JP2000003530A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体およびその製造方法

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JP2000003530A
JP2000003530A JP10164671A JP16467198A JP2000003530A JP 2000003530 A JP2000003530 A JP 2000003530A JP 10164671 A JP10164671 A JP 10164671A JP 16467198 A JP16467198 A JP 16467198A JP 2000003530 A JP2000003530 A JP 2000003530A
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Michihiro Shibata
路宏 柴田
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録性能が高く、安価で、かつ、ガスや水分
に対する耐性の高い光情報記録媒体、および、最終的な
製品の段階では反りの生じていないものとする光情報記
録媒体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 1)透明円盤状樹脂基板10に、少なく
とも記録層12、反射層14及び保護層16が順次形成
され、保護層16が比重1.3以上の樹脂からなり、保
護層16の透湿度が5×102 g/m2 ・day 以下であ
る光情報記録媒体。2)基板成型工程と、層形成工程と
からなる光情報記録媒体の製造方法であって、基板成型
工程の際、円盤状樹脂基板10を円の中心から外周に向
けて反りが生ずるように成型し、層形成工程において、
円盤状樹脂基板10の凸側の面に少なくとも記録層1
2、反射層14、および、透湿度が5×102 g/m2
・day以下となる保護層16を順次形成する光情報記録
媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いて
情報の記録および再生を行うことができる追記型の光情
報記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光により一回限りの情報の記録が
可能な光情報記録媒体(光ディスク)は、追記型CD
(所謂、「CD−R」)とも称され、市販のCDプレー
ヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近で
は、パーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も
増大している。
【0003】CD−R型の光情報記録媒体(以下、単に
「CD−R」と称する場合がある)は、一般的にポリカ
ーボネート等からなる透明な円盤状樹脂基板上に、有機
色素からなる記録層、Au、Ag、Cu、Al等の金属
からなる反射層、UV硬化性樹脂等から成る保護層、さ
らに必要に応じて印刷層を順次積層したものである。
【0004】このCD−Rへの情報の書き込み(記録)
は、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長
のレーザ光)を光ディスクに照射することにより行わ
れ、色素記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に
温度上昇し、物理的あるいは化学的な変化(例えば、ピ
ットなどの生成)が生じてその光学的特性が変わること
により、CD−Rに情報が記録される。一方、情報の読
み取り(再生)も、通常記録用のレーザ光と同じ波長の
レーザ光をCD−Rに照射することにより行われ、色素
記録層の光学的特性が変化した部位(ピットなどの生成
による記録部分)と変化していない部位(未記録部分)
との反射率の違いを検出することにより、CD−Rに記
録された情報が再生される。
【0005】このようなCD−Rの反射層においては、
記録再生波長における反射率が高く保存性が良好である
ことから、金が用いられることも多いが、金はコスト的
に不利であることから、金以外の金属、特に銀を用いる
ことが多くなっている。しかし、銀は金と比較して腐食
性が高いため、保存性に劣る欠点がある。特に、硫化水
素や亜硫酸ガス等の腐食性ガスは、銀を腐食し、銀の硫
化物や酸化物を形成する原因となる。
【0006】また、空気中の水分も反射層腐食の原因と
なる場合があり、更に記録層の色素を分解させたり、色
素の結晶化を引き起こす原因となる場合もある。反射層
に腐食が発生した部分や、記録層の色素に異変が生じた
部分は、反射率が他の部分と異なってくるため、エラー
の原因となる。
【0007】反射層の腐食や記録層の色素の異変の原因
となるガスや水分は、保護層を通して浸透するものと、
CD−Rの外周もしくは内周のエッジ部分から侵入する
ものとがあるが、後者については、反射層の腐食される
領域が、情報が記録されない領域(CD−Rの外周もし
くは内周から一定の幅)で止まる場合がほとんどであ
り、記録再生への影響はほとんどない。従って、CD−
Rのガスや水分に対する耐性を向上するには、ガスや水
分の浸透を保護層で十分に抑制することが効果的とな
る。
【0008】ガスや水分の浸透を抑制する方法として、
保護層の厚みを大きくすることが考えられる。保護層を
厚くすることは、機械的衝撃に対するメディアの強度を
高める効果もある。しかし、保護層の膜厚を厚くしよう
とすると、保護層形成用の樹脂の塗工後の硬化時におけ
る、保護層の乾燥収縮が大きくなり、CD−R全体が大
きく反ってしまう場合があり、反りの生じたCD−Rは
記録再生に支障を来す。特に、近年、光記録録媒体にお
ける記録情報の高密度化が急速に進んでおり、これに伴
い反りに関する規格も厳しくならざるを得ない状況とな
っている。
【0009】かかる観点より、保護層形成用の樹脂とし
て、ガスや水分の透過率(例えば、「透湿度」)が低い
材料を使用し、保護層の厚みを小さくすることが考えら
れる。保護層の厚みを小さくできれば、CD−Rの反り
への影響も低く抑えることができる。しかし、保護層を
十分に薄くしつつ、ガスや水分の透過率の十分に低い材
料は未だ見出されていない。従って、従来からのガスや
水分の透過率の小さい保護層形成用の樹脂を用いた場合
でも、反射層の腐食を十分に抑制するためには、ある程
度の膜厚が必要となる。つまり、反りの問題を生じるこ
となく、CD−Rの十分な保存性を確保することは、事
実上困難といわざるを得ない。また、CD−Rの反りに
関しては、保護層の上にさらに印刷層が設けられる場
合、保護層と同様或いはそれ以上に印刷層の収縮の影響
が大きくなってくる。
【0010】特開平10−11799号公報には、基板
上に少なくとも記録層および光反射層が形成されている
光記録録媒体において、記録層が銀を主成分とし、かつ
その平均結晶粒径が200〜600Åであることを特徴
とする光記録媒体が開示され、反射層における銀粒子の
平均結晶粒径を制御することで、耐久性が向上するとの
記載がある。しかし、硫化水素や亜硫酸ガス等の腐食性
ガスの存在下に保存した場合、反射層は、銀粒子の平均
結晶粒径に関わらず腐食してしまい、結局エラーの原因
となってしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、記録性能が高く、安価で、かつ、ガスや水分に対す
る耐性(保存性)の高い光情報記録媒体を提供すること
にある。また、このような性質の光情報記録媒体を製造
する際に、従来の製造方法によれば反りを生じてしまう
ような場合にも、最終的な製品の段階では反りの生じて
いないものとする光情報記録媒体の製造方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の第1お
よび/または第2の本発明により達成される。即ち第1
の本発明は、透明な円盤状樹脂基板の一面に、少なくと
も記録層、反射層および保護層を順次形成してなる光情
報記録媒体において、保護層が少なくとも比重1.3以
上の樹脂からなり、かつ、保護層の透湿度が5×102
g/m 2 ・day以下であることを特徴とする光情報記
録媒体である。
【0013】光情報記録媒体の保存性に関しては、水分
に対する耐性の他、種々の腐食性ガスに対する耐性が問
題となってくる。即ち、水分の透過率(透湿度)の他、
種々の腐食性ガスの透過率をも低く抑えた保護層を形成
することが望まれるが、透湿度と、他のガスの透過率と
の間にはある程度の相関が有るため、透湿度を低く抑え
ることにより他のガスの透過率をも低く抑えることがで
き、光情報記録媒体は保存性の高いものとなる。
【0014】本発明者らは、鋭意検討の結果、光情報記
録媒体の保護層に要求される透湿度の条件としては、5
×102 g/m2 ・day以下であることを見出した。
さらに本発明者らは、従来保護層の材料として用いられ
てきた樹脂は、その比重が1.3より小さいものばかり
であったが、1.3以上の大きな比重の樹脂を用いるこ
とにより、薄膜でも低い透湿度を達成できることを見出
した。
【0015】このように低い透湿度の保護層を設けるこ
とにより、保存性の良好な光情報記録媒体とすることが
できる。これは反射層が、腐食性の高い銀を主成分とし
て形成されている場合に、特に有効であり、金等の貴金
属を用いる場合に比べ極めて安価に、記録性能が高く、
かつ、保存性の高い光情報記録媒体を提供することがで
きる。
【0016】第2の本発明は、透明な円盤状樹脂基板を
成型する基板成型工程と、円盤状樹脂基板の一面に、少
なくとも記録層、反射層および保護層を順次形成する層
形成工程とからなる光情報記録媒体の製造方法であっ
て、基板成型工程の際、円盤状樹脂基板を円の中心から
外周に向けて反りが生ずるように成型し、層形成工程に
おいて、円盤状樹脂基板の凸側の面に少なくとも記録
層、反射層、および、透湿度が5×102 g/m2 ・d
ay以下となる保護層を順次形成する、ことを特徴とす
る光情報記録媒体の製造方法である。
【0017】上述の如く、光情報記録媒体の保護層に要
求される透湿度としては、5×10 2 g/m2 ・day
以下であるが、保護層の材料として第1の本発明のよう
な比重の大きい樹脂を用いることなく、比重の小さい樹
脂を用い保護層の厚みが大きくなる場合にも、第2の本
発明の製造方法を適用することにより、最終的に得られ
る光情報記録媒体は、反りがなく実用に十分供し得るも
のとなり、さらに記録性能が高く、かつ、保存性の高い
ものとなる。即ち、第2の本発明は、記録層、反射層お
よび保護層等を順次形成したときに生ずる反りと反対面
側に、予め円盤状透明基板を反らしておき、その反った
凸側の面に前記各層を形成し、各層の収縮による反りと
相殺させて、結果的に得られる光情報記録媒体の反りを
なくそうとするものである。
【0018】勿論、保護層を形成する材料として第1の
本発明に用いる1.3以上の比重の樹脂を適用しつつ、
第2の本発明の構成により光情報記録媒体を製造するこ
とも可能であり、このようにすることは、より反り変形
量を小さくして精度の高いものとしたい場合や、保護層
の厚みを厚くし、より低い透湿度を確保して保存性のさ
らに高いものとしたい場合に特に有効である。
【0019】第2の本発明において、基板成型工程での
円盤状樹脂基板の反り変形量(μm)としては、最終的
に光情報記録媒体が製品として出来上がった状態で、ほ
ぼ完全に平面となるように設定することが好ましい。即
ち、基板成型工程において反りを与えない円盤状樹脂基
板の一面に、記録層、反射層、保護層、および必要に応
じて印刷層を順次形成した場合に生ずる反り変形量(μ
m)と実質的に同一(本発明において、「実質的に同
一」とは、完全同一のみならず、数十〜百ミクロンオー
ダー程度での同一をも含む概念である)となるように、
予め基板成型工程における円盤状樹脂基板の反り変形量
(μm)を設定することが好ましい。最終的な製品とし
て得られる光情報記録媒体の反り変形量(μm)として
は、0〜100μmの範囲になるように設定することが
好ましい。
【0020】このように第2の本発明によれば、低い透
湿度の保護層を設けつつも、最終的に反り変形のない、
実用に十分供し得る、保存性の良好な光情報記録媒体を
得ることができる。これは反射層が、腐食性の高い銀を
主成分として形成されている場合に特に有効であり、第
2の本発明によれば、金等の貴金属を用いる場合に比べ
極めて安価に、記録性能が高く、かつ、保存性の高い光
情報記録媒体を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 〔円盤状樹脂基板〕円盤状樹脂基板(以下、単に「基
板」という場合がある)の材料としては、従来の光情報
記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任
意に選択することができ、例えばガラス;ポリカーボネ
ート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹
脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィンおよび
ポリエステルなどを挙げることができる。これらは、所
望により併用してもよい。上記材料の中では、耐湿性、
寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが
好ましい。
【0022】記録層が設けられる側の基板表面には、平
面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防止の目
的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料として
は例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メ
タクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合
体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルア
ミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスル
ホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニ
ル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミ
ド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート等の高分子物質;およびシランカップリン
グ剤などの表面改質剤を挙げることができる。下塗層
は、上記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液
を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコ
ート、エクストルージョンコートなどの塗布法を利用し
て基板表面に塗布することにより形成することができ
る。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲
にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0023】基板(または下塗層)上には、トラッキン
グ用溝またはアドレス信号等の情報を表す凹凸(以下、
両者を総合して「プレグルーブ」という)が形成されて
いることが好ましい。このプレグルーブは、ポリカーボ
ネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出成形する
際に直接基板上に形成されることが好ましい。
【0024】また、プレグルーブの形成を、プレグルー
ブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層
の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステ
ル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なく
とも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始
剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層
は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に
上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からなる混
合液を塗布し、更にこの塗布液層上に基板を載せたの
ち、基板または母型を介して紫外線を照射するにより塗
布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させ、次いで、
基板を母型から剥離することにより形成することができ
る。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜100
μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの範囲
である。
【0025】プレグルーブの深さは0.01〜0.3μ
mの範囲にあることが好ましく、またその半値幅は、
0.2〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。この
プレグルーブの深さとしては、0.13〜0.25μm
の範囲にすることが、反射率を殆ど低下させることなく
感度を向上させることができるため、特に好ましい。従
って、このような深いプレグルーブを設けた基板に記録
層および反射層を形成した光ディスクは、高い感度を有
することから、低いレーザーパワーでも記録が可能とな
り、これにより安価な半導体レーザの使用が可能とな
る、あるいは半導体レーザの使用寿命を延ばすことがで
きる等の利点を有する。
【0026】〔記録層〕基板上には記録層が設けられ
る。記録層は、色素、及び必要に応じて結合剤やその他
添加剤を適当な溶剤に溶解もしくは分散した記録層形成
用塗布液を、所定の手段により基板(または下塗層)上
に塗布することにより形成する。記録層に使用される色
素としては従来から光情報記録媒体に使用されていた公
知の色素が含まれるが、好ましくはシアニン色素、更に
好ましくはベンゾインドレニン色素、最も好ましくは一
般式(1)で示される色素が使用される。
【0027】
【化1】
【0028】式中、R1 及びR2 は一価の置換基であれ
ば何でもよいが、エーテル又はエステル結合を含んでも
よい炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜12、更に
好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が
好ましく、特に無置換のアルキル基が好ましい。R1
びR2 は同じでも異なっていてもよい。
【0029】また、R3 は水素又は1価の置換基であれ
ば何でもよいが、好ましくは水素、炭素数1〜16のア
ルキル基、ハロゲン、アラルキル基であり、特に好まし
くはメチル基である。R4 〜R9 は水素又は1価の炭化
水素基であれば何でもよいが、好ましくは水素、炭素数
1〜8のアルキル基、ハロゲン、アラルキル基であり、
特に好ましくはメチル基である。また、R4 〜R9 は同
じでも異なっていてもよい。
【0030】記録層には添加剤として、退色防止剤、酸
化防止剤、UV(紫外線)吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤
などが目的に応じて使用される。退色防止剤としては、
以下の一般式(2)で示されるものが好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】式中、R10及びR11は水素又は一価の置換
基であれば何でもよいが、好ましくはアルキル基であ
り、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、
10及びR11は同じでも異なっていてもよい。
【0033】また、記録層には結合剤を使用することも
できる。結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セル
ロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然
有機高分子物質;およびポリウレタン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の
炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニ
ル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メ
チル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化
ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘
導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性
樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることが
できる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、
結合剤の使用量は、色素100重量部に対して0.2〜
20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部、更に好
ましくは1〜5重量部である。
【0034】記録層形成用塗布液の溶剤の例としては、
酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジク
ロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメ
チルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの
炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオ
キサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンア
ルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフ
ロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
などのグリコールエーテル類などを挙げることができ
る。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独し
ようするか、または二種以上を適宜併用することができ
る。
【0035】色素、結合剤、及び添加剤を溶剤に溶解・
分散させるには超音波振動機を使用することが好まし
く、具体的には超音波振動機を取り付けた水浴内に色
素、添加剤及び溶剤を入れた容器を浸漬する。使用する
超音波振動機は何でもよいが、出力が容器1リットル当
たり10W以上のものが好ましく、30W以上のものが
さらに好ましい。なお、色素及び添加剤等の固体物は、
予め混合前に乳鉢等で粉砕しておくことが好ましい。
【0036】このようにして調製される記録層形成用塗
布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10重量%の
範囲にあり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にあ
る。
【0037】記録層形成用塗布液の塗布方法としては、
スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコー
ト法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリー
ン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも
重層でもよい。記録層の層厚は一般に20〜500nm
の範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にあ
る。
【0038】〔反射層〕上記色素記録層の上には、特に
情報の再生時における反射率の向上の目的で、光反射層
が設けられる。光反射層の材料である光反射性物質はレ
ーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例として
は、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、
Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Z
n、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、P
b、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属、あるいは
ステンレス鋼を挙げることができる。これらのうちで好
ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、
Alおよびステンレス鋼である。これらの物質は単独で
用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または
合金として用いてもよい。特に好ましくはAu、Agあ
るいはこれらと、Pt、Cu、及びAlから選ばれる少
なくとも一種の金属を含む合金である。本発明において
は、保護層による水分、腐食性ガスの侵入を防止するこ
とができるため、コスト的に有利なAg、あるいはAg
と、Pt、Cu、及びAlから選ばれる少なくとも一種
の金属とを含む合金を用いることが最適である。
【0039】反射層は、例えば、上記光反射性物質を真
空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングす
ることにより記録層の上に形成することができる。反射
層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲にあ
り、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましく
は50〜300nmの範囲である。
【0040】〔保護層〕反射層の上には、記録層や反射
層を物理的および化学的に保護する目的で保護層が設け
られる。保護層に用いられる材料の例としては、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を
挙げることができる。本発明においては、透湿度が5×
102 g/m2 ・day以下となるように保護層を形成
する必要がある。透湿度としては、より好ましくは4.
0g/m2 ・day以下、さらに好ましくは3.0g/
2 ・day以下である。
【0041】本発明において保護層の透湿度(g/m2
・day)とは、光情報記録媒体表面上に形成された保
護層を剥離して得た、保護層のフィルムについて測定し
た値である。測定方法としては、JIS Z 0208
に準拠(40℃、相対湿度90±2%)した方法で行う
ことも可能であるが、その場合、測定値の振れが大きく
生じてしまうことがあるため、本発明においては、主と
して水蒸気透過度テスタL80−4000H(Dr.G
eorges H.LYSSY)を用い、温度40℃、
湿度10%−100%の条件で測定した。
【0042】透湿度を上記所定の値とするには、一般に
保護層の厚みを大きくすることにより達成することがで
きる。しかし、前述の如く、保護層はなるべく薄いこと
が望まれる。そのため、第1の本発明においては、比重
が1.3以上である樹脂を保護層の材料として用いる。
比重の大きい保護層とすることで、薄膜であっても透湿
度を抑えることができる。これは、比重が大きいという
ことは、架橋密度が高いこと、および/または、原子量
の大きな元素が含まれていることを意味し、架橋密度が
高ければ形成される保護層の空隙が小さくなるため、一
方、原子量の大きな元素が含まれていれば該元素の電子
雲の広がりが大きくなり、結果として形成される保護層
の空隙が小さくなるため、それぞれ透湿度を低く抑える
ことができるものと考えられる。
【0043】このとき保護層を形成する樹脂の比重とし
ては、前述の如く1.3以上であることが好ましく、よ
り好ましくは1.31以上であり、さらに好ましくは
1.32以上である。比重が1.3未満では、薄膜で透
湿度を低く抑えることができなくなるため好ましくな
い。なお、比重の上限は特に限定されないが、1.5を
超える樹脂の合成は事実上困難である。なお、本発明に
おいて比重とは、25℃の環境下における水の質量
(a)に対する同体積の測定対象物の質量(x)の比
(x/a)をいう。
【0044】このように比重の大きな保護層形成用の樹
脂としては、ペンタエリトリトールトリアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリ
レート、ポリエチレングリコールジアクリレート等の多
官能アクリレートモノマーや、これらのメタアクリレー
トモノマー等が挙げられる。また、ダイキュアクリアS
D−318、ダイキュアクリアSD−2003(以上、
UV硬化樹脂、アクリル酸エステル系、大日本インキ化
学社製)等の商品名で市場より容易に入手することがで
きる。
【0045】保護層の厚みとしては、一般的には0.1
〜100μmの範囲にある。しかし、本発明において
は、透湿度を5×102 g/m2 ・day以下となるよ
うに抑え得る厚み以上であることが必須となり、使用す
る材料により層厚の下限値は異なってくる。第1の本発
明においては、薄くても透湿度の低い材料を用いている
ため、大略6〜8μm程度の範囲に保護層を形成すれば
十分であり、透湿度を所望の値に為し得る範囲で、でき
る限り薄い保護層とすることが好ましい。また、後述す
る第2の本発明によれば、保護層の厚膜化による光情報
記録媒体の変形という弊害を修正することが可能である
ため、透湿度を所望の値に為し得るだけの厚みとすれば
良く、保護層の厚みに限定はない。
【0046】保護層は、例えば、プラスチックの押出加
工で得られたフィルムを反射層上に、真空蒸着、スパッ
タリング、塗布等の方法により形成することができる。
また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これら
を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのち、この塗
布液を塗布し、乾燥することによっても形成することが
できる。UV硬化性樹脂の場合には、溶剤を使用するこ
となくそのまま、もしくは適当な溶剤に溶解して塗布液
を調製したのち、この塗布液を塗布し、UV光を照射し
て硬化させることによって形成することができる。これ
らの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV
吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0047】〔印刷層〕本発明の光情報記録媒体には、
記録された情報のインデックスとして使用可能な印刷層
を保護層の上に設けることもできる。印刷層は、後の印
刷が容易な材料とすることが望ましく、具体的には、ア
クリル酸エステル系の紫外線硬化型インクやウレタン系
の紫外線硬化型インク等の材料を用いることができる。
【0048】印刷層の形成は、保護層同様、上記材料を
適当な溶剤に溶かして塗布液を調製したのち、この塗布
液を塗布し、乾燥または硬化することによって形成する
ことができ、フィルム状の印刷層をラミネートすること
により形成することもできる。
【0049】〔製造方法〕本発明の光情報記録媒体は、
前述の透明な円盤状樹脂基板を加圧成型、射出成型等に
より成型する基板成型工程と、該円盤状樹脂基板の一面
に、少なくとも記録層、反射層、保護層および必要に応
じて印刷層を順次形成する層形成工程とからなる製造方
法により得られる。保護層を第1の本発明の構成のもの
とし、光情報記録媒体に反りがほとんど生じない場合に
は、製造方法について特に制限はない。
【0050】しかし、保護層の材料として第1の本発明
のような比重の大きい樹脂を用いることなく、比重の小
さい樹脂を用い保護層の厚みが大きくなる場合には、以
下に示す第2の本発明の構成を採用する必要が生じてく
る。
【0051】図を用いて第2の本発明を説明する(な
お、図においては内容の明確化のため反りを誇張してい
る)。図1に示すように基板成型工程の際、予め円盤状
樹脂基板10を円の中心から外周に向けて反りが生ずる
ように成型する。そして、図2に示すように層形成工程
において、円盤状樹脂基板10の凸側の面に記録層1
2、反射層14、透湿度が5×102 g/m2 ・day
以下となる保護層16、および必要に応じて印刷層(不
図示)を順次形成する。保護層16や印刷層の形成時、
これらが収縮することで反りが発生するが、その反りの
方向とは逆側に基板を予め反らせておくことで、双方の
反りが相殺され、図3に示すように最終的な製品の反り
を事実上なくすことができる。このように第2の本発明
によれば、低い透湿度の保護層16を設けつつも、最終
的に反り変形のない、実用に十分供し得る、保存性の良
好な光情報記録媒体を得ることができる。
【0052】勿論、保護層を形成する材料として第1の
本発明に用いる1.3以上の比重のものを適用しつつ、
第2の本発明の構成により光情報記録媒体を製造するこ
とも可能であり、より反り変形量を小さくして精度の高
いものとしたい場合や、保護層の厚みを厚くし、より低
い透湿度を確保して保存性のさらに高いものとしたい場
合に特に有効である。
【0053】基板成型工程での円盤状樹脂基板の反り変
形量(μm)としては、最終的に光情報記録媒体が製品
として出来上がった状態で、ほぼ完全に平面となるよう
に設定することが好ましい。即ち、基板成型工程におい
て反りを与えない円盤状樹脂基板の一面に、記録層、反
射層、保護層、および必要に応じて印刷層を順次形成し
た場合に生ずる反り変形量(μm)と実質的に同一とな
るように、予め基板成型工程における円盤状樹脂基板の
反り変形量(μm)を設定することが好ましい。
【0054】ここで、本発明にいう反り変形量(μm)
について説明する。図4に示すように、反り変形のある
基板の中心Oを接点とする仮想的な接線Bを引いた場合
の、半径rの位置における基板上の点Hと、接線Bとの
距離hを、本発明における半径rの位置における反り変
形量(μm)と定義する。
【0055】光情報記録媒体として上市されている、い
わゆるCD−Rは、半径60mmのドーナツ状の円盤で
ある。反り変形量としては、中心から任意の半径rの位
置における反り変形の量で規定することが可能である
が、CD−Rにおいては中心から58mmよりも外側に
は基本的に情報は記録されない。従って、反り変形とし
て問題となるのは、中心から58mmの位置での反り変
形量である。つまり、半径rとしては58mm(中心か
ら58mmの位置)とすることが理想的ではあるが、本
発明においては、測定のばらつき防止等の都合上、半径
r=55mm(中心から55mmの位置)の値で代用し
た。
【0056】実際の反り変形量の測定については、一般
のディスク機械特性評価機を使用することで容易に行う
ことができる。本発明においては、小野測器社製Opt
ical Disk Tester LM100Aを用
いて測定を行った。なお、本明細書において、反り変形
量(μm)の値に+あるいは−の記号が付されている場
合には、+は基板面(記録層等の各層が形成されない
面)が凸状になるようにかかる変形量の分だけ変形して
いることを表し、−はその逆方向に変形していることを
表す。
【0057】最終的な製品として得られる光情報記録媒
体の反り変形量(μm)としては、0〜100μmの範
囲になるように設定することが好ましく、より好ましく
は0〜+100μm、さらに好ましくは+50〜+10
0μmである。円盤状樹脂基板10を円の中心から外周
に向けて反りが生ずるように成型する方法としては、型
枠自体を所望の反り形状となるようにしておく方法の
他、基板成型工程が射出成型による場合、射出成型装置
の可動側と固定側の冷却温度を若干違える方法がある。
後者の方法は、温度差により円盤状樹脂基板10の両面
に収縮率の差が生じ、反り変形量の微妙な調整が容易に
できるため、好ましい。
【0058】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
限定されるものではない。 (実施例1)射出成形機(住友重機械工業(株)製)を
用いて、ポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネ
ートパンライトAD5503)を、厚さ1.2mm、直
径120mm、中心に15mmの円形の孔を有するドー
ナツ状板体であって、スパイラル状のグループ(深さ1
75nm、幅520nm、トラックピッチ1.6μm)
を有する円盤状基板を成型した。このとき、射出成型し
た円盤状基板の反り変形量は0μmとした。
【0059】上記円盤状基板のグルーブがある側の表面
上に、記録層塗布液を、スピンコート法により回転数を
300rpmから2000rpmまで変化させながら塗
布し、記録層を形成した。形成された記録層の膜厚は平
均150nmだった。記録層塗布液は、以下に示すイン
ドレニン系シアニン色素Aと退色防止剤Bとを、2,
2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解し、超
音波分散機で1時聞分散したものを用いた。インドレニ
ン系シアニン色素Aと退色防止剤Bとの混合比は、重量
比でA:B=10:1とした。なお、超音波分散機での
分散は、インドレニン系シアニン色素Aや退色防止剤B
の溶け残りを無くす効果がある。
【0060】
【化3】
【0061】次に、記録層上に銀をスパッタして膜厚約
150nmの反射層を形成した。反射層形成後、イオン
ブローによって反射層表面の塵を除去し、紫外線硬化樹
脂(大日本インキ化学社製ダイキュアクリアSD−31
8)をスピンコート法により60rpmから4000r
pmまで変化させながら塗布し、これにメタルハライド
ランプにて紫外線を照射して硬化させ、保護層を形成し
た。
【0062】更に保護層の上に印刷層として、紫外線硬
化性インク(帝国インキ製造社製、UV PAL−71
216)をスクリーン印刷及び紫外線硬化により形成
し、光情報記録媒体を得た。最終的に完成した光情報記
録媒体の反り変形量は+40μmだった。
【0063】保護層の厚みは、内周(半径25mmの位
置)/中周(半径40mmの位置)/外周(半径55m
mの位置)が6.8/8.1/9.5(μm)だった。
また、印刷層の厚みは、同様に内周/中周/外周が1
2.3/13.3/13.5(μm)だった。
【0064】また、この保護層を剥離して得た、保護層
のフィルムについて、40℃、10%RH−100%R
Hの条件下で水蒸気透過度テスタ(L80−4000
H)を用いて透湿度を測定したところ、3.0×102
g/m2 ・dayだった。尚、この硬化後の保護層の比
重(温度25℃)を測定したところ、1.33g/cm
3 だった。
【0065】(実施例2)実施例1と同様にして、円盤
状基板を射出成型した。このとき円盤状基板の反り変形
量は、−80μmとした。さらに実施例1と同様にし
て、記録層及び反射層を形成した。反射層形成後、イオ
ンブローによって、反射層表面の塵を除去し、紫外線硬
化樹脂(大日本インキ化学社製 ダイキュアクリアSD
−2003)をスピンコート法により60rpmから2
000rpmまで変化させながら塗布し、これにメタル
ハライドランプにて紫外線を照射して硬化させ、保護層
を形成した。
【0066】更に保護層の上に印刷層として、紫外線硬
化性インク(帝国インキ製造社製、UV PAL−71
216)をスクリーン印刷及び紫外線硬化により形成
し、光情報記録媒体を得た。最終的に完成した光情報記
録媒体の反り変形量は+50μmだった。
【0067】保護層の厚みは、内周(半径25mmの位
置)/中周(半径40mmの位置)/外周(半径55m
mの位置)が13.2/15.2/18.4(μm)だ
った。また、印刷層の厚みは、同様に内周/中周/外周
が12.1/13.5/13.0(μm)だった。
【0068】また、この保護層を剥離して得た、保護層
のフィルムについて、40℃、10%RH−100%R
Hの条件下で水蒸気透過度テスタ(L80−4000
H)を用いて透湿度を測定したところ、4.0×102
g/m2 ・dayだった。尚、この硬化後の保護層の比
重(温度25℃)を測定したところ、1.20g/cm
3 だった。
【0069】(比較例1)保護層を形成する材料とし
て、SD−1700(大日本インキ化学社製)を用いた
以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製
した。最終的に完成した光情報記録媒体の反り変形量は
+50μmだった。
【0070】保護層の厚みは、内周(半径25mmの位
置)/中周(半径40mmの位置)/外周(半径55m
mの位置)が6.7/8.3/9.2(μm)だった。
また、印刷層の厚みは、同様に内周/中周/外周が1
2.5/13.2/13.6(μm)だった。
【0071】この保護層を剥離して得た、保護層のフィ
ルムについて、40℃、10%RH−100%RHの条
件下で水蒸気透過度テスタ(L80−4000H)を用
いて透湿度を測定したところ、2.1×103 g/m2
・dayだった。尚、この硬化後の保護層の比重(温度
25℃)を測定したところ、1.12g/cm3 だっ
た。
【0072】(比較例2)射出成型時の円盤状基板の反
り変形量を0μmにした以外は、実施例2と同様にし
て、光情報記録媒体を作製した。最終的に完成したメデ
ィアの反りは、+180μmだった。
【0073】保護層の厚みは、内周(半径25mmの位
置)/中周(半径40mmの位置)/外周(半径55m
mの位置)が13.0/15.3/18.6(μm)だ
った。また、印刷層の厚みは、同様に内周/中周/外周
が11.9/13.3/13.2(μm)だった。
【0074】この保護層を剥離して得た、保護層のフィ
ルムについて、40℃、10%RH−100%RHの条
件下で水蒸気透過度テスタ(L80−4000H)を用
いて透湿度を測定したところ、2.2×102 g/m2
・dayだった。尚、この硬化後の保護層の比重(温度
25℃)を測定したところ、1.21g/cm3 だっ
た。
【0075】[光記録媒体の記録特性・保存性の評価]
実施例1、2及び比較例1、2で作製した光情報記録媒
体について、記録特性(初期特性)及び保存性の評価を
行った。詳細は以下の通りである。
【0076】1.記録特性(初期特性) 初期特性は、パルステック社製OMT2000評価機を
用いて、4倍速で記録し1倍速で再生した場合の特性を
評価した。特性値としては、BLER(Block e
rror rate(C1 error)・・・ゲート
期間中のC1エラーの総数をゲート測定時間tで割っ
た、1秒平均のエラー数)と11TBJ(11T bl
ank Jitter・・・11T長のblank信号
の標準偏差に相当)の値を用い、記録パワーを9mWか
ら15mWの間で最も記録特性の良好な記録パワーでの
記録再生特性を示したもので、内周(半径25mmの位
置)/中周(半径40mmの位置)/外周(半径55m
mの位置)の3ヶ所について測定した。その結果を下記
表1に示す
【0077】
【表1】
【0078】2.保存性 保存性の評価として、A:サーモ保存試験、および腐食
性ガスに対する試験として、B:亜硫酸ガス試験とC:
硫化水素ガス試験とを実施した。以下の保存性試験の評
価については、記録特性(初期特性)同様の方法により
BLER/11TBJの再生特性を代表して測定するこ
とにより行った。なお、測定箇所は中周(半径40mm
の位置)のみについて行った。
【0079】A:サーモ保存試験 60℃85%RHの環境下に0時間(初期)、120時
間、および360時間保存した後に再生特性を評価し
た。
【0080】B:亜硫酸ガス試験 亜硫酸ガス15ppm、40℃80%RHの環境下に0
時間(初期)、72時間、および240時間保存した後
に再生特性を評価した。
【0081】C:硫化水素ガス試験 硫化水素ガス5ppm、40℃80%RHの環境下に0
時間(初期)、72時間、および240時間保存した後
に再生特性を評価した。
【0082】以上の結果を下記表2〜4に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、記録性能が高く、安価
で、かつ、ガスや水分に対する耐性(保存性)の高い光
情報記録媒体を提供することができる。また本発明によ
れば、このような性質の光情報記録媒体を製造する際
に、従来の製造方法では反りを生じてしまうような場合
にも、最終的な製品の段階では反りの生じていないもの
とすることができ、記録再生に支障を来すことのない、
実用に十分供し得る光情報記録媒体を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の本発明における基板成型工程終了後の円
盤状樹脂基板を表す断面図である。
【図2】第2の本発明における層形成工程終了直後の状
態を表す断面図である。
【図3】第2の本発明により最終的に得られる光情報記
録媒体を表す断面図である。
【図4】本発明における反り変形量を説明するための円
盤状樹脂基板の断面図である。
【符号の説明】
10:円盤状樹脂基板 12:記録層 14:反射層 16:保護層 18:円形の孔

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な円盤状樹脂基板の一面に、少なく
    とも記録層、反射層および保護層を順次形成してなる光
    情報記録媒体において、保護層が少なくとも比重1.3
    以上の樹脂からなり、かつ、保護層の透湿度が5×10
    2 g/m2 ・day以下であることを特徴とする光情報
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 反射層が、銀を主成分とする材料により
    形成されることを特徴とする請求項1に記載の光情報記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 透明な円盤状樹脂基板を成型する基板成
    型工程と、該円盤状樹脂基板の一面に、少なくとも記録
    層、反射層および保護層を順次形成する層形成工程とか
    らなる光情報記録媒体の製造方法であって、 基板成型工程の際、円盤状樹脂基板を円の中心から外周
    に向けて反りが生ずるように成型し、 層形成工程において、円盤状樹脂基板の凸側の面に少な
    くとも記録層、反射層、および、透湿度が5×102
    /m2 ・day以下となる保護層を順次形成する、こと
    を特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板成型工程において反りを与えない円
    盤状樹脂基板の一面に、記録層、反射層および保護層を
    順次形成したときに生ずる反り変形量(μm)と実質的
    に同一となるように、基板成型工程における円盤状樹脂
    基板の反り変形量(μm)を設定することを特徴とする
    請求項3に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板成型工程において反りを与えない円
    盤状樹脂基板の一面に、記録層、反射層、保護層および
    印刷層を順次形成したときに生ずる反り変形量(μm)
    と実質的に同一となるように、基板成型工程における円
    盤状樹脂基板の反り変形量(μm)を設定することを特
    徴とする請求項3に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 最終的な反り変形量(μm)が0〜10
    0μmの範囲になるように設定することを特徴とする請
    求項4または5に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 保護層が、少なくとも比重1.3以上の
    樹脂からなることを特徴とする請求項3ないし6のいず
    れか1に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 反射層が、銀を主成分とする材料により
    形成されることを特徴とする請求項3ないし7のいずれ
    か1に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3ないし8のいずれか1に記載の
    光情報記録媒体の製造方法により得られる光情報記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001043128A1 (fr) * 1999-12-08 2001-06-14 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Disque optique et composition de sechage sous ultraviolet destinee a un disque optique

Cited By (2)

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WO2001043128A1 (fr) * 1999-12-08 2001-06-14 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Disque optique et composition de sechage sous ultraviolet destinee a un disque optique
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