JP2005339755A - 光情報記録担体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体において、使用済みの不要になった支持体がリサイクル可能である光情報記録担体を提供する。
【解決手段】 光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体であって、紙とプラスチックの複合体からなる支持体5と、該支持体上に形成され、情報信号を記録可能な記録層4と、該記録層上に形成され、光を透過する透光層2とを少なくとも有する光情報記録担体において、該支持体のプラスチックが水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性である光情報記録担体。
【選択図】 図1
【解決手段】 光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体であって、紙とプラスチックの複合体からなる支持体5と、該支持体上に形成され、情報信号を記録可能な記録層4と、該記録層上に形成され、光を透過する透光層2とを少なくとも有する光情報記録担体において、該支持体のプラスチックが水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性である光情報記録担体。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光学的手段や磁気的手段などにより記録・再生が可能な情報記録担体に関し、特に光学的手段によって再生を行うことのできる光情報記録担体に関する。更に精しくは、不要になった光情報記録担体のリサイクルに関する。
従来、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録担体として、CD−Rと称される光情報記録担体が広く知られている。CD−Rは、市販のCDプレーヤを用いて再生できる利点を有しており、また最近ではパーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。また、CD−Rより大容量の記録が可能な光情報記録担体として、デジタル・ハイビジョンの録画などに対応するための追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD−R)も実用化されている。
このように、増大を続ける光情報記録担体の需要に伴ない、使用され廃却される光情報記録担体の量も増大を続け、その処理が大きな環境問題となっている。すなわち、現在は、プラスチックを主体とした光情報記録担体を使用しているため、リサイクルが出来ず、埋め立てまたは焼却されているのが現状であり、資源の無駄遣い、地球温暖化の観点から好ましくない状況であるにもかかわらず、今だに対策がとられていない現状である。
容器、包装の分野では、リサイクルが各方面で取り組まれている。プラスチックと紙の複合体であり、それにリサイクル性を付与する手段として、特開平9−111693号公報にアクリル系樹脂エマルジョンを紙に含浸させたものがある。これらは紙の表面の平面性が不十分で、前述の光情報記録担体としては不適当であり、しかも、これら複合体は回収工程で紙の繊維を溶解する溶液中にアクリル樹脂が分離され廃液中に微粒子として残留するため、紙繊維分離後に、更なるアクリル粒子回収が必要とされる。
プラスチックを使わない耐水耐油紙としては、有機化合物の中で自由表面エネルギが小さい部類に属するフッ素樹脂を内添および/または外添したものがある。この耐水耐油紙は離解性があり資源回収が容易で再生原料として使用可能である。しかし、この用途に市販されているフッ素樹脂(例えば、旭硝子(株)製,『アサヒガード』、住友3M社製,『スコッチバン』等)は分子中に親水基を含むため、特に湿度変化による寸法安定性に難点が残る。
これら市販フッ素樹脂のもつ課題を解決するために幾つかの方法が提案されており、例えば、フッ素系耐油剤とリン酸化グアーガムを抄紙原料に内添併用する方法(特開昭57−167496号公報)、抄紙原料にカチオン化デンプンを内添し抄紙乾燥後、ポリフルオロカーボンリン酸アンモニウムエステル溶液を塗布する方法(特開平5−272095号公報)などが開示されている。しかし、いずれもフッ素樹脂の特性をカバーするために新しい薬品を併用すると別の特性が低下するという悪循環がみられ、結果的にフッ素樹脂の必要量が増加しコストが高いものになってしまう。
また、特開平11−302995号公報では抄紙原紙にアクリル系樹脂を含浸し、その剛性、靭性を向上させさせたリサイクル可能な含浸紙を提案しているが、この方法では樹脂量を20%以下と低く抑えるため、含浸紙表面の平面性を保つには至らず、光情報記録担体として使用できない。
更に、危惧すべき観点は、上記対策は何れも石油原料の樹脂を使用している点である。地球資源の枯渇問題が取り上げられている現在、可能な限り持続可能な原材料構成で商品設計をすることが、商品開発者の目指すところである。
一方、これら追記型光情報記録担体としては、例えば、円盤状支持体上に、Auなどからなる光反射層と、有機化合物からなる記録層と、更に、該記録層を保護する透光層(記録層と接着させるための接着層を含む。カバー層ともいう。)とが順次積層された構造のものが知られており、レーザ光が透光層側から照射されることで、記録及び再生を行うことができる。追記型光情報記録担体への情報の記録は、記録層のレーザ光照射部分がその光を吸収して局所的に発熱変形(例えば、ピットなどの生成)することにより行われる。一方、情報の再生は、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を追記型光情報記録担体に照射して、記録層が発熱変形した部位(記録部分)と変形していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の光情報記録担体が必要とされている。上記のDVD−Rは現状では大容量の光情報記録担体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる光情報記録担体の開発も必要である。このため、光情報記録担体としては、更に、短波長の光で高密度の記録を行うことができる、より大容量の光情報記録担体の開発が進められている。特に、1回限りの情報の記録が可能な追記型光情報記録担体は、大容量の情報の長期保存又はバックアップ用としての使用頻度が高まりつつあるため、その開発に対する要求は強い。
通常、光情報記録担体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、ピックアップに使用する対物レンズの高NA(開口数(Numerical Aperture))化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録担体の開発も行われている。特に、青紫色レーザ
の発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録担体及び光記録システムは、既に、DVRシステムとして発表されている(例えば、非特許文献1参照)。これにより、書換型光情報記録担体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
の発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録担体及び光記録システムは、既に、DVRシステムとして発表されている(例えば、非特許文献1参照)。これにより、書換型光情報記録担体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録担体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射する光情報記録担体表面から記録層まで(すなわち透光層)を薄化することが好ましい。このため規格上、透光層の厚みは100μmに設定されている。このような光情報記録担体は、上述のように高NAピックアップを利用しているため、ピックアップと透光層との間隔が小さく、光情報記録担体の面ブレによってピックアップと透光層とが接触してしまい、透光層に傷が発生しやすいという問題を有していた。この問題に対して、透光層上にスピンコート法や真空堆積法を用いて傷つき防止層やハードコート層を設け、透光層の傷つきを防止する方法が既に提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかしながら、これらの傷つき防止層やハードコート層は、透光層上に枚葉式で設けられるため、生産性が低いという課題を有していた。また、スピン
コート法でこれらの傷つき防止層やハードコート層を設ける場合、遠心力によりより外周部の層厚が厚くなりやすく、厚みの精度が十分ではないという課題を有していた。
コート法でこれらの傷つき防止層やハードコート層を設ける場合、遠心力によりより外周部の層厚が厚くなりやすく、厚みの精度が十分ではないという課題を有していた。
一方、セルロースアシレートフィルムのような透明で薄いフィルムを用い、接着剤又は粘着剤を用いて記録層に接着することで透光層を構成する方法がある(例えば、特許文献3および4参照)。透光層の厚さは、通常、接着剤又は粘着剤が硬化し形成された接着層又は粘着層を含め約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。このような方法で構成された光情報記録担体は生産性は優れているものの、市販されているセルロースアシレートフィルムには、15〜20質量%のリン酸エステル系および/あるいはフタル酸エステル系の可塑剤が含まれており、高温高湿度の条件下において可塑剤の移行や揮発による減少などの原因から寸度に変化が生じ、ひいてはカールを生じ、接着力が劣化するなどの問題が生じ、結果的に情報記録ができなくなったり、記録された情報を読み取れなくなったりするという問題がある。
また、環状ポリオレフィンからなるフィルムを透光層に用いた光情報記録担体が特許文献5に記載されているが、表面の耐擦傷性は十分とは言えなかった。
また、環状ポリオレフィンからなるフィルムを透光層に用いた光情報記録担体が特許文献5に記載されているが、表面の耐擦傷性は十分とは言えなかった。
本発明は、不要となった光情報記録担体のリサイクルを可能にすることを目的とする。また、本発明は、光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体において、保存安定性に優れ、特に、高温高湿度の条件下においても透光層に寸度変化やカール発生が生じることなく、記録・再生を良好に行うことのできる光情報記録担体を提供することも目的とする。更に、光入射表面の傷発生が効果的に防止され、保存安定性にも優れた光情報記録担体を提供することも目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ね、以下の構成により上記課題を解決できることが判った。
(1)支持体、記録層および透光層を有する光情報記録担体において、該支持体が、紙とプラスチックとからなる紙プラスチック複合構造体であり、且つ該プラスチックが水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であることを特徴とする、前記光情報記録担体。
(2)前記プラスチックが、植物を原料とするプラスチックを含むことを特徴とする、(1)に記載の光情報記録担体。
(3)前記植物を原料とするプラスチックが、セルロース誘導体であることを特徴とする、(2)に記載の光情報記録担体。
(4)前記セルロース誘導体が、セルロースヒドロシキアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸エステルおよびセルロースアセテートフタレート誘導体からなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、(3)に記載の光情報記録担体。
(5)前記透光層の厚みが、前記支持体の厚みよりも薄いことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(6)前記透光層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(7)前記透光層が、ポリカーボネートフィルムからなることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(8)前記透光層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(9)前記透光層の表面に活性エネルギー線硬化樹脂を含むハードコート層が存在することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(10)前記ハードコート層が、分子内にエチレン性不飽和基を2個以上有する硬化性樹脂および/または開環重合性基を有する硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成された硬化皮膜からなることを特徴とする、(9)に記載の光情報記録担体。
(11)表面の前記硬化被膜中に平均粒径5nm以上200nm以下の無機微粒子が含まれることを特徴とする、(9)または(10)に記載の光情報記録担体。
(12)前記透光層側の表面の水に対する接触角が、該表面に対して90度以上であることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(13)前記透光層側の表面の鉛筆硬度が、H以上であることを特徴とする、請求項(9)〜(12)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の前記光情報記録担体を用い、350nm以上450nm以下の光を用いて記録あるいはまた読みとりを行うことを特徴とする、光情報記録方法あるいは光情報再生方法。
(1)支持体、記録層および透光層を有する光情報記録担体において、該支持体が、紙とプラスチックとからなる紙プラスチック複合構造体であり、且つ該プラスチックが水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であることを特徴とする、前記光情報記録担体。
(2)前記プラスチックが、植物を原料とするプラスチックを含むことを特徴とする、(1)に記載の光情報記録担体。
(3)前記植物を原料とするプラスチックが、セルロース誘導体であることを特徴とする、(2)に記載の光情報記録担体。
(4)前記セルロース誘導体が、セルロースヒドロシキアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸エステルおよびセルロースアセテートフタレート誘導体からなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、(3)に記載の光情報記録担体。
(5)前記透光層の厚みが、前記支持体の厚みよりも薄いことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(6)前記透光層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(7)前記透光層が、ポリカーボネートフィルムからなることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(8)前記透光層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(9)前記透光層の表面に活性エネルギー線硬化樹脂を含むハードコート層が存在することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(10)前記ハードコート層が、分子内にエチレン性不飽和基を2個以上有する硬化性樹脂および/または開環重合性基を有する硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成された硬化皮膜からなることを特徴とする、(9)に記載の光情報記録担体。
(11)表面の前記硬化被膜中に平均粒径5nm以上200nm以下の無機微粒子が含まれることを特徴とする、(9)または(10)に記載の光情報記録担体。
(12)前記透光層側の表面の水に対する接触角が、該表面に対して90度以上であることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(13)前記透光層側の表面の鉛筆硬度が、H以上であることを特徴とする、請求項(9)〜(12)のいずれかに記載の光情報記録担体。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の前記光情報記録担体を用い、350nm以上450nm以下の光を用いて記録あるいはまた読みとりを行うことを特徴とする、光情報記録方法あるいは光情報再生方法。
本発明によれば、不要になった光情報記録担体をリサイクルし、資源の有効利用できる点が有効である。また、保存安定性に優れ、高温高湿下においても平面性が悪化せず、良好な記録・再生能を有する光情報記録担体を提供することができる。更に、表面への傷や汚れのつきが防止され、保存安定性に優れた光情報記録担体を提供することができる。本発明の光情報記録担体は、特に、青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに有効である。
以下、本発明の光情報記録担体について更に詳述する。なお、本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明の光情報記録担体は、光学的手段によって情報信号を再生可能な光情報記録担体である。本発明の光情報記録担体の基本的な構成は、支持体と、支持体上に形成され情報信号を記録可能な記録層と、記録層上に形成され光を透過する透光層とからなる。各々の構成要素は発明内容を阻害しない範囲で相互に入れ替えまたは組み合わせてもよい。各々は少なくとも1つずつ存在することが必要であるが、各々は複数層存在しても1つの層が組成や特性の異なる複数の層から構成されていてもよい。具体的には支持体/記録層/透光層/記録層/透光層のように支持体の片側に2層ずつの記録層と透光層を設けたり、透光層/記録層/支持体/記録層/透光層のように支持体の両面に記録層と透光層を配置したりすることもできる。上記構成以外にも、公知の静電気防止層、潤滑層、保護層、反射層などを設けてもよい。また、支持体の記録層とは反対側にレーベル印刷を施してもよい。
本発明の光情報記録担体は、カートリッジ内部に装着されたものであってもよい。また、その大きさに制限はなく、ディスク状光情報記録担体の場合には、例えば直径30〜300mmの各種サイズを取ることができ、直径32、51、65、80、88、120、130、200、300mmなどであってもよい。
本発明の光情報記録担体において、支持体は、後述する記録層及び透光層などを機械的に保持する機能を持つ紙を主体とした支持体である。
その構成材料は容器包装リサイクルの観点で紙として扱われる事を目的に紙が51%以上の構成が好ましい。また、本発明で用いられるプラスチックは、資源の枯渇問題など抱えている、石油を原料とするものではなく、植物を原料とするプラスチックが好ましい。例えば、ポリ乳酸やその誘導体、セルロース誘導体、などが上げられる。
その構成材料は容器包装リサイクルの観点で紙として扱われる事を目的に紙が51%以上の構成が好ましい。また、本発明で用いられるプラスチックは、資源の枯渇問題など抱えている、石油を原料とするものではなく、植物を原料とするプラスチックが好ましい。例えば、ポリ乳酸やその誘導体、セルロース誘導体、などが上げられる。
本発明では、紙に対して49%以下でプラスチック樹脂を紙の抄紙原紙に含浸させ、光情報記録担体としての強度と寸法安定性を発現させる。
本発明の紙に含浸できるプラスチックは水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であるものである。
本発明の紙に含浸できるプラスチックは水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であるものである。
一般に故紙、あるいは故紙を構成する故紙パルプ、脱墨パルプの製法、すなわち紙のリサイクルは以下の工程によっている。
1)パルパーによる解離工程、機械力及びアルカリなどにより紙を繊維状に分解、インキ成分を故紙から分離する工程。
2)除塵工程、粗選、フローテーション、スクリーン、クリーナー、洗浄の各工程において故紙に含まれるプラスチック、金属、無機物などを除去する工程。
3)脱墨工程、故紙より分離した印刷インキをフローテーション法、あるいは洗浄法で系外に分離する工程。これらの工程の複合技術によって作成される。
したがって故紙回収のパルパーによってプラスチック類が容易に溶解することが好ましく、その要件を満たすプラスチックを用いることが本発明の重要なポイントである。
1)パルパーによる解離工程、機械力及びアルカリなどにより紙を繊維状に分解、インキ成分を故紙から分離する工程。
2)除塵工程、粗選、フローテーション、スクリーン、クリーナー、洗浄の各工程において故紙に含まれるプラスチック、金属、無機物などを除去する工程。
3)脱墨工程、故紙より分離した印刷インキをフローテーション法、あるいは洗浄法で系外に分離する工程。これらの工程の複合技術によって作成される。
したがって故紙回収のパルパーによってプラスチック類が容易に溶解することが好ましく、その要件を満たすプラスチックを用いることが本発明の重要なポイントである。
紙支持体にポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂などを含浸、あるいはそれら樹脂のフィルムをラミネートさせたものは、上に記載したような故紙パルプの製造工程では良好な故紙パルプを回収できない。すなわち、透明なポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂と紙とで構成されている複合体では単繊維に分解できないか、分解できたとしても不溶解の樹脂やフィルムがパルパーによる解離工程で分離フィルター詰まり、脱墨工程で紙繊維に混じり良好な故紙パルプにならない。
上記故紙回収工程で問題なく紙の繊維を回収するために、本発明で使用できるプラスチックは水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であるプラスチックである。これを紙と複合させた紙プラスチック複合構造体を用いることで、本発明の紙プラスチック複合構造体が上記の工程のパルパーにおいてプラスチックフィルムが完全に溶解除去され、紙部分が良好なパルプとして回収しうることを確認した。
本発明での水に難溶性あるいは不溶性である、とは該プラスチックが温度10〜80℃の水に、フィルム状で24時間浸漬した後の重量減少が5%以下のものをいう。
本発明におけるアルカリ性水溶液に可溶性であるとは、0.1〜30wt%の苛性ソーダ水溶液で40℃以上の温度で60分以内に溶解することを意味し、特に、4wt%苛性ソーダ水溶液で40℃で15分以内に溶解することが好ましい。
本発明において好ましいプラスチックには、ポリ乳酸、セルロース系ポリマーが挙げられる。特に、セルロース系ではヒドロキシアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸エステルフィルム類が有効であり、セルロースアセテートフタレート誘導体も使用できる。
本発明において有効なセルロースヒドロキシアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸エステルは、ジカルボン酸の1つがエステル結合せずにカルボキシル基として存在しているものであり、アルカリ溶液に短時間で完全に溶解する、透明性に優れる等の特徴を有する。本発明のセルロース誘導体を紙に含浸させることによって、故紙回収工程での速やかな溶解性や、万一、回収工程ではなく廃棄された場合においても、自然分解して炭酸ガスと水になり、自然界へリサイクルできる理想的な支持体用基材として完成されたものとなる。
上記のヒドロキシアルキルは炭素数が1〜8程度、好ましくは1〜5程度、特に好ましくは3であり、アルキルは炭素数が1〜4程度、好ましくは1〜2程度、特に好ましくは1である。ジカルボン酸は炭素数が3〜12程度、好ましくは3〜8程度の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらの芳香環が水添された脂環式ジカルボン酸等である。さらにアセチル基等のモノカルボン酸がエステル結合したものであってもよい。セルロースヒドロキシアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸の具体例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート
(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)等を挙げることができる。
(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)等を挙げることができる。
上記の各基の置換度は、水に難、不溶性で、かつ崩壊試験法(第13改定日本薬局方一般試験法47)で25℃の1%NaOH水溶液に10×10×0.1mmの試験片を入れたときの崩壊時間が15分以下、好ましくは10分以下になるように調整される。
市販のセルロースヒドロキシアルキルエーテルアルキルエーテル(信越化学工業株式会社製品)の置換度の例を表1に、そのアルカリ溶解性(溶解時間〔分〕)を表2にそれぞれ示す。
MeO−:−OCH3
HPO−:−OCH2CH(OH)CH3
Ac−:−OCOCH3
Suc:−OCOCH2CH2COOH
HPO−:−OCH2CH(OH)CH3
Ac−:−OCOCH3
Suc:−OCOCH2CH2COOH
試験法:崩壊試験法に準じる
試験片:10×10×0.1mm
温 度:25℃
測定数:n=3
試験片:10×10×0.1mm
温 度:25℃
測定数:n=3
さらに、セルロースアセテートフタレート誘導体、例えばセルロースアセテートヘキサハイドロフタレート(CAHHP)、ヒドロキルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロースフタレート(MCP)、ヒドロキシメチルセルロースヘキサハイドロフタレート(HPMCHHP)、セルロースアセテートフタレートヘキサハイドロフタレート(CAPHHP)、セルロースアセテートテトラハイドロフタレート(CATHP)等も使用できる。
また、以下に記載するプラスチックも本発明のポリマーとして使用できるものである。
本発明に好ましく用いられる水に難、不溶性でアルカリ可溶性のビニルポリマーとしては下記のものがある。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体、例えば特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、アクリル酸またはメタクリル酸および必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭53−120903号公報に記載されているような末端がヒドロキシ基であり、かつジカルボン酸エステル残基を含む基でエステル化されたアクリル酸またはメタクリル酸、アクリル酸、またはメタクリル酸および必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭54−98614号公報に記載されているような芳香族性水酸基を末端に有する単量体(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドなど)、アクリル酸またはメタクリル酸および必要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸よりなる多元共重合体を挙げることができる。この他、酸性ポリビニルアルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も有用である。また、ポリビニルアセタールやポリウレタンをアルカリ可溶化した特公昭54−19773号公報、特開昭57−94747号公報、特開昭60−182437号公報、特開昭62−58242号公報、特開昭62−123453号公報記載のバインダーも有用である。さらに、特公平5−2227号公報に記載のマレイミド基を側鎖に有する重合体も有用である。
また、ノボラック樹脂なども有効に使える。たとえばフェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂などのクレゾールホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。これらのアルカリ可溶性プラスチックは、重量平均分子量が500〜100,000のものが好ましい。その他、レゾール型のフェノール樹脂類も好適に用いられ、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂が好ましく、特に特開昭61−217034号公報に記載されているフェノール樹脂類が好ましい。また、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するビニル樹脂やウレタン樹脂、特開平7−28244号公報、特開平7−36184号公報、特開平7−36185号公報、特開平7−248628号公報、特開平7−261394号公報、特開平7−333839号公報などに記載の構造単位を有するビニル樹脂など種々のアルカリ可溶性プラスチックも用いることができる。特にビニル樹脂においては、以下に示す(1)〜(4)のアルカリ可溶性基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を重合成分として有する皮膜形成性樹脂が好ましい。
(1) N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−またはp−ヒドロキシスチレン、o−またはm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−またはm−クロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類およびビドロキシスチレン類、(2) アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびそのハーフエステル、イタコン酸、無水イタコン酸およびそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸、(3) N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、(4) トシルアクリルアミドのように置換基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、およびトシルメタクリルアミドのような置換基があってもよいフェニルスルホニルメタクリルアミド。更に、これらのアルカリ可溶性基含有モノマーの他に以下に記す(5)〜(14)のモノマーを共重合した皮膜形成性樹脂が好適に用いられる。(5) 脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(6) アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル、(7) メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、(8) アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド、(9) エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、(11) スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(12) メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、(13) エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類、(14) N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが使用できる。
これらのアルカリ可溶性プラスチックは、重量平均分子量が500〜500,000のものが好ましい。このようなアルカリ可溶性プラスチックは1種類あるいは2種類以上を組み合せて使用してもよい。
紙への上記アルカリ可溶性プラスチックの含浸量は、紙1kgにつき5〜500g程度、好ましくは20〜200g程度が適当である。
本発明のアルカリ可溶性プラスチック素材には、必要に応じて通常のプラスチックに用いられる可塑剤を添加することができる。可塑剤としてはフタル酸系、たとえばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイシデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリエウエチルグリコレート、など。
リン酸系、たとえばトリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリス(2エチルヘキシル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、2エチルヘキシルフェニルフォスフェートなど。ポリエステル系たとえば、アジピン酸と炭素数3〜6のグリコール(たとえばプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物で使用することが出来る)及び炭素数8〜10の脂肪族一価アルコール(たとえばn−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、n−ノナノール、イソノナノール、n−デカノール、イソデカノールなど)または炭素数8〜12の脂肪族一価カルボン酸(たとえば2−エチルヘキソイン酸、ペラルゴン酸、イソデカン酸、ラウリン酸、椰子油脂肪酸など)を縮合反応するものなど。脂肪族2塩基酸エステル系(たとえばジメチルアジペート、ビス(ブトキシエトキシエチル)アジペート、ビス(2エチルヘキシル)アジペート、ジメチルセバケート、ジエチルサクシネートなど)など。これらの可塑剤を必要に応じて1種類または2種類以上添加することで、製造を容易ならしめかつ、出来上がった紙プラスチック複合構造体の強度、柔軟性を得ることができる。
可塑剤を添加する場合の添加量は0.1〜50重量%程度、好ましくは1〜30重量%程度が適当である。
本発明の紙プラスチック複合構造体に使用される紙の種類は問わないが、例えば、洋紙としては印刷、情報用紙(非塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、複写紙など)、包装用(晒し、未晒しの包装用紙、クラフト紙など)、板紙(段ボール用紙、白板紙など)。和紙として機械抄和、手抄和紙、などが挙げられる。
本発明の実施形態に応じて紙の厚さも0.3mm〜3mm、好ましくは0.6mm〜2mmである。
次に上記支持体を用いた本発明の光情報記録担体の記録部分について詳細に説明する。支持体の表面には、通常、トラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブ)が形成される。このプレグルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形又は押出成形する際に、直接支持体上に形成されることが好ましい。また、プレグルーブの形成を、プレグルーブ層を設けることにより、行ってもよい。プレグルーブ層の材料としては、ポリオールのアクリル酸モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルのうちの少なくとも1種のモノマー(又はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)上に上記のアクリル酸エステル及び重合開始剤からなる混合液を塗布し、更に、この塗布液層上に支持体を載せたのち、支持体又は母型を介して紫外線を照射することにより塗布層を硬化させて支持体と塗布層とを固着させる。次いで、支持体を母型から剥離することにより得ることができる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.01〜100μmの範囲にあり、好ましくは0.05〜50μmの範囲である。
本発明において、支持体のプレグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲とすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。また、プレグルーブの溝深さは10〜150nmの範囲とすることが好ましく、20〜100nmの範囲とすることがより好ましく、30〜80nmの範囲とすることが更に好ましい。また、その半値幅は、50〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜200nmの範囲であることがより好ましい。
本発明の光情報記録担体に後述する光反射層を設ける場合には、光反射層が設けられる側の支持体表面に、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質
剤;を挙げることができる。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質
剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により支持体表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
光反射層は、情報の再生時における反射率の向上の目的で、任意に、支持体と記録層との間に設けることができる。光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより支持体上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。なお、光反射性物質の反射率は70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属、半金属又はステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、二種以上の組合せで用いてもよいし、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Al又はこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Ag又はこれらの合金である。
本発明の光情報記録担体において、記録層とは、光学的または磁気的な記録手段により情報信号を該層へ記録することにより情報の記録又は書き換えができる機能を有した層であり、また光学的な再生手段(レーザ光など)により該層から情報信号の再生を行うことができる。記録層は、光情報記録担体が再生専用型光情報記録担体である場合には高反射率材料を用い、記録・再生型光情報記録担体の場合には、記録または再生原理に従って、色素記録用材料、相変化記録用材料、光磁気記録用材料から選択して用いる。記録層の厚みは2〜300nmが好ましく、特に5〜200nmが好適に用いられる。
記録層に用いる光反射率材料としては、金、銀などが用いられる。
色素記録用の記録材料の具体的な例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、フルギド色素、ポリメチン色素、アクリジン色素などを用いることができる。
相変化記録用の記録材料としては、インジウム、アンチモン、テルル、セレン、ゲルマニウム、ビスマス、バナジウム、ガリウム、白金、金、銀、銅、錫、砒素などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物などを含む)を用いることができ、特にGeSbTe、AgInSbTe、CuAlTeSbなどを用いるのが好適である。インジウム合金とテルル合金の積層膜を用いて記録層としてもよい。
色素記録用の記録材料の具体的な例としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、フルギド色素、ポリメチン色素、アクリジン色素などを用いることができる。
相変化記録用の記録材料としては、インジウム、アンチモン、テルル、セレン、ゲルマニウム、ビスマス、バナジウム、ガリウム、白金、金、銀、銅、錫、砒素などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物などを含む)を用いることができ、特にGeSbTe、AgInSbTe、CuAlTeSbなどを用いるのが好適である。インジウム合金とテルル合金の積層膜を用いて記録層としてもよい。
光磁気記録用の記録材料としては、テルビウム、コバルト、鉄、ガドリニウム、クロム、ネオジム、ジスプロシウム、ビスマス、パラジウム、サマリウム、ホルミウム、プロセオジム、マンガン、チタン、パラジウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、錫などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にTbFeCo、GdFeCo、DyFeCoなどに代表されるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適である。更に、コバルトと白金の交互積層膜を用いて記録層としてもよい。
なお、これら記録層には、再生出力向上や書き換え回数向上、保存安定性向上等の目的で、補助膜、例えばシリコン、タンタル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、ジルコニウムなどの合金(酸化物、窒化物、炭化物を含む)や高反射膜(アルミニウム、金、銀など)を併用して積層してもよい。
色素記録用の記録材料を用いる記録層には、再生に用いるレーザ光の波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることが好ましく、特に、500nm以下の波長のレーザで記録及び再生が可能なように、その波長領域に極大吸収を有する色素を含有していることがより好ましい。用いられる色素としては、例えば、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。具体的には、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、特開2000−158818号公報の各公報に記載されている色素、又は、トリアゾール、トリアジン、シアニン、メロシアニン、アミノブタジエン、フタロシアニン、桂皮酸、ビオロゲン、アゾ、オキソノールベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール等の色素が挙げられ、シアニン、アミノブタジエン、ベンゾトリアゾール、フタロシアニン等の色素が好ましい。
記録層は、色素記録用の記録材料を用いる場合、前述した色素と、所望により結合剤とを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を前述の支持体のプレグルーブ表面、又は光反射層表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。更に、塗布液中には、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、及び潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加されてもよい。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
また、色素や結合剤を溶解処理する方法としては、超音波処理、ホモジナイザー処理、ディスパー処理、サンドミル処理、スターラー攪拌処理等の方法を適用することができる。
塗布液の溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素及び結合剤の溶解性を考慮して単独で用いてもよいし、二種以上を適宜併用することもできる。
結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲であることが好ましく、0.1〜5倍量の範囲であることがより好ましい。結合剤を記録層に含有させることにより記録層の保存安定性を改良することも可能である。
このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、更に好ましくは25〜37℃である。
塗布温度としては、23〜50℃であれば特に問題はないが、好ましくは24〜40℃、更に好ましくは25〜37℃である。
記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は、一般に、20〜500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にある。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び特公平6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許第350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び特公平6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許第350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の含有量は、記録層の全固形分中、通常、0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
記録層の表面には、透光層との密着性と、色素の保存性を高めるために、中間層(バリア層)が形成されていてもよい。バリア層は、Zn、Si、Ti、Te、Sm、Mo、Ge等のいずれか1原子以上からなる酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の材料からなる層であり。また、バリア層は、ZnS−SiO2のようにハイブリット化されたものでもよい。バリア層は、スパッタリング、蒸着イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
本発明の光情報記録担体において、透光層は、収束した再生光を物理的には記録層に導く機能を持ち、同時に記録層を化学的、機械的に保護する機能を持つ。本発明の透光層は支持体の厚みよりも薄く構成されたフィルムからなることが好ましい。
なお、本発明において「透光」とは、記録再生に用いる光学的手段の光の波長(例えば、600〜800nmや350〜450nmの光)に対して事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)であることを意味する。
なお、本発明において「透光」とは、記録再生に用いる光学的手段の光の波長(例えば、600〜800nmや350〜450nmの光)に対して事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)であることを意味する。
本発明の透光層は、吸湿膨張率8ppm/%RH以上62ppm/%RH以下の透光性フィルムを有する。吸湿膨張率が上記範囲以外になると、環境変化によって光情報記録担体が変形することがある。これは、特に透光性フィルムと基板との吸湿膨張率の差が大きくなるためと推定される。光情報記録担体が変形すると記録層が影響を受け、記録再生適性が劣化し、記録再生の安定性が悪化してしまう。より好ましい吸湿膨張率は8ppm/%RH以上50ppm/%以下であり、さらに好ましくは8ppm/%RH以上40ppm/%RHである。
本発明において、吸湿膨張率とは、環境を25℃20%RHから25℃80%RHまで変化させたときのフィルムの寸度変化率を意味する。すなわち、25℃20%RHでのフィルムの大きさをL20、25℃80%RHでの大きさをL80としたときに、[{(L80−L20)/L20}/(80−20)]×106が吸湿膨張率(単位はppm/%RH)である。例えば、フィルムを巾5cm長さ28cmのような長方形に裁断し、25℃20%RHと25℃80%RHとでのフィルム長さを測定することで求めることができる。
透光性フィルムの吸湿膨張率は、フィルム材料やフィルムへの添加剤の種類・量などを適宜選択することにより調整することができる。具体的には、特定の劣化防止剤を含有させたセルロースアシレートフィルム、塩素系有機溶剤含有量を押えたセルロースアシレートフィルム、特定の多価アルコールエステルを含有するセルロースアシレートフィルム、さらには環状ポリオレフィンフィルムもしくはポリカーボネートを透光性フィルムとして用いことが好ましい。
透光性フィルムの吸湿膨張率は、フィルム材料やフィルムへの添加剤の種類・量などを適宜選択することにより調整することができる。具体的には、特定の劣化防止剤を含有させたセルロースアシレートフィルム、塩素系有機溶剤含有量を押えたセルロースアシレートフィルム、特定の多価アルコールエステルを含有するセルロースアシレートフィルム、さらには環状ポリオレフィンフィルムもしくはポリカーボネートを透光性フィルムとして用いことが好ましい。
本発明に透光層に用いる透光性フィルムとしては、延伸により製造されないものが好ましい。延伸を用いて製造すると、延伸方向に光学異方性が生じることがあり、その場合、本発明の光情報記録担体の透光層としては好ましくないからである。また、延伸により熱膨張に異方性が生じることがあり、長期の保存安定性の点でも好ましくない。
本発明の透光層に用いる透光性フィルムとしては、好ましくはセルロース誘導体(特にセルロースアシレート)、環状ポリオレフィンまたはポリカーボネートからなるフィルムである。
セルロースは六員環の基本分子構造をもち、この基本単位内に3つの水酸基(OH)を有している。セルロースを氷酢酸、プロピオン酸、酪酸、無水酢酸、無水プロピオン酸等を用いて水酸基をエステル化することによって、セルロースアシレートは合成することができ、合成条件によって、3つの水酸基のうちの一部、または全てをエステル化することができる。このうち特に水酸基を2個以上置換したセルロースアシレートは、溶剤を用いた流延法または溶融押し出し法によって薄いシート状に加工することができ、合成されたセルロースアシレートは、屈折率が1.5前後の透明体で、固有複屈折が小さく、光入射角度の依存性も小さいという特徴を持つ。そして、このセルロースアシレートにテンションをかけて得られるセルロースアシレートフィルムは、強靱でありながら、材料の固有複屈折を継承して、長手方向、横断方向の複屈折差も抑えられたフィルムとなるので、本発明の透光性フィルムとして好適である。
セルロースアシレートは、セルロール誘導体の合成条件を調整することにより、λ=350〜450nmの透過率を事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)にすることが好ましい。セルロースアシレートは、セルロース誘導体の合成条件によって、黄変したり白化したりするが、このような材料を用いて光情報記録担体を構成すると反射率が低下して再生信号出力が劣化することがあるためである。
セルロースアシレートは、セルロール誘導体の合成条件を調整することにより、λ=350〜450nmの透過率を事実上透明(透過率70%以上、望ましくは80%以上)にすることが好ましい。セルロースアシレートは、セルロース誘導体の合成条件によって、黄変したり白化したりするが、このような材料を用いて光情報記録担体を構成すると反射率が低下して再生信号出力が劣化することがあるためである。
セルロースアシレートフィルムはそのままでは引裂強度、耐折強度が低く、特に低湿度の状態下では、非常に脆くなり裂け易い欠点があった。柔軟性を与えるため、従来から低分子の可塑剤を添加していた。これらの例としては、リン酸エステル系としてトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート等が挙げられ、フタル酸エステル系として、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート等が挙げられ、またグリコール酸エステル系としては、エチルフタリルエチルグリコール等が挙げられ、これ以外にはトルエンスルホンアミド系、トリアセチン(グリセリントリアセテート)等が用いられてきた。
しかしながら、上に列記した可塑剤は低分子物質であり、沸点は高いものでも300℃を越えるものはない。他方、セルロースアシレートは、他の物質との相溶性の少ないポリマーとして知られており、また相溶性のある可塑剤でも上記のように沸点が低いという致命的な欠点を有するため製膜の際に可塑剤の移行が激しく、できたフィルムの厚み方向に可塑剤の分布が不均一になるため、フィルムのカールの原因となったり、あるいはフィルムの表面に可塑剤が滲み出すため、その後の加工に著しく支障をきたすことが知られている。そこで、従来から上記欠点を除去するために、即ち常温、低温で耐折強度及び引裂き強度が大きく、かつ抗張力等が低分子可塑剤添加時と比較的変わらず、かつ光学的に透過率の優れた強靱なセルロースアシレートフィルムを得るために、高分子量可塑剤、例えばポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステルを、あるいは、これら高分子量可塑剤と低分子量可塑剤を併用してセルロースアシレートに混合して用いることが試みられており(例えば、特公昭47−760号公報、特公昭43−16305号公報、特公昭44−32672号公報、特開平2−292342号公報)、ほぼ目的は達成されつつある。しかしながらこれらの支持体を用いると、低分子可塑剤(例えばトリフェニルホスフェート)のみを含んだ支持体に比べて、長期保存下での安定性が著しく低下し、着色、分子鎖の切断等が発生し易いという欠点があることが判った。
本発明では、セルロースアシレートフィルムに於いて、長期保存安定性を達成するため、該セルロールアシレートフィルムに
(A)過酸化物分解剤、
(B)ラジカル連鎖禁止剤、
(C)金属不活性化剤、及び
(D)酸捕獲剤、
のうち少なくとも1種の劣化防止剤を含有させることが好ましい。
あるいは、セルロールアシレートフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤の量を10ppm以下とする、またはセルロースアシレートフィルムに脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることも長期保存安定性を達成するためには好ましい。
(A)過酸化物分解剤、
(B)ラジカル連鎖禁止剤、
(C)金属不活性化剤、及び
(D)酸捕獲剤、
のうち少なくとも1種の劣化防止剤を含有させることが好ましい。
あるいは、セルロールアシレートフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤の量を10ppm以下とする、またはセルロースアシレートフィルムに脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることも長期保存安定性を達成するためには好ましい。
本発明で用いることのできる劣化防止剤について説明する。本発明において、(A)過酸化物分解剤としては、下記一般式(A−I)、(A−II)、(A−III)で表わされる化合物、(B)ラジカル連鎖禁止剤としては、下記一般式(B−I)、で表わされる化合物、(C)金属不活性化剤としては、下記一般式(C−I)、(C−II)、(C−III)で表わされる化合物、(D)酸捕獲剤としては、下記一般式(D−I)、(D−II)、(D−III)、(D−IV)、(D−V)、(D−VI)、(D−VII)、(D−VIII)で表わされる化合物が好ましい。
上記一般式(A−I)〜(D−VII)において、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属を表わす。R10はアルキル基、アルケニル基、およびアリール基を表わす。R20、R21およびR22は互いに同一でも異ってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基およびアリールチオ基を表わす。R30およびR31は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R40はアルキル基を表わす。R41、R42およびYは互いに同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基およびアシルオキシ基を表わす。mは0〜2の整数を表わす。また、R60およびR61は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わす。ZはYで定義した基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。mが2の時、複数のYは互いに同一でも異なってもよく、同様にnが2〜4の時、複数のZは互いに同一でも異なってもよい。R20とR21、R30とR31、が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。
また、R1、R2およびR3は互いに同一でも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基またはアミノ基を表わす。R1、R2およびR3のうち少なくとも2個の基が互いに結合して、5〜8員環を形成してもよい。またR1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環を形成してもよい。ただし、R1、R2およびR3が同時に水素原子であることはない。M1はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わし、qはM1がアルカリ金属の時1、M1がアルカリ土類金属の場合2である。R81、R82はそれぞれ互いに同一でも異ってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基を表わしている。M2は、アルカリ金属を表わし、M3はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表わす。uはM3がアルカリ金属の時2、M3がアルカリ土類金属の時1である。R91、R92、R93、およびR94は互いに同一であっても異ってもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、およびヘテロ環基を表わす。R91、R92、R93、およびR94のうち少なくとも2個の基が互いに結合して、5〜8員環を形成してもよい。
一般式(A−I)〜(D−VII)で表わされる化合物をさらに詳細に説明する。Xは水素原子、アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61で定義したアルキル基は直鎖、分岐状または環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61で定義したアルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、R10、R20、R21、R22、R30、R31、R40、R41、R42、Y、R81、R82、R91、R92、R93、R94、R60およびR61のアリール基はベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、R41、R42、Y、R60、R81、R82、R91、R92、R93、R94、およびR61で定義したヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。
R10はアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R20、R21およびR22は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、オクチルオキシ、ベンジルオキシ、シクロヘキシルオキシ、i−プロポキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ)、アルケノキシ基(例えばビニルオキシ、プロペニルオキシ、シクロヘキセニルオキシ、ドデセニルオキシ、オクタデセニルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、オクタデシルチオ)、アルケニルチオ基(例えばビニルチオ、アリルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘキサデセニルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)を表わす。R30およびR31は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基およびアリール基を表わす。R40はアルキル基を表わす。R41、R42およびYは互いに同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、R20と同様のアルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環オキシ基(例えばイミダゾリジニルオキシ、モルホリニルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、1,3,5−トリアジン−2−イルオキシ)、ヒドロキシ基、置換基を有してもよいアミノ基(例えばアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、スルホンアミド、ウレイド、ウレタン)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−エチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ニトロ基、シアノ基、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、ナフトイル)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ)を表わす。mは0〜2の整数を表わす。R60およびR61は互いに同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わす。ZはYで定義した基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。mが2の時、複数のYは互いに同一でも異なってもよく、同様にnが2〜4の時、複数のZは互いに同一でも異なってもよい。R20とR21、R30とR31が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。
R1、R2およびR3は同一でも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基またはアミノ基を表わす。R1、R2およびR3のうちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環を形成してもよい。またR1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環を形成してもよい。ただし、R1、R2およびR3が同時に水素原子であることはない。ここでいう脂肪族基とは直鎖、分岐あるいは環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)、アルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)、アルキニル基(例えばプロピニル、ヘキサデシニル)を表わし、これらの基は置換基で置換されていてもよい。ここでいう芳香族基とはベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わす。これらの環は置換基を有してもよい。ここでいうヘテロ環とは環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。ここでいうアミノ基とは単なるアミノ基であっても置換基を有するN−置換アミノ基であってもよい。
上記各基が有してもよい置換基としては脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルファモイル基およびカルバモイル基等がある。
R1、R2およびR3のうちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。R1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環(例えばピリジン環、キノリン環、プテリジン環、フェナントロリン環)を形成してもよい。
上記各基が有してもよい置換基としては脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、スルファモイル基およびカルバモイル基等がある。
R1、R2およびR3のうちの少なくとも2個の基が互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。R1とR2が互いに共同して不飽和基となり、これとR3が結合して5〜8員環(例えばピリジン環、キノリン環、プテリジン環、フェナントロリン環)を形成してもよい。
また、M1はアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。R81、R82は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わしている。これらは、互いに同一であってもよく、異っていてもよい。ここでいうアルキル基とは、直鎖、分岐状または、環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、アルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、アリール基は、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、ヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。M2は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)を表わす。M3は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)または、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム、マグネシウム)を表わす。
R91、R92、R93、R94は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロ環基を表わしている。これらは互いに同一であってもよく、異っていてもよい。ここでいう、アルキル基とは、直鎖、分岐状または、環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、t−ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル)を表わし、アルケニル基は直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、2−ペンテニル、シクロヘキセニル、ヘキセニル、ドデセニル、オクタデセニル)を表わし、アリール基は、ベンゼン単環、縮合多環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラニル)を表わし、ヘテロ環基は環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子から選ばれる原子を少なくとも一つ含む5〜7員環状の基(例えばフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、プリニル、クロマニル、ピロリジル、モルホリニル)を表わす。
R91とR92、R93とR94は、それぞれ互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。
R91とR92、R93とR94は、それぞれ互いに結合して5〜8員環(例えば、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、インドリン環、キヌクリジン環)を形成してもよい。
一般式(A−II)で表わされる化合物のうち、R20〜R22のいずれもが、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基から選ばれたものが好ましい。R20〜R22のいずれもがアルキル基、アリール基、アリールオキシ基から選ばれたものはより好ましく、このうち、アリールオキシ基を有する場合はアリールオキシ基のベンゼン環のオルト位に置換基を有するものが好ましい。またR20〜R22のうちの少なくとも2個がアリールオキシ基の場合、この2個のアリールオキシ基のベンゼン環の互いのオルト位、またはオルト位の置換基が結合したものが好ましい。
一般式(B−I)で表わされる化合物のうち、好ましいものは下記一般式(B−I−I)、(B−I−II)で表わすことができる。
式中、R40'は第3級アルキル基を表し、R40''およびR40'''は互いに同じでも異なってもよく、それぞれアルキル基を表す。また、Lは単結合または下記連結基を示す。
ここでR43は水素原子、アルキル基およびアリール基を表わす。R44とR45は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基およびアリール基を表わす。R41、R42、Yおよびmは一般式(B−I)と同じ意味を表わし、Y′はYと同じ意味を表わす。m′とm″はmと同じ意味を表わす。
一般式(D−I)で表わされる化合物のうち、より好ましいものは、pKaが4以上であることが好ましく、さらにpKaが4以上でかつ9以下が好ましく、さらに好ましくは5以上でかつ8以下である。最も好ましくはpKaが5以上でかつ7以下のアミン化合物である。このpKaとはアミン化合物の共役酸の解離定数であり、室温下でEtOH/H2O=4/1の混合溶媒で求めた値である。一般にはこの値は滴定法によって得ることができる。さらにこのアミン化合物は親油性の化合物が好ましく、炭素原子数の総和が8以上が好ましく、さらに好ましくは15以上である。
さらにこのアミン化合物は3級アミンであるものが好ましい。一般式(D−I)で表わされる化合物のうち、最も好ましいものは下記一般式(D−I−I)で表わされるpKa4以上の親油性化合物である。
式中、R1およびR2は一般式(D−I)と同じ基を表わす。Rb1〜Rb5は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してよいアミノ基、スルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル基を表わす。R1とR2、R1とRb5、R2とRb1またはRb1〜Rb5のうちの互いにオルト位にある基が結合して、5〜8員環を形成してもよい。
本発明の好ましい(D)酸捕獲剤としては、上記の他に前記一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物も挙げられる。
式(D−VIII)中、X1は単結合または2ないし3価の有機残基を表し、B1はアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基を表す。但し、X1は−O−、−(CH2)4−であることはない。pは2または3を表す。X1としては単結合、炭素原子、窒素原子またはリン原子でBaと連結する2または3価残基、−S−、−SO2−、−O−Ar−O−、−O−Ar−(CR4R5)n−Ar−O−、−O−Ar−SO2−Ar−O−、−O−CH2−Y1−CH2−O−等の2価の連結基を挙げることができる。ここで、Arはアリール基、R4、R5はアルキル基、Y1はCR4R5、−CH2OCH2−を表す。B1はpKa(エタノール/水=4/1の混合溶媒中で測定した値)が4以上のアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基である。ここで言うアミノ基は、無置換でも置換基を有していてもよい。アミノ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基等を挙げることができる。アミノ基としては特に3級アミノ基が好ましく、環状の3級アミノ基も好ましく用いられる。含窒素複素環基としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基。モルホリノ基、ピペラジノ基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イミダゾリル基、ピロリル基、インドリノ基、テトラヒドロキノリル基、イミダゾニリル基、チアゾリニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリジニル基等を挙げることができる。上記アミノ酸及び含窒素複素環基はさらに他の置換基を有していてもよい。
式(D−VIII)中、X1は単結合または2ないし3価の有機残基を表し、B1はアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基を表す。但し、X1は−O−、−(CH2)4−であることはない。pは2または3を表す。X1としては単結合、炭素原子、窒素原子またはリン原子でBaと連結する2または3価残基、−S−、−SO2−、−O−Ar−O−、−O−Ar−(CR4R5)n−Ar−O−、−O−Ar−SO2−Ar−O−、−O−CH2−Y1−CH2−O−等の2価の連結基を挙げることができる。ここで、Arはアリール基、R4、R5はアルキル基、Y1はCR4R5、−CH2OCH2−を表す。B1はpKa(エタノール/水=4/1の混合溶媒中で測定した値)が4以上のアミノ基を有するアリール基、アリールオキシ基、または含窒素複素環基である。ここで言うアミノ基は、無置換でも置換基を有していてもよい。アミノ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基等を挙げることができる。アミノ基としては特に3級アミノ基が好ましく、環状の3級アミノ基も好ましく用いられる。含窒素複素環基としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基。モルホリノ基、ピペラジノ基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イミダゾリル基、ピロリル基、インドリノ基、テトラヒドロキノリル基、イミダゾニリル基、チアゾリニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリジニル基等を挙げることができる。上記アミノ酸及び含窒素複素環基はさらに他の置換基を有していてもよい。
本発明の一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物において、より好ましい化合物は分子量300以上の実質的に揮散性を有しないものである。
本発明の一般式(D−VIII)で表されるアミン化合物において、最も好ましい化合物は実質的に揮散性を持たず、塩基性基1個当たりの分子量が200以下の化合物である。
一般式(B−I)で表わされる化合物のうち、より好ましくはpKaが4以上でかつ9以下、さらに好ましくは5以上でかつ8以下、最も好ましくはpKaが5以上でかつ7以下の化合物である。
本発明の一般式(A−I)〜(D−VIII)で表わされる化合物の具体例は特開平5−197073号公報の〔0063〕〜〔0064〕に記載された化合物が挙げられる。
本発明の一般式(A−I)〜(D−VIII)で表わされる化合物の具体例は特開平5−197073号公報の〔0063〕〜〔0064〕に記載された化合物が挙げられる。
これらの化合物はほとんどものが市販されているため、容易に入手できる。また、一般式(D−I)、(D−VIII)で表わされるアミン化合物の他の好ましい化合物例および合成法は米国特許第4,483,918号明細書、同第4,555,479号明細書、同第4,585,728号明細書、同第4,639,415号明細書、欧州公開特許第264,730号明細書、特開昭58−102231号公報、特開昭59−229557号公報、特開昭61−73152号公報、特開昭63−98662号公報、特開昭63−115167号公報、特開昭63−267944号公報等に記載されている。
次に、有機塩素系溶剤の量を10ppm以下としたセルロールアシレートフィルムに関して述べる。
製造直後においてフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤(通常主としてメチレンクロライドである)の量を10ppm以下にするためには、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分を有し、該コア部分の少なくとも片面に、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層を有することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムによって達成される。また、前記目的は、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層は、メチレンクロライドまたはN−メチル−2−ピロリドンを70%以上含む溶媒で調製したドープ、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分は、アセトンを60%以上含む溶媒から調製したドープで溶液製膜することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムの製造方法によって達成される。
製造直後においてフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤(通常主としてメチレンクロライドである)の量を10ppm以下にするためには、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分を有し、該コア部分の少なくとも片面に、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層を有することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムによって達成される。また、前記目的は、0.5μm〜15μmの膜厚で且つ置換度2.8以上のセルロースアシレートからなる表層は、メチレンクロライドまたはN−メチル−2−ピロリドンを70%以上含む溶媒で調製したドープ、置換度2.7以下のセルロースアシレートからなるコア部分は、アセトンを60%以上含む溶媒から調製したドープで溶液製膜することを特徴とするセルロースアシレート積層フィルムの製造方法によって達成される。
本発明におけるセルロースアシレート積層フィルムにおいて、置換度2.8以上のセルロースアシレートを有する表層と、置換度2.7以下のセルロースアシレートを有するコア部分から成る積層構造を有するフィルムとすることにより、含有溶剤の量を著しく低減できるのと同時に、優れた耐湿熱性を有するセルロースアシレートフィルムとすることができる。置換度2.8以上のセルロースアシレート(以下、セルロースアセテートの場合にはTACともいう)から製膜されたフィルムは、置換度2.7以下のセルロースアシレート(以下、セルロースアセテートの場合にはDACともいう)のフィルムより、格段と透湿性が少ないという優れた特性がある。セルロースアセテートを例にとって説明すると、置換度2.7以下のセルロースアシレートまたはDACの表層に、透湿性が少ない置換度2.8以上のセルロースアシレートまたはTACを設けることにより、外部雰囲気からの湿気の侵入をTACにより防ぐことができ、耐湿熱性の不充分なDACが保護される。これにより、フィルム全体としては経時による湿度及び熱に対する耐性が良好なものとなる。置換度2.8以上のセルロースアシレートまたはTACの置換度は、好ましくは2.8〜3.0であり、より好ましくは2.9〜3.0である。置換度2.7以下のセルロースアシレートまたはDACの置換度は、好ましくは2.0〜2.7であり、より好ましくは2.5〜2.7である。
本発明において、前記積層構造を有するセルロースアシレートフィルムは、一層がTACからなる表層と、それに隣接するDACからなる層とからなる二層重層構造のフィルムの他に、前記DACのコア部分の両面に、TACの表層を設けた三重層構造のフィルムを含んでいる。更に、三重以上の層からなるフィルムも含む。本発明の三重層構造を有するフィルムの場合において、上下表層の厚みは同じ厚みでなくても良いが、同じ厚みである方がフィルムの機械的性質のバランスがとれるなどの理由から好ましい。本発明のフィルムは、コア部分であるDACのフィルム面に偏光膜や感光層等の機能性層を設ければ、二層重層構造のフィルムによって十分防湿目的を達成できる。二層重層構造のフィルムの防湿保存の問題は、フィルムをロール巻きにし、防湿包装して保存するなどにより解決できる。本発明において、好ましくは前記DACのコア部分の両面に、TACの表層を設けた三重以上の層構造のフィルムとすることが好ましい。これにより、フィルムへの湿気の侵入が、いずれの保存状態でも防止でき、長期間にわたり優れた透明性、寸度安定性、耐湿熱性を維持できる。セルロースアセテートの場合について説明したことは他のセルロースアシレートにも適用できる。
更に、TACを有する表層は、0.5〜15μmという薄い層であるので、3重層構成だとしても、使用する有機溶剤の量は著しく削減でき、作業環境上、環境に対する影響上において安全になり、更に残存溶剤により、発生するヘイズ等の問題も改善できる。ここで、前記TACを有する層の膜厚は、好ましくは0.5〜10μmであり、より好ましくは1.0〜5.0μmである。
本発明において、TACを製膜する際に塩素系有機溶剤を使用した場合、従来のセルローストリアセテートフィルムの製造における乾燥条件と大差ない条件で、製造直後のフィルム内に含まれる塩素系有機溶剤の量を10ppm以下にできる。この塩素系有機溶剤の量は好ましくは5ppm以下である。これにより、作業環境上、環境に対する影響上において一層安全になり、更に残存溶剤により、発生するヘイズ等の問題も著しく改善できる。本発明においては、フィルムを上下表層をメチレンクロライドに溶解したセルロースアシレートから製膜した三重層構造とした場合でも、製造直後においてフィルム内に含まれる有機塩素系溶剤(通常主としてメチレンクロライドである)の量を10ppm以下にできる。このように有機塩素系溶剤の量が10ppm以下であるセルロースアシレートフィルムを提供することは、50μm以上のフィルムをメチレンクロライドを有する溶液のドープから製膜した場合には、著しく長時間の乾燥を行わなければ、10ppm以下のフィルムは製造することはできないため、実用上不可能である。
また、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)の沸点はメチレンクロライドのそれに比べて高く、残存溶剤の量が著しく多くなる。本発明においてはTACを有する層の膜厚は最高15μmと薄いので、上下表層を設けた三重層構造のフィルムとした場合でも、製造直後の残存NMPの量が2000ppm以下にできる。残存NMPの量は、好ましくは1500ppm以下である。これにより表層を乾燥するための乾燥負荷は大きくなく、製造上の問題とはならない。また残留溶剤量も少なく、製膜に塩素系溶剤を使用しないですむので、塩素系溶剤残留の問題もない。更に、大量の残存NMPにより発生していたヘイズも防止でき、保存中のフィルムの透明性を維持できる。
非塩素系溶媒で製造されたセルロースアシレートフィルム及びその製造方法については発明協会公開技報2001−1745に詳しく記載されている。
非塩素系溶媒で製造されたセルロースアシレートフィルム及びその製造方法については発明協会公開技報2001−1745に詳しく記載されている。
次に脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有するセルロールアシレートフィルムに関して述べる。本発明の脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R11−(OH)n
式中、R11はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。nは2〜20が好ましい。
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、セルロースアシレートフィルムの透湿性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有してもよい。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。
本発明の多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
多価アルコールエステルの使用量は、セルロースアシレートに対して3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、特に好ましくは5〜20質量%である。
これらの多価アルコールエステルは、従来セルロースアシレート中に混合されて用いられていたリン酸エステル、たとえばトリフェニルフォスフォートの代替として好ましく用いることができる。すなわちセルロースアシレートフィルム中のリン酸エステルの量を0.1g/m2以下に減らすかあるいは除去したセルロースアシレートフィルムに用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリカーボネートフィルムとしては、特開2003−157579号公報の[0023]に記載のものを好ましく用いることができる。
次に本発明で用いられる環状ポリオレフィンフィルムに関して述べる。
本発明で用いられる環状ポリオレフィンフィルムは特開平5−65350号公報、特開平6−107736号公報、特開平6−248164号公報、特開平10−60048号公報、特開平11−129399号公報、特開平11−216817号公報、特開平11−217446号公報、特開平11−217491号公報、特開2001−9859号公報、特開2001−163959号公報、特開2002−249625号公報等に記載されている。
本発明で用いられる環状ポリオレフィンフィルムは特開平5−65350号公報、特開平6−107736号公報、特開平6−248164号公報、特開平10−60048号公報、特開平11−129399号公報、特開平11−216817号公報、特開平11−217446号公報、特開平11−217491号公報、特開2001−9859号公報、特開2001−163959号公報、特開2002−249625号公報等に記載されている。
本発明に用いられる環状オレフィンは、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。重合体の脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものは耐候性や耐薬品性に優れるので最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の特性が高度にバランスされ好適である。
本発明に使用される環状オレフィン中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。環状オレフィン中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。環状オレフィン中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。また、環状オレフィンとしては熱可塑性のものが好適である。
かかる脂環式構造を有する重合体の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役系ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物がより好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によってノルボルネン系単量体(ノルボルネン環を有する環状オレフィン単量体)を重合したものが用いられる。具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。
これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体と共重合体可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物が特に好ましい。ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物は、可塑化温度と分解温度との差が大きく加熱を伴うカレンダー成形に適しており、そのために、機械強度にも優れ、外観も優れたフィルムの成形が可能となる。
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によってノルボルネン系単量体(ノルボルネン環を有する環状オレフィン単量体)を重合したものが用いられる。具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。
これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加型重合体、ノルボルネン系単量体と共重合体可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物が特に好ましい。ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物は、可塑化温度と分解温度との差が大きく加熱を伴うカレンダー成形に適しており、そのために、機械強度にも優れ、外観も優れたフィルムの成形が可能となる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)等、特開2001−9859の段落番号[0010]〜[0013]に記載の単量体が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組合わせて用いられる。ノルボルネン系単量体のうち、ジシクロペンタジエンが含まれていることが好適であり、例えば、ジシクロペンタジエンとテトラシクロドデセンとの組合せ、ジシクロペンタジエンとテトラシクロドデセンとエチルテトラシクロドデセンとの組合せ、ジシクロペンタジエンとエチルテトラシクロドデセンとの組合せ、ジシクロペンタジエンとエチリデンテトラシクロドデセンとの組合せ、ジシクロペンタジエンと1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンとの組合せなどが挙げられる。
ノルボルネン系単量体と共重合させることができるビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;等が挙げられる。これらのビニル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ノルボルネン系単量体またはノルボルネン系単量体と共重合可能なビニル化合物との重合方法及び水素添加方法は、格別な制限はなく公知の方法に従って行うことができる。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
(4)側鎖に脂環式構造を有する炭化水素系重合体
該炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素単量体の重合体、及びその水素添加物、スチレン系重合体の水素添加物などを用いることができる。
該炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素単量体の重合体、及びその水素添加物、スチレン系重合体の水素添加物などを用いることができる。
本発明で使用される環状オレフィンの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン換算の数平均分子量で、通常、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000であり、重量平均分子量で、通常、10,000〜1,000,000、好ましくは15,000〜500,000、より好ましくは20,000〜200,000である。MWD(=重量平均分子量/数平均分子量)は通常1.0〜10、好ましくは1.0〜6、より好ましくは1.1〜4である。このような範囲に分子量を調整することによって、フィルムの機械強度と成形加工性が良好にバランスする。
本発明で使用される環状オレフィンのガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50〜200℃以上、より好ましくは70〜150℃以上、最も好ましくは80〜120℃である。Tgがこの範囲にあるときは、カレンダー成形における樹脂可塑化の際のフィルムの酸化劣化に伴う黄変が生じにくくなり、また、得られるフィルムの耐熱性が良好になる。
本発明に使用される環状オレフィンの5%加熱減量温度(窒素雰囲気中で、5℃/分の昇温速度で測定)は、好ましくは280℃以上、特に好ましくは350℃以上である。5%加熱減量温度が、この範囲にある方が、樹脂温度を高温にしても樹脂の分解が起きにくく、成形物内に樹脂の分解による気泡の包含等の成形不良が防止できるので好ましい。
本発明に使用される環状オレフィンの温度260℃における溶融粘度は、通常1×101〜1×105ポイズ、好ましくは1×102〜1×103ポイズである。溶融粘度がこの範囲にあるときに、フィルムの成形性と機械強度とがバランスして好適である。
(添加剤)本発明に用いられる環状オレフィンには、必要に応じて、その他のポリマー、酸化防止剤、老化防止剤、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、着色剤、架橋剤、硬化剤、可塑剤、発泡剤などを、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
上記各種添加剤を用いる場合には、環状オレフィン樹脂の製造工程で添加することによって、または、樹脂製造後、該環状オレフィン樹脂を混練、混合又は溶融させる工程で添加することができる。
環状ポリオレフィンフィルムの製造方法においては、前記環状ポリオレフィンを、それのガラス転移温度より30〜150℃、好ましくは70〜120℃高い温度に、加熱して溶融させる。加熱して溶融させる方法は、公知の方法で行うことができる。例えば、押出機、混練機などを使用して行うことができる。押出機の中、ストレーナーは、樹脂中に含まれているおそれのある異物を濾別し、均一な温度で、コンパウンドをカレンダーロールへ供給できるので好ましい。ストレーナーの機械そのものは押出機と同様の構造であるが、その先端部に、約20メッシュ以上、好ましくは60メッシュ以上の金網が取り付けられている。特殊なストレーナーとして、スーパーミキサーと押出機とを組み合わせたミクストルーダーがある。
環状ポリオレフィンフィルムの製造方法においては、該溶融樹脂を、並設され且つ逆方向に回転する一組のカレンダーロールのロール間隙に導き、次いで該ロール間隙からフィルム状に引き出す。カレンダーロールは、少なくとも2本あり、その配列として、ゴムや塩化ビニル樹脂で行われているものと同様のものが使用できる。
配列の仕方として、垂直、水平、傾斜の3基本形態があり、それらを組み合わせることによって、Z型、逆L型、コ型、キャメルバック型、M型などがある。さらにロールの本数を2本から十数本に変化させることによって、さまざまな組合せが可能であり、またカレンダーロールに付属する装置として、冷却ロール、送りロール、圧着ロールなどを組み合わせることもできる。具体的には、2本垂直、2本傾斜、3本垂直、4本垂直コーティング、2本垂直逆L4本、2本垂直水平2本3対、2本垂直逆L4本冷却1本、5本コ型冷却1本、キャメルバック型4本冷却1本、3本垂直1対組合せ、逆L4本圧着2本、Z型4本圧着2本、2本水平、逆L型3本、4本垂直、逆L型4本、キャメルバック型4本、3本垂直冷却1本、逆L型4本冷却1本、Z型4本冷却1本、3本垂直送り1本、Z型4本冷却4本、逆L型4本冷却5本などが挙げられる。
カレンダーロール(溶融樹脂を最初に導入する一組のロール)の温度は、ロールの回転速度によって若干異なるが、その上限は、黄変色したフィルムの製造を防止するために、通常、230℃、好ましくは210℃、より好ましくは200℃であり、下限は、平滑性の低いフィルムの製造を防止するために、通常、100℃、好ましくは130℃、より好ましくは160℃である。2番目以降のロールの温度は、特に限定されず、通常、溶融樹脂が最初に導入される一組のロールの温度と同じか、若干低めの温度に設定される。
カレンダーロールの間隙から引き出されたフィルムは、数ミクロン〜数ミリメートルの厚さのものである。フィルムの厚みは、カレンダー速度、ロール温度やロールのニップ距離などによってコントロールできる。
カレンダーロールの間隙から引き出されたフィルムは、その後、テイクオフロール、冷却引取装置、巻取機などを経て、本発明の透光性フィルムとして用いることができる。ここで得られるフィルムは、その黄色度が、好ましくは2以下であり、特に好ましくは1以下である。このように本発明の製法により得られるフィルムは黄変色していないので、光学用途にも好適に使用できる。
本発明の光情報記録担体の保存性を改良するためには、透光層の組成を制御すると共に、種々の外的な圧力から情報記録層や透光層の光透過性の変化を生じないようにすることが重要であり、このため表面の鉛筆硬度を2H以上にすることが好ましい。
表面の耐擦傷性を向上させるために、例えば特開2003−99982号公報には、最表面にシリコーン系潤滑剤やフッ素系潤滑剤または脂肪酸エステル系潤滑剤を用いることが記載されている。しかしながら、この方法では表面に対して水平に近い方向で加わる力に対しては強いものの、表面に対して垂直に加わる力に対しては弱いという決定があった。従って、光情報記録担体の保存性を向上させるためには、鉛筆硬度を高めることが必要である。
表面の耐擦傷性を向上させるために、例えば特開2003−99982号公報には、最表面にシリコーン系潤滑剤やフッ素系潤滑剤または脂肪酸エステル系潤滑剤を用いることが記載されている。しかしながら、この方法では表面に対して水平に近い方向で加わる力に対しては強いものの、表面に対して垂直に加わる力に対しては弱いという決定があった。従って、光情報記録担体の保存性を向上させるためには、鉛筆硬度を高めることが必要である。
鉛筆硬度に関しては、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度として求めることができる。
要求される鉛筆硬度としては2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。
要求される鉛筆硬度としては2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。
このような鉛筆硬度を達成するためには、透光層が上記透光性フィルム上に、放射線硬化樹脂を含む硬化性組成物から形成される硬化皮膜からなるハードコート層を有することが好ましい。以下、本発明の透光性フィルムを支持体として、該支持体上にハードコート層を塗布したものをハードコートフィルムと称するが、本発明で用いられるハードコートフィルムとしては以下のようなものが挙げられる。
(1)特許第1815116号(特公平2−60696号公報)記載のように層の硬度を上げるために、該層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、シリカ、酸化チタン等の粉末状無機充填剤および重合開始剤を含有する被覆用組成物を支持体上に塗布したハードコートフィルム。
(2)特許1416240号(特公昭62−21815号公報)記載のアルコキシシラン等で表面処理したシリカもしくはアルミナからなる無機質の装填材料を含む光重合性組成物がさらに架橋有機微粒子を充填したハードコートフィルム。
(3)特開2000−52472号公報記載のハードコート層を2層構成とし、第一層に微粒子のシリカを添加するハードコートフィルム。
(4)特開2000−71392号公報記載のハードコート層を2層構成とし、下層をラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂のブレンドからなる硬化樹脂層を使用し、上層にラジカル硬化性樹脂のみからなる硬化樹脂層を使用したハードコートフィルム。
(5)特開2002−248619号公報記載の充填材と樹脂を熔融混練、押出し成型で作製されるハードコートフィルム。
(1)特許第1815116号(特公平2−60696号公報)記載のように層の硬度を上げるために、該層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、シリカ、酸化チタン等の粉末状無機充填剤および重合開始剤を含有する被覆用組成物を支持体上に塗布したハードコートフィルム。
(2)特許1416240号(特公昭62−21815号公報)記載のアルコキシシラン等で表面処理したシリカもしくはアルミナからなる無機質の装填材料を含む光重合性組成物がさらに架橋有機微粒子を充填したハードコートフィルム。
(3)特開2000−52472号公報記載のハードコート層を2層構成とし、第一層に微粒子のシリカを添加するハードコートフィルム。
(4)特開2000−71392号公報記載のハードコート層を2層構成とし、下層をラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂のブレンドからなる硬化樹脂層を使用し、上層にラジカル硬化性樹脂のみからなる硬化樹脂層を使用したハードコートフィルム。
(5)特開2002−248619号公報記載の充填材と樹脂を熔融混練、押出し成型で作製されるハードコートフィルム。
これらのハードコートフィルムは上記明細書記載のままでは充分な硬度が得られない場合が含まれるが、その場合、各々、以下のような調製方法の改善によって所望の硬度を得ることができる。
(1)多官能性アルキルエステルモノマーの官能基数増加、無機充填剤や開始剤量の増量
(2)無機質充填剤の増量
(3)1層目のシリカ量の増量
(4)ラジカル硬化樹脂の比率増加
(5)充填剤の増量
(1)多官能性アルキルエステルモノマーの官能基数増加、無機充填剤や開始剤量の増量
(2)無機質充填剤の増量
(3)1層目のシリカ量の増量
(4)ラジカル硬化樹脂の比率増加
(5)充填剤の増量
本発明では、以下のような構成のハードコート層を本発明の透光性フィルム上に塗布したハードコートフィルムを用いることが好ましい。
1.硬化性樹脂を含有する硬化性組成物であり、該硬化組成物を硬化して得られるハードコート層表面鉛筆硬度が2H以上となることを特徴とする硬化性組成物より硬化形成されるハードコート層。
2.フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と重合性基を有する防汚性を付与するための硬化性樹脂を含有する硬化性組成物であり、該硬化組成物を硬化して得られるハードコート層表面の水の接触角が90度以上であることを特徴とする硬化性組成物より硬化形成されるハードコート層。
3.ハードコート層の表面弾性率が4.0GPa以上10GPa以下であることを特徴とする上記1または2に記載のハードコート層。
4.ハードコート層の厚みが10μm以上60μm以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のハードコート層。
5.硬化性組成物が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物であり、開環重合性基を含有する硬化性樹脂および/または同一分子内にエチレン性不飽和基を2個以上含む硬化性樹脂を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のハードコート層。
6.開環重合性基を含有する硬化性樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する架橋性ポリマーであることを特徴とする上記5に記載のハードコート層。
一般式(1)
1.硬化性樹脂を含有する硬化性組成物であり、該硬化組成物を硬化して得られるハードコート層表面鉛筆硬度が2H以上となることを特徴とする硬化性組成物より硬化形成されるハードコート層。
2.フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と重合性基を有する防汚性を付与するための硬化性樹脂を含有する硬化性組成物であり、該硬化組成物を硬化して得られるハードコート層表面の水の接触角が90度以上であることを特徴とする硬化性組成物より硬化形成されるハードコート層。
3.ハードコート層の表面弾性率が4.0GPa以上10GPa以下であることを特徴とする上記1または2に記載のハードコート層。
4.ハードコート層の厚みが10μm以上60μm以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のハードコート層。
5.硬化性組成物が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物であり、開環重合性基を含有する硬化性樹脂および/または同一分子内にエチレン性不飽和基を2個以上含む硬化性樹脂を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のハードコート層。
6.開環重合性基を含有する硬化性樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する架橋性ポリマーであることを特徴とする上記5に記載のハードコート層。
一般式(1)
一般式(1)中:
R1は、水素原子または炭素原子数1から4のアルキル基を表す。
P1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基を表す。
L1は、単結合または二価以上の連結基を表す。
R1は、水素原子または炭素原子数1から4のアルキル基を表す。
P1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基を表す。
L1は、単結合または二価以上の連結基を表す。
7.開環重合性基が、カチオン重合性基であることを特徴とする上記5または6に記載のハードコート層。
以下、上記1〜7で述べたハードコート層、防汚性ハードコート層について詳細に説明する。
本発明のハードコートフィルムに塗布する層(以下、単に「ハードコート層」と称する)は、硬化性組成物が硬化して形成されたハードコート層である。硬化は活性エネルギー線重合であっても熱重合であってもかまわないが、生産性の観点から活性エネルギー線硬化が好ましい。そして、本発明のハードコート層の表面の鉛筆硬度は好ましくは2H以上であり、より好ましくは3H以上である。さらに表面の水に対する接触角は、防汚性の観点から好ましくは90度以上であり、より好ましくは97度以上である。また上限としては150度以下が好ましく、130度以下がより好ましい。
ハードコート層表面の水に対する接触角を上記範囲とするには、ハードコート層を形成するための硬化性組成物にフッ素原子および/またはケイ素原子を含有し、かつ重合性基を有する硬化性樹脂あるいは化合物を防汚剤として含有させる方法により達成される。重合性基は活性エネルギー線の照射により重合する基であることが好ましい。
本発明のハードコートフィルムに塗布する層(以下、単に「ハードコート層」と称する)は、硬化性組成物が硬化して形成されたハードコート層である。硬化は活性エネルギー線重合であっても熱重合であってもかまわないが、生産性の観点から活性エネルギー線硬化が好ましい。そして、本発明のハードコート層の表面の鉛筆硬度は好ましくは2H以上であり、より好ましくは3H以上である。さらに表面の水に対する接触角は、防汚性の観点から好ましくは90度以上であり、より好ましくは97度以上である。また上限としては150度以下が好ましく、130度以下がより好ましい。
ハードコート層表面の水に対する接触角を上記範囲とするには、ハードコート層を形成するための硬化性組成物にフッ素原子および/またはケイ素原子を含有し、かつ重合性基を有する硬化性樹脂あるいは化合物を防汚剤として含有させる方法により達成される。重合性基は活性エネルギー線の照射により重合する基であることが好ましい。
ハードコート層に含有されるフッ素原子および/またはケイ素原子を含有し、活性エネルギー線により重合する基を有する防汚剤としての硬化性樹脂は、活性エネルギー線で重合する公知の含フッ素硬化性樹脂や含ケイ素硬化性樹脂、あるいはフッ素原子を含有する骨格とケイ素原子を含有する骨格とを有する硬化性樹脂が用いられる。
さらにハードコート層を主として構成する硬化した樹脂あるいは該樹脂に分散した金属酸化物等と相溶性の良い骨格と、フッ素原子および/またはケイ素原子を含有する骨格とを有する活性エネルギー線重合性樹脂が好ましく挙げられる。
このような硬化性樹脂をハードコート層または防汚層を形成するために硬化することで、ハードコート層表面にフッ素あるいはケイ素を存在させることができる。
なお、本明細書においては、防汚層は、防汚性ハードコート層の一部を構成する。但し、説明の便宜上、防汚層は、ハードコート層と区別して記載することもあるが、その場合でも、防汚層は防汚性ハードコート層に包含される層である。
さらにハードコート層を主として構成する硬化した樹脂あるいは該樹脂に分散した金属酸化物等と相溶性の良い骨格と、フッ素原子および/またはケイ素原子を含有する骨格とを有する活性エネルギー線重合性樹脂が好ましく挙げられる。
このような硬化性樹脂をハードコート層または防汚層を形成するために硬化することで、ハードコート層表面にフッ素あるいはケイ素を存在させることができる。
なお、本明細書においては、防汚層は、防汚性ハードコート層の一部を構成する。但し、説明の便宜上、防汚層は、ハードコート層と区別して記載することもあるが、その場合でも、防汚層は防汚性ハードコート層に包含される層である。
ハードコート層に用いられる、防汚剤としての上記硬化性樹脂の具体的な例としては、フッ素原子またはケイ素原子を含有するモノマー、あるいはフッ素原子またはケイ素原子を含むモノマーの共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体にアクリル基を含有させたポリマーが挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M−3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000,AFC−2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有する化合物が挙げられる。
フッ素を含有する共重合体としては、主鎖が炭素原子のみからなり、かつ、含フッ素ビニルモノマー重合単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位とを含んでなる共重合体があり、具体的には下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
一般式(2)
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
具体的には、2−パーフルオロオクチルエチルメタアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート(日本メクトロン(株)製)、M−3633、M−3833、R−3633、R−3833等のアクリレート化合物((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、AFC−1000,AFC−2000、FA−16等(共栄社化学(株)製)、メガファック531A(大日本インキ(株)製)などの重合性基を含有する化合物が挙げられる。
フッ素を含有する共重合体としては、主鎖が炭素原子のみからなり、かつ、含フッ素ビニルモノマー重合単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位とを含んでなる共重合体があり、具体的には下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
一般式(2)
(一般式(2)中、Mfは含フッ素ビニルモノマー、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。)
一般式(2)におけるMfで表される含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、パーフルオロアルキルスルホン酸メタアクリルアミド、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、溶解性、透明性、入手性等の観点からはヘキサフルオロプロピレンが特に好ましい。
本発明の共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を必須の構成成分として有する。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(6)3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基含有重合単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上し、含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有重合単位は40〜80モル%を占めることが好ましく、45〜75モル%を占めることがより好ましく、50〜70モル%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位以外に、一般式(2)におけるAで表されるビニルモノマーを、支持体への密着性、ポリマーのTgの調整(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から、適宜共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*-(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2)2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-** 、(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
好ましい例としては、*-(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**, *-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2)2-O-**, *-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**, *-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-** 、(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、40≦y≦80、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、45≦y≦75、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、50≦y≦70、0≦z≦10の場合である。
ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。末端(メタ)アクリレートのシロキサン化合物の具体例としては、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−2404、X−22−174D、X−22−8201、X−22−2426(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含まない硬化性組成物層に対し、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物層を設けたハードコートフィルムの場合、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかの原子と活性エネルギー線重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物層の厚みは、0.05μm以上2μm以下が好ましい。薄すぎると塗膜の強度、防汚性の効果が得られ難いこと、1μm以上では多層構成にする意義が少なくなり、0.1μmから1μmの範囲がより好ましい。
活性エネルギー線の照射により重合する基は、例えばアクリル基等のラジカル重合性の二重結合やエポキシ基等のカチオン重合性基を導入することによって付与される。これら硬化性組成物に含まれるフッ素、ケイ素と活性エネルギー線重合性基を有する化合物の含有量は硬化性樹脂の0.01〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
ハードコート層が耐擦傷性に優れるためには、ハードコート層の硬度がある程度大きいことが好ましい。硬度の観点から、ハードコート層の表面弾性率は4.0GPa程度以上が好ましく、より好ましくは4.5GPa以上である。表面弾性率が4.0GPa未満のハードコート層では、十分な鉛筆硬度及び耐擦傷性が得られない。なお、上記の表面弾性率をユニバーサル硬度で表すと、その値は250N/mm2程度以上が好ましく、より好ましくは300N/mm2以上である。
無機微粒子を添加することにより、表面弾性率を上げることができる。無機微粒子の添加量を増やすと脆性が悪くなるので、表面弾性率の上限は、10GPa、好ましくは9.0GPaである。従って、好ましい表面弾性率の範囲は、4.0〜10GPaであり、特に好ましくは4.5〜9.0GPaである。
無機微粒子を添加することにより、表面弾性率を上げることができる。無機微粒子の添加量を増やすと脆性が悪くなるので、表面弾性率の上限は、10GPa、好ましくは9.0GPaである。従って、好ましい表面弾性率の範囲は、4.0〜10GPaであり、特に好ましくは4.5〜9.0GPaである。
ハードコート層の鉛筆硬度と脆性の両立化を図ることを検討した結果、硬度は若干小さいが脆性が改善されているハードコート剤を厚く塗布することが有効である。
上記表面弾性率は、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。
上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明のハードコート層の厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がさらに好ましい。ハードコート層の厚みをあまり厚くすると鉛筆硬度は向上するが、フィルムを曲げることが難しくなり、さらに曲げによる割れが発生しやすくなることから、ハードコート層の厚みは60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。従って、ハードコート層の厚みは、好ましくは10〜60μmであり、より好ましくは20〜50μmである。
ハードコート層は、単層でも複数層から構成されていてもよいが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは、同一の硬化性組成物から硬化形成されたハードコート層を指し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布後、硬化して形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の硬化性組成物から硬化、形成された層を指す。
本発明のハードコート層は、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を塗布後、活性エネルギー線の照射により硬化して形成される。該硬化性組成物の活性エネルギー線照射による硬化収縮率は、0〜15%、好ましくは0〜13%、より好ましくは0〜11%である。
上記硬化収縮率は、用いた活性エネルギー線、例えばUV光の照射前の硬化性組成物の密度と照射硬化後の硬化性組成物の密度を求め、その値から下記数式Aで計算して求めた値である。なお、密度はマイクロメトリック社製MULTIVOLUME PYCNOMETERで測定(25℃)した値である。
上記硬化収縮率は、用いた活性エネルギー線、例えばUV光の照射前の硬化性組成物の密度と照射硬化後の硬化性組成物の密度を求め、その値から下記数式Aで計算して求めた値である。なお、密度はマイクロメトリック社製MULTIVOLUME PYCNOMETERで測定(25℃)した値である。
数式A:体積収縮率={1−(硬化前密度/硬化後密度)}×100(%)
ハードコート層を形成するための硬化性組成物は、前記した防汚剤としての硬化性樹脂とは異なる、活性エネルギー線や熱によって硬化する硬化性樹脂を主成分として含有する。ハードコート層を形成するための硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」とも称する。)は、該硬化性樹脂として、開環重合性基を有する硬化性樹脂および/またはエチレン性不飽和基を同一分子内に2個以上(より好ましくは3個以上)有する硬化性樹脂を含有することが好ましく、これら二種の硬化性樹脂のいずれをも含有することがより好ましい。このことによって、ハードコート層の表面硬度が高くなり、耐擦傷性に優れたハードコートフィルムが得られる。同時に、体積収縮率が上記した範囲を満たし、硬化後のカールが小さくなり、諸取り扱い時のひび割れが発生しにくくなる。さらに、ハードコート層の膜厚を一定の膜厚にすることによって、上記の効果がさらに顕著となる。
以下、本発明に好ましく用いられる開環重合性基を含む硬化性樹脂について説明する。
開環重合性基を含む硬化性樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化性樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において、開環重合性基を有する硬化性樹脂を2種以上を組み合わせて併用してもよい。この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化性樹脂と同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂とを組み合わせてもよく、また同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂のみを2種以上組み合わせてもよい。
開環重合性基を含む硬化性樹脂とは、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する硬化性樹脂であり、この中でもヘテロ環状基含有硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
本発明において開環重合性基を有する硬化性樹脂は、同一分子内に2個以上の開環重合性基を有することが好ましいが、より好ましくは3個以上有することが好ましい。また、本発明において、開環重合性基を有する硬化性樹脂を2種以上を組み合わせて併用してもよい。この場合、同一分子内に開環重合性基を1個有する硬化性樹脂と同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂とを組み合わせてもよく、また同一分子内に開環重合性基を2個以上有する硬化性樹脂のみを2種以上組み合わせてもよい。
本発明で言う開環重合性基を有する硬化性樹脂とは、上記のような環状構造を有する硬化性樹脂であれば得に制限がない。このような硬化性樹脂の好ましい例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、2官能脂環式エポキシ類、ジグリシジルエーテル類(例えばグリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(グリシジルオキシエチル)イソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)、脂環式エポキシ類(セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど)、オキセタン類(OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)など)などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
ない。
本発明では開環重合性基を有する硬化性樹脂として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーを含有していることが特に好ましい。以下にこれら架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(1)中、R1は水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
L1は、単結合または二価以上の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
P1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基であり、好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを有する一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を有する一価の基である。
一般式(1)中、R1は水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
L1は、単結合または二価以上の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
P1は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基であり、好ましいP1としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを有する一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を有する一価の基である。
本発明において一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(1)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(1)以外の繰り返し単位(例えば開環重合性基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(1)以外の繰り返し単位を含有するコポリマーとする手法は好適である。一般式(1)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ペンチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシメトキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2−ジメチルブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、セチルアクリレート、ベンジルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−プロピルペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、メチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−ノルボルニルメチルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチルメタクリレート、3−メチル−2−ノルボルニルメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、
アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド)、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げられる。
これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。
なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(1)以外の繰り返し単位として、開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、ハードコート層の硬度を高めたい場合や、支持体もしくはハードコート層上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法が好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、反応性モノマーと称する)を共重合する手法が簡便で好ましい。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
本発明において、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表3に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(1)で表される繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
既に述べたように、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線によって硬化する硬化性組成物には、開環重合性基を含む硬化性樹脂とエチレン性不飽和基を同一分子内に2個以上含む硬化性樹脂との両方を含有することが好ましい。
以下に、上記エチレン性不飽和基を同一分子内に2個以上含む硬化性樹脂について詳しく説明する。
以下に、上記エチレン性不飽和基を同一分子内に2個以上含む硬化性樹脂について詳しく説明する。
好ましいエチレン性不飽和基の種類は、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。
なお、同一分子内にエチレン性不飽和基を2個以上含む硬化性樹脂と共に、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む硬化性樹脂(モノマーあるいはオリゴマー)を併用してもよい。
さらに、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーなどを本発明の硬化性樹脂として好ましく使用することができる。
なお、同一分子内にエチレン性不飽和基を2個以上含む硬化性樹脂と共に、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む硬化性樹脂(モノマーあるいはオリゴマー)を併用してもよい。
さらに、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーや、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーなどを本発明の硬化性樹脂として好ましく使用することができる。
これら同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を挙げることができる。同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂がさらに好ましい。
また、本発明では同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する硬化性樹脂として、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーも好ましく使用できる。以下、一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(3)
一般式(3)
上記一般式(3)中、R2は、水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
P2は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の基を表す。
L2は、単結合もしくは二価以上の連結基を表し、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
好ましいP2としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基またはこれらの基のいずれかを含有する一価の基であり、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含有する一価の基である。
P2は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の基を表す。
L2は、単結合もしくは二価以上の連結基を表し、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
好ましいP2としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基またはこれらの基のいずれかを含有する一価の基であり、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含有する一価の基である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、(i)対応するモノマーを重合させて直接エチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよく、(ii)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られるポリマーに高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法で合成してもよい。また、上記(i)および(ii)の手法を組み合わせて合成することもできる。重合反応としてはラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などが挙げられる。
上記(i)の方法を用いる場合、重合反応により消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用することにより可能である。例えば、一般式(3)のP2が、アクリロイル基、メタクリロイル基またはこれらのいずれかを含有する一価の基である場合、架橋性ポリマーを生成させる重合反応をカチオン重合とすることで上記(i)の手法によって本発明の架橋性ポリマーを得ることができる。一方、P2がスチリル基またはスチリル基を含有する一価の基である場合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとってもゲル化が進行しやすいため、通常上記(ii)の手法によって一般式(3)の架橋性ポリマーを合成する。
上記(i)の方法を用いる場合、重合反応により消費されるエチレン性不飽和基と架橋性ポリマー中に残されるエチレン性不飽和基の重合性の差を利用することにより可能である。例えば、一般式(3)のP2が、アクリロイル基、メタクリロイル基またはこれらのいずれかを含有する一価の基である場合、架橋性ポリマーを生成させる重合反応をカチオン重合とすることで上記(i)の手法によって本発明の架橋性ポリマーを得ることができる。一方、P2がスチリル基またはスチリル基を含有する一価の基である場合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの方法をとってもゲル化が進行しやすいため、通常上記(ii)の手法によって一般式(3)の架橋性ポリマーを合成する。
このように上記(ii)の高分子反応を利用する手法は、一般式(3)中に導入されるエチレン性不飽和基の種類によらず、架橋性ポリマーを得ることが可能であり、有用である。
高分子反応は、(I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法と、(II)任意の官能基を含むポリマーを生成させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行して共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーを反応させる方法が挙げられる。これら(I)、(II)の方法は組み合わせて行ってもよい。
ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
高分子反応は、(I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させたあとに官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法と、(II)任意の官能基を含むポリマーを生成させたあとに、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行して共有結合を生成しうる官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーを反応させる方法が挙げられる。これら(I)、(II)の方法は組み合わせて行ってもよい。
ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、架橋性ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いても良く、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
以下に好ましい高分子結合形成反応が進行する官能基の組み合わせの例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
加熱もしくは室温で反応が進行する官能基の組み合わせとしては、
(イ)ヒドロキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、ホルミル基、アセタール基、
(ロ)イソシアネート基に対して、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(ハ)カルボキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、N−メチロール基、
(ニ)N−メチロール基に対して、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
(ホ)エポキシ基に対して、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(ヘ)ビニルスルホン基に対してスルフィン酸基、アミノ基、
(ト)ホルミル基に対してヒドロキシル基、メルカプト基、活性メチレン基、(チ)メルカプト基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
(リ)アミノ基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
などの組み合わせが挙げられる。
(イ)ヒドロキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、ホルミル基、アセタール基、
(ロ)イソシアネート基に対して、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(ハ)カルボキシル基に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、N−メチロール基、
(ニ)N−メチロール基に対して、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
(ホ)エポキシ基に対して、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、N−メチロール基、
(ヘ)ビニルスルホン基に対してスルフィン酸基、アミノ基、
(ト)ホルミル基に対してヒドロキシル基、メルカプト基、活性メチレン基、(チ)メルカプト基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
(リ)アミノ基に対して、ホルミル基、ビニル基(アリル基、アクリル基など)、エポキシ基、イソシアネート基、N−メチロール基、カルボキシル基、アルキルハライド、酸無水物、酸クロライド、活性エステル基(例えば硫酸エステル)、
などの組み合わせが挙げられる。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、エポキシ基含有ビニルモノマー(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、CYCLOMER−M100、A200(ダイセル化学工業(株)製)など)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、ビニル基含有ビニルモノマー(例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート)、酸クロライド含有モノマー(例えばアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、などが挙げられる。
上記(II)に記載した任意の官能基を含むポリマーは、反応性官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する反応性モノマーの重合を行うことで得ることができる。また、ポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールのように反応性の低い前駆体モノマーの重合後、官能基変換を行うことで得ることもできる。
これらの場合の重合方法としては、ラジカル重合が最も簡便で好ましい。
これらの場合の重合方法としては、ラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(3)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、また、一般式(3)以外の繰り返し単位(例えばエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位)を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーのエチレン性不飽和基の含有量をコントロールする目的で一般式(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとする手法は好適である。一般式(3)以外の繰り返し単位の導入方法は、(a)対応するモノマーを共重合させて直接導入する手法を用いてもよく、(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入する手法を用いてもよい。また、(a)および(b)の手法を組み合わせて導入することもできる。
(a)の手法によって一般式(3)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、前述の一般式(1)の説明において、一般式(1)以外の繰り返し単位を対応するビニルモノマーを重合することによって導入する場合に好ましく用いられるモノマーとして挙げたものと同様なものが挙げられる。それらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.19551(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。なかでも、アクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類およびアミド類、ならびに芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられる。
また、一般式(3)で表される繰り返し単位を前記(ii)のように高分子反応で導入し、反応を完結させない場合、エチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基や反応性官能基を含む繰り返し単位を有する共重合体となるが、本発明ではこれを特に制限無く用いることができる。
上記で挙げたビニルモノマーから誘導されるエチレン性不飽和基を含まない繰り返し単位の大部分は前述した(b)官能基変換可能な前駆体モノマーを重合させ、高分子反応により導入することも可能である。一方で、本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、高分子反応のみによってでしか導入できない、一般式(3)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。典型的な例としてポリ酢酸ビニルを変性して得られるポリビニルアルコールやポリビニルアルコールのアセタール化反応によって得られるポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらの繰り返し単位の具体的な例を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%以上100質量%以下、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい数量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリエチレングリコール換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表4に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
本発明に用いることのできる開環重合性基を有する硬化性樹脂として、一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含むポリマーも挙げることができる。この場合の一般式(1)および(3)の好ましい繰り返し単位としては、前記したものと同じである。また、一般式(1)および(3)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーであってもエチレン性不飽和基および開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位を含んだコポリマーであってもよい。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下であり、一般式(3)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、1質量%以上99質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定、ポリスチレン換算値)の範囲は、1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
一般式(1)および(3)で表される両方の繰り返し単位を含む架橋性ポリマーの好ましい例を表5に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、前記で具体例を挙げた一般式(1)および(3)で表される繰り返し単位とポリビニルアルコールなどの繰り返し単位は前記で挙げた具体例の番号で表し、共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し単位は、モノマー名を記載し、共重合組成比を質量%で付記した。
ハードコート層を形成するための硬化性組成物に好ましく含有される、エチレン性不飽和基を同一分子内に2個以上含む硬化性樹脂と開環重合性基を含む硬化性樹脂との好ましい混合比は、用いる硬化性樹脂の種類によっても異なり、特に制限はないが、エチレン性不飽和基を含む硬化性樹脂の割合が硬化性樹脂全体の30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下である。
エチレン性不飽和基を含む硬化性樹脂と開環重合性基を含む硬化性樹脂を含有する硬化性組成物(以下、特に断りのない限り、「硬化性組成物」は、これら両者の硬化性樹脂を含有する組成物である)を硬化させる場合、両方の硬化性樹脂の架橋反応が進行することが好ましい。エチレン性不飽和基の好ましい架橋反応はラジカル重合反応であり、開環重合性基の好ましい架橋反応はカチオン重合反応である。いずれの場合も活性エネルギー線の作用により、重合反応を進行させることができる。通常、重合開始剤と称される少量のラジカル発生剤およびカチオン発生剤(もしくは酸発生剤)を添加し、活性エネルギー線によりこれらを分解し、ラジカルおよびカチオンを発生させ重合を進行させることができる。ラジカル重合とカチオン重合は別々に行ってもよいが、同時に進行させることが好ましい。
上記硬化性組成物を活性エネルギー線照射により硬化する場合、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。
本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
本発明では、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下である。
紫外線によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の硬化性樹脂やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の硬化性樹脂が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、"イメージング用有機材料"ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている硬化性樹脂等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6-、SbF6-、AsF6-、B(C6F5)4-などが好ましい。
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また上記で挙げたように通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
重合開始剤は、それぞれ組み合わせて用いてもよいし、単独でラジカルとカチオンの両方を発生させるような硬化性樹脂の場合などは1種単独で用いることができる。重合開始剤の添加量としては、硬化性組成物中に含まれるエチレン性不飽和基含有硬化性樹脂と開環重合性基含有硬化性樹脂の総質量に対し、0.1〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
本発明において一般式(1)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマーや、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する架橋性ポリマー(以下、これらを合わせて「本発明のポリマー」と称する)を使用する場合は、通常、本発明のポリマーは固体もしくは高粘度液体となり単独での塗布は困難であり、ポリマーが水溶性の場合や水分散物とした場合は水系で塗布することもできるが、通常有機溶媒に溶解して塗布される。有機溶媒としては、本発明のポリマーを溶解し得るものであれば特に制限なく使用できる。
好ましい有機溶媒としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。また、前記した単官能もしくは多官能のビニルモノマーや、単官能、2官能または3官能以上の開環重合性基を有する硬化性樹脂が低分子量硬化性樹脂である場合、これらを併用すると、硬化性組成物の粘度を調節することが可能であり、溶媒を用いなくても塗布可能とすることもできる。
好ましい有機溶媒としては、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。また、前記した単官能もしくは多官能のビニルモノマーや、単官能、2官能または3官能以上の開環重合性基を有する硬化性樹脂が低分子量硬化性樹脂である場合、これらを併用すると、硬化性組成物の粘度を調節することが可能であり、溶媒を用いなくても塗布可能とすることもできる。
また本発明では、硬化性組成物中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することでハードコート層の硬化収縮量を低減できるため、支持体との密着性が向上したり、カールを低減でき好ましい。微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。このような無機微粒子は一般に硬質であり、ハードコート層に充填させることで、硬化時の収縮を改良できるだけではなく、表面の硬度も高めることができる。
添加される微粒子の粒子サイズは5nm〜200nm、好ましくは8nm〜180nm、さらに好ましくは10nm〜150nmである。
ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
添加される微粒子の粒子サイズは5nm〜200nm、好ましくは8nm〜180nm、さらに好ましくは10nm〜150nmである。
ただし、微粒子は一般にヘイズを増加させる傾向があるために、各必要特性のバランスの上で充填方法が調整される。
一般に、無機微粒子は本発明のポリマーや多官能ビニルモノマーなどの有機成分との親和性が低いため単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後のハードコート層がひび割れやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、有機成分と高い親和性を有する官能基を同一分子内に有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基を同一分子内に有する硬化性樹脂である。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が好ましい。
さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基、もしくは開環重合性基が好ましい。
本発明において好ましい無機微粒子表面修飾剤は金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基もしくは開環重合性基を同一分子内に有する硬化性樹脂である。
これら表面修飾剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1 H2C=C(X)COOC3H6Si(OCH3)3
S−2 H2C=C(X)COOC2H4OTi(OC2H5)3
S−3 H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC2H4OSO3H
S−6 H2C=C(X)COO(C5H10COO)2H
S−7 H2C=C(X)COOC5H10COOH
S−8 3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
S−2 H2C=C(X)COOC2H4OTi(OC2H5)3
S−3 H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC2H4OSO3H
S−6 H2C=C(X)COO(C5H10COO)2H
S−7 H2C=C(X)COOC5H10COOH
S−8 3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
ここで、Xは、水素原子あるいはCH3を表す。
これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面修飾剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面修飾剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面修飾を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でもよい。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
有機微粒子としては特に制限がないが、エチレン性不飽和基を有するモノマーからなるポリマー粒子、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、および本発明における一般式(1)および(3)からなるポリマー粒子が好ましく用いられ、その他に、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ゼラチン等の樹脂粒子が挙げられる。これらの粒子は架橋されていることが好ましい。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の微細化分散機としては、超音波、ディスパー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ポリトロン、ペイントシェーカー、サンドグラインダー、ニーダー、アイガーミル、ダイノミル、コボールミル等を用いることが好ましい。また、分散媒としては前述の表面修飾用の溶媒が好ましく用いられる。
微粒子の充填量は、充填後のハードコート層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜25体積%がより好ましく、5〜15体積%が最も好ましい。
本発明のハードコート層のヘイズは7%以下であることが好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。ヘイズの評価法は、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
本発明におけるハードコートフィルムは、カールを以下の数式Bで表したときの値が、マイナス15〜プラス15の範囲に入っていることが好ましく、マイナス12〜プラス12の範囲がより好ましく、さらに好ましくはマイナス10〜プラス10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、支持体の搬送方向について測ったものである。
(数式B) カール=1/R(ここで、Rは曲率半径(m))
これは、ハードコートフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと高表面硬度とすることは、ハードコート層形成用の硬化性組成物の硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。
カールの測定は、JISK7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
ここで、カールがプラスとはフィルムのハードコート層塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるハードコートフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
カールの測定は、JISK7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、相対湿度60%、調湿時間10時間である。
ここで、カールがプラスとはフィルムのハードコート層塗設側が湾曲の内側になるカールを言い、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるハードコートフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
本発明におけるハードコートフィルムの耐ひび割れ性は、ハードコート層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、ハードコートフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
活性エネルギー線硬化塗布液(硬化組成物の塗布液)は、ケトン系、アルコール系、エステル系等の有機溶剤に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を主体に溶解して調製する。さらに、表面修飾した硬無機微粒子分散液と軟微粒子分散液を添加して調製することができる。
本発明のハードコート層の作製は、支持体上に活性エネルギー線硬化塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法、スロットエクストルージョンコーター法(単層、重層)、スライドコーター法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより作製することができる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、支持体の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、支持体の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
さらに、支持体とハードコート層の密着性を向上させる目的で、所望により支持体の片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
更に、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。さらに下塗り層に酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
ハードコート層は、複数層構成でも可能であり、硬度の順に適宜積層して作製することもできる。
本発明の透光層は支持体や記録層を含む基板と粘着層を介して貼り合わせることが好ましい。粘着層を設置する工程において、あらかじめ一方の面にハードコート層が形成された透光性フィルムのハードコート層塗設面と異なる面に、粘着層を連続的に設けることができる。粘着層を設ける方法としては、予め形成された粘着層を貼り付ける方法(以下、適宜、間接法と称する)と、透光性フィルムの表面に、直接、粘着剤を塗布し、乾燥させることで粘着層を形成する方法(以下、適宜、直接法と称する。)と、の2つに大別することができる。
間接法の場合における「予め形成された粘着層を貼り付ける方法」とは、例えば、透光性フィルムと同じ大きさの離型フィルムの表面に、連続的に粘着剤を塗布し、乾燥させることで、離型フィルムの一方の面全域に粘着層を設け、その粘着層を透光性フィルムに貼り付ける方法を示す。その結果、透光性フィルムの他方の面全域には、離型フィルム付きの粘着層が設けられることになる。
直接法は、ロール状に巻回された透光性フィルムの先端を、所定の塗布領域まで送り出し、その透光性フィルムの一方の面の先端から末端まで、粘着剤を連続的に塗布し、塗膜を形成した後、順次、その塗膜を乾燥させて、透光性フィルムの他方の面全域に粘着層を設ける方法である。
上記の間接法及び直接法において、粘着剤の塗布手段としては、従来公知の塗布手段を用いることができる。具体的には、スプレー法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
また、乾燥手段としては、加熱乾燥、送風乾燥など、従来公知の手段を用いることができる。
また、乾燥手段としては、加熱乾燥、送風乾燥など、従来公知の手段を用いることができる。
粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ樹脂系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、キレート系架橋剤が挙げられるが、この中でも、イソシアネート系架橋剤がより好ましい。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4−4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
透光性フィルムのハードコート層が設置された以外の面に粘着層が形成されるが、その後の工程においてロール状に巻き取られ、ハードコート層と粘着層とが密着してしまうこと防止するためにも、粘着層の表面には、離型フィルムが貼り付けられていることが好ましい。上述のように、間接法においては、予め、離型フィルムを貼りつけた状態とすることができる。一方、直接法の場合には、粘着層が透光性フィルムの表面に形成された後に、その粘着層の表面に離型フィルムを貼り付ける工程を新たに加えることが好ましい。
ここで、粘着層の表面に貼り付けられる離型フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートセルロースフィルムなどが挙げられる。
ここで、粘着層の表面に貼り付けられる離型フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートセルロースフィルムなどが挙げられる。
本発明なる光情報記録担体の透光層の厚みは、支持体の厚みよりも薄いことが好ましい。光情報記録担体が傾いたときに増加する収差を考慮すると、その厚みは50〜300μmが相応しく、望ましくは60〜200μm、更に望ましくは70〜120μmである。また厚みの一面中でのバラツキは最大で±3μm、望ましくは±2μm以下とする。更に望ましくは±1μm以下とする。
本発明の光情報記録担体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録担体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、透光層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録担体を所定の定線速度で回転させながら光学的手段として青紫色レーザを用いてレーザ光を透光層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
記録・再生用の光学的手段となる500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
支持体製造例1
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)(信越化学工業株式会社製品HP−55)30gをアセトン/エタノール1:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCPを含浸させた。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)(信越化学工業株式会社製品HP−55)30gをアセトン/エタノール1:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCPを含浸させた。
支持体製造例2
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)(信越化学工業株式会社製品)30gをアセトン/9:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCAPを含浸させた。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)(信越化学工業株式会社製品)30gをアセトン/9:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCAPを含浸させた。
支持体製造例3
ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)(信越化学工業株式会社製品)30gをアセトン/エタノール1:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCHHPを含浸させた。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)(信越化学工業株式会社製品)30gをアセトン/エタノール1:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCHHPを含浸させた。
支持体製造例4
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)(信越化学工業株式会社製品AS−L)30gをアセトン/水9:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCASを含浸させた。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)(信越化学工業株式会社製品AS−L)30gをアセトン/水9:1溶媒70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に厚さ2.0mmのクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のHPMCASを含浸させた。
比較支持体製造例1
ポリスチレン30gをトルエン70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に坪量140g/m2のクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のスチレンを含浸させた。
ポリスチレン30gをトルエン70gに溶解し、浸漬溶液とした。この溶液に坪量140g/m2のクラフト紙を浸し、およそ20g/m2のスチレンを含浸させた。
比較支持体製造例2
ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルム(富士写真フイルム(株)製:商品名ラミング100)を、富士フイルムビジネスサプライ(株)製ラミネート機(型番M−36)にセットし、厚さ2mmのクラフト紙をラミネートして、両面にポリエチレンテレフタレートを貼り付けた支持体を製造した。
ポリエチレンテレフタレートのラミネートフィルム(富士写真フイルム(株)製:商品名ラミング100)を、富士フイルムビジネスサプライ(株)製ラミネート機(型番M−36)にセットし、厚さ2mmのクラフト紙をラミネートして、両面にポリエチレンテレフタレートを貼り付けた支持体を製造した。
[支持体の溶解性評価]
支持体製造例1〜4のクラフト紙、比較に製造した比較支持体製造例1〜2を3cm角に切って、60℃の4%苛性ソーダ水溶液中で攪拌して、溶解テストを実施した。結果を表6に示した。
支持体製造例1〜4のクラフト紙、比較に製造した比較支持体製造例1〜2を3cm角に切って、60℃の4%苛性ソーダ水溶液中で攪拌して、溶解テストを実施した。結果を表6に示した。
溶解性評価で用いた各サンプルの攪拌済みの分散液を1cm角メッシュのろ過網を通過させて、分散邂逅状態をろ過の目詰まりで調べた。結果を表7に示した。
支持体製造例1で作成した支持体を用いて、直径130mmφの基板をつくりその上に、エポキシ−アクリレート系紫外線硬化樹脂を用いて2P法(フォト・ポリマー法)で厚さ30μのプレグルーブ層を設けた。その基板を以下の実施例に用いた。
光情報記録担体の作製
A.支持体、記録層の作製
スパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅120nm、トラックピッチ320nm)を形成した基板面上に、Agをスパッタして100nmの厚さの光反射層を形成した。
A.支持体、記録層の作製
スパイラル状のグルーブ(深さ100nm、幅120nm、トラックピッチ320nm)を形成した基板面上に、Agをスパッタして100nmの厚さの光反射層を形成した。
その後、オラゾールブルGN(記録素材1、フタロシアニン系色素、cibaスぺシャリティケミカル社製)20gを2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール1リットル中に添加し、2時間超音波処理を行って溶解し、記録層形成用の塗布液を調製した。調製された塗布液を、光反射層上に回転数を300〜4000rpmまで変化させながら、23゜C、50%RHの条件でスピンコート法により塗布した。その後、23゜C、50%RHで1〜4時間保存して形成された記録層の膜厚は100nmであった。そして、記録層上に、ZnS−SiO2を厚さ5nmになるようにスパッタし、中間層(バリア層)を形成した。
また、記録用素材の別の例としてオラゾールブルGNの代わりにDC及びRFスパッタリング法を用い、相変化記録層としてAgPdCu/ZnSSiO/AgInSeTe/ZnSSiO(記録素材2)からなる積層膜を成膜形成したものも作製した。
また、記録用素材の別の例としてオラゾールブルGNの代わりにDC及びRFスパッタリング法を用い、相変化記録層としてAgPdCu/ZnSSiO/AgInSeTe/ZnSSiO(記録素材2)からなる積層膜を成膜形成したものも作製した。
B.透光層(ハードコートフィルム)の作製
記録層上に設置される透光層(ハードコートフィルム)は、支持体側から順に粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、場合によってはさらにその上に設置される防汚層からなる。ここでは粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、場合によってさらに防汚層からなる透光層の作製例を示し、以下に、透光性フィルム(セルロースアシレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム)の製造法、ハードコート層塗布、防汚層塗布の順に記載する。
記録層上に設置される透光層(ハードコートフィルム)は、支持体側から順に粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、場合によってはさらにその上に設置される防汚層からなる。ここでは粘着層、透光性フィルム、ハードコート層、場合によってさらに防汚層からなる透光層の作製例を示し、以下に、透光性フィルム(セルロースアシレートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム)の製造法、ハードコート層塗布、防汚層塗布の順に記載する。
1−1.セルロースアシレートフィルム(TAC−1)の製造法
くり返し単位が−〔O−(CH2)2−OCO−(CH2)4CO〕−のアジピン酸とエチレングリコールからなる平均分子量2125の両未満ジヒドロキシポリエステルとトリレンジイソシアナート(TDI)とを処理し、平均分子量7300のメチレンクロライド可溶性ポリエステル−ウレタン樹脂を合成した。この化合物をPU−1とする。このPU−1に、セルロースアセテートを加え、下記の組成のドープを得た。
くり返し単位が−〔O−(CH2)2−OCO−(CH2)4CO〕−のアジピン酸とエチレングリコールからなる平均分子量2125の両未満ジヒドロキシポリエステルとトリレンジイソシアナート(TDI)とを処理し、平均分子量7300のメチレンクロライド可溶性ポリエステル−ウレタン樹脂を合成した。この化合物をPU−1とする。このPU−1に、セルロースアセテートを加え、下記の組成のドープを得た。
セルローストリアセテート 100質量部
(置換度2.85、6位置換度0.90)
PU−1 15質量部
メチレンクロライド 270質量部
ブタノール 7質量部
メタノール 70質量部
(置換度2.85、6位置換度0.90)
PU−1 15質量部
メチレンクロライド 270質量部
ブタノール 7質量部
メタノール 70質量部
この組成物を密閉容器に投入し、加圧下で、80℃に保持しながら、攪拌して完全に溶解する。次にこのドープを濾過し、冷却して25℃に保持しながら回転する直径30cmのジャケット付ドラム上に流延した。ドラムは伝熱性、耐蝕性、平面性を兼ねる必要からSB材の上に、約50μmのNi層を鍍金し、さらに約40μmのハードクロム鍍金を2回施した表面を、0.01〜0.05Sの超鏡面研磨したものを使用した。このときドラムは、ジャケットに冷水を通水し、表面温度は0℃となるように保持しておく。流延速度は3m/分に固定し、流延位置から流延方向に270度回転した位置で剥取ロールを介してフィルムを剥離し、3.15m/分の速度でベースをひきとり、流延方向に5%流延する。剥ぎ取ったベースは、両サイドを固定し、70℃の熱風によって乾燥し、厚さ80μmのフィルムを得た。湿度を変化させたときのフィルムの長さを測定することによって求められた吸湿膨張係数は、70ppm/%RHであった。
1−2.劣化防止剤を含有するセルロースアシレートフィルム(TAC−2、3、4、5、6、7)の製造法
TAC−1に対し1重量部の下記劣化防止剤1〜5を添加した物をドープとする以外は1−1と同様にして膜厚80μmのTAC−2(劣化防止剤1添加)、TAC−3(劣化防止剤2添加)、TAC−4(劣化防止剤3添加)、TAC−5(劣化防止剤4添加)、TAC−6(劣化防止剤5添加)、TAC−7(劣化防止剤6添加)を作製した。各々の吸湿膨張係数は60、43、30、25、35ppm/%RHであった。
TAC−1に対し1重量部の下記劣化防止剤1〜5を添加した物をドープとする以外は1−1と同様にして膜厚80μmのTAC−2(劣化防止剤1添加)、TAC−3(劣化防止剤2添加)、TAC−4(劣化防止剤3添加)、TAC−5(劣化防止剤4添加)、TAC−6(劣化防止剤5添加)、TAC−7(劣化防止剤6添加)を作製した。各々の吸湿膨張係数は60、43、30、25、35ppm/%RHであった。
1−3.有機塩素系溶剤の量が10ppm以下であるセルロースアシレートフィルム(TAC−8)の製造法
(表層用ドープの組成)
セルロースアセテート 100質量部
(置換度2.9、6位置換度0.90)
トリフェニルホスフェート 13質量部
トリベンジルアミン 0.5質量部
メチレンクロライド 314質量部
メタノール 44質量部
n−ブタノール 12質量部
セルロースアセテート 100質量部
(置換度2.9、6位置換度0.90)
トリフェニルホスフェート 13質量部
トリベンジルアミン 0.5質量部
メチレンクロライド 314質量部
メタノール 44質量部
n−ブタノール 12質量部
(コア層用ドープの組成)
セルロースアセテート 100質量部
(置換度2.5、6位置換度0.80)
トリフェニルホスフェート 10質量部
ジエチルフタレート 5質量部
トリベンジルアミン 0.5質量部
アセトン 256質量部
メタノール 110質量部
セルロースアセテート 100質量部
(置換度2.5、6位置換度0.80)
トリフェニルホスフェート 10質量部
ジエチルフタレート 5質量部
トリベンジルアミン 0.5質量部
アセトン 256質量部
メタノール 110質量部
上記のそれぞれの組成のドープ溶液を周知の方法で調製し、濾過後、共流延法を用いて74μmのコア層の表裏両面に、外層(前記上下表層)がそれぞれ乾膜で3μmになるように支持体上に流延した。共流延は、フィードブロック型のダイを用いて、それぞれのドープを35℃に加温してステンレス製支持体上に流延した。流延後、80℃で3分間乾燥後、剥離し、さらに120℃で10分間乾燥し乾膜のフィルムサンプルを得た。本フィルムの吸湿膨張係数は40ppm/%RHであった。
1−4.脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有するセルロースアシレートフィルム(TAC−9、10、11)の作成
セルローストリアセテート(リンター、酢化度62.0%)
160kg
ジプロピレングリコールジベンゾエート 40kg
メチレンクロライド 770kg
エタノール 65kg
160kg
ジプロピレングリコールジベンゾエート 40kg
メチレンクロライド 770kg
エタノール 65kg
以上を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープ液を作製した。次いで、ベルト流延装置を用い、ドープ液を33℃、1500mm幅のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンドの温度は25℃に制御した。ステンレスバンド支持体上で、流延(キャスト)したフイルム中の残留溶媒量が25%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力127N/mで、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離したセルローストリアセテートフィルムは、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥させ、膜厚80μmのセルローストリアシレートフィルムのサンプルTAC−9を得た。
多価アルコールエステルをジプロピレングリコールジベンゾエートから化合物16に変更した以外は上記と同様の方法でTAC−10を作製した。また、TINUVIN109、171、326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)を各0.8g添加した以外はTAC−10と同様の方法でTAC−11を作製した。
1−5.環状ポリオレフィンフィルム(ZEO)の作製
ジシクロペンタジエン・テトラシクロドデセンの開環共重合を水素添加してなる環状オレフィン樹脂(ガラス転移温度98℃、5%加熱減量温度360℃)を、混練機で180℃に加熱溶融して溶融樹脂を得た。8インチ逆L型4本カレンダー成形機を用い、各ロールの温度を190℃に設定し、前記溶融樹脂をロールとロールとの間隙の谷間に順次通して、最後にロールから引き剥がし、冷却し、膜厚80μmの環状ポリオレフィンフィルムを得た。本フィルムの吸湿膨張係数は9ppm/%RHであった。
ジシクロペンタジエン・テトラシクロドデセンの開環共重合を水素添加してなる環状オレフィン樹脂(ガラス転移温度98℃、5%加熱減量温度360℃)を、混練機で180℃に加熱溶融して溶融樹脂を得た。8インチ逆L型4本カレンダー成形機を用い、各ロールの温度を190℃に設定し、前記溶融樹脂をロールとロールとの間隙の谷間に順次通して、最後にロールから引き剥がし、冷却し、膜厚80μmの環状ポリオレフィンフィルムを得た。本フィルムの吸湿膨張係数は9ppm/%RHであった。
2.ハードコート層の形成
2−1.ハードコート層塗布液の調製
(1)H−1液の調製
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V−65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12,000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295;大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イ
ルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部とメガファック531A(大日本インキ化学工業(株)製)10質量部を30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを撹拌しながら混合し、ハードコート層塗布液(H−1)を作製した。
2−1.ハードコート層塗布液の調製
(1)H−1液の調製
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V−65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12,000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295;大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イ
ルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部とメガファック531A(大日本インキ化学工業(株)製)10質量部を30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを撹拌しながら混合し、ハードコート層塗布液(H−1)を作製した。
(2)H−2液の調製
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを等質量のX−22−164B(信越化学(株)製)に変更する以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−2)を調製した。
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを等質量のX−22−164B(信越化学(株)製)に変更する以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−2)を調製した。
(3)H−3液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ダイセル・ユーシービー(株)製)93質量部に、R−3833(ダイキンファインケミカル研究所製)5質量部、X−22−164C(信越化学(株)製)2質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)3質量部をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(1:1質量比)混合液に溶解混合し、ハードコート層塗布液(H−3)を調整した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、ダイセル・ユーシービー(株)製)93質量部に、R−3833(ダイキンファインケミカル研究所製)5質量部、X−22−164C(信越化学(株)製)2質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)3質量部をメチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン(1:1質量比)混合液に溶解混合し、ハードコート層塗布液(H−3)を調整した。
(4)H−4液の調製
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを添加しなかった以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−4)を調製した。
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを添加しなかった以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−4)を調製した。
(5)H−5の調整
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを等質量の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、JSR(株)製)に変更する以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−5)を調製した。
ハードコート層塗布液(H−1)の調製において、メガファック531Aを等質量の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、JSR(株)製)に変更する以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−5)を調製した。
(6)H−6の調整
ハードコート層塗布液(H−3)の調製において、R−3833を添加しなかった以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−6)を調製した。
ハードコート層塗布液(H−3)の調製において、R−3833を添加しなかった以外は同様に行い、ハードコート層塗布液(H−6)を調製した。
(7)防汚層塗布液(a−1)の調製
熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、JSR(株)製)にイソプロピルアルコールを加えて、0.2質量%の粗分散物液を調製した。粗分散液を更に超音波分散し、防汚性用塗布液を調製した。
熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7214、JSR(株)製)にイソプロピルアルコールを加えて、0.2質量%の粗分散物液を調製した。粗分散液を更に超音波分散し、防汚性用塗布液を調製した。
2−2.ハードコートフィルムの作製(ハードコート層の塗布)
(1)単層ハードコートフィルムの作製
製膜した80μmのセルロースアシレートフィルムおよび環状ポリオレフィンフィルムの両面をコロナ処理し、ハードコート層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を重量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層付き下塗り層を形成した後、上記ハードコート層用塗布液を表8に記載の厚みになるようにエクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)して表8に記載の厚みのハードコートフィルムを作製し、ロール状に巻き取った。
(1)単層ハードコートフィルムの作製
製膜した80μmのセルロースアシレートフィルムおよび環状ポリオレフィンフィルムの両面をコロナ処理し、ハードコート層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を重量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層付き下塗り層を形成した後、上記ハードコート層用塗布液を表8に記載の厚みになるようにエクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)して表8に記載の厚みのハードコートフィルムを作製し、ロール状に巻き取った。
また、透光性フィルムとしてポリカーボネートフィルム(PC)を用い、フィルム上に次のようにハードコート層を形成した。ロール状に巻回されたポリカーボネートフィルム(帝人ピュアエース、厚さ:75μm、片面離型フィルム付き、吸湿膨張率12ppm/%RH)を使用し、所定の塗布領域まで送り出し、予め付与されていた離型フィルムを除去した後、ハードコート液を塗布し、塗膜を形成した後、その塗膜に放射線を連続照射し、放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)を硬化させて、ハードコート層を形成した。
(2)防汚層付きハードコートフィルムの形成
表8に示す光情報記録担体25用のフィルムについては、(H−4)のハードコート層塗設後、(a−1)の防汚層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布、乾燥、熱硬化し防汚層を形成し、防汚層付きハードコートフィルムを得た。
表8に示す光情報記録担体25用のフィルムについては、(H−4)のハードコート層塗設後、(a−1)の防汚層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布、乾燥、熱硬化し防汚層を形成し、防汚層付きハードコートフィルムを得た。
C.ハードコートフィルムと基板との貼合わせ
次のようにして、上記Aで支持体上に設けた記録層上に、中間層を介して、上記Bで作製したハードコートフィルムを貼り合わせることによって光情報記録担体を作製した。
1.粘着層の形成
アクリル系共重合体(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、イソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、を100:1(質量比)で混合し、粘着剤塗布液Aを調製した。この粘着剤塗布液Aを用いて、間接法にて、離型フィルムの表面に粘着層を設けた。
ロール状に巻回されたポリエチレン製離型フィルムを搬送しながら、その離型フィルムの表面に乾燥後の厚さが20μmとなるように粘着剤塗布液Aを塗布した。その後、乾燥領域において100℃で乾燥させ、粘着層が設けられた離型フィルムを得た。
次のようにして、上記Aで支持体上に設けた記録層上に、中間層を介して、上記Bで作製したハードコートフィルムを貼り合わせることによって光情報記録担体を作製した。
1.粘着層の形成
アクリル系共重合体(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、イソシアネート系架橋剤(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1/1)と、を100:1(質量比)で混合し、粘着剤塗布液Aを調製した。この粘着剤塗布液Aを用いて、間接法にて、離型フィルムの表面に粘着層を設けた。
ロール状に巻回されたポリエチレン製離型フィルムを搬送しながら、その離型フィルムの表面に乾燥後の厚さが20μmとなるように粘着剤塗布液Aを塗布した。その後、乾燥領域において100℃で乾燥させ、粘着層が設けられた離型フィルムを得た。
2.光情報記録担体用透明シートの製造
ハードコートフィルムのハードコート層が設けられた逆の面に、粘着層が設けられた離型フィルムを、粘着層が当接するように貼り合せた。その後、このハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、再びロール状に巻き取り、その状態で、23゜C、50%RHの雰囲気で、72時間保持した。
そして、ハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、送り出し、上記基板と同じ形状に打ち抜いた。これにより、透光性フィルムの一方の面に粘着層を有し、他方の面にハードコート層を有する光情報記録担体用透明シートを得た。
ハードコートフィルムのハードコート層が設けられた逆の面に、粘着層が設けられた離型フィルムを、粘着層が当接するように貼り合せた。その後、このハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、再びロール状に巻き取り、その状態で、23゜C、50%RHの雰囲気で、72時間保持した。
そして、ハードコート層及び粘着層が設けられたハードコートフィルムを、送り出し、上記基板と同じ形状に打ち抜いた。これにより、透光性フィルムの一方の面に粘着層を有し、他方の面にハードコート層を有する光情報記録担体用透明シートを得た。
3.光情報記録担体の作製(支持体、記録層へのハードコートフィルムの貼合わせ)
ディスク状の光情報記録担体用透明シートから、粘着剤側の離型フィルムを剥がし、中間層と粘着層とをローラによる押圧手段によって貼り合わせ、光情報記録担体を作製した。
ディスク状の光情報記録担体用透明シートから、粘着剤側の離型フィルムを剥がし、中間層と粘着層とをローラによる押圧手段によって貼り合わせ、光情報記録担体を作製した。
D.スピンコートでの透光層の作製
上記B、Cによる透光層に代え、以下のような方法で透光層を作製した光情報記録担体を作製した。
記録層上にZnS−SiO2をスパッタして膜厚90nmの透光層を形成しのち、透光層上にUV硬化性樹脂(商品名:SD−661、大日本インキ化学工業(株)製)を回転数を100rpm〜300rpmまで変化させながらスピンコートにより塗布し、その上からUVランプにより紫外線を照射して硬化させ光情報記録担体を作製した。
上記B、Cによる透光層に代え、以下のような方法で透光層を作製した光情報記録担体を作製した。
記録層上にZnS−SiO2をスパッタして膜厚90nmの透光層を形成しのち、透光層上にUV硬化性樹脂(商品名:SD−661、大日本インキ化学工業(株)製)を回転数を100rpm〜300rpmまで変化させながらスピンコートにより塗布し、その上からUVランプにより紫外線を照射して硬化させ光情報記録担体を作製した。
E.測定
1.鉛筆硬度試験
光情報記録担体の透光層のフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
1.鉛筆硬度試験
光情報記録担体の透光層のフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
2.耐擦傷性
光情報記録担体の透光層側の表面を#0000のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら擦った時の傷が目視で見えるようになる程度の評価(◎は300回こすっても跡が見えない状態、○は僅かに見える状態、△は跡が残るが100回までは跡がみえない状態、×は100回未満で跡が見える状態)。
光情報記録担体の透光層側の表面を#0000のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら擦った時の傷が目視で見えるようになる程度の評価(◎は300回こすっても跡が見えない状態、○は僅かに見える状態、△は跡が残るが100回までは跡がみえない状態、×は100回未満で跡が見える状態)。
3.防汚性
光情報記録担体の透光層側の表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態の評価(◎は書いた跡が完全にふき取れた状態、○はほとんどふき取れたが僅かに残った状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態)。
光情報記録担体の透光層側の表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態の評価(◎は書いた跡が完全にふき取れた状態、○はほとんどふき取れたが僅かに残った状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態)。
4.記録特性の測定
これらの光情報記録担体をλ=405nmで発光する青紫レーザーと、開口数NA0.7の対物レンズから構成されるピックアップを有した記録再生装置に装着して、最短ピット長を0.24μmに設定したD8−15変調信号の記録と再生を行い信号再生ジッターを測定した。ジッターは小さいほど好ましく、具体的には5%以下であることが好ましい。
表8中のジッター増加幅は、80℃80%RHの条件で7日間保存した後、同様に信号再生ジッターを測定し、保存前後でのジッター値の差で示した。
これらの光情報記録担体をλ=405nmで発光する青紫レーザーと、開口数NA0.7の対物レンズから構成されるピックアップを有した記録再生装置に装着して、最短ピット長を0.24μmに設定したD8−15変調信号の記録と再生を行い信号再生ジッターを測定した。ジッターは小さいほど好ましく、具体的には5%以下であることが好ましい。
表8中のジッター増加幅は、80℃80%RHの条件で7日間保存した後、同様に信号再生ジッターを測定し、保存前後でのジッター値の差で示した。
作製した光情報記録担体と、その各種測定結果を表8に示す。
表8により次のことが分かった。TAC−2〜TAC−11にハードコート層を設けたハードコートフィルムを貼合した光情報記録担体では鉛筆硬度、耐擦傷性、防汚性が改良されただけでなく、ジッター増加幅が小さくなって記録特性が改良された。通常のセルロースアシレートフィルム(TAC−1)にハードコート層を設けたハードコートフィルムを貼合した光情報記録担体5では、鉛筆硬度、耐擦傷性および防汚性が改良されたのみであったのに対して、劣化防止剤を含有させた、または有機塩素系溶剤の含有量を10ppm以下とした、吸湿膨張率が8ppm/%RH以上62ppm/%RH以下であるセルロースアシレートフィルムを用いた光情報記録担体6〜11で記録特性が改良されたのは予想外の効果であった。また、環状ポリオレフィンフィルムおよびポリカーボネートフィルムにハードコート層を設けたハードコートフィルムを貼合した光情報記録担体も鉛筆硬度、耐擦傷性、防汚性が改良され、所望の性能を達成することができた。
F.使用済み光情報記録担体のリサイクル性
表8の光情報記録担体3、5、34を用いて、60℃の4%苛性ソーダ水溶液中で攪拌して、溶解テストを実施した。いずれのサンプルにおいても10分以内に支持体である紙プラスチック複合体中の紙繊維は完全に邂逅して、フィルム層と分離回収できた。
表8の光情報記録担体3、5、34を用いて、60℃の4%苛性ソーダ水溶液中で攪拌して、溶解テストを実施した。いずれのサンプルにおいても10分以内に支持体である紙プラスチック複合体中の紙繊維は完全に邂逅して、フィルム層と分離回収できた。
1 ハードコート層
2 透光層
3 粘着層または接着層
4 記録層
5 支持体
6 防汚層
2 透光層
3 粘着層または接着層
4 記録層
5 支持体
6 防汚層
Claims (14)
- 支持体、記録層および透光層を有する光情報記録担体において、該支持体が、紙とプラスチックとからなる紙プラスチック複合構造体であり、且つ該プラスチックが水に難溶性あるいは不溶性でアルカリ性水溶液に可溶性であることを特徴とする、前記光情報記録担体。
- 前記プラスチックが、植物を原料とするプラスチックを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光情報記録担体。
- 前記植物を原料とするプラスチックが、セルロース誘導体であることを特徴とする、請求項2に記載の光情報記録担体。
- 前記セルロース誘導体が、セルロースヒドロシキアルキルエーテルアルキルエーテルジカルボン酸エステルおよびセルロースアセテートフタレート誘導体からなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする、請求項3に記載の光情報記録担体。
- 前記透光層の厚みが、前記支持体の厚みよりも薄いことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記透光層の厚みが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記透光層が、ポリカーボネートフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記透光層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記透光層の表面に活性エネルギー線硬化樹脂を含むハードコート層が存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記ハードコート層が、分子内にエチレン性不飽和基を2個以上有する硬化性樹脂および/または開環重合性基を有する硬化性樹脂を含む硬化性組成物から形成された硬化皮膜からなることを特徴とする、請求項9に記載の光情報記録担体。
- 表面の前記硬化被膜中に平均粒径5nm以上200nm以下の無機微粒子が含まれることを特徴とする、請求項9または10に記載の光情報記録担体。
- 前記透光層側の表面の水に対する接触角が、該表面に対して90度以上であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 前記透光層側の表面の鉛筆硬度が、H以上であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれかに記載の光情報記録担体。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の前記光情報記録担体を用い、350nm以上450nm以下の光を用いて記録あるいはまた読みとりを行うことを特徴とする、光情報記録方法あるいは光情報再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004161332A JP2005339755A (ja) | 2004-05-31 | 2004-05-31 | 光情報記録担体 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2005339755A true JP2005339755A (ja) | 2005-12-08 |
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JP (1) | JP2005339755A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016069419A (ja) * | 2014-09-26 | 2016-05-09 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物、及び樹脂成形体 |
-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004161332A patent/JP2005339755A/ja active Pending
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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A711 | Notification of change in applicant |
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