JP2006015775A - 自動車用ガラスラン - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドアガラスの上昇時にドアガラスの先端を安定させて、シール性と美観を向上させることを目的とする。
【解決手段】 ガラスラン10は、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とからなる断面略U字形をなし、底壁40は、底壁中央部41と、底壁中央部の幅方向の両端に設けられた底壁車外側脚部42及び底壁車内側脚部43とからなり、底壁40は、底壁中央部41と、底壁中央部の幅方向の両端に底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43を一体的に形成し、底壁中央部41は、車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成され、底壁中央部41が断面略U字形の開口方向に凸状に湾曲形成されたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車のドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランに関するものである。
図3に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周にドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。その従来の取付構造を図4に示す。
図4は、図3におけるA−A線に沿った断面図である。
従来、ガラスラン110は、図3に示すように、ドアフレーム2のチャンネル3内に取付けられて、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。さらに、ガラスラン110は、押出成形により成形された直線状の直線部111からなるドア1の上辺部とフロント側縦辺部及びリヤ側縦辺部を、ドアフレーム2の形状に合わせて型形成するコーナー部112で接続している。
なお、ドア1と車体との間のシールは、ドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ108および/または車体の開口部のフランジに取付けられたオープニングトリムウエザストリップ109によりなされている。
ガラスラン110は、図4に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略U字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ126が上記断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ136が断面略U字状の内側に向けて延出するように設けられている。さらに、車外側側壁120の車外側の外面の先端付近から車外側側壁120と平行に底壁140方向に車外側カバーリップ124が延設され、車内側側壁130の車内側の外面の先端付近から車内側側壁130と平行に底壁140方向に車内側カバーリップ134が延設されている。
車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140はドアフレーム2に設けられたチャンネル3内に挿入され、各壁の外面がチャンネル3の内面に当接される。車外側側壁120と車外側カバーリップ124の間にドアフレーム2のアウターパネル2cの先端部が挿入され、車内側側壁130と車内側カバーリップ134の間にインナーパネル2dの先端部が挿入され、ガラスラン110を保持している。
ドアガラス5は、このガラスラン110の断面略U字状の内側を摺動するとともに、上記車外側シールリップ126と車内側シールリップ136によってガラスラン110の端部の両側面がシールされて保持されている。
ドアガラス5を閉じるとき、パワーウインドのドアガラス5がドアフレーム2内を上昇し、ドアガラス5の上端がドアフレーム2の上辺に装着したガラスラン110内に挿入され、底壁140に当る。このとき、ドアガラス5の上昇の動きを完全には吸収することができず、ドアガラス5の先端が底壁140及びチャンネル3と当り、衝撃音を生ずるため、快適性を損なうこととなる。また、ドアガラス5の先端が底壁140に当たったときに、底壁140の変形が安定せず、ドアガラス5の先端がガラスラン110内でズレて、シールリップ126、136が変形し、シール性が低下する場合があった。
このため、底壁140にその衝撃を吸収するように、中空部を設けたり、スポンジを取付けることが行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、底壁140に中空部を設けるためには、中空押出成形をする必要があるが、押出成形時に中空部分を同時に整形すると、押出速度を上げることが難しく、生産性がよくない。また、スポンジを取付ける場合は、スポンジを別に製造して、底壁140に接着したり、異なる材料を同時に押出して、加硫することとなり手間がかかり、コストアップとなっていた。
また、ガラスラン110の内部の底壁140付近にリップを設け、ドアガラス5の先端をそのリップに当てて衝撃を吸収することも試みられている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この場合は、長時間使用するとリップが永久変形を起こして、衝撃吸収効果が低下する恐れがある。
また、図5に示すように、ガラスラン110の底壁140を略舟底型に形成して、ドアガラス5の衝撃を吸収することも行われている(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、この場合に、略舟底型に隆起して形成された底壁140の部分は、底壁140の両側端が屈曲しており、ドアガラス5の厚さと略同じ幅であり、ドアガラス5が車幅方向に振動したり、組み付けがバラツクと、舟底型の部分からドアガラス5の先端が外れ、充分に衝撃を吸収することができない。また、ドアガラス5の先端が舟底型の側端の部分に当たったときに、底壁140が変形して、車外側シールリップ150と車内側シールリップ160の先端がドアガラス5と確実に当接しなくなる。さらに、ドアガラス5の先端が略舟底型に隆起して形成された底壁140に当接して押し込むと、ガラスラン110の側壁等が引っ張られて、ガラスラン110の内部に倒れこむ。このため、ドアガラス5との間のシール性が低下したり、見栄えがよくなかった。
特開昭60−213524号公報 実開昭62−413号公報 特開2002−187432号公報 特開2000−190737号公報
このため、本発明は、ドアガラスの上昇時にドアガラスの先端を安定させて、シール性と美観を向上させることが必要であった。
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランにおいて、
ガラスランは、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、
底壁は、底壁中央部と、底壁中央部の幅方向の両端に底壁車外側脚部と底壁車内側脚部を一体的に形成し、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部のそれぞれの一方の端から底壁中央部の側端が屈曲して連続し、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の他方の端はそれぞれ車外側側壁の付け根部及び上記車内側側壁の付け根部と連続し、底壁中央部は、車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成され、底壁中央部が断面略U字形の開口方向に凸状に湾曲形成されたことを特徴とする自動車用ガラスランである。
請求項1の本発明では、ガラスランは、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールした。
そのため、ドア閉時に、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字状のガラスランの内側にドアガラスの先端を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの両側先端の車外側面および車内側面をシールするようにしたため、ドアガラスの昇降に応じて、シールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
底壁は、底壁中央部と、底壁中央部の幅方向の両端に底壁車外側脚部と底壁車内側脚部を一体的に形成している。このため、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部により、ガラスランの各壁を一体的に連続し断面略U字形に形成することができ、ガラスランをチャンネルに装着したときに、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部が車外側側壁と車内側側壁の下端と連続した部分が、ドアフレームのチャンネルに当接して、底壁中央部を保持することができる。
底壁車外側脚部と底壁車内側脚部のそれぞれの一方の端から底壁中央部の側端が屈曲して連続し、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の他方の端はそれぞれ車外側側壁の付け根部及び上記車内側側壁の付け根部と連続している。このため、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部で底壁中央部を支えることができ、底壁中央部とチャンネルの間に空間を設けることができる。
また、底壁中央部は、車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成されるため、底壁の車内側の剛性が高く、ドアガラスの先端が底壁に当接したときに、車外側と比べて変形しにくく、ドアガラスの先端が車内側に変位することがない。
底壁中央部が断面略U字形の開口方向に凸状に湾曲形成されたため、底壁とチャンネルの間の空間が広くなり、ドアガラスの先端が底壁中央部に当接したときに底壁中央部が撓む寸法を大きくすることができ、衝撃を吸収することができる。
請求項2の本発明は、底壁中央部の凸状は、ドアガラスに対して車内側が略水平で、車外側が上方に傾斜するように底壁中央部の中心付近で屈曲する自動車用ガラスランである。
請求項2の本発明では、ガラスランの底壁中央部は、ドアガラスに対して車内側が略水平で、車外側が上方に傾斜するように底壁中央部の中心付近で屈曲する。このため、ドアガラスが上昇して、ドアガラスの先端がガラスランの底壁中央部に当接したときに、底壁中央部の車外側の上方に傾斜する面に沿ってドアガラスの先端は車外側に変位して、ガラスランの車外側シールリップとドアガラスを密着させることができる。このため、車外側シールリップが確実にドアガラスに当接して、ドアガラスとガラスランとの間のシール性を向上させることができる。
また、ドアガラスが車外側に変位するため、ドアガラスとドアフレームの段差を少なくすることができる。また、車内側シールリップが車外側シールリップと比べて大きく形成されているので、車内側シールリップの方が撓む余地が大きく、ドアガラスが車外側に変位する方が車内側シールリップの先端がドアガラスに追従しやすく、シール性を確保することができる。
請求項3の本発明は、底壁車内側脚部と底壁中央部の屈曲して連続した外面に切欠部が設けられた自動車用ガラスランである。
請求項3の本発明では、底壁車内側脚部と底壁中央部の屈曲して連続した外面に切欠部が設けられたため、底壁中央部の車内側を厚肉に形成しても、切欠部で屈曲して底壁車内側脚部が車内側側壁に密着して押すことができるとともに、ドアガラスの先端が底壁中央部を押したときに、底壁車内側脚部と底壁中央部が容易に屈曲することができる。このため、底壁中央部の車内側は、切欠部で撓み、底壁中央部の車外側の部分で変形してシールすることができる。
請求項4の本発明は、ドアフレームに取付けられたときに、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の両側壁に対向する側面は平面状に形成され、それぞれ車外側側壁と車内側側壁の内面の付け根部に当接した自動車用ガラスランである。
請求項4の本発明では、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部は、車外側側壁と車内側側壁の内面と対抗する側面が平面である。そのため、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部は、ガラスランがドアフレームに取付けられたときに、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の平面状の側面は、それぞれ車外側側壁と車内側側壁の内面の根元部に当接して密着する。そして、ドアガラスの先端が底壁中央部を押したときに、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部は、車外側側壁と車内側側壁を支えて、ガラスランの内部方向に車外側側壁と車内側側壁が倒れるのを防止することができる。そのため、車外側シールリップと車内側シールリップの先端がガラスランの所定の位置に確実に当接して、ドアガラスとガラスランの間をシールすることができる。
また、車外側側壁及び車内側側壁とドアフレームの側壁との間に隙間が生じることがなく、美観に優れているとともにガラスランとドアフレームとの間を確実にシールすることができる。
請求項5の本発明は、車外側側壁と車外側シールリップは、車内側側壁と車内側シールリップと比べてそれぞれ小さく形成されている自動車用ガラスランである。
請求項5の本発明では、車外側側壁と車外側シールリップは、車内側側壁と車内側シールリップと比べてそれぞれ小さく形成されているため、ドアガラスをガラスランの内部で車外側に位置させることができ、ドアフレームとドアガラスの段差を少なくすることができ、風切り音等を減少させることができる。
請求項6の本発明は、底壁の底壁中央部は、ドアガラスと対向する内面側が平坦又はなだらかな湾曲面で形成され、外面側を略V字状の傾斜面とすることにより、その肉厚を車内側が車外側よりも厚くなるように形成された自動車用ガラスランである。
請求項6の本発明では、底壁の底壁中央部は、ドアガラスと対向する内面側が平坦又はなだらかな湾曲面で形成され、外面側を略V字状の傾斜面とすることにより、その肉厚を車内側が車外側よりも厚くなるように形成している。このため、ドアガラスが上昇して、ドアガラスの先端がガラスランの底壁中央部に当接したときに、車内側の剛性が大きくドアガラスと対向する内面に沿って車外側に変位してガラスランの車外側シールリップとドアガラスを密着させることができる。従って、上記と同様に、車外側シールリップが確実にドアガラスに当接して、ドアガラスとガラスランとの間のシール性を向上させることができる。
本発明は、底壁中央部は両側端が、底壁車外側脚部と底壁車内側脚部のそれぞれの上端と屈曲して連続している。このため、底壁中央部を支えて、底壁中央部とチャンネルの間に空間を設けることができる。また、底壁中央部は、車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成されるため、ドアガラスの先端が底壁に当接したときに、車外側と比べて変形しにくく、ドアガラスの先端が車内側に変位することがない。底壁中央部が断面略U字形の開口方向に凸状に湾曲し形成されたため、底壁とチャンネルの間の空間が広くなり、ドアガラスの先端が底壁中央部に当接したときに底壁中央部が撓む寸法を大きくすることができ、衝撃を吸収することができる。
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づき説明する。
図3は自動車のドア1の側面図である。図1は、ドアフレーム2における断面図であり、図3のA−A線に沿った部分の断面図である。図2は、ドアガラス5が上昇してガラスラン10の内部にドアガラス5が挿入したときの断面図である。
図3に示すように、自動車のドア1のベルトラインより上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。即ち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
ガラスラン10は、全体として押出成形で形成された略直線状の直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部に取付けられ、その直線部11を接続し型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺に取付けられる部分と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に取付けられる部分と、ドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられる部分とからなる。直線部11が装着されるドアフレーム2には、ガラスラン10を装着する断面略U字形のチャンネル3が設けられている。チャンネル3はドアフレーム2の先端を断面略U字形に折り曲げて形成してもよい。
ガラスラン10の直線部11は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる部分も縦辺部に取付けられる部分も基本的には、ほぼ同様な断面略U字形の断面形状を有している。
ドアフレーム2のコーナー部においては、ドアフレーム2に対応した形状となるように、型成形によりガラスラン10のコーナー部12を成形すると同時に直線部11をそのコーナー部12で接続して形成しており、直線部11と略同じ断面形状になるようドアフレーム2のコーナー部2bに装着される部分となる。
ドアフレーム2の上辺に取付けられるガラスラン10の直線部11の断面形状は、図1に示すように、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とから断面略U字状に形成されている。
車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ26が上記断面略U字状の内側に向けて延設されている。また、車外側カバーリップ24が車外側側壁20の先端外面からドアフレーム2のアウターパネル2cの先端をカバーするように延設されている。車内側側壁30の先端から車内側シールリップ36が上記断面略U字状の内側に向けて延設されており、また、車内側カバーリップ34が車内側側壁30の先端外面からインナーパネル2dの端面方向に延設され、インナーパネル2dの屈曲部分をカバーしている。
車外側シールリップ26と車内側シールリップ36の先端がドアガラス5の先端に当接して、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールする。
車外側側壁20の底壁40との連結部分に近い根元部の外面に、車外側保持リップ22が設けられている。この車外側保持リップ22は、ドアフレーム2に設けられたガラスラン10を装着する断面略U字形のチャンネル3の車外側側壁の段部に係止されて、ガラスラン10がチャンネル3から外れることを防止することができるとともに、ドアフレーム2のチャンネル3の車外側側壁の内面とガラスラン10との間をシールしている。
車外側側壁20と車外側シールリップ26は、車内側側壁30と車内側シールリップ36よりもそれぞれ小さく、シールリップは、車外側シールリップ50の方が小さく斜めに延びて薄肉に形成される。このため、ドアガラス5をガラスラン10内で車外側に位置させることができ、ドアガラス5とドアフレーム2との段差を少なくすることができる。従って、空気抵抗や風切音の発生が減少し、デザイン的にも好ましい。
車外側側壁20と同様に、車内側側壁30の外面から車内側保持リップ32が延設されている。チャンネル3の車内側側壁にガラスラン10の車内側側壁30が取付けられたときに、チャンネル3の車内側側壁が段部を有しているため、車内側保持リップ32がその段部に係止されて、ガラスラン10の車内側側壁30がチャンネル3から外れることを防止することができる。また、車内側保持リップ32は、チャンネル3に当接して、ガラスラン10を保持するとともにチャンネル3とガラスラン10との間をシールしている。
車内側側壁30の内面の略中央部には、車内側サブリップ38が、車内側シールリップ36と平行に斜めに延設されている。ドアガラス5がガラスラン10の内部に侵入して、車内側シールリップ36が車内方向に撓んだときに、車内側サブリップ38に車内側シールリップ36の先端が当接して、車内側シールリップ36が過度に屈曲しないようにすることができる。
この車外側シールリップ26と車内側シールリップ36のドアガラス5が当接する表面には、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等の低摺動部材が塗布されている。このため、ドアガラス5がガラスラン10内を摺動するときに、その摺動抵抗を減少させることができ、ガラスランのずれを防止することができる。
また、車外側側壁20の内面と車外側シールリップ26の裏面にウレタン樹脂等の低摺動部材を貼付してもよい。この場合車外側シールリップ26と車外側側壁20との密着を防止できる。
底壁40は、断面略U字形の内面には、シールリップ26、36と同様にウレタン樹脂等の低摺動部材が塗布されている。このため、ドアガラス5との摺動抵抗を減少させることができる。
ガラスラン10の底壁40は、中央部の底壁中央部41と、底壁中央部41の幅方向の両端に設けられた底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43より構成される。
底壁中央部41は、断面が板状で中央部がガラスラン10の開口方向に向かって凸状に湾曲して形成される。
底壁車外側脚部42の一方の端が、車外側側壁20の根元部と連続して形成され、車外側側壁20との連続部分では、薄肉の底壁溝部46が形成されている。このため、ガラスラン10の押出成形時には断面略U字形が開いた状態で成形し、装着時には薄肉の底壁溝部46が容易に屈曲して断面略U字形にすることができる。この底壁溝部46により、ガラスラン10がチャンネル3に装着されたときに、車外側側壁20と底壁車外側脚部42は、ヘヤピン状に屈曲して、底壁車外側脚部42は、車外側側壁20の根元部と並行して位置する。
底壁車外側脚部42の車外側側壁20と向かい合う面は略平面状に形成されて互いに密着している。このため、図2に示すように、ドアガラス5の先端がガラスラン10の内部に侵入し、ドアガラス5の先端が底壁中央部41を押したときに、底壁車外側脚部42の平面が車外側側壁20の内面を押さえて、車外側側壁20がガラスラン5の断面略U字形の内側に倒れることを防止することができる。
また、底壁車外側脚部42の他方の先端は、車外側側壁20の内面に沿って平行に突出する底壁車外側脚部突部42bを有する。このため、底壁車外側脚部突部42bが車外側側壁20の内面の中心近くまで支えることができ、底壁車外側脚部42が車外側側壁20の内面を支える面積が大きく、底壁車外側脚部突部42bの先端で車外側側壁20の内面を押すことができ、ドアガラス5が底壁中央部41を押したときに、車外側側壁20が倒れるのを確実に防止することができる。
底壁車内側脚部43も、底壁車外側脚部42と同様に、底壁車内側脚部43の一方の端が、車内側側壁30の根元部と連続して形成され、車内側側壁30との連続部分では、薄肉の底壁溝部47が形成されている。このため、ガラスラン10の押出成形時には断面略U字形が開いた状態で成形し、チャンネル3への装着時には薄肉の底壁溝部47が容易に屈曲することができる。この底壁溝部47により、ガラスラン10がチャンネル3に装着されたときに、底壁車内側脚部43がヘヤピン状に屈曲して車内側側壁30の根元部と並行して位置する。
さらに同様に、底壁車内側脚部43の車内側側壁30と対向する面は略平面状に形成されている。このため、底壁車内側脚部43の平面が車内側側壁30の内面を押さえて、車内側側壁30がガラスラン5の断面略U字形の内側に倒れることを防止することができる。
また、底壁車内側脚部43の先端は、車内側側壁30の内面に沿って平行に突出する底壁車内側脚部突部43bを有する。このため、底壁車内側脚部突部43bが車内側側壁30の内面の中心近くまで支えることができ、底壁車内側脚部43が車内側側壁30と車内側側壁の内面を支える面積が大きく、車内側側壁30が倒れるのを確実に防止することができる。
底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43のそれぞれの他方の端から底壁中央部41が横方向に屈曲して形成されている。また、上記のように底壁中央部41は、断面が板状で中央部がガラスラン10の開口方向に向かって凸状に湾曲して形成される。ガラスラン10がドアフレーム2のチャンネル3に装着されたときに、底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43の先端がチャンネル3に当接する。
底壁中央部41は、その両側端から底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43の上端がそれぞれ屈曲して連続している。このため、底壁車外側脚部42と底壁車内側脚部43が底壁中央部41を支えるようになり、底壁中央部41とチャンネル3の間に空間を設けることができる。この空間によりドアガラス5の先端が底壁中央部41を押したときに底壁中央部41が撓んで、ドアガラス5の上昇する力を吸収することができる。
また、底壁中央部41は、その中心付近で屈曲して形成されており、ドアガラス5の上昇方向に対して車内側が略水平で、車外側が上方に傾斜するように形成されている。そして底壁中央部41の車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成されている。そのため、底壁中央部41の車内側の剛性が高く、ドアガラス5の先端が底壁中央部41に当接したときに、車外側と比べて車内側は変形しにくく、ドアガラス5の先端が車内側に変位することがない。
なお、底壁中央部41の形状は、ドアガラス5と対向する内面側が平坦又はなだらかな湾曲面で形成され、外面側を略V字状の傾斜面とすることにより、その肉厚を車内側が車外側よりも厚くなるように形成することができる。この場合も上記本実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
この底壁中央部41の裏面とドアフレーム2のチャンネル3の間隔は、底壁中央部41の肉厚よりも大きく形成することが好ましい。間隔を大きく形成すると、ドアガラス5が上昇してその先端がガラスラン10の底壁40を押したときに底壁40の底壁中央部41が充分撓むことができ、ドアガラス5が上昇したときの衝撃を吸収することができ、衝撃音等の発生を防止することができる。
ドアガラス5とドアフレーム2の段差を少なくするため、ドアガラス5が車外側に変位することが好ましい。
そこで、底壁40の底壁中央部41の内面は車外側が車内側と比べて、上方になるように傾斜してドアフレーム2のチャンネル3の上辺に装着される。このため、図2に示すように、ドアガラス5が上昇してその先端が底壁中央部41を押したときに、ドアガラス5の先端は底壁中央部41の内面を摺動して、車外側に変位することができ、ガラスラン10の車外側シールリップ26とドアガラス5を密着させることができ、ドアガラス5とガラスラン10との間のシール性を向上させることができる。また、ドアガラス5とドアフレーム2との間の段差を小さくすることができる。
また、車内側シールリップ36が車外側シールリップ26と比べて大きく形成されているので、車内側シールリップ60野方が車外側シールリップ50と比べて変形量を大きくすることができ、ドアガラス5が車外側に変位する方が車内側シールリップ36がドアガラス5に追従しやすく、シール性を確保することができる。
底壁車内側脚部43が底壁中央部41と屈曲して連続した部分の外面には、切欠部48が設けられている。このため、底壁中央部41の車内側を剛性を高くするために厚肉に形成しても、ドアガラス5の先端が底壁中央部41を押したときに、底壁車内側脚部43と底壁中央部41は、切欠部48を中心に容易に屈曲することができる。このため、底壁中央部41の車内側は、切欠部48で撓み、底壁車内側脚部43が車内側側壁30から離れることがなく、底壁中央部41の車外側の部分で変形してシールすることができる。
ガラスラン10の成形においては、直線部11とコーナー部12の成形材料はいずれも、ソリッド材が使用され、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
直線部11の成形は、押出成形機により直線状に成形した後に、所定寸法に切断される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、加硫せずに冷却され固化される。
次に、コーナー部12を形成する型成形部分の成形は、上記により所定寸法に切断された直線部11の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用して加硫接着をすることができるため、一体的に固着する。なお、押出成形部分を合成ゴムで形成した場合は、型成形部分を熱可塑性エラストマーで形成することもできる。
本発明の実施の形態であるガラスランの断面図であり、図3のA−A線に沿った部分の断面図である。 本発明の実施の形態であるガラスランの断面図であり、ドアガラスの先端がガラスラン内に挿入された状態を示す。 自動車ドアの側面図である。 従来のドアフレームに取付けられたガラスランの断面図であり、図3のA−A線に沿った部分の断面図である。 従来のガラスランの断面図である。
符号の説明
2 ドアフレーム
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 直線部
12 コーナー部
20 車外側側壁
30 車内側側壁
40 底壁
41 底壁中央部
42 底壁車外側脚部
43 底壁車内側脚部
48 切欠部

Claims (6)

  1. 自動車のドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランにおいて、
    上記ガラスランは、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略U字形をなし、上記車外側側壁と車内側側壁の先端から、それぞれ上記断面略U字状の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、該車外側シールリップと車内側シールリップにより上記ドアガラスの両側端部の車外側面及び車内側面をシールし、
    上記底壁は、底壁中央部と、該底壁中央部の幅方向の両端に底壁車外側脚部と底壁車内側脚部を一体的に形成し、上記底壁車外側脚部と底壁車内側脚部のそれぞれの一方の端から上記底壁中央部の側端が屈曲して連続し、上記底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の他方の端はそれぞれ上記車外側側壁の付け根部及び上記車内側側壁の付け根部と連続し、
    該底壁中央部は、車内側の肉厚が車外側の肉厚よりも厚く形成され、底壁中央部が断面略U字形の開口方向に凸状に湾曲形成されたことを特徴とする自動車用ガラスラン。
  2. 上記底壁中央部の凸状は、ドアガラスに対して車内側が略水平で、車外側が上方に傾斜するように上記底壁中央部の中心付近で屈曲する請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
  3. 上記底壁車内側脚部と上記底壁中央部の屈曲して連続した外面に切欠部が設けられた請求項1又は請求項2に記載の自動車用ガラスラン。
  4. 上記底壁車外側脚部と底壁車内側脚部の両側壁に対向する側面は、平面状に形成され、上記ドアフレームに取付けられたときに、それぞれ上記車外側側壁と車内側側壁の内面の付け根部に当接した請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動車用ガラスラン。
  5. 上記車外側側壁と車外側シールリップは、上記車内側側壁と上記車内側シールリップと比べてそれぞれ小さく形成されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動車用ガラスラン。
  6. 上記底壁の底壁中央部は、上記ドアガラスと対向する内面側が平坦又はなだらかな湾曲面で形成され、外面側を略V字状の傾斜面とすることにより、その肉厚を車内側が車外側よりも厚くなるように形成された請求項1及び請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の自動車用ガラスラン。
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