係数tanδの値を高周波側でも小さくすることができることがわかる。
図3(a)から(c)は、それぞれ100MHz、300MHzおよび500MHzにおいて、CoOの添加量に対する相対損失係数tanδ/μ’の変化を調べた結果を示すグラフである。これらのグラフにおいて、フェライトの平均結晶粒径は0.5μmである。図3(a)に示すように、平均結晶粒径が0.5μmである場合、100MHzにおける相対損失係数tanδ/μ’は、CoOの添加量が約0.2wt%のときに最小となり、その値は約500×10-6となる。また、図3(b)に示すように、300MHzにおける相対損失係数tanδ/μ’は、CoOの添加量が約2wt%のときに最小となり、その値は約1500×10-6となる。図3(c)に示すように、500MHzにおける相対損失係数tanδ/μ’は、CoOの添加量が約2wt%のときに最小となり、その値は約2500×10-6となる。
このように、CoOの添加量を調節することによって、μ’’の周波数特性を高周波数側へシフトさせることができ、高周波数において損失係数を小さくすることができる。
図4は、結晶粒径を変化させて比透磁率の周波数依存性を測定した結果を示すグラフである。上述の組成範囲の主成分に対して、CoOを0.2wt%添加し、焼成温度を変えることによって粒成長を制御し、焼成後の結晶粒径を変化させている。図4に示すように、平均結晶粒径が13μmである場合、μ’’は低周波数領域でも0.2程度であり、40MHz程度からμ’’は急激に増大する。平均結晶粒径が小さくなると、周波数に対するμ’’の値を示すグラフは高周波側へシフトする。平均粒径が、0.5μmである場合、μ’’は、200MHz程度まで0.1以下の値を示し、200MHzよりも周波数が高くなると増大するようになる。
図4から明らかなように、結晶粒径を変化させることによってもμ’’の周波数特性を高周波数側へシフトさせることができ、したがって、高周波数において損失係数を小さくすることができる。
なお、CoOの添加量とフェライトの結晶粒径とは独立して調節することが可能である。このため、CoOの添加量および焼結後の結晶粒径のいずれか、あるいは両方を調節することにより、所望の周波数において、損失係数が小さくなるようにすることが可能である。
一方、ジルコニアは焼結の際、フェライトにはほとんど固溶せず、焼結によって形成される結晶粒の粒界に位置する。このため、ジルコニアの添加によってフェライトの密度が低下することはない。また、焼結の際、形成される空孔の割合は結晶粒の成長の度合いを調節することによる制御が可能である。このため、ジルコニアを添加し、焼結体の空孔にジルコニアを配置することにより、磁気特性を変化させることなく、ジルコニアを用いない場合に比べて約70%強度が増大する。
上述したように、CoO添加量、フェライトの結晶粒径や粒成長を制御することにより、本発明のフェライトは、数十MHzから約500MHzの周波数領域において、3〜10の透磁率、200×10-6〜3500×10-6の相対損失係数および100〜180MPaの強度を得ることがきる。本発明のフェライトはこのような特性を備えているため、VHF帯からUHF帯、特に、数十MHzから約500MHzの周波数領域を利用して無線通信を行う携帯情報端末や車載用情報端末のアンテナのコアに好適に用いられる。本発明のフェライト材料からなるコアを形成し、コイルをコアの周りに巻回することによって、数十MHzから約500MHzの周波数領域において低損失であり、かつ、外力や振動などによる破壊や損傷が生じない高い強度を備えたアンテナが実現する。
次に本発明のフェライトの製造方法を詳細に説明する。まず、Fe2O3、NiO、CuOおよびZnOを上述した組成比で秤量し、ボールミルなどで粉砕した後、得られた粉末を800〜900℃の温度で仮焼する。仮焼して得られた粉末をボールミルなどで微粉末が得られるように十分粉砕する。粉末の平均粒径が1.0μm以下になるまで粉砕を行うことが好ましく、目標とするフェライトの平均結晶粒径より小さくなるまで粉砕することが好ましい。
得られた仮焼粉末に対して所定の割合の正方晶を含むジルコニアの微粉末およびCoOの微粉末を加え、均一な粉末が得られるように混合する。この際、ジルコニアの粒子径は、仮焼粉末の結晶粒径より小さくなるようにする。ジルコニアの粒子径のほうが仮焼粉末の結晶粒径より大きい場合、焼結により生成する空孔にジルコニアが配置されず、十分な強度が得られなく可能性がある。また、非磁性であるジルコニアにより透磁率が低下する可能性がある。一方ジルコニアの粒子径が0.1μmよりも小さくなると、仮焼粉末との混合の際、ジルコニアが不均一に凝集し、得られる焼結体中でジルコニアが不均一に分布する可能性がある。
混合粉末は、公知の方法によって造粒し、所定の形状に成形する。成形装置としては、たとえば、金型プレスを用い、3.0〜3.2g/cm3の密度となるように粉末を成形する。
その後、成形体を酸素雰囲気もしくは大気雰囲気において焼結する。焼結温度が高いと、結晶粒が成長し、得られるフェライトの高周波における磁気特性が所望の範囲から外れる可能性がある。このため、焼結温度は850〜950℃であることが好ましい。最適な焼結温度は、仮焼粉末の粒子径および目標とする焼結後の結晶粒子径により決定する。焼結により、フェライトが得られる。その後、得られたフェライトを外周刃切断装置などにより、所定の形状に切断してもよい。
なお、ジルコニアやCoOは仮焼の際に添加してもよい。具体的には、Fe2O3、NiO、CuOおよびZnOと、CoOおよび/またはジルコニアとを混合して仮焼する。その後、仮焼の際添加しなかったCoOまたはジルコニアを仮焼粉に加えて焼結する。仮焼の際にジルコニアを添加する場合には、ジルコニアが正方晶から単斜晶に変態しないような温度で仮焼することが好ましい。
(実験例)
47mol%のFe2O3、39mol%のNiO、12mol%のCuOおよび2mol%のZnOを秤量し、粉砕後、850℃で仮焼し、得られた仮焼体を0.4μmの粒子径の粉末となるようにボールミルなどで粉砕した。得られた仮焼粉末に対して、1.2wt%のCoOおよび1wt%の部分安定化ジルコニアを添加した。CoOおよび部分安定化ジルコニアの平均粒子径はそれぞれ1μmおよび0.5μmであった。混合粉末から150μm以下の粒径を有する造粒粉を形成し、金型プレスを用いて成形した。成形体を大気雰囲気中、920℃で焼結することより評価用の試料を作成した。得られた焼結体の平均結晶粒径は0.5μmであった。磁気特性を評価するための試料は外形8mm、内径4mm厚さ2mmのリングに成形した。また、強度を評価するための試料は36.5mm×4mm×3mmの矩形に成形した。上下の面の面粗度は0.8S以下にした。これらの試料を実施例と呼ぶ。
47mol%のFe2O3、39mol%のNiO、12mol%のCuOおよび2mol%のZnOを秤量し、粉砕後、850℃で仮焼し、得られた仮焼体を0.4μmの粒子径の粉末となるようにボールミルなどで粉砕した。得られた仮焼粉末に対して、1.2wt%のCoOおよび1wt%の部分安定化ジルコニアを添加した。CoOおよび部分安定化ジルコニアの平均粒子径はそれぞれ1μmおよび0.5μmであった。混合粉末から150μm以下の粒径を有する造粒粉を形成し、金型プレスを用いて成形した。成形体を大気雰囲気中、920℃で焼結することより評価用の試料を作成した。得られた焼結体の平均結晶粒径は0.5μmであった。磁気特性を評価するための試料は外形8mm、内径4mm厚さ2mmのリングに成形した。また、強度を評価するための試料は36.5mm×4mm×3mmの矩形に成形した。上下の面の面粗度は0.8S以下にした。これらの試料を実施例と呼ぶ。
特性の比較を行うために、部分安定化ジルコニアのみを添加しないことを除いて、実施例と同じ条件で作製した比較例1、CoOおよび部分安定化ジルコニアを添加しないことを除いて、実施例と同じ条件で作製した比較例2、および焼結後の結晶粒径を16μmとしたことを除いて、実施例と同じ条件で作製した比較例3を作製した。
得られた実施例おおよび比較例1〜3の透磁率、相対損失係数および強度を測定した。
透磁率は、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザE4991Aを用いて300MHzの周波数で測定した。相対損失係数は、透磁率の計測で得られたμ’およびμ’’から求めた。強度はJIS規格R1601−1981に準拠した測定条件により、3点曲げ試験を行って求めた。以下に、測定結果を示す。
透磁率は、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザE4991Aを用いて300MHzの周波数で測定した。相対損失係数は、透磁率の計測で得られたμ’およびμ’’から求めた。強度はJIS規格R1601−1981に準拠した測定条件により、3点曲げ試験を行って求めた。以下に、測定結果を示す。
表に示すように、実施例によれば、相対損失係数が1600×10-6と小さく、硬度も147MPaと大きい。これに対し、比較例1では、十分な強度が得られていない。比較例1は、ジルコニアを含んでいないからである。また、比較例2では、相対損失係数が大きく、かつ、十分な強度が得られていない。比較例3では、強度は十分であるが、相対損失係数が大きくなっている。このように本発明によれば、高強度で低損失なフェライトが得られる。
本発明のフェライトは、数十から数百MHzの帯域において低損失であり、また、強度が高い。このため、数十から数百MHzの帯域のアンテナ用コアとして好適に用いられる。
Claims (16)
- Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分と、
前記主成分に対して0.2〜5wt%のCoOと、
前記主成分に対して0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアと、
を含み、平均結晶粒径が1.0μm以下であるNi−Cu−Znフェライト。 - 前記主成分は、組成比で45〜49mol%のFe2O3と、37〜41mol%のNiOと、10〜14mol%のCuOと、残部のZnOとを含む請求項1に記載のNi−Cu−Znフェライト。
- 前記平均結晶粒径が0.5μm以下である請求項1に記載のNi−Cu−Znフェライト。
- 前記CoOを前記主成分に対して0.2〜3wt%の割合で含む請求項1に記載のNi−Cu−Znフェライト。
- 請求項1から4のいずれかに規定されるNi−Cu−Znフェライトからなるアンテナ用コア。
- 前記アンテナ用コアは、VHF帯からUHF帯の電波を受信するために用いられる請求項5に記載のアンテナ用コア。
- 請求項5または6のいずれかに規定されるアンテナ用コアと、
前記コアに巻回されたコイルと、
を備えたアンテナ。 - Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分および前記主成分に対して、0.2〜5wt%のCoOおよび0〜5wt%(ただし0を含まない)の正方晶ジルコニアを含む仮焼粉を用意する工程と、
前記仮焼粉を焼結することにより、平均結晶粒径が1.0μm以下であるNi−Cu−Znフェライトを得る工程と、
を包含するNi−Cu−Znフェライトの製造方法。 - 前記焼結を850℃から950℃の範囲の温度で行う請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。
- 前記主成分は、組成比で45〜49mol%のFe2O3と、37〜41mol%のNiOと、10〜14mol%のCuOと、残部のZnOとを含む請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。
- 前記仮焼粉を用意する工程は、
前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物からなる主成分の仮焼粉を得る工程と、
前記CoOおよび正方晶ジルコニアの粉末を前記仮焼粉に混合する工程と、
を含む請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。 - 前記仮焼粉を用意する工程は、
前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と前記CoOとを含む仮焼粉を得る工程と、
前記正方晶ジルコニアの粉末を前記仮焼粉に混合する工程と、
を含む請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。 - 前記仮焼粉を用意する工程は、
前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と前記正方晶ジルコニアとを含む仮焼粉を得る工程と、
前記CoOの粉末を前記仮焼粉に混合する工程と、
を含む請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。 - 前記仮焼粉を用意する工程は、
前記Fe、Ni、CuおよびZnの酸化物と、前記CoOと、前記正方晶ジルコニアとを含む仮焼粉を得る工程と、
を含む請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。 - 前記仮焼粉の平均粒径は、1.0μm以下である請求項8に記載のNi−Cu−Znフェライトの製造方法。
- 前記正方晶ジルコニアは前記仮焼粉の平均粒径以下であり、かつ0.1μm以上の平均粒径を有する請求項15に記載のフェライトの製造方法。
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2004
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