JP2006011485A - 電子写真複写方法及び該方法に用いられる電子写真装置 - Google Patents

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【課題】 電子写真複写方法において、感光体の一回転目から良好な画像形成を行う方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを、感光体に対して行う電子写真複写方法において、該感光体は導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有するものであって、該下引き層が、バンドギャップが2.2eV以上の半導電性物質とバインダー樹脂を含有し、かつ、該感光体が、電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物を含有する感光体であり、該感光体の一回転目から画像形成を行うことを特徴とする電子写真複写方法。

Description

本発明は特定の化合物を含有する積層型電子写真感光体を用いる電子写真複写方法及び該方法に用いられる電子写真感光体に関するものである。
C.F.カールソンの発明による電子写真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンタやファクシミリの分野でも広く使われ、大きな広がりを見せている。この電子写真プロセスは基本的に、感光体表面の均一な帯電、原稿に対応した像露光による静電潜像の形成、該潜像のトナーによる現像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由する場合もある)及び定着による画像形成プロセスと、感光体を繰り返し使用するための初期化プロセス、すなわち感光体表面に残留する現像剤を取り除くためのクリーニング及び残留電荷を除去する除電プロセスから成り立っている。
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として従来からのセレニウム、ヒ素−セレニウム合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。中でも電荷発生層及び電荷輸送層を積層したいわゆる積層型感光体は、より高感度な感光体が得られること、材料の選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから、現在では感光体の主流となっており大量に生産されている。
一方、最近より高画質な画像を得るためや、入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、画像形成のためのデジタル化が急速に進行している。これまで、デジタル的に画像形成するものとしてはワープロやパソコンの出力機器であるレーザープリンター、LEDプリンタや一部のカラーレーザコピア等に限られていたが、従来アナログ的画像形成が主流であった普通の複写機の分野にもデジタル化が進行している。
この様なデジタル的画像形成において、コンピュータ情報を直接使う場合にはその電気信号を光信号に変換し、また原稿からの情報入力の場合には原稿情報を光情報として読みとった後、一度デジタル電気信号に変換し、再度光信号に変換し感光体に入力される。いずれにせよ感光体に対しては光信号として入力されるわけであるが、この様なデジタル信号の光入力には主としてレーザ光やLED光が用いられている。現在もっともよく使用される入力光の発信波長は780nmや660nmの近赤外光やそれに近い長波長光である。デジタル的画像形成に使用される感光体にとって、まず第一に要求されることはこれらの長波長光に対して感度を持つことであり、これまで多種多様な材料が検討されている。中でもフタロシアニン化合物は合成が比較的容易であり長波長光に感度が示すものが多いことから、幅広く検討され実用に供されている。
例えば下記特許文献1にはチタニルフタロシアニンを用いた感光体が、下記特許文献2にはβ型インジウムフタロシアニンを用いた感光体が、下記特許文献3にはχ型無金属フタロシアニンを用いた感光体が、下記特許文献4にはバナジルオキシフタロシアニンを用いた感光体がそれぞれ開示されている。
特公平5−5860号公報 特開昭59−155851号公報 特開平2−233769号公報 特開昭61−28557号公報
ところが、この様なフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用いた感光体は長波長で高感度であるものの、一回転目の帯電圧が低く、二回転目からようやく帯電圧が安定するという欠点があった。フタロシアニン化合物を電荷発生層に使用した積層型感光体は広く実用化されているが、このような現象は程度の差はあるもののすべてにおいて観測された。
また、アゾ顔料を電荷発生層に用いた積層型感光体では観測されなかった(但し、アゾ顔料は、長波長での感度が小さいという問題がある)ことから、フタロシアニン化合物を用いた積層型感光体に特有の問題であることがわかった。この現象は、帯電、露光といった画像形成プロセス後の放置時間と関係しており、放置時間が30分、1時間と長くなるにつれて、一回転目の帯電圧が低くなる傾向がある。このことから、この現象は放置中のフタロシアニン化合物による暗電荷の発生とその電荷発生層中への蓄積、または導電性支持体及び下引き層より電荷が電荷発生層へ注入されて蓄積するという現象が関係しているものと考えられる。
また、この現象は感光体を繰り返し使用しかなり疲労させた状態では、一回転目のプロセスでは表面電位の低下幅は更に拡大することがわかった。これは、疲労により電荷発生層中のエレクトロントラップ量が徐々に増加していくために初期の状態と較べて電荷の蓄積量が増加するためであると考えられる。一方、デジタル的に画像形成する場合には、光の有効利用或いは解像力を上げる目的から、光を照射した部分にトナーを付着させ、画像を形成する、いわゆる反転現像方式を採用することが多い。反転現像プロセスにおいては、暗電位部が白地となり、明電位部が黒地部(画線部)になる。
したがって、反転現像プロセスにおいては、正規現像プロセスのように明部電位が上昇してもかぶり(白地部に黒点が生じる現象)が発生することはないが、暗部電位が低下するとかぶりが発生する。そのため、フタロシアニン化合物を用いた感光体では、高感度ではあるが、一回転目のプロセスによる画像は極端に地肌が汚れ良好な画像が得られない現象が見られた。更に連続してコピーを行った場合、感光体2回転目のプロセスによる画像では多少地肌の汚れが残っていたがほぼ良好な画像となり、それ以降では良好な画像が得られた。
以上詳述したように、フタロシアニン化合物を電荷発生層に使用した積層型感光体を光除電プロセスを含む反転現像電子写真プロセスで使用すると、潜在的にこの様な問題を含んでいる。しかし、これまでは帯電圧が低下する感光体1回転目のプロセスは画像形成には使用せず(いわゆる空回転)、帯電圧が安定する2回転目以降から画像形成に使用し、このような問題を回避しているのが現状である。これは、比較的コピー速度の遅い(例えばA4紙10枚/分以下)反転現像方式のプリンタ等においては、帯電器の帯電制御能力に余裕ができるためにこの様な現象が顕著に現れないこと、またコンピュータ等からのデータ転送に時間を要すること等から一回転目を空回転とするプロセスにしても特に支障は生じなかったためである。ところがコピー速度の速いデジタルコピア等、直接原稿をコピーする場合には、このような空回転を入れると高速化の大きな支障となるため、感光体の一回転目から画像形成出来るようにすることが熱望されている。
そこで本発明者らは、プロセスの一回転目から所定の表面電位に帯電し、空回転を入れなくとも済むような感光体の構成について鋭意検討を行った。その結果、導電性支持体上に少なくとも、2.2eV以上のバンドギャップを有する半導電性物質とバインダー樹脂よりなる下引き層を形成し、該下引き層の上にフタロシアニン化合物を含む電荷発生層、その上に電荷輸送層を積層した構成にすることにより、プロセスの一回転目から所定の表面電位に帯電し、一回転目を空回転することなく、連続して良好な画像を得られることを見い出し本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを、感光体に対して行う電子写真複写方法において、該感光体は導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有し、該下引き層が、少なくとも、2.2eV以上のバンドギャップを有する半導電性物質とバインダー樹脂とからなり、かつ、該感光体が、電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物を含有し、該感光体の一回転目から画像形成を行うことを特徴とする電子写真複写方法にある。尚、本特許では、バンドを形成しない物質については、HOMO(最高被占軌道)とLUMO(最低空軌道)とのエネルギー差をバンドギャップの値とする。
上記としては、伝導帯の下端位置が、真空準位を基準として、−3.8eV以下のものが好ましく、酸化チタンなどの金属酸化物が好ましいものとして例示できる。尚、本特許では、バンドを形成しない物質については、伝導帯の下端位置は、LUMOの位置とする
以上のように、本発明によれば、長波長に感度が高いことから、レーザープリンター及びLEDプリンター及びデジタルコピアに一般的に用いられているフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用いても、一回転目より充分帯電する感光体が得られ、この感光体を用いることにより、感光体の一回転目から画像形成を行う電子写真プロセスを構成出来、一枚目のコピー又はプリントの早い電子写真装置を構成できる。
以下本発明を詳細に説明する。本発明において使用される積層型感光体は導電性基体上に設けられる。導電性基体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料やアルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム、紙などが主として使用される。又、これらの表面を酸化処理した材料を用いても良い。
下引き層としては、少なくとも2.2eV以上のバンドギャップを有する半導電性物質とバインダー樹脂とから形成される。なお、本発明において、半導電性物質とは、下引き層で電荷を移動させる機能をもつ良導体以外の物質であり、半導体であることは要求されない。具体的には、半導電性物質としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化鉄等の金属酸化物、窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭化珪素、炭化チタン等の金属炭化物粒子、硫化モリブデン等の硫化物、硫酸バリウム等の硫酸塩等及びヒゾラゾン系の電荷輸送剤及びMBDQ等の電子輸送剤が例示でき、これらの中でも、伝導帯の下端位置が、真空準位から−3.8eV以下である半導電性物質を用いる場合が好ましい。そのような半導電性物質としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ビスマス、硫化モリブデン等が挙げられるが、コスト及び分散性のバランスから酸化チタンが最も適している。
2.2eV以上のバンドギャップを有する半導電性物質を含有するのが好ましい理由は定かではないが、これ以下のバンドギャップを有する半導電性物質を含有する下引き層の場合は、感光体が、待機時間中に、導電性支持体からの電荷(正孔)が電荷発生層へ注入されて蓄積されやすい、又は、該半導電性物質が、暗電荷を発生しやすく、その電荷が同様に電荷発生層へ注入されて、電荷が蓄積されやすくなるためでないかと考えられる。
また、伝導帯の下端位置が、真空準位から−3.8eV以下である半導電性物質を含有するのが好ましい理由は定かではないが、電荷発生層中で生じたエレクトロントラップからの電荷(電子)の受け渡しが、上記半導電性物質の存在下では、円滑に進みやすいためであると考えられる。半導電性物質の伝導帯の下端位置が、真空準位から−3.8eV以上の場合は、この電荷の受け渡しが円滑には進まず、一回転目のプロセスでの帯電圧が低くなりやすい。
また、下引き層として、一般的に用いられているアルマイトの場合、電子写真プロセスでの残留電位は小さいので、このプロセスで生じた電荷(フタロシアニンの伝導帯の下端位置近傍に存在する。)の受け渡しは、円滑に進みやすいと考えられる。しかし、疲労放置後の一回転目の帯電圧は、小さい。このことは、疲労により電荷発生層中で生じたエレクトロントラップの準位が、通常の電子写真プロセスで生じる電荷の準位と比べて、かなり深くなっているため、トラップ電荷の受け渡しが、円滑に進みにくくなったためであると考えられる。それ故、一回転目の帯電圧を高くするためには、アルマイトよりも、伝導帯の下端位置が低い(深い)半導電性物質を用い、トラップ準位からの電荷の受け渡しも、容易になるようにしておくことが、必要になる。
半導電性物質が酸化チタンのような金属酸化物の分散粒子の場合、表面が、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物又は、ステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物処理されていても良いが、表面が無処理、または、金属原子含有有機化合物でコーティング処理したものが好ましい。金属原子含有有機化合物としては、シランカップリング剤や有機基で置換されたポリシロキサン類が一般的である。その中でも、メチル水素ポリシロキサン処理は、塗布液の安定性及びブロッキング性の向上も期待でき、最も好ましい処理剤である。
酸化チタンの結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスいずれも用いることが出来るが、ルチルが一般的である。また、平均一次粒子径としては、特性及び塗布液の安定性の面から10nm以上100nm以下が好ましいが、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。また、下引き層中の半導電性物質が分散粒子の場合、分散粒子の体積あたりの表面積が、下引き層1cm3あたり40m2以上であることが好ましい。具体的には、分散粒子の含有量を多くするか、または分散粒子の粒子径を小さくする。この理由は定かではないが、電荷発生層中に生じたエレクトロントラップと分散粒子との有効な接触確率が増え、このトラップされている電荷が下引き層(分散粒子)に伝達されやすいためと考えられる。同様な理由で、下引き層中の半導電性物質が、分子の場合も塗布液に対する溶解性及び下引き層としての機能(接着性及びブロッキング性等)を損なわない範囲では、電荷輸送分子の存在量を多くするのが好ましいと考えられる。
また、本発明では、下引き層の構成として、半導電性物質とバインダー樹脂を含有する構成に限定しているが、この理由は、下引き層が、蒸着膜及びアルマイト等の陽極酸化皮膜の場合、電荷発生層中に生じたエレクトロントラップとの有効な接触確率が大きくするのが困難であるためであると考えられる。すなわち、半導電性物質とバインダー樹脂の場合、下引き層のバインダー樹脂が、半導電性物質とのバインダー樹脂と相溶性が有る場合は、エレクトロントラップと半導電性物質の有効な接触確率は、大きくなりやすい。又、バインダー樹脂同志の相溶性が小さい場合も、半導電性物質が、下引き層と電荷発生層のブリッジングの役割を果たす場合が多く、やはり有効な接触確率は大きくなりやすい。
尚、バインダー樹脂のみ、及び半導電性物質のみの下引き層の場合でも、バインダー樹脂として、半導電性物質をグラフトさせた樹脂を用いるとか、ゾルゲル膜の半導電性粒子膜を用いる等すれば、本発明と同様の効果が得られると考えられる。一方のバインダー樹脂としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアセタール、ゼラチン、デンプン、フェノキシ、エポキシ、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド樹脂等が単独或いは硬化剤と共に硬化した形で使用できるが、中でもアルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましいバインダー樹脂の例である。そのポリアミド樹脂の中でも、下記一般式(I)で示されるジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミドが、特性及び液安定性の面で好ましい。このポリアミドの数平均分子量は5000〜30万が好ましい。尚、上記記載のように、塗布性及びブロッキング性に問題がなければ、電荷発生層中のバインダー樹脂と相溶性の大きな樹脂の方が好ましいと考えられる。
Figure 2006011485
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示す)バインダー樹脂に対する分散粒子の添加比は任意に選べるが、分散液の保存安定性、塗布性を良好にするためには、10wt%から500wt%の範囲で使用することが好ましい。また、一回転目の帯電圧の向上をさせるためには、上記のように分散粒子の体積あたりの表面積を40m2/cm3以上となる添加量とすることが好ましい。
下引き層には、必要に応じて各種の添加剤を加えることが出来る。添加剤としては、カーボンブラックや有機シリケート化合物や有機ジルコニウム化合物を加えても良く、又、ヒンダードアミン系やフェノール系の酸化防止剤を加えても良い。更に、塗布性を改良するために、シリコンオイルやフッ素系界面活性剤を用いることが出来る。
下引き層の膜厚は、0.05μmから10μm、好ましくは、0.2μmから5μmの範囲で使用される。電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、フタロシアニン化合物が用いられる。具体的には、無金属フタロシアニン、あるいは、銅、インジウム、ガリウム、シリコン、錫、チタン、亜鉛、バナジウム等の金属又は、その酸化物、ハロゲン化物、水酸化物の配位したフタロシアニン類が使用される。特に感度の高いX型、τ型の無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HillerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Z.Kristallogr.,159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2度が27.3度に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。
これらの電荷発生層には分光感度を変えたり帯電性、残留電位の電気特性を改良するためにフタロシアニン以外の電荷発生物質を含有させても良い。例えばセレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドニウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等が使用出来る。
電荷発生層は、これらの電荷発生物質の微粒子(好ましくは、平均粒径1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは、0.3μm以下)を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形の分散層で用いても良い。
この場合の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、この膜厚は通常0.1μmから2μm、好ましくは、0.15μmから0.8μmが好適である。また電荷発生層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいても良い。また電荷発生層は、上記電荷発生物質の蒸着膜であっても良い。
電荷輸送層に用いる電荷輸送材料としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタン、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの電荷輸送材料がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸層が形成される。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等があげられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲で使用される。また膜厚は、5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよい。なお電荷輸送層には、成膜性、可とう性、塗布性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの添加剤を含有させても良い。
これらの下引き層及び感光層は、導電性基体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布等により形成される。本電子写真複写方法は、帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いても良い。帯電方法としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電、導電性ローラーあるいはブラシによる接触帯電などいずれを用いても良い。コロナ放電を利用した帯電方法は、暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電を用いられることが多い。現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な方法が用いられるが、主として明部電位を現像する反転現像で用いられる。転写方法としては、コロナ放電によるもの、転写ローラーを用いた方法等いずれでも良い。通常現像剤を紙などに定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着を用いることが出来る。これらのプロセスのほかに、クリーニング等のプロセスを有しても良い。
以下本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。実施例及び比較例の感光体は、下記に示す3つの方法のうち1つ以上の方法で、一回転目の帯電性の評価がなされた。(A法)感光体(この方法のみ外径80mmのドラム)を、感光体特性測定機に装着し、25rpmの回転数で、帯電(コロトロン:約−700V),露光,除電のプロセスを1時間繰り返した。その後、30分間放置後、帯電を行い露光せずに、一回転目の表面電位を測定した。
(B法)感光体を、反転現像用に改造した、感光体の一回転目からコピープロセスの行われる、プロセス速度が190mm/secの複写機に装着し、感光体表面電位測定装置をとりつけて、帯電(スコロトロン:約−650V)、露光、除電のみのプロセスを1時間繰り返した。ウォーミングアップ動作(画像形成に先立つ感光体前回転等)を行わせないため複写機の電源を投入したまま30分間放置後、コピーボタンを押してコピープロセスを行わせ、この時の感光体の未露光部の表面電位を測定した。
(C法)感光体を、反転現像用に改造した、感光体の一回転目からコピープロセスの行われる、プロセス速度が190mm/secの複写機に装着し、感光体表面電位測定装置をとりつけて、帯電(スコロトロン:約−650V)、露光、除電のみのプロセスを50000コピープロセス(A4横送りで5万枚コピー相当)繰り返した。ウォーミングアップ動作(画像形成に先立つ感光体前回転等)を行わせないため複写機の電源を投入したまま1時間放置後、コピーボタンを押してコピープロセスを行わせ、この時の感光体の未露光部の表面電位を測定した。
なお、バンドギャップ、伝導帯の下端位置は次のようにして求めた。チタニアについては、坪村宏著「光電気化学とエネルギー変換」(東京化学同人出版)のデータに準拠した。バンドギャップは文献記載の値をそのまま用い、伝導帯の下端位置は飽和カロメル電極(SCE)との相対値(−0.3V)とSCEの絶対エネルギー(−4.78eV)から計算した。
アルミナについては、Surface Science 206(1988)41−51のデータから求めた。バンドギャップは文献記載の値をそのまま用い、伝導帯の下端位置はフェルミ準位が伝導帯の下端と価電子帯の上端の真中と仮定して計算した。有機化合物については、表面分析装置(製品名 AC−1 理研什器(株)製)を用いて価電子帯の上端位置を求め、次に比較例に記載の塗布液を希釈し、吸収スペクトルからバンドギャップを求め、先に求めた価電子帯上端位置とバンドギャップから伝導帯の下端位置を求めた。
(実施例1)
(1)下引き塗布液1調液方法;
下記構造を有する共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[石原産業(株)製、商品名TTO55N:ルチル型、平均一次粒子径約40μm]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、TTO55N/ナイロン=3/1組成(重量比)で、固形分濃度16%の下引き塗布液4を調液した。酸化チタンの伝導帯の位置は、真空準位から−4.5eVの位置にあり、バンドギャップは3.2eVである。また、このときの下引き層中の体積あたりの酸化チタンの表面積は、72m2/cm3であった。
Figure 2006011485
(2)CG塗布液1調液方法;
D型チタニルフタロシアニン7重量部とA型チタニルフタロシアニン3重量部(A型、D型は、〔0017〕の記載を参照)とポリブチラール(積水化学工業(株)製、商品名エスレックBH−3)5重量部を1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部で分散して調液した。この塗布液をCG塗布液1とする。
(3)CT塗布液1調液方法;
次に示すヒドラゾン化合物70重量部
Figure 2006011485
及びポリカーボネート樹脂(三菱化学(株)製、ノバレックス7030A)100重量部を1,4−ジオキサン1000重量部に溶解させた液をCT塗布液1とした。
(4)感光体の製造方法;
アルミニウムが蒸着されたポリエステルフィルム(約75μm厚)上に、乾燥後の膜厚が、0.75μmになるように、下引き塗布液1をワイヤーバーで塗布し、下引き層を形成し、次に、乾燥後の膜厚が、0.5μmになるように、上記のCG塗布液1をワイヤーバーで塗布し、電荷発生層を形成し、次に乾燥後の膜厚が25μmになるように、上記のCT塗布液2をアプリケータで形成し、電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体フィルムを、外径65mm、長さ348mmのアルミニウムシリンダーに巻き付けた。このようにして得られたドラムを感光体Aとする。
(5)感光体の評価;(C法)で評価、感光体の評価結果を表−1に示す。
(実施例2)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液2調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[TTO55N]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、TTO55N/ナイロン=2/1組成(重量比)で、固形分濃度13.5%の下引き塗布液2を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は56m2/cm3であった。
(実施例3)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液3調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[TTO55N]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、TTO55N/ナイロン=1.5/1組成(重量比)で、固形分濃度11.25%の下引き塗布液1を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は46m2/cm3であった。
(実施例4)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液4調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[TTO55N]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、TTO55N/ナイロン=1/1組成(重量比)で、固形分濃度9%の下引き塗布液1を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は46m2/cm3であった。
(実施例5)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液5調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[テイカ(株)製、商品名MT−150Wルチル型、平均一次粒子径17nm]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、チタニア/ナイロン=1/1組成(重量比)で、固形分濃度9%の下引き塗布液5を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は80m2/cm3であった。
(実施例6)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液6調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[出光興産(株)製、商品名IT−ODアモルファス型シリコーン処理、平均1次粒子径17nm]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、チタニア/ナイロン=1/1組成(重量比)で、固形分濃度9%の下引き塗布液6を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は63m2/cm3であった。
(実施例7)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更した他は実施例1と感光体の作製方法も評価方法も同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液7調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したチタニア[TTO55Nに3wt%のトリメチロールエタンを表面処理したチタニア]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、チタニア/ナイロン=1.5/1組成(重量比)で、固形分濃度11.25%の下引き塗布液7を調液した。このときの体積あたりの酸化チタンの表面積は46m2/cm3であった。
(実施例8)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を1μmとした他は実施例1と同様に感光体を作製した。感光体の評価は、(A法),(B法),(C法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液8調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予め超音波により分散したアルミナ[日本アエロジル(株)製、商品名 Aluminium Oxide C:平均一次粒子径約13nm]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行いアルミナ/ナイロン=1/1組成(重量比)で、固形分濃度8%の下引き塗布液8を調液した。アルミナの伝導帯の位置は、真空準位から−1.8eVの位置にあり、バンドギャップは9.0eVである。また、このときの体積あたりの表面積は79m2/cm3であった。
(実施例9)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を0.5μmとした他は実施例1と同様に感光体を作製した。感光体の評価は、(A法)、(B法)、(C法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液9調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミルにより分散したアルミナ[昭和電工(株)製、商品名UA−5305平均一次粒径100nm]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行いアルミナ/ナイロン=2/1組成(重量比)で、固形分濃度12%の下引き塗布液9を調液した。このときの体積あたりの表面積は32m2/cm3であった。
(実施例10)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を0.75μmとした他は実施例1と同様にした。感光体の評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液10調液方法;
共重合ポリアミドAを溶解した混合アルコール(メタノール/n−プロパノール=7/3)溶液に、予めボールミル分散したチタニア[TTO55Nに3wt%のメチル水素ポリシロキサンを表面処理したチタニア]の混合アルコール溶液を混合し、更に超音波で分散処理を行い、チタニア/ナイロン比=3/1組成(重量比)で、固形分濃度16%の下引き塗布液10を調液した。
(比較例1)
下引き層が無い以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。感光体の評価は、(A法)、(B法)、(C法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(比較例2)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を1μmとした他は、実施例1と同様にして感光体を作製した。感光体の評価は、(A法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液11調液方法;
ダイセルヒュルス社製6/66/610共重合ポリアミド(商品名:T−171)をメタノール/n−プロパノール=7/3に溶解して、固形分濃度5%の下引き塗布液11を調液した。
(比較例3)
表面が、アルマイト処理されたアルミニウム基体(外径65mm,長さ348mm)を用い、この基体をCG塗布液1に浸漬塗布し、引き上げることにより、乾燥後の膜厚が0.5μmとなるように電荷発生層を設けた。更にこのシリンダーをCT塗布液1に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が25μmになるように電荷移動層を設けた。このようにして作製した感光体を(B法)及び(C法)で評価した。評価結果を表−1に示す。
(比較例4)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を0.4μmとした他は、実施例1と同様にして感光体を作製した。感光体の評価は、(A法)と(C法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液12調液方法;
下記構造を有するアゾ化合物10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った。
Figure 2006011485
(伝導帯の下端位置は真空準位から−3.3eV、バンドギャップは1.7eV)。
また、ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商品名エスレックBH−3)の4%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の4%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部を混合してバインダー溶液を作製した。先に作製した顔料分散液160重量部にバインダー溶液200重量部、1,2−ジメトキシエタン90重量部を加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
(比較例5)
下引き塗布液の調液方法を下記のように変更し、下引き層の膜厚を0.4μmとした他は、実施例1と同様にして感光体を作製した。感光体の評価は、(A法)と(C法)で行った。評価結果を表−1に示す。
(1)下引き塗布液13調液方法;
下記構造を有するアゾ化合物10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った。
Figure 2006011485
(伝導帯の下端位置は真空準位から−3.25eV、バンドギャップは1.75eV)。
また、ポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製、商品名エスレックBH−3)の4%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の4%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部を混合してバインダー溶液を作製した。先に作製した顔料分散液160重量部にバインダー溶液200重量部、1,2−ジメトキシエタン90重量部を加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
Figure 2006011485
比較例の下引き層が無い場合及び下引き層として、アルマイト又はバインダーのみ及びバンドギャップが、2.2eV未満の半導電性物質とバインダー樹脂を含有するものを使用した場合は一回転目と四回転目の差が大きい。そのため、これらの感光体では、画像上、反転現像ゆえの一回転目部分での白地画像のカブリを引き起こし、使用に適さないものとなる。したがって実用上、比較例の感光体は、一回転目から画像形成を行うプロセスに用いることは出来ない。
一方、実施例である下引き層中の半導電性物質バンドギャップが2.2eV以上の下引き層を有する感光体は、最も一回転目と四回転目の電位の差が大きい実施例4及び実施例10の感光体でも、未露光部での差は、135Vと比較例の感光体と比較して大きく改善されており、感光体の一回転目から画像形成を行うプロセスに用いても良好な画像を得ることが出来る。尚、表−1の結果から、実施例の中でも更に好ましくは、伝導帯の下端の位置が真空準位から3.8eV以上である半導電性物質を用いる場合であり、そのような半導電性物質としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシム、酸化タングステン,酸化鉄,酸化ビスマス,硫化モリブデン等が挙げられるが、酸化チタンが最も適している。更に半導電性物質が粒子の場合、粒子の表面状態としては、未処理か、金属元素を含有する有機化合物で表面処理されているのが好ましい。特に処理剤としては、シランカップリング剤及びシロキサン化合物が一般的である。その中でも、メチル水素ポリシロキサン処理は、塗布液の安定性及びブッロキング性の向上も期待でき、最も好ましい処理剤である。

Claims (6)

  1. 少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを、感光体に対して行う電子写真複写方法において、該感光体は導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有するものであって、該下引き層が、バンドギャップが2.2eV以上の半導電性物質とバインダー樹脂を含有し、かつ、該感光体が、電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物を含有する感光体であり、該感光体の一回転目から画像形成を行うことを特徴とする電子写真複写方法。
  2. 請求項1の方法において、半導電性物質の伝導帯の下端位置が、真空準位を基準として、−3.8eV以下である方法。
  3. 請求項1または2の方法において、半導電性物質が分散粒子であり、該分散粒子の下引き層に対する体積あたりの表面積が、下引き層1cm3あたり40m2以上である方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法において、半導電性物質が金属酸化物粒子、金属窒化物粒子、金属炭化物粒子、金属硫化物粒子または硫酸塩粒子のいずれかである方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法において、半導電性物質が酸化チタンである方法。
  6. 少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを、感光体に対して行う電子写真複写装置において、該感光体は導電性支持体上に、少なくとも下引き層及び感光層を有するものであって、該下引き層が、バンドギャップが2.2eV以上の電荷輸送物質と、バインダー樹脂を少なくとも含有し、かつ、該感光体が、電荷発生物質として少なくともフタロシアニン化合物を含有する感光体であり、かつ、該感光体の一回転目を選択的に空回転とする機能を有さない電子写真複写装置。
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