JP2006012317A - 光情報記録担体および光情報記録・再生方法 - Google Patents

光情報記録担体および光情報記録・再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 安価でかつ保存安定性に優れ、特に、湿度変化に対して光情報記録担体に反りや歪みが生じることなく、記録・再生を良好に行うことのできる光情報記録担体を提供すること。
【解決手段】 支持体1上に記録層2および透光層3を具備する光情報記録担体であって、該支持体1との吸湿膨張係数の差が10ppm/%RH以上であるプラスチックフィルム5を該透光層3に有し、かつ該プラスチックフィルム5上に直接または他の層を介して防湿層6を有する光情報記録担体とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学的手段により記録・再生が可能な光情報記録担体に関し、特に光学的手段によって再生を行うことのできる光情報記録担体に関する。
従来、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録担体として、CD−Rと称される記録担体が広く知られている。CD−Rは、市販のCDプレーヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近ではパーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。また、CD−Rより大容量の記録が可能な情報記録担体として、デジタル・ハイビジョンの録画などに対応するための追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD−R)も実用化されている。
これら追記型光情報記録担体としては、例えば、円盤状支持体上に、Auなどからなる光反射層と、有機化合物からなる記録層と、更に、該記録層を保護する透光層(記録層と接着させるための接着層を含む。カバー層ともいう。)とが順次積層された構造のものが知られており、レーザ光が透光層側から照射されることで、記録及び再生を行うことができる。追記型光情報記録担体への情報の記録は、記録層のレーザ光照射部分がその光を吸収して局所的に発熱変形(例えば、ピットなどの生成)することにより行われる。一方、情報の再生は、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を追記型光情報記録担体に照射して、記録層が発熱変形した部位(記録部分)と変形していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の光情報記録担体が必要とされている。上記のDVD−Rは現状では大容量の記録担体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録担体の開発も必要である。このため、光情報記録担体としては、更に、短波長の光で高密度の記録を行うことができる、より大容量の記録担体の開発が進められている。特に、1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録担体は、大容量の情報の長期保存又はバックアップ用としての使用頻度が高まりつつあるため、その開発に対する要求は強い。
通常、光情報記録担体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、ピックアップに使用する対物レンズの高NA(開口数(Numerical Aperture))化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長350nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録担体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録担体及び光記録システムは、既に、DVRシステムとして発表されている(例えば、非特許文献1参照)。これにより、書換型光情報記録担体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録担体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射する情報記録担体表面から記録層まで(すなわち透光層)を薄化することが好ましい。このため規格上、透光層の厚みは100μmに設定されている。
また、温度や湿度等の環境の変化によるディスクの反りや歪みが生じるため、かかる光記録記録担体の支持体と透光層を構成する基材フィルムに、互いに同一若しくは非常に近い熱/湿度膨張係数を有するものを用いることは、当該技術分野において周知事項となっているが、かかる支持体および透光層の基材フィルムを用いたとしても、ディスクの反りや歪みの問題を完全に回避することはできず、これを改善する提案が多数なされている。
例えば、特許文献1〜3には、透光層を有しない支持体の裏側に防湿層を設けることにより、支持体への透水量を抑制する方法が開示されている。
しかしながら、ここで検討されている流延によって作製されたポリカーボネートフィルムは非常に高価であり、この光ディスクのコストを引き上げる大きな要因となっており、さらに、該フィルムは弾性率が低く、鉛筆硬度に代表される垂直方向に加えた力に対する充分な耐擦傷性を得ることが難しい。
また、特許文献4には、支持体に低吸水性のポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等の樹脂を用いることにより上記反りや歪みの欠点を改善した情報記録担体が記載されているが、透光層も支持体と同質の材料から構成されるため、依然としてコスト的な問題等が残っているのが現状である。
さらに、特許文献5には、セルロース酢酸エステルフィルムと接着剤層よりなるカバー層を搭載した情報記録担体が開示されている。しかしながら、この方法では鉛筆硬度に代表される垂直方向に加えた力に対する表面の耐擦傷性はある程度改良できるものの、スチールウール試験などで評価される水平方向に掛かる表面の傷に対する耐性が低い上、セルロース酢酸エステルは吸湿膨張係数が高く、基板のポリカーボネートとの吸湿膨張係数差に起因する湿度変化に対する反りの問題が何ら解決されていない。
実開平5−033319号公報 国際公開第99/00794号パンフレット 特開2001−143325号公報 特開2003−077181号公報 特開2002−170280号公報 光メモリー国際シンポジウム(ISOM2000)予稿集,p.210−211
本発明は、光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体において、安価でかつ保存安定性に優れ、特に、湿度変化に対して光情報記録担体に反りや歪みが生じることなく、記録・再生を良好に行うことのできる光情報記録担体を提供することを目的とする。また、本発明は、光入射表面の傷発生が効果的に防止され、保存安定性にも優れた光情報記録担体を提供することも目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明者らが鋭意検討を行った結果、従来、光情報記録担体の透光層の基材フィルムとしては適当でないと考えられていた、支持体との吸湿膨張係数の差が10ppm/%RH以上フィルムを用い、さらに該フィルム上に防湿層を設けることにより、上記目的を達成することができることが判った。
即ち、本発明は、下記構成の光情報記録担体及びこれを用いた光情報記録方法乃至再生方法である。
1.支持体上に記録層および透光層を具備する光情報記録担体であって、該支持体との吸湿膨張係数の差が10ppm/%RH以上であるプラスチックフィルムを該透光層に有し、かつ該プラスチックフィルム上に直接または他の層を介して防湿層を有することを特徴とする光情報記録担体。
2.前記防湿層の水蒸気透過度が、5g/m2・日未満であることを特徴とする前記1に記載の光情報記録担体。
3.前記透光層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の光情報記録担体。
4.350nm以上500nm以下の波長を有する光により記録されることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の光情報記録担体。
5.前記透光層のプラスチックフィルム基材が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の光情報記録担体。
6.前記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数が、25〜70ppm/%RHであることを特徴とする前記5に記載の光情報記録担体。
7.前記透光層のプラスチックフィルム基材が、(A)過酸化物分解剤、(B)ラジカル連鎖禁止剤、(C)金属不活性化剤、及び(D)酸捕獲剤から選択される少なくとも1種の劣化防止剤を含有するセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の光情報記録担体。
8.前記支持体が、ポリカーボネートを含有する材料からなることを特徴とする前記1〜7のいずれかに記載の光情報記録担体。
9.前記支持体の裏面に防湿層が形成されていることを特徴とする前記1〜8のいずれかに記載の光情報記録担体。
10.前記支持体の吸湿膨張係数が12ppm/%RH以下であることを特徴とする前記1〜9のいずれかに記載の光情報記録担体。
11.前記透光層の表面側に、活性エネルギー線硬化樹脂を含む硬化被膜が存在することを特徴とする前記1〜10のいずれかに記載の光情報記録担体。
12.前記硬化被膜中に平均粒径5nm以上200nm以下の無機微粒子が含まれることを特徴とする前記11に記載の光情報記録担体。
13.前記透光層側表面の鉛筆硬度が、H以上であることを特徴とする前記11〜12のいずれかに記載の光情報記録担体。
14.1〜13のいずれかに記載の光情報記録担体を、350nm以上450nm以下の波長を有する光を用いて記録および/または読みとりを行うことを特徴とする、光情報記録方法または光情報再生方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、高温高湿下においても平面性が悪化せず、良好な記録・再生能を有する情報記録担体を提供することができる。また、表面への傷や汚れのつきが防止され、保存安定性に優れた情報記録担体を提供することができる。本発明の情報記録担体は、特に、青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに有効である。
以下、本発明の情報記録担体について更に詳述する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明の情報記録担体は、光学的手段によって情報信号を再生可能な情報記録担体である。本発明の情報記録担体の基本的な構成は、支持体と、支持体上に形成され情報信号を記録可能な記録層と、記録層上に形成され光を透過する透光層とからなる。各々の構成要素は発明内容を阻害しない範囲で相互に入れ替えまたは組み合わせてもよい。各々は少なくとも1つずつ存在することが必要であるが、各々は複数層存在しても1つの層が組成や特性の異なる複数の層から構成されていてもよい。具体的には支持体/記録層/中間透光層/記録層/透光層のように支持体の片側に2層以上の記録層を設けることもできたり、透光層/記録層/支持体/記録層/透光層のように支持体の両面に記録層と透光層を配置したりすることもできる。上記構成以外にも、公知の静電気防止層、潤滑層、保護層、反射層などを設けてもよい。また、支持体の記録層とは反対側にレーベル印刷を施してもよい。
本発明の情報記録担体は、カートリッジ内部に装着されたものであってもよい。また、その大きさに制限はなく、ディスク状情報記録担体の場合には、例えば直径30〜300mmの各種サイズを取ることができ、直径32、51、65、80、88、120、130、200、300mmなどであってもよい。
本発明の情報記録担体において、支持体は、後述する記録層及び透光層などを機械的に保持する機能を持つベースである。
その構成材料は、合成樹脂、セラミック、金属、紙プラスチック複合体などいずれでもよい。合成樹脂の代表例としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどの各種熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂、各種放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂の例を含む)を好適に用いることができる。なお、これらは金属粉またはセラミック粉などを配合した合成樹脂であってもよい。セラミックの代表例としてはソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラスなどを用いることができる。金属としてはアルミ、銅、鉄などを用いることができる。
この中で耐湿性、寸度安定性及び価格などの点からポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンが好ましく、ポリカーボネートが最も好ましい。
支持体の厚みは、他の層を機械的に保持する必要性から0.3〜3mmが好ましく、望ましくは0.6〜2mmであり、1.1mm±0.3mmの範囲のものが最も好適に用いられる。
先に説明した様に厚み方向に非対称構造の光情報記録担体においてこの様な吸湿膨張の非対称性に起因した反りを改善する提案が多数なされている。上記の透光層の厚みが薄化された構成では支持体の片面に金属膜による反射層が形成されるが、この反射層は同時に防湿層としても作用する。そのため、支持体の水分のやり取りは支持体の反射層を設けていない側からのみ起こり、湿度環境が変化し、光情報記録担体が環境の水分量に移行している状態では水分量が厚み方向に沿った分布が生じる。
これを改善するために支持体の反対側の主面に防湿層を形成して支持体への透水量を抑制する方法が開示されている。(例えば、特許文献1〜3)本発明ではこの様な支持体を好ましく用いることもできる。
また、上記の問題を吸湿率の低い支持体を用いることに解決する方法も開示されている。(特許文献4)本発明ではこの様な支持体を好ましく用いることもできる。
支持体の表面には、通常、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成される。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形又は押出成形する際に、直接支持体上に形成されることが好ましい。
また、プレグルーブの形成を、プレグルーブ層を設けることにより、行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、ポリオールのアクリル酸モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルのうちの少なくとも1種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステル及び重合開始剤からなる混合液を塗布し、更に、この塗布液層上に支持体を載せたのち、支持体又は母型を介して紫外線を照射することにより塗布層を硬化させて支持体と塗布層とを固着させる。次いで、支持体を母型から剥離することにより得ることができる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.01〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.05〜50μmの範囲である。
本発明において、支持体のプレグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。
また、プレグルーブの溝深さは10〜150nmの範囲とすることが好ましく、20〜100nmの範囲とすることがより好ましく、30〜80nmの範囲とすることが更に好ましい。また、その半値幅は、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲であることがより好ましい。
本発明の情報記録担体に後述する光反射層を設ける場合には、光反射層が設けられる側の支持体表面に、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により支持体表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
光反射層は、情報の再生時における反射率の向上の目的で、任意に、支持体と記録層との間に設けることができる。光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより支持体上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。なお、光反射性物質の反射率は70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属、半金属又はステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、二種以上の組み合わせで用いてもよいし、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Al又はこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Ag又はこれらの合金である。
本発明の情報記録担体において、記録層とは、光学的または磁気的な記録手段により情報信号を該層へ記録することにより情報の記録又は書き換えができる機能を有した層であり、また光学的な再生手段(レーザ光など)により該層から情報信号の再生を行うことができる。記録層は、情報記録担体が再生専用型情報記録担体である場合には高反射率材料を用い、記録・再生型情報記録担体の場合には、記録または再生原理に従って、色素記録用材料、相変化記録用材料、光磁気記録用材料から選択して用いる。記録層の厚みは2〜300nmが好ましく、特に5〜200nmが好適に用いられる。
記録層に用いる光反射率材料としては、金、銀などが用いられる。
色素記録用の記録材料の具体的な例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、フルギド色素、ポリメチン色素、アクリジン色素などを用いることができる。
相変化記録用の記録材料としては、インジウム、アンチモン、テルル、セレン、ゲルマニウム、ビスマス、バナジウム、ガリウム、白金、金、銀、銅、錫、砒素などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物などを含む)を用いることができ、特にGeSbTe、AgInSbTe、CuAlTeSbなどを用いるのが好適である。インジウム合金とテルル合金の積層膜を用いて記録層としてもよい。
光磁気記録用の記録材料としては、テルビウム、コバルト、鉄、ガドリニウム、クロム、ネオジム、ジスプロシウム、ビスマス、パラジウム、サマリウム、ホルミウム、プロセオジム、マンガン、チタン、パラジウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、錫などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にTbFeCo、GdFeCo、DyFeCoなどに代表されるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適である。更に、コバルトと白金の交互積層膜を用いて記録層としてもよい。
なお、これら記録層には、再生出力向上や書き換え回数向上、保存安定性向上等の目的で、補助膜、例えばシリコン、タンタル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、ジルコニウムなどの合金(酸化物、窒化物、炭化物を含む)や高反射膜(アルミニウム、金、銀など)を併用して積層してもよい。
色素記録用の記録材料を用いる記録層には、再生に用いるレーザ光の波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることが好ましく、特に、500nm以下の波長のレーザで記録及び再生が可能なように、その波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることがより好ましい。用いられる色素としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。具体的には、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報の各公報に記載されている色素、又は、トリアゾール、トリアジン、シアニン、メロシアニン、アミノブタジエン、フタロシアニン、桂皮酸、ビオロゲン、アゾ、オキソノールベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール等の色素が挙げられ、シアニン、アミノブタジエン、ベンゾトリアゾール、フタロシアニン等の色素が好ましい。
記録層は、色素記録用の記録材料を用いる場合、前述した色素と、所望により結合剤とを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を前述の支持体のプレグルーブ表面、又は光反射層表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。更に、塗布液中には、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加されてもよい。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
塗布液の溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素及び結合剤の溶解性を考慮して単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用することもできる。
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲であることが好ましく、0.1〜5倍量の範囲であることがより好ましい。結合剤を記録層に含有させることにより記録層の保存安定性を改良することも可能である。
このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、更に好ましくは25〜37℃である。
記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は、一般に、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
記録層の表面には、透光層との密着性と、色素の保存性を高めるために、中間層(バリア層)が形成されていてもよい。バリア層は、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1原子以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層であり。また、バリア層は、ZnS−SiO2のようにハイブリット化されたものでもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
本発明の情報記録担体において、透光層は、収束した再生光を物理的には記録層に導く機能を持ち、同時に記録層を化学的、機械的に保護する機能を持つ。本発明の透光層は支持体の厚みよりも薄く構成されたフィルムからなることが好ましい。
なお、本発明において「透光」とは、記録再生に用いる光学的手段の光の波長(例えば、600〜800nmや350〜450nmの光)に対して事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)であることを意味する。
本発明の光情報記録担体では透光層のプラスチックフィルム基材の吸湿膨張係数は支持体の吸湿膨張係数と10ppm/%RH以上異なる。吸湿膨張係数に10ppm/%RH以上の差があると記録担体に反りの問題が発生する。吸湿膨張係数の差が大きい程、光情報記録担体の反りが大きくなり、記録の書き込み再生が難しくなる。従って本発明では吸湿膨張係数の差は10ppm/%RH以上であり、20ppm/%RH以上だと好ましく、30ppm/%RH以上が特に好ましい。
本発明において、吸湿膨張係数とは、環境を25℃20%RHから25℃80%RHまで変化させたときのフィルムの寸度変化率を意味する。すなわち、25℃20%RHでのフィルムの大きさをL20、25℃80%RHでの大きさをL80としたときに、[[(L80−L20)/L20]/(80−20)]×106が吸湿膨張係数(単位はppm/%RH)である。例えば、フィルムを巾5cm長さ28cmのような長方形に裁断し、25℃20%RHと25℃80%RHとでのフィルム長さを測定することで求めることができる。
透光性フィルムの吸湿膨張係数は、フィルム材料やフィルムへの添加剤の種類・量などを適宜選択することにより調整することができる。具体的には、特定の劣化防止剤を含有させたセルロースアシレートフィルム、塩素系有機溶剤含有量を押えたセルロースアシレートフィルム、特定の多価アルコールエステルを含有するセルロースアシレートフィルム、さらには環状ポリオレフィンフィルムもしくはポリカーボネートを透光性フィルムとして用いることができる。
本発明に透光層に用いる透光性フィルムとしては、延伸により製造されないものが好ましい。延伸を用いて製造すると、延伸方向に光学異方性が生じることがあり、その場合、本発明の情報記録担体の透光層としては好ましくないからである。また、延伸により熱膨張に異方性が生じることがあり、長期の保存安定性の点でも好ましくない。
本発明の透光層に用いる透光性フィルムとしては、好ましくはセルロース誘導体(特にセルロースアシレート)からなるフィルムである。
セルロースは六員環の基本分子構造をもち、この基本単位内に3つの水酸基(OH)を有している。セルロースを氷酢酸、プロピオン酸、酪酸、無水酢酸、無水プロピオン酸等を用いて水酸基をエステル化することによって、セルロースアシレートは合成することができ、合成条件によって、3つの水酸基のうちの一部、または全てをエステル化することができる。このうち特に水酸基を2個以上置換したセルロースアシレートは、溶剤を用いた流延法または溶融押し出し法によって薄いシート状に加工することができ、合成されたセルロースアシレートは、屈折率が1.5前後の透明体で、固有複屈折が小さく、光入射角度の依存性も小さいという特徴を持つ。そして、このセルロースアシレートにテンションをかけて得られるセルロースアシレートフィルムは、強靱でありながら、材料の固有複屈折を継承して、長手方向、横断方向の複屈折差も抑えられたフィルムとなるので、本発明の透光性フィルムとして好適である。
セルロースアシレートは、セルロース誘導体の合成条件を調整することにより、λ=350〜450nmの透過率を事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)にすることが好ましい。セルロースアシレートは、セルロース誘導体の合成条件によって、黄変したり白化したりするが、このような材料を用いて情報記録担体を構成すると反射率が低下して再生信号出力が劣化することがあるためである。
セルロースアシレートフィルムはそのままでは引裂強度、耐折強度が低く、特に低湿度の状態下では、非常に脆くなり裂け易い欠点があった。柔軟性を与えるため、従来から低分子の可塑剤を添加していた。これらの例としては、リン酸エステル系としてトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート等が挙げられ、フタル酸エステル系として、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート等が挙げられ、またグリコール酸エステル系としては、エチルフタリルエチルグリコール等が挙げられ、これ以外にはトルエンスルホンアミド系、トリアセチン(グリセリントリアセテート)等が用いられてきた。
しかしながら、上に列記した可塑剤は低分子物質であり、沸点は高いものでも300℃を越えるものはない。他方、セルロースアシレートは、他の物質との相溶性の少ないポリマーとして知られており、また相溶性のある可塑剤でも上記のように沸点が低いという致命的な欠点を有するため製膜の際に可塑剤の移行が激しく、できたフィルムの厚み方向に可塑剤の分布が不均一になるため、フィルムのカールの原因となったり、あるいはフィルムの表面に可塑剤が滲み出すため、その後の加工に著しく支障をきたすことが知られている。そこで、従来から上記欠点を除去するために、即ち常温、低温で耐折強度及び引裂き強度が大きく、かつ抗張力等が低分子可塑剤添加時と比較的変わらず、かつ光学的に透過率の優れた強靱なセルロースアシレートフィルムを得るために、高分子量可塑剤、例えばポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステルを、あるいは、これら高分子量可塑剤と低分子量可塑剤を併用してセルロースアシレートに混合して用いることが試みられており(例えば、特公昭47−760号公報、特公昭43−16305号公報、特公昭44−32672号公報、特開平2−292342号公報)、ほぼ目的は達成されつつある。しかしながらこれらの支持体を用いると、低分子可塑剤(例えばトリフェニルホスフェート)のみを含んだ支持体に比べて、長期保存下での安定性が著しく低下し、着色、分子鎖の切断等が発生し易いという欠点があることが判った。
本発明では、セルロースアシレートフィルムに於いて、長期保存安定性を達成するため、該セルロースアシレートフィルムに
(A)過酸化物分解剤、
(B)ラジカル連鎖禁止剤、
(C)金属不活性化剤、及び
(D)酸捕獲剤、
のうち少なくとも1種の劣化防止剤を含有させることが好ましい。
あるいは、セルロースアシレートフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤の量を10ppm以下とする、またはセルロースアシレートフィルムに脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることも長期保存安定性を達成するためには好ましい。
本発明で用いることのできる劣化防止剤について説明する。本発明において、(A)過酸化物分解剤としては、下記一般式(A−I)、(A−II)、(A−III)で表わされる化合物、(B)ラジカル連鎖禁止剤としては、下記一般式(B−I)、で表わされる化合物、(C)金属不活性化剤としては、下記一般式(C−I)、(C−II)、(C−III)で表わされる化合物、(D)酸捕獲剤としては、下記一般式(D−I)、(D−II)、(D−III)、(D−IV)、(D−V)、(D−VI)、(D−VII)、(D−VIII)で表わされる化合物が好ましい。
Figure 2006012317
Figure 2006012317
上記一般式(A−I)〜(D−VII)において、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属を表わす。R10はアルキル基、アルケニル基、およびアリール基を表わす。R20、R21およびR22は互いに同一でも異ってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基およびアリールチオ基を表わす。R30およびR31は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R40はアルキル基を表わす。R41、R42およびYは互いに同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基およびアシルオキシ基を表わす。mは0〜2の整数を表わす。また、R60およびR61は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わす。ZはYで定義した基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。mが2の時、複数のYは互いに同一でも異なってもよく、同様にnが2〜4の時、複数のZは互いに同一でも異なってもよい。R20とR21、R30とR31、が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。
また、R1、R2およびR3は互いに同一でも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基またはアミノ基を表わす。R1、R2およびR3のうち少なくとも2個の基が互いに結合して、5〜8員環を形成してもよい。またR1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環を形成してもよい。ただし、R1、R2およびR3が同時に水素原子であることはない。M1はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わし、qはM1がアルカリ金属の時1、M1がアルカリ土類金属の場合2である。R81、R82はそれぞれ互いに同一でも異ってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基を表わしている。M2は、アルカリ金属を表わし、M3はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わす。uはM3がアルカリ金属の時2、M3がアルカリ土類金属の時1である。R91、R92、R93、およびR94は互いに同一であっても異ってもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基を表わす。R91、R92、R93、およびR94のうち少なくとも2個の基が互いに結合して、5〜8員環を形成してもよい。
一般式(A−I)〜(D−VII)で表わされる化合物をさらに詳細に説明する。Xは水素原子、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61で定義したアルキル基は直鎖、分岐状または環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61で定義したアルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61のアリール基はベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、R41、R42、Y、R60、R81、R82、R91、R92、R93、R94、およびR61で定義したヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。
10はアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R20、R21および、R22は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、オクチルオキシ、ベンジルオキシ、シクロヘキシルオキシ、i−プロポキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ)、アルケノキシ基(例えばビニルオキシ、プロペニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、ドデセニルオキシ、オクタデセニルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、オクタデシルチオ)、アルケニルチオ基(例えばビニルチオ、アリルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘキサデセニルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)を表わす。R30およびR31は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R40はアルキル基を表わす。R41、R42およびYは互いに同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、R20と同様のアルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基(例えばイミダゾリジニルオキシ、モルホリニルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、1,3,5−トリアジン−2−イルオキシ)、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアミノ基(例えばアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、スルホンアミド、ウレイド、ウレタン)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−エチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ニトロ基、シアノ基、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、ナフトイル)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ)を表わす。mは0〜2の整数を表わす。R60およびR61は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わす。ZはYで定義した基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。mが2の時、複数のYは互いに同一でも異なってもよく、同様にnが2〜4の時、複数のZは互いに同一でも異なってもよい。R20とR21、R30とR31が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。
1、R2およびR3は同一でも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基またはアミノ基を表わす。R1、R2およびR3のうちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環を形成してもよい。またR1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環を形成してもよい。ただし、R1、R2およびR3が同時に水素原子であることはない。ここでいう脂肪族基とは直鎖、分岐あるいは環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)、アルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)、アルキニル基(例えばプロピニル、ヘキサデシニル)を表わし、これらの基は置換基で置換されていてもよい。ここでいう芳香族基とはベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わす。これらの環は置換基を有してもよい。ここでいうヘテロ環とは環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。ここでいうアミノ基とは単なるアミノ基であっても置換基を有するN−置換アミノ基であってもよい。
上記各基が有してもよい置換基としては脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルファモイル基およびカルバモイル基等がある。
1、R2およびR3のうちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。R1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環(例えばピリジン環、キノリン環、プテリジン環、フェナントロリン環)を形成してもよい。
また、M1はアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。R81、R82は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わしている。これらは、互いに同一であってもよく、異っていてもよい。ここでいうアルキル基とは、直鎖、分岐状または、環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、アルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、アリール基は、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、ヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。M2は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)を表わす。M3は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)または、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。
91、R92、R93、R94は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わしている。これらは互いに同一であってもよく、異っていてもよい。ここでいう、アルキル基とは、直鎖、分岐状または、環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、アルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、アリール基は、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、ヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。
91とR9293とR94は、それぞれ互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。
一般式(A−II)で表わされる化合物のうち、R20〜R22のいずれもが、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基から選ばれたものが好ましい。R20〜R22のいずれもがアルキル基、アリール基、アリールオキシ基から選ばれたものはより好ましく、このうち、アリールオキシ基を有する場合はアリールオキシ基のベンゼン環のオルト位に置換基を有するものが好ましい。またR20〜R22のうちの少なくとも2個がアリールオキシ基の場合、この2個のアリールオキシ基のベンゼン環の互いのオルト位、またはオルト位の置換基が結合したものが好ましい。
一般式(B−I)で表わされる化合物のうち、好ましいものは下記一般式(B−I−I)、(B−I−II)で表わすことができる。
Figure 2006012317
式中、R40'は第3級アルキル基を表し、R40''およびR40'''は互いに同じでも異なってもよく、それぞれアルキル基を表す。また、Lは単結合または下記連結基を示す。
Figure 2006012317
ここでR43は水素原子、アルキル基およびアリール基を表わす。R44とR45は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基およびアリール基を表わす。R41、R42、Yおよびmは一般式(B−I)と同じ意味を表わし、Y′はYと同じ意味を表わす。m′とm″はmと同じ意味を表わす。
一般式(D−I)で表わされる化合物のうち、より好ましいものは、pKaが4以上であることが好ましく、さらにpKaが4以上でかつ9以下が好ましく、さらに好ましくは5以上でかつ8以下である。最も好ましくはpKaが5以上でかつ7以下のアミン化合物である。このpKaとはアミン化合物の共役酸の解離定数であり、室温下でEtOH/H2O=4/1の混合溶媒で求めた値である。一般にはこの値は滴定法によって得ることができる。さらにこのアミン化合物は親油性の化合物が好ましく、炭素原子数の総和が8以上が好ましく、さらに好ましくは15以上である。
さらにこのアミン化合物は3級アミンであるものが好ましい。一般式(D−I)で表わされる化合物のうち、最も好ましいものは下記一般式(D−I−I)で表わされるpKa4以上の親油性化合物である。
Figure 2006012317
式中、R1およびR2は一般式(D−I)と同じ基を表わす。Rb1〜Rb5は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してよいアミノ基、スルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル基を表わす。R1とR2、R1とRb5、R2とRb1またはRb1〜Rb5のうちの互いにオルト位にある基が結合して、5〜8員環を形成してもよい。
本発明の好ましい(D)酸捕獲剤としては、上記の他に前記一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物も挙げられる。
式(D−VIII)中、Xは単結合または2ないし3価の有機残基を表し、B1はアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基を表す。但し、X1は−O−、−(CH24−であることはない。pは2または3を表す。X1としては単結合、炭素原子、窒素原子またはリン原子でBaと連結する2または3価残基、−S−、−SO2−、−O−Ar−O−、−O−Ar−(CR45n−Ar−O−、−O−Ar−SO2−Ar−O−、−O−CH2−Y1−CH2−O−等の2価の連結基を挙げることができる。 ここで、Arはアリール基、R4、R5はアルキル基、Y1はCR45、−CH2OCH2−を表す。B1はpKa(エタノール/水=4/1の混合溶媒中で測定した値)が4以上のアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基である。ここで言うアミノ基は、無置換でも置換基を有していてもよい。アミノ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基等を挙げることができる。アミノ基としては特に3級アミノ基が好ましく、環状の3級アミノ基も好ましく用いられる。含窒素複素環基としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基。モルホリノ基、ピペラジノ基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イミダゾリル基、ピロリル基、インドリノ基、テトラヒドロキノリル基、イミダゾニリル基、チアゾリニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリジニル基等を挙げることができる。上記アミノ酸及び含窒素複素環基はさらに他の置換基を有していてもよい。
本発明の一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物において、より好ましい化合物は分子量300以上の実質的に揮散性を有しないものである。
本発明の一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物において、最も好ましい化合物は実質的に揮散性を持たず、塩基性基1個当たりの分子量が200以下の化合物である。
一般式(B−I)で表わされる化合物のうち、より好ましくはpKaが4以上でかつ9以下、さらに好ましくは5以上でかつ8以下、最も好ましくはpKaが5以上でかつ7以下の化合物である。
本発明の一般式(A−I)〜(D−VIII)で表わされる化合物の具体例は特開平5−197073号公報の〔0063〕〜〔0064〕に記載された化合物が挙げられる。
これらの化合物はほとんどものが市販されているため、容易に入手できる。また、一般式(D−I)、(D−VIII)で表わされるアミン化合物の他の好ましい化合物例および合成法は米国特許第4,483,918号、同第4,555,479号、同第4,585,728号、同第4,639,415号、欧州公開特許第264,730号、特開昭58−102231号、同59−229557号、同61−73152号、同63−98662号、同63−115167号、同63−267944号等に記載されている。
次に、有機塩素系溶剤の量を10ppm以下としたセルロースアシレートフィルムに関して述べる。
製造直後においてフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤(通常主としてメチレンクロライドである)の量を10ppm以下にするためには、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分を有し、該コア部分の少なくとも片面に、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層を有することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムによって達成される。また、前記目的は、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層は、メチレンクロライドまたはN−メチル−2−ピロリドンを70%以上含む溶媒で調製したドープ、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分は、アセトンを60%以上含む溶媒から調製したドープで溶液製膜することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムの製造方法によって達成される。
本発明におけるセルロースアシレート積層フィルムにおいて、置換度2.8以上のセルロースアシレートを有する表層と、置換度2.7以下のセルロースアシレートを有するコア部分から成る積層構造を有するフィルムとすることにより、含有溶剤の量を著しく低減できるのと同時に、優れた耐湿熱性を有するセルロースアシレートフィルムとすることができる。置換度2.8以上のセルロースアシレート(以下、セルロースアセテートの場合にはTACともいう)から製膜されたフィルムは、置換度2.7以下のセルロースアシレート(以下、セルロースアセテートの場合にはDACともいう)のフィルムより、格段と透湿性が少ないという優れた特性がある。セルロースアセテートを例にとって説明すると、置換度2.7以下のセルロースアシレートまたはDACの表層に、透湿性が少ない置換度2.8以上のセルロースアシレートまたはTACを設けることにより、外部雰囲気からの湿気の侵入をTACにより防ぐことができ、耐湿熱性の不充分なDACが保護される。これにより、フィルム全体としては経時による湿度及び熱に対する耐性が良好なものとなる。置換度2.8以上のセルロースアシレートまたはTACの置換度は、好ましくは2.8〜3.0であり、より好ましくは2.9〜3.0である。置換度2.7以下のセルロースアシレートまたはDACの置換度は、好ましくは2.0〜2.7であり、より好ましくは2.5〜2.7である。
本発明において、前記積層構造を有するセルロースアシレートフィルムは、一層がTACからなる表層と、それに隣接するDACからなる層とからなる二層重層構造のフィルムの他に、前記DACのコア部分の両面に、TACの表層を設けた三重層構造のフィルムを含んでいる。更に、三重以上の層からなるフィルムも含む。本発明の三重層構造を有するフィルムの場合において、上下表層の厚みは同じ厚みでなくても良いが、同じ厚みである方がフィルムの機械的性質のバランスがとれるなどの理由から好ましい。本発明のフィルムは、コア部分であるDACのフィルム面に偏光膜や感光層等の機能性層を設ければ、二層重層構造のフィルムによって十分防湿目的を達成できる。二層重層構造のフィルムの防湿保存の問題は、フィルムをロール巻きにし、防湿包装して保存するなどにより解決できる。本発明において、好ましくは前記DACのコア部分の両面に、TACの表層を設けた三重以上の層構造のフィルムとすることが好ましい。これにより、フィルムへの湿気の侵入が、いずれの保存状態でも防止でき、長期間にわたり優れた透明性、寸度安定性、耐湿熱性を維持できる。セルロースアセテートの場合について説明したことは他のセルロースアシレートにも適用できる。
更に、TACを有する表層は、0.5〜15μmという薄い層であるので、3重層構成だとしても、使用する有機溶剤の量は著しく削減でき、作業環境上、環境に対する影響上において安全になり、更に残存溶剤により、発生するヘイズ等の問題も改善できる。ここで、前記TACを有する層の膜厚は、好ましくは0.5〜10μmであり、より好ましくは1.0〜5.0μmである。
本発明において、TACを製膜する際に塩素系有機溶剤を使用した場合、従来のセルローストリアセテートフィルムの製造における乾燥条件と大差ない条件で、製造直後のフィルム内に含まれる塩素系有機溶剤の量を10ppm以下にできる。この塩素系有機溶剤の量は好ましくは5ppm以下である。これにより、作業環境上、環境に対する影響上において一層安全になり、更に残存溶剤により、発生するヘイズ等の問題も著しく改善できる。本発明においては、フィルムを上下表層をメチレンクロライドに溶解したセルロースアシレートから製膜した三重層構造とした場合でも、製造直後においてフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤(通常主としてメチレンクロライドである)の量を10ppm以下にできる。このように有機塩素系溶剤の量が10ppm以下であるセルロースアシレートフィルムを提供することは、50μm以上のフィルムをメチレンクロライドを有する溶液のドープから製膜した場合には、著しく長時間の乾燥を行わなければ、10ppm以下のフィルムは製造することはできないため、実用上不可能である。
また、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)の沸点はメチレンクロライドのそれに比べて高く、残存溶剤の量が著しく多くなる。本発明においてはTACを有する層の膜厚は最高15μmと薄いので、上下表層を設けた三重層構造のフィルムとした場合でも、製造直後の残存NMPの量が2000ppm以下にできる。残存NMPの量は、好ましくは1500ppm以下である。これにより表層を乾燥するための乾燥負荷は大きくなく、製造上の問題とはならない。また残留溶剤量も少なく、製膜に塩素系溶剤を使用しないですむので、塩素系溶剤残留の問題もない。更に、大量の残存NMPにより発生していたヘイズも防止でき、保存中のフィルムの透明性を維持できる。
非塩素系溶媒で製造されたセルロースアシレートフィルム及びその製造方法については
発明協会公開技報公技番号2001−1745号に詳しく記載されている。
次に脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有するセルロースアシレートフィルムに関して述べる。本発明の脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R11−(OH)n
式中、R11はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。nは2〜20が好ましい。
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、セルロースアシレートフィルムの透湿性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有してもよい。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。
本発明の多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2006012317
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Figure 2006012317
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多価アルコールエステルの使用量は、セルロースアシレートに対して3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、特に好ましくは5〜20質量%である。
これらの多価アルコールエステルは、従来セルロースアシレート中に混合されて用いられていたリン酸エステル、たとえばトリフェニルフォスフォートの代替として好ましく用いることができる。すなわちセルロースアシレートフィルム中のリン酸エステルの量を0.1g/m2以下に減らすかあるいは除去したセルロースアシレートフィルムに用いることが好ましい。
[防湿層]
本発明の防湿層は透光層のプラスチックフィルム基材の光が入射する面(基板とは反対面)に設けられる。該防湿層は環境に曝された透光層の光が入射する面から湿度膨張係数の高いプラスチックフィルム基材への水分(水蒸気)の浸入を抑制することで、プラスチックフィルム基材の面方向の膨張を防止し、支持体との湿度膨張係数の差によって生じる光情報記録担体の反りを防止することを目的とし、設けられる。防湿層の水蒸気透過度は5g/m2・日未満に抑制することが好ましい。水蒸気透過度は、0.01〜4g/m2・日であることが好ましく、0.05〜3g/m2・日であることが更に好ましい。
透光層に二層以上の防湿層を設けても良い。一層の防湿層で、前記の低水蒸気透過度(5g/m2・日未満)を実現すことが困難である場合は、さらに防湿層を追加する。二層以上の防湿層は、同じ位置に重ねて設けても良い。
また、プラスチックフィルム基材の光が入射する面に設けられた上記の防湿層に加えてプラスチックフィルム基材の支持体面にも防湿層を設けることもできる。支持体面に防湿層を設けることで粘着剤の端部から粘着剤を経由した水分の浸入を防止することができる。
防湿層の水蒸気透過係数は、1×10-12乃至1×10-7(cm3/cm・sec・cmHg)であることが好ましい。防湿層は、有機材料または無機材料から形成できる。有機材料と無機材料とを組み合わせてもよい。
有機材料は、ポリマーが好ましい。ポリマーの水蒸気透過係数は、10-12乃至10-7(cm3/cm/s・cmHg)であることが好ましい。
防湿層は、前記の低水蒸気透過度を実現するために設ける。水蒸気透過度は、水蒸気透過係数に比例し、厚みに反比例する。従って、水蒸気透過度(g/m2・日)は、水蒸気透過係数(cm3/cm・sec・cmHg)および厚み(μm)から、下記式により計算できる。
水蒸気透過度=1010×水蒸気透過係数/厚み
防湿層に使用できるポリマーの例を、水蒸気透過係数(cm3/cm・sec・cmHg)および1g/m2・日未満の低水蒸気透過度を達成するために必要な厚さと共に以下に示す。
Figure 2006012317
ポリマーからなる防湿層は、塗布により設けることができる。ポリマーからなる防湿層は、ポリマーを結晶化させることにより、防湿機能を高めることができる。ポリマーを結晶化するためには、ポリマーを含む塗布液(溶液、分散液、乳化液)を、塗布および乾燥後に熱処理することが好ましい。熱処理温度は、100乃至200℃が好ましく、120乃至180℃がさらに好ましく、140乃至170℃が最も好ましい熱処理時間は、0.5乃至60分が好ましく、1乃至20分がさらに好ましく、2乃至10分が最も好ましい。
無機材料で防湿層を構成することもできる。ガラス板のように、全く水蒸気を透過しない無機材料のみで防湿層を構成すれば、低い水蒸気透過係数を容易に達成できる。しかし、無機材料のみで構成される層は、一般に脆く厚くなる。そのため、無機材料と有機材料とを組み合わせて防湿層を構成することが好ましい。
無機材料と有機材料とを組み合わせて防湿層を構成すると、柔軟な層でありながら、低い水蒸気透過係数を容易に達成できる。無機材料と有機材料とを組み合わせると、有機材料を単独で用いた場合に比べて、1/100程度にまで水蒸気透過係数を低下させることができる。
無機材料と有機材料とを組み合わせる場合は、有機材料として前述した水蒸気透過係数が低いポリマーを使用し、それを無機材料のバインダーとして機能させることが好ましい。無機材料は、酸化物が好ましい。無機材料の例には、二酸化珪素、アルミナ、タルク、雲母、珪藻土、酸化チタン、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライトおよびリン酸ジルコニウムが含まれる。無機材料の形状は、層状であることが好ましい。層状の無機材料としては、雲母およびタルクが好ましい。
天然雲母および合成雲母のいずれも好ましく用いられる。天然雲母の例には、白雲母(アスペクト比:25)、ソーダ雲母(アスペクト比:50)、金雲母(アスペクト比:105)、黒雲母(アスペクト比:215)および鱗雲母(アスペクト比:525)が含まれる。合成雲母の例には、フッ素金雲母(アスペクト比:825)、カリ四ケイ素雲母(アスペクト比:950)、Naテトラシリシックマイカ(アスペクト比:3000)、Na又はLiテニオライト(アスペクト比:1万)、モンモリオナイト系のNa又はLiヘクトライト(アスペクト比:3万)が含まれる。フッ素金雲母およびカリ四ケイ素雲母は、非膨潤性雲母に分類され、他の合成雲母は、膨潤性雲母に分類される。合成スメクタイト(アスペクト比:8万)も、層状無機化合物として利用できる。合成雲母が好ましく、フッ素系の膨潤性雲母が特に特に好ましい。
無機層状化合物のアスペクト比は、20乃至10万が好ましく、100乃至5万がさらに好ましく、200乃至1万が最も好ましい。アスペクト比は、粒子の長径に対する厚さの比である。無機層状化合物の平均長径は、0.3乃至20μmが好ましく、0.5乃至10μmがさらに好ましく、1乃至5μmが最も好ましい。無機層状化合物の平均厚さは、0.1μm未満が好ましく、0.05μm未満がさらに好ましく、0.01μm未満が最も好ましい。
無機材料と有機材料とを組み合わせて使用する場合、無機材料の量は有機材料の量に対して、1乃至50質量%であることが好ましく、3乃至40質量%であることがさらに好ましく、6乃至30質量%であることが最も好ましい。無機材料と有機材料とを組み合わせた防湿層は、溶液分散法または溶融分散法により形成できる。
溶液分散法では、下記(1)〜(5)の手順で、防湿層を形成する。
(1)有機材料を溶媒に溶解または乳化して、溶液またはラテックスを調製する。溶液またはラテックスの濃度は、0.3乃至30質量%が好ましく、0.5乃至20質量%がさらに好ましく、1乃至10質量%が最も好ましい。溶剤は、無機化合物の分散性を考慮して、極性溶剤が好ましい。極性溶媒は、水、アルコールまたはそれらの混合物が好ましい。
(2)無機材料を、水、アルコールまたはそれらの混合物に分散する。
(3)無機材料の分散液を、有機材料の溶液またはラテックスに、ゆっくり滴下して、撹拌する。
(4)得られた塗布液を、ポリマーフィルムに塗布する。
(5)塗布層を乾燥する。
溶融分散法では、下記(1)〜(3)の手順で、防湿層を形成する。
(1)有機材料を加熱して、溶融する。
(2)無機材料を、溶融した有機材料に添加して、撹拌する。攪拌は、ニーダーを用いることが好ましい。
(3)ポリマーフィルムを構成するポリマーと、上記混合物とを共押出しを行い、ポリマーフィルムと防湿層とを同時に形成する。あるいは、上記混合物のみで押出しを行い形成したフィルムを、ポリマーフィルム上に粘着層を介して貼り合わせて、防湿層とする。
溶融分散法よりも、溶液分散法の方が好ましい。無機材料がポリマー(有機材料)中に分散している防湿層は、ポリマーを結晶化させることにより、防湿機能を高めることができる。ポリマーを結晶化するためには、防湿層を形成後に熱処理することが好ましい。熱処理温度は、100乃至200℃が好ましく、120乃至180℃がさらに好ましく、140乃至170℃が最も好ましい。熱処理時間は、0.5乃至60分が好ましく、1乃至20分がさらに好ましく、2乃至10分が最も好ましい。
有機材料と無機材料との組み合わせを、水蒸気透過係数(cm3/cm・sec・cmHg)および1g/m2・日未満の低水蒸気透過度を達成するために必要な厚さと共に以下に示す。
Figure 2006012317
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防湿層の厚さは、前述したように使用する有機材料、無機材料あるいはそれらの組み合わせの防湿機能(水蒸気透過係数)に応じて決定する。有機無機複合層の防湿層の厚さは、1乃至50μm(1μm以上、50μm未満)であることが好ましく、1.2乃至35μmであることがさらに好ましく、1.5乃至10μmであることが最も好ましい。複数の防湿層を設ける場合は、厚さの合計を意味する。
複数の防湿層を積層する場合は、ポリマーフィルム側から、有機材料と無機材料とを含む防湿層、そして有機材料のみからなる防湿層の順序で積層することが好ましい。有機材料と無機材料とを含む防湿層は、無機材料により表面に凹凸が発生し、表面ヘイズが上昇しやすい。その上に、有機材料のみからなる防湿層を設けると、表面凹凸を緩和し、ヘイズを下げることができる。
複数の防湿層の屈折率は、近い値であることが好ましい。そのためには、複数の防湿層に、同じ有機材料を用いることが好ましい。
防湿層は、無機材料をポリマーフィルム上に蒸着させて形成することもできる。好ましい無機ガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれ等の混合物を挙げることができる。この中でも、防湿性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子に対する酸素原子の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機の防湿層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れた防湿性が得られると言う観点から、スパッタリング法が好ましい。
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.01mTorr以上50mTorr以下、より好ましくは0.05mTorr以上10mTorr以下である。このような無機防湿層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。
有機無機複合層に対し無機防湿層の膜厚は厚いと脆くなるため、このようにして得た無機防湿層の膜厚は、1nm〜1μmの範囲が好ましく、10nm〜300nmがより好ましく、30〜200nmが特に好ましい。無機防湿層の厚みが1nm未満では均一に膜を形成することは困難であり、膜が形成されない部分が発生し、水蒸気透過度が大きくなる。一方、1μmよりも厚くなると透明性を欠くだけでなく、基板を屈曲させた際に、防湿層にクラックが発生し水蒸気透過度が大きくなる。
防湿層はroll-rollでポリマーフィルム上に塗布や蒸着によって積層した後に支持体に貼り付けることもできるし、ポリマーフィルムを支持体に貼りつけ、ディスクの状態にした後にスピンコートや蒸着によって積層することもできる。
[硬化被膜]
本発明の硬化被膜は、基材フィルムに硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化することによって形成される。
硬化性組成物は熱硬化性組成物であっても活性エネルギー線硬化性組成物であっても構わないが、生産性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物によって形成されることが好ましい、紫外線硬化性組成物によって形成されることが特に好ましい。
[ハードコート層]
透光層にハードコート層を形成することで本発明の光情報記録担体の傷付きを防止する事ができる。この場合、そのハードコート層とは、表面を#0000のスチールウールを用い1.96N/cm2の荷重を掛けながら50回擦った時に、擦り跡が目視で見えない耐擦傷性を有する硬化被膜であることが好ましい。
ハードコート層は防湿層の上に形成することもできるし、防湿層をハードコート層の上に形成することもできる。また、本発明ではハードコート層として防湿性を有するハードコート層を形成して防湿層を省略することができる。このようなハードコート層の水蒸気透過度は5g/m2・日以下であることが好ましい。
また上記のスチールウール擦りによって評価される耐擦傷性は表面に対し水平に近い方向に加わる力に対する傷防止性であるが、同時に表面に対して垂直に加わる力に対しても強いことが望ましい。表面に対して垂直に加わる力によって発生する傷は鉛筆硬度で評価することができる。
鉛筆硬度に関しては、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度として求めることができる。
要求される鉛筆硬度としてはH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
ハードコート層は厚過ぎるとカールが起きやすく、また薄過ぎるとハードコート機能が発現しにくいことから、膜厚は1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜6.0μmがより好ましく、2.5〜5.0μmが特に好ましい
本発明のハードコート層の好ましい形成方法は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化性組成物を、透明プラスチックフィルム基材上に塗布、乾燥した後、紫外線の照射により該組成物を硬化させる方法である。
紫外線硬化性組成物には、紫外線照射により重合または架橋して硬化する同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物が、好ましく使用される。以下、本発明に好ましく用いることのできる同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物を有し、本発明で好ましく使用される紫外線硬化性組成物について説明する。
上記エチレン性不飽和基として好ましいものは、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。そのなかでもアクリロイル基を有する化合物が好ましく、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。
これら分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。
また、このような化合物は市販もされていて、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220,TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)などが、挙げられる。
上記で挙げた分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物のなかでも特に好ましい化合物として分子内に3個以上のアクリロイル基を有しアクリロイル当量が120以下の化合物が挙げられ、具体例としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
上記分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物以外に、本発明の紫外線硬化性組成物に好ましく用いられる化合物としては、開環重合性基を含む硬化性樹脂が挙げられる。
開環重合性基を含む硬化性樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化性樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としてエポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、テトラヒドロフラニル基含有化合物、環状ラクトン化合物、環状カーボネート化合物、オキサゾリニル基含有化合物などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、オキサゾリニル基含有化合物が好ましい。本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、2種以上併用してもよく、この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化性樹脂を必要に応じて併用することができる。
本発明で用いられる開環重合性基を有する硬化性樹脂は、上記のような環状構造を有する硬化性樹脂であれば特に制限がない。このような硬化性樹脂の好ましい例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、2官能脂環式エポキシ類、ジグリシジルエーテル類(例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、ポリグリシジルアクリレート、ポリグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を側鎖に有するアクリルポリマー、脂環式エポキシ類(セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど)、オキセタン類(OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明ではエチレン性不飽和基を含む硬化性化合物と開環重合性基を含む硬化性樹脂の両者を含有する硬化性組成物を用いることもできる。
エチレン性不飽和基を含む硬化性化合物(硬化性樹脂)と開環重合性基を含む硬化性樹脂を含有する硬化性組成物(以下、特に断りのない限り、「硬化性組成物」は、これら両者の硬化性樹脂を含有する組成物である)を硬化させる場合、両方の硬化性樹脂の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も活性エネルギー線の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤およびカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、活性エネルギー線によりこれらを分解し、ラジカルおよびカチオンを発生させ重合を進行させることができる。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
上記硬化性組成物を活性エネルギー線照射により硬化する場合、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。
本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
紫外線によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の硬化性樹脂やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の硬化性樹脂が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、“イメージング用有機材料”ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている硬化性樹脂等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で黄着色が少ない点で特に好ましくはジアリールヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、B(C654 -などが好ましい。また、トリアリールスルホニウム塩とジアリールヨードニウム塩を組み合わせて用いることも好ましい態様である。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン化合物等が含まれる。
重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加することが好ましい。無機微粒子を添加することで透明プラスチックフィルム基材の溶媒による膨潤を抑制することができる。また、微粒子を添加することで硬化被膜の硬化収縮量を低減できるため、基材との密着性の向上や、カールの低減の点でも好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法を調整する必要がある。
無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機架橋微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
添加される微粒子の粒子サイズは5nm〜200nm、好ましくは8nm〜180nm、さらに好ましくは10nm〜150nmである。
ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
一般に、無機微粒子は、本発明で用いることのできる上記硬化性樹脂などの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の硬化被膜がひび割れやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は、金属アルコキシド、またはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくはアニオン性基と開環重合性基を同一分子内に有する硬化性樹脂である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1 H2C=C(X)COOC36Si(OCH33
S−2 H2C=C(X)COOC24OTi(OC253
S−3 H2C=C(X)COOC24OCOC510OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC24OCOC510O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC24OSO3
S−6 H2C=C(X)COO(C510COO)2
S−7 H2C=C(X)COOC510COOH
S−8 3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
(X=H、あるいはCH3を表す)
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でもよい。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後の硬化被膜の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜30体積%がより好ましく、5〜20体積%が最も好ましい。
ハードコートフィルムを光学用途に用いる場合、ヘイズが低い方が好ましい。本発明の硬化被膜のヘイズは5%以下で、2%以下であることが好ましく、1.0%以下が最も好ましい。
本発明では、これらの作製した硬化被膜に防汚剤を含有させること、または、フッ素および/またはケイ素を含有した低表面エネルギー性の硬化樹脂を含む活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を主体とする防汚性層を積層することにより、防汚性硬化被膜とすることができる。
本発明に用いられる防汚剤は、硬化性を有する基材に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、エネルギー線硬化樹脂組成物の調製及び基材上に塗布する際に不都合が無く、かつ硬化被膜形成時に、硬化被膜表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであっても良い。そのようなものとしてはフッ素および/またはケイ素を含有する硬化樹脂があげられる。また、本発明に用いられる硬化被膜に積層された防汚性層はフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂を含む組成物によって形成することもできる。
本発明で用いられる硬化被膜または防汚性層に含有するフッ素および/またはケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素とケイ素含有部を有するブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、さらに樹脂あるいは金属酸化物等と相溶性の良いセグメントとフッ素あるいはケイ素を含有するセグメントとを有する硬化性樹脂が好ましく、硬化被膜または防汚性層へ添加することで、表面にフッ素あるいはケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素あるいはケイ素を含有するモノマーと他の親水性あるいは親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。
親水性あるいは親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーのデフェンサMCF−300、312、323等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーのメガファックF−170、F−173、F−175等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーのメガファックF−171等(大日本インキ化学(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系のモディパーF−200、220、600、820等、シリコン系のモディパーFS−700、710等(日本油脂(株)製)が挙げられる。
硬化被膜の上に防汚性の層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号、特開平2−19801号、特開平3−179010号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
硬化性組成物の塗布液は、ケトン系、アルコール系、エステル系等の希釈有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製する。さらに、表面修飾した硬無機微粒子分散液と軟微粒子分散液を添加して調製することができる。
[粘着層]
本発明の透光層は支持体や記録層を含む基板と粘着層を介して貼り合わせることが好ましい。粘着層を設置する工程において、あらかじめ一方の面にハードコート層が形成された透光性フィルムのハードコート層塗設面と異なる面に、粘着層を連続的に設けることができる。粘着層を設ける方法としては、予め形成された粘着層を貼り付ける方法(以下、適宜、間接法と称する)と、透光性フィルムの表面に、直接、粘着剤を塗布し、乾燥させることで粘着層を形成する方法(以下、適宜、直接法と称する。)と、の2つに大別することができる。
間接法の場合における「予め形成された粘着層を貼り付ける方法」とは、例えば、透光性フィルムと同じ大きさの離型フィルムの表面に、連続的に粘着剤を塗布し、乾燥させることで、離型フィルムの一方の面全域に粘着層を設け、その粘着層を透光性フィルムに貼り付ける方法を示す。その結果、透光性フィルムの他方の面全域には、離型フィルム付きの粘着層が設けられることになる。
直接法は、ロール状に巻回された透光性フィルムの先端を、所定の塗布領域まで送り出し、その透光性フィルムの一方の面の先端から末端まで、粘着剤を連続的に塗布し、塗膜を形成した後、順次、その塗膜を乾燥させて、透光性フィルムの他方の面全域に粘着層を設ける方法である。
上記の間接法及び直接法において、粘着剤の塗布手段としては、従来公知の塗布手段を用いることができる。具体的には、スプレー法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
また、乾燥手段としては、加熱乾燥、送風乾燥など、従来公知の手段を用いることができる。
粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ樹脂系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、キレート系架橋剤が挙げられるが、この中でも、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4−4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
透光性フィルムのハードコート層が設置された以外の面に粘着層が形成されるが、その後の工程においてロール状に巻き取られ、ハードコート層と粘着層とが密着してしまうこと防止するためにも、粘着層の表面には、離型フィルムが貼り付けられていることが好ましい。上述のように、間接法においては、予め、離型フィルムを貼りつけた状態とすることができる。一方、直接法の場合には、粘着層が透光性フィルムの表面に形成された後に、その粘着層の表面に離型フィルムを貼り付ける工程を新たに加えることが好ましい。
ここで、粘着層の表面に貼り付けられる離型フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートセルロースフィルムなどが挙げられる。
本発明からなる情報記録担体の透光層の厚みは、支持体の厚みよりも薄いことが好ましい。情報記録担体が傾いたときに増加する収差を考慮すると、その厚みは50〜300μmが相応しく、望ましくは60〜200μm、更に望ましくは70〜120μmである。また厚みの一面中でのバラツキは最大で±3μm、望ましくは±2μm以下とする。更に望ましくは±1μm以下とする。
本発明の光情報記録担体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録担体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、透光層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録担体を所定の定線速度で回転させながら光学的手段として青紫色レーザを用いてレーザ光を透光層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
記録・再生用の光学的手段となる500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
光情報記録担体の作製
A.支持体、記録層の作製
1−1.支持体1の作製
スパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅120nm、トラックピッチ320nm)を有し、厚さ1.1mm、直径120mmの射出成形ポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、商品名:パンライトAD−5503)基板のグルーブを有する面上に、Agをスパッタして100nmの厚さの光反射層を形成した。
この時作製したポリカーボネート樹脂支持体の吸湿膨張係数は12ppm/%RHであった。
1−2.支持体2(低吸湿膨張係数支持体)の作製
上記支持体1に対しポリカーボネート樹脂を低吸水率のポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、商品名:パンライトST−3000)に変更し、光反射層付き支持体を作製した。
この時作製したポリカーボネート樹脂支持体の吸湿膨張係数は6ppm/%RHであった。
1−3.支持体3(バック面防湿層付き支持体)の作製
上記基板1で反射層を設けた後に反射層とは反対面に、Alをスパッタし30nmの厚さの防湿層を設けた。更にこの防湿層上に腐食防止膜を形成し、バック面防湿層付き支持体を作製した。
2.記録層の作製
その後、オラゾールブルGN(記録素材1、フタロシアニン系色素、cibaスぺシャリティケミカル社製)20gを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1リットル中に添加し、2時間超音波処理を行って溶解し、記録層形成用の塗布液を調製した。調製された塗布液を、光反射層上に回転数を300〜4000rpmまで変化させながら、23℃、50%RHの条件でスピンコート法により塗布した。その後、23℃、50%RHで1〜4時間保存して形成された記録層の膜厚は100nmであった。そして、記録層上に、ZnS−SiO2を厚さ5nmになるようにスパッタし、中間層(バリア層)を形成した。
B.透光層(ハードコートフィルム)の作製
記録層上に設置される透光層(ハードコートフィルム)は、支持体側から順に粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、防湿層、場合によってはさらにその上に設置される防汚層からなる。ここでは粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、防湿層からなる透光層の作製例を示し、以下に、透光性フィルム(セルロースアシレートフィルム)の製造法、ハードコート層塗布、防湿層形成の順に記載する。
1−1.セルロースアシレートフィルム(TAC−1)の製造法
くり返し単位が−〔O−(CH22−OCO−(CH24CO〕−のアジピン酸とエチレングリコールからなる平均分子量2125の両末端ジヒドロキシポリエステルとトリレンジイソシアナート(TDI)とを処理し、平均分子量7300のメチレンクロライド可溶性ポリエステル−ウレタン樹脂を合成した。この化合物をPU−1とする。このPU−1に、セルロースアセテートを加え、下記の組成のドープを得た。
セルローストリアセテート 100質量部
(置換度2.85、6位置換度0.90)
PU−1 15質量部
メチレンクロライド 270質量部
ブタノール 7質量部
メタノール 70質量部
この組成物を密閉容器に投入し、加圧下で、80℃に保持しながら、攪拌して完全に溶解する。次にこのドープを濾過し、冷却して25℃に保持しながら回転する直径30cmのジャケット付ドラム上に流延した。ドラムは伝熱性、耐蝕性、平面性を兼ねる必要からSB材の上に、約50μmのNi層を鍍金し、さらに約40μmのハードクロム鍍金を2回施した表面を、0.01〜0.05Sの超鏡面研磨したものを使用した。このときドラムは、ジャケットに冷水を通水し、表面温度は0℃となるように保持しておく。流延速度は3m/分に固定し、流延位置から流延方向に270度回転した位置で剥取ロールを介してフィルムを剥離し、3.15m/分の速度でベースをひきとり、流延方向に5%流延する。剥ぎ取ったベースは、両サイドを固定し、70℃の熱風によって乾燥し、厚さ80μmのフィルムを得た。湿度を変化させたときのフィルムの長さを測定することによって求められた吸湿膨張係数は、70ppm/%RHであった。
1−2.劣化防止剤を含有するセルロースアシレートフィルム(TAC−2、3、4、5、6、7)の製造法
TAC−1に対し1質量部の下記劣化防止剤1〜6を添加した物をドープとする以外は1−1と同様にして膜厚80μmのTAC−2(劣化防止剤1添加)、TAC−3(劣化防止剤2添加)、TAC−4(劣化防止剤3添加)、TAC−5(劣化防止剤4添加)、TAC−6(劣化防止剤5添加)、TAC−7(劣化防止剤6添加)を作製した。各々の吸湿膨張係数は60、43、30、25、35、40ppm/%RHであった。
Figure 2006012317
2.ハードコート層の形成
2−1.ハードコート層塗布液の調製
(1)H−1液の調製
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)450質量部を、210質量部のイソプロピルアルコール(IPA)と140質量部のメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)12.0質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、380質量部のIPA−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのイソプロピルアルコール分散物、日産化学(株)製)と257質量部のMIBK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルイソブチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層用塗布液(H−1)を調製した。
2−2.ハードコートフィルムの作製(ハードコート層の塗布)
(1)ハードコートフィルムの作製
製膜した80μmのセルロースアシレートフィルム(TAC−1〜TAC−7)に、上記ハードコート層用塗布液(H−1)を表7に記載の厚みになるようにエクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)してハードコートフィルムを作製し、ロール状に巻き取った。
3.防湿層の形成
ハードコートフィルムの表面を5mTorr(6.65×10-1Pa)の減圧下で、出力2500Wでプラズマ表面処理を行った後、120℃で1分間加熱しながらDCマグネトロンスパッタリング法により、SiO2をターゲットとしスパッタリングし100nm厚みのSiO2の膜を製膜した。なお、スパッタは5mTorr(6.65×10-1Pa)の真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで行った。
また、製膜した80μmのセルロースアシレートフィルム(TAC−1)に、直接100nm厚みのSiO2の膜を製膜したものも、作成した。
C.防湿層付きフィルムと基板との貼合わせ
次のようにして、上記Aで支持体上に設けた記録層上に、中間層(バリア層)を介して、上記Bで作製した防湿層付きハードコートフィルムないし防湿層付きセルロースアシレートフィルムを貼り合わせることによって光情報記録担体を作製した。
1.粘着層の形成
アクリル系共重合体(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、イソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、を100:1(質量比)で混合し、粘着剤塗布液Aを調製した。この粘着剤塗布液Aを用いて、間接法にて、離型フィルムの表面に粘着層を設けた。
ロール状に巻回されたポリエチレン製離型フィルムを搬送しながら、その離型フィルムの表面に乾燥後の厚さが20μmとなるように粘着剤塗布液Aを塗布した。その後、乾燥領域において100℃で乾燥させ、粘着層が設けられた離型フィルムを得た。
2.光情報記録担体用透明シートの製造
防湿層付きハードコートフィルムのハードコート層及び防湿層が設けられた逆の面に、粘着層が設けられた離型フィルムを、粘着層が当接するように貼り合せた。その後、このハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、再びロール状に巻き取り、その状態で、23℃、50%RHの雰囲気で、72時間保持した。
そして、ハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、送り出し、上記基板と同じ形状に打ち抜いた。これにより、透光性フィルムの一方の面に粘着層を有し、他方の面にハードコート層を有する光情報記録担体用透明シートを得た。
防湿層付きセルロースアシレートフィルムについても、同様にして光情報記録担体用透明シートを得た。
3.光情報記録担体の作製(支持体、記録層への防湿層付きフィルムの貼合わせ)
ディスク状の光情報記録担体用透明シートから、粘着剤側の離型フィルムを剥がし、中間層(バリア層)と粘着層とをローラによる押し圧手段によって貼り合わせ、光情報記録担体を作製した(表7の光情報記録担体3,5〜11,13〜15)。
[比較例]
透光性フィルムとしてポリカーボネートフィルム(PC)を用いたもの(ハードコート層なしとハードコート層あり)を、比較例とした(表7の光情報記録担体1,2)。なお、ポリカーボネートフィルム上には次のようにハードコート層を形成した。ロール状に巻回されたポリカーボネートフィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm、片面離型フィルム付き、吸湿膨張係数12ppm/%RH)を使用し、所定の塗布領域まで送り出し、予め付与されていた離型フィルムを除去した後、ハードコート層用塗布液(H−1)を塗布し、塗膜を形成した後、その塗膜に紫外線を照射し、硬化させて、ハードコートフィルムを形成した。
また、透光性フィルムとして防湿層のないセルロースアシレートフィルムを用いたもの(ハードコート層なしとハードコート層あり)を、比較例とした。(表7の光情報記録担体1,2,12)
D.測定
1.鉛筆硬度試験
記録担体の透光層のフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
2.耐擦傷性
記録担体の透光層側の表面を#0000のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら擦った時の傷が目視で見えるようになる程度の評価(◎は300回こすっても跡が見えない状態、○は僅かに見える状態、△は跡が残るが100回までは跡がみえない状態、×は100回未満で跡が見える状態)。
3.水蒸気透過度
防湿層の水蒸気透過度はTAC−1の水蒸気透過率と防湿層を積層したTAC−1の水蒸気透過度を測定し、防湿層そのものの水蒸気透過率を算出した。
フィルム(TAC−1及び防湿層+TAC−1)の水蒸気透過度はMOCON社、パーマトランW1Aを用いて、40℃100%RHにおける水蒸気透過度を測定した。
4.ラジアルスキューの変化値
実施例および比較例による光ディスクを、温度が25℃で、湿度が50%の恒温恒湿槽に10時間放置し、ラジアルスキューを測定する。その後温度が25℃で、湿度が90%の恒温恒湿槽に放置後再びラジアルスキューを測定し、温度が25℃で、湿度が50%の測定値を0とした時の変化量をラジアルスキューの変化値とする。
作製した光情報記録担体と、その各種測定結果を表7に示す。
Figure 2006012317
表7により次のことが分かった。ポリカーボネートの支持体の吸湿膨張係数10ppm/%RHとほぼ同じ吸湿膨張係数が12ppm/%RHのポリカーボネートフィルムを透光層の基材フィルムとして用いた光ディスクはスキュー変化値が小さい(光情報記録担体1,2)が、吸湿膨張係数が支持体のそれに対し、10ppm/%RH以上離れたセルロースアシレートフィルムを用いたものは、防湿層がないとスキューの変化値が0.6度以上となった(光情報記録担体3,5,12)。
透光層の基材フィルムとしてセルロースアシレートフィルムを用い、支持体と反対面に防湿層を設けたものはスキューの変化が0.3以下と小さかった(光情報記録担体4,6〜11,13〜16:実施例)。
セルロースアシレートフィルムにハードコート層と防湿層を設けたハードコートフィルムを貼合した光情報記録担体は、鉛筆硬度、耐擦傷性も改良された(光情報記録担体6〜11,13〜16)。
支持体1、記録層2および透光層3を具備し、透光層3に基材フィルム5と防湿層7を有する本発明の光情報記録担体の構成の一例(光情報記録担体4参照) 表面側にハードコート層6を設けた(防湿層7が最表面)本発明の光情報記録担体の構成の一例(光情報記録担体6等参照) 表面側にハードコート層6を設けた(ハードコート層6が最表面)本発明の光情報記録担体の構成の一例 図2においてさらに支持体の裏面に防湿層が形成されている本発明の光情報記録担体の構成の一例 図3においてさらに支持体の裏面に防湿層が形成されている本発明の光情報記録担体の構成の一例
符号の説明
1 支持体
2 記録層
3 透光層
4 粘着層
5 基材フィルム
6 ハードコート層
7 防湿層

Claims (14)

  1. 支持体上に記録層および透光層を具備する光情報記録担体であって、該支持体との吸湿膨張係数の差が10ppm/%RH以上であるプラスチックフィルムを該透光層に有し、かつ該プラスチックフィルム上に直接または他の層を介して防湿層を有することを特徴とする、前記光情報記録担体。
  2. 前記防湿層の水蒸気透過度が、5g/m2・日未満であることを特徴とする、請求項1に記載の光情報記録担体。
  3. 前記透光層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録担体。
  4. 350nm以上500nm以下の波長を有する光により記録されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録担体。
  5. 前記透光層のプラスチックフィルム基材が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光情報記録担体。
  6. 前記セルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数が、25〜70ppm/%RHであることを特徴とする、請求項5に記載の光情報記録担体。
  7. 前記透光層のプラスチックフィルム基材が、(A)過酸化物分解剤、(B)ラジカル連鎖禁止剤、(C)金属不活性化剤、及び(D)酸捕獲剤から選択される少なくとも1種の劣化防止剤を含有するセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の光情報記録担体。
  8. 前記支持体が、ポリカーボネートを含有する材料からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の光情報記録担体。
  9. 前記支持体の裏面に防湿層が形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の光情報記録担体。
  10. 前記支持体の吸湿膨張係数が12ppm/%RH以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の光情報記録担体。
  11. 前記透光層の表面側に、活性エネルギー線硬化樹脂を含む硬化被膜が存在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の光情報記録担体。
  12. 前記硬化被膜中に平均粒径5nm以上200nm以下の無機微粒子が含まれることを特徴とする、請求項11に記載の光情報記録担体。
  13. 前記透光層側表面の鉛筆硬度が、H以上であることを特徴とする、請求項11〜12のいずれかに記載の光情報記録担体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の光情報記録担体を、350nm以上500nm以下の波長を有する光を用いて記録および/または読みとりを行うことを特徴とする、光情報記録方法または光情報再生方法。
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