JP2006015983A - 車両用サンバイザ装置 - Google Patents

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秀俊 鈴木
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Abstract

【課題】良好な視界を得ると共に、複雑な構成となることを防いで、簡単な演算処理で搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる車両用サンバイザ装置を提供する。
【解決手段】車両用サンバイザ装置は、遮光装置、受光センサ、入力装置7、及び制御装置を備えている。受光センサは、車体に固定されている。そして、搭乗者が入力装置7のスイッチ31〜35を操作することにより、アイポジション想定範囲21〜25が選択され、選択されたアイポジション想定範囲21〜25及び入射光の入射角度に基づいて制御装置により遮光制御が行われる。
【選択図】 図5

Description

本発明は車室内へ入射する入射光、例えば直射日光を自動で遮るように作動する車両用サンバイザ装置に関するものである。
従来、車両の運転席及び助手席の上方位置には、車両内へ入射する入射光、例えば直射日光等を遮るためのサンバイザ装置が設けられている。このサンバイザ装置は、搭乗者の実際の目の位置(アイポジション)に入射光が当たることを防止して、搭乗者が入射光により眩惑されることを防ぐものである。このようなサンバイザ装置は、一般的に、車両内に取り付けられたサンバイザ本体を手動操作することにより、搭乗者のアイポジションを含む所定範囲を該サンバイザ本体によって遮光するように構成されている。しかしながら、近年では、特許文献1及び特許文献2にて開示されているように、搭乗者、例えば運転者のアイポジションをもとに自動でサンバイザ本体が作動されるサンバイザ装置もある。
特許文献1にて開示されているサンバイザ装置は、適所に取り付け固定されるケース本体を備え、該ケース本体にはセンサケースがケース本体に対して長さ調節可能に固定されている。センサケースには、第1の受光センサと第2の受光センサとが上下方向に一定間隔開いて配設されている。更に、ケース本体には、進退可能なサンバイザ本体、該サンバイザ本体の進退を駆動する駆動機構、及び該駆動機構に駆動力を付与するモータが収容されている。また、このサンバイザ装置は、前記第1の受光センサ及び第2の受光センサからの出力信号により、前記モータの駆動を制御する複数の駆動制御回路を備えている。
このようなサンバイザ装置は、車室内において運転席及び助手席の上方位置に取り付けられる。搭乗者は、第2の受光センサが自身の目線の位置となるようにセンサケースの高さを調節する。そして、制御回路装置は、下側の第1の受光センサと上側の第2の受光センサとの両方が受光した場合には、モータを正転駆動させて第2の受光センサが受光しない位置までサンバイザ本体を進出させる。また、サンバイザ本体が突出された状態において、第1の受光センサと第2の受光センサとの両方が受光しなくなると、制御回路装置はモータを逆転駆動させてサンバイザ本体を後退させる。そして、第1の受光センサが受光すると制御回路装置によりモータの逆転駆動が停止されてサンバイザ本体が停止される。
また、特許文献2にて開示されているサンバイザ装置では、遮光を行う位置にサンバイザ本体を移動させるために、まず、入射光の方向や太陽光線上のあらゆる点等の空間情報からアイポジションと太陽とを結ぶ第1の直線を見つける。更に、太陽とは別の光源とアイポジションとを結ぶ第2の直線をあらゆる空間情報をもとに見つける。そして、第2の直線と第1の直線との交差点(アイポジション)及び太陽と一直線となる位置にサンバイザ本体を移動させる。第1の直線及び第2の直線の交差点は、演算により求められ、サンバイザの移動量も演算により求められる。これらの演算は、サンバイザ装置に備えられる制御装置によって行われる。
また、特許文献2には、アイポジションを求めるために、音波や電磁波を発信及び受信する装置等を用いて、直接的にアイポジションを規定して演算を簡素化する方法も開示されている。
特開平7−329566号公報 特表平8−509924号公報
しかしながら、特許文献1にて開示されているサンバイザ装置において、第2の受光センサを搭乗者の目線の位置となるようにセンサケースの位置を合わせると、搭乗者の前方の視界がセンサケースによって遮られてしまう恐れがあった。
また、特許文献2にて開示されているサンバイザ装置においては、毎回、第1の直線と第2の直線とから交差点(アイポジション)を求めて、その後サンバイザ本体の移動量を演算により求めなければならないため、演算処理の量が多く、制御装置に負担がかかるという問題があった。更に、2本の直線を用いてアイポジションを求める演算処理を省くために、音波や電磁波を発信及び受信する装置等を用いることも提案されているが、このような装置を用いると、サンバイザ装置が複雑な構成になってしまうという問題がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、良好な視界を得ると共に、複雑な構成となることを防いで、簡単な演算処理で搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる車両用サンバイザ装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、入射光を遮るために設けられるサンバイザ本体を有し、該サンバイザ本体を移動可能に支持する遮光装置と、搭乗者の視界を遮らない場所に配置され前記入射光の入射角度を検出するための入射光検出信号を出力する受光センサと、手動操作されることにより、アイポジション許容範囲内においてアイポジション想定点を移動させる入力装置と、前記入射光検出信号に基づいて前記入射光の入射角度を特定し、該入射角度及び前記アイポジション想定点に基づいて前記遮光装置により前記入射光を遮る遮光制御を行う制御装置とを備えた車両用サンバイザ装置とした。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記アイポジション想定点は、車両の前後方向において段階的に複数設定され、前記入力装置は、複数の前記アイポジション想定点のうちいずれかを指定する操作部の操作に応じて該アイポジション想定点を移動させる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、前記アイポジション想定点を車両の上下方向及び前後方向に移動させる操作部を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、搭乗者が着席するシートに隣接する車室の側壁に配設されている。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、前記操作部の操作方向と前記アイポジション想定点の移動方向とを対応させて配設されている。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記アイポジション許容範囲は、線状である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用サンバイザ装置において、前記アイポジション許容範囲は、車両の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定された直線である。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、正方向及び逆方向に回転される操作部を備え、前記操作部の回転方向及び回転量に応じて前記アイポジション想定点を移動させる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、外周面に周方向に等角度間隔に形成された複数の溝を有し前記操作部と一体回転する円板部と、付勢部材によって前記溝と係合するように付勢され、前記操作部の回転に伴って、係合される溝が順次隣接する溝へと切り換えられる爪部とを備えている。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、全方向に回転される操作部を備え、前記操作部の回転方向及び回転量に応じて前記アイポジション想定点を移動させる。
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、タッチパッドにおける接触位置及び前記接触位置の変化を検出し、検出した前記接触位置及び前記接触位置の変化に基づいて前記アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
請求項12に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の車両用サンバイザ装置において、前記入力装置は、前記アイポジション許容範囲と同様の軌跡を描くように移動される操作部を備え、前記操作部の移動量に応じて前記アイポジション想定点を移動させる。
請求項13に記載の発明は、請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、前記遮光装置は、運転席に座る搭乗者と助手席に座る搭乗者との両者に対応して設けられ、前記入力装置は、前記運転席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点及び前記助手席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点を移動させる操作部と、前記運転席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点及び前記助手席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点のうち、いずれの前記アイポジション想定点を前記操作部にて移動させるかを選択するための切替えスイッチとを備え、前記運転席と前記助手席との間に配置されている。
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、前記制御装置は、前記サンバイザ本体の先端位置の軌跡を表す線と、前記搭乗者が必要とする遮光量分だけ前記アイポジション想定点から下方に移動した遮光点を通り前記入射光の入射角度に等しく傾斜した直線との交点の位置に前記サンバイザ本体の先端が配置されるように前記サンバイザ本体を移動させて前記遮光制御を行う。
請求項15に記載の発明は、請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、搭乗者が前記サンバイザ本体の位置を調整するマニュアルモード、及び前記制御装置が前記サンバイザ本体の位置を調整するオートモードの何れか一方を選択するための選択手段と、前記搭乗者によって操作されると前記サンバイザ本体を進退させるための進退信号を出力する操作手段とを備え、前記制御装置は、前記マニュアルモードが選択されている場合には前記進退信号に応じて前記サンバイザ本体を進退させ、前記オートモードが選択されている場合には前記アイポジション想定点に応じて遮光制御を行う。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、アイポジション許容範囲内において、搭乗者が入力装置を操作することによりアイポジション想定点を自身のアイポジションに合わせると、受光センサにより検出した入射光の入射角度とそのアイポジション想定点とに基づいて遮光制御が行われる。従って、搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる。そして、受光センサは、搭乗者の視界を遮らない場所に配置されているため、搭乗者は良好な視界を得ることができる。また、搭乗者がアイポジション想定点を移動させて決定するため、アイポジションを求めるための演算を行う必要がない。従って、制御装置は、入射光の入射角度に応じてサンバイザ本体の移動量を決定するだけでよく、簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。更に、アイポジションを求めるために音波や電磁波を利用した装置を用いる必要もないため、車両用サンバイザ装置が複雑な構成となることを防ぐことができる。
請求項2に記載の発明によれば、アイポジション想定点は、車両の前後方向において段階的に複数設定されている。そして、入力装置の操作部を操作することにより、段階的に設定されたアイポジション想定点のうちいずれかに、遮光制御を行うためのアイポジション想定点が移動される。従って、予め、段階的に複数のアイポジション想定点が設定されていることから、制御装置は、アイポジションを求めるための演算を行う必要がなく、移動されたアイポジション想定点と入射光の入射角度とに応じてサンバイザ本体の移動量を決定するだけでよい。その結果、より簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、搭乗者は、入力装置が有する操作部を操作することにより、アイポジション想定点を車両の上下方向及び前後方向に移動させることができる。従って、搭乗者毎にアイポジションが異なる位置にあっても、アイポジション想定点を各搭乗者のアイポジションに合わせることができる。よって、搭乗者毎に、より適切な遮光制御を行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、入力装置は、搭乗者が着席するシートに隣接する車室の側壁に配設されているため、搭乗者は入力装置に手が届きやすく、入力装置の操作を容易に行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、入力装置は、操作部の操作方向と、操作部の操作により移動されるアイポジション想定点の移動方向とを対応させて配設されているため、搭乗者はアイポジション想定点をどの方向に移動させているかを容易に把握することができる。従って、入力装置を操作し易く、搭乗者はアイポジション想定点を自身のアイポジションに合わせ易い。
請求項6に記載の発明によれば、アイポジション許容範囲は線状であるため、アイポジション許容範囲が面状に設定される場合よりも、アイポジション想定点の移動を容易に行うことができ、搭乗者は容易にアイポジション想定点を自身のアイポジションに合わせることができる。また、アイポジション許容範囲が線状であることから、アイポジション想定点は、アイポジション許容範囲上を連続的に移動されることが可能となる。従って、アイポジション想定点は、アイポジション許容範囲上で細かい位置合わせをされることが可能となり、搭乗者は、より搭乗者のアイポジションに近い位置にアイポジション想定点を移動させることができる。更に、アイポジション想定点は線上を移動するだけであるため、アイポジション想定点を移動させるための制御が簡単であり、制御量を減らして制御装置への負担を軽減させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、アイポジション許容範囲は直線、即ち1次元的に設定されているため、アイポジション許容範囲が2次元的に設定される場合よりも、アイポジション想定点を搭乗者のアイポジションに合わせるための調節を容易に行うことができる。また、一般的に、搭乗者のアイポジションは搭乗者の体格に依存する。詳しくは、身長の低い人は腕及び脚が短いため、シートを前方寄りに移動させて着席し、アイポジションは前方よりに位置する。逆に、身長の高い人は、腕及び脚が長く、シートを後方寄りに移動させて着席し、アイポジションは後方寄りに位置する。また、座高の低い人の場合、アイポジションは下方寄りに位置し、座高の高い人の場合、アイポジションは上方寄りに位置する。更に、身長の高い人ほど座高が高い。従って、アイポジション許容範囲が1次元的な直線であっても、車両の前後方向に延び前端に比べて後端が上側に設定された直線であることから、より多くの搭乗者のアイポジションに応じた位置にアイポジション想定点を位置させ、搭乗者毎により適切な遮光制御を行うことができる。
請求項8に記載の発明によれば、操作部を正逆方向に回転させることにより、容易にアイポジション想定点が移動される。
請求項9に記載の発明によれば、操作部の回転に伴って、爪部は順次隣接する溝に係合される。従って、操作部を操作する搭乗者に小刻みな振動が与えられ、搭乗者は操作部が回転されていることを容易に把握することが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、搭乗者が操作部を回転させるだけで容易にアイポジション想定点が移動される。
請求項11に記載の発明によれば、搭乗者がタッチパッド上をなぞるだけで容易にアイポジション想定点が移動される。
請求項12に記載の発明によれば、操作部は、アイポジション許容範囲と同様の軌跡を描くように移動される。そのため、搭乗者は、アイポジション許容範囲上におけるアイポジション想定点の位置を把握し易い。よって、搭乗者が、アイポジション想定点をより搭乗者のアイポジションに近い位置に移動させることが可能となる。
請求項13に記載の発明によれば、運転席に座る搭乗者も助手席に座る搭乗者も、それぞれアイポジション想定点を自身のアイポジションに合わせて移動させることが可能となる。また、入力装置は、運転席と助手席との間に配置されると共に、運転席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点及び助手席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点のうち、いずれのアイポジション想定点の移動を行うかを選択するための切替えスイッチを備えている。従って、一つの入力装置で運転席に座る搭乗者も助手席に座る搭乗者もアイポジション想定点の移動を行うことが可能となる。
請求項14に記載の発明によれば、サンバイザ本体は、入射光の入射角度に応じて移動される。また、僅かな入射角度の変化、及び僅かなアイポジションの位置変化がサンバイザ本体の停止位置に反映される。
請求項15に記載の発明によれば、搭乗者は、選択手段を操作することにより、サンバイザ本体の位置の調整を、搭乗者自身及び制御装置の何れで行うかを選択することが可能となる。従って、本発明の車両用サンバイザ装置においては、制御装置によるサンバイザ本体の調整を必要としない搭乗者、及び制御装置によるサンバイザ本体の位置の調整を望む搭乗者との両方の搭乗者の好みに応じてサンバイザ本体の位置の調整が行われる。
本発明によれば、良好な視界を得ると共に、複雑な構成となることを防いで、簡単な演算処理で搭乗者毎に適切な遮光制御が行われる車両用サンバイザ装置を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に本第1実施形態の車両用サンバイザ装置1を示す。車両用サンバイザ装置1は、車両2の天井部3に設けられている。この車両用サンバイザ装置1は、遮光装置5、受光センサ6、入力装置7、及び制御装置8(図2参照)を備えている。
遮光装置5は、天井部3内に収容固定されている。この遮光装置5は、サンバイザ本体10と、図示しない駆動機構と、駆動モータ11(図2参照)とを備えている。サンバイザ本体10は、入射光を遮るべく不透明な部材にて長方形状に形成されている。天井部3の前方端部には、開口部3aが形成されており、前記サンバイザ本体10は、駆動モータ11が駆動されると、その駆動方向に応じて、駆動機構を介して該開口部3aから進出したり、天井部3内に格納されたりする。尚、サンバイザ本体10の開口部3aからの進出量は、サンバイザ本体10が天井部3内に格納されている格納状態から、最大に進出した状態まで複数段階に分けられている。例えば、本実施形態では、格納状態を0段階とし、最大に進出している状態のサンバイザ本体10の進出方向の長さを4等分にして1〜4段階とすることで、全体として5段階の調整を可能としている。サンバイザ本体10の最大進出時には、サンバイザ本体10によってフロントガラス12の運転席側の中央から上部の所定の範囲が覆われる。
図2に示すように、駆動モータ11には、回転検出装置11aが一体に備えられている。回転検出装置11aは、駆動モータ11の回転と同期したパルス信号を得るものであり、そのパルス信号を制御装置8に出力する。回転検出装置11aは、例えば2個のホール素子を有しており、駆動モータ11の回転に同期したパルス信号を出力すると共に、互いのパルス信号に所定の位相差が生じるように構成されている。そして、制御装置8は、各パルス信号の位相差に基づいて駆動モータ11の回転方向を検出する。また、制御装置8は、パルス信号のエッジに基づいてパルスの数をカウントし、そのカウント値に基づいてサンバイザ本体10の位置を検出する。
図1に示すように、受光センサ6は、天井部3等により入射光が遮断されない場所(即ち入射光を受光可能な場所)であって、搭乗者の視界を遮らない場所に固定されている。例えば、本実施形態では、受光センサ6は、フロントガラス12の車両室内側上端部において、搭乗者が着席するシート13の略正面に固定されている。また、図3(a)に示すように、受光センサ6は、ルームミラー14の下端部14bよりも上方、且つルームミラー14よりも前方側に配置されている。
受光センサ6には、図示しない複数の受光素子が備えられており、図3(a)(b)に示すように、測定範囲A(左右方向には図3(a)にて角度αで表す範囲、上下方向には図3(b)にて角度βで示す範囲)内に入射される入射光の強度と、上下方向の入射角度θ(図4参照)、及び左右方向の入射角度を検出するためのものである。尚、この測定範囲Aは、搭乗者がシート13に適正な姿勢で着席した際に、最低限遮光が必要な範囲に設定されている。そして、受光センサ6は、測定範囲A内に入射光が入射すると、その入射光の強度と、上下方向の入射角度θ(図4参照)と左右方向の入射角度とに応じた入射光検出信号を制御装置8に出力する。
図5(a)に入力装置7を示す。図5(b)に示すように、入力装置7は、運転席に隣接する側壁、即ち運転席側のドアに設けられたサイドボックス15に固定されている。この入力装置7は、搭乗者がアイポジション想定範囲21〜25を選択する際に使用される。ここで、遮光制御を行うために仮想的に設定されるアイポジション想定範囲21〜25、及びアイポジション想定点21a〜25aについて説明する。
一般的に、搭乗者のアイポジションP(図4参照)は、搭乗者の体格に依存する。詳しくは、身長の低い人は腕及び脚が短いため、シートを前方寄りに移動させて着席し、アイポジションPは前方寄りに位置する。逆に、身長の高い人は、腕及び脚が長く、シートを後方寄りに移動させて着席し、アイポジションPは後方寄りに位置する。また、座高の低い人の場合、アイポジションPは下方寄りに位置し、座高の高い人の場合、アイポジションPは上方寄りに位置する。従って、殆どの搭乗者のアイポジションPは、車両2の前後方向には、ハンドル16よりも後方且つシート13を最大限後方に移動すると共に最大限リクライニングした状態のシート13のシートバック13aよりも前方であり、車両2の上下方向には、天井部3よりも下方且つシート13のシートクッション13bよりも上方である範囲内に位置する。このようなアイポジションPの分布を踏まえて、複数のアイポジション想定範囲21〜25(本実施形態では5つ)を設定している。
例えば、本第1実施形態では、図5(b)に示すように、車両2の前方から後方に向かうに連れて徐々に上昇する直線L1上に、アイポジション想定範囲21〜25の中心となるアイポジション想定点21a〜25aが等間隔で段階的に設定されている。これは、一般的に身長の高い人が座高も高く、身長の低い人が座高も低いことによる。そして、各アイポジション想定点21a〜25aを中心とした円(隣り合う円同士が若干重なり合う大きさの円)を想定し、該円によって囲まれる範囲をアイポジション想定範囲21〜25として設定している。そして、本第1実施形態では、アイポジション想定範囲21〜25がアイポジション許容範囲を構成する。
図5(a)に示すように、前記入力装置7は、上記のように設定された5つのアイポジション想定範囲21〜25に合わせて操作部としての5つのスイッチ31〜35を備えている。スイッチ31〜35は、一直線に並んで配設されている。そして、入力装置7は、スイッチ31〜35が車両の前後方向に沿って配列されるように固定されている。
スイッチ31〜35とアイポジション想定範囲21〜25とは、それぞれ車両2の前方側に位置するものから順に対応している。即ち、車両の前後方向において最前端に配置されたスイッチ31は同方向において最前端に設定されたアイポジション想定範囲21に対応し、スイッチ31より後方に配置されたスイッチ32,33,34,35はそれぞれアイポジション想定範囲21より後方に配列されたアイポジション想定範囲22,23,24,25に対応している。そして、前記制御装置8は、操作されたスイッチ31〜35に対応するアイポジション想定範囲21〜25を選択する。例えば、搭乗者がスイッチ31を押すと、制御装置8にスイッチ31に応じた操作信号が出力され、該スイッチ31に対応するアイポジション想定範囲21が選択される。言い換えると、搭乗者がスイッチ31を押すと、制御装置8にスイッチ31に応じた操作信号が出力され、遮光制御の基準となるアイポジション想定範囲が、該スイッチ31に対応するアイポジション想定範囲21(アイポジション想定点21a〜25a)に移動される。
図2に示すように、制御装置8は、コントローラ41、不揮発性記憶装置42、及びドライバ回路43を備えている。制御装置8には、バッテリ44から駆動電源が供給される。
不揮発性記憶装置42は、選択されたアイポジション想定範囲21〜25を記憶する。
コントローラ41は、車両用サンバイザ装置1の制御を行うものである。コントローラ41は、各アイポジション想定範囲21〜25に対応した図示しない5つの制御マップを備えている。これらの制御マップには、各アイポジション想定範囲21〜25をもとに入射光の入射角度θに対応するサンバイザ本体10の進出量(本実施形態においては進出段階)が設定されている。即ち、制御マップには、入射光の入射角度θに応じて、選択されたアイポジション想定範囲21〜25に入射光が当たらないようにサンバイザ本体10を進出させるための進出量が設定されている。
また、コントローラ41には、前記入力装置7が電気的に接続されている。コントローラ41は、スイッチ31〜35が押されることにより出力された操作信号を検出し、該操作信号に基づいてアイポジション想定範囲21〜25のいずれが選択されたかを判断する。そして、コントローラ41は、選択されたアイポジション想定範囲21〜25をもとに、前記受光センサ6が出力する入射光検出信号に基づいて遮光装置5を作動させる遮光制御を行う。即ち、コントローラ41は、受光センサ6が出力する入射光検出信号をもとに、入射光の入射角度θを演算により検出する。また、コントローラ41は、受光センサ6が出力する入射光検出信号に基づいて、測定範囲Aに入射する入射光の入射強度を検出する。そして、入射光の入射光度が所定強度以上の場合には、コントローラ41は、入射光の入射角度θ、及び選択されたアイポジション想定範囲21〜25に対応した制御マップに従ってサンバイザ本体10を作動させる。
ドライバ回路43は、コントローラ41から出力される制御信号に基づいて、該制御信号に応じた方向の駆動電流を駆動モータ11に供給する。駆動モータ11は、該駆動電流の方向に応じて正逆回転し、その回転によってサンバイザ本体10が進出、若しくは後退される。
上記のように構成された車両用サンバイザ装置1の動作について説明する。
車両2の図示しないイグニッションスイッチがオンされると、車両用サンバイザ装置1の図示しない電源スイッチがオンされる。車両用サンバイザ装置1が初めて使用される場合には、入力装置7においてスイッチ31が選択された状態となっている。
スイッチ31が選択された状態においては、コントローラ41は、アイポジション想定範囲21に対応した制御マップに基づいて、入射光の入射角度θに応じてサンバイザ本体10を進退させ、アイポジション想定範囲21に入射光が当たらないようにする。
スイッチ31にて選択されたアイポジション想定範囲21に応じた遮光制御が適切でない場合、搭乗者は入力装置7にて適切と思われるアイポジション想定範囲22〜25を選択する。以後、コントローラ41は、選択されたアイポジション想定範囲22〜25に対応した制御マップに基づいて、入射光の入射角度θに応じてサンバイザ本体10を進退させ、選択されたアイポジション想定範囲22〜25に入射光が当たらないようにする。
尚、入力装置7にて選択されたアイポジション想定範囲21〜25は、スイッチ31〜35が選択された際にコントローラ41によって、不揮発性記憶装置42にいずれのスイッチ31〜35(アイポジション想定範囲21〜25)が選択されたかが記憶される。そして、次回車両用サンバイザ装置1が使用される際には、コントローラ41は、不揮発性記憶装置42に記憶されたアイポジション想定範囲21〜25に応じて遮光制御を行う。従って、一人の搭乗者によって、継続的に車両用サンバイザ装置1が使用される場合、搭乗者がシート13に着席する度にスイッチ31〜35を操作してアイポジション想定範囲21〜25のいずれかを選択する必要がない。また、車両用サンバイザ装置1を使用する際に、毎回アイポジション想定範囲21〜25を選択し直す場合よりも制御量を減らすことができ、コントローラ41の負担を軽減することができる。
上記したように、本第1実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)搭乗者が入力装置7のスイッチ31〜35を操作することにより、搭乗者のアイポジションPに近い位置に位置するアイポジション想定範囲21〜25が選択され、選択されたアイポジション想定範囲21〜25と受光センサ6により検出した入射光の入射角度θとに基づいてコントローラ41により遮光制御が行われる。従って、搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる。また、搭乗者がアイポジション想定範囲21〜25をスイッチ31〜35にて選択し、選択されたアイポジション想定範囲21〜25に基づいて遮光制御が行われるため、搭乗者のアイポジションPを求めるための演算をコントローラ41が行う必要がない。従って、コントローラ41は、入射光の入射角度θに応じて、制御マップに基づいてサンバイザ本体10の進出量を決定するだけでよく、簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。
(2)受光センサ6は、搭乗者の視界を遮らない場所、即ち、フロントガラス12の車両室内側上端部において、搭乗者が着席するシート13の略正面でルームミラー14の下端部14bよりも上方に固定されているため、搭乗者は良好な視界を得ることができる。
(3)アイポジションPを求めるために音波や電磁波を利用した装置を用いる必要がないため、車両用サンバイザ装置1が複雑な構成となることを防ぐことができる。
(4)入力装置7は、搭乗者が着席するシート13に隣接する車室の側壁、即ちシート13に隣接するドアのサイドボックス15に固定されている。そのため、搭乗者は、入力装置7に手が届きやすく、入力装置7の操作を容易に行うことができる。
(5)段階的に複数(5つ)のアイポジション想定範囲21〜25(アイポジション想定点21a〜25a)が予め設定されているため、コントローラ41は各アイポジション想定範囲21〜25に対応した制御マップに従ってサンバイザ本体10の進出量を決定すればよい。従って、より簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。
(6)アイポジション想定範囲21〜25は、車両2の前方から後方に向かうに連れて徐々に上昇する直線L1上に設定されている。従って、アイポジション想定範囲21〜25は段階的に5つ設定されたものであるが、様々な搭乗者の体格に応じた配置となっているため、様々な体格の搭乗者に応じた遮光制御を行うことができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6(b)に示すように、本第2実施形態では、線状のアイポジション許容範囲51が仮想的に設定されている。一般的に、搭乗者のアイポジションPは体格に依存する。詳しくは、身長の低い人は腕及び脚が短いため、シートを前方寄りに移動させて着席し、アイポジションPは前方よりに位置する。逆に、身長の高い人は、腕及び脚が長く、シートを後方寄りに移動させて着席し、アイポジションPは後方寄りに位置する。また、座高の低い人の場合、アイポジションPは下方寄りに位置し、座高の高い人の場合、アイポジションPは上方寄りに位置する。従って、殆どの搭乗者のアイポジションPは、車両2の前後方向にはハンドル16よりも後方且つシート13を最大限後方に移動させると共に最大限リクライニングさせた状態のシート13のシートバック13aよりも前方であり、車両2の上下方向には、天井部3よりも下方且つシート13のシートクッション13bよりも上方である範囲内に位置する。このようなアイポジションPの分布を踏まえて、直線状のアイポジション許容範囲51を設定している。
例えば、本第2実施形態では、図6(b)に示すように、アイポジション許容範囲51は、車両2の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定された直線として設定されている。これは、一般的に身長の高い人が座高も高く、身長の低い人が座高も低いことによる。
図6(a)に示すように、本第2実施形態の車両用サンバイザ装置は、前記アイポジション許容範囲51上においてアイポジション想定点52を移動させるための入力装置54を備えている。図6(b)に示すように、入力装置54は、運転席に隣接する車両2の側壁、即ち運転席側のドアに設けられたサイドボックス15に固定されている。図6(a)に示すように、入力装置54は長方形状のパネル54aを備えており、該パネル54aには長手方向に沿って溝部54bが形成されている。そして、溝部54bの側部には、該溝部54bの長手方向の長さを複数に等分(本第2実施形態では8等分)する目盛54dが設けられている。そして、入力装置54は、溝部54b内を該溝部54bの長手方向に沿ってスライド可能な操作部54cを備えている。このような入力装置54は、サイドボックス15の外側面に、溝部54bの長手方向と車両2の上下方向とを対応させて固定されている。
操作部54cの移動範囲は、アイポジション許容範囲51の長さに対応している。詳しくは、操作部54cが最下端に位置する場合、アイポジション想定点52はアイポジション許容範囲51の最下端に位置する。また、操作部54cが最上端に位置する場合、アイポジション想定点52は、アイポジション許容範囲51の最上端に位置する。そして、操作部54cを最下端から最上端に向かってスライドさせると、アイポジション想定点52は、アイポジション許容範囲51上を最下端から最上端に向かって移動される。
また、入力装置54は、コントローラ41に電気的に接続されている。この入力装置54には、可変抵抗が用いられており、例えば、操作部54cを上方へ移動させる程、抵抗値が増加するようになっている。従って、コントローラ41は、操作部54cがスライドされることにより変化した抵抗値に応じた電圧を検出することによってアイポジション想定点52の位置を検出する。
次に、本第2実施形態の車両用サンバイザ装置の動作について、上記第1実施形態の車両用サンバイザ装置1と異なる動作を説明する。
搭乗者は、遮光制御が適切でないと感じた場合には、入力装置54の操作部54cをスライドさせてアイポジション想定点52が自身のアイポジションPに最も近い位置となるように、該アイポジション想定点52を移動させる。例えば、サンバイザ本体10の進出量が多い場合、アイポジション想定点52は搭乗者のアイポジションPよりも下方に位置すると考えられるので、操作部54cを上方へスライドさせてアイポジション想定点52をアイポジション許容範囲51に沿って上方に移動させる。逆に、サンバイザ本体10の進出量が不足している場合、アイポジション想定点52は搭乗者のアイポジションPよりも上方に位置すると考えられるので、操作部54cを下方へスライドさせてアイポジション想定点52をアイポジション許容範囲51に沿って下方に移動させる。その際、パネル54aに設けられた目盛54dを目安にして操作部54cを操作するとよい。
操作部54cが操作されると、コントローラ41は入力装置7の抵抗値の変化に応じた電圧を検出し、アイポジション許容範囲51上にアイポジション想定点52の位置を検出する。そして、コントローラ41は、検出したアイポジション想定点52をもとに、受光センサ6が出力する入射光検出信号に基づいて遮光装置5を作動させる遮光制御を行う。即ち、コントローラ41は、搭乗者によって位置決めされたアイポジション想定点52に基づき入射光の入射角度θに応じて演算された制御マップをもとにサンバイザ本体10を作動させる。
ここで、制御マップには、アイポジション許容範囲51上で、ある位置に位置するアイポジション想定点52をもとにした入射光の入射角度θに対応するサンバイザ本体10の進出量(本実施形態では進出段階)が設定されている。操作部54cによってアイポジション想定点52が移動された際には、制御マップからその時の入射角度θに対応したサンバイザ本体10の進出量のデータを取り出し、移動後のアイポジション想定点52の位置に応じてその進出量を相対的に変化させて遮光を行う。
尚、移動後のアイポジション想定点52の位置は、コントローラ41によって不揮発性記憶装置42に記憶される。そして、次回車両用サンバイザ装置が使用される際には、コントローラ41は、不揮発性記憶装置42に記憶されたアイポジション想定点52に応じて遮光制御を行う。従って、一人の搭乗者によって、継続的に車両用サンバイザ装置が使用される場合、搭乗者がシート13に着席する度に操作部54cを操作してアイポジション想定点52を搭乗者のアイポジションPに合わせる必要がない。また、車両用サンバイザ装置を使用する際に、毎回アイポジション想定点52を移動させて調節する場合よりも制御量を減らすことができ、コントローラ41の負担を軽減することができる。
上記したように、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態の(2)乃至(4)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(1)搭乗者が入力装置7の操作部54cを操作することにより、アイポジション許容範囲51上でアイポジション想定点52を自身のアイポジションPに合わせると、受光センサ6により検出した入射光の入射角度θとそのアイポジション想定点52とに基づいて遮光制御が行われる。従って、搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる。また、搭乗者がアイポジション想定点52を移動させて該アイポジション想定点52の位置を決定するため、アイポジションPを求めるための演算を行う必要がない。従って、コントローラ41は、入射光の入射角度θに応じてサンバイザ本体10の進出量を決定するだけでよく、簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。
(2)入力装置54は、サイドボックス15の外側面に、溝部54bの長手方向と車両2の上下方向とを対応させて固定されている。操作部54cを上方へスライドさせるとアイポジション想定点52は上方へ移動し、操作部54cを下方へスライドさせるとアイポジション想定点52は下方へ移動する。従って、搭乗者はアイポジション想定点52をどの方向に移動させているかを容易に把握することができ、入力装置54を操作し易い。その結果、搭乗者は、アイポジション想定点52を搭乗者のアイポジションPに容易に合わせることができる。
(3)アイポジション許容範囲51は1次元的な直線であるため、アイポジション許容範囲51が2次元的に設定される場合よりも、アイポジション想定点52を搭乗者のアイポジションPに合わせるための調節を容易に行うことができる。また、アイポジション許容範囲51が直線であることから、アイポジション想定点52をアイポジション許容範囲51上で連続的に移動させることができ、第1実施形態のようにアイポジション想定許容範囲が設定された場合よりもアイポジション想定点52の細かい位置合わせを行うことができる。その結果、より搭乗者のアイポジションPに近い位置にアイポジション想定点52を移動させることができる。更に、アイポジション想定点52は直線上を移動するだけであるため、アイポジション想定点を移動させるための制御が簡単であり、制御量を減らしてコントローラ41への負担を軽減させることができる。
(4)アイポジション許容範囲51は、車両2の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定された直線である。そのため、1次元的な直線であっても、より多くの搭乗者のアイポジションPに対応した位置にアイポジション想定点52を配置することができ、搭乗者毎により適切な遮光制御を行うことができる。
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。尚、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7(b)に示すように、本第3実施形態では、車両2の上下及び前後方向と平行な長方形状のアイポジション許容範囲61が仮想的に設定されている。このアイポジション許容範囲61は、車両2の前後方向には、ハンドル16よりも後方且つシート13を最大限後方に移動させると共に最大限リクライニングさせた状態のシート13のシートバック13aよりも前方であり、車両2の上下方向には、天井部3よりも下方且つシート13のシートクッション13bよりも上方の範囲となっている。尚、図7(b)において、シート13は更に後方に移動可能であり、シートバック13aも更に後方にリクライニングさせることができる。
図7(a)に示すように、本第3実施形態の車両用サンバイザ装置は、前記アイポジション許容範囲61内において、アイポジション想定点62を移動させるための入力装置64を備えている。図7(b)に示すように、入力装置64は、運転席に隣接する車両2の側壁、即ち運転席側のドアに設けられたサイドボックス15に固定されている。入力装置64は、略正方形状のパネル64aを備えており、該パネル64aの中心には、十字状を成す操作部64bが配設されている。操作部64bは、十字を構成する4つのキー部65〜68を備えており、キー部65〜68は、隣接するキー部同士が90度を成して一体形成されている。そして、入力装置64は、サイドボックス15の外側面に、4つのキー部65〜68がそれぞれ車両2の上下方向及び前後方向と対応するようにして固定されている。即ち、入力装置64は、操作部64bの操作方向とアイポジション想定点62の移動方向とを対応させて配設されている。
入力装置64は、コントローラ41に接続されている。入力装置64は、キー部65〜68のいずれかが搭乗者によって押されると、コントローラ41に操作信号を出力する。コントローラ41は、アイポジション許容範囲61内において、操作信号に基づく方向、即ち、操作されたキー部65〜68が指す方向にアイポジション想定点62を移動させる。アイポジション想定点62は、搭乗者によってキー部65〜68が押されることにより入力装置64から操作信号が出力されている間中、操作されたキー部65〜68が指す方向に移動され、搭乗者がキー部65〜68から手を放すと、アイポジション想定点62は停止される。
次に、本第3実施形態の車両用サンバイザ装置の動作について、上記第1及び第2実施形態の車両用サンバイザ装置1と異なる動作を説明する。
搭乗者は、遮光制御が適切でないと感じた場合に、入力装置64のキー部65〜68を操作して、アイポジション想定点62が自身のアイポジションPと一致するように、該アイポジション想定点62を移動させる。この時、コントローラ41は、キー部65〜68が操作されることにより入力された操作信号に基づいてアイポジション想定点52を移動させる。そして、コントローラ41は、移動後のアイポジション想定点62をもとに、受光センサ6が出力する入射光検出信号に基づいて遮光装置5を作動させる遮光制御を行う。即ち、コントローラ41は、搭乗者によって位置決めされたアイポジション想定点62に基づき入射光の入射角度θに応じて演算された制御マップをもとにサンバイザ本体10を作動させる遮光制御が行われる。
ここで、制御マップには、アイポジション許容範囲61内のある位置に位置するアイポジション想定点62をもとにした入射光の入射角度θに対応するサンバイザ本体10の進出量(本実施形態では進出段階)が設定されている。操作部64bによってアイポジション想定点62が移動された際には、制御マップからその時の入射角度θに対応したサンバイザ本体10の進出量のデータを取り出し、移動後のアイポジション想定点62の位置に応じてその進出量を相対的に変化させて遮光を行う。
尚、操作部64bによって移動されたアイポジション想定点62の位置は、コントローラ41によって不揮発性記憶装置42に記憶される。そして、次回車両用サンバイザ装置が使用される際には、コントローラ41は、不揮発性記憶装置42に記憶されたアイポジション想定点62に応じて遮光制御を行う。従って、一人の搭乗者によって、継続的に車両用サンバイザ装置が使用される場合、搭乗者がシート13に着席する度に操作部64bを操作してアイポジション想定点62を搭乗者のアイポジションPに合わせる必要がない。また、車両用サンバイザ装置を使用する際に、毎回アイポジション想定点62を移動させて調節する場合よりも制御量を減らすことができ、コントローラ41の負担を軽減することができる。
上記したように、本第3実施形態によれば、上記第1実施形態の(2)乃至(4)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(1)搭乗者が入力装置64の操作部64bを操作することにより、アイポジション許容範囲61内において、アイポジション想定点62を自身のアイポジションPに合わせると、受光センサにより検出した入射光の入射角度θとそのアイポジション想定点62とに基づいて遮光制御が行われる。従って、搭乗者毎に適切な遮光制御を行うことができる。また、搭乗者がアイポジション想定点62を移動させて該アイポジション想定点62の位置を決定するため、アイポジションPを求めるための演算を行う必要がない。従って、コントローラ41は、入射光の入射角度θに応じてサンバイザ本体10の移動量を決定するだけでよく、簡単な演算処理により遮光制御を行うことができる。
(2)搭乗者は、操作部64bを操作することにより、アイポジション想定点62を車両2の上下方向及び前後方向に移動させることができる。従って、搭乗者毎にアイポジションPが異なる位置にあっても、アイポジション想定点62を各搭乗者のアイポジションPに合わせることができる。よって、搭乗者毎により適切な遮光制御を行うことができる。
(3)入力装置64は、操作部64bの操作方向とアイポジション想定点62の移動方向とを対応させて配設されているため、搭乗者はアイポジション想定点62をどの方向に移動させているかを容易に把握することができる。従って、入力装置64の操作部64bを操作し易く、搭乗者はアイポジション想定点62を自身のアイポジションPに合わせ易い。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記各実施形態では、サンバイザ本体10の進退動作は、5段階で段階的に行われているが、これに限らない。例えば、サンバイザ本体10の進退動作は、4段階以下で行われてもよいし、6段階以上で行われてもよい。サンバイザ本体10の進退動作を4段階以下で行うと、コントローラ41による制御を容易に行うことができる。また、6段階以上で行うと、サンバイザ本体10の進退動作がより細やかとなり、搭乗者にとってより快適な遮光制御を行うことができる。
○上記第1実施形態では、アイポジション想定範囲21〜25は、アイポジション想定点21a〜25aが、車両2の前方から後方に向かうに連れて徐々に上昇する直線L1上に位置するように設定されているがこれに限らない。例えば、図8に示すように、アイポジション想定範囲71〜75を設定してもよい。アイポジション想定範囲71〜75は、それぞれの中心であるアイポジション想定点71a〜75aが、車両2の前方から後方に向かうに連れて徐々に上昇するように設定されている。言い換えると、アイポジション想定点71a〜75aは、アイポジション想定点71a〜75aを結ぶ線が段を形成するように配置されている。この他、先端に比べて後端が上側に位置すると共に車両2の後方側に膨らむ円弧状の曲線上にアイポジション想定点21a〜25aを段階的に配置してアイポジション想定範囲21〜25を設定してもよい。アイポジション想定範囲21〜25のように設定するか、アイポジション想定範囲71〜75のように設定するかは、搭乗者のアイポジションPの分布に基づいてより適した方を選択するとよい。このように構成しても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
○上記第1実施形態では、アイポジション想定範囲21〜25は5つ設定されているが、4つ以下で設定されてもよいし、6つ以上設定されてもよい。アイポジション想定範囲21〜25を4つ以下で設定すると、コントローラ41はより簡単に遮光制御を行うことができる。また、アイポジション想定範囲21〜25を6つ以上設定すると、搭乗者毎により適切な遮光制御を行うことができる。但し、アイポジション想定範囲21〜25を4つ以下、若しくは6つ以上とする場合には、入力装置7のスイッチ31〜35の数もアイポジション想定範囲21〜25の数に対応させる。
○上記第2実施形態では、アイポジション許容範囲51は、車両2の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定された直線であるが、例えば、図9に示すような、アイポジション許容範囲81としてもよい。アイポジション許容範囲81は、車両2の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定されると共に、車両2の後方側に膨らむ曲線である。アイポジション許容範囲を直線とするか曲線とするかは、搭乗者のアイポジションPの分布に基づいてより適した方を選択するとよい。このように構成しても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
○上記第2実施形態では、図6(a)に示されるスライド式の入力装置54を用いているが、これに限らない。例えば、図10に示すような回転式の入力装置82を用いてもよい。入力装置82は、搭乗者により円柱状の操作部82aが回転されると、アイポジション許容範囲51上でアイポジション想定点52を移動させる。操作部82aには三角印82bが設けられており、搭乗者は、該三角印82bにて操作部82aの操作状態を把握することができる。そして、操作部82aが最大限反時計方向に回されると、アイポジション想定点52はアイポジション許容範囲51の最下端に位置される。また、操作部82aが最大限時計方向に回されると、アイポジション想定点52はアイポジション許容範囲51の最上端に位置される。
また、入力装置54に替えて図11に示すような入力装置84を用いてもよい。入力装置84は、スイッチ式であり、アイポジション許容範囲51上において、アイポジション想定点52を上方に移動させるためのスイッチ84aと、アイポジション想定点52を下方に移動させるためのスイッチ84bを備えている。
また更に、入力装置54に替えて図12(a)(b)に示す入力装置90を用いてもよい。図12(a)(b)に示す入力装置90は、天井部3の車室側の面において、開口部3aよりも車両の後方側となる位置に固定されている(図1参照)。入力装置90は、筐体91及び操作部としての操作レバー92を備えて構成されている。操作レバー92は、筐体91から下方に向かって延びる支持棒92aと、支持棒92aの先端から該支持棒92aに対して垂直方向に沿って延びる操作棒92bとから構成され、L字状をなしている。支持棒92aの基端部は、筐体91内で、該支持棒92aが天井部3に対して車両の前後方向に傾倒可能となるように支持されている。また、操作棒92bは、その軸方向が車両の左右方向と平行となっている。よって、操作棒92bが搭乗者によって車両の前方に向かって押されると、支持棒92aが車両の前方に向かって傾倒される。また、操作棒92bが搭乗者によって車両の後方に向かって押されると、支持棒92aが車両の後方に向かって傾倒される。操作棒が搭乗者によっていずれの方向にも押されていない場合には、支持棒92aは、該支持棒92aが車両の前方に最も傾倒された場合の該支持棒92aの位置と、支持棒92aが車両の後方に最も傾倒された場合の該支持棒92aの位置との中間の位置に位置されている。
筐体91の内部には、支持棒92aの近傍に2つのスイッチ式のセンサ(図示略)が配置されている。2つのセンサのうち一方のセンサは、支持棒92aが車両の前方に向かって傾倒された場合にオンされ、支持棒92aが車両の前方に向かって傾倒されたことを示す前方傾倒信号をコントローラ41に出力する。一方、2つのセンサのうち他方のセンサは、支持棒92aが車両の後方に傾倒された場合にオンされ、支持棒92aが車両の後方に向かって傾倒されたことを示す後方傾倒信号をコントローラ41に出力する。尚、操作棒92bが搭乗者によっていずれの方向にも押されていない場合には、2つのセンサはいずれもオフされている。コントローラ41は、前方傾倒信号及び後方傾倒信号に応じて、線状のアイポジション許容範囲51上でアイポジション想定点52を移動させる。例えば、前方傾倒信号が入力されると、前方傾倒信号が入力されている間中、コントローラ41は、アイポジション許容範囲51上でアイポジション想定点52を車両の先方に向かって移動させる。このように、入力装置82,84,90を用いた構成としても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また更に、入力装置54に替えて図13及び図14に示す入力装置100を用いてもよい。図13に示すように、入力装置100は、車両の運転席のドア101に設けられている。詳しくは、ドア101を構成するインナパネル102(車室側のパネル)には、車室側に向かって突出した突出部103が形成されており、入力装置100は突出部103の内部に収容されている。図14に示すように、入力装置100は、搭乗者によって回転操作される操作部104と、該操作部104の回転方向及び回転量を検出するための2つの回転検出センサ105,106とを備えて構成されている。操作部104は円板状をなしている。この操作部104は、その軸方向と車両の左右方向とが一致するように、且つ突出部103の上面に形成された貫通孔107からその一部が突出するようにして、突出部103の内部で正方向及び逆方向に回転可能に支持されている。前記回転検出センサ105,106は、操作部104の近傍に配置され、コントローラ41に電気的に接続されている。そして、回転検出センサ105,106は、操作部104の回転に応じてコントローラ41にパルス信号を出力する。尚、回転検出センサ105,106は、互いのパルス信号に所定の位相差が生じるように配設されている。コントローラ41は、回転検出センサ105,106から入力されるパルス信号に基づいて、操作部104の回転方向及び回転量を検出する。そして、コントローラ41は、操作部104の回転方向及び回転量に応じて、線状のアイポジション許容範囲51上でアイポジション想定点52を移動させる。例えば、操作部104が運転席側(操作部104の左側)から見て時計方向に回転されると、アイポジション想定点52は、アイポジション許容範囲51上で最上端(後方)に向かって移動される。因みに、アイポジション許容範囲51上におけるアイポジション想定点52の移動量は、回転検出センサ105,106から出力されるパルス信号に応じて設定されている。例えば、回転検出センサ105,106から出力される一つのパルスに対して、アイポジション許容範囲51上におけるアイポジション想定点52の移動量が設定されていてもよい。また、回転検出センサ105,106が出力するパルス信号から操作部104の回転速度を検出し、回転速度に応じて1パルス当たりのアイポジション想定点52の移動量を調節してもよい。この場合、例えば、回転速度が大きくなるほど、1パルス当たりのアイポジション想定点52の移動量が大きくなるように設定する。
また、入力装置100は、操作部104と一体回転する円板部110を備えている。円板部110の外周面には、周方向に等角度間隔に溝111が複数形成されており、該溝111が形成されることにより複数の歯部112が形成されている。そして、円板部110の径方向外側には、爪部113が配置されている。爪部113は、例えば三角柱状をなしている。この爪部113は、コイルばね114によって円板部110の外周面に向かって付勢され、何れか一つの溝111と係合されている。操作部104が回転されると、円板部110が一体回転し、円板部110(操作部104)の回転に伴って爪部113と係合する溝111が順次隣接する溝111へと切り換えられていく。この時、爪部113は、歯部112を乗り越えて隣接する溝111に係合されるため、操作部104を操作する搭乗者の指に対し、小刻みに振動が与えられる。
上記のように構成された入力装置100を利用すると、操作部104を正逆方向に回転させることにより、容易にアイポジション想定点52が移動される。よって、入力装置54を利用してアイポジション想定点52を移動させる場合に比べて搭乗者は少ない動きでアイポジション想定点52の位置調節を行うことができ、操作性が向上する。また、操作部104の回転に伴って爪部113と係合される溝111が順次隣接する溝111に切り換えられることから、操作部104を操作する搭乗者の指に対して小刻みに振動が与えられ、搭乗者は、操作部104が回転されていることを容易に把握することができる。尚、上記した入力装置82,84,90,100は、図9に示される曲線状のアイポジション許容範囲81に対応させて利用されてもよい。
○上記第2実施形態の入力装置54では、操作部54cは、車両の上下方向にスライド可能となっているが、これに限らない。例えば、溝部54bをアイポジション許容範囲51と等しい傾きとなるように形成し、この溝部54bに沿って操作部54cがスライドされるように構成してもよい。
また、入力装置54の替わりに、サイドボックス15に、円板(操作部)を配設して入力装置としてもよい。コントローラ41は、該円板が該円板の周方向に回転されることにより変化される抵抗値に応じた電圧を検出することにより、検出した電圧に応じてアイポジション想定点52を移動させる。この場合、円板の運転席側の面と、サイドボックス15の表面とが同一平面内に配置されると、異物が円板に引っ掛かることが防止され、アイポジション想定点52を移動させる必要の無い時に該アイポジション想定点52が移動されることが防止される。
また、アイポジション許容範囲が、例えば、図9に示されるような曲線状のアイポジション許容範囲81である場合には、図15及び図16に示す入力装置120,130を用いてもよい。図15に示す入力装置120は、入力装置54と同様に、サイドボックス15に固定されている。そして、入力装置120は略正方形状のパネル121を備えており、該パネル121には溝部122が形成されている。また、入力装置120は、溝部122内を該溝部122の長手方向に沿ってスライド可能な操作部123を備えている。溝部122は、溝部122の幅方向の中央を通る曲線L2がアイポジション許容範囲81と同様の曲線となるように形成されている。従って、操作部123は、溝部122内でスライドされると、アイポジション許容範囲81と同様の軌跡を描く。
図16に示す入力装置130は、例えば運転席のドア101のインナパネル102に設けられた突出部103の上面に配置されている(図13参照)。入力装置130は、略直方体状の台座131を備えている。台座131は、その長手方向が車両の前後方向と一致するように突出部103の上面に固定されている。台座131における車両の左右方向の幅は、手のひらの横幅(成人における手のひらの横幅の平均的な値)と略等しい幅に形成されている。台座131の上面は、車両の前後方向及び左右方向に平行な平面部132と、運転席側(台座131の左側)から見た形状がアイポジション許容範囲81と同様に湾曲した操作面133とから構成されている。そして、平面部132が車両の後方側に形成され、操作面133が車両の前方側に形成されている。操作面133には、車両の前後方向に沿って溝部134が形成されている。そして、入力装置130は、溝部134にガイドされて該溝部134の長手方向に沿ってスライド可能な操作部135を備えている。運転席側(台座131の左側)から見た操作面133の形状がアイポジション許容範囲81と同様に湾曲した形状に形成されていることから、操作部135が車両の前方側の一端から車両の後方側の他端に向かってスライドされた場合、当該操作部135は、運転席側から見てアイポジション許容範囲81と同様の軌跡を描く。そして、この入力装置130には、可変抵抗が用いられており、例えば操作部135を車両の後方側へ移動させるほど、抵抗値が増加するようになっている。従って、コントローラ41は、操作部135がスライドされることにより変化した抵抗値に応じた電圧を検出することによって、アイポジション想定点52の位置を検出する。
上記のような入力装置120,130を用いると、搭乗者は、アイポジション許容範囲81上におけるアイポジション想定点52の位置を把握し易い。従って、アイポジション想定点52をより搭乗者のアイポジションに近い位置に移動させることが可能となり、より適切な遮光制御を行うことができる。また、入力装置130においては、台座131は、車両の左右方向の幅が手のひらの横幅(成人における手のひらの横幅の平均的な値)と略等しい幅に形成されていることから、台座131の平面部132に手のひらを乗せることにより、搭乗者は操作部135を楽に操作することができる。尚、入力装置130は、インナパネル102の突出部103上以外の場所に配置されてもよい。
○上記第2実施形態では、コントローラ41は、ある位置に位置するアイポジション想定点52に対応した制御マップから、その時の入射角度θに対応したサンバイザ本体10の進出量のデータを取り出し、移動後のアイポジション想定点52に応じてその進出量を相対的に変化させて遮光を行っている。しかしながら、これに限らず、アイポジション許容範囲51を複数の区間に区切り、区間毎に対応した制御マップをコントローラ41に備えておいてもよい。この場合、コントローラ41は、移動されたアイポジション想定点52が位置する区間に対応した制御マップに基づいて、入射光の入射角度θに応じた遮光制御を行う。このように構成すると、コントローラ41によってサンバイザ本体10の進出量を算出するための処理がより簡単になり、コントローラ41への負担をより軽減させることができる。
○上記第3実施形態では、図7(a)に示す入力装置64を用いているが、これに限らない。例えば、図17に示すような入力装置140を用いてもよい。入力装置140は、円形のプレート141を備えており、該プレート141の表面には、上下及び前後を示す三角形のマーク142a〜142dが記されている。そして、プレート141の中央には、操作部としての棒状の操作スティック143が設けられている。この操作スティック143は、基端部を支点としてあらゆる方向に傾倒可能となっている。このような入力装置140は、操作スティック143の傾倒方向と、アイポジション想定点62の移動方向とを対応させて配設される。このように構成しても、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、入力装置64に替えて図18(a)(b)に示す入力装置150を用いてもよい。図18(a)(b)に示すように、入力装置150は、入力装置130と同様に、例えば運転席のドアのインナパネル102に設けられた突出部103の上面に配置されている(図13参照)。入力装置150は、略直方体状の台座151を備えている。台座151における車両の左右方向の幅は、手のひらの横幅(成人における手のひらの横幅の平均的な値)と略等しい幅に形成されている。台座151の車両前方側は、車両の前方に向かうに連れて徐々に高さが低く形成されることにより傾斜面152が形成されている。また、台座151の運転席側の側面(左側の側面)の中央部には、操作孔153が形成されている。そして、台座151の内部には、その一部が操作孔153から突出するようにして操作ボール154が配置されている。操作ボール154は、該操作ボール154の中心を回転中心として全方向に回転可能に支持されている。そして、台座151の内部には、2つの回転検出センサ(図示略)が配置されている。2つの回転検出センサのうち一方の回転検出センサは、操作ボール154の中心を通ると共に車両の上下方向に延びる直線L3を回転軸線として回転する操作ボール154の回転方向及び回転量に応じたパルス信号をコントローラ41に出力する。また、2つの回転検出センサのうち他方の回転検出センサは、操作ボール154中心を通ると共に車両の前後方向に延びる直線L4を回転軸線として回転する操作ボール154の回転方向及び回転量に応じたパルス信号をコントローラ41に出力する。コントローラ41は、両回転検出センサから入力されるパルス信号に基づいて、操作ボール154の回転方向及び回転両を検出する。そして、コントローラ41は、操作ボール154の回転方向及び回転量に応じて、アイポジション許容範囲61内でアイポジション想定点62を移動させる。尚、入力装置100を備えた場合と同様に、アイポジション許容範囲61内におけるアイポジション想定点62の移動量は、各回転検出センサから出力されるパルス信号に応じて設定されている。例えば、各回転検出センサから出力される一つのパルスに対して、アイポジション許容範囲61内におけるアイポジション想定点62の移動量が設定されていてもよい。また、各回転検出センサが出力するパルス信号から操作ボール154の回転速度を検出し、回転速度に応じて1パルス当たりのアイポジション想定点62の移動量を調節してもよい。
また更に、入力装置64に替えて図19に示す入力装置160を用いてもよい。図19に示すように、入力装置160は、入力装置150と同様の台座161を備えている。そして、台座161の運転席側の側面(左側の側面)には、長方形状をなすタッチパッド162が配設されている。搭乗者がタッチパッド162上を指でなぞると、タッチパッド162において搭乗者の指が接触している部分の静電容量が変化する。コントローラ41は、この静電容量の変化に基づいて、搭乗者がタッチパッド162上を何れの方向に向かってなぞったかを検出すると共に、搭乗者の指によりなぞられた距離を検出する。そして、その検出結果に応じて、アイポジション許容範囲61内でアイポジション想定点62を移動させる。尚、タッチパッド162は、静電容量の変化を検出することにより搭乗者によって接触された位置、及び搭乗者によってなぞられた位置(変化された接触位置)を検出する構成に限らない。例えば、タッチパッド162は、搭乗者が該タッチパッド162に接触した際に加えられる圧力を利用して、搭乗者によって接触された位置、及び搭乗者によってなぞられた位置(変化された接触位置)を検出する構成としてもよい。この場合、コントローラ41は、タッチパッド162に圧力が加えられた部分における抵抗値の変化を電圧の変化により検出する。そして、コントローラ41は、検出した電圧の変化に基づいてアイポジション想定点52を移動させる。
また、台座161の運転席側の側面(左側の側面)におけるタッチパッド162の車両の前方側には、スイッチ163が配設されている。スイッチ163は、タッチパッド162を作動させるか否かを選択するためのものである。詳しくは、搭乗者がアイポジション想定点62の調節を行う場合にはオン状態され、搭乗者がアイポジション想定点62の調節を行わない場合にはオフ状態にされる。そして、例えば図19に示すように、スイッチ163のつまみ164が車両の上方側に移動されているときには、スイッチ163はオン状態にされ、タッチパッド162における静電容量の変化が検出される。一方、つまみ164が車両の下方側に移動されているときには、スイッチ163はオフ状態にされ、タッチパッド162における静電容量の変化は検出されない。このようなスイッチ163を設けることにより、アイポジション想定点62を移動させなくてもよい場合に、タッチパッド162に異物等が接触してアイポジション想定点62が移動されることが防止される。
入力装置64に替えて上記のような入力装置150,160を用いると、入力装置150においては操作ボール154を回転させるだけで容易にアイポジション想定点62が移動され、入力装置160においてはタッチパッド162上をなぞるだけでアイポジション想定点62が移動される。即ち、入力装置64を用いる場合に比べて搭乗者は少ない動きでアイポジション想定点62の位置調節を行うことができ、操作性が向上する。また、台座151及び台座161の車両の前方側が、車両の前方に向かうに連れて徐々に高さが低く形成されていることから、搭乗者は、台座151,161上に楽に手を乗せることができ、入力装置150,160の操作性が向上する。尚、入力装置150,160は、インナパネル102の突出部103上以外の場所に配置されてもよい。
○上記第3実施形態では、コントローラ41は、ある位置に位置するアイポジション想定点62に対応した制御マップから、その時の入射角度θに対応したサンバイザ本体10の進出量のデータを取り出し、移動後のアイポジション想定点62に応じてその進出量を相対的に変化させて遮光を行っている。しかしながら、これに限らず、アイポジション許容範囲61を複数の区画に区切り、区画毎に対応した制御マップをコントローラ41に備えておいてもよい。この場合、コントローラ41は、移動されたアイポジション想定点62が位置する区画に対応した制御マップに基づいて、入射光の入射角度θに応じた遮光制御を行う。このように構成すると、コントローラ41によってサンバイザ本体10の進出量を算出するための処理がより簡単になり、コントローラ41への負担をより軽減させることができる。
○上記第3実施形態では、アイポジション想定点62の位置が、コントローラ41によって不揮発性記憶装置42に記憶される。その際、ハンドル16の位置、シート13の前後位置、及びシートバック13aのリクライニング位置等も、不揮発性記憶装置42に合わせて記憶されるものであってもよい。このように構成すると、ハンドル16の位置、シート13の前後位置、及びシートバック13aのリクライニング位置から、搭乗者を特定し、その搭乗者に対応したアイポジション想定点62の位置を読み出すことができる。従って、複数の搭乗者のアイポジション想定点62を記憶する際に、ハンドル16の位置、シート13の前後位置、及びシートバック13aのリクライニング位置等を合わせて記憶することで、搭乗者が替わってもアイポジション想定点62を毎回設定する必要がなくなる。
○上記第3実施形態では、アイポジション許容範囲61は、車両2の前後方向には、ハンドル16より後方且つシート13を最大限後方に移動すると共に最大限リクライニングした状態のシートバック13aより前方であり、車両2の上下方向には、天井部3より下方且つシートクッション13bより上方の範囲となる長方形状に設定されている。しかしながら、アイポジション許容範囲61は、長方形状に限らず、例えば、三角形並びにその他の多角形、円形、及び楕円形等であってもよい。このように構成しても、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
○上記各実施形態において、入力装置7,54,64,82,84,120,140は、サイドボックス15に固定されているが、これに限らない。例えば、ダッシュボードや、天井部3においてシート13の上部に位置する部分に固定してもよい。また、運転席側のドアにおいて、サイドボックス15以外の部分に固定されるものであってもよい。更に、リモコン式としてもよい。
○上記各実施形態では、遮光装置5は運転者を対象として配設されているが、助手席に座る搭乗者を対象として配設されてもよい。例えば、図20に示すように、運転席170に座る搭乗者と助手席171に座る搭乗者とのそれぞれに遮光装置5を設け、運転席170と助手席171との間に設けられたセンターコンソール172上に入力装置174を配置する。図21に示すように、入力装置174は、前記台座151(図18参照)と同様の台座175を備えている。台座175における車両の左右方向の幅は、手のひらの横幅(成人における手のひらの横幅の平均的な値)と略等しい幅に形成されている。台座175の車両前方側は、車両の前方に向かうに連れて徐々に高さが低く形成されることにより傾斜面176が形成されている。また、台座175の運転席側の側面177(右側の側面)の中央部には、操作孔(図示略)が形成されており、該操作孔から一部が突出するようにして台座175内に操作ボール181が配置されている。同様に、台座175の助手席側の側面179の中央部には、操作孔(図示略)が形成されており、該操作孔から一部が突出するようにして台座175内に操作ボール182が配置されている。操作ボール181,182は、台座151内で、該操作ボール181,182の中心を回転中心として全方向に回転可能に支持されている。そして、台座175の内部には、操作ボール181,182ごとにそれぞれ2つの回転検出センサ(図示略)が配置されている。これらの操作ボール181,182が回転されると、前記操作ボール154が回転された場合と同様に、各回転検出センサから回転方向及び回転量に応じたパルス信号がコントローラ41に出力される。コントローラ41は、各回転検出センサから入力されるパルス信号に基づいて、操作ボール181,182の回転方向及び回転量を検出する。そして、コントローラ41は、操作ボール181,182の回転方向及び回転量に応じて、アイポジション許容範囲61内でアイポジション想定点62を移動させる。因みに、運転席170側に配置された操作ボール181を操作することにより、運転席170に座る搭乗者用に設けられた遮光装置5を制御するためのアイポジション想定点62が移動される。また、助手席171側に配置された操作ボール182を操作することにより、助手席171に座る搭乗者用に設けられた遮光装置5を制御するためのアイポジション想定点62が移動される。
また、入力装置174は、切替えスイッチ183を備えている。切替えスイッチ183は、入力装置174において、運転席170に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62の移動と、助手席171に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62の移動とのいずれを行うかを選択するためのものである。詳しくは、切替えスイッチ183のつまみ184が台座175の傾斜面176に配設されており、該つまみ184が運転席170側に配置されると、操作ボール181を操作して運転席170に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62を移動させることが可能となる。また、つまみ184が助手席171側に配置されると、操作ボール182を操作して助手席171に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62を移動させることが可能となる。
上記のように構成された入力装置174は、運転席170と助手席171との間に配置されている。また、入力装置174においては、切替えスイッチ183によって、運転席170に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62及び助手席171に座る搭乗者に対する遮光制御を行うためのアイポジション想定点62のうち、いずれのアイポジション想定点62の移動を行うかが選択される。従って、一つの入力装置174で運転席170に座る搭乗者も助手席171に座る搭乗者もそれぞれに対応したアイポジション想定点62を移動させることができる。
尚、入力装置174においては、2つの操作ボール181,182の替わりに、台座175の上面に一つの操作ボールを配置して、1つの操作ボールにて運転席170に座る搭乗者及び助手席171に座る搭乗者のそれぞれに対応したアイポジション想定点62の位置を調整するようにしてもよい。また、2つの操作ボール181,182の替わりに、2つのタッチパッド、若しくは1つのタッチパッドを配設し、運転席170に座る搭乗者及び助手席171に座る搭乗者のそれぞれに対応したアイポジション想定点62の位置を調整するようにしてもよい。
○上記各実施形態において、車両用サンバイザ装置1にディスプレイを備えた構成とし、該ディスプレイにアイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aを表示して、搭乗者がディスプレイを見ながらアイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aの位置調節を行えるようにしてもよい。このように構成すると、アイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aと搭乗者のアイポジションPとを容易に合わせることができる。このように、車両用サンバイザ装置1がディスプレイを備える場合には、3次元マウスや、ペン型のポインティングデバイスを入力装置としてもよい。
また、車両用サンバイザ装置1に備えられるディスプレイは、タッチパネル(入力装置)を兼ねたディスプレイとしてもよい。この場合、左右方向から撮影した搭乗者の画像をディスプレイに表示させると共に、アイポジション許容範囲61を搭乗者の画像に重ねてディスプレイに表示させる。そして、ディスプレイに表示されたアイポジション許容範囲61内で、搭乗者の指等が所望の位置に接触すると、接触した位置にアイポジション想定点62が移動される。
○上記各実施形態では、コントローラ41は、不揮発性記憶装置42に記憶されたアイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aに基づき入射光の入射角度θに応じて制御マップをもとに遮光制御を行っている。しかしながら、コントローラ41は、制御マップを用いることなく遮光制御を行ってもよい。この場合、コントローラ41は、アイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aから、搭乗者の眩惑を防止するために必要な遮光量分だけ下方へ移動した遮光点Qを用いて遮光制御を行う(図4参照)。この遮光点Qは、前記サンバイザ本体10により遮光が行われる範囲の最下点として設定されている。図22は、車両2の前後方向をx軸とし、車両2の上下方向をy軸とする任意のx−y座標平面を示している。そして、このx−y座標平面において、搭乗者により設定されたアイポジション想定点をP1とし、アイポジション想定点P1に基づいて設定された遮光点Qの座標値を(x1,y1)とする。尚、アイポジション想定点P1は、上記各実施形態のアイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aに該当する点である。また、完全に後退された状態にあるサンバイザ本体10の先端位置Tの座標値を(x2,y2)とし、完全に進出された状態にあるサンバイザ本体10の先端位置Bの座標値を(x3,y3)とする。更に、入射角度θ1(上下方向の入射角度)の入射光が前記測定範囲Aに入射した場合に、搭乗者にとって最適な進出量となる位置まで進出された状態におけるサンバイザ本体10の先端位置Sの座標値を(x4,y4)とする。
サンバイザ本体10の先端位置Sは、サンバイザ本体10の先端が描く軌跡が直線となる場合には、サンバイザ本体10の先端位置の軌跡を表す直線Kと、遮光点Qを通ると共に入射光の入射角度θ1と等しく傾斜した直線L6との交点になると考えられる。そこで、まず、完全に後退されたサンバイザ本体10の先端位置T、最大に進出されたサンバイザ本体の先端位置B、及び最適な進出量となる位置まで進出されたサンバイザ本体10の先端位置Sの座標値を用いてサンバイザ本体10の先端位置の軌跡を表す直線Kを表すと、次式のようになる。
Figure 2006015983
また、遮光点Qを通ると共に入射光の入射角度θ1と等しく傾斜した直線L6は、遮光点Q、及び最適な進出量となる位置まで進出されたサンバイザ本体10の先端位置Sの座標値を用いると次式のように表される。
Figure 2006015983
そして、これら2つの式(1)(2)を解くと、最適な進出量となる位置まで進出されたサンバイザ本体の先端位置Sの座標値(x4,y4)が得られる(式(3)(4))。
Figure 2006015983
Figure 2006015983
従って、サンバイザ本体10の先端位置Sの座標値(x4,y4)は、変数である入射光の入射角度θ1及びアイポジション想定点P1に基づいて設定される遮光点Qの座標値(x1,y1)が決まると、式(3)(4)を用いることにより算出される。
コントローラ41は、アイポジション想定点P1に基づいて、搭乗者が必要とする遮光量だけ下方へ移動させた遮光点Qを求めると共に、遮光点Qの座標値(x1,y1)及び入射光の入射角度θ1に応じて、随時サンバイザ本体10が最適な進出量となるサンバイザ本体10の先端位置Sの座標値(x4,y4)を算出する。そして、コントローラ41は、サンバイザ本体10の先端位置Sの座標値(x4,y4)の位置にサンバイザ本体10の先端が配置されるように遮光制御を行う。尚、搭乗者が必要とする遮光量は、例えば、標準的な体格の搭乗者が必要とする遮光量とされる。標準的な体格の搭乗者が必要とする遮光量は実験的に求められる。そして、搭乗者が必要とする遮光量は、予め不揮発性記憶装置42に記憶されている。コントローラ41は、遮光点Qを求める際には、アイポジション想定点P1から不揮発性記憶装置42に記憶された遮光量分だけ下方へ移動した位置を遮光点Qとする。搭乗者が必要とする遮光量は、搭乗者毎に任意に設定可能としてもよい。
このように構成すると、僅かな入射角度θ1の変化、及び僅かなアイポジション想定点P1の位置変化が、サンバイザ本体10の進出量に反映される。そのため、コントローラ41は、より一層アイポジション想定点P1の位置に応じた遮光制御を行うことができる。また、上記各実施形態のように制御マップを用いてサンバイザ本体10の進出量が段階的に制御されるわけではないため、必要以上にサンバイザ本体10が進出されることが防止される。その結果、搭乗者は、サンバイザ本体10による遮光が行われている状態において、上記各実施形態と比べてより広い視界を得ることが可能となる。
尚、図22を用いて説明した上記の例では、サンバイザ本体10の先端位置の軌跡は、直線Kにより表されている。しかしながら、サンバイザ本体10の先端位置が曲線状の軌跡を描く場合も同様に遮光制御を行うことができる。即ち、完全に後退されたサンバイザ本体10の先端位置T、最大に進出されたサンバイザ本体10の先端位置B、及び最適な進出量となるサンバイザ本体10の先端位置等の座標値を用いて、サンバイザ本体10の先端が描く軌跡の曲線を求める。そして、コントローラ41は、当該曲線と、遮光点Qを通ると共に入射光の入射角度θ1と等しく傾斜した直線L6との交点を求め、その交点の位置にサンバイザ本体10の先端が配置されるように遮光制御を行えばよい。
○車両用サンバイザ装置は、搭乗者が手動でサンバイザ本体10の位置を調整するマニュアルモード、及び制御装置8がサンバイザ本体10の位置を調整するオートモードの何れか一方のモードでサンバイザ本体10の位置調整を行う構成であってもよい。例えば、図24に示す車両用サンバイザ装置200は操作入力部201を有しており、該操作入力部201は、自動/手動切替えスイッチ202、入力装置203、及び手動操作スイッチ204を備えて構成されている。
自動/手動切替えスイッチ202は、サンバイザ本体10の位置調整をマニュアルモード及びオートモードの何れのモードで行うかを選択するためのものである。自動/手動切替えスイッチ202はコントローラ41に電気的に接続されており、搭乗者によって操作されるとコントローラ41にオン/オフ信号を出力する。コントローラ41は、自動/手動切替えスイッチ202からオン信号が入力されると、オートモードにてサンバイザ本体10の位置調整を行う。一方、コントローラ41は、自動/手動切替えスイッチ202からオフ信号が入力されると、マニュアルモードにてサンバイザ本体10の位置調整を行う。
前記入力装置203はコントローラ41に電気的に接続されている。この入力装置203は、上記入力装置7,54,64,82,84,90,100,120,130,140,150,160,174と同様に、アイポジション想定点21a〜25a,52,62,71a〜75aを移動させるためのものである。
前記手動操作スイッチ204は、搭乗者が自身でサンバイザ本体10の進出量を調整するためのものである。手動操作スイッチ204は、コントローラ41に電気的に接続されており、搭乗者が手動操作スイッチ204を操作すると、サンバイザ本体10を進退させるための進退信号を制御装置8に出力する。コントローラ41は、進退信号が入力されると、該進退信号に応じてサンバイザ本体10を進退させる。
このように構成すると、搭乗者は、自動/手動切替えスイッチ202を操作することにより、サンバイザ本体10の位置の調整を、搭乗者自身及び制御装置8(コントローラ41)の何れで行うかを選択することが可能となる。従って、車両用サンバイザ装置200においては、制御装置8によるサンバイザ本体10の位置の調整を必要としない搭乗者(サングラスを利用する搭乗者等)、及び制御装置8によるサンバイザ本体10の位置の調整を望む搭乗者との両方の搭乗者の好みに応じてサンバイザ本体10の位置の調整が行われる。そして、例えば、入射光の上下方向の入射角度θに応じてサンバイザ本体10の位置を変更したくない場合に、搭乗者は、マニュアルモードを選択することによりサンバイザ本体10の入射角度θに応じた移動を停止させることができる。また、手動操作スイッチ204を操作することにより、搭乗者は、サンバイザ本体10を搭乗者が意図する任意の進出量とすることができる。
上記の操作入力部201は、例えば、図23に示すように構成される。操作入力部201は、サイドボックス15や、運転席のドア101のインナパネル102に固定されている。この操作入力部201は、略長方形状のパネル211を備えており、該パネル211には、スイッチ式の自動/手動切替えスイッチ202と、操作部としての操作スイッチ213,214とが配設されている。
操作スイッチ213,214は、図6(a)に示すアイポジション許容範囲51、図9に示すアイポジション許容範囲81等、線状のアイポジション許容範囲でアイポジション想定点52を移動させたり、手動でサンバイザ本体10を進退させたりする際に搭乗者によって操作される。この操作スイッチ213,214は、コントローラ41に電気的に接続されている。そして、操作スイッチ213,214は、自動/手動切替えスイッチ202からオン信号が出力されている場合には、入力装置203として機能される。即ち、コントローラ41は、操作スイッチ213,214から入力される信号を、アイポジション想定点52を移動させるための操作信号とする。一方、操作スイッチ213,214は、自動/手動切替えスイッチ202からオフ信号が出力されている場合には、手動操作スイッチ204として機能される。即ち、コントローラ41は、操作スイッチ213,214から入力される信号を、サンバイザ本体10を進退させるための進退信号とする。
上記のように操作入力部201を構成すると、搭乗者は、操作スイッチ213,214にてアイポジション想定点52を移動させるこができると共に、サンバイザ本体10の進出量の調整を行うことができる。従って、アイポジション想定点52を移動させるためのスイッチ(入力装置203)と、サンバイザ本体10を進退させるためのスイッチ(手動操作スイッチ204)との両方をそれぞれ配設した場合に比べて部品点数が減少され、製造コストの削減を図ることができる。
尚、操作入力部201は、図23に示す操作入力部201の構成に限らず、入力装置203と、手動操作スイッチ204との両方をそれぞれ配設した構成であってもよい。この場合、入力装置203は、線状のアイポジション許容範囲51,81上でアイポジション想定点52を移動させるものであってもよいし、長方形状、多角形状、円形状、及び楕円形状等、平面状のアイポジション許容範囲61内でアイポジション想定点62を移動させるものであってもよい。また、入力装置203は、アイポジション想定点21a〜25aを選択するものであってもよい。
○上記各実施形態では、受光センサ6は、フロントガラス12の車両室内側上端部において、搭乗者が着席するシート13の略正面に固定されているが、これに限らない。受光センサ6は、入射光の入射角度θを検出可能で、搭乗者の視界を遮らない場所、例えば、車室内において、ルームミラーの下端部よりも上方に固定されていてもよい。また、受光センサ6は、ダッシュボード、フロントピラー、ルームミラー14、及びサイドミラー等のいずれかの場所に固定されてもよい。更に、車両2の外部に固定されていてもよい。
上記各実施形態、及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、前記アイポジション想定点の位置が不揮発性記憶装置に記憶され、該不揮発性記憶装置に記憶された前記アイポジション想定点に基づいて遮光制御が行われることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
(ロ)前記(イ)に記載の車両用サンバイザ装置において、前記アイポジション想定点の位置と合わせて、ハンドルの位置、前記シートの前後位置、及び前記シートのシートバックのリクライニング位置のうち少なくとも一つが同時に前記不揮発性記憶装置に記憶され、前記ハンドルの位置、前記シートの前後位置、及び前記シートバックのリクライニング位置が記憶された位置に位置する場合には、合わせて記憶した前記アイポジション想定点に基づいて遮光制御が行われることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
(ハ)請求項1乃至請求項15、及び前記(イ)(ロ)のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、前記受光センサは、前記車室内において、ルームミラーの下端部よりも上方に固定されていることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
車両用サンバイザ装置を示す模式図。 車両用サンバイザ装置の構成を示すブロック図。 (a)は左右方向の測定範囲を示す図、(b)は上下方向の測定範囲を示す図。 標準的な体格の人のアイポジションを示す図。 (a)は第1実施形態の入力装置の正面図、(b)は第1実施形態のアイポジション想定範囲を示す概念図。 (a)は第2実施形態の入力装置の正面図、(b)は第2実施形態のアイポジション許容範囲を示す概念図。 (a)は第3実施形態の入力装置の正面図、(b)は第3実施形態のアイポジション許容範囲を示す概念図。 別の形態のアイポジション想定範囲を示す概念図。 別の形態のアイポジション許容範囲を示す概念図。 別の形態の入力装置を示す正面図。 別の形態の入力装置を示す正面図。 (a)は別の形態の入力装置を示す側面図、(b)は別の形態の入力装置を示す正面図。 別の形態の入力装置が配設された車両のドアを示す斜視図。 別の形態の入力装置を示す概念図。 別の形態の入力装置を示す正面図。 別の形態の入力装置を示す斜視図。 別の形態の入力装置を示す斜視図。 (a)は別の形態の入力装置を示す正面図、(b)は別の形態の入力装置を示す斜視図。 別の形態の入力装置を示す斜視図。 別の形態の入力装置の固定位置を示すための車両の概念図。 別の形態の入力装置を示す平面図。 別の形態の遮光制御の方法を説明するための概念図。 操作入力部を示す正面図。 別の形態の車両用サンバイザ装置の構成を示すブロック図。
符号の説明
2…車両、5…遮光装置、6…受光センサ、7,54,64,82,84,90,100,120,130,140,150,160,174,203…入力装置、8…制御装置、10…サンバイザ本体、13…シート、21〜25,71〜75…アイポジション許容範囲を構成するアイポジション想定範囲、21a〜25a,52,62,71a〜75a,P1…アイポジション想定点、31〜35,84a,84b…操作部としてのスイッチ、51,61,81…アイポジション許容範囲、54c,64b,82a,104,123,135…操作部、90…操作部としての操作レバー、101…シートに隣接する車室の側壁としての運転席のドア、110…円板部、111…溝、113…爪部、114…付勢部材としてのコイルばね、143…操作部としての操作スティック、154,181,182…操作部としての操作ボール、162…操作部としてのタッチパッド、170…運転席、171…助手席、183…切替えスイッチ、202…選択手段としての自動/手動切替えスイッチ、204…操作手段としての手動操作スイッチ、213,214…操作部及び操作手段としての操作スイッチ、θ,θ1…入射角度、K…サンバイザ本体の先端位置の軌跡を表す線としての直線、L6…遮光点を通り入射光の入射角度と等しく傾斜した直線、Q…遮光点、S…サンバイザ本体の先端位置。

Claims (15)

  1. 入射光を遮るために設けられるサンバイザ本体を有し、該サンバイザ本体を移動可能に支持する遮光装置と、
    搭乗者の視界を遮らない場所に配置され前記入射光の入射角度を検出するための入射光検出信号を出力する受光センサと、
    手動操作されることにより、アイポジション許容範囲内においてアイポジション想定点を移動させる入力装置と、
    前記入射光検出信号に基づいて前記入射光の入射角度を特定し、該入射角度及び前記アイポジション想定点に基づいて前記遮光装置により前記入射光を遮る遮光制御を行う制御装置と
    を備えた車両用サンバイザ装置。
  2. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記アイポジション想定点は、車両の前後方向において段階的に複数設定され、
    前記入力装置は、複数の前記アイポジション想定点のうちいずれかを指定する操作部の操作に応じて該アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  3. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、前記アイポジション想定点を車両の上下方向及び前後方向に移動させる操作部を有することを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  4. 請求項3に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、搭乗者が着席するシートに隣接する車室の側壁に配設されていることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、前記操作部の操作方向と前記アイポジション想定点の移動方向とを対応させて配設されていることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  6. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記アイポジション許容範囲は、線状であることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  7. 請求項6に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記アイポジション許容範囲は、車両の前後方向に延び、前端に比べて後端が上側に設定された直線であることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  8. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、正方向及び逆方向に回転される操作部を備え、前記操作部の回転方向及び回転量に応じて前記アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  9. 請求項8に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、
    外周面に周方向に等角度間隔に形成された複数の溝を有し前記操作部と一体回転する円板部と、
    付勢部材によって前記溝と係合するように付勢され、前記操作部の回転に伴って、係合される溝が順次隣接する溝へと切り換えられる爪部と
    を備えていることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  10. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、全方向に回転される操作部を備え、前記操作部の回転方向及び回転量に応じて前記アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  11. 請求項1に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、タッチパッドにおける接触位置及び前記接触位置の変化を検出し、検出した前記接触位置及び前記接触位置の変化に基づいて前記アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  12. 請求項6又は請求項7に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記入力装置は、前記アイポジション許容範囲と同様の軌跡を描くように移動される操作部を備え、前記操作部の移動量に応じて前記アイポジション想定点を移動させることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  13. 請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記遮光装置は、運転席に座る搭乗者と助手席に座る搭乗者との両者に対応して設けられ、
    前記入力装置は、前記運転席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点及び前記助手席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点を移動させる操作部と、前記運転席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点及び前記助手席に座る搭乗者に対する遮光制御を行うための前記アイポジション想定点のうち、いずれの前記アイポジション想定点を前記操作部にて移動させるかを選択するための切替えスイッチとを備え、前記運転席と前記助手席との間に配置されていることを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、
    前記制御装置は、前記サンバイザ本体の先端位置の軌跡を表す線と、前記搭乗者が必要とする遮光量分だけ前記アイポジション想定点から下方に移動した遮光点を通り前記入射光の入射角度に等しく傾斜した直線との交点の位置に前記サンバイザ本体の先端が配置されるように前記サンバイザ本体を移動させて前記遮光制御を行うことを特徴とする車両用サンバイザ装置。
  15. 請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の車両用サンバイザ装置において、
    搭乗者が前記サンバイザ本体の位置を調整するマニュアルモード、及び前記制御装置が前記サンバイザ本体の位置を調整するオートモードの何れか一方を選択するための選択手段と、前記搭乗者によって操作されると前記サンバイザ本体を進退させるための進退信号を出力する操作手段とを備え、
    前記制御装置は、前記マニュアルモードが選択されている場合には前記進退信号に応じて前記サンバイザ本体を進退させ、前記オートモードが選択されている場合には前記アイポジション想定点に応じて遮光制御を行うことを特徴とする車両用サンバイザ装置。
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